JP2017109309A - ゴムの熱入れ方法 - Google Patents

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拓磨 小西
Takuma Konishi
拓磨 小西
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Abstract

【課題】練りゴムの熱入れにおいて練りゴムの落下や密着の発生を抑制して、作業の安全性を確保すると共に、作業効率の向上を図ることができる練りゴムの熱入れ技術を提供する。
【解決手段】回転する一対のロール間に練りゴムを投入し、ロールの表面に練りゴムを巻きつけて一対のロールの間を複数回通過させることにより練りゴムの熱入れを行うゴムの熱入れ方法であって、練りゴムの配合に応じて一対のロール間に投入されてロールの表面に巻きつく練りゴムの表面温度を設定し、練りゴムの表面温度が設定された表面温度に維持されるように制御しながら練りゴムの熱入れを行うゴムの熱入れ方法。練りゴムの表面温度の制御を、ロールの表面温度により行うゴムの熱入れ方法。練りゴムの表面温度の制御をロールに巻きつけられた練りゴムに温風または冷風を吹きつけることにより行うゴムの熱入れ方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、一対の熱入れロールを用いて練りゴムを加熱するゴムの熱入れ方法に関する。
空気入りタイヤの製造に際しては、熱入れロールと呼ばれる一対のロールを所定の隙間を設けて配置し、加熱されたロールの間に練りゴムを投入し、ロールの表面に練りゴムを巻きつけて、ロールの間を複数回通過させることにより練りゴムを加熱する熱入れ工程が設けられている。
このとき、一対の熱入れロールの外周面に設けられた螺旋状の溝に沿ってゴムが移動することにより、熱入れ中のゴムが熱入れロールの軸方向に移動し易いように構成されている(特許文献1)。
実開昭62−159606号公報
しかしながら、上記した従来の熱入れ工程では、ゴム材料の種類によって適切に熱入れできない場合がある。具体的には、ロールに巻きつきにくい練りゴムでは、熱入れロールに投入された練りゴムが上手く巻きつかないバギング現象が発生してロール通過後に落下してしまう。また、粘着性が強い練りゴムでは、次工程にゴムを送る際にロールから剥がれにくくなる。
このような練りゴムの落下や密着が生じると、手作業で対応する必要があるため、作業の安全性の問題や、手作業での対応時間による作業効率の低下が生じる恐れがある。
そこで、本発明は、練りゴムの熱入れにおいて練りゴムの落下や密着の発生を抑制して、作業の安全性を確保すると共に、作業効率の向上を図ることができる練りゴムの熱入れ技術を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、
回転する一対のロール間に練りゴムを投入し、ロールの表面に練りゴムを巻きつけて、前記一対のロールの間を複数回通過させることにより前記練りゴムの熱入れを行うゴムの熱入れ方法であって、
前記練りゴムの配合に応じて、前記一対のロール間に投入されて前記ロールの表面に巻きつく前記練りゴムの表面温度を設定し、前記練りゴムの表面温度が設定された表面温度に維持されるように制御しながら前記練りゴムの熱入れを行うことを特徴とするゴムの熱入れ方法である。
請求項2に記載の発明は、
前記練りゴムの表面温度の制御を、ロールの表面温度により行うことを特徴とする請求項1に記載のゴムの熱入れ方法である。
請求項3に記載の発明は、
粘着力が0.1〜3.0Nの練りゴムの熱入れを、表面温度が10〜40℃の前記ロールにより前記練りゴムの表面温度を制御して行うことを特徴とする請求項2に記載のゴムの熱入れ方法である。
請求項4に記載の発明は、
粘着力が7.0〜15.0Nの練りゴムの熱入れを、表面温度が40〜70℃の前記ロールにより前記練りゴムの表面温度を制御して行うことを特徴とする請求項2に記載のゴムの熱入れ方法である。
請求項5に記載の発明は、
前記一対のロールとして、冷水を通過させる冷水配管と、蒸気を通過させる蒸気配管とが内部に設けられたロールを用い、
前記冷水と前記蒸気の供給量を調整することにより、前記練りゴムの表面温度の制御を行うことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のゴムの熱入れ方法である。
請求項6に記載の発明は、
前記練りゴムの表面温度の制御を、前記ロールに巻きつけられた前記練りゴムに温風または冷風を吹きつけることにより行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のゴムの熱入れ方法である。
請求項7に記載の発明は、
前記練りゴムが、スタッドレスタイヤのトレッド用練りゴムであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のゴムの熱入れ方法である。
本発明によれば、練りゴムの熱入れにおいて練りゴムの落下や密着の発生を抑制して、作業の安全性を確保すると共に、作業効率の向上を図ることができる練りゴムの熱入れ技術を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係るゴムの熱入れ方法を説明する斜視図である。
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を参照して説明する。
