JP2021155613A - プロピレン系樹脂組成物、およびそれを用いた射出成型品 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性と透明性の目標を達成すると共に、剛性向上並びに生産性の向上を達成できるプロピレン系樹脂組成物を提供する。【解決手段】下記要件(A1)〜(A5)を満たすプロピレン系重合体(A)85〜97質量部、下記要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)8〜18質量部(ただし、(A)および(B)の合計100質量部)、および造核剤(D)0.1〜0.6質量部を含むプロピレン系樹脂組成物:(A1):MFR:230℃−2.16kg荷重が、1〜100g/10分。(A2):室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)85〜95質量%、室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)5〜15質量%。(A3):Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が1〜6質量%。(A4):前記sol中のエチレンに由来する骨格の含有量が15〜<20質量%。(A5):Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]が1.0〜3.5dl/g。(B1):シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体。(B2):MFR:190℃−2.16kg荷重が、1〜100g/10分。(B3):密度が880〜920kg/m3。【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物、およびそれを用いた射出成型品に関する。
ゼリー、プリン、コーヒー等の食品の包装容器(以下、チルド容器とも記す)として、内容物の視認性、すなわち透明性に優れる容器が従来から求められている。透明性に優れる容器としては、その原料として、耐熱性、剛性および透明性に優れるポリプロピレン樹脂が用いられることが多い。
しかしながら、ポリプロピレン樹脂それ自体では、透明性や機械的強度特性が必ずしも十分でないため、通常ポリプロピレン樹脂に種々の造核剤を添加して透明性や機械的強度特性を向上させ、またゴム成分を添加して耐衝撃性を向上させる方法がとられている。
容器自体の薄肉化、軽量化と共に、チルド容器として低温に曝されても剛性、耐衝撃性、透明性に優れるプロピレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、プロピレン系重合体を60〜80重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体を20〜40重量部配合している。
特許文献2ではエチレン含量が0.1〜3重量%、MFRが10〜300g/10分のチーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(A)とエチレン含量が5〜20重量%、MFRが1〜50g/10分のチーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(B)からなるプロピレン−エチレン系樹脂組成物であって、(A):(B)重量比が90:10〜60:40、エチレン含量が2〜8重量%、MFRが20〜100g/10分のプロピレン−エチレン系樹脂組成物が開示されており、射出成形時の成形加工性が良好で、剛性と耐衝撃性とのバランス、低温耐衝撃性及び透明性に優れ、加熱しても透明性の低下が少ない特徴を有している。又、特許文献3には、上記特許文献2のプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)の60〜99質量%と、MFRが5〜50g/10分、DSC法による融解ピーク温度(Tm)が155〜165℃の範囲であるプロピレン樹脂(X)の1〜40質量%とからなる射出成形用のポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている。そして、この樹脂組成物を利用した射出成形体は、耐衝撃性、剛性、透明性及び成形性のバランスに優れているとされている。
国際公開WO2010/074001号パンフレット 特開2015−25037号公報 特開2015−206035号公報
従来提案されているプロピレン系樹脂組成物は、多量の重合ゴムもしくはポリエチレン含有成分(PE)を配合することで、透明性と耐衝撃性のバランスを確保している。
しかしながら、これらの配合成分は多量に配合することで、得られるプロピレン系樹脂組成物の剛性を低下させる課題を有していた。また、剛性の低下は生産性の低下、特に射出成形における高速成形性の低下を招くものとなっていた。
本発明では、プロピレン系樹脂組成物の組成と配合するPE成分の最適化を図ることで、耐衝撃性と透明性の目標を達成すると共に、剛性向上並びに生産性の向上を達成できるプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。また、本発明はこのプロピレン系樹脂組成物を用いた射出成型品を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[6]の態様を含むものである。
[1]下記要件(A1)〜(A5)を満たすプロピレン系重合体(A)85〜97質量部、下記要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)3〜15質量部(ただし、プロピレン系重合体(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計を100質量部とする)、および造核剤(D)0.1〜0.6重量部を含むプロピレン系樹脂組成物。
(A1):JIS K 7210に準拠して、測定温度230℃、荷重2.16kgで測定したプロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)が、1〜100g/10分である。
(A2):プロピレン系重合体(A)の室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)が85〜95質量%であり、室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)が5〜15質量%である。
(A3):前記Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が1〜6質量%である。
(A4):前記Dsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が15質量%以上20質量%未満である。
(A5):前記Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]が1.0〜3.5dl/gである。
(B1):エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、触媒としてシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である。
(B2):JIS K 7210に準拠して、測定温度190℃、荷重2.16kgで測定したエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)が、1〜100g/10分である。
(B3):エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が880〜920kg/m3である。
[2]前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)がメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である[1]に記載のプロピレン系樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載のプロピレン系樹脂組成物を含む射出成形品。
[4] 前記射出成形品は容器である、[3]に記載の射出成形品。
[5] 前記容器はデザートカップである[4]に記載の射出成形品。
[6] 前記容器の最も薄い部分の肉厚が0.3〜2.0mmの範囲である[4]又は[5]に記載の射出成形品。
本発明によれば、製品容器の透明性、剛性、低温下における耐衝撃性を両立することができる。
本発明について具体的な実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係るプロピレン系樹脂組成物は、下記要件(A1)〜(A5)を満たすプロピレン系重合体(A)85〜97質量部、下記要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)3〜15質量部(ただし、プロピレン系重合体(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計を100質量部とする)、および造核剤(D)0.1〜0.6重量部を含む:
(A1):JIS K 7210に準拠して、測定温度230℃、荷重2.16kgで測定したプロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)が、1〜100g/10分である。
(A2):プロピレン系重合体(A)の室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)が85〜95質量%であり、室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)が5〜15質量%である。
(A3):前記Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が1〜6質量%である。
(A4):前記Dsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が15質量%以上20質量%未満である。
(A5):前記Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]が1.0〜3.5dl/gである。
