JPWO2013001693A1 - 硫黄系正極活物質とその製造方法及びリチウムイオン二次電池用正極 - Google Patents

硫黄系正極活物質とその製造方法及びリチウムイオン二次電池用正極 Download PDF

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Abstract

ポリアクリロニトリルと硫黄粉末との混合物を加熱することで、ポリアクリロニトリル由来の炭素骨格に硫黄が結合してなり硫黄含有量が30〜70質量%の硫黄系正極活物質を得る。この硫黄系正極活物質を正極に用いたリチウムイオン二次電池は、400mAh/g以上の高容量を発現する。

Description

本発明は、硫黄を含む硫黄系正極活物質とその製造方法、及びその硫黄系正極活物質を含むリチウムイオン二次電池用正極に関する。
非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池は、充放電容量の大きな電池であり、主として携帯電子機器用の電池として用いられている。また、リチウムイオン二次電池は、電気自動車用の電池としても期待されている。
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、コバルトやニッケル等のレアメタルを含むものが一般的である。しかし、これらの金属は流通量が少なく高価であるため、近年では、これらのレアメタルに代わる物質を用いた正極活物質が求められている。
またリチウムイオン二次電池の正極活物質として、硫黄を用いる技術が知られている。硫黄を正極活物質として用いることで、リチウムイオン二次電池の充放電容量を大きくすることができる。例えば、硫黄を正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池の充放電容量は、一般的な正極材料であるコバルト酸リチウム正極材料を用いたリチウムイオン二次電池の充放電容量の約6倍である。
しかし、正極活物質として単体硫黄を用いたリチウムイオン二次電池においては、放電時に硫黄とリチウムとの化合物が生成する。この硫黄とリチウムとの化合物は、リチウムイオン二次電池の非水系電解液(例えば、エチレンカーボネートやジメチルカーボネート等)に可溶である。このため、正極活物質として硫黄を用いたリチウムイオン二次電池は、充放電を繰り返すと、硫黄化合物の電解液への溶出により次第に劣化し、電池容量が低下するという問題があった。
そこで硫黄化合物の電解液への溶出を抑制するために、硫黄を含む正極活物質(以下、硫黄系正極活物質という)に、例えば炭素材料等の硫黄以外の材料を配合する技術が提案されている(特許文献1)。
特許文献1には、硫黄系正極活物質として、炭素と硫黄を主な構成要素とするポリ硫化カーボンを用いる技術が紹介されている。このポリ硫化カーボンは、直鎖状不飽和ポリマーに硫黄が付加されたものである。この硫黄系正極活物質は、充放電の繰り返しに伴うリチウムイオン二次電池の充放電容量低下を抑制できるとされている。以下、充放電の繰り返しに伴って充放電容量が低下するリチウムイオン二次電池の特性を「サイクル特性」と呼ぶ。充放電容量の低下度合いが小さいリチウムイオン二次電池はサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池であり、充放電容量の低下度合いの大きなリチウムイオン二次電池はサイクル特性に劣るリチウムイオン二次電池である。
しかし、特許文献1に紹介されている硫黄系正極活物質によっても、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を充分に向上させることはできなかった。これは、放電時に硫黄とリチウムとが結合することにより、ポリ硫化カーボンに含まれる-CS-CS-結合や-S-S-結合が切断されて、ポリマーが切断されるためだと考えられている。
そこで本発明の発明者らは、ポリアクリロニトリルと硫黄との混合物を熱処理して得られる硫黄系正極活物質を発明した(特許文献2)。この正極活物質を正極に用いたリチウムイオン二次電池の充放電容量は大きく、かつ、この正極活物質を正極に用いたリチウムイオン二次電池はサイクル特性に優れる。
