JP2021180064A - リチウム一次電池 - Google Patents
リチウム一次電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021180064A JP2021180064A JP2018145960A JP2018145960A JP2021180064A JP 2021180064 A JP2021180064 A JP 2021180064A JP 2018145960 A JP2018145960 A JP 2018145960A JP 2018145960 A JP2018145960 A JP 2018145960A JP 2021180064 A JP2021180064 A JP 2021180064A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- additive
- mass
- positive electrode
- lithium
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M4/00—Electrodes
- H01M4/02—Electrodes composed of, or comprising, active material
- H01M4/06—Electrodes for primary cells
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M6/00—Primary cells; Manufacture thereof
- H01M6/14—Cells with non-aqueous electrolyte
- H01M6/16—Cells with non-aqueous electrolyte with organic electrolyte
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Electrochemistry (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Primary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Abstract
【課題】正極ケースの腐食の進行が抑制されたリチウム一次電池を提供する。【解決手段】負極活物質として金属リチウムおよび/またはリチウム合金を含む負極と、正極活物質として二酸化マンガンを含む正極と、前記負極と前記正極との間に介在するセパレータと、リチウムイオン伝導性の電解液と、を具備し、前記電解液は、第1添加剤と、第2添加剤と、を含み、前記第1添加剤は、フタルイミド、フタルイミジン、テトラヒドロフタルイミドおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種であり、前記第2添加剤は、テトラフルオロホウ酸化合物であり、前記電解液中の前記第1添加剤の含有量は、0.1質量%以上、1質量%以下であり、前記電解液中の前記第2添加剤の含有量は、2.5質量%以上、5質量%以下である、リチウム一次電池。【選択図】図1
Description
本発明は、リチウム一次電池に関する。
リチウム一次電池は、高エネルギー密度であり、自己放電が少ないことから、多くの電子機器に使用されている。リチウム一次電池は、極めて長い貯蔵寿命を有し、常温で10年以上という長期保存が可能であるため、各種メータの主電源やメモリーバックアップ電源として広く用いられている。
特許文献1には、LiBF4を含む電解液を用いたリチウム電池が開示されている。特許文献1によれば、これにより、高温環境下でのガス発生が抑制される。特許文献2には、フタルイミドを含む電解液を用いたリチウム電池が開示されている。特許文献2によれば、これにより、高温保存した場合の内部抵抗の上昇が抑制される。
電解液にLiBF4を添加することにより、二酸化マンガンを正極活物質として含むリチウム一次電池の開回路電圧(OCV)が上昇することが判明した。TPMS(Tire Pressure Monitoring System、タイヤ空気圧モニタリングシステム)に用いられるリチウム一次電池は、例えば125℃以上の高温に晒される場合がある。このように高温下に置かれたリチウム一次電池のOCVは、LiBF4の添加により、さらに大きく上昇する。一方、フタルイミドを添加しても、OCVに変化は見られない。
LiBF4が添加されたリチウム一次電池においては、正極ケースが腐食し易いことも判明した。これは、OCVが上昇したことによると考えられる。リチウム一次電池の正極ケースには、通常、ステンレス鋼が用いられている。リチウム一次電池のOCVは、一般に3.5V未満である。ステンレス鋼は、通常、常温下、3.8〜4Vで腐食し始める。そのため、通常の使用温度範囲において、正極ケース(ステンレス鋼)の腐食は生じ難い。しかし、電池がより高温下に置かれると、正極ケースの腐食はより低い電圧(例えば、3.5V以下)で開始される。つまり、LiBF4を含み、高温に晒されたリチウム一次電池の正極ケースでは、極めて腐食が進行し易い。
