JP2023041370A - 硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池の製造方法、並びに、変性ポリマー、硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池の製造方法、並びに、変性ポリマー、硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】出力特性を向上できる、硫黄系活物質、当該硫黄系活物質を含んでなる電極、すなわち、正極または負極、および、当該電極を含んでなるリチウムイオン二次電池の新規な製造方法、並びに、これら製造方法に係る新規な変性ポリマー、硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池を提供すること。【解決手段】変性ポリマーを含んでなる硫黄系活物質の製造方法であって、ポリマーと、硫黄と、アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とを混合して、焼成原料を得る工程(1)、および、前記焼成原料を焼成して、ポリマーを硫黄およびアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)で変性して、変性ポリマーを得る工程(2)を含む硫黄系活物質の製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池の新規な製造方法、並びに、これら製造方法に係る新規な変性ポリマー、硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は充放電容量が大きいため、主として携帯電子機器用の電池として用いられている。またリチウムイオン二次電池は、電気自動車用の電池としても使用量が増加しており、性能の向上が期待されている。
特許文献1には、硫黄粉末とポリアクリロニトリル粉末を含む原料粉末を非酸化性雰囲気下で加熱して得た、リチウムイオン二次電池用の正極活物質が記載されている。また、特許文献2には、工業用のゴムを使用した安価な正極活物質が記載されている。
一方、負極活物質としては、ケイ素(Si)、スズ(Sn)などのより多くのリチウムイオンを吸蔵および放出可能な材料を用いることで、リチウムイオン二次電池の電池容量を増加させることが提案されている。
国際公開第2010/044437号 特開2015-92449号公報
しかし、特許文献1の正極活物質は、原料であるポリアクリロニトリルが高価であること、特に、品質が安定したポリアクリロニトリルはより高価であるため、リチウムイオン二次電池を安価に提供し難いという問題がある。特許文献2の正極活物質は、サイクル特性の十分な向上になお課題がある。負極活物質として提案されている上記材料は、リチウムイオンの吸蔵および放出に伴う体積変化が大きいため、充放電を繰り返した際のサイクル特性が良好ではないという問題がある。また、硫黄系材料は総じて導電性が低く、出力特性に課題がある。
本開示は、リチウムイオン二次電池の出力特性を向上できる、硫黄系活物質、当該硫黄系活物質を含んでなる電極、すなわち、正極または負極、および、当該電極を含んでなるリチウムイオン二次電池の新規な製造方法、並びに、これら製造方法に係る新規な変性ポリマー、硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池を提供しようとするものである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の結晶型の酸化チタン(IV)を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を重ねて、本開示を完成した。すなわち、本開示は、以下の硫黄系活物質の製造方法に関する。
変性ポリマーを含んでなる硫黄系活物質の製造方法であって、
ポリマーと、硫黄と、アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とを混合して、焼成原料を得る工程(1)、および、
前記焼成原料を焼成して、ポリマーを硫黄およびアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)で変性して、変性ポリマーを得る工程(2)
を含む硫黄系活物質の製造方法。
本開示によれば、出力特性を向上できる、硫黄系活物質、当該硫黄系活物質を含んでなる電極、すなわち、正極または負極、および、当該電極を含んでなるリチウムイオン二次電池の新規な製造方法、並びに、これら製造方法に係る新規な変性ポリマー、硫黄系活物質、電極およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本明細書において、「出力特性」とは、高い時間率(Cレート)で充放電させても、二次電池の放電容量が維持される特性をいう。したがって、出力特性の高い二次電池は、Cレートを増加させても放電容量の低下の度合いが小さく、逆に、出力特性の低い二次電池は、Cレートを増加させると放電容量の低下の度合いが大きい。
本開示において、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」、「~」にかかる上限および下限の数値は任意に組合せできる数値であり、加えて、実施例における数値を該上限および下限と組合せることもできる。また、「~」によって数値範囲を特定する場合、特に断りのない限り、その両端の数値も含む意味である。さらに、本開示において、両端の値を含むものとして示された数値範囲は、本開示の趣旨に反しない限り、その両端の値のうちいずれか一端の値を含まない数値範囲、さらには両端の値の双方を含まない数値範囲をも同時に示しているものと解される。
本開示の一の実施形態は、変性ポリマーを含んでなる硫黄系活物質の製造方法であって、ポリマーと硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とを混合して焼成原料を得る工程(1)、および、前記焼成原料を焼成してポリマーを硫黄およびアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)で変性して変性ポリマーを得る工程(2)を含む硫黄系活物質の製造方法である。
前記ポリマーは、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合したポリマー、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合したポリマー、および、メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマーからなる群から選択される少なくとも一のポリマーを含むものであることが好ましい。

CH2=C(R11)COOR12 (1)

(ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

CH2=C(R21)COO-Y-OCO(R22)C=CH2 (2)

(ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
本開示の効果が発揮され易いからである。
12は炭素数1~6のアルキル基であり、Yは炭素数2~6のヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基において、置換基の数は1~4であり、置換基であるアルキル基の炭素数は1~4であり、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格が有するエーテル結合の数は1~2であることが好ましい。
本開示の効果が発揮され易いからである。
前記焼成は、非酸化性雰囲気下で実施されることが好ましい。
本開示の効果が発揮され易いからである。
前記ポリマーに対する前記硫黄の量は、ポリマー100質量部に対して、硫黄50~1000質量部であることが好ましい。
本開示の効果が発揮され易いからである。
前記焼成の温度は、250~550℃であることが好ましい。
本開示の効果が発揮され易いからである。
前記ポリマーの粒子径は、0.1~300.0μmであることが好ましい。
本開示の効果が発揮され易いからである。
本開示の他の実施形態は、電極の製造方法であって、上記のいずれかの製造方法により硫黄系活物質を製造する工程、および、前記硫黄系活物質を用いて電極を製造する工程(3)を含む電極の製造方法である。
本開示の他の実施形態は、リチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記の製造方法により電極を製造する工程、および、前記電極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する工程(4)を含むリチウムイオン二次電池の製造方法である。
本開示の他の実施形態は、硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とで変性された変性ポリマーであって、前記変性ポリマーは、硫化チタン、および、硫黄35.0質量%以上を含む変性ポリマーである。
前記変性ポリマーは、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合したポリマー、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合したポリマー、および、メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマーからなる群から選択される少なくとも一のポリマーが硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とで変性されたものであることが好ましい。

