JP2023127965A - ソリッドタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の白色度を有し、かつ、低発熱性能、耐摩耗性能、および耐カット性能の総合性能が改善されたソリッドタイヤを提供すること。【解決手段】ゴム成分および白色充填材を含有するゴム組成物により構成されたトレッド部を有するソリッドタイヤであって、前記ゴム組成物のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が80以上であり、前記ゴム成分がイソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含み、前記白色充填剤がシリカおよび酸化チタンを含み、前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対する前記白色充填剤の質量含有比が2.3未満であり、前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対するスチレンブタジエンゴムの質量含有比が1.0未満であるソリッドタイヤ。【選択図】なし

Description

本開示は、ソリッドタイヤに関する。
トラクッシュタイヤなどのソリッドタイヤは、フォークリフトなどの産業車両用タイヤとして使用されている。産業用車両は、比較的低速かつ高荷重で使用され、悪路の状況下で使用されるため、耐カット性能、耐摩耗性能等の諸特性が要求される。
特許文献1には、高硬質ゴム組成物をベース部に用い、破壊特性等に優れたトラクッシュタイヤが記載されている。
また、屋内で使用する産業車両用のタイヤとして、タイヤ痕が路面に付きにくい白色度の高いソリッドタイヤが求められている。
特開平7-118444号公報
本開示は、所定の白色度を有し、かつ、低発熱性能、耐摩耗性能、および耐カット性能の総合性能が改善されたソリッドタイヤを提供することを目的とする。
鋭意検討した結果、特定のゴム成分および特定の白色充填剤を所定の比率で配合したゴム組成物をトレッド部に用いたソリッドタイヤとすることにより、上記課題を解決できることが見出された。
すなわち、本開示は、ゴム成分および白色充填材を含有するゴム組成物により構成されたトレッド部を有するソリッドタイヤであって、前記ゴム組成物のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が80以上であり、前記ゴム成分がイソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含み、前記白色充填剤がシリカおよび酸化チタンを含み、前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対する前記白色充填剤の質量含有比が2.3未満であり、前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対するスチレンブタジエンゴムの質量含有比が1.0未満であるソリッドタイヤに関する。
本開示によれば、所定の白色度を有し、かつ、低発熱性能、耐摩耗性能、および耐カット性能の総合性能が改善されたソリッドタイヤが提供される。
本開示のソリッドタイヤの一の実施形態を示す、適用リムへの組み付け前のタイヤ姿勢におけるタイヤ子午線断面図である。 ソリッドタイヤの他の実施形態を示す、適用リムへの組み付け前のタイヤ姿勢におけるタイヤ子午線断面図である。
本開示に係るソリッドタイヤは、ゴム成分および白色充填材を含有するゴム組成物により構成されたトレッド部を有するソリッドタイヤであって、前記ゴム組成物のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が80以上であり、前記ゴム成分がイソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含み、前記白色充填剤がシリカおよび酸化チタンを含み、前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対する前記白色充填剤の質量含有比が2.3未満であり、前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対するスチレンブタジエンゴムの質量含有比が1.0未満である。理論に拘束されることは意図しないが、本開示の効果が発揮されるメカニズムとしては、例えば以下のように考えられる。
ゴム成分がイソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むことで、イソプレン系ゴムが海となる海島構造をとるため、傷が広がりにくくなり、ゴム組成物の耐カット性および耐摩耗性能が向上すると考えられる。また、シリカはイソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴム中に分散されやすいことから、低発熱性能および耐摩耗性能が向上すると考えられる。さらに、酸化チタンを含む白色充填剤を所定の含有比で配合することで、該ゴム組成物をトレッド部に用いたソリッドタイヤは、高い白色度を有し、かつ低発熱性能、耐摩耗性能、および耐カット性能の総合性能が改善するという、特筆すべき効果が達成されると考えられる。
前記ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)に、前記トレッド部のタイヤ子午線断面でのトレッドラジアス(mm)を乗じた値は、8500以上であることが好ましい。
前記ゴム組成物中の酸化チタンに対するイソプレン系ゴムの質量含有比は、1.0超であることが好ましい。
酸化チタンの平均粒子径は、0.30nm以下であることが好ましい。
前記ゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対し、シリカを30~75質量部含有することが好ましく、酸化チタンを1~40質量部含有することが好ましい。また、前記白色充填剤中のシリカに対する酸化チタンの質量含有比は、0.14~0.75であることが好ましい。