本発明の一局面は、負極活物質として金属リチウムおよび/またはリチウム合金を含む負極と、正極活物質として二酸化マンガンを含む正極と、前記負極と前記正極との間に介在するセパレータと、リチウムイオン伝導性の電解液と、を具備し、前記電解液は、第1添加剤と、第2添加剤と、を含み、前記第1添加剤は、フタルイミド、フタルイミジン、テトラヒドロフタルイミドおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種であり、前記第2添加剤は、テトラフルオロホウ酸化合物であり、前記電解液中の前記第1添加剤の含有量は、0.1質量%以上、1質量%以下であり、前記電解液中の前記第2添加剤の含有量は、2.5質量%以上、5質量%以下である、リチウム一次電池に関する。
本発明によれば、正極ケースの腐食の進行を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るリチウム一次電池は、負極活物質として金属リチウムおよび/またはリチウム合金を含む負極と、正極活物質として二酸化マンガンを含む正極と、負極と正極との間に介在するセパレータと、リチウムイオン伝導性の電解液と、を具備する。
電解液は、フタルイミド、フタルイミジン、テトラヒドロフタルイミドおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の第1添加剤と、テトラフルオロホウ酸化合物である第2添加剤とを含む。ただし、電解液中の第1添加剤の含有量は、0.1質量%以上、1質量%以下であり、電解液中の第2添加剤の含有量は、2.5質量%以上、5質量%以下である。これにより、高温に晒された電池においても、OCVの過剰な上昇が抑制され、正極ケースの腐食の進行が防止される。
第2添加剤(例えば、LiBF4)の添加によりOCVが上昇する理由は明確ではないが、次のように考えられる。第2添加剤により、電解液中の非水溶媒(例えば、1,2−ジメトキシエタン)の分解反応が起こり、酸化力の高い分解物が生じる。ここで、正極活物質である二酸化マンガンは不定比化合物であり、酸化数が2価、3価または4価のマンガンの酸化物を含み得る。この2価、3価の酸化数を有する酸化マンガンは、上記非水溶媒の分解物によって酸化される。その結果、4価のマンガンが相対的に増えて、OCVが上昇する。
一方、第1添加剤は、非水溶媒の分解反応を抑制する。そのため、第1添加剤および第2添加剤を適切な量で併用することにより、高温下でのガス発生を抑制できるとともに、OCVの上昇を抑制することができる。特に、高温下に置かれたリチウム電池のOCV(以下、高温保存後のOCVと称す。)の上昇は、効果的に抑制される。
[第1添加剤]
第1添加剤は、フタルイミド、フタルイミジン、テトラヒドロフタルイミドおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種である。
第1添加剤は、フタルイミド、フタルイミジン、テトラヒドロフタルイミドおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種である。
フタルイミドまたはフタルイミドの誘導体は、例えば、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)中、X1〜X4は、それぞれ独立して、H(水素原子)、F(フッ素原子)、Cl(塩素原子)、Br(臭素原子)、I(ヨウ素原子)または炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、Y1は、HまたはK(カリウム原子)である。X1〜X4はHであってもよい。X1がメチル基またはFであり、X2〜X4がHであってもよい。
フタルイミジンまたはフタルイミジンの誘導体は、例えば、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)中、X5〜X8は、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、Iまたは炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、Y2は、HまたはKである。X5〜X8はHであってもよい。X5がメチル基またはFであり、X6〜X8がHであってもよい。
テトラヒドロフタルイミドまたはテトラヒドロフタルイミドの誘導体は、例えば、下記一般式(3)で表される。
一般式(3)中、Y3は、HまたはKである。
フタルイミドの誘導体は、例えば、下記一般式(4)でも表される。
