JP5378435B2 - タイヤ用ゴム組成物とその製造方法および前記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物とその製造方法および前記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、シリカとシランカップリング剤とが充分に反応すると共に、空気入りタイヤに使用した際の燃費性能を向上させることができるタイヤ用ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」ともいう)とその製造方法および前記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
近年、空気入りタイヤにおいては、低燃費化およびウェットグリップ性能向上の両立が強く求められており、この要求に応えるため、トレッドなどの押出成形物に用いられるゴム組成物に、補強剤としてシリカを配合することが行われている。
しかし、シリカだけでは充分な補強性が得られないため、従来より、混練工程において、アルコキシル基を含むシランカップリング剤を併せて配合し、シリカとシランカップリング剤との反応により、補強性を向上させることが図られている。しかし、従来の混練工程においては、シリカとシランカップリング剤との反応を充分に完了させることが難しかった。
その対策として、長時間、ゴムの混練を行うことにより、シリカとシランカップリング剤との反応に必要な熱量を充分に供給することが考えられたが、この混練方法を採用した場合には、長時間の混練のために、生産性が悪化したり、また、ゴムがゲル化して生産ができなくなる恐れがあった。
そこで、シリカによる充分な補強性を得る方法として、従来は、未反応のシランカップリング剤が残ることを前提にして、必要量を上回るシランカップリング剤を配合して混練を行うことが、一般的に行われていた。
しかし、この混練方法を採用した場合には、混練工程の後に設けられた押出工程において、混練されたゴム組成物が加熱されることにより、残っていた未反応のシランカップリング剤の反応が起こり、エタノールなどのアルコールを生成して、押出成形物内に気泡を発生させるという新たな問題が発生していた。
また、生産性の悪化や混練工程におけるゴムのゲル化を抑制し、シランカップリング剤を充分に反応させる混練方法として、オーブンのような加熱室を設置して、ゴム組成物を40〜100℃の範囲で加熱して、熱量を与える方法も提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、この方法の場合、新たな設備投資を必要とし、また、シランカップリング剤の未反応率を充分に低下させるだけの熱量を充分に供給できているとは言えなかった。また、得られたゴム組成物を用いて作製されたタイヤの燃費性能も充分向上できているとは言えなかった。
特開2007−246929号公報
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、新たな設備投資を必要とせず、生産性の悪化を招くことなく、シランカップリング剤の未反応率を充分に低下させると共に、空気入りタイヤに使用した際の燃費性能を向上させることができるタイヤ用ゴム組成物とその製造方法および前記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、
タイヤ用の原料ゴムにシリカ、シランカップリング剤を配合してタイヤ用ゴム組成物を製造するタイヤ用ゴム組成物の製造方法であって、
タイヤ用の原料ゴム100質量部と、前記タイヤ用の原料ゴム100質量部に対して5〜150質量部のシリカが配合されたゴム材料を、シランカップリング剤と共に、密閉混練機を用いて141.7〜165.0℃の高温雰囲気下で混練し、その後、混練により得られたゴム塊を前記密閉混練機の下方から排出する混練工程と、
前記混練工程に引き続き、混練により得られたゴム塊を、前記密閉混練機下方の前記141.7〜165.0℃の高温雰囲気下において0.5〜6.0分の時間滞留させることにより保持して、前記ゴム塊に、シリカとシランカップリング剤との反応により前記シランカップリング剤の未反応率が10%以下となるために必要な熱量を供給する保持工程と、
を有しており、
前記タイヤ用の原料ゴム100質量部中に、
分子量分布(Mw/Mn)が2.3以下である末端変性スチレンブタジエンゴムを5〜100質量%、
および/または、リチウム開始剤により重合され、スズ原子の含有率が50〜3000ppmであり、ビニル結合量が5〜50質量%および分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であるスズ変性ポリブタジエンゴムを10〜60質量部
含んでいる
ことを特徴とする。
また、前記のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、
前記末端変性スチレンブタジエンゴムが、末端にアミノ基が導入された末端変性スチレンブタジエンゴムであることを特徴とする。
また、前記のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、
前記混練工程において混練により発生する熱量Qと、前記保持工程において前記ゴム塊を保持することにより供給される熱量Qの総合計であるトータルミキシング熱量Qに基づいて、前記タイヤ用ゴム組成物の製造を制御することを特徴とする。
