JP2021172814A - 有機硫黄材料、電極およびリチウムイオン二次電池並びに製造方法 - Google Patents

有機硫黄材料、電極およびリチウムイオン二次電池並びに製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021172814A
JP2021172814A JP2021022758A JP2021022758A JP2021172814A JP 2021172814 A JP2021172814 A JP 2021172814A JP 2021022758 A JP2021022758 A JP 2021022758A JP 2021022758 A JP2021022758 A JP 2021022758A JP 2021172814 A JP2021172814 A JP 2021172814A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
organic sulfur
acrylic resin
sulfur material
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021022758A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7136244B2 (ja
JP2021172814A5 (ja
Inventor
文哉 中条
Fumiya Nakajo
達也 久保
Tatsuya Kubo
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to KR1020210046314A priority Critical patent/KR20210130101A/ko
Priority to CN202110388947.4A priority patent/CN113540450A/zh
Priority to US17/234,149 priority patent/US11876228B2/en
Priority to EP21169231.4A priority patent/EP3923377A1/en
Publication of JP2021172814A publication Critical patent/JP2021172814A/ja
Publication of JP2021172814A5 publication Critical patent/JP2021172814A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7136244B2 publication Critical patent/JP7136244B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/13Electrodes for accumulators with non-aqueous electrolyte, e.g. for lithium-accumulators; Processes of manufacture thereof
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/04Processes of manufacture in general
    • H01M4/0471Processes of manufacture in general involving thermal treatment, e.g. firing, sintering, backing particulate active material, thermal decomposition, pyrolysis
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/13Electrodes for accumulators with non-aqueous electrolyte, e.g. for lithium-accumulators; Processes of manufacture thereof
    • H01M4/139Processes of manufacture
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/38Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of elements or alloys
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/62Selection of inactive substances as ingredients for active masses, e.g. binders, fillers
    • H01M4/621Binders
    • H01M4/622Binders being polymers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/052Li-accumulators

Abstract

【課題】充放電容量とサイクル特性を向上できる、新規な有機硫黄材料、当該有機硫黄材料を含んでなる電極、すなわち、正極または負極、および、当該電極を含んでなるリチウムイオン二次電池を提供すること。【解決手段】アクリル樹脂を硫黄で変性した有機硫黄材料であり、前記アクリル樹脂がCH2=C(R11)COOR12(ここで、R11はメチル基等であり、R12はアルキル基である。)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体、または、上記アクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とCH2=C(R21)COO−Y−OCO(R22)C=CH2(ここで、R21とR22は同一または異なってメチル基等であり、Yは水酸基およびアルキル基から選択される置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基等である。)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である有機硫黄材料。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な有機硫黄材料、当該有機硫黄材料を含んでなる電極、および、当該電極を含んでなるリチウムイオン二次電池、並びに、それらの製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は充放電容量が大きいため、主として携帯電子機器用の電池として用いられている。またリチウムイオン二次電池は、電気自動車用の電池としても使用量が増加しており、性能の向上が期待されている。
特許文献1には、硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末を含む原料粉末を非酸化性雰囲気下で加熱して得た、リチウムイオン二次電池用の正極活物質が記載されている。また、特許文献2は、工業用のゴムを使用することで安価に正極活物質を提供しようとするものである。
一方、負極活物質としては、ケイ素(Si)、スズ(Sn)などのより多くのリチウムイオンを吸蔵および放出可能な材料を用いることで、リチウムイオン二次電池の電池容量を増加させることが提案されている。
国際公開第2010/044437号 特開2015−92449号公報
しかし、特許文献1の正極活物質は、原料であるポリアクリロニトリルが高価であること、特に、品質が安定したポリアクリロニトリルはより高価であるため、リチウムイオン二次電池を安価に提供し難いという問題がある。特許文献2の正極活物質は、サイクル特性の十分な向上になお課題がある。負極活物質として提案されている上記材料は、リチウムイオンの吸蔵および放出に伴う体積変化が大きいため、充放電を繰り返した際のサイクル特性が良好ではないという問題がある。また、グラファイトやハードカーボンといった炭素材料も用いられるが、既に理論容量に達しつつあり、大幅な容量向上は見込めない状況である。
本発明は、リチウムイオン二次電池の充放電容量とサイクル特性を向上できる、新規な有機硫黄材料、当該有機硫黄材料を含んでなる電極、すなわち、正極または負極、および、当該電極を含んでなるリチウムイオン二次電池、並びに、それらの製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意検討した結果、所定のアクリル樹脂を硫黄により変性すれば、優れた特性を示す有機硫黄材料が得られることを見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]アクリル樹脂を硫黄で変性した有機硫黄材料であり、
前記アクリル樹脂が、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体、または、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、有機硫黄材料、

CH2=C(R11)COOR12 (1)

(ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

CH2=C(R21)COO−Y−OCO(R22)C=CH2 (2)

(ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
[2]前記変性が非酸化性雰囲気下での焼成により実施される、上記[1]記載の有機硫黄材料、
[3]R12が炭素数1〜6のアルキル基であり、Yが炭素数2〜6、好ましくは炭素数2または3のヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基において、置換基の数が1〜4、好ましくは1または2であり、置換基であるアルキル基の炭素数が1〜4、好ましくは炭素数1であり、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格が有するエーテル結合の数が1〜2、好ましくは1または2である、上記[1]または[2]記載の有機硫黄材料、
[4]前記アクリル樹脂の粒子径が、0.1〜300.0μm、好ましくは1.0〜270.0μm、より好ましくは1.0〜200.0μm、さらに好ましくは1.0〜100.0μm、さらに好ましくは1.0〜50.0μm、さらに好ましくは1.0〜20.0μm、さらに好ましくは1.0〜15.0μmである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の有機硫黄材料、
[5]前記アクリル樹脂が多孔質構造を有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の有機硫黄材料、
[6]ラマン分光法によって検出されたラマンスペクトルにおいて、1450cm-1付近に主ピークが存在し、かつ、200〜1800cm-1の範囲で他に485cm-1付近、1250cm-1付近、1540cm-1付近にピークが存在する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の有機硫黄材料、
[7]前記ラマンスペクトルにおいて、1000cm-1の強度と1800cm-1の強度とを結ぶ直線をベースラインとして、1450cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差(I1450)および1540cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差(I1540)を算出するとき、I1450/I1540の値が1〜4の範囲である、上記[6]記載の有機硫黄材料、
[8]有機硫黄材料中の硫黄量が50.0質量%以上、より好ましくは53.0質量%以上、さらに好ましくは55.0質量%以上、さらに好ましくは56.0質量%以上、さらに好ましくは59.0質量%以上である上記[1]〜[7]のいずれかに記載の有機硫黄材料、
[9]前記アクリル樹脂が、前記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の有機硫黄材料、
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の有機硫黄材料を含んでなる電極、
[11]上記[10]記載の電極を含んでなるリチウムイオン二次電池、
[12]有機硫黄材料の製造方法であって、
(1)アクリル樹脂を準備する工程、
(2)前記アクリル樹脂を硫黄で変性する工程
を含んでなるものであり、
前記アクリル樹脂が、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体、または、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、製造方法、