一般式(4)中、X9〜X12およびY4は、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、Iまたは炭素原子数が1〜3のアルキル基である。X9〜X12はHであってもよい。X9がメチル基またはFであり、X10〜X12がHであってもよい。Y4は、Hであってもよく、メチル基であってもよい。
フタルイミジンの誘導体は、例えば、下記一般式(6)でも表される。
一般式(6)中、X13〜X16およびY5は、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、Iまたは炭素原子数が1〜3のアルキル基である。X13〜X16はHであってもよい。Y5はHまたはメチル基であってもよい。
テトラヒドロフタルイミドの誘導体は、例えば、下記一般式(7)でも表される。
一般式(7)中、Y6は、H、F、Cl、Br、Iまたは炭素原子数が1〜3のアルキル基である。Y6は、Hまたはメチル基であってもよい。
高温保存後のOCV上昇抑制の観点から、第1添加剤は、フタルイミドまたはフタルイミド誘導体であってもよい。なかでも、フタルイミドが好ましい。
電解液中の第1添加剤の含有量C1は、0.1質量%以上、1質量%以下である。低温下でのパルス放電特性の観点から、第1添加剤の含有量C1は、0.1質量%〜0.8質量%であってもよい。
電解液中の第2添加剤の含有量C2に対する第1添加剤の含有量C1の割合:C1/C2は、特に限定されない。高温保存後のOCV上昇抑制の観点から、C1/C2は、例えば、0.01〜0.5であってもよく、0.02〜0.3であってもよく、0.025〜0.25であってもよい。
[第2添加剤]
第2添加剤は、テトラフルオロホウ酸化合物である。
テトラフルオロホウ酸化合物は、例えば、下記一般式(5):
Z−(BF4)n
で表される。
第2添加剤は、テトラフルオロホウ酸化合物である。
テトラフルオロホウ酸化合物は、例えば、下記一般式(5):
Z−(BF4)n
で表される。
一般式(5)中、Zは、Li、K、Na、NR1 4、Zn、Sn、H、Ag、NO2またはR2N2であり、R1は、それぞれ独立して、Hまたは炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素原子数が6〜8のアリール基である。アリール基は、置換基(例えば、メチル基などのアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基など)を有していてもよい。nは1または2である。副反応抑制の観点から、ZはLiであり、n=1であってもよい。
電解液中の第2添加剤の含有量C2は、2.5質量%以上、5質量%以下である。内部抵抗の観点から、第2添加剤の含有量C2は、3質量%〜5質量%であってもよい。
以下、電池の各構成要素をコイン形のリチウム一次電池への適用例に基づいて説明するが、本発明のリチウム一次電池はこれに限定されない。リチウム一次電池の形状は、その用途などに応じて、コイン形のほかに、例えば、円筒型、角型、シート型、扁平型、積層型などの各種形状から適宜選択することができる。
[正極]
正極は、正極活物質として二酸化マンガンを含む。正極は、例えば、正極活物質を含む正極合剤を、円盤状にプレス形成して得られるペレットであり得る。また、正極は、正極合剤を水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの適当な液状成分に分散または溶解させた後、得られたスラリーを、アルミニウム(Al)箔などの集電体(芯材)の表面に塗布するか、ステンレス鋼などのラス材やメッシュ材に埋め込み、乾燥させたものであってもよい。
正極は、正極活物質として二酸化マンガンを含む。正極は、例えば、正極活物質を含む正極合剤を、円盤状にプレス形成して得られるペレットであり得る。また、正極は、正極合剤を水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの適当な液状成分に分散または溶解させた後、得られたスラリーを、アルミニウム(Al)箔などの集電体(芯材)の表面に塗布するか、ステンレス鋼などのラス材やメッシュ材に埋め込み、乾燥させたものであってもよい。
正極活物質としては、二酸化マンガン以外に、リチウム一次電池の分野で公知の各種活物質を含んでいてもよい。具体的には、フッ化炭素や金属化合物を用いることができる。金属化合物としては、MoO3、V2O5、Mn2O4などの酸化物、TiS2、MoS2などの金属硫化物、などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。正極合剤は、必要に応じて、導電剤、結着剤などの添加剤を含む。
[負極]
