JP2022030649A - 共役ジエン系重合体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、加硫物としたときに省燃費性能とウェットグリップ性能とのバランスに優れ、且つ破壊特性、加熱後の破断強度変化、加硫時間延長時の耐破壊特性変化に優れるゴム配合物(例えば、タイヤトレッド)を製造可能であり、ガラス転移温度を調整可能な配合自由度の高い共役ジエン系重合体組成物を提供することを目的とする。【解決手段】芳香族ビニル単量体単位及びヨウ素価が特定量の共役ジエン系重合体(A)及び(B)を含み、((A)のSP値-(B)のSP値)が0MPa1/2以上0.8MPa1/2以下であり、|(A)のヨウ素価-(B)のヨウ素価|が100 Ig/100g以下であり、|(A)のガラス転移温度-(B)のガラス転移温度|が10℃以上60℃以下である、共役ジエン系重合体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、共役ジエン系重合体組成物に関する。
自動運転技術の将来の普及に伴い、タイヤの交換頻度の低減、すなわち、タイヤの耐久性の向上が求められる。特にブレーキ性能に関しては、乗員の安全性を担保する為、従来よりも長期の性能維持が求められる。
タイヤの耐久性向上のためにはタイヤの耐摩耗性の向上が不可欠である。例えば、特許文献1では、エチレン構造を含む水添共役ジエンゴムのタイヤトレッドへの使用により、タイヤの耐摩耗性を向上させる技術が開示されている。
また、エコタイヤ用トレッドゴムは、異種のゴムを併用することで相反する性能、例えば、転がり抵抗とブレーキ性能とのバランスや、性能と価格とのバランスを向上させることが一般的である。例えば、特許文献2では、高分子量の水添共役ジエンゴムと低分子量の水添共役ジエンゴムとをブレンドしたゴムを用いたゴム組成物は高い強度であって、且つ低燃費性能、加工性に優れることが開示されている。
特許第6004081号公報 特許第6503064号公報
特許文献1及び2に記載のように、耐摩耗性の向上のために水添共役ジエンゴムを採用しつつも、タイヤとしての利用する以上、省燃費性能やウェットグリップ性能も当然に求められる性能である。
しかし、共役ジエン系ポリマーを水添することで、ポリマーのガラス転移温度は変化してしまうし、他のポリマーと相溶しにくくなる傾向もある。配合物のガラス転移温度調整が可能な配合自由度の高い共役ジエン系ポリマーの組成物が求められる。
本発明は、前記課題を解決し、加硫物としたときに省燃費性能とウェットグリップ性能とのバランスに優れ、且つ破壊特性、加熱後の破断強度変化、加硫時間延長時の耐破壊特性変化に優れるゴム配合物(例えば、タイヤトレッド)を製造可能であり、ガラス転移温度を調整可能な配合自由度の高い共役ジエン系重合体組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、ガラス転移温度が互いに異なる2つの共役ジエン系重合体について、ガラス転移温度の差の絶対値、ヨウ素価の差の絶対値及びSP値差が一定の範囲内になるように構造を設計することで、両共役ジエン系重合体を含む組成物のガラス転移温度を制御可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]
共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とを含み、
共役ジエン系重合体(A)は芳香族ビニル単量体単位を5質量%以上60質量%以下含有し、ヨウ素価が5~200 Ig/100gであり、
共役ジエン系重合体(B)は芳香族ビニル単量体単位を0質量%以上50質量%以下含有し、ヨウ素価が5~200 Ig/100gであり、
共役ジエン系重合体(A)のSP値(MPa1/2)から共役ジエン系重合体(B)のSP値(MPa1/2)を引いた差((A)のSP値-(B)のSP値)が0MPa1/2以上0.8MPa1/2以下であり、
共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とのヨウ素価の差の絶対値(|(A)のヨウ素価-(B)のヨウ素価|)が100 Ig/100g以下であり、
共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とのガラス転移温度の差の絶対値(|(A)のガラス転移温度-(B)のガラス転移温度|)が10℃以上60℃以下である、共役ジエン系重合体組成物。
[2]
共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量が23万以上100万未満である、[1]に記載の共役ジエン系重合体組成物。
[3]
共役ジエン系重合体(B)の重量平均分子量が23万以上100万未満である、[1]又は[2]に記載の共役ジエン系重合体組成物。
[4]
共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)との質量比率((A)の質量:(B)の質量)が20:80~80:20である、[1]~[3]のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物。
[5]
共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)の変性率が60%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物。
[6]
共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)のヨウ素価の差の絶対値(|(A)のヨウ素価-(B)のヨウ素価|)が80 Ig/100g未満である、[1]~[5]のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物。
[7]
共役ジエン系重合体(A)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量と共役ジエン系重合体(B)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量の差((A)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量-(B)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量)が5質量%以上30質量%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物。
[8]
前記共役ジエン系重合体組成物のDSC測定において、DSC微分曲線の共役ジエン系重合体由来のガラス転移によるピークトップが1つである、[1]~[7]のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物。
[9]
DSCで測定した前記共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度が-65~-15℃である、[1]~[8]のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物と、可塑剤成分と、充填剤成分とを含有する、空気入りタイヤ。
[11]
共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを含む共役ジエン系重合体において、
ビニル結合量及び/又は前記芳香族ビニル単量体の含有量によるガラス転移温度の変化と
ヨウ素価によるガラス転移温度の変化とを調べ、
両変化に基づいてSP値(MPa1/2)の差が0MPa1/2以上0.8MPa1/2であって、かつ、ガラス転移温度の差の絶対値が10℃以上80℃未満になるように2種の共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を選択し、
選択した共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を混合することにより、共役ジエン系重合体組成物を製造する方法。
本発明によれば、加硫物としたときに省燃費性能とウェットグリップ性能とのバランスに優れ、且つ破壊特性、加熱後の破断強度変化、加硫時間延長時の耐破壊特性変化に優れるゴム配合物(例えば、タイヤトレッド)を製造可能であり、ガラス転移温度を調整可能な配合自由度の高い共役ジエン系重合体組成物を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
〔共役ジエン系重合体組成物〕
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とを含み、
共役ジエン系重合体(A)は芳香族ビニル単量体単位を5質量%以上60質量%以下含有し、ヨウ素価が5~200 I g/100gであり、
共役ジエン系重合体(B)は芳香族ビニル単量体単位を0質量%以上50質量%以下含有し、ヨウ素価が5~200 I g/100gであり、
共役ジエン系重合体(A)のSP値(MPa1/2)から共役ジエン系重合体(B)のSP値(MPa1/2)を引いた差((A)のSP値-(B)のSP値)が0MPa1/2以上0.8MPa1/2以下であり、
共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とのヨウ素価の差の絶対値(|(A)のヨウ素価-(B)のヨウ素価|)が100 I g/100g以下であり、
共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とのガラス転移温度の差の絶対値(|(A)のガラス転移温度-(B)のガラス転移温度|)が10℃以上60℃以下である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、このような特徴を有することにより、加硫物としたときに省燃費性能とウェットグリップ性能とのバランスに優れ、且つ破壊特性、加熱後の破断強度変化、加硫時間延長時の耐破壊特性変化に優れるゴム配合物(例えば、タイヤトレッド)を製造可能であり、ガラス転移温度を調整可能で配合自由度が高いという効果を奏する。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)と、を含む。
本実施形態に用いる共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)は、芳香族ビニル単量体に基づく構成単位(以下「芳香族ビニル単量体単位」とも記す)、共役ジエン単量体に基づく構成単位(以下「共役ジエン単量体単位」とも記す)、及び、エチレンに基づく構成単位(以下「エチレン単位」とも記す)と、を含むランダム共重合体であることが好ましい。
本明細書中、「ランダム共重合体」とは、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖を長連鎖割合といい、芳香族ビニル化合物由来の構造単位の全体に対して10質量%以下であることを意味する。長連鎖割合が10質量%以下であると低燃費性が向上する傾向にある。
ここで、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖の含有量は、第一の重合体を、重クロロホルムを溶媒として測定した1H-NMRスペクトルで、以下の(A)~(c)の各化学シフト範囲の積分値の合計に対する、(A)の範囲の積分値の割合で計算することができる。例えば、芳香族ビニル化合物がスチレンの場合、(A)~(c)の各範囲の積分値の合計に対する(A)の範囲の積分値の割合を求め、その値を2.5倍することでスチレンの割合を計算できる。これにより、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の連鎖の状態を把握できる。