CH2=C(R11)COOR12 (1)

(ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

CH2=C(R21)COO−Y−OCO(R22)C=CH2 (2)

(ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
[13]前記変性が非酸化性雰囲気下での焼成により実施される、上記[12]記載の製造方法、
[14]前記アクリル樹脂に対する前記硫黄の量が、アクリル樹脂100質量部に対して硫黄50〜1000質量部である、上記[12]または[13]記載の有機硫黄材料、
[15]前記焼成の温度が250〜550℃である上記[12]〜[14]のいずれかに記載の有機硫黄材料、
[16]前記アクリル樹脂の粒子径が、0.1〜300.0μm、好ましくは1.0〜270.0μm、より好ましくは1.0〜200.0μm、さらに好ましくは1.0〜100.0μm、さらに好ましくは1.0〜50.0μm、さらに好ましくは1.0〜20.0μm、さらに好ましくは1.0〜15.0μmである、上記[12]〜[15]のいずれかに記載の製造方法、
[17]前記アクリル樹脂が多孔質構造を有する、上記[12]〜[16]のいずれかに記載の製造方法、
[18]電極の製造方法であって、
上記[12]〜[17]のいずれかに記載の製造方法により、有機硫黄材料を製造した後、さらに、
(3)該有機硫黄材料を用いて、常法により、電極を作製する工程
を含んでなる、製造方法、
[19]リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記[18]記載の製造方法により電極を製造した後、さらに、
(4)該電極を用いて、常法により、リチウムイオン二次電池を作製する工程
を含んでなる製造方法、
に関する。
本発明によれば、充放電容量とサイクル特性を向上できる、新規な有機硫黄材料、当該有機硫黄材料を含んでなる電極、すなわち、正極または負極、および、当該電極を含んでなるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本明細書において、「サイクル特性」とは、充放電の繰り返しにも拘わらず、二次電池の充放電容量が維持される特性をいう。したがって、充放電の繰り返しに伴い、充放電容量の低下の度合いが大きく、容量維持率が低い二次電池はサイクル特性が劣っているのに対し、逆に、充放電容量の低下の度合いが小さく、容量維持率が高い二次電池はサイクル特性が優れている。
本発明の実施例において、有機硫黄材料の製造に使用した反応装置を模式的に示す断面図である。 実施例1、2および比較例1、2の有機硫黄材料についてのラマンスペクトルのプロファイルを、そのピーク位置を比較できるように、同一の横軸(ラマンシフト(cm-1))の下、並記したものである。 前図の各ラマンスペクトルのプロファイルについて、I1450/I1540の値をグラフ上で把握できるように表したものである。ここで、I1450は1450cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差(図中のA)であり、I1540は1540cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差(図中のB)である。なお、ベースラインとは同図中、ほぼ水平に引かれた直線であり、各プロファイルにおける1000cm-1の強度と1800cm-1の強度とを結んだ直線である。
以下、本開示の構成について詳述する。なお、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」、「〜」にかかる上限および下限の数値は任意に組み合わせできる数値であり、実施例における数値を該上限および下限とすることもできる。また、「〜」によって数値範囲を特定する場合、特に断りのない限り、その両端の数値も含む意味である。
本開示の一実施形態は、アクリル樹脂を硫黄で変性した有機硫黄材料であり、前記アクリル樹脂が上記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体、または、上記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と上記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、有機硫黄材料である。
本開示の他の実施形態は、前記有機材料を含んでなる電極である。
本開示の他の実施形態は、前記電極を含んでなるリチウムイオン二次電池である。
本開示の他の実施形態は、有機硫黄材料の製造方法であって、
(1)アクリル樹脂を準備する工程、
(2)前記アクリル樹脂を硫黄で変性する工程
を含んでなるものであり、前記アクリル樹脂が上記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体、または、上記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と上記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、製造方法である。
本開示の他の実施形態は、電極の製造方法であって、上記製造方法により有機硫黄材料を製造した後、さらに、
(3)該有機硫黄材料を用いて、常法により、電極を作製する工程
を含んでなる製造方法である。
本開示の他の実施形態は、リチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記製造方法により電極を製造した後、さらに、
(4)該電極を用いて、常法により、リチウムイオン二次電池を作製する工程
を含んでなる製造方法である。
<アクリル樹脂>
本開示において、アクリル樹脂は、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体、または、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である。

CH2=C(R11)COOR12 (1)

(ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

CH2=C(R21)COO−Y−OCO(R22)C=CH2 (2)

(ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
式(1)において、R11はメチル基が好ましく、R12は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、なかでも、メチル基、n−ブチル基、i−ブチル基またはt−ブチル基が好ましい。式(1)で示される化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、より好ましくは、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートが挙げられる。ここで、メチル(メタ)アクリレートおよびブチル(メタ)アクリレートの「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」または「メタクリレート」のいずれかであることを表すものである(以下同様)。式(1)で示される化合物として、さらに好ましい例は、ブチルメタクリレートである。
式(2)において、R21とR22は、いずれも、メチル基が好ましい。Yのヒドロカルビレン基の炭素数は、2〜6であることが好ましく、2または3であることがより好ましい。Yの置換基の数は、1〜4であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。Yの置換基としては、水酸基および炭素数1〜4のアルキル基からなる群から選択される1以上の置換基であることが好ましく、この炭素数1〜4のアルキル基としてはメチル基が好ましい。Yの炭素骨格が酸素原子によるエーテル結合を有する場合としては、例えば、−Y−O−に相当する部分が、下記式(3)で表されるものであることが好ましい(但し、式(3)においては、Yの置換基は考慮していない。)。

−(CH2l−(CH2CH2O)m−(CH2CH2CH2O)n− (3)