但し、Q=ΣQ+ΣQ
=EXP[(−20/(1.987/0.001)
×{1/(T+273.16)−1/414.86}]×t
=EXP[(−20/(1.987/0.001)
×{1/(T+273.16)−1/414.86}]×t
0.5≦t≦6.0
141.7≦T≦165.0
:混練時間(分)
:密閉混練機の下方における保持時間(分)
:練りゴム温度(℃)
:密閉混練機の下方における保持時のゴム温度(℃)
また、前記のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、
前記トータルミキシング熱量Qが、下式を満足することを特徴とする。
8≦Q≦30
また、前記のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、
前記トータルミキシング熱量Qが、下式を満足することを特徴とする。
18≦Q≦30
そして、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、
前記タイヤ用ゴム組成物の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る空気入りタイヤは、
前記のタイヤ用ゴム組成物を用いて作製されたトレッドを有していることを特徴とする。
本発明においては、シリカとシランカップリング剤を混合したゴム材料を混練後、直ちに押し出すのではなく、密閉混練機下方の高温雰囲気下において所定時間保持して、ゴム塊に、シリカとシランカップリング剤との反応に必要な熱量を供給する保持工程を設けている。このため、シランカップリング剤がシリカと充分に反応し、押し出し工程における未反応のシランカップリング剤によるアルコールの生成や、押出成形物内での気泡の発生という問題の発生を抑制することができる。
そして、保持工程においては、密閉混練機下方の高温雰囲気下において保持するだけであるため、新たな設備投資をする必要がない。また、長時間、ゴムの混練を行う必要がないため生産性の悪化やゴムのゲル化が生じることもない。さらに、保持時間中に、次のゴム材料の混練作業を行なうことができるため、この点からも生産性の悪化を招くことがない。
また、シランカップリング剤の未反応率を、混練条件(混練時間、練りゴム温度)および保持条件(保持時間、保持時のゴム温度)により規定されるトータルミキシング熱量に基づいて制御できるため、ゴム組成物の製造を容易に制御することができる。
本発明においては、さらに、タイヤ用ゴム原料が、特定の末端変性スチレンブタジエンゴムおよび/またはスズ変性ポリブタジエンゴムを含んでいるため、上記の製造方法と相俟って、耐摩耗性、グリップ性能、転がり抵抗が一層向上したゴム組成物を得ることができる。
そして、このようにして製造されたゴム組成物からなるトレッドを用いることにより、低燃費性に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
実施例のゴム組成物の未反応率および耐摩耗性能とトータルミキシング熱量の関係を示す図である。 実施例のゴム組成物の未反応率(y)とトータルミキシング熱量(x)の対数の関係を示す図である。
A.本発明における基本的な考え方
最初に、本発明における基本的な考え方について説明する。
従来の混練工程においては、混練後、直ちに、得られたゴム塊を密閉式混練機から排出して押出機の上にドロップして、シート状に成形していたが、前記の通り、従来の混練工程においては、シリカとシランカップリング剤との反応を充分に完了させることが難しかった。
一方、混練工程においてゴム組成物に与えられる熱量(ミキシング熱量Q)と、シランカップリング剤の未反応率(y%)との間には、以下の関係があることが知られていた。
y=−Aln(Q)+B (A、Bは定数)
上記式より、シランカップリング剤の未反応率を低下させるためには、ミキシング熱量Qを大きくすればよいことが分かる。
このため、ミキシング熱量Qを大きくする手段として、長時間、混練する方法が考えられたが、前記したように、生産性の悪化やゴムのゲル化などの問題が発生するため、適切な手段とは言えなかった。
そこで、本発明者は、長時間の混練ではなく、密閉式混練機から排出された混練後のゴム塊を密閉混練機下方の押し出し機あるいはロ−ル上の高温雰囲気下において適切な時間保持する(滞留させる)ことにより、さらに熱が供給されて、ミキシング熱量Qを大きくできることに思い至り、実験を行った結果、この方法を採用することにより、新たな設備投資の必要もなく、生産性の悪化やゴムのゲル化などの問題の発生を招くこともなく、シランカップリング剤の未反応率を充分に低下させることができることを見出した。
そして、上記式の定数A、Bは、いくつかの混練および保持(滞留)条件を変えて、その際のミキシング熱量QMとゴム組成物におけるシランカップリング剤の未反応率とを測定することにより求めることができる一方、この値は配合毎によって変化するが、通常トレッドにおいて配合されるシリカ量、即ち、原料ゴム100質量部に対してシリカが5〜150質量部の場合、前記したA、Bの変化幅が小さく、A、Bは一定として扱うことができ、シランカップリング剤の未反応率と、混練時および保持時に与えられる総ミキシング熱量(トータルミキシング熱量)との関係は、ほぼ一定として扱うことができることが分かった。