CH2=C(R11)COOR12 (1)

(ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

CH2=C(R21)COO-Y-OCO(R22)C=CH2 (2)

(ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
本開示の効果が発揮され易いからである。
12は炭素数1~6のアルキル基であり、Yは炭素数2~6のヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基において、置換基の数は1~4であり、置換基であるアルキル基の炭素数は1~4であり、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格が有するエーテル結合の数は1~2であることが好ましい。
本開示の効果が発揮され易いからである。
本開示の他の実施形態は、上記の変性ポリマーを含む硫黄系活物質である。
本開示の他の実施形態は、上記の硫黄系活物質を含んでなる電極である。
本開示の他の実施形態は、上記の電極を含んでなるリチウムイオン二次電池である。
[硫黄系活物質の製造方法]
本開示の、変性ポリマーを含んでなる硫黄系活物質の製造方法について以下説明する。
<ポリマー>
ポリマーは、非酸化性熱雰囲気下で、硫黄およびアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)と熱処理した場合に、硫黄を取り込むとともに、アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)の作用により灰分(金属成分)を生成し、その結果、出力特性が向上した変性ポリマーを形成するものであれば、特に限定されない。
そのようなポリマーとしては、例えば、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合したポリマー、下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合したポリマー、および、メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマーからなる群から選択される少なくとも一のポリマーを含むもの、あるいは、同群から選択される少なくとも一つのポリマーのみからなるものが挙げられる。

CH2=C(R11)COOR12 (1)

(ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

CH2=C(R21)COO-Y-OCO(R22)C=CH2 (2)

(ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
(アクリレート化合物(1))
式(1)において、R11はメチル基が好ましく、R12は炭素数1~6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましく、なかでも、メチル基、n-ブチル基、i-ブチル基またはt-ブチル基が好ましい。式(1)で示される化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、より好ましくは、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートが挙げられる。ここで、メチル(メタ)アクリレートおよびブチル(メタ)アクリレートの「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」または「メタクリレート」のいずれかであることを表すものである(以下同様)。このうち、メタクリレートのものが好ましい。式(1)で示される化合物として、さらに好ましい例は、ブチルメタクリレートである。
(ジアクリレート化合物(2))
式(2)において、R21とR22は、いずれも、メチル基が好ましい。Yのヒドロカルビレン基の炭素数は、2~6であることが好ましく、2または3であることがより好ましい。Yの置換基の数は、1~4であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。Yの置換基としては、水酸基および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選択される1以上の置換基であることが好ましく、この炭素数1~4のアルキル基としてはメチル基が好ましい。Yの炭素骨格が酸素原子によるエーテル結合を有する場合としては、例えば、-Y-O-に相当する部分が、下記式(3)で表されるものであることが好ましい(但し、式(3)においては、Yの置換基は考慮していない。)。

-(CH2l-(CH2CH2O)m-(CH2CH2CH2O)n- (3)