(ここで、lは0〜6であり、mは0〜3であり、nは0〜2である。但し、lとmとnが同時に0となることはない。)
式(3)において、lが1、2、3、4、5または6であって、かつ、mとnが0であること;あるいは、mが1、2または3であって、かつ、lとnが0であること;あるいは、nが1または2であって、かつ、lとmが0であることが好ましい。
式(2)で示される化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このうち、エチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
アクリル樹脂の好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレートのホモポリマー、ブチル(メタ)アクリレートのホモポリマー、メチル(メタ)アクリレートとエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとのコポリマー、ブチル(メタ)アクリレートとエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとのコポリマーなどが挙げられる。このうち、アクリル樹脂としては、メタクリレート型のものが好ましい。アクリル樹脂のより好ましい例としては、ブチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートとのコポリマーが挙げられる。
アクリル樹脂は、1種または2種以上を使用することができる。
(アクリル樹脂の形態)
本開示において、アクリル樹脂は、微粒子の形態のものが好ましい。ここで、微粒子とは、粒子径が300.0μm以下の粒子をいう。該粒子径は270.0μm以下が好ましく、200.0μm以下がより好ましく、100.0μm以下がさらに好ましく、50.0μm以下がさらに好ましく、20.0μm以下がさらに好ましく、15.0μm以下がさらに好ましく、13.0μm以下がさらに好ましく、10.0μm以下がさらに好ましく、6.0μm以下がさらに好ましい。一方、該粒子径の下限は特に限定されないが、通常、例えば、0.1μm以上であり、好ましくは1.0μm以上である。該粒子径は、ベックマン・コールター(株)製の精密粒度分布測定装置Multisizer3により測定される値である。
アクリル樹脂は、球状の微粒子であってもよく、多孔質状の微粒子であってもよい。アクリル樹脂が多孔質状である場合、その吸油量は、100ml/100g以上であることが好ましく、110ml/100g以上であることがより好ましく、120ml/100g以上であることがさらに好ましく、130ml/100g以上であることがさらに好ましく、140ml/100g以上であることがさらに好ましい。該吸油量は、JIS K 5101−13−2:2004に準じて測定される値である。より詳細には、特開2017−88501号公報の段落0069の方法により測定できる。
(アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw))
アクリル樹脂は、上記構造を有する限り、Mwは特に限定されない。但し、アクリル樹脂のMwは、通常、2000〜1500000の範囲内である。Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される値(ポリスチレンにより較正)である。
(アクリル樹脂の入手または製造)
アクリル樹脂は、商業的に入手可能であるか、あるいは、当業者の知識の範囲内である、常法により、製造することができる。商業的に入手可能なアクリル樹脂としては、例えば、積水化成品工業(株)製のものが挙げられる。
<硫黄>
硫黄としては粉末硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄等の種々の形態のものをいずれも使用できるが、このうち、沈降硫黄、コロイド硫黄が好ましい。硫黄の配合量は、アクリル樹脂100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、100質量部以上がより好ましく、さらに好ましくは150質量部以上であり、さらに好ましくは200質量部以上であり、さらに好ましくは250質量部以上である。100質量部以上であることで充放電容量やサイクル特性を向上できる傾向がある。一方、硫黄の配合量について、上限は特にないが、通常は、1000質量部以下、好ましくは750質量部以下であり、より好ましくは500質量部以下であり、さらに好ましくは400質量部以下であり、さらに好ましくは350質量部以下である。1000質量部以下であることで、コスト的に有利な傾向がある。
<導電性炭素材料>
アクリル樹脂を硫黄により変性する場合、アクリル樹脂に予め導電性を有する炭素材料を添加しておいてもよい。有機硫黄材料の導電性を向上させることができるからである。このような導電性炭素材料としては、グラファイト構造を有する炭素材料が好ましい。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンファイバー(CF)、グラフェン、フラーレンなどの縮合芳香環構造を有するものが使用できる。導電性炭素材料としては1種または2種以上を使用することができる。
中でも安価で分散性に優れることから、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。また、アセチレンブラックやカーボンブラックやケッチェンブラックに、CNTやグラフェンなどを少量併用してもよい。かかる併用系により、コストを大幅に上昇させることなく、リチウムイオン二次電池のサイクル特性をさらに向上させることが可能となる。なお、CNTやグラフェンの併用量は、導電性炭素材料の総量の8質量%以上、12質量%以下であるのが好ましい。
該導電性炭素材料の配合量は、アクリル樹脂100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上である。配合量が5質量部以上であることで、充放電容量やサイクル特性を一層向上させるという目的を達成し易い傾向がある。一方、該配合量は、50質量部以下が好ましく、より好ましくは40質量部以下である。50質量部以下であることで、有機硫黄材料における硫黄を含む構造の割合が相対的に低下せず、充放電容量やサイクル特性を一層向上させるという目的を達成し易い傾向がある。
<その他の材料>
アクリル樹脂を硫黄により変性する場合、アクリル樹脂に予めこの分野で通常使用されるその他の材料を、所望により、添加しておいてもよい。
<有機硫黄材料の製造>
本開示において、有機硫黄材料は、所定のアクリル樹脂を硫黄により変性することにより製造することができる。
(原料の調製)
変性にあたり、アクリル樹脂と硫黄は、予め十分に混合しておくことが望ましい。アクリル樹脂に予め導電性炭素材料等を添加しておく場合には、これら添加剤も一緒に混合される。該混合は、常法により実施することができ、例えば、高速ブレンダー等を用いて実施することができる。一方、アクリル樹脂と硫黄と、所望により、添加剤とは、ペレット状に成形した状態とすることもできる。
(非酸化性雰囲気)
変性は非酸化性雰囲気下で実施することが好ましい。非酸化性雰囲気とは、酸素を実質的に含まない雰囲気をいい、構成成分の酸化劣化や過剰な熱分解を抑制するために採用されるものである。具体的には、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気、硫黄ガス雰囲気等をいう。したがって、変性は、例えば、不活性ガス雰囲気下の石英管中で実施される。
(変性の方法)
アクリル樹脂の硫黄による変性は常法により行うことができ、例えば、アクリル樹脂と硫黄を焼成することにより実施することができる。焼成は常法により行うことができる。例えば、焼成は、焼成原料(アクリル樹脂と硫黄と、所望により、添加剤とを含む)を、所定の温度に到達するまで所定の昇温速度で加熱し、当該所定の温度で所定の時間維持し、その後自然に冷却することにより行うことができる。
[昇温速度]
該昇温速度は、例えば、50〜500℃/hの範囲内であることが好ましい。該昇温速度は、100℃/h以上であることがより好ましい。一方、該昇温速度は、400℃/h以下であることがより好ましく、300℃/h以下であることがさらに好ましく、200℃/h以下であることがさらに好ましい。昇温速度がこのような範囲内にあることで、充放電容量やサイクル特性を向上させるという目的を達成し易い傾向がある。
[焼成温度・時間]
焼成温度とは、焼成原料の昇温完了後の温度であって、焼成原料の焼成のために一定時間維持される温度をいう。該温度は、250〜550℃の範囲であることが好ましい。250℃以上であることで、硫化反応が不十分となることを避け、目的物の充放電容量の低下を防止できる傾向がある。一方、550℃以下とすることで、焼成原料の分解を防ぎ、収率の低下や、充放電容量の低下を防止できる傾向がある。該温度は、300℃以上がより好ましく、350℃以上がさらに好ましく、一方、500℃以下がより好ましく、450℃以下がより好ましい。焼成温度で維持する時間は、焼成原料の種類、焼成温度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1〜6時間であることが好ましい。1時間以上であることで、焼成を十分に進行させることができる傾向があり、6時間以下であることで、構成成分の過剰な熱分解を防止できる傾向がある。
[装置]
焼成は、図1に示す装置によって実施できる他、例えば、二軸押出機等の連続式の装置を用いて実施することもできる。連続式の装置を用いる場合、該装置内で、焼成原料を混練して粉砕・混合しながら、焼成も施すなど、有機硫黄材料を一連の操作により連続して製造できるというメリットがある。
(残留物除去工程)
焼成後に得られる処理物中には、焼成時に昇華した硫黄が冷えて析出した未反応硫黄などが残留している。これら残留物はサイクル特性を低下させる要因となるため、できるだけ除去することが望ましい。残留物の除去は、例えば、減圧加熱乾燥、温風乾燥、溶媒洗浄などの常法に従い、実施することができる。
(粉砕、分級)
得られた有機硫黄材料は、所定の粒度となるように粉砕し、分級して、電極の製造に適したサイズの粒子とすることができる。粒子の好ましい粒度分布としては、メジアン径で5〜40μm程度である。なお、先に説明した二軸押出機を用いた焼成方法では、混練時のせん断によって、有機硫黄材料の製造と同時に、製造した有機硫黄材料の粉砕も行うことができる。
<有機硫黄材料>