このため、シランカップリング剤の未反応率を、混練条件(混練時間、混練温度)および保持条件(保持時間、保持温度)に基づいて容易に、また正確に制御でき、シリカ配合の性能を充分に引き出すゴム材料の練り方を定量的に決定できることが分かった。
具体的には、実験の結果、前記式の定数A、Bは、それぞれ0.0696、0.2488となり、予め前記した値に基づいて、シランカップリング剤の未反応率と、ミキシング熱量との関係を示すグラフを作成することにより、所望するシランカップリング剤の未反応率に対応した必要な熱量が求められる。
そして、必要な熱量と、生産性を低下させない範囲の混練条件により与えられる熱量との差を求めることにより、保持工程において供給すべき熱量が決定され、押し出し機あるいはロ−ル上等において保持される保持温度から必要な保持時間を求めることができ、求められた保持時間、混練後のゴム塊を前記保持温度で保持する(滞留させる)ことにより、シランカップリング剤の未反応率が充分に低下されたゴム組成物を容易に得ることができる。
B.本発明におけるゴム組成物の製造
次に、本発明におけるゴム組成物の製造について説明する。
1.製造装置および製造方法
本発明に係るゴム組成物の製造における製造装置としては、従来と同様の密閉式混練機、例えばバンバリーミキサーやニーダーなどを使用することができ、新たな設備投資を必要としない。
また、製造方法としては、混練により得られたゴム塊を密閉混練機の下方に保持する保持工程を設けること以外は、基本的に従来の製造方法を採用することができる。そして、前記した方法により作成したシランカップリング剤の未反応率と、ミキシング熱量との関係を示すグラフに基づいて、生産性を低下させない範囲での混練温度および混練時間と、保持温度および保持時間を適切に設定すればよい。
なお、このときゴム組成物に与えられる熱量Qは、前記の通り、混練工程において混練により発生する熱量Qと、保持工程においてゴム塊を保持することにより供給される熱量Qの総合計(トータルミキシング熱量)となる。
そして、前記のトータルミキシング熱量を、密閉混練機の下方における保持時の適切なゴム温度と、適切な保持時間を加味して、式で示すと、下式のように示すことができる。
Q=ΣQ+ΣQ
但し、Q=EXP[(−20/(1.987/0.001)
×{1/(T+273.16)−1/414.86}]×t
=EXP[(−20/(1.987/0.001)
×{1/(T+273.16)−1/414.86}]×t
0.5≦t≦6.0
141.7≦T≦165.0
:混練時間(分)
:密閉混練機の下方における保持時間(分)
:練りゴム温度(℃)
:密閉混練機の下方における保持時のゴム温度(℃)
なお、上記式において、(−20/1.987/0.001)は、アレニウスの式
k=A・exp(−E/RT)
但し、A:温度に無関係な定数(頻度因子)
E:活性化エネルギー
R:気体定数
T:絶対温度(K)
における(−E/R)に相当し、414.86は、Tの下限温度141.7℃の絶対温度(K)に相当する。具体的には、1st練り工程(混練後の保持工程を含む)とその後に行われる2nd練り工程(混練後の保持工程を含む)とを有する場合には、まず、1st練り工程について、混練中の温度T 、混練中の時間t 、混練後の保持工程における温度T 、混練後の保持工程における保持時間t として、1st練り工程のQ およびQ を求め、1st練り工程全体におけるトータルミキシング熱量を求める。次いで、2nd練り工程について、混練中の温度T 、混練中の時間t 、混練後の保持工程における温度T 、混練後の保持工程における保持時間t として、2nd練り工程のQ およびQ を求め、2nd練り工程全体におけるトータルミキシング熱量を求める。その後、1st練り工程全体におけるトータルミキシング熱量と2nd練り工程全体におけるトータルミキシング熱量とを加算してトータルミキシング熱量Qを求める。
保持温度Tを141.7℃以上としているのは、141.7℃未満では、シリカとシランカップリング剤とが充分に反応せず、シリカ配合の特性が充分に発揮できないことによる。また、165.0℃以下としているのは、165.0℃を超えると、シランカップリング剤に含まれる硫黄原子により、架橋反応が進行してゲル化することによる。
また、保持時間tを、0.5〜6.0分としているのは、反応と加工性という観点を考慮したことによる。
そして、上記式に基づき、適切な混練温度および混練時間と、保持温度および保持時間を設定することにより、シランカップリング剤の未反応率を低く制御しながら、ゴム組成物を製造することができる。
また、シランカップリング剤の未反応率は、10%を超えると押し出し工程でアルコ−ルが気泡状に発生してタイヤでポロシティ−(ポ−ラス)が発生するなど、工程および品質での重大な問題が発生することが分かっている。このため、シランカップリング剤の未反応率が10%以下になるように、トータルミキシング熱量を設定することが望ましい。
そして、実験の結果、シランカップリング剤の未反応率10%以下に相当するトータルミキシング熱量Qは8となり、トータルミキシング熱量Qが8以上となるように混練条件および保持条件を設定することが好ましい。