(B1):エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、触媒としてシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である。
(B2):JIS K 7210に準拠して、測定温度190℃、荷重2.16kgで測定したエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)が、1〜100g/10分である。
(B3):エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が880〜920kg/m3である。
以下、各成分について説明する。
〔プロピレン系重合体(A)〕
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、上記要件(A1)〜(A5)を満たすプロピレン系重合体(A)を含む。なお、「要件(A1)〜(A5)を満たすプロピレン系重合体(A)」を、「プロピレン系重合体(A)」とも記す。
(要件(A1))
プロピレン系重合体(A)のMFRが1〜100g/10分であり、好ましくは10〜100g/10分であり、より好ましくは20〜100g/10分である。
プロピレン系重合体(A)のMFRが上記範囲を上回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の耐衝撃性が劣り、またプロピレン系重合体(A)のMFRが上記範囲を下回ると、プロピレン系樹脂組成物を用いて、容器等の成形体を製造する際の樹脂の流動性が劣り、薄肉化した成形体を製造することが困難となる。
なお、プロピレン系重合体(A)のMFRの調整は、後述する製造条件を調整することにより任意の量とすることができる。
(要件(A2))
プロピレン系重合体(A)の室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)85〜95質量%であり、室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)が5〜15質量%である。ただし、DinsolとDsolとの合計を100質量%とする。好ましくはDinsolが88〜94質量%であり、Dsolが6〜12質量%である。より好ましくはDinsolが90〜94質量%であり、Dsolが6〜10質量%である。
プロピレン系重合体(A)において、通常n−デカンに不溶な成分(Dinsol)とは、主にプロピレン由来の構成単位からなる成分であり、結晶性を有し、高い剛性を示すと考えられる。n−デカンに可溶な成分(Dsol)とは、主にプロピレンおよびエチレン由来の構成単位からなる成分である。Dsol成分は結晶性を示さないか、もしくは結晶性が低い成分であり、ガラス転移温度が低く、耐衝撃性や相溶性を発現すると考えられる。これはゴム成分と言われることもある。第1の実施形態のプロピレン系重合体(A)は、通常n−デカンに不溶な成分(Dinsol)およびn−デカンに可溶な成分(Dsol)を有するプロピレン系共重合体(いわゆるブロック共重合体)である。
insolが上記範囲を下回り、Dsolが上記範囲を上回ると、剛性の高いDinsolの割合が減ることからプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の剛性が低下する。
なお、プロピレン系重合体(A)のDinsolおよびDsolの割合は後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
また、プロピレン系重合体中のDinsolおよびDsolの割合の調整は、後述する製造条件を調整することにより任意の量とすることができる。
(要件(A3))
前記Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が1〜6質量%である。該含有量は1〜5質量%であることが好ましく、1〜4質量%であることがより好ましい。前記Dinsolは主にプロピレン由来の構成単位からなる成分であるが、エチレンに由来する骨格が含まれ得るものである。該含有量が上記範囲を超えるとプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の剛性が低下する傾向がある。これはDinsolの結晶性が低下するためであると考えられる。該含有量が上記範囲を下回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の透明性が低下する傾向にある。
(要件(A4))
前記Dsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が15質量%以上20質量%未満である。
該含有量が上記範囲を下回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)が劣る傾向がある。Dsolのエチレンの割合が減る事によりガラス転移温度が高くなり、衝撃に対しての吸収エネルギーが低下するためと考えられる。
一方、該含有量が上記範囲を上回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の透明性が低下する傾向がある。
前記Dinsol中およびDsol中のエチレンに由来する骨格の含有量は、分離した前記DinsolおよびDsolについてそれぞれ後述する実施例に記載される条件で13CNMR測定を行って求めることができる。詳細については実施例にて示す。
(要件(A5))
前記Dsolの、135℃デカリン中における極限粘度[ηsol]が1.0〜3.5dl/gであり、好ましくは1.5〜3.0dl/gであり、より好ましくは1.6〜2.5dl/gである。
極限粘度[ηsol]が上記範囲を下回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の耐衝撃性が低下する傾向にある。これはDsolの分子量が低下し、衝撃吸収エネルギーが低くなる為と考えられる。また極限粘度[ηsol]が上記範囲を上回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の透明性が低下する傾向がある。これはDsolの分子量が高いため、分散不良を起こすためと考えられる。
なお、プロピレン系重合体(A)の前記Dsolの、デカリン中135℃で測定した極限粘度[ηsol]は後述する実施例に記載の方法にて決定することが出来る。
なお、Dsolの、デカリン中135℃で測定した極限粘度[ηsol]の調整は、後述する製造条件を調整することにより任意の量とすることができる。
第1の実施形態に用いるプロピレン系重合体(A)の製造方法としては、特に限定はないが、通常は、メタロセン化合物含有触媒存在下あるいは、チーグラーナッタ触媒存在下で、プロピレンおよびエチレンを共重合することにより得られる。
なお、プロピレン系重合体(A)は、チーグラーナッタ触媒存在下で、プロピレンおよびエチレンを共重合することにより得られることが好ましい。分子量分布が広く成形性が良好な樹脂が得られ易い為である。
(メタロセン化合物含有触媒)
前記メタロセン化合物含有触媒としては、メタロセン化合物、並びに、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物、さらに必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン触媒を挙げることができ、好ましくはアイソタクチックまたはシンジオタクチック構造等の立体規則性重合をすることのできるメタロセン触媒を挙げることができる。前記メタロセン化合物の中では、国際公開01/27124号パンフレットに例示されている架橋性メタロセン化合物が好適に用いられる。
(チーグラーナッタ触媒)
第1の実施形態に用いるプロピレン系重合体(A)は、高立体規則性チーグラーナッタ触媒を用いることにより製造することができる。前記高立体規則性チーグラーナッタ触媒としては、公知の種々の触媒が使用できる。たとえば、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と、(b)有機金属化合物触媒成分と、(c)シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する有機ケイ素化合物触媒成分とからなる触媒を用いることができる。このような高立体規則性チーグラーナッタ触媒としては、EP0350170に記載のオレフィン重合用触媒を好適に用いることができる。当該チーグラーナッタ触媒を用い、プロピレン系重合体(A)を製造する際は、当該公報に記載されるように予備重合を行うことができる。
予備重合は、固体状チタン触媒成分(a)、有機金属化合物触媒成分(b)、および必要に応じて有機ケイ素化合物触媒成分(c)の存在下に、オレフィンを重合させる。
予備重合オレフィンとしては、炭素数2〜8のα−オレフィンを用いることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンなどの直鎖状のオレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどの分岐構造を有するオレフィン等を用いることができる。これらは共重合させてもよい。
予備重合は、固体状チタン触媒成分(a)1g当り0.1〜1000g程度、好ましくは0.3〜500g程度の重合体が生成するように行うことが望ましい。予備重合量が多すぎると、本重合における(共)重合体の生成効率が低下することがある。予備重合では、本重合における系内の触媒濃度よりもかなり高濃度で触媒を用いることができる。上記のような触媒を用いてプロピレンを連続多段重合させる際には、本発明の目的を損なわない範囲であれば、いずれかの段であるいは全ての段でプロピレンとエチレンとを共重合させてもよい。
連続多段重合する場合、各段においてはプロピレンをホモ重合させるか、あるいはプロピレンとエチレンとを共重合させてポリプロピレンを製造する。本重合の際には、固体状チタン触媒成分(a)(または予備重合触媒)を重合容積1L当りチタン原子に換算して約0.0001〜50ミリモル、好ましくは約0.001〜10ミリモルの量で用いることが望ましい。有機金属化合物触媒成分(b)は、重合系中のチタン原子1モルに対する金属原子量で約1〜2000モル、好ましくは約2〜500モル程度の量で用いることが望ましい。有機ケイ素化合物触媒成分(c)は、有機金属化合物触媒成分(b)の金属原子1モル当り約0.001〜50モル、好ましくは約0.01〜20モル程度の量で用いることが望ましい。