(A)芳香族ビニル化合物連鎖8以上: 6.00≦S<6.68
(B)芳香族ビニル化合物連鎖2~7: 6.68≦S<6.89
(c)芳香族ビニル化合物短連鎖 : 6.89≦S≦8.00
本実施形態に用いる共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)は、芳香族ビニル化合物に基づく構成単位、共役ジエン化合物に基づく構成単位及びエチレンに基づく構成単位を有するランダム共重合体であり、芳香族ビニル化合物に基づく構成単位である芳香族部と、共役ジエン化合物に基づく構成単位である共役ジエン部とを有する共重合体に、水素が添加された水添共重合体であることが商業生産の観点で好ましいが、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とエチレンとを共重合したランダム共重合体でも構わない。水添共重合体は、共役ジエン部中の二重結合部分に水素が添加されることで、共役ジエン部の一部又は全部がエチレン部に変化したものであり、水素添加率を高くすることで、エチレン部の含有量を高めることができる。
なお、水添共重合体では、共役ジエン化合物の主鎖の両端でポリマー鎖を形成するもの(例えば、1,3-ブタジエンをモノマーとした重合体の1,4結合)に対して水素が添加されたものをエチレン部とし、その他の形態(例えば、1,3-ブタジエンをモノマーとした重合体の1,2結合(ビニル結合))に対して水素が添加されたものはエチレン部に含めない。
芳香族ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性等の実用面の観点でスチレンが特に好ましい。
共役ジエン化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性等の実用面の観点から1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3-ブタジエンがより好ましい。
(共役ジエン系重合体(A))
共役ジエン系重合体(A)は、破壊特性向上や配合物のガラス転移温度調整の観点から、芳香族ビニル単量体単位の含有量が、5質量%以上であり、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、共役ジエン系重合体(A)は、省燃費性能の観点から、芳香族ビニル単量体単位の含有量が、60質量%以下であり、55質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることが特に好ましい。
芳香族ビニル単量体単位の含有量の測定方法は特に限定されないが、NMRなどで測定でき、例えば後述する実施例の方法で測定できる。
共役ジエン系重合体(A)は、加硫のしやすさや加硫密度の観点から、ヨウ素価が、5 Ig/100g以上であり、7 Ig/100g以上であることが好ましく、9 Ig/100g以上であることがより好ましい。また、共役ジエン系重合体(A)は、耐熱性、耐候性の観点から、ヨウ素価が、200 Ig/100g以下であり、180 Ig/100g以下であることが好ましく、150 Ig/100g以下であることがより好ましく、130 Ig/100g以下であることが特に好ましい。
共役ジエン系重合体のヨウ素価は、共役ジエン系重合体の二重結合含有量の指標であり、共役ジエン化合物の含有量や、水素添加により共役ジエン系重合体を得る場合には、水素添加率によって制御できる。
なお、共役ジエン系重合体のヨウ素価は、後述する実施例に記載の方法により算出される。
共役ジエン系重合体(A)の水素添加率(共役ジエン部に対して水素添加された割合)は、架橋性の観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上である。また、架橋性の観点から、98モル%以下であることが好ましく、95モル%以下であることがさらに好ましく、90モル%未満であることが特に好ましい。
なお、共役ジエン系重合体の水素添加率は、水素添加反応時の水素量や反応時間等により制御でき、1H-NMRを測定して得られたスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少率から計算することができる。
共役ジエン系重合体(A)は、例えば、タイヤとしたときの省燃費性能とウェットグリップ性能と、破壊特性とのバランスの観点から、ガラス転移温度が-85℃以上-5℃以下であることが好ましく、-75℃以上-10℃以下であることがより好ましく、-65℃以上-10℃以下であることがさらに好ましい。
共役ジエン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との組成比やヨウ素価により制御される。
共役ジエン系重合体のガラス転移温度は、後述する実施例の方法で測定できる。
共役ジエン系重合体(A)の溶解度パラメーター(以下「SP値」とも記す)は、共役ジエン系重合体の相容性の観点から16.8以上18.5以下であることが好ましい。共役ジエン系重合体(A)のSP値は、タイヤのウェットグリップ性能の観点から、17.0以上がより好ましく、17.1以上がより好ましい。また、共役ジエン系重合体(A)のSP値は、タイヤの省燃費性能の観点から、18.4以下がより好ましく、18.2以下がさらに好ましく、18.0以下が特に好ましい。
共役ジエン系重合体の溶解度パラメーター(SP値)は、例えば、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との組成比やヨウ素価により制御される。
共役ジエン系重合体の溶解度パラメーター(SP値)は、後述の実施例に記載の方法により計算される。
なお、共役ジエン系重合体のSP値の計算方法は、まず各々のビニルポリマーのモル体積、凝集エネルギーを、Bicerano(文献:J.Bicerano,Prediction of Polymer Properties,3rd,MarcelDekker,2002)の方法で計算する。凝集エネルギーに関してはVan Krevelen法に準拠し計算した値を用いる。
ついで、Jozef.Bicerano:PREDICTION OF POLYMER PROPERTIES, Marcel Dekker,AMERICA(2002)のp.615の17.8から17.10式に示される方法で共役ジエン系重合体のSP値を求めることができる。なお、結晶性やブロック共重合体等のミクロ相分離構造は無視する。
各ビニルポリマーの凝集エネルギーE(J/mol)/モル体積V(10-6m3/mol)を以下例示する。
ポリスチレン:36932/97.0、1,2-ポリブタジエン:16450/58.3、1,4-ポリブタジエン:18579/59.1、1,2-ポリブチレン:17527/65.6、水素添加1,4-ポリブタジエン:18146/64.4、1,4-ポリイソプレン:22644/76.6、1,2-ポリイソプレン:19407/75.3、3,4-ポリイソプレン:20908/82.2、ポリエチレン:9073/32.2。
例えば、スチレン/1,4-ブタジエンの等モルの共役ジエン系重合体の場合のSP値の計算方法を以下に示す。
E=36932×0.5+18579×0.5=27755(J/mol)
V=97.0×0.5+59.1×0.5=78.1(m3/mol)
SP値=(27755/78.1)1/2=18.6((J/cm31/2)」
共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量は、生産時のベール成型性やコールドフロー性の観点から、23万以上100万未満であることが好ましい。また、共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量は、生産時の付着性や破壊特性の観点から、25万以上がより好ましく、27万以上がさらに好ましく、30万以上が特に好ましい。一方で、共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量は、生産時のベール成型性の観点から、90万以下であることがより好ましく、80万以下であることがさらに好ましい。
共役ジエン系重合体の重量平均分子量の測定方法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などで測定でき、後述する実施例の方法で測定することができる。
共役ジエン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、加工性の観点から、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがさらに好ましい。共役ジエン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、低燃費性の観点から、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。
共役ジエン系重合体(A)の100℃におけるムーニー粘度は、タイヤ用配合物を調製する際の混練のしやすさや練り生地の切れ防止の観点から、250以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、180以下であることがさらに好ましい。一方で、共役ジエン系重合体(A)の100℃におけるムーニー粘度は、生産時の付着性防止の観点から、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。
本実施形態において、ムーニー粘度は特に限定されないが、例えば、ムーニー粘度計を用い、ISO 289に準拠し、L形ローターを用いる方法で測定することができる。
(共役ジエン系重合体(B))
本実施形態に用いる共役ジエン系重合体(B)は、低温特性や配合物のガラス転移温度調整の観点から、芳香族ビニル単量体単位の含有量が、0質量%以上であり、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることが特に好ましい。また、共役ジエン系重合体(B)は、ウェットグリップ性能の観点から、芳香族ビニル単量体単位の含有量が、50質量%以下であり、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
共役ジエン系重合体(B)は、加硫のしやすさや加硫密度の観点から、ヨウ素価が、5 Ig/100g以上であり、7 Ig/100g以上であることが好ましく、9 Ig/100g以上であることがより好ましい。また、共役ジエン系重合体(B)は、耐熱性、耐候性の観点から、ヨウ素価が、200 Ig/100g以下であり、180 Ig/100g以下であることが好ましく、150 Ig/100g以下であることがより好ましく、130 Ig/100g以下であることが特に好ましい。前記耐熱性に優れるとは、例えば、共役ジエン系重合体組成物や共役ジエン系重合体組成物を用いたタイヤを大気下で加熱した際の、破壊特性やウェットグリップ性能の低下が小さいことを示す。
共役ジエン系重合体(B)の水素添加率(共役ジエン部に対して水素添加された割合)は、架橋性の観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上である。また、共役ジエン系重合体(B)の水素添加率は、架橋性の観点から、98モル%以下であることが好ましく、95モル%以下であることがさらに好ましく、90モル%未満であることが特に好ましい。