また、シランカップリング剤の未反応率が5%以下であると、タイヤの耐摩耗性の向上を図ることができる。そして、同じく実験の結果から、シランカップリング剤の未反応率5%以下に相当するトータルミキシング熱量Qは18となり、トータルミキシング熱量Qが18以上となるように混練条件および保持条件を設定することにより、より好ましいゴム組成物を製造することができる。
なお、シランカップリング剤の未反応率は、トータルミキシング熱量Qが30の場合、1%未満となり、それ以上の熱量を与えても、これ以上の低下は望めず、生産性を却って低下させてしまう。このため、トータルミキシング熱量Qが30を超えないように、混練条件および保持条件を設定することが好ましい。
なお、保持工程後のゴム組成物は、未加硫の段階でトレッドの形状に合わせて押出し加工され、他のタイヤ部材と共に、タイヤ成型機上にて通常の方法で成型することにより、未加硫タイヤに成型される。その後、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、燃費およびウェットグリップ性能が優れた空気入りタイヤを製造することができる。
2.ゴム材料
本発明に係るゴム組成物に用いられるゴム材料について、原料ゴム、シリカ、シランカップリング剤の順に説明し、さらに、補強性充填剤であるカーボンブラックについて説明する。
(1)原料ゴム
原料ゴムは、従来の原料ゴムに、以下に示す2種類の変性ゴムを適宜加えて使用される。即ち、分子量分布(Mw/Mn)(重量平均分子量/数平均分子量)が2.3以下である末端変性スチレンブタジエンゴム(末端変性SBR)、およびリチウム開始剤により重合され、スズ原子の含有率が50〜3000ppmであり、ビニル結合量が5〜50質量%および分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であるスズ変性ポリブタジエンゴム(変性BR)である。
末端変性SBRとしては、シリカと化学結合する官能基がポリマー末端に導入されたSBRが好ましい。これにより、シリカとの接着性が向上する。
導入される官能基としては、アミノ基、水酸基、エポキシ基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、ラクタム基などを挙げることができる。これらの内、アミノ基、エポキシ基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基は、シリカとの接着性が特に優れており、低燃費性を充分に向上させることができるため好ましく、アミノ基が特に好ましい。
末端変性SBRの作製方法としては、分子量分布のコントロールが容易であり、低燃費性を悪化させる要因の低分子量成分を除去することができ、さらにリビング重合であるため末端に官能基を導入しやすいという理由から、溶液重合で得られたSBRの末端に官能基を導入することが好ましい。
末端変性SBRの官能基による変性率としては、30〜80質量%が好ましく、50〜70質量%であるとより好ましい。30質量%未満では、シリカとの結合量が少ないため、低燃費性が充分に向上しないおそれがある。一方、80質量%を超えると、シリカとの相互作用が強くなりすぎて、ゴム混練り時の加工性を低下させる傾向がある。
末端変性SBRにおけるスチレン含有量としては、10〜45質量%が好ましく、15〜40質量%であるとより好ましい。10質量%未満では、ドライ条件下でのグリップ性能が低下して、耐摩耗性が低下する傾向がある。一方、45質量%を超えると、低燃費性(転がり抵抗特性)が悪化する傾向がある。
末端変性SBRにおけるビニル結合量としては、25〜70質量%が好ましく、30〜60質量%であるとより好ましい。30〜50質量%であるとさらに好ましい。25質量%未満では、グリップ性能及び低燃費性のバランスが悪化する傾向がある。一方、70質量%を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向があり、さらに、加硫時間が増大する傾向もある。なお、このビニル結合量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外スペクトル分析法により測定することができる。
末端変性SBRの分子量分布(Mw/Mn)としては、2.3以下であることが好ましく、1〜2.2であるとより好ましい。2.3を超えると分子量分布が広くなり、低分子量成分が増えてくるため、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、上記の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー社製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー社製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた値である。
原料ゴム100質量%中に含有される末端変性SBRとしては、5〜100質量%が好ましく、10〜90質量%、20〜80質量%、30〜70質量%の順に、より好ましい。5質量%未満では、配合した効果が充分に得られない傾向がある。一方、90質量%を超えると、タイヤにおける特性(摩耗性能)が悪化する傾向がある。
しかし、上記において、末端変性SBRのみでは、シリカあるいはカーボンに反応できていない末端変性基が存在するため、末端変性SBRの効果を最大限に生かすことができ難い。