負極は、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム合金を含む。リチウム合金としては、Li−Al、Li−Sn、Li−Ni−Si、Li−Pbなどの合金が用いられるが、Li−Al合金が好ましい。リチウム合金に含まれるリチウム以外の金属元素の含有量は、放電容量の確保や内部抵抗の安定化の観点から、0.1質量%以上、5質量%以下であってもよい。
負極は、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム合金を含む。リチウム合金としては、Li−Al、Li−Sn、Li−Ni−Si、Li−Pbなどの合金が用いられるが、Li−Al合金が好ましい。リチウム合金に含まれるリチウム以外の金属元素の含有量は、放電容量の確保や内部抵抗の安定化の観点から、0.1質量%以上、5質量%以下であってもよい。
金属リチウムおよび/またはリチウム合金は、従来のリチウム一次電池用の負極と同様に、最終的に得られるリチウム一次電池の形状、寸法、規格性能などに応じて、任意の形状および厚さに成形される。リチウム一次電池がコイン形電池である場合、金属リチウムおよび/またはリチウム合金を、直径が3mm〜25mm程度、厚さが0.2〜2.0mm程度の円盤状に成形してもよい。
[セパレータ]
セパレータとしては、リチウム一次電池の内部環境に対して耐性を有する絶縁性材料で形成された多孔質シートを使用すればよい。具体的には、合成樹脂製の不織布や、合成樹脂製の微多孔膜などが挙げられる。
セパレータとしては、リチウム一次電池の内部環境に対して耐性を有する絶縁性材料で形成された多孔質シートを使用すればよい。具体的には、合成樹脂製の不織布や、合成樹脂製の微多孔膜などが挙げられる。
[電解液]
電解液は、リチウムイオン伝導性である。
電解液は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解するリチウム塩と、第1添加剤と、第2添加剤と、を含む。
電解液は、リチウムイオン伝導性である。
電解液は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解するリチウム塩と、第1添加剤と、第2添加剤と、を含む。
非水溶媒は、特に限定されない。非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトンなどを使用することができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、PCとDMEとを組み合わせて用いてもよい。
リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウム・ビストリフルオロメチルスルホン酸イミド(LiN(SO2CF3)2)、またはリチウム・ビスペンタフルオロエチルスルホン酸イミド(LiN(SO2C2F5)2)が用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解液中のリチウム塩の濃度は、例えば、0.25モル/L以上、3.5モル/L以下であってもよい。リチウム塩の濃度は、解離したリチウム塩の濃度と未解離のリチウム塩の濃度との合計である。電解液中のアニオンの濃度を、0.25モル/L以上、3.5モル/L以下としてもよい。
電解液の第1添加剤および第2添加剤の成分分析には、例えば紫外可視近赤外分光法のような分析方法が用いられる。
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るリチウム一次電池について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るコイン形リチウム一次電池を概略的に示す縦断面図である。コイン形リチウム一次電池10は、正極11と、負極12と、正極11と負極12との間に配置されたセパレータ13と、を備えている。また、正極11、負極12およびセパレータ13は、図示しない非水電解質と接触している。
正極11は、一方の表面が正極ケース14と導通している。正極ケース14は、正極11や、後述するセパレータ13を収容する部材であって、さらに、正極集電体と正極端子とを兼ねている。正極ケース14の形成材料には、リチウム一次電池の分野で公知の各種材料が挙げられる。具体的には、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。
負極12は、一方の表面が負極ケース15と導通している。負極ケース15は、負極12と接触して、負極集電体や負極端子として作用する部材である。この負極ケース15は、さらに、コイン形電池の封口板を兼ねている。負極ケース15の形成材料には、リチウム一次電池の分野で公知の各種材料が挙げられる。具体的には、例えば、鉄、チタン、ステンレス鋼などが挙げられる。
正極ケース14と負極ケース15との間は、ガスケット16により絶縁されている。ガスケット16の構成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトンなどの合成樹脂が挙げられる。なかでも、ポリプロピレンが好ましい。