こうして得られる有機硫黄材料は、炭素と硫黄を主たる成分とするものであり、硫黄量が多い方が充放電容量やサイクル特性が向上する傾向にある。そのため、硫黄の含有量は多い程好ましい。一般に、硫黄量の好ましい範囲としては、有機硫黄材料中、50.0質量%以上であり、より好ましくは53.0質量%以上、さらに好ましくは55.0質量%以上、さらに好ましくは56.0質量%以上、さらに好ましくは59.0質量%以上である。ただし、導電性炭素材料を配合する場合には、当該導電性炭素材料を構成する炭素の影響で、硫黄の含有量が多少下回っても、充放電容量やサイクル特性の向上効果を期待できる場合がある。そのような場合の硫黄の含有量は、上述の硫黄量を約5.0質量%下回るものであってもよい。有機硫黄材料中の炭素量と硫黄量との合計は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上、さらに好ましくは94質量%以上である。
また、焼成によりアクリル樹脂中の水素(H)は、硫黄と反応し、硫化水素となり、硫化物中から減っていく。したがって、有機硫黄材料の水素含有量は、1.8質量%以下であることが好ましく、さらに、1.6質量%以下であることが好ましい。1.8質量%以下である場合には、焼成(硫化反応)が十分であるという傾向があり、さらに、1.6質量%以下である場合には、より焼成(硫化反応)が十分であるという傾向がある。したがって、この場合、充放電容量が向上する傾向にある。水素含有量は、より好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。本明細書において、元素の含有量は、常法に従い、元素分析により測定される。
有機硫黄材料は、ラマン分光法によって検出されたラマンスペクトルにおいて、1450cm-1付近に主ピークが存在し、かつ、200〜1800cm-1の範囲で他に485cm-1付近、1250cm-1付近、1540cm-1付近にピークが存在するものであることが好ましい。この点について、実施例1および2、並びに、比較例1および2のラマンスペクトルを、図2に示す。なお、ラマンスペクトルのピーク位置において、「付近」とあるのは、±50cm-1、特に、±30cm-1の誤差を許容する意味である。
また、有機硫黄材料は、前記ラマンスペクトルにおいて、1000cm-1の強度と1800cm-1の強度とを結ぶ直線をベースラインとして、1450cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差(I1450)および1540cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差(I1540)を算出するとき、I1450/I1540の値が1〜4の範囲であるものであることが好ましい。この点について、実施例1、7および比較例1、2のI1450/I1540の値をグラフ上で把握できるように表したものとして、図3を示す。図3に示すA/Bの値がI1450/I1540の値である。
実施例1、7および比較例1、2について、I1450/I1540の値を算出すれば、下記表1のとおりである。
Figure 2021172814
1450/I1540の値は、本開示の効果の観点から、1.20以上がより好ましく、1.40以上がさらに好ましく、1.50以上がさらに好ましく、2.00以上がさらに好ましく、2.50以上がさらに好ましい。一方、該値は、3.80以下が好ましく、3.60以下がより好ましく、3.50以下がさらに好ましく、3.20以下がさらに好ましい。
本開示において、ラマンスペクトルは、日本分光(株)製のRMP−320(励起波長λ=532nm、グレーチング:1800gr/mm、分解能:3cm-1)で測定できる。
<リチウムイオン二次電池>
本開示の有機硫黄材料は、リチウムイオン二次電池の電極活物質として、すなわち、正極活物質または負極活物質として、使用することができる。すなわち、該有機硫黄材料を用いること以外は一般的なリチウムイオン二次電池用電極を作製する場合と同様にして、リチウム二次電池用電極を作製することができ、さらに該リチウムイオン二次電池用電極を用いること以外は一般的なリチウムイオン二次電池を作製する場合と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製することができる。こうして作製したリチウムイオン二次電池は、充放電容量が大きくサイクル特性に優れる。
1.有機硫黄材料を正極活物質として用いる場合
本開示のリチウムイオン二次電池は、上記有機硫黄材料(正極活物質)を含む正極に、負極および電解質、さらには、所望により、セパレータ等の部材を使用して、常法に従い、作製することができる。
(正極)
リチウムイオン二次電池用正極は、正極活物質として上記有機硫黄材料を用いること以外は、一般的なリチウムイオン二次電池用正極と同様にして、作製することができる。例えば、該正極は、粒子状にした有機硫黄材料を、導電助剤、バインダ、および溶媒と混合してペースト状の正極材料を調製し、当該正極材料を集電体に塗布した後、乾燥させることによって作製することができる。また、その他の方法として、該正極は、例えば、有機硫黄材料を、導電助剤、バインダ、および少量の溶媒とともに、乳鉢などを用いて混練し、かつフィルム状にしたのち、プレス機等を用いて集電体に圧着して、作製することもできる。
[導電助剤]
導電助剤としては、例えば、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、炭素粉末、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、黒鉛、あるいは、アルミニウムやチタンなどの正極電位において安定な金属の微粉末等が例示される。これらの導電助剤は、1種または2種以上を使用することができる。
[バインダ]
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride:PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂(PMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、変性ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が例示される。これらのバインダは、1種または2種以上を使用することができる。
[溶媒]
溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、アルコール、ヘキサン、水等が例示される。これら溶媒は、1種または2種以上を使用することができる。
[配合量]
これら正極を構成する材料の配合量は、特に問わないが、例えば、有機硫黄材料100質量部に対して、導電助剤2〜100質量部、バインダ2〜50質量部、および適量の溶媒を配合するのが好ましい。
[集電体]
集電体としては、リチウムイオン二次電池用正極に一般に用いられるものを使用すればよい。例えば、集電体としては、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、パンチングアルミニウムシート、アルミニウムエキスパンドシート、ステンレススチール箔、ステンレススチールメッシュ、パンチングステンレススチールシート、ステンレススチールエキスパンドシート、発泡ニッケル、ニッケル不織布、銅箔、銅メッシュ、パンチング銅シート、銅エキスパンドシート、チタン箔、チタンメッシュ、カーボン不織布、カーボン織布等からなるものが例示される。このうち、黒鉛化度の高いカーボンで構成されたカーボン不織布やカーボン織布からなる集電体は、水素を含まず、硫黄との反応性が低いために、本開示の有機硫黄材料を正極活物質とする場合の集電体として好適である。黒鉛化度の高い炭素繊維の原料としては、カーボン繊維の材料となる各種のピッチ(すなわち、石油、石炭、コールタールなどの副生成物)やポリアクリロニトリル繊維(PAN)等を用いることができる。集電体は1種を用いる他、2種以上を併用してもよい。
(負極)
負極材料としては、公知の金属リチウム、黒鉛などの炭素系材料、シリコン薄膜などのシリコン系材料、銅−錫やコバルト−錫などの合金系材料を使用できる。負極材料として、リチウムを含まない材料、例えば、上記した負極材料の内で、炭素系材料、シリコン系材料、合金系材料等を用いる場合には、デンドライトの発生による正負極間の短絡を生じ難い点で有利である。ただし、これらのリチウムを含まない負極材料を本開示の正極と組み合わせて用いる場合には、正極および負極が何れもリチウムを含まない。このため、負極および正極の何れか一方、または両方にあらかじめリチウムを挿入するリチウムプリドープ処理が必要となる。リチウムのプリドープ法としては公知の方法に従えばよい。例えば、負極にリチウムをドープする場合には、対極に金属リチウムを用いて半電池を組み、電気化学的にリチウムをドープする電解ドープ法によってリチウムを挿入する方法や、金属リチウム箔を電極に貼り付けたあと電解液の中に放置し電極へのリチウムの拡散を利用してドープする貼り付けプリドープ法によりリチウムを挿入する方法が挙げられる。また、正極にリチウムをプリドープする場合にも、上記した電解ドープ法を利用することができる。リチウムを含まない負極材料としては、特に、高容量の負極材料であるシリコン系材料が好ましく、その中でも電極厚さが薄くて体積当りの容量で有利となる薄膜シリコンがより好ましい。
(電解質)
リチウムイオン二次電池に用いる電解質としては、有機溶媒に電解質であるアルカリ金属塩を溶解させたものを用いることができる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル等の非水系溶媒から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiI、LiClO4等を用いることができる。電解質の濃度は、0.5mol/L〜1.7mol/L程度であればよい。なお、電解質は液状に限定されない。例えば、リチウムイオン二次電池がリチウムポリマー二次電池である場合、電解質は固体状(例えば、高分子ゲル状)をなす。
(セパレータ)
リチウムイオン二次電池は、上述した負極、正極、電解質以外にも、セパレータ等の部材を備えてもよい。セパレータは、正極と負極との間に介在し、正極と負極との間のイオンの移動を許容するとともに、正極と負極との内部短絡を防止する。リチウムイオン二次電池が密閉型であれば、セパレータには電解液を保持する機能も求められる。セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリイミド、セルロース、ガラス等を材料とする薄肉かつ微多孔性または不織布状の膜を用いるのが好ましい。
(形状)
リチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、積層型、コイン型、ボタン型等の種々の形状にできる。
2.有機硫黄材料を負極活物質として用いる場合
本開示のリチウムイオン二次電池は、上記有機硫黄材料(負極活物質)を含む負極に、正極および電解質、さらには、所望により、セパレータ等の部材を使用して、常法に従い、作製することができる。
(負極)