一方、末端変性SBRを配合せずに、例えば、後記する未変性SBRのみでは、前記した手法を用いても、さらなる燃費の改善にはつながらないという問題がある。本発明においては、原料ゴムとして、特定の(Mw/Mn)を有する末端変性SBRを使用することにより、シリカの分散性が向上し、前記した製造方法と相俟って、さらなる燃費性能を向上させることができ、転がり抵抗とグリップ性能のバランスも改善できるため、これらの性能の両立が可能となる。
また、原料ゴム100質量%中に含有される変性BRとしては、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%、20〜45質量%、25〜40質量%の順に、より好ましい。10質量%未満では、配合した効果が充分に得られない。一方、60質量%を超えると、タイヤにおける特性(破壊特性)が悪化する傾向がある。
本発明においては、前記した末端変性SBRや変性BR以外の原料ゴムとして、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、未変性のスチレンブタジエンゴム(未変性SBR)などのジエン系ゴムを用いることができる。なかでも、相溶性が高く、安価であることから、未変性SBRを用いることが好ましい。
未変性SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。
未変性SBRにおけるスチレン含有量としては、10〜50質量%が好ましく、15〜45質量%であるとより好ましい。10質量%未満の場合、グリップ性能が悪化する傾向がある。一方、50質量%を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。なお、末端変性SBR、未変性SBRのスチレン含有量は、HI−NMR測定によって算出される。
ゴム成分100質量%中の未変性SBRの含有量としては、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%であるとより好ましく、50〜70質量%であるとさらに好ましい。30質量%未満であると、加工性が悪化する傾向がある。一方、90質量%を超えると、シリカが分散しにくくなり、グリップ性能と耐磨耗性のバランスが悪くなる傾向がある。
ゴム成分100質量%中における末端変性SBRおよび未変性SBRの合計含有量としては、75質量%以上が好ましく、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましいのは100質量%である。75質量%未満であると、耐磨耗性が悪化する傾向がある。
(2)シリカ
シリカは、ゴム組成物の補強性を高めると共に、転がり抵抗特性をより改善するために配合される。シリカとしては、湿式法を用いて製造されたシリカ、乾式法を用いて製造されたシリカなどを挙げることができるが、特に制限はされず、また、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)が小さすぎる場合には、充分な補強性を得ることができない。一方、大きすぎる場合には、シリカの分散性が低下して、ヒステリシスロスを増大させ、転がり抵抗特性が悪化する。好ましい範囲は、170〜250m/gであり、200〜230m/gであるとより好ましい。なお、前記したシリカのNSA値は、ASTM D3037−81に準じたBET法による測定値である。
シリカの配合量については、少なすぎる場合には充分な補強性を得ることができず、一方、多すぎる場合には分散性が低下してヒステリシスロスを増大させ、転がり抵抗特性が悪化する。好ましい範囲は、原料ゴム100質量部に対して、10〜100質量部であり、20〜80質量部であるとより好ましく、30〜60質量部であるとさらに好ましい。
(3)シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドなどを挙げることができる。これらの内でも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドは、補強性改善効果が大きいと言う点から好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量については、少なすぎる場合には未加硫ゴム組成物の粘度が高くなり、加工性が悪くなる。一方、多すぎる場合にはコストの増加に見合った効果が得られなくなる。好ましい範囲は、シリカ100質量部に対して、1〜20質量部であり、2〜15質量部であるとより好ましい。
(4)カーボンブラック
本発明のゴム組成物には、充填剤として、カーボンブラックを配合することが好ましい。これにより、補強性を高め、耐摩耗性をより改善することができる。カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどを挙げることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックのNSAが小さすぎる場合には、充分な補強性を得ることができない。一方、大きすぎる場合には、分散性が低下して、転がり抵抗特性が悪化する。好ましい範囲は、50〜200m/gであり、100〜150m/gであるとより好ましい。なお、前記したカーボンブラックのNSA値は、JIS K6217のA法による測定値である。