共役ジエン系重合体(B)は、タイヤとしたときの省燃費性能とウェットグリップ性能と、破壊特性とのバランスの観点から、ガラス転移温度が-100℃以上-15℃以下であることが好ましく、-95℃以上-20℃以下であることがより好ましく、-95℃以上-30℃以下であることがさらに好ましい。
共役ジエン系重合体(B)の溶解度パラメーター(SP値)は、共役ジエン系重合体の相容性の観点から16.4以上18.2以下であることが好ましい。共役ジエン系重合体(B)のSP値は、タイヤのウェットグリップ性能の観点から16.6以上がより好ましく、16.8以上がさらに好ましい。また、共役ジエン系重合体(B)の溶解度パラメーター(SP値)は、タイヤの省燃費性能の観点から、18.0以下がより好ましく、17.8以下がさらに好ましく、17.7以下が特に好ましい。
共役ジエン系重合体(B)の重量平均分子量は、生産時のベール成型性やコールドフロー性の観点から、23万以上100万未満であることが好ましい。また、共役ジエン系重合体(B)の重量平均分子量は、生産時の付着性や破壊特性の観点から25万以上がより好ましく、27万以上がさらに好ましく、30万以上が特に好ましい。一方で、共役ジエン系重合体(B)の重量平均分子量は、生産時のベール成型性の観点から、90万以下であることがより好ましく、80万以下であることがさらに好ましい。
共役ジエン系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、加工性の観点から、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがさらに好ましい。共役ジエン系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、低燃費性の観点から、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。
共役ジエン系重合体(B)の100℃におけるムーニー粘度は、タイヤ用配合物を調製する際の混練のしやすさや練り生地の切れ防止の観点から、250以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、180以下であることがさらに好ましい。一方で、共役ジエン系重合体(B)の100℃におけるムーニー粘度は、生産時の付着性防止の観点から、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。
(ガラス転移温度)
水素添加反応前の共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)のガラス転移温度は、例えば、芳香族ビニル単量体の含有量や1,2ビニル結合量によって制御できる。
芳香族ビニル単量体の含有量や1,2ビニル結合量が多いほど共役ジエン系重合体のガラス転移温度は高くなる傾向にある。また、共役ジエン系重合体のガラス転移温度は、水素添加率やヨウ素価によって制御できる。共役ジエン系重合体において、水素添加率が高いほど、またヨウ素価が低いほど、ガラス転移温度は高くなる傾向にある。ただし、水素添加前の共役ジエン系重合体のガラス転移温度の影響が大きい。
(共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)の選定)
本実施形態において、SP値の差、ヨウ素価の差の絶対値及びガラス転移温度の差の絶対値を上述した範囲に制御した共役ジエン系重合体組成物を得るために、例えば、共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を以下のとおり選定する方法が挙げられる。
共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を選定するに先立って、まず、ガラス転移温度が、ビニル結合量、芳香族ビニル単量体の含有量及びヨウ素価によってどの程度変化するかを調べるのが好ましい。具体的には、(1)芳香族ビニル単量体の含有量を一定にして、ビニル結合量、及びヨウ素価の異なる共役ジエン系重合体のガラス転移温度を測定する。芳香族ビニル単量体の含有量は3水準以上行うことが好ましい。(2)ビニル結合量を一定にして、芳香族ビニル単量体の含有量及びヨウ素価の異なる重合体のガラス転移温度を測定する。ビニル結合量は3水準以上行うことが好ましい。前記(1)及び(2)はどの順序で実施してもよいが、これら2通りのデータが揃うことで、ガラス転移温度に対するビニル結合量、芳香族ビニル単量体の含有量及びヨウ素価の影響を把握でき、ガラス転移温度の差の絶対値(|(A)のガラス転移温度-(B)のガラス転移温度|)が上述した範囲となるように、共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を選定できることになる。共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)は、SP値の差も調整すべきであるが、SP値は構造が既知であれば算出可能であるので、前記(1)及び(2)のガラス転移温度の情報に基づいて選定することに障害はない。
ガラス転移温度の影響を調べた結果として、本発明者らは次の傾向を見出している。芳香族ビニル単量体の含有量や1,2ビニル結合量が多いほど共役ジエン系重合体のガラス転移温度は高くなる傾向にある。また、共役ジエン系重合体のガラス転移温度は、例えば、水素添加率やヨウ素価によって制御できる。共役ジエン系重合体において、水素添加率が高いほど、ヨウ素価は低くなる。チタノセン触媒を用いた共役ジエン系重合体の水素添加反応では、1,2ビニル結合が1,4シス結合や1,4トランス結合に優先して水素添加されるが、そのために、1,2ビニル結合が水素添加された水素添加率領域ではガラス転移温度が、水素添加前の共役ジエン系重合体よりも低下する。また、共役ジエン系重合体において、1,4シス結合や、1,4トランス結合の水素添加率が高いほど、ガラス転移温度は高くなる。ただし、水素添加前の共役ジエン系重合体のガラス転移温度の影響が大きい。非水添重合体(水素添加前の共役ジエン系重合体)のガラス転移温度は芳香族ビニル単量体の含有量及びビニル結合量により決まり、芳香族ビニル単量体の含有量の方が影響が大きい。エチレン構造を含む共役ジエン系重合体(水添重合体を含む)は、ビニル結合量及びヨウ素価の影響が大きく、ビニル結合量が低い方が水素添加後の共役ジエン系重合体のガラス転移温度の上がり方が大きい。
共役ジエン系重合体(A)のヨウ素価と、共役ジエン系重合体(B)のヨウ素価との差の絶対値(|(A)のヨウ素価-(B)のヨウ素価|)は、加硫物とした際の加硫密度の均一性が高くなることにより破壊特性が向上できたり、加硫時間を延長した際の物性の低下幅を低減できる観点から、100 Ig/100g以下であり、90 Ig/100g以下であることが好ましく、80 Ig/100g以下であることがより好ましく、80 Ig/100g未満であることがさらに好ましい。共役ジエン系重合体(A)のヨウ素価と、共役ジエン系重合体(B)のヨウ素価との差の絶対値(|(A)のヨウ素価-(B)のヨウ素価|)の下限は、特に限定されないが、例えば、0 Ig/100g以上である。
共役ジエン系重合体(A)のSP値から共役ジエン系重合体(B)のSP値を引いた差((A)のSP値-(B)のSP値)は、相容性や省燃費性能、さらには耐摩耗性の観点から、0.80MPa1/2以下であり、0.70MPa1/2以下であることが好ましく、0.65MPa1/2以下であることがより好ましく、0.60MPa1/2以下であることがさらに好ましく、0.50MPa1/2以下が特に好ましい。共役ジエン系重合体(A)のSP値から共役ジエン系重合体(B)のSP値を引いた差((A)のSP値-(B)のSP値)の下限は、0MPa1/2以上である。
共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度と共役ジエン系重合体(B)とのガラス転移温度の差の絶対値(|(A)のガラス転移温度-(B)のガラス転移温度|)は、タイヤ用配合物とする際の配合自由度や省燃費性能とウェットグリップ性能のバランスの観点から、10℃以上であり、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。また、共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度と共役ジエン系重合体(B)とのガラス転移温度の差の絶対値(|(A)のガラス転移温度-(B)のガラス転移温度|)は、ゴムの相容性の観点から、60℃以下であり、50℃以下であることが好ましく、45℃以下であることがより好ましい。
(共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度は、1つであることが好ましい。ガラス転移温度が1つであることは、共役ジエン系重合体組成物のDSC測定において、DSC微分曲線の共役ジエン系重合体由来のガラス転移によるピ-クトップが1つ(変曲点が一つ)であることによって判断する。ブロードなピークも変曲点が一つであればガラス転移温度が1つであり、変曲点が2つ以上になるようなショルダーが存在する場合は、ガラス転移温度が1つの態様に含まれない。共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とが相溶していることが好ましい。また、ウェットグリップ性能の観点から、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度は-65℃以上が好ましく、-60℃以上がより好ましく、-55℃以上がさらに好ましい。また、省燃費性能や低温特性の観点から、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度は、-10℃以下が好ましく、-13℃以下がより好ましく、-15℃以下がさらに好ましい。
共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とが相溶することは、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度の制御が容易になる観点で好ましく、さらには、共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)との界面が減少し、省燃費性能に優れるために好ましい。
(共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)との比率)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)と、を含み、配合物の硬度や組成物のガラス転移温度をコントロールする観点から、質量比率((A)の質量:(B)の質量)が20:80~80:20であることが好ましく、25:75~75:25であることがより好ましく、30:70~70:30であることがさらに好ましい。本実施形態の共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度は、共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)のポリマー構造によって、重合体自体のガラス転移温度を変化させることで制御できるが、混合する比率によってもある程度制御できる。本実施形態の共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度を、ポリマー構造によって制御するのか、比率によって制御するのかは、配合物に求める物性バランスによるが、構造の決まった重合体の比率を変えることで、制御したほうが、同じ構造の製品を用いて多数の配合条件を検証することができ、効率的である点で好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物をタイヤに利用する場合、硬度は60~70程度に調整するのが一般的である。共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とのSP値差や、ガラス転移温度のほかに、混合した場合の硬度も考慮に入れて配合比率を設定するのは好ましい態様である。
