JP5443542B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、自動車用の空気入りタイヤに要求される特性は、低燃費性(転がり抵抗特性)のほか、グリップ性能(操縦安定性)、耐摩耗性など多岐にわたり、これらの性能を向上するために種々の工夫がなされている。
耐摩耗性を向上させる方法として、例えば、ゴム成分として天然ゴムやブタジエンゴムを使用する方法が知られているが、この方法を用いるとグリップ性能が悪化する傾向がある。また、耐摩耗性及びグリップ性能を両立する方法として、例えば、カーボンブラックやシリカなどの補強剤を増量する方法が挙げられるが、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
更に耐摩耗性及びグリップ性能を改善する他の方法として、芳香族ビニルモノマーのみを重合して得られた重合体を配合する方法、水添低分子量芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を配合する方法が開示されている(特許文献1〜2)。しかし、グリップ性能や耐摩耗性のほか、転がり抵抗特性もバランス良く改善することは、通常これらの性能が背反性能で困難が伴うため、改善が望まれている。
特開2007−112994号公報 特開2005−225946号公報
本発明は、前記課題を解決し、グリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(I)で表されるアクリルアミド化合物で変性された変性ジエン系ゴムAと、
Figure 0005443542
(式中、Rは水素又はメチル基を表す。R及びRはアルキル基を表す。nは整数を表す。)
下記式(II)で表されるケイ素若しくはスズ化合物及び下記式(III)で表される変性化合物、又は下記式(III)で表される変性化合物で変性された変性ジエン系ゴムB
とを含み、該変性ジエン系ゴムA及びB全体の重量平均分子量が30万〜140万であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 0005443542
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又は芳香族炭化水素基を表す。Mはケイ素又はスズを表す。Xはハロゲンを表す。aは0〜2の整数を表す。bは2〜4の整数を表す。)
Figure 0005443542
(式中、R〜Rは同一若しくは異なって炭素数が1〜8のアルキル基を表す。R〜R12は同一若しくは異なって炭素数が1〜8のアルコキシ基又はアルキル基を表す。p〜rは同一若しくは異なって1〜8の整数を表す。)
上記変性ジエン系ゴムA及びBは、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、上記アクリルアミド化合物と、上記ケイ素若しくはスズ化合物及び上記変性化合物、又は上記変性化合物とを反応させることにより得られる混合物であることが好ましい。
上記式(III)で表される変性化合物において、R〜Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基、R〜R12はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基、p〜rは2〜5の整数であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、更にα−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる芳香族ビニル重合体を含むことが好ましい。
本発明は、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、2種以上の変性剤を反応させることにより得られる混合物を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定のアクリルアミド化合物で末端が変性された変性ジエン系ゴムAと、ケイ素若しくはスズ化合物及び特定の変性化合物、又は該変性化合物で変性された変性ジエン系ゴムBとを含み、かつ該ゴムAとB全体の重量平均分子量が特定範囲であるタイヤ用ゴム組成物であるので、グリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性の性能バランスを相乗的に改善できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、変性ジエン系ゴムA及びBを含み、かつ該ゴムA及びB全体の重量平均分子量が特定範囲である。
上記変性ジエン系ゴムAは、下記式(I)で表されるアクリルアミド化合物で変性されたジエン系ゴムである。これは、ポリマーの末端がアクリルアミド化合物で変性されたジエン系ゴムである。
Figure 0005443542
(式中、Rは水素又はメチル基を表す。R及びRはアルキル基を表す。nは整数を表す。)
式(I)において、R及びRは、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。nは、好ましくは2〜5の整数である。
上記アクリルアミド化合物の具体例としては、N,N−ジメチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−エチルメチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−エチルプロピルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ブチルプロピルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−エチルメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−エチルプロピルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ブチルプロピルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−エチルメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−エチルプロピルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ブチルプロピルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチルアクリルアミド、N,N−エチルメチルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチルアクリルアミド、N,N−エチルプロピルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ブチルプロピルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチルアクリルアミド;これらのメタクリルアミドなどが挙げられる。なかでも、グリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる点から、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが好ましい。