カーボンブラックの配合量については、少なすぎる場合には充分な補強性を得ることができず、一方、多すぎる場合には分散性が低下して、転がり抵抗特性が悪化する。好ましい範囲は、原料ゴム100質量部に対して、10〜100質量部であり、20〜80質量部であるとより好ましく、30〜60質量部であるとさらに好ましい。
(5)その他の配合剤
本発明のゴム組成物においては、上記した各ゴム材料に加え、オイル、粘着付与剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤などの添加剤を、必要に応じて、適宜配合することができる。
以上の各ゴム材料から得られたゴム組成物は、乗用車、商用車、二輪車用タイヤに好適に使用することができる。
次に、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。
1.ゴム材料
以下の実施例においては、表1に示す各ゴム材料を用いた。以下に、表1に示された各ゴム材料について説明する。
なお、表1において、実施例1〜3は、末端変性SBRの使用と混練条件を組み合わせた例である。そして、実施例4〜6は、変性BRの使用と混練条件を組み合わせた例である。また、実施例7〜9は、末端変性SBRおよび変性BRの使用と混練条件を組み合わせた例である。
(1)原料ゴム
SBR :JSR社製のSBR1502(未変性、スチレン含有量:23
.5質量%)
末端変性SBR(1):旭化成社製 E10(溶液重合、末端基:アミノ基、変性率:
51質量%、スチレン含有量:39質量%、ビニル結合量:3
1質量%、Mw/Mn:2.1)
末端変性SBR(2):末端変性SBR(1)のMw/Mnを3に変更したもの
変性BR(1) :日本ゼオン社製 BR1250(スズ変性ポリブタジエンゴム
(変性BR)、開始剤としてリチウムを用いて重合、ビニル結
合量:10〜13質量%、Mw/Mn:1.5、スズ原子の含
有率:250ppm)
変性BR(2) :変性BR(1)のMw/Mnを2.5に変更したもの
(2)配合薬品
シリカ :デグッサ社製、ウルトラジルVN3
(NSA:175m/g)
カーボンブラック :キャボットジャパン社製、ショウブラックN220
(NSA:111m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製、Si69{ビス(3−トリエトキシシリル
プロピル)テトラスルフィド}
オイル :ジャパンナジー社製、JOMOプロセスX140
ワックス :大内新興化学工業社製、サンノックN
老化防止剤 :大内新興化学工業社製、ノクラック6C{N−(1,3−ジメチ
ルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン}
ステアリン酸 :日油社製、椿
酸化亜鉛 :三井金属鉱業社製、亜鉛華1号
硫黄 :鶴見化学工業社製、粉末硫黄
加硫促進剤 :大内新興化学工業社製、ノクセラーNS(N−tert−ブチル
−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
2.ゴム配合物の製造
(1)1st練り工程(混練後の保持工程を含む)
(a)混練工程
表1の「配合内容」の内、1st練りに示す各原料ゴム、薬品を、バンバリーミキサーに投入し、3分で140℃に到達するように混練した後、表1の「混練温度&時間」の内、1st練りに示す混練中の温度、時間で混練した。
(b)保持工程
混練後、得られたゴム塊を、バンバリーミキサー下部に排出し、その後、表1の「混練温度&時間」の内、1st練りに示す混練後の温度、時間で保持した。
(2)2nd練り工程(混練後の保持工程を含む)
(a)混練工程
次に、表1の「配合内容」の内、2nd練りに示す各薬品を、ゴム塊と共に、バンバリーミキサーに投入し、3分で140℃に到達するように混練した後、表1の「混練温度&時間」の内、2nd練りに示す混練中の温度、時間で混練した。
(b)保持工程
混練後、得られたゴム塊を、バンバリーミキサー下部に排出し、その後、表1の「混練温度&時間」の内、2nd練りに示す混練後の温度、時間で保持した。
(3)ファイナル練り工程
次に、表1の「配合内容」の内、ファイナル練りに示す各薬品を、ゴム塊と共に、バンバリーミキサーに投入し、90℃の条件下で3分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
比較例
表1に示す各ゴム材料を用い、表1に示す「混練温度&時間」で混練した。
3.ミキシング熱量、未反応率および生産性の算出
(1)ミキシング熱量の算出
各混練工程において混練により発生した熱量Qおよび各保持工程においてゴム塊を保持することにより供給された熱量Qを、下式により計算した。
=EXP[(−20/(1.987/0.001)
×{1/(T+273.16)−1/414.86}]×t
但し、t:混練時間(分)
:混練温度(℃)
=EXP[(−20/(1.987/0.001)
×{1/(T+273.16)−1/414.86}]×t
但し、t:保持時間(分)
:保持温度(℃)
上記で得られたQとQを合計して、1st練り工程、2nd練り工程の各々についてのミキシング熱量を求め、それらを合計して、トータルミキシング熱量Qとした。結果を、表1に示す。
(2)シランカップリング剤の未反応率の算出