(芳香族ビニル単量体単位の含有量の差)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物において、共役ジエン系重合体(A)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量と共役ジエン系重合体(B)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量の差((A)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量-(B)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量)は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、8質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上28質量%以下であることがさらに好ましい。本実施形態の共役ジエン系重合体組成物において、共役ジエン系重合体(A)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量と共役ジエン系重合体(B)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量の差が前記範囲内であると、省燃費性能と操縦安定性とのバランスに優れる傾向にある。
(共役ジエン系重合体の製造方法)
(重合方法)
本実施形態に用いる共役ジエン系重合体の重合方法については、上述した所定の物性が得られれば特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、商業生産上の観点で、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
溶液重合法を用いた場合には、溶液中のモノマー濃度は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。溶液中のモノマー濃度が5質量%以上であると、得られる共役ジエン系重合体の量が十分となり、コストが安くなる傾向がある。また、溶液中のモノマー濃度は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。溶液中のモノマー濃度が50質量以下であると、溶液粘度が低くなり撹拌が容易となり、重合しやすくなる傾向がある。
(重合開始剤)
アニオン重合を行う場合、重合開始剤としては特に制限はないが、有機リチウム化合物が好ましく用いられる。有機リチウム化合物としては、炭素数2~20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチルーフェニルリチウム、4-フェニル-ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられるが、これらの中で、入手容易性、安全性等の観点からn-ブチルリチウム又はsec-ブチルリチウムが好ましい。
配位重合を行う場合、重合開始剤としては特開2020-45500号公報に記載の重合触媒組成物を使用することが好ましい。
(重合の方法)
重合開始剤を用いてアニオン重合、又は、配位重合し、共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、例えばブチルリチウムを重合開始剤とし、必要に応じてランダマイザーの存在下でスチレン、1,3-ブタジエン、エチレン等を重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体を得ることができる。
(炭化水素系溶剤)
炭化水素系溶剤としては、炭素数3~8のものが好ましく、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(アニオン重合におけるランダマイザー)
ランダマイザーとは、共役ジエン系重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御、例えばブタジエンにおける1,2-結合、イソプレンにおける3,4-結合の増加等、あるいは共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御、例えばスチレンブタジエン共重合体におけるスチレン単位、ブタジエン単位のランダム化等の作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2ージ(2ーテトラヒドロフリル)プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン等のエーテル類及び第三級アミン類等を挙げることができる。また、カリウム-t-アミレート、カリウム-t-ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウム-t-アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ランダマイザーの使用量は、有機リチウム化合物1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、有機リチウム化合物1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量を超えると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
(反応温度)
重合の際の反応温度は、好適に反応が進行する限り特に限定はないが、通常-10℃~100℃であることが好ましく、25℃~70℃であることがより好ましい。
(変性工程)
重合の工程により得られた共役ジエン系重合体の活性末端と、シリカと相互作用する官能基を有する化合物とを反応させる工程により、共役ジエン系重合体の重合終了末端に、シリカと相互作用する官能基を導入することができる。これにより、重合終了末端が変性された共役ジエン系重合体が得られる。なお、本明細書中、末端とは、分子鎖の端に存在する、炭素-炭素二重結合を有するモノマーに由来する構造以外の部分を意味する。重合終了末端をカップリングすると、得られる共役ジエン系重合体においては終了末端が星形分岐し、いわゆる末端側ではなくなるが、ここでは重合工程において終了末端側であるという前提で工程を説明している。
変性反応(以下、末端変性反応ともいう。)に用いる共役ジエン系重合体は、活性末端を有している限り、重合開始末端が未変性のものでもよいし、変性されたものでもよい。また、共役ジエン系重合体の重合終了末端に導入する官能基を有する化合物としては、シリカと相互作用する官能基を有し、かつ重合活性末端と反応し得る化合物であれば特に限定しない。当該導入する方法としては、スズ原子又は窒素原子を含有する末端変性剤を用いて導入する方法が好ましく、窒素原子を含有する末端変性剤を用いて導入する方法がより好ましい。後述する変性率の測定方法は、窒素変性の場合の方法であるが、スズ変性の場合はスズ変性に適した変性率測定方法を採用すればよい。
窒素原子を含有する末端変性剤として、重合生産性や高い変性率の点で、イソシアナート化合物、イソチオシアナート化合物、イソシアヌル酸誘導体、窒素基含有カルボニル化合物、窒素基含有ビニル化合物、窒素基含有エポキシ化合物、窒素基含有アルコキシシラン化合物等が好ましい。
これらの窒素原子を含有する末端変性剤としては、重合生産性や高い変性率やタイヤにした時の引張強度の点で、窒素基含有アルコキシシラン化合物がより好ましい。
窒素原子含有基アルコキシシラン化合物として、好ましい例としては、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジメトキシ-1-(5-トリメトキシシリルペンチル)-1-アザ-2-シラシクロヘプタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ,2-エチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、及び2-エトキシ,2-エチル-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2-トリメトキシシリルエチル)アミン、及びトリス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、テトラキス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1-(3-(ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)-N1-メチル-N3-(3-(メチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)-N3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,3-プロパンジアミンが挙げられる。
末端変性反応は、例えば溶液反応として行うことができる。この溶液反応は、重合工程における重合反応の終了後の未反応モノマーを含む溶液を用いて行ってもよく、当該溶液に含まれる共重合体を単離し、シクロヘキサン等の適当な溶媒に溶解した上で行ってもよい。また、末端変性反応は、回分式及び連続式のいずれを用いて行ってもよい。このとき、末端変性剤の添加方法は特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、連続的に添加する方法等が挙げられる。
末端変性反応に使用する化合物の量は、反応に使用する化合物の種類に応じて適宜設定すればよいが、重合開始剤が有する重合反応に関与する金属原子に対し、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは0.3モル当量以上である。末端変性反応に使用する化合物の量を0.1モル当量以上とすることにより、変性反応を充分に進行させることができ、シリカの分散性を好適に改良することができる。
末端変性反応の温度は、通常、前記重合反応の温度と同じであり、-20~150℃であることが好ましく、0~120℃であることがより好ましく、20~100℃であることが特に好ましい。変性反応の温度が低いと、変性共重合体の粘度が上昇する傾向がある。一方、変性反応の温度が高いと、重合活性末端が失活しやすくなる。変性反応の反応時間は、好ましくは1分~5時間であり、より好ましくは2分~1時間である。
(共役ジエン系重合体組成物の変性率)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の変性率は省燃費性能の観点から40%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。