《実験例》
以下、テトラフルオロホウ酸化合物の添加によって、OCVが上昇することを確かめた。
(1)正極の作製
正極活物質である電解二酸化マンガン100質量部に、導電剤であるケッチェンブラック5質量部と、結着剤であるポリテトラフルオロエチレン5質量部と、適量の純水と、を加えて混錬し、スラリー状の正極合剤を調製した。この正極合剤を80℃で乾燥した後、所定の成形金型を用いて油圧プレス機にて圧縮成形し、円板状の正極(直径15mm、厚み3.0mm)を作製した。
以下、テトラフルオロホウ酸化合物の添加によって、OCVが上昇することを確かめた。
(1)正極の作製
正極活物質である電解二酸化マンガン100質量部に、導電剤であるケッチェンブラック5質量部と、結着剤であるポリテトラフルオロエチレン5質量部と、適量の純水と、を加えて混錬し、スラリー状の正極合剤を調製した。この正極合剤を80℃で乾燥した後、所定の成形金型を用いて油圧プレス機にて圧縮成形し、円板状の正極(直径15mm、厚み3.0mm)を作製した。
(2)負極の作製
厚み1.0mmの金属リチウムからなるフープ材を直径16mmの円形に打ち抜いて、負極を得た。
厚み1.0mmの金属リチウムからなるフープ材を直径16mmの円形に打ち抜いて、負極を得た。
(3)電解液の調製
プロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを、体積比2:1で混合した非水溶媒に、リチウム塩としてLiClO4を0.5モル/リットルの濃度で溶解させ、電解液を調製した。電解液に、第2添加剤としてLiBF4を2質量%添加した。電解液には、第1添加剤を添加しなかった。
プロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを、体積比2:1で混合した非水溶媒に、リチウム塩としてLiClO4を0.5モル/リットルの濃度で溶解させ、電解液を調製した。電解液に、第2添加剤としてLiBF4を2質量%添加した。電解液には、第1添加剤を添加しなかった。
(4)リチウム一次電池の組み立て
ステンレス鋼製の正極ケース(正極端子)に、正極、およびセパレータをこの順で配置した。セパレータとして、PPSの不織布(厚み0.45mm)を用いた。一方、負極を、周縁部にPPS製のリング状ガスケットを装着した負極ケースに圧着した。
ステンレス鋼製の正極ケース(正極端子)に、正極、およびセパレータをこの順で配置した。セパレータとして、PPSの不織布(厚み0.45mm)を用いた。一方、負極を、周縁部にPPS製のリング状ガスケットを装着した負極ケースに圧着した。
次いで、正極ケース内部に電解液を注入し、正極およびセパレータと電解液とを接触させた後、正極ケースの開口部を負極ケースにより封口した。具体的には、正極ケースの開口端部を、ガスケットを介して負極ケースの周縁部にかしめつけることにより、正極、負極およびセパレータからなる発電要素を密閉した。こうして、図1に示すコイン形のリチウム一次電池(参考電池1、外径20mm、厚み5mm)を組み立てた。なお、参考電池1の組立ては、露点−50℃以下のドライエア中で行った。
LiBF4の添加量を2.5質量%〜8質量%としたこと以外は、参考電池1と同様にして、参考電池2〜7を作製した。
[評価1]
得られた参考電池1〜7について、以下のようにして、初期および高温保存後のOCVを測定した。結果を図2に示す。なお、参考電池1〜7をそれぞれ2個ずつ準備して評価を行った。各評価結果は、これら2個の電池の平均値とした。
得られた参考電池1〜7について、以下のようにして、初期および高温保存後のOCVを測定した。結果を図2に示す。なお、参考電池1〜7をそれぞれ2個ずつ準備して評価を行った。各評価結果は、これら2個の電池の平均値とした。
1−1.初期のOCV評価
得られたリチウム一次電池を60℃で3日間エージングした後、60℃、50%RHの環境下にて10日以上静置した。その後、電圧が3.43Vになるまで予備放電し、60℃、50%RHの環境下でOCVを測定した。
得られたリチウム一次電池を60℃で3日間エージングした後、60℃、50%RHの環境下にて10日以上静置した。その後、電圧が3.43Vになるまで予備放電し、60℃、50%RHの環境下でOCVを測定した。
1−2.高温保存後のOCV評価
得られたリチウム一次電池を、上記と同様にエージングおよび予備放電した後、125℃の環境下において、100時間保存した。次いで、20℃、50%RHの環境下にて1時間静置した後、OCVを測定した。
得られたリチウム一次電池を、上記と同様にエージングおよび予備放電した後、125℃の環境下において、100時間保存した。次いで、20℃、50%RHの環境下にて1時間静置した後、OCVを測定した。