リチウムイオン二次電池用負極は、負極活物質として上記有機硫黄材料を用いること以外は、一般的なリチウムイオン二次電池用負極と同様にして、作製することができる。例えば、該負極は、粒子状にした有機硫黄材料を、導電助剤、バインダ、および溶媒と混合してペースト状の負極材料を調製し、当該負極材料を集電体に塗布した後、乾燥させることによって作製することができる。また、その他の方法として、該負極は、例えば、有機硫黄材料を、導電助剤、バインダ、および少量の溶媒とともに、乳鉢などを用いて混練し、かつフィルム状にしたのち、プレス機等を用いて集電体に圧着して、作製することもできる。
導電助剤、バインダおよび溶媒は、有機硫黄材料を正極活物質として使用する上記の場合と同様のものを同様に使用することができ、集電体も、同じく、同様のものを同様に使用することができる。
(正極)
正極材料としては、例えば、リチウムを含む遷移金属酸化物もしくは固溶体酸化物、または電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質であれば特に制限されない。リチウムを含む遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoO2等のLi・Co系複合酸化物、LiNixCoyMnz2等のLi・Ni・Co・Mn系複合酸化物、LiNiO2等のLi・Ni系複合酸化物、またはLiMn24等のLi・Mn系複合酸化物等を例示することができる。固溶体酸化物としては、例えば、LiaMnxCoyNiz2(1.150≦a≦1.430、0.450≦x≦0.600、0.100≦y≦0.150、0.200≦z≦0.280)、LiMnxCoyNiz2(0.300≦x≦0.850、0.100≦y≦0.300、0.100≦z≦0.300)、LiMn1.5Ni0.54等を例示することができる。これらの化合物を単独または複数種、混合して用いてもよい。
電解質、セパレータおよびリチウムイオン二次電池の形状についても、有機硫黄材料を正極活物質として使用する上記の場合と同様のものを同様に使用することができる。
本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示は、実施例にのみ限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例において使用した各種薬品をまとめて示す。各種薬品は必要に応じて常法に従い精製を行った。
<試験に使用した材料>
アクリル樹脂1:メチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーMB30X−8、粒子径:8μm)
アクリル樹脂2:ブチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーBM30X−8、粒子径:8μm)
アクリル樹脂3:メチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーMB30X−20、粒子径:20μm)
アクリル樹脂4:メチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る多孔質状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーMBP−8、粒子径:8μm)
アクリル樹脂5:メチルメタクリレートのホモポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーMB−8、粒子径:8μm)
アクリル樹脂6:メチルメタクリルレートのホモポリマーから成る球状アクリル樹脂((株)クラレ製のパラペットGF−P、粒子径:270μm)
アクリル樹脂7:ブチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーBM30X−5、粒子径:5μm)
アクリル樹脂8:メチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーMB30X−5、粒子径:5μm)
アクリル樹脂9:ブチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーBM30X−12、粒子径:12μm)
アクリル樹脂10:ブチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る球状アクリル樹脂(アイカ工業(株)製のガンツパールGB−15S、粒子径:15μm)
ハイシスBR:ハイシスブタジエンゴム(宇部興産(株)製のBR150L、シス1,4結合含量=98質量%)
PAN:ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチ社製、粒子径:8μm)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の沈降硫黄
実施例1
<原料の作製>
表2の配合に従い、材料をブレンダーで混合し、焼成のための原料(焼成原料)を得た。
(反応装置)
焼成原料の焼成には、図1に示す反応装置1を用いた。反応装置1は、原料2を収容して焼成するための、有底筒状をなす石英ガラス製の、外径60mm、内径50mm、高さ300mmの反応容器3、当該反応容器3の上部開口を閉じるシリコーン製の蓋4、当該蓋4を貫通する1本のアルミナ保護管5((株)ニッカトー製の「アルミナSSA−S」、外径4mm、内径2mm、長さ250mm)と、2本のガス導入管6とガス排出管7(いずれも、(株)ニッカトー製の「アルミナSSA−S」、外径6mm、内径4mm、長さ150mm)、および反応容器3を底部側から加熱する電気炉8(ルツボ炉、開口幅φ80mm、加熱高さ100mm)を備えている。
アルミナ保護管5は、蓋4から下方が、反応容器3の底に収容した原料2に達する長さに形成され、内部に熱電対9が挿通されている。アルミナ保護管5は、熱電対9の保護管として用いられる。熱電対9の先端は、アルミナ保護管5の閉じられた先端で保護された状態で、原料2に挿入されて、当該原料2の温度を測定するために機能する。熱電対9の出力は、図中に実線の矢印で示すように、電気炉8の温度コントローラ10に入力され、温度コントローラ10は、この熱電対9からの入力に基づいて、電気炉8の加熱温度をコントロールするために機能する。
ガス導入管6とガス排出管7は、その下端が、蓋4から下方へ3mm突出するように形成されている。ガス導入管6には、図示しないガスの供給系から、Ar(アルゴン)ガスが継続的に供給される。またガス排出管7は、水酸化ナトリウム水溶液11を収容したトラップ槽12に接続されている。反応容器3からガス排出管7を通って外部へ出ようとする排気は、一旦、トラップ槽12内の水酸化ナトリウム水溶液11を通ったのちに外部へ放出される。そのため排気中に、加硫反応によって発生する硫化水素ガスが含まれていても、水酸化ナトリウム水溶液と中和されて排気からは除去される。
(焼成工程)
まず原料2を反応容器3の底に収容した状態で、ガスの供給系から、80ml/分の流量でArガスを継続的に供給しながら、供給開始30分後に、電気炉8による加熱を開始した。昇温速度は150℃/hで実施した。そして原料の温度が表2の焼成温度(400℃)に達した時点で、該焼成温度を維持しながら2時間焼成をした。次いでArガスの流量を調整しながら、Arガス雰囲気下、反応生成物の温度を25℃まで自然冷却させたのち、生成物を反応容器3から取り出した。
(未反応硫黄の除去)
焼成工程後の生成物に残存する未反応硫黄(遊離した状態の単体硫黄)を除去するために、以下の工程をおこなった。すなわち、該生成物を乳鉢で粉砕し、粉砕物2gをガラスチューブオーブンに収容して、真空吸引しながら250℃で3時間加熱して、未反応硫黄が除去された(または、微量の未反応硫黄しか含まない)有機硫黄材料を得た。昇温速度は10℃/分とした。
(分級作業)
焼成物の粗大粒子を除去するために、32μmメッシュのステンレスふるいを用いて分級して有機硫黄材料1を得た。
<リチウムイオン二次電池の作製>
以下のとおり、リチウムイオン二次電池を作製した。
(正極)
活物質として有機硫黄材料1、導電助剤としてアセチレンブラック、バインダとしてアクリル樹脂を用いた。これらを、割合が、活物質:導電助剤:バインダ=90:5:5(質量%)になるよう秤量し、容器にいれ、分散剤にmilliQ水を使用して自転公転ミキサー((株)シンキー製のARE−250)を用いて攪拌、混合を行い、均一なスラリーを作製した。作製したスラリーを20μmのアルミ箔上に、スリット幅60μmのアプリケーターを使用して塗工し、ロールプレスを用いて圧縮した電極を120℃で3時間、乾燥機で加熱し、乾燥後、φ11に打ち抜くことで電極(正極)を得た。その後、電極の重量を測定し、上述の比率から電極中の活物質量を算出した。
(負極)
負極としては、金属リチウム箔(直径14mm、厚さ500μmの円盤状、本城金属(株)製)を用いた
(電解液)
電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒に、LiPF6を溶解した非水電解質を用いた。エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとは体積比1:1で混合した。電解液中のLiPF6の濃度は、1.0mol/lであった。
(リチウムイオン二次電池)
上記正極および負極を用いて、コイン電池を製作した。詳しくは、ドライルーム内で、セパレータ(Celgard社製のCelgard2400、厚さ25μmのポリプロピレン微孔質膜)と、ガラス不織布フィルタ(厚さ440μm、ADVANTEC社製のGA100)と、を正極と負極との間に挟装して、電極体電池とした。この電極体電池を、ステンレス容器からなる電池ケース(CR2032型コイン電池用部材、宝泉(株)製)に収容した。電池ケースには上記電解液を注入した。電池ケースをカシメ機で密閉して、実施例1のリチウムイオン二次電池を得た。
実施例2〜15並びに比較例1〜2
表2および表3の配合・条件に従って適宜変更を加えた以外は、実施例1と同様に処理して、それぞれの焼成原料、有機硫黄材料、および、リチウムイオン二次電池を作製した。
<放電容量、および容量維持率の測定>
各実施例、比較例で作製したコイン型のリチウムイオン二次電池について、試験温度30℃の条件下で、正極活物質1gあたり、1回から9回目までは50mAに相当する電流値で充放電し、10回から30回目までは250mAに相当する電流値で充放電させた。放電終止電圧は1.0V、充電終止電圧は3.0Vとした。また充放電を繰り返し、10、30回の電池放電容量(mAh)を観察した。
2回目の放電容量(mAh/g)を初期容量とした。初期容量が大きいほど、リチウムイオン二次電池は充放電容量が大きく好ましいと評価できる。また10回目の放電容量DC10(mAh/g)と30回目の放電容量DC30(mAh/g)から、下記式(a):