また、配合物中のシリカ等のフィラーの偏在を抑制する観点から共役ジエン系重合体(A)の変性率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。共役ジエン系重合体(A)の変性率の上限は、特に限定されないが、配合物の加工性の観点から、例えば、99%以下である。
さらには、配合物中のシリカ等のフィラーの偏在を抑制する観点から共役ジエン系重合体(B)の変性率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。共役ジエン系重合体(B)の変性率の上限は、特に限定されないが、配合物の加工性の観点から、例えば、99%以下である。
(反応停止)
アニオン重合は、この分野で通常使用する反応停止剤の添加により、停止させることができる。そのような反応停止剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール又は酢酸等の活性プロトンを有する極性溶媒及びこれらの混液、又はそれらの極性溶媒とヘキサン、シクロヘキサン等の無極性溶媒との混液が挙げられる。反応停止剤の添加量は、通常、アニオン重合開始剤に対し、同モル量もしくは2倍モル量程度で充分である。
(水素添加方法)
本実施形態に用いる共役ジエン系重合体を水素添加により製造する場合、水素添加の方法、反応条件については上述した所定の物性が得られれば特に限定はなく、公知の方法、公知の条件で水素添加すればよい。通常は、20~150℃、0.1~10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下で実施される。なお、水素添加率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力、反応時間等を変えることにより、任意に選定することができる。
水添触媒として、通常は、元素周期表4~11族金属のいずれかを含む化合物を用いることができる。具体的には、特に限定されないが、例えば、Ti、V、Co、Ni、Zr、Ru、Rh、Pd、Hf、Re、Pt原子を含む化合物を水添触媒として用いることができる。より具体的な水添触媒としては、特に限定されないが、例えば、Ti、Zr、Hf、Co、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Re等のメタロセン化合物;Pd、Ni、Pt、Rh、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒;Ni、Co等の金属元素の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機アルミニウム等の還元剤とを組み合わせた均一系チーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物又は錯体;水素を吸蔵させたフラーレンやカーボンナノチューブ等を挙げることができる。
これらのうち、Ti、Zr、Hf、Co、Niのいずれかを含むメタロセン化合物は、不活性有機溶媒中、均一系で水添反応できる点で好ましい。更に、Ti、Zr、Hfのいずれかを含むメタロセン化合物が好ましい。水添触媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエン系重合体を得る好ましい方法は、溶液重合し、得られた重合体溶液をそのまま用いて変性処理を行い、次いで必要に応じて水添工程に供することである。共役ジエン系重合体は、例えば、上記で得られた重合体溶液から溶媒を除去し、重合体を単離して得られる。重合体を単離するには、特に限定されないが、例えばスチームストリッピング等の公知の脱溶媒方法及び脱水押出機、乾燥押出機、コンベアを使用した熱処理等の乾燥操作によって行うことができる。
(共役ジエン系重合体組成物の製造方法)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を得る方法は、上述した特性が得られれば特に限定されないが、例えば、共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)のほかに必要に応じて配合される成分を、開放式混練機(例えば、ロール)、密閉式混練機(例えば、バンバリーミキサー)等の混練機を用いて混練することによって得る方法が挙げられる。また、共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)との重合体溶液同士をブレンド(混合)した後に、共役ジエン系重合体組成物を公知の脱溶媒方法及び乾燥操作によって得ることができる。この方法で、共役ジエン系重合体組成物を得る場合は、共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とが適度に相容されることにより、乾燥押出機を出る際に共役ジエン系重合体組成物が適度に発泡することで比表面積が増加するため、共役ジエン系重合体(B)単独よりも乾燥速度が向上する傾向にあり、生産性の面で好ましい。
特に、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を製造する方法は、
共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを含む共役ジエン系重合体において、
ビニル結合量及び/又は前記芳香族ビニル単量体の含有量によるガラス転移温度の変化と
ヨウ素価によるガラス転移温度の変化とを調べ、
両変化に基づいてSP値(MPa1/2)の差が0MPa1/2以上0.8MPa1/2であって、かつ、ガラス転移温度の差の絶対値が10℃以上80℃未満になるように2種の共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を選択し、
選択した共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を混合することにより、共役ジエン系重合体組成物を得る方法が好ましい。
共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を選択する具体的な方法は、上述した共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)の選定方法が挙げられる。
(空気入りタイヤ)
本実施形態の空気入りタイヤは、上述の共役ジエン系重合体組成物と、可塑剤成分と、充填剤成分とを含有する。
本実施形態の空気入りタイヤは、後述のゴム組成物を用いて製造することができる。
〔ゴム組成物〕
本実施形態の空気入りタイヤに用いるゴム組成物は、ゴム成分として、上述の共役ジエン系重合体を含む。上記共役ジエン系重合体以外で、一般的なタイヤ用ゴム配合物に汎用されているゴム成分も使用可能である。このようなゴム成分としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
充填剤成分は、ゴムの補強を目的にゴム配合物に配合されるものである。充填剤成分の具体例としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、雲母、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、アルミナ、酸化チタン、マイカ等の白色充填剤(無機充填剤)や、カーボンブラック等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、シリカ、カーボンブラックが好ましく、これらの併用がより好ましい。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐摩耗性の観点から、好ましくは60m2/g以上、より好ましくは120m2/g以上であり、低燃費性の観点から、好ましくは300m2/g以下、より好ましくは200m2/g以下である。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037-81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、低燃費性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上であり、また、ムーニー粘度の観点から、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FT及びMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPC及びCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック);グラファイト等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、通常5~200m2/gであり、耐摩耗性の観点から、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは80m2/g以上であり、また、低燃費性の観点から、好ましくは150m2/g以下、より好ましくは120m2/g以下である。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、通常5~300mL/100gであり、下限は80mL/100g、上限は180mL/100gであることが好ましい。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820-93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414-93に従って測定される。
カーボンブラックの含有量は、耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、低燃費性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、従来から公知のものを用いることができる。シランカップリング剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、2-クロロエチルトリメトキシシラン、2-クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系が挙げられる。なお、前記のシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、シランカップリング剤によるカップリング効果、加工性、コストの観点から、スルフィド系シランカップリング剤が好ましく、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、低燃費性、耐摩耗性の観点から、シリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、ムーニー粘度の観点から、シリカ100質量部に対して、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
可塑剤成分としては、特に限定されないが、例えば、オイル、樹脂、老化防止剤、ワックス、ステアリン酸、加硫促進剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