(プロピレン系重合体(A)の製法)
第1の実施形態に用いるプロピレン系重合体(A)は、前述のメタロセン化合物含有触媒存在下あるいは、チーグラーナッタ触媒存在下でプロピレンおよびエチレンを共重合することにより得られる。
重合は、気相重合法あるいは溶液重合法、懸濁重合法などの液相重合法いずれで行ってもよく、各段を別々の方法で行ってもよい。また連続式、半連続式のいずれの方式で行ってもよく、各段を複数の重合器たとえば2〜10器の重合器に分けて行ってもよい。工業的には連続式の方法で重合するのが最も好ましく、この場合2段目以降の重合を2器以上の重合器に分けて行うのが好ましく、これによりゲルと呼ばれる、耐衝撃性と透明性に好ましくないマイナス効果をもたらす複生成成分である高分子量成分の発生を抑制することができる。
重合媒体として、不活性炭化水素類を用いてもよく、また液状のプロピレンを重合媒体としてもよい。また各段の重合条件は、重合温度が約−50〜+200℃、好ましくは約20〜100℃の範囲で、また重合圧力が常圧〜10MPa(ゲージ圧)、好ましくは約0.2〜5MPa(ゲージ圧)の範囲内で適宜選択される。
プロピレン系重合体(A)を製造する場合は、2つ以上の重合器を直列につなげた反応装置で、次の二つの工程([工程1]および[工程2])を連続的に実施することによって得られる。本発明では、二つ以上の反応機を直列に連結した重合装置を用いそれぞれの重合装置で[工程1]を行うことができ、また二つ以上の反応機を直列に連結した重合装置を用いそれぞれの重合装置で[工程2]を行うことができる。
また、上記方法以外でも[工程1]と[工程2]を別々に行い、それぞれで得られたものを単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを用いて溶融混練し、プロピレン系重合体(A)を製造することもできる。以下、[工程1]と[工程2]を連続して実施することによりプロピレン系重合体(A)を製造する方法について記載する。
[工程1]は、重合温度0〜100℃、重合圧力常圧〜5MPaゲージ圧で、プロピレンと必要量のエチレンを共重合させる。[工程1]では、プロピレンに対してエチレンのフィード量を少量とすることによって、[工程1]で製造されるプロピレン系共重合体が要件(A3)を満たすDinsolの主成分となるようにする。又、必要に応じて水素ガスに代表される連鎖移動剤も導入し、〔工程1〕で生成される重合体の極限粘度[η]を調整することも出来る。
[工程2]は、重合温度0〜100℃、重合圧力常圧〜5MPaゲージ圧で、プロピレンと、エチレンとを共重合させる。[工程2]では、プロピレンに対するエチレンのフィード量を[工程1]のときよりも多くすることによって、[工程2]で製造されるプロピレン−エチレン共重合ゴムがDsolの主成分となるようにする。又、必要に応じて水素ガスに代表される連鎖移動剤も導入し、〔工程2〕で生成される重合体の極限粘度〔η〕を調整することも出来る。
プロピレン系重合体(A)は、上記工程[工程1]および[工程2]を連続的に実施することによって得られるが、要件(A1)〜(A5)は以下のようにして調整することができる。
要件(A1)は、[工程1]や[工程2]を行う際のプロピレンのフィード量またはプロピレンとエチレンをフィードする場合はプロピレンとエチレンのフィード量に対し、連鎖移動剤としての水素ガスのフィード量の調整をする事により調整が可能である。プロピレンのフィード量またはプロピレンとエチレンをフィードする場合はプロピレンとエチレンのフィード量に対し水素フィード量を多くすることによりMFRを高くすることが出来、プロピレンのフィード量またはプロピレンとエチレンをフィードする場合はプロピレンとエチレンのフィード量に対し水素フィード量を少なくすることによりMFRを低くすることが出来る。
また、上記方法以外でも、重合で得られたプロピレン系重合体を有機過酸化物存在下で溶融混練処理することによりメルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)を調整することができる。重合で得られたプロピレン系重合体を、有機過酸化物存在下での溶融混練処理を行うことにより該MFRは高くなり、有機過酸化物存在下での溶融混練処理を行う際の有機過酸化物の添加量を増やすことで該MFRはより高くなる。重合で得られたプロピレン系重合体を有機過酸化物存在下で溶融混練処理する場合、プロピレン系重合体100質量部に対して有機過酸化物を0.005から0.05質量部の間で使用することが望ましい。また、上記有機過酸化物存在下での溶融混練処理は、下記後処理工程後に行ってもよい。
上記有機過酸化物存在下での溶融混練処理で使用することができる有機過酸化物としては、特に限定はされないが、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキユミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキユミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キユメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイドもしくは2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物を例示できる。また、これらのうち、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンがより好ましい。
要件(A2)、つまり前記DinsolとDsolの比率は、上記〔工程1〕および〔工程2〕の重合時間を調整することにより調製することが出来る。つまり、上記〔工程1〕の重合時間を〔工程2〕の重合時間に比較して長くする事で、Dinsolの割合を多く、Dsolの割合を少なくする事が出来る。また、〔工程2〕の重合時間を〔工程1〕の重合時間に比較して長くする事で、Dinsolの割合を少なく、Dsolの割合を多くする事が出来る。
insolに係る要件(A3)は、〔工程1〕を行う際の、プロピレンフィード量とエチレンフィード量を調整することにより調整が可能である。つまり、プロピレンフィード量に対し、エチレンフィード量を多くする事により、前記Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量を多くすることが出来る。また、プロピレンフィード量に対し、エチレンフィード量を少なくする事により、前記Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量を少なくすることが出来る。
solに係る要件(A4)は、〔工程2〕を行う際の、プロピレンフィード量とエチレンフィード量を調整することにより調整が可能である。つまり、プロピレンフィード量に対し、エチレンフィード量を多くする事により、前記Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量を多くすることが出来る。また、プロピレンフィード量に対し、エチレンフィード量を少なくする事により、前記Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量を少なくすることが出来る。
solに係る要件(A5)は〔工程2〕を行う際の、連鎖移動剤として用いる水素ガスのフィード量で調整が可能である。つまり、プロピレンのフィード量またはプロピレンとエチレンをフィードする場合はプロピレンとエチレンのフィード量に対して、水素ガスのフィード量を多くすることにより極限粘度[ηsol]を小さくすることができ、プロピレンのフィード量またはプロピレンとエチレンをフィードする場合はプロピレンとエチレンのフィード量に対して、水素ガスのフィード量を少なくすることにより極限粘度[ηsol]を大きくすることができる。
重合終了後、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行うことにより、プロピレン系重合体(A)がパウダーとして得られる。
〔エチレン・α−オレフィン共重合体(B)〕
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含む。なお、「要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)」を、「エチレン・α−オレフィン共重合体(B)」とも記す。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、要件(B1)〜(B3)を満たしていればよく、特に限定はされないが、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンを共重合することにより得られる共重合体が、耐衝撃性及び透明性の特性が良好であるとの観点から好ましい。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。なかでも透明性・耐衝撃性・剛性・経済性の観点から炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましい。
(要件(B1))
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、触媒としてシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である。
シングルサイト触媒としては、例えば、(a)後述するような遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物、(c)微粒子状担体、必要に応じて(d)有機アルミニウム化合物から形成されるシングルサイトのオレフィン重合触媒を用いることができる。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)がシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体であると、透明性の高いプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。従来の、いわゆるチーグラーナッタ触媒等のマルチサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体よりも第1の実施形態の(B)成分は組成分布が均一であることから、Dsol成分と相溶化し易く、また分子量分布も狭くなり、低温耐衝撃性を悪化させる要因となる低分子量成分が少なくなる為と推測される。