ゴム成分全量中の総スチレン量は1.0~13.0質量%であることが好ましく、ゴム成分全量中の1,2-結合ブタジエン単位量は2.0~21.0質量%であることが好ましい。
<定義>
「白色度」は、CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*により評価することができる。
「ゴム成分全量中の総スチレン量」とは、ゴム成分100質量%中に含まれるスチレン部の合計含有量(質量%)であって、Σ(各スチレン含有ゴムのスチレン含量(質量%)×各スチレン含有ゴムのゴム成分中の含有量(質量%)/100)により計算される。
「ゴム成分全量中の1,2-結合ブタジエン単位量」とは、ゴム成分100質量%中に含まれる1,2-結合ブタジエン単位の合計含有量(質量%)であって、Σ(各ブタジエン単位含有ゴムの1,2-結合ブタジエン単位量(質量%)×各ブタジエン単位含有ゴムのゴム成分中の含有量(質量%)/100)により計算される。ブタジエンゴムは、ブタジエン単位のみにより構成されるため、前記ブタジエン単位含有ゴムの1,2-結合ブタジエン単位量は、ブタジエンゴムのビニル含量と同じ値となる。また、ブタジエン単位含有ゴムがスチレンブタジエンゴムである場合は、ブタジエン単位含有ゴムの1,2-結合ブタジエン単位量は、下記式により求められる。
(ブタジエン単位含有ゴムの1,2-結合ブタジエン単位量(質量%))=(100-スチレン含量)×(スチレンブタジエンゴムのビニル含量)/100
「オイルの含有量」は、油展ゴムに含まれるオイル量も含む。
<測定方法>
「CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*」は、分光色差計(例えば、日本電色工業(株)製のZE7700)を用い、JIS Z 8722:2009に準拠して求めることができる。
「トレッド部のタイヤ子午線断面でのトレッドラジアス(mm)」は、タイヤ赤道面CL上の点P1、および点P1からタイヤ幅方向にトレッド半幅Tw/2の50%の距離を隔てた点P2を通る円弧の曲率半径を意味する。なお点P1および点P2はトレッド面上の点である。
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される値であり、例えば、SBR等のスチレンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。「ビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、SBR、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。例えば、SBR、BR、樹脂成分、液状ゴム等に適用される。
「シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される。「シリカの平均一次粒子径」は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
「酸化チタンの平均一次粒子径」は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。「酸化チタンの吸油量」は、JIS K 5101-13-1:2004に準拠し測定される。
本開示の一実施形態であるソリッドタイヤについて、以下に詳細に説明する。ただし、以下の記載は本開示を説明するための例示であり、本開示の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
<ソリッドタイヤ>
図1に、本開示のソリッドタイヤの一の実施形態を示す、適用リムへの組み付け前のタイヤ姿勢におけるタイヤ子午線断面図を示すが、本開示はこれに限定されるものではない。
本開示のソリッドタイヤは、リムに組み付けられる環状のベース部1と、ベース部1のタイヤ半径方向外側に設けられたトレッド部2とを備える。図1においては、ベース部1の内周面からトレッド表面に向かって所定の位置に、ソリッドタイヤの回転軸を中心に環状に設けられたコード層3を有している。コード層3は、タイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向に離間して一対設けられており、タイヤ幅方向に離間した一対のコード層3の間には間隙部4を有している。コード層3のコードは、スチールコードの他、有機繊維コードを用いることができる。
本開示のソリッドタイヤは、ベース部1のリム径ラインより下部の片側もしくは両側(図2では片側)に、タイヤ径方向内側に突出する突起部5を設けてもよい。かかる突起部5は、リム組に使用するサイドリングを使用せずに組付けできる構造であり、リム組時間を短縮化でき、リムコストを低減することができる。
トレッド部のタイヤ子午線断面でのトレッドラジアスは、150mm以上が好ましく、170mm以上がより好ましく、190mm以上がさらに好ましく、210mm以上が特に好ましい。また、トレッドラジアスは、700mm以下が好ましく、500mm以下がより好ましく、350mm以下がさらに好ましい。
ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)に、前記トレッド部のタイヤ子午線断面でのトレッドラジアス(mm)を乗じた値は、8500以上が好ましく、8800以上がより好ましく、9500以上がさらに好ましく、10000以上がさらに好ましく、11000以上がさらに好ましく、12000以上がさらに好ましく、13000以上が特に好ましい。トレッドラジアスが小さいとクラウン部の接地圧が高くなりクラウン部の摩耗が進みやすくなると考えられる。イソプレン系ゴムの含有量およびトレッドラジアスの積を前記の範囲とすることで、タイヤ強度および耐摩耗性能をより向上させることができる。一方、ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)に、前記トレッド部のタイヤ子午線断面でのトレッドラジアス(mm)を乗じた値の上限値は、特に制限されないが、63000以下が好ましく、54000以下がより好ましく、45000以下がさらに好ましく、36000以下がさらに好ましく、27000以下が特に好ましい。