オイルとしては、特に限定されないが、例えば、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900~1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850~0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790~0.849)等を挙げることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20質量%以上である。これらの伸展油は、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
オイルの含有量は、ムーニー粘度の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、低燃費性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
樹脂としては、特に限定されないが、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、フェノール系樹脂、α-メチルスチレン及び/又はスチレンの共重合体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、クマロンインデン樹脂、フェノール系樹脂(特に、テルペンフェノール樹脂)、α-メチルスチレン及び/又はスチレンの共重合体が好ましく、α-メチルスチレン及びスチレンの共重合体がより好ましい。
樹脂の含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、低燃費性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
老化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤が好ましく、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミンがより好ましい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~4質量部である。
ワックスとしては、特に限定されないが、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~4質量部である。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、特に限定されないが、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~4質量部である。
加硫促進剤としては、特に限定されないが、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドがより好ましい。また、更にグアニジン系加硫促進剤を併用することも好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~4質量部である。
前記ゴム組成物には、前記成分以外にも、硫黄等の加硫剤;酸化亜鉛等の加硫活性化剤;有機過酸化物;滑剤等の加工助剤;老化防止剤等の従来ゴム工業で使用される配合剤を含有させることができる。
加硫剤としては、特に限定されないが、硫黄を好適に使用できる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~5質量部、より好ましくは1~3質量部である。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
前記ゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロール等で前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
前記ゴム組成物は、タイヤの各部材(トレッド、サイドウォール、カーカス、ベルト、ビード、クリンチ、チェーファー等)に使用でき、なかでも、トレッドとして好適に用いられる。2層構造のトレッドの場合には、表面層(キャップトレッド)及び内面層(ベーストレッド)から構成される。
多層構造のトレッドは、シート状にしたものを、所定の形状に貼り合わせる方法や、2本以上の押出し機に装入して押出し機のヘッド出口で2層以上に形成する方法により作製することができる。
本実施形態の空気入りタイヤは、前記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、ゴム成分及び必要に応じて前記各種配合剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド等の各タイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、本実施形態の空気入りタイヤが得られる。
本実施形態の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられ、特に乗用車用タイヤとして好適に用いられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
(共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw))
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」とも記す)測定装置を使用して、以下のとおりクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)を求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りテトラヒドロフラン(以下「THF」とも記す)を使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH-H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。
オーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、示差屈折率(以下「RI」とも記す)検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いた。測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液20μLをGPC測定装置に注入して測定した。
(共役ジエン系重合体の変性率)
共役ジエン系重合体の変性率は、カラム吸着GPC法で以下のとおり測定した。窒素原子含有官能基で変性した共役ジエン系重合体がカラムに吸着する特性を利用し、測定した。
共役ジエン系重合体及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、共役ジエン系重合体の変性率を求めた。
具体的には、以下に示すとおりとした。
試料溶液の調製:
共役ジエン系重合体10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを用いたGPC測定条件:
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置を使用して、以下のとおりクロマトグラムを測定した。
5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液20μLをGPC測定装置に注入して測定した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH-H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製 HLC8020)を用いて測定しクロマトグラムを得た。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:
東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLをGPC測定装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、商品名「Zorbax PSM-1000S」、「PSM-300S」、「PSM-60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
変性率の計算方法:
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1-(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
(共役ジエン系重合体及び共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度、及び示差走査熱量測定(以下「DSC」とも記す)微分曲線の共役ジエン系重合体由来のガラス転移によるピ-クトップ)
共役ジエン系重合体若しくは共役ジエン系重合体組成物を試料として、ISO22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピ-クトップ(Inflectionpoint)をガラス転移温度とし、そのピークトップ数を数えた。
共役ジエン系重合体組成物の場合、DSC微分曲線のピ-クトップが2つ以上存在する場合は、2つ以上の値を記載した。
(共役ジエン系重合体の結合スチレン量(芳香族ビニル単量体単位の含有量(質量%))、1,2-ビニル結合量(ブタジエン単位中の1,2-ビニル結合の含有量(mol%inBD))、エチレン構造量(質量%))
共役ジエン系重合体を、1H-NMR測定のサンプルとして用いて、結合スチレン量、1,2-ビニル結合量、エチレン構造量を測定した。測定条件を以下に記す。
(測定条件)
測定機器 :JNM-LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :共役ジエン系重合体
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
(共役ジエン系重合体のスチレンブロック含有量)
共役ジエン系重合体のスチレンブロック含有量を以下のとおり測定した。
スチレン構造単位が8個以上連なった連鎖をスチレンブロックとし、次のように求めた。共役ジエン系重合体について、重クロロホルムを溶媒として測定した400MHzの1H-NMRスペクトルから、以下の(X)の各化学シフト範囲の積分値割合を求め、共役ジエン系重合体中に含まれるスチレンブロックの含有量を求めた。
(X)芳香族ビニル化合物連鎖8以上:6.00≦S<6.68
(共役ジエン系重合体のヨウ素価)
「JIS K 0070:1992」に記載の方法に準じて共役ジエン系重合体のヨウ素価を算出した。
(共役ジエン系重合体のSP値)
共役ジエン系重合体のモル体積、凝集エネルギーを、Bicerano(文献:J.Bicerano,Prediction of Polymer Properties,3rd,MarcelDekker,2002)の方法で計算した。この際に前記方法にて測定した結合スチレン量、1,2ビニル結合量、エチレン構造量及び、これらから算出できるブチレン含有量、1,4シス結合含有量及び1,4トランス結合含有量を用いた。
凝集エネルギーに関しては、Van Krevelen法に準拠し計算した値を用いた。
次に、Jozef.Bicerano:PREDICTION OF POLYMER PROPERTIES, Marcel Dekker,AMERICA(2002)のp.615の17.8から17.10式に示される方法で共役ジエン系共重合体のSP値を求めた。なお、結晶性やブロック共重合体等のミクロ相分離構造は考慮しないものとした。