上記のことから、シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることで透明性に優れ、さらには低温耐衝撃性に優れたプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。
上記シングルサイト触媒としては拘束幾何錯体を含んだ触媒(いわゆる拘束幾何触媒(CGC(constrained geometry catalyst)触媒ともいわれる))、あるいはメタロセン化合物含有触媒などが挙げられる。これらのなかでも、特に低温耐衝撃性が良好であるとの観点からメタロセン化合物含有触媒を用いることが好ましい。
(要件(B2))
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)が1〜100g/10分である。該MFRは、好ましくは1〜20g/10分であり、より好ましくは15〜20g/10分である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRが上記範囲を下回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の透明性が低下する傾向がある。分子量が高くなる為、分散不良を起こすためと考えられる。上記範囲を上回ると、分子量が低く衝撃に対しての吸収エネルギーが低くなる為、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の耐衝撃性が劣る。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRの調整は、製造条件を調整することにより任意の量とすることができる。
具体的には、重合する際のエチレンおよび/またはα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を調整することで調整することが可能である。重合する際のエチレンガスのフィード量またはエチレンとα−オレフィンをフィードする場合はエチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を多くすることでMFRを高くすることが可能であり、エチレンガスのフィード量またはエチレンとα−オレフィンをフィードする場合はエチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を少なくすることでMFRを低くすることが可能である。
(要件(B3))
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、880〜920kg/m、好ましくは880〜915kg/mである。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が上記範囲を下回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の剛性、透明性が劣る傾向がある。(B)成分の結晶性の低下およびプロピレン系重合体(A)との屈折率差も大きくなる為と推測される。一方、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が上記範囲を上回ると、プロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の透明性が低下する傾向がある。これもエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とプロピレン系重合体(A)との屈折率差が大きくなる為と考えられる。つまり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度範囲が上記範囲から外れると、透明性が悪化する。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度の調整は、製造条件を調整することにより任意の量とすることができる。
具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体を重合する際の、エチレンとα−オレフィンのフィード量の比率を変える事により調整可能である。より具体的には、エチレンのフィード量に対してα−オレフィンのフィード量を多くする事により、密度を低くする事が可能であり、エチレンのフィード量に対してα−オレフィンのフィード量を少なくする事により、密度を高くする事が可能である。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFR測定時に得られるストランドを、120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したものをサンプルとして用い、密度勾配管法にて密度の測定を行いエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度として決定した。
以下エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造に使用するシングルサイトのオレフィン重合触媒および各触媒成分について説明する。本発明で用いられる(a)遷移金属化合物(以下「成分(a)」と記載することがある。)は、下記式(I)で表わされる遷移金属化合物である。
MLx・・・(I)
(I)式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
xは、遷移金属原子Mの原子価であり、遷移金属原子に配位するLの個数を示す。Lは、遷移金属原子Mに配位する配位子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子Lは、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基であるか、または炭素数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基であり、(置換)シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコシキ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子である。
なお置換シクロペンタジエニル基は、置換基を2個以上有していてもよく、2個以上の置換基は各同一でも異なっていてもよい。置換シクロペンタジエニル基は、置換基を2個以上有する場合は、少なくとも1個の置換基が炭素数3〜10の炭化水素基であればよく、他の置換基は、メチル基、エチル基または炭素数3〜10の炭化水素基である。また、Mに配位している置換シクロペンタジエニル基は同一でも異なっていてもよい。
〔造核剤(D)〕
本発明のプロピレン系樹脂組成物は造核剤(D)を含む。
本発明のプロピレン系樹脂組成物に含まれる造核剤としては、特に限定はないが、ソルビトール系造核剤、リン系造核剤、カルボン酸金属塩系造核剤、ポリマー造核剤、無機化合物等を用いることができる。造核剤としては、ソルビトール系造核剤、リン系造核剤、ポリマー造核剤を用いることが好ましい。
ソルビトール系造核剤としては例えば、ノニトール 1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン](該化合物を含む市販品として商品名「ミラードNX8000」シリーズ、ミリケン社製(「NX8000」は、上記化学物質+蛍光増白剤+ブルーミング剤、「NX8000K」は「NX8000」の蛍光増白剤抜き、「NX8000J」は蛍光増白剤とブルーミング剤両方抜き)が挙げられる)、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトールを用いることができる。
リン系造核剤としては例えば、ナトリウム−ビス−(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カリウム−ビス−(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)ナトリウム塩(商品名「アデカスタブNA−11」、ADEKA製)、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩を主成分とする複合物(商品名「アデカスタブNA−21」、ADEKA製)、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートと12-ヒドロキシステアリン酸とを含み、かつリチウムを必須性分として含む複合物(商品名「アデカスタブNA−71」、ADEKA製)などを用いることができる。
カルボン酸金属塩造核剤としては例えば、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムを用いることができる。
ポリマー造核剤としては分岐状α−オレフィン重合体が好適に用いられる。分岐状α−オレフィン重合体の例として、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンの単独重合体、あるいはそれら相互の共重合体、さらにはそれらと他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。透明性、低温耐衝撃性、剛性の特性が良好であること、および経済性の観点から、特に、3−メチル−1−ブテンの重合体が好ましい。
無機化合物としては例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウムを用いることができる。
第1の実施形態に用いる造核剤としては、上記の通り、一部は市販品として容易に入手することができる。
これらの造核剤の中でも、透明性、低温耐衝撃性、剛性および低臭気であるとの観点からノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピフェニル)メチレン]、および/またはビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩を用いることが好ましい。