特許文献2に記載された硫黄系正極活物質の組成や構造はまだ解明されていないが、ポリアクリロニトリルの炭素と反応した硫黄もあれば、ポリアクリロニトリル由来の炭素骨格中に取り込まれた硫黄もあると考えられている。この硫黄は、LiS→LiS→LiS→LiSのようにリチウムとの結合形態が変化する。そのため硫黄中をリチウムイオンが移動し易く、最終的にLiSになると硫黄に結合するリチウム量が多くなるので、充放電容量の増大及びサイクル特性の向上という効果が発現すると考えられる。
特開2002−154815号公報 国際公開第2010/044437号
リチウムイオン二次電池の容量の観点からは、正極活物質中の硫黄量は多ければ多いほど好ましい。しかし特許文献2に記載された硫黄系正極活物質においては、製造ロットによって硫黄量に大きな変動があったり、硫黄量を多くしても必ずしも電池特性が向上するとは云えなかった。また硫黄量が多くなり過ぎると、余剰の硫黄が電解液中に析出して電池特性を悪化させるという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池としたときに大きな充放電容量を持ち、かつサイクル特性に優れ、確実に最大の特性を発現できる硫黄系正極活物質、この硫黄系正極活物質の製造方法、およびこの硫黄系正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池用正極を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の硫黄系正極活物質の特徴は、ポリアクリロニトリル由来の炭素骨格と、炭素骨格中に含まれた硫黄(S)とからなり、硫黄含有量が30〜70質量%であることにある。硫黄含有量は、45〜55質量%であることが特に望ましい。さらに本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、本発明の硫黄系正極活物質を含むことを特徴とする。
そして本発明の硫黄系正極活物質を製造できる本発明の硫黄系正極活物質の製造方法の特徴は、硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末を含む原料粉末を混合する混合工程と、硫黄蒸気の流出を防止しつつ非酸化性雰囲気下で加熱する熱処理工程と、を行うにあたり、ポリアクリロニトリル粉末の比表面積を30m/g以上としたことにある。
本発明の硫黄系正極活物質およびリチウムイオン二次電池用正極によると、リチウムイオン二次電池の充放電容量およびサイクル特性を向上させることができる。
また本発明の硫黄系正極活物質の製造方法によると、リチウムイオン二次電池の充放電容量およびサイクル特性を向上させ得る硫黄系正極活物質を確実にかつ安定して製造することができる。
実施例の硫黄系正極活物質の製造方法で用いた反応装置を模式的に表す説明図である。 実施例1の硫黄系正極活物質をラマンスペクトル分析した結果を表すグラフである。 硫黄含有量と二サイクル目の容量との関係を示すグラフである。 ポリアクリロニトリル粉末の比表面積と放電容量との関係を示すグラフである。
(硫黄系正極活物質の製造方法)
本発明の製造方法は、硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末を含む原料粉末を混合する混合工程と、硫黄蒸気の流出を防止しつつ非酸化性雰囲気下で加熱する熱処理工程と、を行う。混合工程は、硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末とを混合する。混合手段は、ミキサー、各種ミルなどを用いることができる。
硫黄粉体の粒径については、特に限定的ではないが、篩いを用いて分級した際に、150μm〜40μm程度の範囲内にあるものが好ましく、100μm〜40μm程度の範囲内にあるものがより好ましい。
ポリアクリロニトリル粉末としては、重量平均分子量が10,000〜300,000程度の範囲内にあるものが好ましい。また、ポリアクリロニトリルの粒径については、電子顕微鏡によって観察した際に、0.5〜50μm程度の範囲内にあるものが好ましく、1〜10μm程度の範囲内にあるものがより好ましい。
ポリアクリロニトリル粉末は、比表面積が30m/g以上のものを用いる。比表面積が30m/g以上のポリアクリロニトリル粉末を用いることで、得られた硫黄系正極活物質を正極に用いたリチウムイオン二次電池の放電容量が最大となる。こうなる理由は明らかではないが、図4に示したように比表面積を30m/g以上とすることで放電容量が飽和していることから、ポリアクリロニトリルと硫黄との結合反応と脱離反応がバランスする、あるいは比表面積が大きくなるほどポア径が小さくなり硫黄が入りにくくなるためと考えられている。
硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末の混合割合については、ポリアクリロニトリル粉末100質量部に対して、硫黄粉体を200〜600質量部程度とすることが好ましく、200〜500質量部程度とすることがより好ましく、400〜450質量部程度とすることが更に好ましい。この範囲の配合比で混合された混合原料を用いることで、硫黄含有量が30〜70質量%の硫黄系正極活物質を製造することができる。混合原料は、硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末とを単に混合しただけでも良いが、混合物をペレット状に成形した状態としてもよい。また混合原料は、ポリアクリロニトリルおよび硫黄のみで構成しても良いし、正極活物質に配合可能な一般的な材料(導電助剤等)を配合しても良い。
本発明の製造方法では、上記した硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末との混合原料を用い、硫黄の流出を防止しつつ非酸化性雰囲気下において加熱する。これにより、ポリアクリロニトリルの閉環反応と同時に、蒸気状態の硫黄がポリアクリロニトリルと反応して、硫黄によって変性された、あるいは硫黄が取り込まれたポリアクリロニトリルが得られる。
硫黄の流出を防止しつつ加熱する方法の一例として、密閉された雰囲気中で加熱する方法を採用できる。この場合、密閉された雰囲気としては、加熱によって発生する硫黄の蒸気が散逸しない程度の密閉状態が保たれていればよい。また、非酸化性雰囲気としては、酸化反応が進行しない程度の低酸素濃度とした減圧状態;窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気;硫黄ガス雰囲気等とすればよい。
密閉状態の非酸化性雰囲気とするための具体的な方法については特に限定はなく、例えば、硫黄蒸気が散逸しない程度の密閉性が保たれる容器中に原料を入れて、容器内を減圧状態又は不活性ガス雰囲気として加熱すればよい。その他、硫黄粉末とポリアクリロニトリルの粉末の混合原料を、アルミニウムラミネートフィルム等の硫黄の蒸気と反応を生じ無い材料で真空包装した状態で加熱してもよい。この場合、発生した硫黄蒸気によって包装材料が破損しないように、例えば、水を入れたオートクレーブ等の耐圧容器中に、包装された混合原料を入れて加熱し、発生した水蒸気で包装材の外部から加圧する状態とすることが好ましい。この方法によれば、包装材料の外部から水蒸気によって加圧されるので、硫黄蒸気によって包装材料が膨れて破損することが防止される。
加熱温度は、250〜500℃程度とすることが好ましく、250〜400℃程度とすることがより好ましく、250〜300℃程度とすることがさらに好ましい。また加熱時間については、特に限定的ではなく、実際の加熱温度によって異なるが、通常、上記した温度範囲内に10分〜10時間程度保持すればよく、30分〜6時間程度保持することが好ましい。本発明の製造方法によれば、この様な短時間で硫黄系正極活物質を形成することが可能である。
また、硫黄の流出を防止しつつ加熱する方法のその他の例として、反応によって生成する硫化水素を排出する開口部を有する反応容器中で、硫黄蒸気を還流させながら硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末を含む原料粉末を加熱する方法を採用できる。この場合、硫化水素を排出するための開口部は、発生した硫黄蒸気がほぼ完全に液化して還流し、開口部からの硫黄蒸気の流出を防止できる位置に設ければよい。例えば、反応容器内の温度が100℃以下程度となる部分に開口部を設けることによって、反応によって生成する硫化水素については開口部から外部に排出されるが、硫黄蒸気は開口部の部分では凝縮して、外部に排出されることなく反応容器中に戻すことができる。
なお、ポリアクリロニトリルに対する硫黄の配合量を過大とすれば、熱処理工程においてポリアクリロニトリルに充分な量の硫黄を容易に取り込むことができる。そしてポリアクリロニトリルに対して硫黄を必要以上の量で配合したとしても、熱処理工程後の被処理体から過剰の単体硫黄を除去する単体硫黄除去工程を行うことで、単体硫黄による悪影響を抑制できる。詳しくは、混合物中のポリアクリロニトリルと硫黄との配合比を、質量比で1:2〜1:5とする場合、熱処理工程後の被処理体を、減圧しつつ200℃〜250℃で加熱する(単体硫黄除去工程)ことで、ポリアクリロニトリルに充分な量の硫黄を取り込みつつ、残存する単体硫黄による悪影響を抑制できる。