[トレッド用ゴム組成物]
本開示に係るソリッドタイヤのトレッド部を構成するゴム組成物(以下、単に、本開示のゴム組成物という)は、特定のゴム成分および特定の白色充填剤を所定の比率で含有することを特徴とする。本開示のゴム組成物は、いずれも以下に説明する原料を用いて、要求される白色度等に応じて製造することができる。以下に詳細に説明する。
<ゴム成分>
本開示のゴム組成物は、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴム(SBR)を含むゴム成分を含有する。また、ブタジエンゴム(BR)も好適に用いられる。該ゴム成分は、イソプレン系ゴムおよびSBRのみからなるゴム成分としてもよく、イソプレン系ゴム、SBR、およびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
イソプレン系ゴムのゴム成分中の含有量は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、55質量%以上が特に好ましい。また、該含有量は、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましく、85質量%以下が特に好ましい。イソプレン系ゴムは他のゴム成分に比して分子量が大きいため、イソプレン系ゴムの含有量が前記範囲であることで、ポリマーの強度が向上し、ゴム組成物の低発熱性能が向上すると考えられる。
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、未変性の溶液重合SBR(S-SBR)や乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。これらのSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRとしては油展SBRを用いることもできるし、非油展SBRを用いることもできる。油展SBRを用いる場合、SBRの油展量、すなわち、SBRに含まれる油展オイルの含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
本開示で使用できるS-SBRとしては、JSR(株)、住友化学(株)、宇部興産(株)、旭化成(株)、ZSエラストマー(株)等より市販されているものを使用することができる。
SBRのスチレン含量は、耐カット性能および耐チッピング性能の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、低発熱性能の観点からは、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、前記測定方法により測定される。
SBRのビニル含量は、シリカとの反応性の担保、ゴム強度、および耐摩耗性能の観点から、10モル%以上が好ましく、12モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル含量は、温度依存性の増大防止、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、80モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましく、65モル%以下がさらに好ましい。なお、SBRのビニル含量は、前記測定方法により測定される。
SBRのゴム成分中の含有量は、低発熱性能および耐カット性能の観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、該含有量は、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
(BR)
BRとしては特に限定されず、例えば、シス含量が90モル%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のもの、宇部興産(株)製のもの、JSR(株)製のもの等が挙げられる。ハイシスBRを含有することで耐摩耗性能を向上させることができる。ハイシスBRのシス含量は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、96モル%以上がさらに好ましく、97モル%以上が特に好ましい。なお、BRのシス含量は、前記測定方法により測定される。
SPB含有BRは、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、JSR(株)製、宇部興産(株)製のものなどを用いることができる。
変性BRとしては、スズでカップリングされた末端変性BR、アルコキシシリル基および/またはアミノ基を有する末端変性BRが好適に用いられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。このような変性BRとしては、日本ゼオン(株)製のもの、旭化成ケミカルズ(株)製のものなどを用いることができる。
前記で列挙されたBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、BRのMwは、前記測定方法により測定される。
BRのビニル含量は、1モル%以上が好ましく、2モル%以上がより好ましく、3モル%以上がさらに好ましい。また、BRのビニル含量は、96モル%以下が好ましく、94モル%以下がより好ましく、92モル%以下がさらに好ましい。なお、BRのビニル含量は、前記測定方法により測定される。
BRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、耐カット性能の観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、7質量%以上が特に好ましい。また、該含有量は、29質量%以下が好ましく、27質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、22質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、18質量%以下が特に好ましい。