容量維持率(%)=(DC30/DC10)×100 (a)

により、容量維持率(%)を求めた。先に説明したように容量維持率が高いほど、リチウムイオン二次電池はサイクル特性に優れていると言える。
<元素分析>
実施例、比較例で製造した有機硫黄材料の元素分析をした。
炭素、水素、硫黄および窒素について、エレメンタール社(Elementar)製の全自動元素分析装置 vario MICRO cubeを用いて測定した質量から、有機硫黄材料の総量中に占める質量比(%)を算出した。結果を表2および表3に示す。
<ラマンスペクトル>
ラマンスペクトルは、上記の方法により測定した。実施例1、7および比較例1、2の有機硫黄材料についての結果を図2に示す。同図は、各ラマンスペクトルを、そのピーク位置を比較できるように、同一の横軸(波数(cm-1))の下、並記したものである。
Figure 2021172814
Figure 2021172814
表2および表3より、実施例では、比較例1に比べて、高い初期容量(mAh/g)を示し、かつ、容量維持率(%)も高い水準で維持されていることがわかる。比較例2は高い初期容量および容量維持率を示すが、高価なポリアクリロニトリルを原料とするため安価には提供し難い。本開示の有機硫黄材料によれば、初期容量が高く、容量維持率も良好であるリチウムイオン二次電池を安価に提供できる。
1 反応装置
2 原料
3 反応容器
4 シリコーン製の蓋
5 アルミナ保護管
6 ガス導入管
7 ガス排出管
8 電気炉
9 熱電対
10 温度コントローラ
11 水酸化ナトリウム水溶液
12 トラップ槽
A 1450cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差
B 1540cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差