(ここで、lは0~6であり、mは0~3であり、nは0~2である。但し、lとmとnが同時に0となることはない。)
式(3)において、lが1、2、3、4、5または6であって、かつ、mとnが0であること;あるいは、mが1、2または3であって、かつ、lとnが0であること;あるいは、nが1または2であって、かつ、lとmが0であることが好ましい。
式(2)で示される化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このうち、エチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
(メタクリロニトリルを含むモノマー)
メタクリロニトリルを含むモノマーについて、メタクリロニトリル以外のモノマー成分としては、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等の公知の(メタ)アクリルモノマーを好適に使用可能である。なかでも、アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる1以上が好ましく、アクリロニトリルおよびメタクリル酸メチルからなる群から選ばれる1以上がより好ましく、アクリロニトリルおよびメタクリル酸メチルがさらに好ましい。ここで、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。また、メタクリロニトリル以外のモノマー成分として、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン化合物も使用可能である。
(アクリレート化合物(1)を重合したポリマー)
式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合したポリマーとしては種々のものを使用できるが、このうち、1種類のアクリレート化合物を重合したホモポリマーが好ましい。そのようなホモポリマーの例としては、メチル(メタ)アクリレートのホモポリマー、ブチル(メタ)アクリレートのホモポリマーなどが挙げられる。
(アクリレート化合物(1)とジアクリレート化合物(2)とのポリマー)
式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合したポリマーとしては種々のものを使用できるが、好ましい具体例としては、メチル(メタ)アクリレートとエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとのコポリマー、ブチル(メタ)アクリレートとエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとのコポリマーなどが挙げられる。より好ましい例としては、ブチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートとのコポリマーが挙げられる。
(メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマー)
メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマーとしては、メタクリロニトリルを単独重合したポリマー(ポリメタクリロニトリル)の他、メタクリロニトリルとメタクリロニトリル以外の1種以上のモノマー成分とのポリマーが挙げられる。メタクリロニトリル以外のモノマー成分としては上述のものを使用することができ、アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。したがって、メタクリロニトリル、アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸エステルを含むポリマーが好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとしては(メタ)アクリル酸メチルが好ましく、この場合の「(メタ)アクリル」としてはメタクリルが好ましい。メタクリロニトリルとメタクリロニトリル以外の1種以上のモノマー成分とのポリマーにおいて、メタクリロニトリルの共重合比は、通常1~99モル%、好ましくは10~95モル%、より好ましくは20~90モル%、さらに好ましくは30~80モル%である。
(ポリマーの製造)
ポリマーの製造において、各モノマーを重合させる順序において特に限定はなく、例えば、すべてのモノマーを一度にランダム重合させてもよいし、あるいは、あらかじめ特定のモノマーを重合させた後に、残りのモノマーを加えて重合させたり、特定のモノマー毎に予め重合させたものをブロック共重合させてもよい。
重合は、例えば、アニオン重合反応、配位重合反応等の常法により実施することができる。重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれをも用いることができる。また、重合形式は、バッチ式および連続式のいずれであってもよい。
(ポリマーの形態)
ポリマーは、微粒子の形態のものが好ましい。ここで、微粒子とは、粒子径が300.0μm以下の粒子をいう。該粒子径は270.0μm以下が好ましく、200.0μm以下がより好ましく、100.0μm以下がさらに好ましく、50.0μm以下がさらに好ましく、20.0μm以下がさらに好ましく、15.0μm以下がさらに好ましく、13.0μm以下がさらに好ましく、10.0μm以下がさらに好ましく、6.0μm以下がさらに好ましい。一方、該粒子径の下限は特に限定されないが、通常、例えば、0.1μm以上であり、好ましくは1.0μm以上である。該粒子径は、ベックマン・コールター(株)製の精密粒度分布測定装置Multisizer3により測定される値である。
ポリマーは、球状の微粒子であってもよく、多孔質状の微粒子であってもよい。ポリマーが多孔質状である場合、その吸油量は、100mL/100g以上であることが好ましく、110mL/100g以上であることがより好ましく、120mL/100g以上であることがさらに好ましく、130mL/100g以上であることがさらに好ましく、140mL/100g以上であることがさらに好ましい。該吸油量は、JIS K 5101-13-2:2004に準じて測定される値である。より詳細には、特開2017-88501号公報の段落0069の方法により測定できる。
(ポリマーの重量平均分子量(Mw))
ポリマーは、上記構造を有する限り、Mwは特に限定されない。但し、ポリマーのMwは、通常、1,000~1,500,000の範囲内であり、好ましくは2,000~1,000,000、より好ましくは10,000~300,000である。Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される値(ポリスチレンにより較正)である。
(ポリマーの入手または製造)
ポリマーは、商業的に入手可能であるか、あるいは、当業者の知識の範囲内である常法により、製造することができる。商業的に入手可能なポリマーとしては、例えば、積水化成品工業(株)製のもの、(株)クラレ製のもの、アイカ工業(株)製のものなどが挙げられる。
<硫黄>