(水素添加触媒の調製)
後述する実施例及び比較例において、共役ジエン系重合体を調製する際に用いる水素添加触媒を、下記の方法により調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥及び精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ水素添加触媒(TC-1)を得た。
(重合例1)共役ジエン系重合体S1
内容積40Lで、攪拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、初期1,3-ブタジエンを2,100g、スチレンを780g、シクロヘキサンを21,000g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を30mmol及び2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン(BOP)を15.5mmol、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。
重合開始剤として、n-ブチルリチウムを22.1mmol、前記反応器に供給した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達した後に、追添1,3-ブタジエンを120g添加し、反応させた。
最終的な反応器内の温度は、76℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応器にカップリング剤として2,2-ジメトキシ-1-(3-卜リメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン(化合物1)を4.4mmol添加し、20分間、カップリング反応を実施した。この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを4.4mmolを添加し、水素添加前の共役ジエン系重合体溶液を得た。
得られた共役ジエン系重合体溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネート(酸化防止剤1)を12.6g、及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-о-クレゾール(酸化防止剤2)を3.0g添加した後、脱溶剤、乾燥処理を施し、共役ジエン系重合体(S1)を得た。
共役ジエン系重合体(S1)を上記方法により分析した。分析結果を表3に示す。
(重合例2)共役ジエン系重合体S2
内容積40Lで、攪拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、初期1,3-ブタジエンを2,100g、スチレンを780g、シクロヘキサンを21,000g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を30mmol及び2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを15.5mmol、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。
重合開始剤として、n-ブチルリチウムを22.1mmol、前記反応器に供給した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達した後に、追添1,3-ブタジエンを120g添加し、反応させた。
最終的な反応器内の温度は、76℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応器にカップリング剤として2,2-ジメトキシ-1-(3-卜リメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン(化合物1)を4.4mmol添加し、20分間、カップリング反応を実施した。この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを4.4mmolを添加し、水素添加前の共役ジエン系重合体溶液を得た。
この共役ジエン系重合体溶液に、前記水素添加触媒(TC-1)を、共役ジエン系重合体100質量部当たり、チタン基準で90ppm添加し、水素圧0.85MPa、平均温度90℃で,所定の水素が反応完了するまで水素添加反応行い、その後、共役ジエン系重合体溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネート(酸化防止剤1)を12.6g、及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-о-クレゾール(酸化防止剤2)を3.0g添加した後、脱溶剤、乾燥処理を施し、共役ジエン系重合体S2を得た。
共役ジエン系重合体S2を上記方法により分析した。分析結果を表3に示す。
(重合例4及び7)共役ジエン系重合体T1及びU1
表1に記載の重合処方に変えた以外は重合例1と同様の方法で各共役ジエン系重合体T1及びU1を得た。なお、重合例4及び7において、カップリング剤として、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピルトリエトキシシラン(化合物2)を用いた。
共役ジエン系重合体T1及びU1を上記方法により分析した。分析結果を表3に示す。
(重合例3、5、6、8及び9)共役ジエン系重合体S3、T2、T3、U2及びU3
表1に記載の重合処方に変えた以外は重合例2と同様の方法で各共役ジエン系重合体S3、T2、T3、U2及びU3を得た。
共役ジエン系重合体S3、T2、T3、U2及びU3を上記方法により分析した。分析結果を表3に示す。
(重合例10、14、17及び20)共役ジエン系重合体V1、W1、X1及びY1
表2に記載の重合処方に変えた以外は重合例1と同様の方法で各共役ジエン系重合体V1、W1、X1及びY1を得た。なお、重合例14において、カップリング剤として、四塩化ケイ素(化合物3)を用いた。
共役ジエン系重合体V1、W1、X1及びY1を上記方法により分析した。分析結果を4に示す。
(重合例11、12、13、15、16、18,19及び21)共役ジエン系重合体V2、V3、V4、W2、W3、X2、X3及びY2
表2に記載の重合処方に変えた以外は重合例2と同様の方法で各共役ジエン系重合体V2、V3、V4、W2、W3、X2、X3及びY2を得た。
共役ジエン系重合体V2、V3、V4、W2、W3、X2、X3及びY2を上記方法により分析した。分析結果を表4に示す。
Figure 2022030649000001
Figure 2022030649000002
表1及び2中の、化合物1、化合物2、化合物3を下記に示す。
化合物1:2,2-ジメトキシ-1-(3-卜リメキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン
化合物2:3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピルトリエトキシシラン
化合物3:四塩化ケイ素
Figure 2022030649000003
Figure 2022030649000004
〔実施例1~20及び比較例1~11〕
表1及び表2に示す、重合例1~21で得られた各共役ジエン系重合体を表5及び6の比率でブレンド(混合)し、共役ジエン系重合体組成物とした。なお、実施例1~20においては、共役ジエン系重合体について、表3及び4に示す、1,2ビニル結合量及び結合スチレン量(芳香族ビニル単量体の含有量)によるガラス転移温度の変化とヨウ素価によるガラス転移温度の変化とを調べ、両変化に基づいてSP値(MPa1/2)の差が0MPa1/2以上0.8MPa1/2であって、かつ、ガラス転移温度の差の絶対値が10℃以上80℃未満になるように2種の共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を選択した。得られた共役ジエン系重合体組成物の物性を上記方法により測定した。
共役ジエン系重合体組成物のブレンド(混合)比率及び共役ジエン系重合体組成物の物性を表5及び表6に示す。
Figure 2022030649000005
Figure 2022030649000006
〔実施例21~40及び比較例12~22〕
実施例1~20及び比較例1~11で調製した各共役ジエン系重合体組成物を原料ゴムとして用いて、以下に示す配合条件及び混練り方法に従い、それぞれの原料ゴムを含有するゴム配合物を得た。得られたゴム配合物の各特性を以下の方法で測定した。測定結果を表7及び8に示す。
(配合条件)
・原料ゴム(実施例1~20及び比較例1~11の共役ジエン系重合体組成物):100質量部
下記各配合剤の添加量は、ゴム用軟化剤を含まないゴム成分(共役ジエン系重合体組成物)100質量部に対する質量部数で示した。
・シリカ1(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」窒素吸着比表面積170m2/g):50.0質量部
・シリカ2(ローディア社製の商品名「Zeosil Premium 200MP」窒素吸着比表面積220m2/g):25.0質量部
・カーボンブラック(東海カーボン社製の商品名「シーストKH(N339)」):5.0質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ社製の商品名「Si75」、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド):6.0質量部
・SRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」):25.0質量部
・亜鉛華:2.5質量部
・ステアリン酸:1.0質量部
・老化防止剤(N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤1(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
・加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
・合計:222.4質量部
(混練り方法)
上記した材料を次の方法により混練してゴム配合物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30~50rpmの条件で、各原料ゴム成分(実施例1~20及び比較例1~11の共役ジエン系重合体組成物)、充填剤(シリカ1、シリカ2、カーボンブラック)、シランカップリング剤、SRAEオイル、亜鉛華及びステアリン酸を混練した。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155~160℃で各配合物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1、2を加えて混練してゴム配合物を得た。その後、得られたゴム配合物を成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後のゴム配合物(実施例21~40、比較例12~22)の各特性を評価した。具体的には、下記の方法により評価した。
<評価項目及び試験方法>
得られた加硫後のゴム配合物について、下記の評価を行った。その結果を下記表7及び8に示す。
(省燃費性能、ウェットグリップ性能)