(硫黄系正極活物質)
本発明の硫黄系正極活物質は、本発明の製造方法で製造できる。本発明の硫黄系正極活物質は、正極、負極および電解質を持つリチウムイオン二次電池の正極用に用いられる。またナトリウムイオン二次電池の正極に用いることも可能である。
本発明の硫黄系正極活物質は、ポリアクリロニトリル由来の炭素骨格と、その炭素骨格中に含まれた硫黄(S)とからなり、硫黄含有量が30〜70質量%であることを特徴としている。硫黄含有量が30質量%未満では、リチウムイオン二次電池の正極に用いたときの容量が低く実用的でない。また硫黄含有量が70質量%を超えると、余剰の硫黄が電解液中に析出するため容量が低くなってしまう。
本発明の硫黄系正極活物質は、室温から900℃まで20℃/分の昇温速度で加熱した際の熱重量分析による重量減が、400℃時点で10%以下である。一方、硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末の混合物を同様の条件で加熱すると120℃付近から重量減少が認められ、200℃以上になると急激に硫黄の消失に基づく大きな重量減が認められる。更に本発明の硫黄系正極活物質は、CuKα線によるX線回折の結果、硫黄に基づくピークが消失して、回折角(2θ)が20〜30℃付近にブロードなピークのみが確認される。
これらの点から、本発明の硫黄系正極活物質では、大部分の硫黄は閉環の進行したポリアクリロニトリルと結合した状態で存在していると考えられる。しかし電解液に硫黄が溶出する現象も観察されることから、単体硫黄の存在も示唆される。
ポリアクリロニトリル100質量部に対して、硫黄を200質量部用いて得られた本発明の硫黄系正極活物質についてのラマンスペクトルの一例を図2に示す。この硫黄系正極活物質は、ラマンスペクトルにおいて、ラマンシフトの1331cm−1付近に主ピークが存在し、かつ、200cm−1〜1800cm−1の範囲で1548cm−1、939cm−1、479cm−1、381cm−1、317cm−1付近にピークが存在する。上記したラマンシフトのピークについては、ポリアクリロニトリルに対する硫黄の比率を変更した場合にも同様のピーク位置に観測されるものであり、本発明の硫黄系正極活物質を特徴づけるものである。上記した各ピークは、上記したピーク位置を中心としては、ほぼ±8cm−1の範囲内に存在することができる。尚、上記したラマンシフトは、日本分光社製 RMP-320(励起波長λ=532nm、グレーチング:1800gr/mm、分解能:3cm−1)で測定したものである。尚、ラマンスペクトルは、入射光の波長や分解能の違いなどにより、ピークの数が変化することや、ピークトップの位置がずれることがある。
(リチウムイオン二次電池用正極)
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、上述した本発明の硫黄系正極活物質を含む。このリチウムイオン二次電池用正極は、正極活物質以外は、一般的なリチウムイオン二次電池用正極と同様の構造にできる。例えば、本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、本発明の硫黄系正極活物質、導電助剤、バインダ、および溶媒を混合した正極材料を、集電体に塗布することによって製作できる。
導電助剤としては、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、炭素粉末、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、黒鉛、アルミニウムやチタンなどの正極電位において安定な金属の微粉末等が例示される。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene
DiFluoride:PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、変性ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が例示される。
溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアルデヒド、アルコール、水等が例示される。これら導電助剤、バインダおよび溶媒は、それぞれ複数種を混合して用いても良い。これらの材料の配合量は特に問わないが、例えば、硫黄系正極活物質100質量部に対して、導電助剤20〜100質量部程度、バインダ10〜20質量部程度を配合するのが好ましい。また、その他の方法として、本発明の硫黄系正極活物質と上述した導電助剤およびバインダとの混合物を乳鉢やプレス機などで混練しかつフィルム状にし、フィルム状の混合物をプレス機等で集電体に圧着することで、本発明のリチウムイオン二次電池用正極を製造することもできる。
集電体としては、リチウムイオン二次電池用正極に一般に用いられるものを使用すれば良い。例えば、集電体としては、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、パンチングアルミニウムシート、アルミニウムエキスパンドシート、ステンレススチール箔、ステンレススチールメッシュ、パンチングステンレススチールシート、ステンレススチールエキスパンドシート、発泡ニッケル、ニッケル不織布、銅箔、銅メッシュ、パンチング銅シート、銅エキスパンドシート、チタン箔、チタンメッシュ、カーボン不織布、カーボン織布等が例示される。このうち黒鉛化度の高いカーボンから成るカーボン不織布/織布集電体は、水素を含まず、硫黄との反応性が低いために、硫黄系正極活物質用の集電体として好適である。黒鉛化度の高い炭素繊維の原料としては、カーボン繊維の材料となる各種のピッチ(すなわち、石油、石炭、コールタールなどの副生成物)やポリアクリロニトリル繊維(PAN)等を用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、正極活物質として、上述した本発明の硫黄系正極活物質を含む。したがって本発明のリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池は、充放電容量が大きくサイクル特性に優れる。
(リチウムイオン二次電池)
以下、本発明の硫黄系正極活物質を正極に用いたリチウムイオン二次電池の構成について説明する。以下、本発明の硫黄系正極活物質を正極に用いたリチウムイオン二次電池を単にリチウムイオン二次電池と略する。なお、正極に関しては、上述したとおりである。
(負極)
負極材料としては、公知の金属リチウム、黒鉛などの炭素系材料、シリコン薄膜などのシリコン系材料、銅−錫やコバルト−錫などの合金系材料を使用できる。負極材料として、リチウムを含まない材料、例えば、上記した負極材料の内で、炭素系材料、シリコン系材料、合金系材料等を用いる場合には、デンドライトの発生による正負極間の短絡を生じ難い点で有利である。ただし、これらのリチウムを含まない負極材料を本発明の正極と組み合わせて用いる場合には、正極および負極が何れもリチウムを含まない。このため、負極および正極の何れか一方、または両方にあらかじめリチウムを挿入するリチウムプリドープ処理が必要となる。リチウムのプリドープ法としては公知の方法に従えば良い。例えば、負極にリチウムをドープする場合には、対極に金属リチウムを用いて半電池を組み、電気化学的にリチウムをドープする電解ドープ法によってリチウムを挿入する方法や、金属リチウム箔を電極に貼り付けたあと電解液の中に放置し電極へのリチウムの拡散を利用してドープする貼り付けプリドープ法によりリチウムを挿入する方法が挙げられる。また、正極にリチウムをプリドープする場合にも、上記した電解ドープ法を利用することが出来る。
リチウムを含まない負極材料としては、特に、高容量の負極材料であるシリコン系材料が好ましく、その中でも電極厚さが薄くて体積当りの容量で有利となる薄膜シリコンがより好ましい。
(電解質)
リチウムイオン二次電池に用いる電解質としては、有機溶媒に電解質であるアルカリ金属塩を溶解させたものを用いることができる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル等の非水系溶媒から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。電解質としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiI、LiClO等を用いることができる。電解質の濃度は、0.5mol/l〜1.7mol/l程度であれば良い。なお、電解質は液状に限定されない。例えば、リチウムイオン二次電池がリチウムポリマー二次電池である場合、電解質は固体状(例えば、高分子ゲル状)をなす。