硫黄としては粉末硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄等の種々の形態のものをいずれも使用できるが、このうち、沈降硫黄、コロイド硫黄が好ましい。これら硫黄はいずれも、元素硫黄として製造または販売されているものである。硫黄の配合量は、ポリマー100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、100質量部以上がより好ましく、さらに好ましくは150質量部以上であり、さらに好ましくは200質量部以上であり、さらに好ましくは250質量部以上である。100質量部以上であることで出力特性や、充放電容量、サイクル特性を向上できる傾向がある。一方、硫黄の配合量について、上限は特にないが、通常は、1000質量部以下が好ましく、より好ましくは800質量部以下、さらに好ましくは700質量部以下、さらに好ましくは600質量部以下である。1000質量部以下であることで、コスト的に有利な傾向がある。硫黄は1種または2種以上を使用することができる。
<アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)>
本開示のアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)は、TiO2で表される酸化チタンのうち、結晶構造がアナターゼ型正方晶であるものである。かかる本開示の酸化チタンは、商業的に入手可能であり、例えば、東京化成工業(株)製のものなどが挙げられる。
アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)の配合量は、本開示の効果の観点から、所定の範囲内であることが好ましい。当該配合量は、ポリマー100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上である。一方、該配合量は、300質量部以下であることが好ましく、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは150質量部以下である。
<その他の材料>
ポリマーを硫黄により変性する場合、焼成原料に予めこの分野で通常使用されるその他の材料を、所望により、添加しておいてもよい。そのような材料としては、例えば、導電性炭素材料が挙げられる。導電性炭素材料を使用することで、変性ポリマーの導電性を向上させることができる。
導電性炭素材料としては、グラファイト構造を有する炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンファイバー(CF)、グラフェン、フラーレンなどの縮合芳香環構造を有するものが使用できる。導電性炭素材料は1種または2種以上を使用することができる。
中でも安価で分散性に優れることから、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。また、アセチレンブラックやカーボンブラックやケッチェンブラックに、CNTやグラフェンなどを少量併用してもよい。かかる併用系により、コストを大幅に上昇させることなく、リチウムイオン二次電池のサイクル特性をさらに向上させることが可能となる。なお、CNTやグラフェンの併用量は、導電性炭素材料の総量の8質量%以上、12質量%以下であるのが好ましい。
該導電性炭素材料の配合量は、ポリマー100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上である。配合量が5質量部以上であることで、充放電容量やサイクル特性を一層向上させ易い傾向がある。一方、該配合量は、50質量部以下が好ましく、より好ましくは40質量部以下である。50質量部以下であることで、変性ポリマーにおける硫黄を含む構造の割合が相対的に低下せず、充放電容量やサイクル特性を向上させ易い傾向がある。
<工程(1)>
工程(1)は、ポリマーと、硫黄と、アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とを混合して、焼成原料を得る工程である。ポリマーと硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)との混合は、十分に実施しておくことが望ましい。その他の材料を含む場合には、当該材料も含めて混合する。混合は、常法により実施することができ、例えば、高速ブレンダー等を用いて行うことができる。
<工程(2)>
工程(2)は、前記焼成原料を焼成して、ポリマーを硫黄およびアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)で変性して、変性ポリマーを得る工程である。
(焼成)
焼成は常法により行うことができ、例えば、焼成原料を、非酸化性雰囲気下で、所定の温度に到達するまで所定の昇温速度で加熱し、当該所定の温度で所定の時間維持し、その後、自然に冷却することにより行うことができる。
(非酸化性雰囲気)
非酸化性雰囲気とは、酸素を実質的に含まない雰囲気をいい、構成成分の酸化劣化や過剰な熱分解を抑制するために採用されるものである。具体的には、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気、硫黄ガス雰囲気等をいう。焼成は、例えば、不活性ガス雰囲気下で、好適に実施することができる。
(昇温速度)
昇温速度は、例えば、50~500℃/hの範囲内であることが好ましい。該昇温速度は、100℃/h以上であることがより好ましい。一方、該昇温速度は、400℃/h以下であることがより好ましく、300℃/h以下であることがさらに好ましく、200℃/h以下であることがさらに好ましい。昇温速度がこのような範囲内にあることで、本開示の効果を達成し易い傾向がある。
(焼成温度・時間)
焼成温度とは、焼成原料の昇温完了後の温度であって、焼成原料の焼成のために一定時間維持される温度をいう。該温度は、250~550℃の範囲であることが好ましい。250℃以上であることで、硫化反応が不十分となることを避け、目的物の充放電容量の低下を防止できる傾向がある。一方、550℃以下とすることで、焼成原料の分解を防ぎ、収率の低下や、充放電容量の低下を防止できる傾向がある。該温度は、300℃以上がより好ましく、350℃以上がさらに好ましい。一方、該温度は、500℃以下がより好ましく、450℃以下がより好ましい。
焼成温度で維持する時間は、焼成原料の種類、焼成温度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1~6時間であることが好ましい。1時間以上であることで、焼成を十分に進行させることができる傾向があり、6時間以下であることで、構成成分の過剰な熱分解を防止できる傾向がある。
(装置)
焼成は、マッフル炉を用いて実施できる他、例えば、二軸押出機等の連続式の装置を用いて実施することもできる。連続式の装置を用いる場合、該装置内で、焼成原料を混練して粉砕・混合しながら、焼成も施すなど、変性ポリマーを一連の操作により連続して製造できるというメリットがある。一方、マッフル炉は、熱源(ヒーター)が炉内に露出しないように熱板などで仕切った炉である。マッフル炉を用いることで、被焼成物への汚染を防止できる他、炉内雰囲気の変化を抑え、より精密な焼成に資することができる。
<残留物除去工程>
焼成後に得られる処理物中には、焼成時に昇華した硫黄が冷えて析出した未反応硫黄等が残留している。これら残留物はサイクル特性を低下させる要因となるため、できるだけ除去することが望ましい。残留物の除去は、例えば、減圧加熱乾燥、温風乾燥、溶媒洗浄などの常法に従い、実施することができる。
<粉砕、分級>
得られた変性ポリマーは、所定の粒度となるように粉砕し、分級して、電極の製造に適したサイズの粒子とすることができる。粒子の好ましい粒度分布としては、メジアン径で5~40μm程度である。なお、先に説明した二軸押出機を用いた焼成方法では、混練時のせん断によって、変性ポリマーの製造と同時に、製造した変性ポリマーの粉砕も行うことができる。
<硫黄系活物質>