(その他のゴム成分)
ゴム成分は、本開示の効果に影響を与えない範囲で、前記ゴム以外の他のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等の、イソプレン系ゴム、SBR、およびBR以外のジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これら他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジエン系ゴムのゴム成分中の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましい。また、ジエン系ゴムのみからなるゴム成分としてもよい。また、上記のゴム成分の他に、公知の熱可塑性エラストマーを含有してもよく、含有しなくてもよい。
ゴム成分全量中の総スチレン量は、耐カット性能および耐チッピング性能の観点から、1.0質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましく、3.0質量%以上がさらに好ましく、4.0質量%以上が特に好ましい。また、低発熱性能の観点からは、13.0質量%以下が好ましく、12.0質量%以下がより好ましく、11.0質量%以下がさらに好ましく、10.0質量%以下が特に好ましい。
ゴム成分全量中の総スチレン量は、当該ゴム成分に含まれる各ゴム成分のスチレン含量の加重平均値に相当するため、例えば、スチレン含量の値の大きいゴム成分を多く用いることにより大きくすることができ、逆に、芳香族ビニル単位含量の値の小さいゴム成分を多く用いることにより小さくすることができる。
ゴム成分全量中の1,2-結合ブタジエン単位量は、シリカとの反応性の担保、ゴム強度、および耐摩耗性能の観点から、2.0質量%以上が好ましく、2.3質量%以上がより好ましく、2.6質量%以上がさらに好ましく、3.0質量%以上が特に好ましい。また、経年劣化および熱劣化の観点からは、21.0質量%以下が好ましく、19.0質量%以下がより好ましく、17.0質量%以下がさらに好ましく、15.0質量%以下が特に好ましい。
ゴム成分全量中の1,2-結合ブタジエン単位量は、当該ゴム成分に含まれる各ゴム成分の1,2-結合ブタジエン単位量の加重平均値に相当するため、例えば、ビニル含量の値の大きいブタジエン単位含有ゴムを多く用いることにより大きくすることができ、逆に、ビニル含量の値の小さいブタジエン単位含有ゴムを多く用いることにより小さくすることができる。
<白色充填剤>
本開示のゴム組成物は、白色充填剤として、シリカおよび酸化チタンを含有する。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐破壊性能および耐摩耗性能の観点から、90m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましく、110m2/g以上がさらに好ましく、130m2/g以上がさらに好ましく、150m2/g以上がさらに好ましく、170m2/g以上が特に好ましい。また、低発熱性能および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記方法により測定される。
シリカの平均一次粒子径は、耐破壊性能および耐摩耗性能の観点から、30nm以下が好ましく、25nm以下がより好ましく、22nm以下がさらに好ましく、20nm以下がさらに好ましく、19nm以下がさらに好ましく、18nm以下が特に好ましい。また、低発熱性能および加工性の観点からは、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましく、7nm以上が特に好ましい。なお、シリカの平均一次粒子径は、前記測定方法により測定される。
ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、補強性および耐摩耗性能の観点から、30質量部以上が好ましく、35質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、45質量部以下が特に好ましい。また、低発熱性能の観点からは、75質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、65質量部以下がさらに好ましく、60質量部以下が特に好ましい。
酸化チタンの平均一次粒子径は、耐摩耗性能および耐カット性能の観点から、0.30nm以下が好ましく、0.28nm以下がより好ましく、0.26nm以下がさらに好ましく、0.24nm以下が特に好ましい。また、低発熱性能および加工性の観点からは、0.01nm以上が好ましく、0.03nm以上がより好ましく、0.05nm以上がさらに好ましく、0.07nm以上がさらに好ましく、0.10nm以上が特に好ましい。なお、酸化チタンの平均一次粒子径は、前記測定方法により測定される。
酸化チタンの吸油量は、白色度の観点から、12g/100g以上が好ましく、14g/100g以上がより好ましく、16g/100g以上がさらに好ましい。また、加工性の観点からは、39g/100g以下が好ましく、35g/100g以下がより好ましく、31g/100g以下がさらに好ましく、27g/100g以下が特に好ましい。なお、酸化チタンの吸油量は、前記測定方法により測定される。
ゴム成分100質量部に対する酸化チタンの含有量は、白色度の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、7質量部以上が特に好ましい。一方、酸化チタンの含有量の上限値は特に制限されないが、コストの観点から、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、35質量部以下が特に好ましい。
(その他の白色充填剤)