またこれらの造核剤は一種単独でも、二種以上を用いてもよい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、造核剤(D)を含有することにより、該組成物から形成される容器等の成形体の剛性および透明性に優れる。これはプロピレン系樹脂組成物中の結晶の球晶サイズが小さくなり、光の乱反射が低減されることによる透明性の向上と、結晶化度の向上による高剛性化によると推定される。
また、造核剤の含量が、下記範囲より少ないと、剛性および透明性の改良効果が不十分であり、造核剤の含量が下記範囲より多いと、それ以上の改良効果は少なく、経済的でない。
〔プロピレン系樹脂組成物〕
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、前述のプロピレン系重合体(A)85〜97質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)3〜15質量部および造核剤(D)0.1〜0.6質量部を含み(ただし、プロピレン系重合体(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計を100質量部とする)、好ましくはプロピレン系重合体(A)90〜97質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)3〜10質量部および造核剤0.15〜0.4質量部である。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜中和剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、気泡防止剤、分散剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、架橋剤、架橋助剤等の添加剤;染料、顔料等の着色剤で例示される他の成分を含んでいてもよい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物が、他の成分を含む場合には、通常プロピレン系重合体(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計を100質量部とすると、0.01〜5質量部の範囲で他の成分を含むことができる。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)(測定温度230℃、荷重2.16kg)が20〜80g/10分であることが好ましく、20〜60g/10分であることがより好ましい。上記範囲では、プロピレン系樹脂組成物を用いて容器等の成形体を成形する際の流動性に優れるため好ましい。
プロピレン系樹脂組成物(X)のメルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は、プロピレン系樹脂組成物に使用するプロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度190℃、荷重2.16kg)を適宜選択することにより調整が可能である。
また、上記方法以外でも、各成分を混練機で溶融混練する際に、有機過酸化物を共存させることにより、調整が可能である。すなわち、溶融混練する際に有機過酸化物を添加すること、あるいは溶融混練する際に、有機過酸化物の添加量を増やすことにより、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)を高くすることができる。
本発明で使用することができる有機過酸化物としては、前記要件(A1)において説明した有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物を使用する場合、プロピレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計100質量部に対して0.005から0.05質量部以下で使用することが望ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、前述の各成分を上記範囲で含むため、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、従来よりも薄肉化、軽量化した場合であっても剛性、低温耐衝撃性、透明性に優れる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、該製造方法としては、例えば各成分を混練機で溶融混練して、プロピレン系樹脂組成物を製造する方法が挙げられる。混練機として、例えば単軸混練押出機、多軸混練押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。溶融混練条件は、混練時の剪断、加熱温度、剪断による発熱などによって溶融樹脂の劣化が起こらない限り、特に制限されない。溶融樹脂の劣化を防止する観点から、加熱温度を適正に設定したり、酸化防止剤や熱安定剤を添加したりすることは、効果的である。
以上のプロピレン系樹脂組成物を公知の成形技術に従い成形することにより、さまざまな成形品を得ることができる。成形技術としては、例えば射出成形、射出延伸ブロー成形、圧縮成形、射出圧縮成形、Tダイフィルム成形、延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、シート成形、カレンダ成形、圧空成形、真空成形、パイプ成形、異型押出成形、中空成形、ラミネート成形等が挙げられる。中でも射出成形品であることが好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物から形成される成形体としては、容器、家電部品、日用品等が挙げられる。中でも耐衝撃性・剛性の観点から容器が好ましい。
本発明の容器は、前述のプロピレン系樹脂組成物から形成される。容器としては、洗髪剤・調髪剤・化粧品・洗剤・殺菌剤などの液体日用品用の包装容器;清涼飲料水・水・調味料などの液体用の食品包装容器;ゼリー、プリン、ヨーグルトなどの固体用の食品包装容器(デザートカップ);その他の薬品用の包装容器;工業用の液体用の包装容器などとして広範囲に使用できる。
中でも、従来よりも薄肉化、軽量化することが求められるとともに、内容物の視認性に優れ、臭気が少ないことが求められる食品包装容器(デザートカップ)として好適に用いることができる。
デザートカップとしては、容器胴体部(最も肉厚の薄い部分)の肉厚が0.3〜2.0mmの範囲であることが好ましい。本発明のプロピレン系樹脂組成物は、このように薄肉化しても十分な衝撃強度を有し、製造過程で破損して破片が生じることがない。
本発明のプロピレン系樹脂組成物から形成される容器(例えば食品包装容器)は射出成形または射出延伸ブロー成形により得られることが好ましい。
射出成形の方法としては例えば射出成形機を用いて下記のような方法で成形を行うことができる。まず、射出機構のホッパー内にプロピレン系樹脂組成物を導入し、およそ200℃〜250℃に加熱してあるシリンダーにプロピレン系樹脂組成物を送り込み、混練可塑化して溶融状態にする。これをノズルから高圧高速(最大圧力700〜1500kg/cm3)で、冷却水あるいは温水等により5〜50℃好ましくは10〜40℃に温調された、型締め機構にて閉じられている金型内に射出する。金型からの冷却により射出されたプロピレン系樹脂組成物を冷却固化させ型締め機構にて金型を開き、成型品を得ることにより行うことができる。
また、射出延伸ブロー成形としては例えば、射出成形機のホッパー内にプロピレン系樹脂組成物を導入し、およそ200℃〜250℃に加熱してあるシリンダーに樹脂を送り込み、混練可塑化して溶融状態にする。これをノズルから高圧高速(最大圧力700〜1500kg/cm3)で、冷却水あるいは温水等により5〜80℃好ましくは10〜60℃に温調された、型締め機構にて閉じられている金型内に射出成型し、そこで1.0〜3.0秒間冷却してプリフォームを形成し、その後直ちに型を開き延伸ロッドを用いて縦方向へと延伸配向し、さらにブロー成形によって横方向へと延伸配向させ成型品を得ることにより行うことができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<プロピレン系重合体(A−1)の製造>
(1)固体触媒成分の調整
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン442mLおよび2−エチルヘキシルアルコール390.6gを130℃で2時間加熱反応を行って均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸21.3gを添加し、さらに130℃にて1時間攪拌混合を行い、無水フタル酸を溶解させた。
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持した四塩化チタン200mL中に、この均一溶液の75mLを1時間にわたって滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル(DIBP)5.22gを添加し、これより2時間同温度にて攪拌保持した。
2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を275mLの四塩化チタンに再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱した。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃のデカンおよびヘキサンにて溶液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。
ここで、前記遊離チタン化合物の検出は次の方法で確認した。予め窒素置換した100mLの枝付きシュレンクに上記固体触媒成分の上澄み液10mLを注射器で採取し装入した。次に、窒素気流にて溶媒ヘキサンを乾燥し、さらに30分間真空乾燥した。これに、イオン交換水40mL、50容量%硫酸10mLを装入し30分間攪拌した。この水溶液をろ紙を通して100mLメスフラスコに移し、続いて鉄(II)イオンのマスキング剤としてconc.HPO 1mLとチタンの発色試薬として3%H水溶液 5mLを加え、さらにイオン交換水で100mLにメスアップした。このメスフラスコを振り混ぜ、20分後にUVを用い420nmの吸光度を観測し遊離チタンの検出を行った。この吸収が観測されなくなるまで遊離チタンの洗浄除去および遊離チタンの検出を行った。