Claims (19)

  1. アクリル樹脂を硫黄で変性した有機硫黄材料であり、
    前記アクリル樹脂が、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体、または、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、有機硫黄材料。

    CH2=C(R11)COOR12 (1)

    (ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

    CH2=C(R21)COO−Y−OCO(R22)C=CH2 (2)

    (ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
  2. 前記変性が非酸化性雰囲気下での焼成により実施される、請求項1記載の有機硫黄材料。
  3. 12が炭素数1〜6のアルキル基であり、Yが炭素数2〜6のヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基において、置換基の数が1〜4であり、置換基であるアルキル基の炭素数が1〜4であり、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格が有するエーテル結合の数が1〜2である、請求項1または2記載の有機硫黄材料。
  4. 前記アクリル樹脂の粒子径が、0.1〜300.0μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機硫黄材料。
  5. 前記アクリル樹脂が多孔質構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機硫黄材料。
  6. ラマン分光法によって検出されたラマンスペクトルにおいて、1450cm-1付近に主ピークが存在し、かつ、200〜1800cm-1の範囲で他に485cm-1付近、1250cm-1付近、1540cm-1付近にピークが存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機硫黄材料。
  7. 前記ラマンスペクトルにおいて、1000cm-1の強度と1800cm-1の強度とを結ぶ直線をベースラインとして、1450cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差(I1450)および1540cm-1付近のピーク強度と対応するベースライン強度との差(I1540)を算出するとき、I1450/I1540の値が1〜4の範囲である、請求項6記載の有機硫黄材料。
  8. 有機硫黄材料中の硫黄量が50.0質量%以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機硫黄材料。
  9. 前記アクリル樹脂が、前記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機硫黄材料。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機硫黄材料を含んでなる電極。
  11. 請求項10記載の電極を含んでなるリチウムイオン二次電池。
  12. 有機硫黄材料の製造方法であって、
    (1)アクリル樹脂を準備する工程、
    (2)前記アクリル樹脂を硫黄で変性する工程
    を含んでなるものであり、
    前記アクリル樹脂が、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合した重合体、または、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合した重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、製造方法。

    CH2=C(R11)COOR12 (1)

    (ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

    CH2=C(R21)COO−Y−OCO(R22)C=CH2 (2)