上記の工程で得られた変性ポリマーは、そのまま硫黄系活物質として使用することができる。本開示の硫黄系活物質は、上記変性ポリマーを含むものであればよく、所望により、本開示の効果に影響を与えない範囲で、上記変性ポリマー以外の硫黄系活物質を含むものであってもよい。また、本開示の硫黄系活物質は、上記変性ポリマーのみからなるものであってもよい。
[電極の製造方法]
本開示の電極は、本開示の硫黄系活物質を、リチウムイオン二次電池の電極活物質として、すなわち、正極活物質または負極活物質として使用して、製造することができる。すなわち、本開示の電極は、本開示の硫黄系活物質を用いること以外は一般的なリチウムイオン二次電池用電極を製造する場合と同様にして、製造することができる。
<正極の製造方法>
本開示の硫黄系活物質をリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いる場合において、当該正極は、正極活物質として、本開示の硫黄系活物質を用いること以外は、一般的なリチウムイオン二次電池用正極と同様にして、製造することができる。例えば、該正極は、粒子状にした硫黄系活物質を、導電助剤、バインダ、および溶媒と混合してペースト状の正極材料を調製し、当該正極材料を集電体に塗布した後、乾燥させることによって製造することができる。また、その他の方法として、該正極は、例えば、本開示の硫黄系活物質を、導電助剤、バインダ、および少量の溶媒とともに、乳鉢などを用いて混練し、かつフィルム状にしたのち、プレス機等を用いて集電体に圧着して、製造することもできる。
(導電助剤)
導電助剤としては、例えば、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、炭素粉末、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、黒鉛、あるいは、アルミニウムやチタンなどの正極電位において安定な金属の微粉末等が例示される。これらの導電助剤は、1種または2種以上を使用することができる。
(バインダ)
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride:PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂(PMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、変性ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が例示される。これらのバインダは、1種または2種以上を使用することができる。
(溶媒)
溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアルデヒド、アルコール、ヘキサン、水等が例示される。これら溶媒は、1種または2種以上を使用することができる。
(配合量)
これら正極を構成する材料の配合量は、特に問わないが、例えば、硫黄系活物質100質量部に対して、導電助剤2~100質量部、バインダ2~50質量部、および適量の溶媒を配合するのが好ましい。
(集電体)
集電体としては、リチウムイオン二次電池用正極に一般に用いられるものを使用すればよい。例えば、集電体としては、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、パンチングアルミニウムシート、アルミニウムエキスパンドシート、ステンレススチール箔、ステンレススチールメッシュ、パンチングステンレススチールシート、ステンレススチールエキスパンドシート、発泡ニッケル、ニッケル不織布、銅箔、銅メッシュ、パンチング銅シート、銅エキスパンドシート、チタン箔、チタンメッシュ、カーボン不織布、カーボン織布等からなるものが例示される。このうち、黒鉛化度の高いカーボンで構成されたカーボン不織布やカーボン織布からなる集電体は、水素を含まず、硫黄との反応性が低いために、本開示の硫黄系活物質を正極活物質とする場合の集電体として好適である。黒鉛化度の高い炭素繊維の原料としては、カーボン繊維の材料となる各種のピッチ(すなわち、石油、石炭、コールタールなどの副生成物)やポリアクリロニトリル繊維(PAN)等を用いることができる。集電体は1種を用いる他、2種以上を併用してもよい。
<負極の製造方法>
本開示の硫黄系活物質をリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いる場合において、当該負極は、負極活物質として、本開示の硫黄系活物質を用いること以外は、一般的なリチウムイオン二次電池用負極と同様にして、製造することができる。例えば、該負極は、粒子状にした硫黄系活物質を、導電助剤、バインダ、および溶媒と混合してペースト状の負極材料を調製し、当該負極材料を集電体に塗布した後、乾燥させることによって製造することができる。また、その他の方法として、該負極は、例えば、本開示の硫黄系活物質を、導電助剤、バインダ、および少量の溶媒とともに、乳鉢などを用いて混練し、かつフィルム状にしたのち、プレス機等を用いて集電体に圧着して、製造することもできる。
導電助剤、バインダ、および溶媒は、上記正極の製造方法で述べたのと同じものを使用することができ、これらの配合量も上述のとおりである。また、集電体も上記正極の製造方法で述べたのと同じものを使用することができる。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
本開示のリチウムイオン二次電池は、さらに、リチウムイオン二次電池用電極として、該リチウムイオン二次電池用電極を用いること以外は、一般的なリチウムイオン二次電池を製造する場合と同様にして、製造することができる。
<硫黄系活物質を正極活物質として用いる場合>
本開示のリチウムイオン二次電池は、本開示の硫黄系活物質(正極活物質)を含む正極に、負極および電解質、さらには、所望により、セパレータ等の部材を使用して、常法に従い、製造することができる。
(負極)
負極材料としては、公知の金属リチウム、黒鉛などの炭素系材料、シリコン薄膜などのシリコン系材料、銅-錫やコバルト-錫などの合金系材料を使用できる。負極材料として、リチウムを含まない材料、例えば、上記した負極材料の内で、炭素系材料、シリコン系材料、合金系材料等を用いる場合には、デンドライトの発生による正負極間の短絡を生じ難い点で有利である。但し、これらのリチウムを含まない負極材料を本開示の正極と組み合わせて用いる場合には、正極および負極が何れもリチウムを含まない。このため、負極および正極の何れか一方、または両方にあらかじめリチウムを挿入するリチウムプリドープ処理が必要となる。リチウムのプリドープ法としては公知の方法に従えばよい。例えば、負極にリチウムをドープする場合には、対極に金属リチウムを用いて半電池を組み、電気化学的にリチウムをドープする電解ドープ法によってリチウムを挿入する方法や、金属リチウム箔を電極に貼り付けたあと電解液の中に放置し電極へのリチウムの拡散を利用してドープする貼り付けプリドープ法によりリチウムを挿入する方法が挙げられる。また、正極にリチウムをプリドープする場合にも、上記した電解ドープ法を利用することができる。リチウムを含まない負極材料としては、特に、高容量の負極材料であるシリコン系材料が好ましく、その中でも電極厚さが薄くて体積当りの容量で有利となる薄膜シリコンがより好ましい。
(電解質)