1.本発明の概要
本発明は、練りゴムの表面温度が、練りゴムの配合に応じて設定された練りゴムの表面温度に維持されるように制御しながら、練りゴムの熱入れを行うものである。
この練りゴムの表面温度の制御は、例えば、ロールの表面温度あるいは練りゴムへ吹き付ける風の温度によって行うことができる。以下、前記した各実施の形態を例にして、本発明を具体的に説明する。
2.第1の実施の形態
(1)熱入れ装置
図1は、本実施の形態に係るゴムの熱入れ方法を説明する斜視図である。本実施の形態において使用される熱入れ装置においては、練りゴムの表面温度を測定した結果に基づき、ロールの表面温度によって練りゴムの表面温度を制御している。
本実施の形態におけるゴムの熱入れ装置は、従来と同様に、一対の熱入れロール1a、1bを備えており、この一対の熱入れロール1a、1bが所定の隙間を空けて配置されている。
図示は省略するが、この熱入れロール1a、1bの内部には、冷水を通過させる冷水配管と、蒸気を通過させる蒸気配管とが設けられており、冷水と蒸気の供給量を調整することにより熱入れロール1a、1bに接する練りゴムの表面温度を制御することができる。
具体的には、このゴムの熱入れ装置には、熱入れロール1a、1bに巻きつけられた練りゴム3の表面温度を測定する温度センサ(図示省略)が設けられており、温度センサの測定結果に基づいて練りゴムの表面温度を制御できるように、表面温度制御装置2が熱入れロール1a、1b内の冷水配管への冷水の供給量および蒸気配管への蒸気の供給量を調整するように構成されている。
この表面温度制御装置2には、各種練りゴムの配合のそれぞれに対応する温度が設定されており、練りゴムの配合に応じた温度を設定することができるように構成されている。なお、この温度設定は、個々の練りゴムの配合に対応して設定してもよいが、煩雑さを避けるために3段階程度にグループ分けして設定してもよい。
(2)熱入れ方法
次に、上記した熱入れ装置を用いた本実施の形態に係るゴムの熱入れ方法について説明する。
本実施の形態においては、練りゴムの熱入れを開始する前に、表面温度制御装置2に記憶された複数の設定温度の内、熱入れの対象となる練りゴムの配合に応じた設定温度を選択する。
そして、練りゴムの熱入れを行うに際して、予め混練された練りゴムを一対の熱入れロール1a、1b間に投入する。これにより、練りゴム3が熱入れロール1a、1bの間で圧延されながら加熱され、熱入れロール1a、1bの表面に巻きつけられる。
本実施の形態においては、このとき、熱入れロール1a、1b間に投入された練りゴム3の表面温度を温度センサで測定し、測定結果を表面温度制御装置2に送信する。表面温度制御装置2は、予め選択した設定温度と温度センサによる測定結果とを対比し、測定結果が設定温度よりも高温の場合には冷水配管への冷水の供給量を増やして熱入れロール1a、1bを冷却することにより熱入れロール1a、1bの表面温度を低下させて、練りゴム3の表面温度を設定温度まで下降させる。
一方、練りゴム3の表面温度が設定温度よりも低温の場合には蒸気配管への蒸気の供給量を増やして熱入れロール1a、1bを加熱することにより熱入れロール1a、1bの表面温度を上昇させて、練りゴム3の表面温度を設定温度まで上昇させる。
このように、本実施の形態によれば、ロールの表面温度により練りゴムの表面温度を制御してゴムの配合に応じて適切に熱入れを行うことができる。
具体的には、ロールに巻きつきにくく熱入れロールから落下しやすい練りゴムの熱入れを行う場合には、設定温度を低くして、練りゴムの表面温度を低い温度に制御しながら熱入れすることにより、練りゴムの熱入れロールと接している部分を縮ませて(シュリンク)練りゴムを熱入れロールに巻きつきやすくすることができ、落下の発生を抑制して適切な熱入れを行うことができる。
例えば、粘着力が0.1〜3.0Nの練りゴムの熱入れを、ロールの表面温度を10〜40℃にして行うことにより、練りゴムの落下の発生を抑制して適切な熱入れを行うことができる。
一方、粘着性が強い練りゴムの熱入れを行う場合には、設定温度を高くして練りゴムの表面温度を高い温度に制御しながら熱入れすることにより、練りゴム表面の流動性を向上させて熱入れされた練りゴムを熱入れロール表面から剥がれやすくすることができる。
例えば、粘着力が7.0〜15.0Nの練りゴムの熱入れを、ロールの表面温度を40〜70℃にして行うことにより、練りゴム表面の流動性を向上させて熱入れされた練りゴムを熱入れロール表面から剥がれやすくすることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、熱入れロールではなく、熱入れ中の練りゴムの温度を監視し、練りゴムの表面温度がゴムの配合に応じた適切な温度になるように制御することにより、練りゴムの落下や密着などの不具合の発生を抑制することができ、その結果、これらの不具合に対応するための手作業の頻度を従来よりも低減させることができ、作業の安全性と作業効率を向上させることができる。
なお、上記した本実施の形態は、従来、熱入れロールとの密着が発生し易く熱入れロールによる熱入れが困難であったスタッドレスタイヤ用のゴム材料に適用した場合、顕著な効果を発揮して、スタッドレスタイヤの性能向上に大きく貢献することができる。
3.第2の実施の形態
上記した第1の実施の形態では、熱入れロールの表面温度により練りゴムの表面温度を制御していたが、本実施の形態では熱入れ中の練りゴムに温風または冷風を吹きつけけることにより練りゴムの表面温度を制御する。