(その他)
リチウムイオン二次電池は、上述した負極、正極、電解質以外にも、セパレータ等の部材を備えても良い。セパレータは、正極と負極との間に介在し、正極と負極との間のイオンの移動を許容するとともに、正極と負極との内部短絡を防止する。リチウムイオン二次電池が密閉型であれば、セパレータには電解液を保持する機能も求められる。セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリイミド、セルロース、ガラス等を材料とする薄肉かつ微多孔性または不織布状の膜を用いるのが好ましい。リチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、積層型、コイン型等、種々の形状にできる。
以下、本発明の硫黄系正極活物質の製造方法、硫黄系正極活物質、および、リチウムイオン二次電池用正極を具体的に説明する。
(実施例1)
〈硫黄系正極活物質の製造〉
〔1〕混合工程
比表面積が33m/gのポリアクリロニトリル粉末0.1gと、硫黄粉末0.4gと、を乳鉢で混合して混合原料とした。
〔2〕装置
図1に示すように、反応装置1は、反応容器2、蓋3、熱電対4、アルミナ保護管40、二つのアルミナ管(ガス導入管5、ガス排出管6)、アルゴンガス配管50、アルゴンガスを収容したガスタンク51、トラップ配管60、水酸化ナトリウム水溶液61を収容したトラップ槽62、電気炉7、電気炉に接続されている温度コントローラ70を有する。
反応容器2としては、有底筒状をなすガラス管(石英ガラス製)を用いた。後述する熱処理工程において、反応容器2には混合原料9を収容した。反応容器2の開口部は、三つの貫通孔を持つガラス製の蓋3で閉じた。貫通孔の一つには、熱電対4を収容したアルミナ保護管40(アルミナSSA-S、株式会社ニッカトー製)を取り付けた。貫通孔の他の一つには、ガス導入管5(アルミナSSA-S、株式会社ニッカトー製)を取り付けた。貫通孔の残りの一つには、ガス排出管6(アルミナSSA-S、株式会社ニッカトー製)を取り付けた。なお、反応容器2は、外径60mm、内径50mm、長さ300mmであった。アルミナ保護管40は、外径4mm、内径2mm、長さ250mmであった。ガス導入管5およびガス排出管6は、外径6mm、内径4mm、長さ150mmであった。ガス導入管5およびガス排出管6の先端は、蓋3の外部(反応容器2内)に露出した。この露出した部分の長さは3mmであった。ガス導入管5およびガス排出管6の先端は、後述する熱処理工程においてほぼ100℃以下となる。このため、熱処理工程において生じる硫黄蒸気は、ガス導入管5およびガス排出管6から流出せず、反応容器2に戻される(還流する)。
アルミナ保護管40に入れた熱電対4の先端は、間接的に反応容器2中の混合原料9の温度を測定した。熱電対4で測定した温度は、電気炉7の温度コントローラ70にフィードバックした。
ガス導入管5にはアルゴンガス配管50を接続した。アルゴンガス配管50はアルゴンガスを収容したガスタンク51に接続した。ガス排出管6にはトラップ配管60の一端を接続した。トラップ配管60の他端は、トラップ槽62中の水酸化ナトリウム水溶液61に挿入した。なお、トラップ配管60およびトラップ槽62は、後述する熱処理工程で生じる硫化水素ガスのトラップである。
〔3〕熱処理工程
混合原料9を収容した反応容器2を、電気炉7(ルツボ炉、開口幅φ80mm、加熱高さ100mm)に収容した。このとき、ガス導入管5を介して反応容器2の内部にアルゴンを導入した。このときのアルゴンガスの流速は100ml/分であった。アルゴンガスの導入開始10分後に、アルゴンガスの導入を継続しつつ反応容器2中の混合原料9の加熱を開始した。このときの昇温速度は5℃/分であった。混合原料9が100℃になった時点で、混合原料9の加熱を継続しつつアルゴンガスの導入を停止した。混合原料9が約200℃になるとガスが発生した。混合原料9が360℃になった時点で加熱を停止した。加熱停止後、混合原料9の温度は400℃にまで上昇し、その後、低下した。したがって、この熱処理工程において、混合原料9は400℃にまで加熱された。その後、混合原料9を自然冷却し、混合原料9が室温(約25℃)にまで冷却された時点で反応容器2から生成物(すなわち、熱処理工程後の被処理体)を取り出した。なお、このときの加熱時間は400℃で約5分であり、硫黄は還流された。