上記変性ジエン系ゴムBは、下記式(II)で表されるケイ素若しくはスズ化合物及び下記式(III)で表される変性化合物で変性されたジエン系ゴム、又は下記式(III)で表される変性化合物で変性されたジエン系ゴムである。前者はケイ素若しくはスズ化合物でカップリングされたポリマーの末端が変性化合物で変性されたジエン系ゴムであり、後者はポリマーの末端が変性化合物で変性されたジエン系ゴムである。
Figure 0005443542
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又は芳香族炭化水素基を表す。Mはケイ素又はスズを表す。Xはハロゲンを表す。aは0〜2の整数を表す。bは2〜4の整数を表す。)
Figure 0005443542
(式中、R〜Rは同一若しくは異なって炭素数が1〜8のアルキル基を表す。R〜R12は同一若しくは異なって炭素数が1〜8のアルコキシ基又はアルキル基を表す。p〜rは同一若しくは異なって1〜8の整数を表す。)
式(II)で表されるケイ素化合物及びスズ化合物は、ジエン系ゴムのカップリング剤として機能する。ケイ素化合物としては、テトラクロロケイ素、テトラブロモケイ素、メチルトリクロロケイ素、ブチルトリクロロケイ素、ジクロロケイ素、ビストリクロロシリルケイ素などが挙げられる。スズ化合物としては、テトラクロロスズ、テトラブロモスズ、メチルトリクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ジクロロスズ、ビストリクロロシリルスズなどが挙げられる。
式(III)において、R〜Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましく、R〜R12はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましく、p〜rは2〜5の整数が好ましい。これにより、グリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる
式(III)で表される変性化合物の具体例としては、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリプロポキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリブトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。なかでも、グリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる点から、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが好ましい。
上記変性ジエン系ゴムA及びBとしては、例えば、該ゴムA及びBを別途それぞれ調製した後に混合することにより得られる。この場合、変性ジエン系ゴムA、Bはそれぞれ以下の製法などにより調製できる。
変性ジエン系ゴムAは、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、上記式(I)で表されるアクリルアミド化合物を反応させることにより調製できる。
共役ジエンモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。なかでも、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどが挙げられる。なかでも、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、スチレンが好ましい。
炭化水素溶媒としては、アルカリ金属系触媒を失活させないものであれば特に限定されず、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素が挙げられる。具体的には、炭素数3〜12個を有するプロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
アルカリ金属系触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの金属、これらの金属を含有する炭化水素化合物などが挙げられる。好ましいアルカリ金属触媒としては、2〜20個の炭素原子を有するリチウム又はナトリウム化合物が挙げられ、具体的には、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−フロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウムなどが挙げられる。
重合用モノマーとしては、共役ジエンモノマーのみを用いてもよく、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーを併用してもよい。共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーを併用する場合の両者の比率は、共役ジエンモノマー/芳香族ビニルモノマーの質量比で50/50〜90/10が好ましく、更に好ましくは55/45〜85/15である。
重合に際しては、アルカリ金属系触媒、炭化水素溶媒、ランダマイザー、共役ジエン単位のビニル結合含有量調節剤など通常使用されているものを用いることが可能であり、重合体の製造方法は特に限定されない。
共役ジエン部のビニル結合含有量を調節するためには、ルイス塩基性化合物として、各種の化合物を使用できるが、エーテル化合物又は第三級アミンが、工業的実施上の入手容易性の点で好ましい。エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテルなどの脂肪族ジエーテルが挙げられる。また、第三級アミン化合物としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどが挙げられる。
アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、上記アクリルアミド化合物を添加して変性ジエン系ゴムAを製造する際に使用する量は、アルカリ金属を付加する際に使用するアルカリ金属系触媒1モル当たり、通常0.05〜10モル、好ましくは0.2〜2モルである。
上記アクリルアミド化合物とアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体との反応は、迅速に起きるので、反応温度及び反応時間は広範囲に選択できるが、一般的には、室温〜100℃、数秒〜数時間である。反応は、上記活性共役ジエン系重合体とアクリルアミド化合物とを接触させればよく、例えば、アルカリ金属系触媒を用いて、ジエン系重合体を調製し、該重合体溶液中に該アクリルアミド化合物を所定量添加する方法などが挙げられる。
反応終了後、反応溶媒中から凝固剤の添加又はスチーム凝固など通常の溶液重合によるゴムの製造において使用される凝固方法がそのまま用いられ、凝固温度も何ら制限されない。得られた変性ジエン系ゴムAは、分子末端にアクリルアミド化合物が導入されている。
一方、変性ジエン系ゴムBは、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、(a)上記式(II)で表されるケイ素若しくはスズ化合物(カップリング剤)、次いで、上記式(III)で表される変性化合物を反応させること、又は、(b)上記式(III)で表される変性化合物を反応させることにより調製できる。
アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体は、変性ジエン系ゴムAの調製と同様に得られる。また、上記(a)において、ケイ素若しくはスズ化合物は、通常、活性共役ジエン系重合体の末端アルカリ金属原子1当量に対してハロゲン原子0.01〜0.4当量の範囲で用いられる。カップリング反応は通常20℃〜100℃の範囲で行われる。更に、上記(a)(b)における変性化合物の反応は、前述のアクリルアミド化合物の反応と同様の方法で実施できる。得られた変性ジエン系ゴムBは、分子末端に変性化合物が導入されている。
また、上記変性ジエン系ゴムA及びBとしては、該ゴムA及びBを1バッチで調製して得られる混合物が好ましい。この場合、例えば、上記アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、上記アクリルアミド化合物と、上記ケイ素若しくはスズ化合物及び上記変性化合物、又は上記変性化合物とを反応させることにより該混合物を調製できる。
具体的には、前述と同様の方法によりアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体を調製し、(c)該重合体溶液中にアクリルアミド化合物を添加した後、必要に応じてケイ素若しくはスズ化合物(カップリング剤)を添加し、次いで変性化合物を添加すること、又は(d)該重合体溶液中に、アクリルアミド化合物、変性化合物、必要に応じてケイ素若しくはスズ化合物を同時に添加すること、などにより上記混合物が得られる。
この場合、アクリルアミド化合物、変性化合物との反応、カップリング反応は前述と同様の方法で実施できる。得られた混合物は、分子末端にアクリルアミド化合物が導入された変性ジエン系ゴムA、分子末端に変性化合物が導入された変性ジエン系ゴムBを含む。
本発明のゴム組成物で使用される変性ジエン系ゴムA及びBは、両ゴム全体の重量平均分子量(該変性ジエン系ゴムA及びBからなる組成物全体で測定した重量平均分子量)が30万以上、好ましくは50万以上、より好ましくは60万以上である。該(Mw)は140万以下、好ましくは120万以下、より好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、グリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる。
変性ジエン系ゴムA及びBの全体の分子量分布(Mw/Mn)は、4以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。4を超えると、フィラーの分散性が悪化し、tanδが増大(転がり抵抗特性が悪化)する傾向がある。
なお、本明細書において、上記両ゴム、後述の芳香族ビニル重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値をもとに標準ポリスチレン換算により求めたものである。
変性ジエン系ゴムA及びBとしては、グリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる点から、変性ブタジエンゴム(変性BR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)が好ましく、変性SBRがより好ましい。
変性ジエン系ゴムA及びBが変性SBRの場合、該ゴムA及びBの全体のブタジエン部におけるビニル結合量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。20質量%未満の変性ジエン系ゴムは、重合(製造)が困難になる傾向がある。また、該ビニル結合量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。60質量%を超えると、フィラーの分散性が悪化する傾向がある。なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
変性ジエン系ゴムA及びBが変性SBRの場合、該ゴムA及びBの全体のスチレン含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。15質量%未満であると、グリップ性能が悪化する傾向がある。また、該スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。50質量%を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。なお、本明細書において、スチレン含有量は、H−NMR測定によって算出される。
本発明のゴム組成物において、変性ジエン系ゴムA及びBの配合比(A/B(質量比))は、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。下限未満であると転がり抵抗特性が低下し、上限を超えると耐摩耗性が低下し、前述の性能バランスが悪化する傾向がある。
また、ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の変性ジエン系ゴムA及びBの合計含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。2質量%未満であると、転がり抵抗特性及び耐摩耗性を充分改善できないおそれがある。該合計含有量の上限は特に限定されず、100質量%でもよいが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
本発明で使用できる他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)などのジエン系ゴムを使用することができる。なかでも、相溶性が高く、前述の性能バランスに優れる点から、SBR、BRを使用することが好ましい。
SBRとしては、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。BRとしては、高シス含有量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRなどを使用できる。
SBR(非変性)を配合する場合、該SBRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。20質量%未満であると、グリップ性能が悪化する傾向がある。該含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。90質量%を超えると、耐摩耗性が低下する傾向がある。
BR(非変性)を配合する場合、該BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。該含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。40質量%を超えると、グリップ性能が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラック及び/又はシリカ(好ましくは両成分)を含有することが好ましい。本発明では、変性ジエン系ゴムA及びBを使用することでシリカ、カーボンブラックなどのフィラーの分散性を顕著に改善できるため、グリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性の性能バランスを相乗的に向上できる。
このような改善効果は、以下の作用機能により発揮されると推察される。