    (ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
  13. 前記変性が非酸化性雰囲気下での焼成により実施される、請求項12記載の製造方法。
  14. 前記アクリル樹脂に対する前記硫黄の量が、アクリル樹脂100質量部に対して硫黄50〜1000質量部である、請求項12または13記載の有機硫黄材料。
  15. 前記焼成の温度が250〜550℃である請求項12〜14のいずれか1項に記載の有機硫黄材料。
  16. 前記アクリル樹脂の粒子径が、0.1〜300.0μmである、請求項12〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 前記アクリル樹脂が多孔質構造を有する、請求項12〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
  18. 電極の製造方法であって、
    請求項12〜17のいずれか1項に記載の製造方法により、有機硫黄材料を製造した後、さらに、
    (3)該有機硫黄材料を用いて、常法により、電極を作製する工程
    を含んでなる、製造方法。
  19. リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    請求項18記載の製造方法により電極を製造した後、さらに、
    (4)該電極を用いて、常法により、リチウムイオン二次電池を作製する工程
    を含んでなる製造方法。
JP2021022758A 2020-04-20 2021-02-16 有機硫黄材料、電極およびリチウムイオン二次電池並びに製造方法 Active JP7136244B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR1020210046314A KR20210130101A (ko) 2020-04-20 2021-04-09 유기 황 재료, 전극 및 리튬 이온 이차 전지, 및 제조 방법
CN202110388947.4A CN113540450A (zh) 2020-04-20 2021-04-12 有机硫材料、电极以及锂离子二次电池和制造方法
US17/234,149 US11876228B2 (en) 2020-04-20 2021-04-19 Organic sulfur material, electrode, and lithium-ion secondary batteries, and producing method
EP21169231.4A EP3923377A1 (en) 2020-04-20 2021-04-19 Organic sulfur material, electrode, and lithium-ion secondary batteries, and producing method

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020074883 2020-04-20
JP2020074883 2020-04-20

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2021172814A true JP2021172814A (ja) 2021-11-01
JP2021172814A5 JP2021172814A5 (ja) 2022-03-08
JP7136244B2 JP7136244B2 (ja) 2022-09-13

Family

ID=78279056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021022758A Active JP7136244B2 (ja) 2020-04-20 2021-02-16 有機硫黄材料、電極およびリチウムイオン二次電池並びに製造方法

Country Status (2)

Country Link
EP (1) EP3923377A1 (ja)
JP (1) JP7136244B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1396202A (zh) * 2002-04-17 2003-02-12 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 电化学电源正极用单质硫/导电聚合物复合材料及方法
JP2010153296A (ja) * 2008-12-26 2010-07-08 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 硫黄変性ポリアクリロニトリルシート、その製造方法及びその用途
JP2016006742A (ja) * 2014-06-20 2016-01-14 株式会社リコー 二次電池用樹脂被覆硫黄ナノ粒子、二次電池用正極活物質、二次電池
US20190312263A1 (en) * 2019-02-21 2019-10-10 Sabic Global Technologies B.V. Carbon encapsulated sulfur-metal oxide composite, methods of preparation, and uses thereof

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101331382B1 (ko) 2008-10-17 2013-11-20 가부시키가이샤 도요다 지도숏키 황 변성 폴리아크릴로니트릴, 그 제조 방법, 및 그 용도
CN103155247B (zh) * 2010-10-14 2015-06-10 株式会社吴羽 非水电解质二次电池用负极混合剂、非水电解质二次电池用负极和非水电解质二次电池
JP6132102B2 (ja) 2013-10-04 2017-05-24 住友ゴム工業株式会社 硫黄系正極活物質の製造方法およびリチウムイオン二次電池の製造方法
JP2017088501A (ja) 2015-11-02 2017-05-25 積水化成品工業株式会社 化粧料用多孔質樹脂粒子
CN110416487B (zh) * 2018-04-27 2021-08-20 宁德时代新能源科技股份有限公司 锂化的硫化聚丙烯腈及其制备方法,正极片以及锂硫二次电池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1396202A (zh) * 2002-04-17 2003-02-12 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 电化学电源正极用单质硫/导电聚合物复合材料及方法
JP2010153296A (ja) * 2008-12-26 2010-07-08 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 硫黄変性ポリアクリロニトリルシート、その製造方法及びその用途
JP2016006742A (ja) * 2014-06-20 2016-01-14 株式会社リコー 二次電池用樹脂被覆硫黄ナノ粒子、二次電池用正極活物質、二次電池
US20190312263A1 (en) * 2019-02-21 2019-10-10 Sabic Global Technologies B.V. Carbon encapsulated sulfur-metal oxide composite, methods of preparation, and uses thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP7136244B2 (ja) 2022-09-13
EP3923377A1 (en) 2021-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6731663B2 (ja) 硫黄系正極活物質、正極およびリチウムイオン二次電池
JPWO2013001693A1 (ja) 硫黄系正極活物質とその製造方法及びリチウムイオン二次電池用正極
KR20200092310A (ko) 전기 화학 소자용 도전재 페이스트, 전기 화학 소자 정극용 슬러리 조성물 및 그 제조 방법, 전기 화학 소자용 정극, 그리고 전기 화학 소자
JP7404852B2 (ja) 硫黄系活物質
WO2013076958A1 (ja) 非水電解質二次電池用正極材料、非水電解質二次電池、および非水電解質二次電池用正極材料の製造方法
JP7163983B2 (ja) 有機硫黄材料、電極およびリチウムイオン二次電池並びに製造方法
JP6775229B2 (ja) リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池
US11876228B2 (en) Organic sulfur material, electrode, and lithium-ion secondary batteries, and producing method
JP7136244B2 (ja) 有機硫黄材料、電極およびリチウムイオン二次電池並びに製造方法
JP2021190173A (ja) 硫黄系活物質、電極、非水電解質二次電池および製造方法
US20210324115A1 (en) Organic sulfur material, electrode, and lithium-ion secondary batteries, and producing method
JP7264306B1 (ja) 電極およびリチウムイオン二次電池
JP7318789B1 (ja) 電極およびリチウムイオン二次電池
WO2023189852A1 (ja) 硫黄系活物質の製造方法
WO2023189851A1 (ja) 硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池
WO2023189850A1 (ja) 硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池並びに製造方法
WO2022254962A1 (ja) 硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池並びに製造方法
EP3716363B1 (en) Sulfur-based active material
JP7247525B2 (ja) 硫黄系正極活物質、正極およびリチウムイオン二次電池
JP7404851B2 (ja) 硫黄系活物質
JP2023041370A (ja) 硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池の製造方法、並びに、変性ポリマー、硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池
JP2023068392A (ja) 電極活物質、電極およびリチウムイオン二次電池
JP2021051921A (ja) Si−Ti−C負極材料の製造方法
JPWO2019054173A1 (ja) 電気化学素子電極用スラリー組成物、電気化学素子用電極、電気化学素子、および電気化学素子電極用スラリー組成物の製造方法
JP2015038818A (ja) ポリテトラフルオロエチレン含有バインダー層を有する電極

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220225

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20220225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220606

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7136244

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150