上記のように調製された固体状チタン触媒成分(A)は、デカンスラリーとして保存したが、この内の一部は触媒組成を調べる目的で乾燥した。このようにして得られた固体状チタン触媒成分(A)の組成は、チタン2.3質量%、塩素61質量%、マグネシウム19質量%、DIBP 12.5質量%であった。
(2)予備重合触媒成分の調製
内容積500mLの攪拌機付きの三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタンを400mL、トリエチルアルミニウム19.2mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン3.8mmol、上記固体状チタン触媒成分(A)4gを加えた。内温を20℃に保持し、攪拌しながらプロピレンを導入した。1時間後、攪拌を停止し結果的に固体状チタン触媒成分(A)1g当たり2gのプロピレンが重合した予備重合触媒成分(B)を得た。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.15MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.4mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.94MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.3L/min)/(1.1L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で50分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−1)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は32g/10分、Dinsolは93.0質量%、Dsolは7.0質量%、[ηsol]は1.9dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が1.8質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が18.0質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−2)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.15MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.4mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.90MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.2L/min)/(1.2L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で50分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−2)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は30g/10分、Dinsolは93.0質量%、Dsolは7.0質量%、[ηsol]は2.1dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が1.8質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が19.0質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−3)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.13MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.8mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.92MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.2L/min)/(1.2L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で50分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−3)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は22g/10分、Dinsolは93.0質量%、Dsolは7.0質量%、[ηsol]は2.0dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が2.3質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が19.5質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−4)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.13MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.7mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.90MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.4L/min)/(1.0L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で120分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−4)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は18g/10分、Dinsolは86.0質量%、Dsolは14.0質量%、[ηsol]は2.1dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が2.2質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が16.6質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−5)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.13MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.7mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.90MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.4L/min)/(1.0L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で80分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−5)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は20g/10分、Dinsolは90.0質量%、Dsolは10.0質量%、[ηsol]は2.1dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が2.2質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が17.0質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−6)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.15MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が2.3mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.96MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.2L/min)/(1.2L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で50分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−6)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は32g/10分、Dinsolは93.0質量%、Dsolは7.0質量%、[ηsol]は1.8dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が3.0質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が19.0質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−7)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.15MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.4mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