各実施例および比較例で得られた未加硫ゴム組成物について、液相クロマトグラフィーを用いて抽出した未反応のSi69のピーク面積の比から未反応率を求めた。具体的には、各未加硫ゴム組成物から、未反応のSi69をアセトン抽出して、液相クロマトグラフィー法によりそのピーク面積を測定し、配合前のSi69について同様に測定したピーク面積との比を求めた。結果を、表1に示す。
(3)生産性の算出
比較例1における混練時間(1st練りと2nd練りの140℃に達するまでの3分間を含む)の生産性を100として、下式により生産性を求めた。数値が大きい程、生産性が高い(混練量が多くなる)ことを示す。結果を表1に示す。
生産性=(比較例1の混練時間/各実施例または比較例の混練時間)×100
4.加硫ゴムおよび試験タイヤの製造と性能評価
(1)加硫ゴムおよび試験タイヤの製造
(a)加硫ゴムの作製
各実施例および比較例で得られた未加硫ゴム組成物を、170℃で15分間プレス加硫することにより加硫ゴムを得た。
(b)試験用タイヤの作製
各実施例および比較例で得られた未加硫ゴム組成物を、トレッド形状に加工し、他のタイヤ部材と貼り合わせた後、170℃で15分間加硫を行い、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を作製した。
(2)性能評価
(a)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で、各加硫ゴム組成物のランボーン摩耗量を測定し、得られたランボーン摩耗量から容積損失量を求めた。そして、比較例1の容積損失量を100として、下式により摩耗指数を求めた。数値が大きい程、耐摩耗性が高い(容積損失が少ない)ことを示す。結果を表1に示す。
摩耗指数=(比較例1の容積損失量/各実施例または比較例の容積損失量)×100
(b)グリップ指数
各試験用タイヤを用いて、ドライアスファルト路面のテストコースにて実車走行を行った。その際における操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示した。数値が大きい程、ドライ路面におけるグリップ性能(操縦安定性)が高いことを示す。結果を表1に示す。
(c)転がり抵抗指数
粘弾性スペクトロメーターVES(岩本製作所社製)を用いて、70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で、各加硫ゴム組成物のtanδを測定した。そして、比較例1のtanδを100として、下式により転がり抵抗指数を求めた。数値が大きい程、転がり抵抗特性に優れる(転がり抵抗が低い)ことを示す。結果を表1に示す。
転がり抵抗指数=(比較例1のtanδ/各実施例または比較例のtanδ)
×100
Figure 0005378435
(考察)
表1より、特定の(Mw/Mn)を有する末端変性SBRや変性BRを用い、練りを行う各実施例では、摩耗性能、グリップ性能、耐転がり抵抗指数が大幅に向上しており、相乗効果により、これらの性能がバランスよく改善されたことが分かる。これに対して、各比較例では、後記するように、これらの性能をバランスよく得ることができなかったことが分かる。
表1に示すように、実施例1〜9においては、トータルミキシング熱量の増加に伴って、シランカップリング剤の未反応率が低下している。これは、別途、実施例1から保持工程を除いて作製したゴム組成物において測定されたシランカップリング剤の未反応率(20%)に比べ、明らかに低下している。
また、表1より、シランカップリング剤の未反応率が低下した場合、耐摩耗性能、グリップ性能、転がり抵抗指数が向上していることが分かる。
次に、各比較例における性能評価を示す。比較例2では、末端変性SBRを使用したものの、比較例1から十分な性能向上は認められない。
比較例3、4では、末端変性SBR(Mw/Mn=3)を使用したが、分子量がブロードであり、低分子成分が増えてくるため、低燃費性のバランスが悪化し、十分な性能向上は認められない。
比較例5では、変性BRを使用したものの、比較例1から十分な性能向上は認められない。
比較例6、7では、変性BR(Mw/Mn=2.5)を使用したが、分子量がブロードであり、低分子成分が増えてくるため、低燃費性のバランスが悪化し、十分な性能向上は認められない。
比較例8では、比較例1から温度を上げる工程変更を行ったものの、十分な効果が得られていない。
比較例9、10では、練り時間を長くして、カップリング剤の反応を高めているが、生産性の悪化代が大きい。
次に、表1に示したゴム組成物の未反応率および耐摩耗性能とトータルミキシング熱量の関係を図1に示す。図1において、横軸はトータルミキシング熱量、左側縦軸はシランカップリング剤の未反応率(%)、右側縦軸は耐摩耗性能である。
また、表1において、生産性とシランカップリング剤の未反応率の双方に優れた結果を示した実施例1〜9に基づき、図2に、ゴム組成物の未反応率(y)とトータルミキシング熱量(x)の対数の関係を示す。図2において、横軸はトータルミキシング熱量の対数、縦軸はシランカップリング剤の未反応率である。
図1より、8以上のトータルミキシング熱量であれば、シランカップリング剤の未反応率を10%以下に制御できることが分かる。シランカップリング剤の未反応率が10%以下の場合、前記したように、押し出し工程でアルコ−ルが気泡状に発生してタイヤでポロシティ−(ポ−ラス)が発生するなど、工程および品質での重大な問題の発生を抑制することができる。