白色充填剤は、本開示の効果に影響を与えない範囲で、シリカおよび酸化チタン以外の他の白色充填剤を含有してもよい。他の白色充填剤としては、タイヤ工業で一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、クレー、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、セリサイト等が挙げられる。コストおよび補強性の観点から、炭酸カルシウムが好ましい。これら他の白色充填剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
白色充填剤中のシリカに対する酸化チタンの質量含有比は、白色度の観点から、0.14以上が好ましく、0.16以上がより好ましく、0.18以上がさらに好ましい。また、補強性の観点からは、0.75以下が好ましく、0.72以下がより好ましく、0.70以下がさらに好ましい。
ゴム成分100質量部に対する白色充填剤の合計含有量は、30質量部以上が好ましく、40質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、60質量部以下が特に好ましい。また、白色充填剤の合計含有量は、110質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、95質量部以下がさらに好ましく、90質量部以下が特に好ましい。
ゴム組成物中の酸化チタンに対するイソプレン系ゴムの質量含有比は、白色度の観点から、1.0超が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましく、1.3以上がさらに好ましく、1.4以上がさらに好ましく、1.5以上がさらに好ましく、1.6以上が特に好ましい。また、コストおよび補強性の観点からは、9.0以下が好ましく、8.0以下がより好ましく、7.0以下がさらに好ましく、6.0以下がさらに好ましく、5.0以下がさらに好ましく、4.5以下がさらに好ましく、4.0以下が特に好ましい。
ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、白色度の観点から、5質量部未満が好ましく、3質量部未満がより好ましく、1質量部未満がさらに好ましく、0.5質量部未満がさらに好ましく、0.1質量部未満がさらに好ましく、カーボンブラックを含有しないことが特に好ましい。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、Momentive社製のNXT-Z100、NXT-Z45、NXT等のメルカプト系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤等が挙げられ、スルフィド系シランカップリング剤が好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、シリカの分散性を高める観点から、8.0質量部以上が好ましく、8.5質量部以上がより好ましく、9.0質量部以上がさらに好ましく、9.5質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の低下を防止する観点からは、18質量部以下が好ましく、16質量部以下がより好ましく、14質量部以下がさらに好ましく、12質量部以下が特に好ましい。
<その他の配合剤>
本開示のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、オイル、樹脂成分、ワックス、加工助剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂成分を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、低発熱性能の観点からは、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、無着色かつ非汚染性であることから、フェノール系老化防止剤が好ましい。フェノール系老化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、モノ(またはジ、またはトリ)(α-メチルベンジル)フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;2,2-メチレンビス(4-エチル-6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-ジ-tert-ブチルフェノール)等のビスフェノール系老化防止剤;2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン等のポリフェノール系老化防止剤が挙げられ、モノフェノール系老化防止剤が好ましく、モノ(またはジ、またはトリ)(α-メチルベンジル)フェノールがより好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保し、良好なグリップ性能および耐摩耗性能を得るという観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、劣化の観点からは、3.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系若しくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これらの加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、およびチアゾール系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましくスルフェンアミド系加硫促進剤がより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)が好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましく、4質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