得られたプロピレン系重合体(A−7)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は42g/10分、Dinsolは100質量%、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が1.8質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−8)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.15MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.8mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.92MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.2L/min)/(1.2L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で70分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−8)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は27g/10分、Dinsolは91.0質量%、Dsolは9.0質量%、[ηsol]は2.0dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が2.3質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が19.0質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−9)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.45MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンを導入した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.92MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.0L/min)/(1.4L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で70分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−9)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は110g/10分、Dinsolは91.0質量%、Dsolは9.0質量%、[ηsol]は2.0dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が0質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が22.0質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−10)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.25MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が0.6mol%となるように調整した。 内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.90MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.0L/min)/(1.4L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で80分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−10)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は48g/10分、Dinsolは90.0質量%、Dsolは10.0質量%、[ηsol]は2.1dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が1.0質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が22.0質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−11)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.15MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.4mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.96MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.9L/min)/(0.5L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で50分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−11)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は32g/10分、Dinsolは93.0質量%、Dsolは7.0質量%、[ηsol]は1.8dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が1.8質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が9.0質量%であった。
<プロピレン系重合体(A−12)の製造>
(1)(2)の工程はプロピレン系重合体(A−1)と同様である。
(3−1)重合−1(重合[工程1])
内容積10Lの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン6L、トリエチルアルミニウム12.5mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmolを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した後に、水素を0.13MPa−G装入し、続いて攪拌しながらプロピレンおよびエチレンを導入した。なお、導入量は、重合槽内の気相部のエチレン濃度が1.7mol%となるように調整した。
内温80℃、全圧0.8MPa−Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分(B)をTi原子換算で0.10mmol含んだヘプタンスラリー20.8mLを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
(3−2)重合−2(重合[工程2])
プロピレン系重合体の重合終了後(前記[工程1]の後)、内温を30℃まで降温し脱圧した。その後、水素0.90MPa−G装入し、続いてプロピレン/エチレン:(4.4L/min)/(1.0L/min)の混合ガスを導入した。内温60℃、全圧0.30MPa−G(導入ガス量により変動)で150分間プロピレン/エチレン共重合を行った。
所定時間経過したところで50mLのメタノールを添加し反応を停止し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し60℃に昇温し固液分離した。更に、60℃のヘプタン6Lで固体部を2回洗浄した。このようにして得られたプロピレン/エチレン共重合体を真空乾燥した。
得られたプロピレン系重合体(A−4)の、メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、測定温度230℃、荷重2.16kg)は17g/10分、Dinsolは84.0質量%、Dsolは16.0質量%、[ηsol]は2.1dL/g、Dinsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が2.2質量%、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の質量が16.6質量%であった。
<エチレン−αオレフィン共重合体(B)>
(B−1)メタロセン系エチレン−αオレフィン共重合体:密度(JIS K 7112に準拠して測定した。以下、密度と略称することがある。)903kg/m、MFR(190℃)15g/10分(プライムポリマー製、商品名:SP00206)
(B−2)メタロセン系エチレン−αオレフィン共重合体:密度883kg/m、MFR(190℃)20g/10分(三井化学製、商品名:A−2085S)
(B−3)メタロセン系エチレン−αオレフィン共重合体:密度913kg/m、MFR(190℃)4.0g/10分(プライムポリマー製、商品名:SP1540)
(B−4)メタロセン系エチレン−αオレフィン共重合体:密度903kg/m、MFR(190℃)4.0g/10分(プライムポリマー製、商品名:SP0540)
[造粒及び成形の評価]
<造粒・成形>
(1)造粒
表(実施例・比較例)に示す配合にて、プロピレン系重合体(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、造核剤としてノニトール 1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン](「ミラードNX8000J」(商品名)、ミリケン社製)または(C−1):リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)アルミニウム塩(「アデカスタブNA−21」(商品名)、ADEKA社製)を所定の量を配合し、さらに添加剤として、リン系酸化防止剤のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(「Irgafos168」(商品名)BASF社製)を0.13質量部、中和剤のステアリン酸カルシウム(日東化成社製)を0.10質量部、をヘンシェルミキサーにて攪拌混合した。
得られた混合物を東芝機械株式会社製の二軸押出機(TEM35BS)を用いて下記条件にて溶融混練してストランドを得た。
・型式:TEM35BS(35mm二軸押出機)
・スクリュー回転数:300rpm
・スクリーンメッシュ:#200
・樹脂温度:230℃
得られたストランドを水冷後ペレタイザーにて切断することにより、プロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。
(2)0.7mmtデザートカップ成形
プロピレン系樹脂組成物のペレットを用いて、以下の方法で容器を成形した。