上記アクリルアミド化合物で末端変性したゴムAによってシリカやカーボンブラックとの相互作用を強化できるが、該ゴムAのみでは低分子成分が多く、フィラー凝集塊の破壊効果が期待できないため、フィラーの分散性を高めることが難しい。これに対し本発明では、更に上記変性化合物で末端変性したゴムBも使用しているので、フィラー、特にシリカとの相互作用を一層強化でき、また、このゴムBの分子は、シリカとの相互作用を有しながら、末端変性基同士が相互作用してポリマーのカップリングが起こり、高分子量化する。そのため、フィラー凝集塊が充分に破壊されるため、ゴムA及びBによるフィラーの分散性向上効果が効率的、かつ相乗的に発揮されることから、前記性能バランスを顕著に改善できると推察される。
カーボンブラックの配合により、補強性を高め、耐摩耗性、グリップ性能を改善できる。カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどを用いることができる。カーボンブラックは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上である。50m/g未満では、充分な補強性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましい。200m/gを超えると、カーボンブラックが分散しにくくなり、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、好ましくは60ml/100g以上、より好ましくは100ml/100g以上である。60ml/100g未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、好ましくは150ml/100g以下、より好ましくは120ml/100g以下である。150ml/100gを超えると、加工性、分散性が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K6217−4の測定方法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。10質量部未満では、充分な補強性が得られない傾向がある。また、該カーボンブラックの含有量は好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。100質量部を超えると、カーボンブラックが分散しにくくなり、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
シリカの配合により、補強性を高めながら、転がり抵抗特性を改善できる。シリカとしては、湿式法で製造されたシリカ、乾式法で製造されたシリカなどが挙げられる。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは120m/g以上、より好ましくは150m/g以上である。120m/g未満であると、充分な補強性が得られない傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。250m/gを超えると、シリカの分散性が低下するため、ヒステリシスロスが増大し、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。なお、シリカのNSAは、ASTMD3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは15質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは35質量部以上である。15質量部未満では、充分な補強性が得られない傾向がある。また、該シリカの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは85質量部以下、更に好ましくは65質量部以下である。100質量部を超えると、シリカの分散性が低下するため、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは70質量部以上である。40質量部未満であると、充分な補強性が得られない傾向がある。該合計含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは110質量部以下である。150質量部を超えると、フィラーの分散性が低下する傾向がある。
本発明では、シリカとともにシランカップリング剤を併用しても良い。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。なかでも、補強性改善効果が高いという点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高くなるため、加工性が悪くなる傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。20質量部を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
本発明のゴム組成物は、特定の芳香族ビニル重合体、即ち、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂を含有することが好ましい。これにより、転がり抵抗特性、耐摩耗性を維持しつつ、グリップ性能を改善できるため、前記性能バランスをより改善できる。なお、本発明において、上記芳香族ビニル重合体は、ゴム成分には含まれない。
上記芳香族ビニル重合体では、芳香族ビニル単量体(単位)として、スチレン、α−メチルスチレンが使用され、それぞれの単量体の単独重合体、両単量体の共重合体のいずれでもよい。なかでも、経済的で、加工しやすく、前述の性能バランスに優れていることから、α−メチルスチレンの単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体が特に好ましい。
上記芳香族ビニル重合体の軟化点(Softening Point)は、好ましくは100℃以下、より好ましくは92℃以下、更に好ましくは88℃以下である。100℃を超えると、耐摩耗性及びグリップ性能が悪化する傾向がある。また、該軟化点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは75℃以上である。30℃未満であると、グリップ性能が悪化する傾向がある。なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500以上、より好ましくは800以上である。500未満では、転がり抵抗特性及びグリップ性能の充分な改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記芳香族ビニル重合体の重量平均分子量は、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下である。3000を超えると、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
上記芳香族ビニル重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。1質量部未満であると、グリップ性能の改善効果が得られないおそれがある。また、該芳香族ビニル重合体の含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。100質量部を超えると、転がり抵抗特性及び耐摩耗性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、上記成分の他に、オイル、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等、必要に応じた添加剤を適宜配合してもよい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物としては、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、2種以上の変性剤を反応させることにより得られる混合物を含むものも挙げられる。