図2から、テトラフルオロホウ酸化合物の添加量が増えるにしたがって、OCVが上昇することがわかる。特に、テトラフルオロホウ酸化合物の添加量が2.5質量%を超えると、OCVは、高温保存後の正極ケースが腐食するリスクの高まる、3.5V以上になる。
以下、本発明を実施例に基づいて、更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1〜4》
第1添加剤としてフタルイミド(表3における第1添加剤A1)を0.1質量%〜1質量%、および、第2添加剤としてLiBF4を4質量%添加したこと以外は、参考電池1と同様にして、電池X1〜X4を作製した。
第1添加剤としてフタルイミド(表3における第1添加剤A1)を0.1質量%〜1質量%、および、第2添加剤としてLiBF4を4質量%添加したこと以外は、参考電池1と同様にして、電池X1〜X4を作製した。
《比較例1〜3》
第1添加剤としてフタルイミドを0.1質量%未満、あるいは1質量%を超えて添加したこと以外は、電池X1と同様にして、電池Y1〜Y3を作製した。
第1添加剤としてフタルイミドを0.1質量%未満、あるいは1質量%を超えて添加したこと以外は、電池X1と同様にして、電池Y1〜Y3を作製した。
[評価2]
得られた電池X1〜X4、Y1〜Y3について、上記のようにして、初期および高温保存後のOCVを測定するとともに、低温におけるパルス電圧を測定した。結果を表1に示す。初期および高温保存後のOCVについては、図3でも示す。
得られた電池X1〜X4、Y1〜Y3について、上記のようにして、初期および高温保存後のOCVを測定するとともに、低温におけるパルス電圧を測定した。結果を表1に示す。初期および高温保存後のOCVについては、図3でも示す。
2−1.初期の低温パルス電圧評価
得られたリチウム一次電池を、上記と同様にエージングおよび予備放電した後、−40℃の環境下にて1時間静置した。次いで、電流値9mAで8ミリ秒放電し、その後200ミリ秒放電を休止するサイクル(間欠放電)を繰り返した。上記サイクルを1時間行ったときの電池の最低電圧(パルス電圧)を測定した。
得られたリチウム一次電池を、上記と同様にエージングおよび予備放電した後、−40℃の環境下にて1時間静置した。次いで、電流値9mAで8ミリ秒放電し、その後200ミリ秒放電を休止するサイクル(間欠放電)を繰り返した。上記サイクルを1時間行ったときの電池の最低電圧(パルス電圧)を測定した。
2−2.高温保存後の低温パルス電圧評価
得られたリチウム一次電池を、上記と同様にエージングおよび予備放電した後、125℃の環境下において、100時間保存した。次いで、−40℃の環境下にて1時間静置した後、電流値9mAで8ミリ秒放電し、その後200ミリ秒放電を休止するサイクル(間欠放電)を繰り返した。上記サイクルを1時間行ったときの電池の最低電圧(パルス電圧)を測定した。
得られたリチウム一次電池を、上記と同様にエージングおよび予備放電した後、125℃の環境下において、100時間保存した。次いで、−40℃の環境下にて1時間静置した後、電流値9mAで8ミリ秒放電し、その後200ミリ秒放電を休止するサイクル(間欠放電)を繰り返した。上記サイクルを1時間行ったときの電池の最低電圧(パルス電圧)を測定した。
第1添加剤の添加量が0.1質量%〜1質量%である電池X1〜X4は、いずれも高温保存後のOCVの上昇が抑制されるとともに、低温パルス電圧の低下も抑制される。一方、第1添加剤の添加量が0.1質量%未満である電池Y1およびY2では、高温保存後のOCVの上昇が見られる。また、第1添加剤の添加量が1質量%を超える電池Y3では、特に高温保存後の低温パルス電圧が著しく低下する。
《実施例5〜8》
第1添加剤としてフタルイミドを0.5質量%、および、第2添加剤としてLiBF4を2.5質量%〜5質量%添加したこと以外は、電池X1と同様にして、電池X5〜X8を作製した。
第1添加剤としてフタルイミドを0.5質量%、および、第2添加剤としてLiBF4を2.5質量%〜5質量%添加したこと以外は、電池X1と同様にして、電池X5〜X8を作製した。
《比較例4》
第1添加剤および第2添加剤をいずれも添加しなかったこと以外は、電池X1と同様にして、電池Y4を作製した。
第1添加剤および第2添加剤をいずれも添加しなかったこと以外は、電池X1と同様にして、電池Y4を作製した。
《比較例5》
第1添加剤としてフタルイミドを0.5質量%添加し、第2添加剤としてLiBF4を添加しなかったこと以外は、電池X1と同様にして、電池Y5を作製した。
第1添加剤としてフタルイミドを0.5質量%添加し、第2添加剤としてLiBF4を添加しなかったこと以外は、電池X1と同様にして、電池Y5を作製した。
《比較例6〜8》
第1添加剤としてフタルイミドを0.5質量%、および、第2添加剤としてLiBF4を2.5質量%未満、あるいは、5質量%を超えて添加したこと以外は、電池X1と同様にして、電池Y6〜Y8を作製した。