本開示のゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
トレッド部を備えたソリッドタイヤは、前記のゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ゴム成分に対して上記各成分を必要に応じて配合した未加硫のゴム組成物を、所定の形状の口金を備えた押し出し機でトレッド部の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上でトレッド部および他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本開示のソリッドタイヤを製造することができる。
以下、本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示はこれら実施例のみに限定されるものではない。
以下に示す各種薬品を用いて、表1および表2に従って得られるゴム組成物からなるトレッド部を備えるソリッドタイヤを想定し、下記評価方法に基づいて算出した結果を表1および表2に示す。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
SBR:JSR(株)製のSBR1502(E-SBR、スチレン含量:23.5質量%、ビニル含量:18モル%、Mw:42万)
BR1:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(未変性ハイシスBR、ビニル含量:1モル%、シス含量:97モル%、Mw:44万)
BR2:JSR(株)製のRB810(SPB含有BR、ビニル含量:90モル%、Mw:20万)
酸化チタン1:石原産業(株)製のA-100(平均一次粒子径:0.15nm、吸油量:22g/100g)
酸化チタン2:石原産業(株)製のCR-57(平均一次粒子径:0.25nm、吸油量:17g/100g)
炭酸カルシウム:(株)カルファイン製のFP-300
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g、平均一次粒子径:17nm)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラックSP(モノ(またはジ、またはトリ)(α-メチルベンジル)フェノール)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
硫黄:日本乾溜工業(株)製のセイミOT(10%オイル含有不溶性硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS-P(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS))
(実施例および比較例)
表1および表2に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度170℃になるまで5分間混練りし、混練物を得る。さらに、得られた混練物を前記バンバリーミキサーにより、排出温度150℃で4分間、再度混練りする。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られた未加硫ゴム組成物を、所定の形状の口金を備えた押し出し機でトレッド部の形状に押し出し成形し、ベース部および他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、各試験用ソリッドタイヤを製造する。
<白色度の評価>
各試験用ソリッドタイヤのトレッド部から切り出した加硫ゴム試験片について、CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*を、分光色差計(日本電色工業(株)製のZE7700)を用い、JIS Z 8722:2009に準拠して測定する。
<低発熱性能の評価>
各試験用ソリッドタイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ幅方向が厚さ方向となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出した加硫ゴム試験片について、TA Instruments社製の粘弾性スペクトロメーターRSA-G2を用いて、温度70℃、初期歪み5%、動歪み±1%、周波数10Hzで、損失正接(tanδ)を測定する。得られた70℃におけるtanδの逆数の値について、比較例1を100として指数表示する(低発熱性能指数)。指数が大きいほど低発熱性能に優れることを示す。
(低発熱性能指数)=(比較例1の加硫ゴム試験片の70℃におけるtanδ)/(各加硫ゴム試験片の70℃におけるtanδ)×100
<耐摩耗性能の評価>
各試験用ソリッドタイヤのトレッド部から切り出した厚み5mmの加硫ゴム試験片を用いて次のような摩耗試験を行う。岩本製作所(株)製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/分、負荷荷重4.5kg、落砂量15g/分でスリップ率50%にて試験片の摩耗量を測定する。摩耗量の逆数の値について、比較例1を100として指数表示する(耐摩耗性能指数)。指数が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能指数)=(比較例1の加硫ゴム試験片の摩耗量)/(各加硫ゴム試験片の摩耗量)×100
<耐カット性能の評価>
各試験用ソリッドタイヤのトレッド部から切り出した加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を、JIS K 6251:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて、130℃雰囲気下にて引張試験を実施する。破断時強度(TB)(MPa)、および破断時伸び(EB)(%)を測定し、(TB×EB)/2により各加硫ゴム試験片の破壊エネルギーを求める。そして、下記式により耐カット性能指数を算出する。指数が大きいほど、耐カット性能に優れることを示す。