型締め力100トンの電動射出成形機(ファナック社製ロボショットS−2000i−100B)を用いて、シリンダー温度230℃、金型温度20℃、射出1次圧力120MPa、射出速度120mm/sec、保圧圧力、50MPa、保圧時間1.0secの条件で、プロピレン系樹脂組成物のペレットを射出成形し、高さ62mm、直径86mm、側面肉厚0.7mmの容器を射出成形した。
(3)高速成形性
上記成形条件における連続成形において、100shot間離型不良、容器変形、L-
LDPE配向による容器流れ方向破損等のトラブルゼロで成形可能となる最少サイクルタイムを測定した。
(4)成形離型性
上記成形条件における連続成形において、サイクルタイムを8秒に統一して、10ショット成形した時の離型不良、容器変形の有無を測定した。
離形不良や容器変形の発生しなかったものを「〇」、離形不良や容器変形の発生したものを「×」とした
<物性>
(5)MFR(メルトフローレート)
JIS K7210に準拠して測定温度230℃、荷重2.16kgで測定した。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)については、JIS K7210に準拠して測定温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
(6)DinsolおよびDsol
プロピレン系重合体(A)のDinsolおよびDsolの割合は以下の方法により求めた。
プロピレン系重合体(A)のサンプル5gにn−デカン200mlを加え、145℃、30分間加熱溶解を行い、溶液(1)を得る。
次に約2時間かけて、溶液を室温25℃まで冷却を行い、25℃で30分間放置し、析出物(α)を含む溶液(2)を得る。
その後、溶液(2)から析出物(α)を目開き約15μmの濾布でろ別し、析出物(α)を乾燥させた後、析出物(α)の質量を測定する。該析出物(α)の質量をサンプル質量(5g)で除したものを、n−デカン不溶部(Dinsol)の割合とする。
また、析出物(α)をろ別した溶液(2)を、溶液(2)の約3倍量のアセトン中に入れ、n−デカン中に溶解していた成分を析出させ、析出物(β)を得る。
その後、析出物(β)をガラスフィルター(G2、目開き約100〜160μm)でろ別し、乾燥させた後、析出物(β)の質量を測定する。
このときの析出物(β)の質量をサンプル質量(5g)で除したものをn−デカン可溶部(Dsol)の割合とする。
(7)Dsolの、デカリン中135℃で測定した極限粘度[ηsol
プロピレン系重合体(A)の前記Dsolの、デカリン中135℃で測定した極限粘度[ηsol]は下記のようにして決定した。
サンプルは、前記のDinsolおよびDsolの割合を求めた際に得られた析出物(β)を用いた。
このサンプル約25mgをデカリン25mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。
このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。
この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求め、この値をDsolの、デカリン中135℃で測定した極限粘度[ηsol]とした。
(8)DinsolおよびDsol中のエチレンに由来する骨格の含有量
プロピレン系重合体(A)の前記DinsolおよびDsol中のエチレンに由来する骨格の含有量は13CNMRの測定に基づき下記のようにして測定・算出し決定した。
サンプルは、前記のDinsolおよびDsolの割合を求めた際に得られた析出物(α)および(β)を用いた。
この析出物(α)および(β)を試料として、下記条件にてそれぞれ13C−NMRの測定を行った。
(9)13C-NMR測定条件
測定装置:日本電子製LA400型核磁気共鳴装置
測定モード:BCM(Bilevel Complete decoupling)
観測周波数:100.4MHz
観測範囲:17006.8Hz
パルス幅:C核45°(7.8μ秒)
パルス繰り返し時間:5秒
試料管:5mmφ
試料管回転数:12Hz
積算回数:20000回
測定温度:125℃
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン:0.35ml/重ベンゼン:0.2ml
試料量:約40mg
測定で得られたスペクトルより、下記文献(1)に準じて、モノマー連鎖分布(トリアッド(3連子)分布)の比率を決定し、前記のDinsolおよびDsol中のエチレンに由来する構成単位のモル分率(mol%)(以下E(mol%)と記す)およびプロピレンに由来する構成単位のモル分率(mol%)(以下P(mol%)と記す)を算出した。求められたE(mol%)およびP(mol%)から下記(式1)に従い質量%に換算しプロピレン系重合体の前記のDinsolおよびDsol中のエチレンに由来する構成単位の含有量(質量%)(以下E(wt%)と記す)を算出した。
E(wt%)=E(mol%)×28×100/[P(mol%)×42+E(mol%)×28](式1)
文献(1):Kakugo,M.; Naito,Y.; Mizunuma,K.; Miyatake,T., Carbon-13 NMR determination of monomer sequence distribution in ethylene-propylene copolymers preparedwith delta-titanium trichloride-diethylaluminum chloride. Macromolecules 1982, 15, (4), 1150-1152
(10)引張弾性率
射出成形法により試験片を成形し、成形後に室温23±5℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室に72時間放置した後、JIS K 7161(ISO178)に準拠して求めた。
(11)高速面衝撃試験(ハイレート、HRIT(破断エネルギー))
試験機:島津HYDRO SHOT HITS-P10(島津製作所製)
試験片:ISO2mm厚平板(80mm×80mm×2mmt)
試験片の作成方法:型締め圧100トンの射出成形機を使用し、成形温度200℃、金型温度40℃にて射出成形し、室温23±5℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室に72時間放置した後、試験を行った。
試験方法:支持台(穴径76.2mm)上に設置した試験片に荷重センサーであるダート(径12.7mm、打撃面が平坦なフラットダート)を3.0m/秒の速度で衝突させ、試験片の衝撃荷重における変形破壊挙動を測定し、得られた衝撃パターンにおける亀裂発生点までにおいて吸収された衝撃エネルギーを算出し、材料の衝撃強度とした。測定雰囲気温度は、5.0±0.5℃であった。なお、本測定では、1Jが測定下限値である。
(12)透明性(HAZE)
射出成形法により厚さ2mmのISO平板を成形し、成形後に室温23±5℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室に72時間放置した後、JIS K 7136(ISO14782)JIS K 7361−1に準拠して求めた。
Figure 2021155613
Figure 2021155613

Claims (6)

  1. [1]下記要件(A1)〜(A5)を満たすプロピレン系重合体(A)85〜97質量部、下記要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)3〜15質量部(ただし、プロピレン系重合体(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計を100質量部とする)、および造核剤(D)0.1〜0.6重量部を含むプロピレン系樹脂組成物。
    (A1):JIS K7210に準拠して、測定温度230℃、荷重2.16kgで測定したプロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)が、1〜100g/10分である。
    (A2):プロピレン系重合体(A)の室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)が85〜95質量%であり、室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)が5〜15質量%である。
    (A3):前記Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が1〜6質量%である。
    (A4):前記Dsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が15質量%以上20質量%未満である。
    (A5):前記Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]が1.0〜3.5dl/gである。
    (B1):エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、触媒としてシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である。
    (B2):JIS K7210に準拠して、測定温度190℃、荷重2.16kgで測定したエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)が、1〜100g/10分である。
    (B3):エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が880〜920kg/m3である。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)がメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体である請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物を含む射出成形品。
  4. 前記射出成形品は容器である、請求項3に記載の射出成形品。
  5. 前記容器はデザートカップである請求項4に記載の射出成形品。
  6. 前記容器の最も薄い部分の肉厚が0.3〜2.0mmの範囲である請求項4又は5に記載の射出成形品。
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