第1添加剤としてフタルイミドを0.5質量%、および、第2添加剤としてLiBF4を2.5質量%未満、あるいは、5質量%を超えて添加したこと以外は、電池X1と同様にして、電池Y6〜Y8を作製した。
[評価3]
得られた電池X5〜X8、Y4〜Y8について、上記のようにして、初期のOCVを測定するとともに、初期および高温保存後の電池の厚みと、初期および高温保存後の1kHzにおける内部抵抗(IR)とを測定した。結果を表2に示す。電池の厚みは、デジタルマイクロメータを用いて、各電池の主面間の距離の最大値を測定した。
得られた電池X5〜X8、Y4〜Y8について、上記のようにして、初期のOCVを測定するとともに、初期および高温保存後の電池の厚みと、初期および高温保存後の1kHzにおける内部抵抗(IR)とを測定した。結果を表2に示す。電池の厚みは、デジタルマイクロメータを用いて、各電池の主面間の距離の最大値を測定した。
第2添加剤の添加量が2.5質量%〜5質量%である電池X5〜X8は、いずれも初期のOCVがある程度の高い値を示すとともに、高温保存後の電池の膨張および内部抵抗の増大が抑制される。一方、第2添加剤の添加量が2.5質量%未満である電池Y6およびY7では、電池が膨張し、さらに内部抵抗の著しい増大がみられる。また、第2添加剤の添加量が5質量%を超える電池Y8では、電池の膨張は抑制されるものの、内部抵抗は著しく増大する。
《実施例9〜19》
フタルイミドに替えて、表3に示す第1添加剤A2〜A4、B1〜B4、C1、C2、D1またはD2を用いた以外は、電池X3と同様にして、電池X9〜X19を作製し、評価した。電池Y1および電池X3とともに、評価結果を表4に示す。
フタルイミドに替えて、表3に示す第1添加剤A2〜A4、B1〜B4、C1、C2、D1またはD2を用いた以外は、電池X3と同様にして、電池X9〜X19を作製し、評価した。電池Y1および電池X3とともに、評価結果を表4に示す。
第2添加剤とともに、第1添加剤として、フタルイミド、フタルイミジン、テトラヒドロフタルイミドおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることにより、高温保存後のOCVの上昇は抑制される。よって、正極ケースの腐食の進行は抑制される。
本発明に係るリチウム一次電池は、優れた電池性能とともに高い安全性が求められる電子機器の電源として好適に用いられる。
10 電池
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 正極ケース
15 負極ケース
16 ガスケット
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 正極ケース
15 負極ケース
16 ガスケット
Claims (6)
- 負極活物質として金属リチウムおよび/またはリチウム合金を含む負極と、
正極活物質として二酸化マンガンを含む正極と、
前記負極と前記正極との間に介在するセパレータと、
リチウムイオン伝導性の電解液と、を具備し、
前記電解液は、第1添加剤と、第2添加剤と、を含み、
前記第1添加剤は、フタルイミド、フタルイミジン、テトラヒドロフタルイミドおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記第2添加剤は、テトラフルオロホウ酸化合物であり、
前記電解液中の前記第1添加剤の含有量は、0.1質量%以上、1質量%以下であり、
前記電解液中の前記第2添加剤の含有量は、2.5質量%以上、5質量%以下である、リチウム一次電池。 - 前記第2添加剤は、一般式(5):
Z−(BF4)n
(一般式(5)中、Zは、Li、K、Na、NR1 4、Zn、Sn、H、Ag、NO2またはR2N2であり、R1は、それぞれ独立して、Hまたは炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素原子数が6〜8のアリール基であり、nは1または2である。)で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム一次電池。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018145960A JP2021180064A (ja) | 2018-08-02 | 2018-08-02 | リチウム一次電池 |
PCT/JP2019/014861 WO2020026525A1 (ja) | 2018-08-02 | 2019-04-03 | リチウム一次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018145960A JP2021180064A (ja) | 2018-08-02 | 2018-08-02 | リチウム一次電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021180064A true JP2021180064A (ja) | 2021-11-18 |