具体的には、本実施の形態に係る熱入れ方法の場合、温風発生手段と冷風発生手段を備えた熱入れ装置を用いて熱入れを行う。
温風発生手段は、一般的なドライヤーと同様に電熱線とファンを備えており、熱入れロール間に投入された練りゴムに温風を吹きつけて加熱することができるように構成されている。
一方、冷風発生手段は、一般的な扇風機と同様にファンを備えており、熱入れロール間に投入された練りゴムに冷風を吹きつけて冷却することができるように構成されている。
そして、本実施の形態においても、上記した第1の実施の形態と同様に、熱入れロール間に投入された練りゴムの温度を測定する温度センサと、各種練りゴムの配合のそれぞれに対応する温度が設定された表面温度制御装置が設けられており、予め選択した設定温度と温度センサによる測定結果とを対比する。
そして、測定結果が設定温度よりも高温の場合には冷風発生手段を用いて練りゴムを冷却し、低温の場合には温風発生手段を用いて練りゴムを加熱する。
このように、本実施の形態においても、練りゴムの配合に応じて練りゴムの表面温度を制御しながら熱入れをするため、第1の実施の形態と同様に、練りゴムの落下や密着などの不具合の発生を抑制することができ、その結果、これらの不具合に対応するための手作業の頻度を従来よりも低減させることができ、作業の安全性と作業効率を向上させることができる。
なお、吹きつけに際しての風量としては、練りゴムの特性や量などを考慮して適宜設定すればよいが、通常は500m/min程度が好ましい。
次に、実施例により、本発明をより具体的に説明する。
1.実施例および比較例
(1)実施例
図1に示す熱入れロールの表面温度により練りゴムの表面温度を制御する熱入れ装置を用いて、ポリマー系低燃費配合や天然シリカ系配合などの配合の異なる3種類のトレッドゴム用練りゴムの熱入れを行った。
そして、それぞれの練りゴムの配合に対応した設定温度を実験により予め求め、3種類の練りゴムが、それぞれ熱入れ中に20℃、65℃、70℃の温度に維持されるように練りゴムの表面温度を制御した。
(2)比較例
比較例として、ゴムの加硫促進を防止するために練りゴムの温度上昇を防止する機構を備えた熱入れ装置を用い、熱入れロールの表面温度を48.5℃にして上記した3種類の練りゴムの熱入れを行った。なお、その他の条件は実施例と同じ条件に設定した。
2.評価
上記した条件で1ヶ月間練りゴムの熱入れを実施し、熱入れロールへの練りゴムの密着への対応に要した時間と、バギングの対応に要した時間を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2017109309
実施例では、熱入れロールへの密着の対応に要した時間が比較例よりも35時間短くなっていると共に、バギングの対応に要した時間が14時間短くなっており、これらの熱入れ工程におけるトラブル対応時間が合計で49時間短くなることが分かる。
このことから、実施例のように、練りゴムの表面温度をゴムの配合に応じて制御しながら練りゴムの熱入れを行うことにより、練りゴムの熱入れロールへの密着やバギングの発生を抑制して、作業効率の向上を図ることができることが確認できた。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1a、1b 熱入れロール
2 表面温度制御装置
3 練りゴム

Claims (7)

  1. 回転する一対のロール間に練りゴムを投入し、ロールの表面に練りゴムを巻きつけて、前記一対のロールの間を複数回通過させることにより前記練りゴムの熱入れを行うゴムの熱入れ方法であって、
    前記練りゴムの配合に応じて、前記一対のロール間に投入されて前記ロールの表面に巻きつく前記練りゴムの表面温度を設定し、前記練りゴムの表面温度が設定された表面温度に維持されるように制御しながら前記練りゴムの熱入れを行うことを特徴とするゴムの熱入れ方法。
  2. 前記練りゴムの表面温度の制御を、ロールの表面温度により行うことを特徴とする請求項1に記載のゴムの熱入れ方法。
  3. 粘着力が0.1〜3.0Nの練りゴムの熱入れを、表面温度が10〜40℃の前記ロールにより前記練りゴムの表面温度を制御して行うことを特徴とする請求項2に記載のゴムの熱入れ方法。
  4. 粘着力が7.0〜15.0Nの練りゴムの熱入れを、表面温度が40〜70℃の前記ロールにより前記練りゴムの表面温度を制御して行うことを特徴とする請求項2に記載のゴムの熱入れ方法。
  5. 前記一対のロールとして、冷水を通過させる冷水配管と、蒸気を通過させる蒸気配管とが内部に設けられたロールを用い、
    前記冷水と前記蒸気の供給量を調整することにより、前記練りゴムの表面温度の制御を行うことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のゴムの熱入れ方法。
  6. 前記練りゴムの表面温度の制御を、前記ロールに巻きつけられた前記練りゴムに温風または冷風を吹きつけることにより行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のゴムの熱入れ方法。
  7. 前記練りゴムが、スタッドレスタイヤのトレッド用練りゴムであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のゴムの熱入れ方法。
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