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで加硫後のゴム配合物の粘弾性パラメータを測定した。
50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費性能の指標とした。指数が大きいほど省燃費性能が良好であることを示す。
また、0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットグリップ性能の指標とした。指数が大きいほどウェットグリップ性能が良好であることを示す。
実施例21~25及び比較例13、14の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能については、比較例12の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能の結果を100として指数化し、表7に示した。実施例26~28及び比較例16の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能については、比較例15の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能の結果を100として指数化し、表7に示した。実施例29~32の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能については、比較例17の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能の結果を100として指数化し、表8に示した。実施例33~35及び比較例19の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能については、比較例18の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能の結果を100として指数化し、表8に示した。実施例36及び37の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能については、比較例20の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能の結果を100として指数化し、表8に示した。実施例38の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能については、比較例21の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能の結果を100として指数化し、表8に示した。実施例39及び40の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能については、比較例22の加硫後のゴム配合物の省燃費性能及びウェットグリップ性能の結果を100として指数化し、表8に示した。
(破壊特性)
JIS K6251の引張試験法に準拠し、加硫後のゴム配合物の破断強度及び破断伸びを測定し、その測定値の積を破壊特性とした。
破壊特性について、実施例21~25及び比較例13、14の加硫後のゴム配合物については、比較例12の加硫後のゴム配合物の結果を100として指数化し、表7に示した。実施例26~28及び、比較例16の加硫後のゴム配合物については、比較例15の加硫後のゴム配合物の結果を100として指数化し、表7に示した。実施例29~32の加硫後のゴム配合物については、比較例17の加硫後のゴム配合物の結果を100として指数化し、表8に示した。実施例33~35及び比較例19の加硫後のゴム配合物については、比較例18の加硫後のゴム配合物の結果を100として指数化し、表8に示した。実施例36、37の加硫後のゴム配合物については、比較例20の加硫後のゴム配合物の結果を100として指数化し、表8に示した。実施例38の加硫後のゴム配合物については、比較例21の加硫後のゴム配合物の結果を100として指数化し、表8に示した。実施例39、40の加硫後のゴム配合物については、比較例22の加硫後のゴム配合物の結果を100として指数化し、表8に示した。
(加熱後の破断強度変化)
また、加硫後のゴム配合物を大気下150℃で5時間加熱した後に、前記と同様の方法で、破断強度を測定し、加熱前後での破断強度の変化量を算出した。この変化量が小さいほど、耐熱性に優れ、製造が持続することを示すものと評価した。
表7及び表8には、加熱前後での破断強度の変化量が0MPa以上1.0MPa未満であれば◎、1.0MPa以上2.5MPa未満であれば〇、2.5MPa以上4.0MPa未満であれば△、4.0MPa以上であれば×として、加熱後の破断強度変化を評価した。実用上△、〇、◎であることが必要で、〇、◎であることが好ましい。
(加硫時間延長時の耐破壊特性変化)
前記と同様の方法で、加硫後のゴム配合物を得る際に、加硫時間のみを変更し、160℃、40分間、加硫プレスで加硫した。
上記条件で得た加硫後のゴム配合物について、前記と同様の破壊特性を測定し、加硫時間を160℃、20分間とした加硫後のゴム配合物との破壊特性の差を評価した。
表7及び8には、160℃、20分で加硫したゴム配合物の破壊特性を基準として、160℃、40分間で加硫したゴム配合物の破壊特性が20%以上悪化した場合は×、10%以上20%未満の悪化の場合は△、4%以上10%未満の悪化の場合は〇、4%未満の悪化又は悪化しなかった場合(同等)若しくは良化した場合は◎とした。
加硫時間を延長した場合の、破壊特性の悪化が小さいほど、ゴム配合物の物性が安定していることを示し、実用上△、〇、◎である必要があり、〇、◎であることが好ましい。
Figure 2022030649000007
Figure 2022030649000008
表7及び表8に示す通り、実施例1~20で得られた共役ジエン系重合体組成物を用いたゴム配合物(実施例21~40)は、比較例1~11で得られた共役ジエン系重合体組成物を用いたゴム配合物(比較例12~22)と比較して、加硫物としたときに省燃費性能とウェットグリップ性能とのバランスに優れ、且つ破壊特性、加熱後の破断強度変化、加硫時間延長時の耐破壊特性変化に優れることが確認された。また、本実施例により配合自由度の高い共役ジエン系重合体組成物が得られることが確認された。
本発明の共役ジエン系重合体組成物は、タイヤトレッド、自動車の内装及び外装品、防振ゴム、ベルト、履物、発泡体、各種工業用品用途の材料等として、産業上の利用可能性がある。

Claims (11)

  1. 共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とを含み、
    共役ジエン系重合体(A)は芳香族ビニル単量体単位を5質量%以上60質量%以下含有し、ヨウ素価が5~200 Ig/100gであり、
    共役ジエン系重合体(B)は芳香族ビニル単量体単位を0質量%以上50質量%以下含有し、ヨウ素価が5~200 Ig/100gであり、
    共役ジエン系重合体(A)のSP値(MPa1/2)から共役ジエン系重合体(B)のSP値(MPa1/2)を引いた差((A)のSP値-(B)のSP値)が0MPa1/2以上0.8MPa1/2以下であり、
    共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とのヨウ素価の差の絶対値(|(A)のヨウ素価-(B)のヨウ素価|)が100 Ig/100g以下であり、
    共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)とのガラス転移温度の差の絶対値(|(A)のガラス転移温度-(B)のガラス転移温度|)が10℃以上60℃以下である、共役ジエン系重合体組成物。
  2. 共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量が23万以上100万未満である、請求項1に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  3. 共役ジエン系重合体(B)の重量平均分子量が23万以上100万未満である、請求項1又は2に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  4. 共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)との質量比率((A)の質量:(B)の質量)が20:80~80:20である、請求項1~3のいずれか1項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  5. 共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)の変性率が60%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  6. 共役ジエン系重合体(A)と共役ジエン系重合体(B)のヨウ素価の差の絶対値(|(A)のヨウ素価-(B)のヨウ素価|)が80 Ig/100g未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  7. 共役ジエン系重合体(A)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量と共役ジエン系重合体(B)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量の差((A)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量-(B)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の含有量)が5質量%以上30質量%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  8. 前記共役ジエン系重合体組成物のDSC測定において、DSC微分曲線の共役ジエン系重合体由来のガラス転移によるピークトップが1つである、請求項1~7のいずれか1項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  9. DSCで測定した前記共役ジエン系重合体組成物のガラス転移温度が-65~-15℃である、請求項1~8のいずれか1項に記載の共役ジエン系重合体組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の共役ジエン系重合体組成物と、可塑剤成分と、充填剤成分とを含有する、空気入りタイヤ。
  11. 共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを含む共役ジエン系重合体において、
    ビニル結合量及び/又は前記芳香族ビニル単量体の含有量によるガラス転移温度の変化と
    ヨウ素価によるガラス転移温度の変化とを調べ、
    両変化に基づいてSP値(MPa1/2)の差が0MPa1/2以上0.8MPa1/2であって、かつ、ガラス転移温度の差の絶対値が10℃以上80℃未満になるように2種の共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を選択し、
    選択した共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(B)を混合することにより、共役ジエン系重合体組成物を製造する方法。
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