リチウムイオン二次電池に用いる電解質としては、有機溶媒に電解質であるアルカリ金属塩を溶解させたものを用いることができる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルエーテル、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル等の非水系溶媒から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiI、LiClO4等を用いることができる。電解質の濃度は、0.5mol/L~1.7mol/L程度であればよい。なお、電解質は液状に限定されない。例えば、リチウムイオン二次電池がリチウムポリマー二次電池である場合、電解質は固体状(例えば、高分子ゲル状)をなす。
(セパレータ)
リチウムイオン二次電池は、上述した負極、正極、電解質以外にも、セパレータ等の部材を備えてもよい。セパレータは、正極と負極との間に介在し、正極と負極との間のイオンの移動を許容するとともに、正極と負極との内部短絡を防止する。リチウムイオン二次電池が密閉型であれば、セパレータには電解液を保持する機能も求められる。セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリイミド、セルロース、ガラス等を材料とする薄肉かつ微多孔性または不織布状の膜を用いるのが好ましい。
(形状)
リチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、積層型、コイン型、ボタン型等の種々の形状にできる。
<硫黄系活物質を負極活物質として用いる場合>
本開示のリチウムイオン二次電池は、本開示の硫黄系活物質(負極活物質)を含む負極に、正極および電解質、さらには、所望により、セパレータ等の部材を使用して、常法に従い、製造することができる。
(正極)
正極材料としては、例えば、リチウムを含む遷移金属酸化物もしくは固溶体酸化物、または電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質であれば特に制限されない。リチウムを含む遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoO2等のLi・Co系複合酸化物、LiNixCoyMnz2等のLi・Ni・Co・Mn系複合酸化物、LiNiO2等のLi・Ni系複合酸化物、またはLiMn24等のLi・Mn系複合酸化物等を例示することができる。固溶体酸化物としては、例えば、LiaMnxCoyNiz2(1.150≦a≦1.430、0.450≦x≦0.600、0.100≦y≦0.150、0.200≦z≦0.280)、LiMnxCoyNiz2(0.300≦x≦0.850、0.100≦y≦0.300、0.100≦z≦0.300)、LiMn1.5Ni0.54等を例示することができる。これらの化合物を単独または複数種、混合して用いてもよい。
電解質、セパレータおよびリチウムイオン二次電池の形状については、本開示の硫黄系活物質を正極活物質として使用する上記の場合と同様のものを同様に使用することができる。
[変性ポリマー]
本開示の変性ポリマーは、硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とで変性された変性ポリマーであって、硫化チタン、および、硫黄35.0質量%以上を含むものである。
本開示の変性ポリマーは、硫化チタンを含む。硫化チタンは、ポリマーを硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とで変性する過程で生成する。
本開示の変性ポリマーは、所定の量の灰分量(金属成分量)を示す。アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)を用いて生成した灰分量が多い程出力特性が向上する傾向にある。そのため、灰分量は多い程好ましいと推測される。一般に、灰分量の好ましい範囲としては、変性ポリマー中、10.0質量%以上であり、より好ましくは15.0質量%以上、さらに好ましくは20.0質量%以上、さらに好ましくは21.0質量%以上、さらに好ましくは22.0質量%以上、さらに好ましくは22.5質量%以上、さらに好ましくは23.0質量%以上である。灰分量の上限について、特に上限はないが、通常、例えば、50.0質量%以下程度、または45.0質量%以下程度、または42.0質量%以下程度でもよい。本開示において、灰分量は、後記実施例の欄に記載した方法により求められる。
本開示の変性ポリマーは、所定の硫黄量を示す。硫黄量は、好ましくは35.0質量%以上であり、より好ましくは35.5質量%以上、さらに好ましくは36.0質量%以上、さらに好ましくは36.5質量%以上、さらに好ましくは36.8質量%以上である。硫黄量が上記範囲内であることで、本開示の効果が達成され易い傾向にある。一方、硫黄量の上限は特に限定されないが、例えば50.0質量%以下、または49.5質量%以下、または49.0質量%以下、または48.5質量%以下、または48.0質量%以下、または47.9質量%以下であってもよい。本開示において、硫黄量は、後記実施例の欄に記載した方法により求められる。
本開示の変性ポリマーは、上記硫黄系活物質の製造方法で説明した方法で製造されるものである。したがって、上記硫黄系活物質の製造方法の欄の説明は、変性ポリマーの説明としても、矛盾のない限り援用できるものである。
[硫黄系活物質]
本開示の硫黄系活物質は、上記変性ポリマーを含むものである。したがって、本開示の硫黄系活物質は、所望により、上記変性ポリマー以外の硫黄系活物質を含むものであってもよく、あるいは、上記変性ポリマーのみからなるものであってもよい。
本開示の硫黄系活物質は、上記硫黄系活物質の製造方法で説明した方法で製造されるものである。したがって、上記硫黄系活物質の製造方法の欄の説明は、硫黄系活物質の説明としても、矛盾のない限り援用できるものである。
[電極]
本開示の電極は、本開示の硫黄系活物質を含んでなるものである。
本開示の電極は、上記電極の製造方法で説明した方法で製造されるものである。したがって、上記電極の製造方法の欄の説明は、電極の説明としても、矛盾のない限り援用できるものである。
[リチウムイオン二次電池]
本開示のリチウムイオン二次電池は、本開示の電極を含んでなるものである。
本開示のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池の製造方法で説明した方法で製造されるものである。したがって、上記リチウムイオン二次電池の製造方法の欄の説明は、リチウムイオン二次電池の説明としても、矛盾のない限り援用できるものである。
本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示は、実施例にのみ限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例において使用した各種薬品をまとめて示す。各種薬品は必要に応じて常法に従い精製した。
[試験に使用した材料]
ポリマー1:ブチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートコポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーBM30X-5、粒子径:5μm)
ポリマー2:メチルメタクリレートのホモポリマーから成る球状アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製のテクポリマーMB-8、粒子径:8μm)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の沈降硫黄