また、18以上のトータルミキシング熱量であれば、シランカップリング剤の未反応率を5%以下に制御できることが分かる。シランカップリング剤の未反応率が5%以下の場合、前記したように、タイヤの耐摩耗性の向上を図ることができるが、このことは表1からも分かる。
また、図1より、トータルミキシング熱量Qが30になると、シランカップリング剤の未反応率は1%未満となり、それ以上は、熱量を大きくしても、未反応率の低下が見込めないことが分かる。
また、図1には、トータルミキシング熱量と耐摩耗性能との関係について、配合と保持練りの組み合わせで4本の線に分けて表示している。即ち、aは保持練りのみの事例(比較例1、3、4、6〜10)に基づく線、bは変性BRと保持練りとを組み合わせた事例(実施例4〜6、および比較例5)に基づく線、cは変性SBRと保持練りとを組み合わせた事例(実施例1〜3、および比較例2)に基づく線、dは変性SBR、変性BRおよび保持練りとを組み合わせた事例(実施例7〜9)に基づく線である。図1より、各技術を組み合わせることにより、同じトータルミキシング熱量であっても、耐摩耗性能を向上させることができることが分かる。
そして、図2より、前記した定数A、Bを求められることが分かる。なお、本発明者は、上記実施例の他に、シランカップリング剤の配合量を好ましい範囲で適宜変更しても、A、Bはほとんど変わらないことが確認している。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以上の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。

Claims (7)

  1. タイヤ用の原料ゴムにシリカ、シランカップリング剤を配合してタイヤ用ゴム組成物を製造するタイヤ用ゴム組成物の製造方法であって、
    タイヤ用の原料ゴム100質量部と、前記タイヤ用の原料ゴム100質量部に対して5〜150質量部のシリカが配合されたゴム材料を、シランカップリング剤と共に、密閉混練機を用いて141.7〜165.0℃の高温雰囲気下で混練し、その後、混練により得られたゴム塊を前記密閉混練機の下方から排出する混練工程と、
    前記混練工程に引き続き、混練により得られたゴム塊を、前記密閉混練機下方の前記141.7〜165.0℃の高温雰囲気下において0.5〜6.0分の時間滞留させることにより保持して、前記ゴム塊に、シリカとシランカップリング剤との反応により前記シランカップリング剤の未反応率が10%以下となるために必要な熱量を供給する保持工程と、
    を有しており、
    前記タイヤ用の原料ゴム100質量部中に、
    分子量分布(Mw/Mn)が2.3以下である末端変性スチレンブタジエンゴムを5〜100質量%、
    および/または、リチウム開始剤により重合され、スズ原子の含有率が50〜3000ppmであり、ビニル結合量が5〜50質量%および分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であるスズ変性ポリブタジエンゴムを10〜60質量部
    含んでいる
    ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  2. 前記末端変性スチレンブタジエンゴムが、末端にアミノ基が導入された末端変性スチレンブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  3. 前記混練工程において混練により発生する熱量Qと、前記保持工程において前記ゴム塊を保持することにより供給される熱量Qの総合計であるトータルミキシング熱量Qに基づいて、前記タイヤ用ゴム組成物の製造を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
    但し、Q=ΣQ+ΣQ
    =EXP[(−20/(1.987/0.001)
    ×{1/(T+273.16)−1/414.86}]×t
    =EXP[(−20/(1.987/0.001)
    ×{1/(T+273.16)−1/414.86}]×t
    0.5≦t≦6.0
    141.7≦T≦165.0
    :混練時間(分)
    :密閉混練機の下方における保持時間(分)
    :練りゴム温度(℃)
    :密閉混練機の下方における保持時のゴム温度(℃)
  4. 前記トータルミキシング熱量Qが、下式を満足することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
    8≦Q≦30
  5. 前記トータルミキシング熱量Qが、下式を満足することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
    18≦Q≦30
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法を用いて製造されていることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  7. 請求項6に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて作製されたトレッドを有していることを特徴とする空気入りタイヤ。
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