つまり、上記においては、上記活性共役ジエン系重合体に対して、特定の変性剤を反応させることにより得られる混合物を説明したが、このような形態に限らず、2種以上の任意の変性剤を反応させて得られる混合物も本発明に含まれる。該混合物は、前述と同様の方法で調製したアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に、従来公知の2種以上の末端変性剤を1バッチで反応させることなどにより得られる。このような1バッチで調製した混合物の使用によって前記性能バランスの改善効果が得ることができる。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の混練機で上記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物はタイヤのトレッドとして好適に使用でき、また、これを用いたタイヤは乗用車、商用車、2輪車などに好適に適用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の空気入りタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
変性ジエン系ゴムA及びB:下記製造例1〜10(各ゴムのオイル量:15質量%)
SBR:JSR(株)製のSBR1502(スチレン含有量:23.5質量%)
BR:宇部興産(株)製BR150B
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:111m/g、DBP吸油量:115ml/100g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
芳香族ビニル重合体:Arizona chemical社製のSYLVARES SA85(α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点:85℃、Mw:1000)オイル:(株)ジャパンエナジー製のJOMOプロセスX140
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(製造例1)
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン548g、スチレン235g、テトラヒドロフラン8.89g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液,5.22mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを1.57mmol(0.245g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを3.66mmol(2.251g)添加した。攪拌下に30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学製のスミライザーBHT:以下同様)を10g、オイルを141g加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、ゴム混合物1を得た。
(製造例2)
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを0.52mmol(0.082g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを4.70mmol(2.894g)に変更した以外、製造例1と同様に行い、ゴム混合物2を得た。
(製造例3)
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを4.70mmol(0.734g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを0.52mmol(0.322g)に変更した以外、製造例1と同様に行い、ゴム混合物3を得た。
(製造例4)
テトラヒドロフランを31.12g、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液)を18.28mmol、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを1.83mmol(0.286g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを16.45mmol(10.131g)に変更した以外、製造例1と同様に行い、ゴム混合物4を得た。
(製造例5)
テトラヒドロフランを31.12g、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液)を18.28mmol、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを16.45mmol(2.57g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを1.83mmol(1.126g)に変更した以外、製造例1と同様に行い、ゴム混合物5を得た。
(製造例6)
テトラヒドロフランを4.15g、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液)を2.44mmol、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを0.24mmol(0.038g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを2.19mmol(1.351g)に変更した以外、製造例1と同様に行い、ゴム混合物6を得た。
(製造例7)
テトラヒドロフランを4.15g、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液)を2.44mmol、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを2.19mmol(0.343g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを0.24mmol(0.15g)に変更した以外、製造例1と同様に行い、ゴム混合物7を得た。
(製造例8)
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを0mmol(0g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを2.44mmol(1.501g)に変更した以外、製造例1と同様に行い、ゴム混合物8を得た。
(製造例9)
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを2.44mmol(0.381g)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを0mmol(0g)に変更した以外、製造例1と同様に行い、ゴム混合物9を得た。
(製造例10)