酸化チタン(アナターゼ):東京化成工業(株)製のアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)
酸化チタン(ルチル):東京化成工業(株)製のルチル型正方晶の酸化チタン(IV)
[実施例1]
<原料の製造>
表1の配合に従い、材料をブレンダーで混合し、焼成のための原料(焼成原料)を得た。
(反応装置)
焼成原料の焼成には、マッフル炉を用いた。マッフル炉は、試料の汚染を防止すべく、熱源(ヒーター)が炉内に露出しないように熱板などで仕切った炉である。使用したマッフル炉は、炉の下部にヒーターを有しており、該ヒーターは熱板で仕切られている。炉前面には、蓋が設置されており、炉内を不活性ガス雰囲気で保持できる構造となっている。該蓋には熱電対が取り付けられており、焼成中の炉内の温度を測定することができる。炉内には、焼成原料を焼成するための、SUS製の直方体のトレイが、上段および下段に、二段設置されている。
炉内には、ガス導入管およびガス排出菅を通じて、外部からガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス)を継続的に供給し、かつ、排出できるようになっている。ガス排出管は、水酸化ナトリウム水溶液を収容したトラップ槽に接続されており、マッフル炉からガス排出管を通って外部へ出ようとする排気は、一旦、トラップ槽内の水酸化ナトリウム水溶液を通ったのちに外部へ放出される。そのため、排気中に、反応によって発生する硫化水素ガスが含まれていても、水酸化ナトリウム水溶液と中和されて排気からは除去される。
(焼成工程)
まず、焼成原料をSUS容器に収容した状態で、マッフル炉内の雰囲気を、真空ポンプを用いて、Arガスで3回置換した。その後、ガス導入菅から、100mL/分の流量でArガスを継続的に供給しながら、供給開始30分後に、マッフル炉の加熱を開始した。5℃/分の昇温速度で昇温し、焼成原料の温度が400℃に達した時点で、400℃を維持しながら2時間熱処理をした。次いで、Arガスの流量を調製しながら、Arガス雰囲気下、焼成物の温度を25℃まで自然冷却させたのち、該焼成物をマッフル炉内から取り出した。
(未反応硫黄の除去)
焼成物に残存する未反応硫黄(遊離した状態の単体硫黄)を除去するために、以下の工程をおこなった。すなわち、該焼成物を乳鉢で粉砕し、粉砕物2gをガラスチューブオーブンに収容して、真空吸引しながら250℃で3時間加熱して、未反応硫黄が除去された(または、微量の未反応硫黄しか含まない)焼成物を得た。昇温速度は10℃/分とした。
(分級作業)
焼成物の粗大粒子を除去するために、32μmメッシュのステンレスふるいを用いて分級して、変性ポリマー1を得た。
<リチウムイオン二次電池の製造>
以下のとおり、リチウムイオン二次電池を製造した。
(正極)
硫黄系活物質として変性ポリマー1、導電助剤としてアセチレンブラック、バインダとしてアクリル樹脂を用いた。これらを、割合が、活物質:導電助剤:バインダ=90:5:5(質量%)になるよう秤量し、容器に入れ、分散剤にmilliQ水を使用して自転公転ミキサー((株)シンキー製のARE-250)を用いて攪拌、混合を行い、均一なスラリーを製造した。製造したスラリーを20μmのアルミ箔上に、スリット幅60μmのアプリケーターを使用して塗工し、ロールプレスを用いて圧縮した電極を120℃で3時間、乾燥機で加熱し、乾燥後、φ11に打ち抜くことで電極(正極)を得た。その後、電極の重量を測定し、上述の比率から電極中の活物質量を算出した。
(負極)
負極としては、金属リチウム箔(直径14mm、厚さ500μmの円盤状、本城金属(株)製)を用いた。
(電解液)
電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒に、LiPF6を溶解した非水電解質を用いた。エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとは体積比1:1で混合した。電解液中のLiPF6の濃度は、1.0mol/Lであった。
(リチウムイオン二次電池)
上記正極および負極を用いて、コイン電池を製作した。詳しくは、ドライルーム内で、セパレータ(Celgard社製のCelgard2400、厚さ25μmのポリプロピレン微孔質膜)と、ガラス不織布フィルタ(厚さ440μm、ADVANTEC社製のGA100)と、を正極と負極との間に挟装して、電極体電池とした。この電極体電池を、ステンレス容器からなる電池ケース(CR2032型コイン電池用部材、宝泉(株)製)に収容した。電池ケースには上記電解液を注入した。電池ケースをカシメ機で密閉して、実施例1のリチウムイオン二次電池を得た。
[実施例2~6並びに比較例1~3]
表1の配合・条件に従って適宜変更を加えた以外は、実施例1と同様に処理して、それぞれの焼成原料、変性ポリマー、および、リチウムイオン二次電池を製造した。
[評価]
<硫黄量分析>
変性ポリマー中の硫黄量は、ダイオネクス(Dionex)社製のイオンクロマトグラフ装置DX-320に、同社製のカラム(IonPac AS12A)を用いて測定した質量から、変性ポリマーの総量中に占める質量比(%)を算出して、求めた。
<灰分量(金属成分量)>
実施例、比較例で製造した変性ポリマーを熱重量測定(thermogravimetry)に付し、灰分量(%)を求めた。
熱重量測定に用いた装置はティー・エイ・インスツルメント(TA Instruments)社製のTGA Q500である。測定条件は、Ar雰囲気で750℃まで70℃/分の昇温速度で加熱後、大気を導入して、さらに5分間同温度で維持して、変性ポリマーを分解するというものであった。残量を灰分量(金属成分量)とし、灰分量(%)を算出した。
<充放電容量測定試験>
各実施例、比較例で製造したコイン型のリチウムイオン二次電池について、試験温度30℃、放電終止電圧1.0V、充電終止電圧3.0Vの条件下で、正極活物質1gあたり50mA(0.1C)に相当する電流値で充放電させ、10回目までの放電容量(mAh)を観察した。
また0.5Cでは250mAに相当する電流値で、1.0Cでは500mAに相当する電流値で、2.0Cでは1000mAに相当する電流値で、それぞれ、同様に充放電させ、10回目までの放電容量(mAh)を観察した。
Figure 2023041370000001
表1より、本開示の実施例では、0.5C、1.0C、2.0Cと高い電流値で充放電させた際にも、電池容量の減少幅が少なく、出力特性に優れている。
<実施形態>
本開示の実施形態の例を以下に示す。
[1]変性ポリマーを含んでなる硫黄系活物質の製造方法であって、
ポリマーと、硫黄と、アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とを混合して、焼成原料を得る工程(1)、および、
前記焼成原料を焼成して、ポリマーを硫黄およびアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)で変性して、変性ポリマーを得る工程(2)
を含む硫黄系活物質の製造方法。
[2]前記ポリマーが、
下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合したポリマー、
下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合したポリマー、および、
メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマー
からなる群から選択される少なくとも一のポリマーを含むものである、上記[1]記載の硫黄系活物質の製造方法。