(耐カット性能指数)=(各加硫ゴム試験片の破壊エネルギー)/(比較例1の加硫ゴム試験片の破壊エネルギー)×100
<総合性能>
低発熱性能指数、耐摩耗性能指数、および耐カット性能指数の総和を、低発熱性能、耐摩耗性能、および耐カット性能の総合性能指数として表示する。指数が大きいほど、総合性能が向上したことを示す。本開示では、総合性能指数が300超の場合、総合性能が向上したものとする。
Figure 2023127965000001
Figure 2023127965000002
<実施形態>
本開示の実施形態の例を以下に示す。
〔1〕ゴム成分および白色充填材を含有するゴム組成物により構成されたトレッド部を有するソリッドタイヤであって、前記ゴム組成物のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が80以上であり、前記ゴム成分がイソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含み、前記白色充填剤がシリカおよび酸化チタンを含み、前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対する前記白色充填剤の質量含有比が2.3未満であり、前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対するスチレンブタジエンゴムの質量含有比が1.0未満であるソリッドタイヤ。
〔2〕前記ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)に、前記トレッド部のタイヤ子午線断面でのトレッドラジアス(mm)を乗じた値が8500以上である、上記〔1〕記載のソリッドタイヤ。
〔3〕前記ゴム組成物中の酸化チタンに対するイソプレン系ゴムの質量含有比が1.0超である、上記〔1〕または〔2〕記載のソリッドタイヤ。
〔4〕酸化チタンの平均粒子径が0.30nm以下である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のソリッドタイヤ。
〔5〕前記白色充填剤中のシリカに対する酸化チタンの質量含有比が0.14~0.75である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のソリッドタイヤ。
〔6〕前記ゴム成分100質量部に対し、シリカを30~75質量部含有する、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のソリッドタイヤ。
〔7〕前記ゴム成分100質量部に対し、酸化チタンを1~40質量部含有する、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のソリッドタイヤ。
〔8〕ゴム成分全量中の総スチレン量が1.0~13.0質量%である、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のソリッドタイヤ。
〔9〕ゴム成分全量中の1,2-結合ブタジエン単位量が2.0~21.0質量%である、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のソリッドタイヤ。
1 ベース部
2 トレッド部
3 コード層
4 間隙部
5 突起部
CL タイヤ赤道面

Claims (9)

  1. ゴム成分および白色充填材を含有するゴム組成物により構成されたトレッド部を有するソリッドタイヤであって、
    前記ゴム組成物のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が80以上であり、
    前記ゴム成分がイソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含み、
    前記白色充填剤がシリカおよび酸化チタンを含み、
    前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対する前記白色充填剤の質量含有比が2.3未満であり、
    前記ゴム組成物中のイソプレン系ゴムに対するスチレンブタジエンゴムの質量含有比が1.0未満であるソリッドタイヤ。
  2. 前記ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)に、前記トレッド部のタイヤ子午線断面でのトレッドラジアス(mm)を乗じた値が8500以上である、請求項1記載のソリッドタイヤ。
  3. 前記ゴム組成物中の酸化チタンに対するイソプレン系ゴムの質量含有比が1.0超である、請求項1または2記載のソリッドタイヤ。
  4. 酸化チタンの平均粒子径が0.30nm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のソリッドタイヤ。
  5. 前記白色充填剤中のシリカに対する酸化チタンの質量含有比が0.14~0.75である、請求項1~4のいずれか一項に記載のソリッドタイヤ。
  6. 前記ゴム成分100質量部に対し、シリカを30~75質量部含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のソリッドタイヤ。
  7. 前記ゴム成分100質量部に対し、酸化チタンを1~40質量部含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のソリッドタイヤ。
  8. ゴム成分全量中の総スチレン量が1.0~13.0質量%である、請求項1~7のいずれか一項に記載のソリッドタイヤ。
  9. ゴム成分全量中の1,2-結合ブタジエン単位量が2.0~21.0質量%である、請求項1~8のいずれか一項に記載のソリッドタイヤ。
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