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン548.3g、スチレン235g、テトラヒドロフラン8.89g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液,5.22mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを5.22mmol(0.816g)添加した。攪拌下に30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した(変性ジエン系ゴムA)。
また別途、内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン548.3g、スチレン235g、テトラヒドロフラン8.89g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液,5.22mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを5.22mmol(3.216g)添加した。攪拌下に30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した(変性ジエン系ゴムB)。
その後、それぞれの重合反応容器の内容物を取り出して、変性ジエン系ゴムA及びBの配合比(A/B(質量比))が30/70になるように混合し、2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾールを10g、オイルを141g加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、ゴム混合物10を得た。
<実施例及び比較例>
表1〜2に示す配合内容にしたがって、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、50℃の条件下で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で15分間プレス加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に加工し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、170℃の条件下で15分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を得た。
得られた加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを用いて、以下の評価を行った。その結果を表1〜2に示す。
(グリップ指数)
上記試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、ドライアスファルト路面のテストコースにて実車走行を行なった。その際における操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした。数値が大きいほどドライ路面におけるグリップ性能(操縦安定性)が高いことを示す。
(摩耗指数)
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で上記加硫ゴム組成物のランボーン摩耗量を測定した。測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1の容積損失量を100として、各配合の容積損失量を下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(摩耗指数)=(比較例1の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
(転がり抵抗指数)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で上記加硫ゴム組成物のtanδを測定した。比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど転がり抵抗特性に優れる(転がり抵抗が低い)ことを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
Figure 0005443542
Figure 0005443542
表1〜2から、実施例ではグリップ性能、耐摩耗性及び転がり抵抗特性がバランス良く改善できた一方、比較例ではこれらの性能をバランス良く得られなかった。ゴムA及びBの両方を含まない比較例1、ゴムBのみ含む比較例6、ゴムAのみ含む比較例7と、ゴムA及びBを含む実施例1の結果から、両ゴム成分を使用することで性能バランスの改善が相乗的に得られ、特に耐摩耗性及び転がり抵抗特性が相乗効果を奏することが明らかとなった。
また、実施例4と9、又は実施例3と10の結果から、芳香族ビニル重合体を添加することで耐摩耗性及び転がり抵抗特性を維持しつつ、グリップ性能を改善することができ、背反性能を改善できることも明らかとなった。

Claims (5)

  1. 下記式(I)で表されるアクリルアミド化合物で変性された変性ジエン系ゴムAと、
    Figure 0005443542
    (式中、Rは水素又はメチル基を表す。R及びRはアルキル基を表す。nは整数を表す。)
    下記式(II)で表されるケイ素若しくはスズ化合物及び下記式(III)で表される変性化合物、又は下記式(III)で表される変性化合物で変性された変性ジエン系ゴムBとを含み、
    該変性ジエン系ゴムA及びB全体の重量平均分子量が30万〜140万であるタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0005443542
    (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又は芳香族炭化水素基を表す。Mはケイ素又はスズを表す。Xはハロゲンを表す。aは0〜2の整数を表す。bは2〜4の整数を表す。)
    Figure 0005443542
    (式中、R〜Rは同一若しくは異なって炭素数が1〜8のアルキル基を表す。R〜R12は同一若しくは異なって炭素数が1〜8のアルコキシ基又はアルキル基を表す。p〜rは同一若しくは異なって1〜8の整数を表す。)
  2. 前記変性ジエン系ゴムA及びBは、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、前記アクリルアミド化合物と、前記ケイ素若しくはスズ化合物及び前記変性化合物、又は前記変性化合物とを反応させることにより得られる混合物である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記変性化合物におけるR〜Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基、R〜R12はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基、p〜rは2〜5の整数である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 更に、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる芳香族ビニル重合体を含む請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。
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