Family
ID=69230628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018145960A Pending JP2021180064A (ja) | 2018-08-02 | 2018-08-02 | リチウム一次電池 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021180064A (ja) |
WO (1) | WO2020026525A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2021192440A1 (ja) * | 2020-03-25 | 2021-09-30 | ||
JPWO2022176233A1 (ja) * | 2021-02-18 | 2022-08-25 | ||
JP7334201B2 (ja) * | 2021-03-01 | 2023-08-28 | プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 | 二次電池用電極および該電極の製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TW475295B (en) * | 1999-11-29 | 2002-02-01 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Non-aqueous electrolyte battery |
JP5362436B2 (ja) * | 2009-05-08 | 2013-12-11 | パナソニック株式会社 | リチウム電池 |
JP6271275B2 (ja) * | 2014-02-05 | 2018-01-31 | Fdk株式会社 | リチウム一次電池用非水系有機電解液、およびリチウム一次電池 |
-
2018
- 2018-08-02 JP JP2018145960A patent/JP2021180064A/ja active Pending
-
2019
- 2019-04-03 WO PCT/JP2019/014861 patent/WO2020026525A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2020026525A1 (ja) | 2020-02-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4022889B2 (ja) | 電解液および電池 | |
JP4325112B2 (ja) | 正極活物質及び非水電解質二次電池 | |
JP4794180B2 (ja) | 非水電解質二次電池 | |
KR101268989B1 (ko) | 리튬 이온 2차 전지 | |
JP5022035B2 (ja) | 表面実装用端子付き二次電池 | |
KR20150126820A (ko) | 리튬이온 이차전지 | |
JP2007265668A (ja) | 非水電解質二次電池用正極及びその製造方法 | |
WO2020026525A1 (ja) | リチウム一次電池 | |
JP2010073580A (ja) | 非水電解質電池 | |
JP5082198B2 (ja) | リチウムイオン二次電池 | |
KR20160091864A (ko) | 비수 전해질 이차 전지 | |
JP3287376B2 (ja) | リチウム二次電池とその製造方法 | |
JP2011060655A (ja) | リチウム電池 | |
JP2005317266A (ja) | 非水電解質電池の製造方法 | |
JP4794193B2 (ja) | 非水電解質二次電池 | |
JP2006100164A (ja) | リチウム/二硫化鉄一次電池 | |
JP6593659B2 (ja) | 非水電解質電池および非水電解質電池用部材 | |
JP2015037018A (ja) | 密閉型非水電解液二次電池 | |
JP4184583B2 (ja) | コイン型非水電解質電池 | |
JP2007042447A (ja) | リチウム/二硫化鉄一次電池 | |
JPWO2015141120A1 (ja) | リチウム一次電池 | |
JP3699589B2 (ja) | 正極用ペ―スト組成物と正極の製造方法ならびに正極およびそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP2006024407A (ja) | 有機電解液電池 | |
JP2005141997A (ja) | リチウム/二硫化鉄一次電池およびその製造方法 | |
JPH0554913A (ja) | 非水電解液二次電池 |