〔4〕単体硫黄除去工程
熱処理工程後の被処理体に残存する単体硫黄(遊離の硫黄)を除去するために、以下の工程をおこなった。
熱処理工程後の被処理体を乳鉢で粉砕した。粉砕物2gをガラスチューブオーブンに入れ、真空吸引しつつ200℃で3時間加熱した。このときの昇温温度は10℃/分であった。この工程により、熱処理工程後の被処理体に残存する単体硫黄が蒸発・除去され、単体硫黄を含まない(または、微量の単体硫黄を含む)実施例1の硫黄系正極活物質を得た。
〔5〕ラマンスペクトル
次に、得られた硫黄系正極活物質について、日本分光社製 RMP-320(励起波長λ=532nm、グレーチング:1800gr/mm、分解能:3cm−1)を用いてラマン分析を行なった。得られたラマンスペクトルを図2に示す。図2において、横軸はラマンシフト(cm−1)であり、縦軸は相対強度である。この試料のラマン分析結果によれば、1331cm−1付近に主ピークが存在し、かつ、200cm−1〜1800cm−1の範囲で1548cm−1、939cm−1、479cm−1、381cm−1、317cm−1付近にピークが存在することがわかる。上記した試料は、一般に500〜750cm−1の範囲に現れるはずのC-S、N-S、S-S結合が認められないが、これは、ポリアクリロニトリル由来の炭素および窒素の不飽和結合(C=C、C=N結合)の影響を受けてピーク位置がシフトしたものと推定される。
〔6〕元素分析
得られた硫黄系正極活物質について、各元素の組成比を求めた。炭素、水素及び窒素に関しては、Elementar社製の「vario MICRO cube」を用いて元素分析にて重量を測定した。硫黄に関しては、DIONEX社製の「DX320」(カラム:IonPacAS12A)を用い、イオンクロマトグラフィーで重量を測定した。そして全元素の合計重量に対する硫黄の重量比を算出したところ、得られた硫黄系正極活物質には硫黄が50質量%含まれていた。
〈リチウムイオン二次電池の製作〉
〔1〕正極
得られた硫黄系正極活物質3mgとアセチレンブラック2.7mgとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.3mgとの混合物を、ヘキサンを適量加えつつ、メノウ製乳鉢でフィルム状になるまで混練し、フィルム状の正極材料を得た。この正極材料全量を、φ14mmの円形に打ち抜いたアルミニウムメッシュ(#100メッシュ)の上に置き、卓上プレス機で圧着し、100℃で3時間乾燥した。この工程で、実施例1のリチウムイオン二次電池用正極を得た。
〔2〕負極
負極としては、厚さ0.5mmの金属リチウム箔(本城金属社製)をφ14mmに打ち抜いたものを用いた。
〔3〕電解液
電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、LiPFを溶解した非水電解質を用いた。エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとは体積比1:1で混合した。電解液中のLiPFの濃度は、1.0mol/lであった。
〔4〕電池
〔1〕、〔2〕で得られた正極および負極を用いて、コイン電池を製作した。詳しくは、ドライルーム内で、厚さ25μmのポリプロピレン微孔質膜からなるセパレータ(「Celgard2400」Celgard社製)と、厚さ500μmのガラス不織布フィルタと、を正極と負極との間に挟装して、電極体電池とした。この電極体電池を、ステンレス容器からなる電池ケース(CR2032型コイン電池用部材、宝泉株式会社製)に収容した。電池ケースには〔3〕で得られた電解液を注入した。電池ケースをカシメ機で密閉して、実施例1のリチウムイオン二次電池を得た。
(試験例1)
ポリアクリロニトリル粉末と硫黄粉末の混合比を種々変化させ、種々の混合原料を調製した。なおポリアクリロニトリル粉末は、全て比表面積が33m/gのものを用いた。
これらの混合原料を用い、実施例1と同様の装置を用いて実施例1と同様に熱処理工程を行い、実施例1と同様に単体硫黄除去工程を行って、複数種の硫黄系正極活物質を得た。これらの硫黄系正極活物質について、実施例1と同様にして硫黄の含有量を測定したところ、硫黄含有量は20質量%〜80質量%の間に分布していた。
そして、これらの硫黄系正極活物質を用い、実施例1と同様にして複数種のリチウムイオン二次電池用正極を形成し、実施例1と同様にして複数種のリチウムイオン二次電池を得た。