CH2=C(R11)COOR12 (1)

(ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

CH2=C(R21)COO-Y-OCO(R22)C=CH2 (2)

(ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
[3]R12が炭素数1~6、好ましくは1~4のアルキル基であり、Yが炭素数2~6、好ましくは2または3のヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基において、置換基の数が1~4、好ましくは1または2であり、置換基であるアルキル基の炭素数が1~4、好ましくは1であり、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格が有するエーテル結合の数が1~2である、上記[1]または[2]記載の硫黄系活物質の製造方法。
[4]前記焼成が非酸化性雰囲気下で実施される、上記[1]~[3]のいずれかに記載の硫黄系活物質の製造方法。
[5]前記ポリマーに対する前記硫黄の量が、ポリマー100質量部に対して、硫黄50~1000質量部、好ましくは100~800質量部、より好ましくは150~700質量部、さらに好ましくは200~600質量部、さらに好ましくは250~600質量部である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の硫黄系活物質の製造方法。
[6]前記焼成の温度が250~550℃、好ましくは300~500℃、より好ましくは350~450℃である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の硫黄系活物質の製造方法。
[7]前記ポリマーの粒子径が、0.1~300.0μm、好ましくは0.1~270.0μm、より好ましくは0.1~200.0μm、さらに好ましくは0.1~100.0μm、さらに好ましくは0.1~50.0μm、さらに好ましくは0.1~20.0μm、さらに好ましくは0.1~15.0μm、さらに好ましくは0.1~13.0μm、さらに好ましくは0.1~10.0μm、さらに好ましくは0.1~6.0μm、さらに好ましくは1.0~6.0μmである、上記[1]~[6]のいずれかに記載の硫黄系活物質の製造方法。
[8]電極の製造方法であって、
上記[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法により硫黄系活物質を製造する工程、および、
前記硫黄系活物質を用いて電極を製造する工程(3)
を含む電極の製造方法。
[9]リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
上記[8]記載の製造方法により電極を製造する工程、および、
前記電極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する工程(4)
を含むリチウムイオン二次電池の製造方法。
[10]硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とで変性された変性ポリマーであって、
前記変性ポリマーは、硫化チタンを含み、硫黄量が35.0質量%以上、好ましくは35.5質量%以上、より好ましくは36.0質量%以上、さらに好ましくは36.5質量%以上、さらに好ましくは36.8質量%以上である変性ポリマー。
[11]前記変性ポリマーが、
下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合したポリマー、
下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合したポリマー、および、
メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマー
からなる群から選択される少なくとも一のポリマーが、硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とで変性されたものである、上記[10]記載の変性ポリマー。

CH2=C(R11)COOR12 (1)

(ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

CH2=C(R21)COO-Y-OCO(R22)C=CH2 (2)

(ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
[12]R12が炭素数1~6、好ましくは1~4のアルキル基であり、Yが炭素数2~6、好ましくは2または3のヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基において、置換基の数が1~4、好ましくは1または2であり、置換基であるアルキル基の炭素数が1~4、好ましくは1であり、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格が有するエーテル結合の数が1~2である、上記[10]または[11]記載の変性ポリマー。
[13]上記[10]~[12]のいずれか1項に記載の変性ポリマーを含む硫黄系活物質。
[14]上記[13]記載の硫黄系活物質を含んでなる電極。
[15]上記[14]記載の電極を含んでなるリチウムイオン二次電池。

Claims (15)

  1. 変性ポリマーを含んでなる硫黄系活物質の製造方法であって、
    ポリマーと、硫黄と、アナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とを混合して、焼成原料を得る工程(1)、および、
    前記焼成原料を焼成して、ポリマーを硫黄およびアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)で変性して、変性ポリマーを得る工程(2)
    を含む硫黄系活物質の製造方法。
  2. 前記ポリマーが、
    下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合したポリマー、
    下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合したポリマー、および、
    メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマー
    からなる群から選択される少なくとも一のポリマーを含むものである、請求項1記載の硫黄系活物質の製造方法。

    CH2=C(R11)COOR12 (1)

    (ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

    CH2=C(R21)COO-Y-OCO(R22)C=CH2 (2)

    (ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
  3. 12が炭素数1~6のアルキル基であり、Yが炭素数2~6のヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基において、置換基の数が1~4であり、置換基であるアルキル基の炭素数が1~4であり、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格が有するエーテル結合の数が1~2である、請求項1または2記載の硫黄系活物質の製造方法。
  4. 前記焼成が非酸化性雰囲気下で実施される、請求項1~3のいずれか1項に記載の硫黄系活物質の製造方法。
  5. 前記ポリマーに対する前記硫黄の量が、ポリマー100質量部に対して、硫黄50~1000質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の硫黄系活物質の製造方法。
  6. 前記焼成の温度が250~550℃である、請求項1~5のいずれか1項に記載の硫黄系活物質の製造方法。
  7. 前記ポリマーの粒子径が、0.1~300.0μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の硫黄系活物質の製造方法。
  8. 電極の製造方法であって、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法により硫黄系活物質を製造する工程、および、
    前記硫黄系活物質を用いて電極を製造する工程(3)
    を含む電極の製造方法。
  9. リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    請求項8記載の製造方法により電極を製造する工程、および、
    前記電極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する工程(4)
    を含むリチウムイオン二次電池の製造方法。
  10. 硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とで変性された変性ポリマーであって、
    前記変性ポリマーは、硫化チタンを含み、硫黄量が35.0質量%以上である変性ポリマー。
  11. 前記変性ポリマーが、
    下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種を重合したポリマー、
    下記式(1)で示されるアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種と下記式(2)で示されるジアクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを重合したポリマー、および、
    メタクリロニトリルを含むモノマーを重合したポリマー
    からなる群から選択される少なくとも一のポリマーが、硫黄とアナターゼ型正方晶の酸化チタン(IV)とで変性されたものである、請求項10記載の変性ポリマー。

    CH2=C(R11)COOR12 (1)

    (ここで、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルキル基である。)

    CH2=C(R21)COO-Y-OCO(R22)C=CH2 (2)

    (ここで、R21とR22は同一または異なって、水素原子またはメチル基であり、Yはヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基は水酸基およびアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有していてもよく、かつ、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格は酸素原子によるエーテル結合を有していてもよい。但し、当該エーテル結合が2以上あるとき隣接する酸素原子間には常に2以上の炭素原子が介在する。)
  12. 12が炭素数1~6のアルキル基であり、Yが炭素数2~6のヒドロカルビレン基であり、該ヒドロカルビレン基において、置換基の数が1~4であり、置換基であるアルキル基の炭素数が1~4であり、ヒドロカルビレン基を構成する炭素骨格が有するエーテル結合の数が1~2である、請求項10または11記載の変性ポリマー。
  13. 請求項10~12のいずれか1項に記載の変性ポリマーを含む硫黄系活物質。
  14. 請求項13記載の硫黄系活物質を含んでなる電極。
  15. 請求項14記載の電極を含んでなるリチウムイオン二次電池。
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