各リチウムイオン二次電池の充放電特性をそれぞれ測定した。詳しくは、各リチウムイオン二次電池に、正極活物質の1gあたり50mAに相当する電流値で充放電を行った。このときの放電終止電圧は1.0V、充電終止電圧は3.0Vであった。充放電を2回繰り返したときの2回目の放電容量をそれぞれ測定し、硫黄含有量との関係を図3に示す。
図3より、各リチウムイオン二次電池の放電容量は、実施例1を頂点とするピークを描き、硫黄含有量を30〜70質量%の範囲とすることで約500mAh/g以上の放電容量を示すことが明らかである。また硫黄含有量を45〜55質量%の範囲とすれば、約700mAh/g以上の放電容量を示すことも明らかである。
(試験例2)
ポリアクリロニトリル粉末と硫黄粉末の混合比は質量比で1:4一定とし、図4に示すように比表面積が異なる6種類(A〜F)のポリアクリロニトリル粉末を用い、実施例1と同様にして6種類の混合原料を調製した。
これらの混合原料を用い、実施例1と同様の装置を用いて実施例1と同様に熱処理工程を行い、実施例1と同様に単体硫黄除去工程を行って、複数種の硫黄系正極活物質を得た。これらの硫黄系正極活物質について、実施例1と同様にして硫黄の含有量を測定し結果を表1に示す。
Figure 2013001693
そして、これらの硫黄系正極活物質を用い、実施例1と同様にして複数種のリチウムイオン二次電池用正極を形成し、実施例1と同様にして複数種のリチウムイオン二次電池を得た。
各リチウムイオン二次電池の充放電特性をそれぞれ測定した。詳しくは、各リチウムイオン二次電池に、正極活物質の1gあたり50mAに相当する電流値で充放電を行った。このときの放電終止電圧は1.0V、充電終止電圧は3.0Vであった。充放電を2回繰り返したときの2回目の放電容量をそれぞれ測定し、用いたポリアクリロニトリル粉末の比表面積との関係を図4に示す。
表1と図4より、比表面積が30m/g以上のポリアクリロニトリル粉末を用いて製造された硫黄系正極活物質は38質量%と高い硫黄含有量をもち、その硫黄系正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、放電容量がほぼ飽和していることがわかる。すなわち比表面積が30m/g以上のポリアクリロニトリル粉末を用いて製造された硫黄系正極活物質を正極に用いることで、高容量のリチウムイオン二次電池が得られることが明らかである。
したがって比表面積が30m/g以上のポリアクリロニトリル粉末を用い、硫黄含有量が30〜70質量%さらには45〜55質量%の硫黄系正極活物質を製造し、それを正極に用いることで高容量のリチウムイオン二次電池を安定して製造できることが明らかである。
1:反応装置 2:反応容器 3:蓋 4:熱電対
5:ガス導入管 6:ガス排出管 7:電気炉

Claims (7)

  1. ポリアクリロニトリル由来の炭素骨格と、該炭素骨格中に含まれた硫黄(S)とからなり、硫黄含有量が30〜70質量%であることを特徴とする硫黄系正極活物質。
  2. ラマンスペクトルにおいて、ラマンシフトの1331cm−1近に主ピークが存在し、かつ、200cm−1〜1800cm−1の範囲で1548cm−1、939cm−1、479cm−1、381cm−1、317cm−1付近にピークが存在する請求項1に記載の硫黄系正極活物質。
  3. 硫黄含有量が45〜55質量%である請求項1に記載の硫黄系正極活物質。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の硫黄系正極活物質を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末を含む原料粉末を混合する混合工程と、硫黄蒸気の流出を防止しつつ非酸化性雰囲気下で加熱する熱処理工程と、を行う硫黄系正極活物質の製造方法であって、該ポリアクリロニトリル粉末の比表面積は30m/g以上であることを特徴とする硫黄系正極活物質の製造方法。
  6. 前記混合物中の前記ポリアクリロニトリルと前記硫黄との配合比は、質量比で1:2〜1:6である請求項5に記載の硫黄系正極活物質の製造方法。
  7. 前記熱処理工程後の前記混合物を、減圧しつつ200℃〜250℃で加熱する単体硫黄除去工程を含む請求項5又は請求項6に記載の硫黄系正極活物質の製造方法。
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