JP2018178109A - プロピレン樹脂組成物及び射出成形体 - Google Patents

プロピレン樹脂組成物及び射出成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法安定性に優れる成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物を提供すること。【解決手段】プロピレン単独重合体(A);プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有するプロピレン系重合体(I)と、エチレン等に由来する単量体単位を40質量%以上80質量%以下含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有する、プロピレン共重合体(II)とからなるヘテロファジックプロピレン重合材料(B);並びにエチレン−α−オレフィン共重合体(C)を含み、結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布が、6.0以上であり、上記成分(A)、上記成分(B)及び上記成分(C)の含有量が、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対して、それぞれ、10〜55質量部、10〜55質量部及び10〜40質量部である、プロピレン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン樹脂組成物及び射出成形体に関する。
プロピレン樹脂組成物からなる成形体は、自動車材料、家電材料等に用いられている。前記成形体としては、例えば特許文献1に、エチレン含有量が25〜45mol%である室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)と室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)とから構成されるプロピレン系ブロック共重合体及びエラストマーを含有するプロピレン系樹脂組成物からなる成形体が記載されている。
特開2011−132294号公報
近年、自動車材料、家電材料等に用いられる成形体には、高い寸法安定性が求められている。
そこで、本発明は、寸法安定性に優れる成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、寸法安定性に優れる射出成形体を提供することを目的とする。
本発明は、プロピレン単独重合体(A);プロピレンに由来する単量体単位を、80質量%以上含有するプロピレン系重合体(I)と、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンに由来する単量体単位を、40質量%以上80質量%以下含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有する、プロピレン共重合体(II)と、からなるヘテロファジックプロピレン重合材料(B);並びにエチレン−α−オレフィン共重合体(C)(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体(C)はプロピレンに由来する単量体単位を含まない)を含み、下記式(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)から算出される結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布(P部Mw/Mn)が、6.0以上であり、プロピレン単独重合体(A)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)の含有量が、プロピレン単独重合体(A)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)の合計100質量部に対して、それぞれ、10〜55質量部、10〜55質量部及び10〜40質量部である、プロピレン樹脂組成物に関する。
P部Mw/Mn=Mw(A,CXIS(B))/Mn(A,CXIS(B)) ・・・(1)
Mw(A,CXIS(B))=Mw(A)×φ(A)+Mw(CXIS(B))×φ(CXIS(B)) ・・・(2)
Mn(A,CXIS(B))=1/(φ(A)/Mn(A)+φ(CXIS(B))/Mn(CXIS(B))) ・・・(3)
φ(A)=X/(X+Y) ・・・(4)
φ(CXIS(B))=Y/(X+Y) ・・・(5)
[Mw(A)及びMn(A)は、それぞれ、プロピレン単独重合体(A)の重量平均分子量及び数平均分子量を表し、Mw(CXIS(B))及びMn(CXIS(B))は、それぞれ、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)中のキシレン不溶成分の重量平均分子量及び数平均分子量を表す。Xは、プロピレン単独重合体(A)のプロピレン樹脂組成物の全質量に対する含有量(質量%)を表し、Yは、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)中のキシレン不溶成分の、プロピレン樹脂組成物の全質量に対する含有量(質量%)を表す。]
本発明のプロピレン樹脂組成物は、充填材(D)を更に含み、充填材(D)の含有量が、プロピレン単独重合体(A)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)、及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)の合計100質量部に対して、1〜65質量部である態様であってもよい。
本発明はまた、上記プロピレン樹脂組成物からなる射出成形体に関する。
本発明によれば、寸法安定性に優れる成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物を提供できる。本発明によればまた、寸法安定性に優れる射出成形体を提供できる。
[定義]
本明細書において、用語「α−オレフィン」は、α位に炭素−炭素不飽和二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素を意味する。
本明細書において、用語「ヘテロファジックプロピレン重合材料」は、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有するプロピレン系重合体(ただし、該プロピレン系重合体の全質量を100質量%とする。)のマトリックスの中で、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有するプロピレン共重合体が分散した構造を有する混合物を意味する。
本明細書において、用語「エチレン−α−オレフィン共重合体」は、エチレンに由来する単量体単位と、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する単量体単位とを含有する共重合体であり、プロピレンに由来する単量体単位を含まないものを意味する。
本明細書において、用語「キシレン不溶成分(「CXIS成分」ともいう)」は、ヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれるp−キシレンに不溶な成分であって、下記方法により得られる固形物を意味する。
ヘテロファジックプロピレン重合材料約2gを、沸騰しているp−キシレン中で2時間溶解して溶液を得、次いで、該溶液を20℃まで冷却し、冷却された溶液に析出した固形物。
本明細書において、用語「結晶性ポリプロピレン成分」は、プロピレン単独重合体及びヘテロファジックプロピレン重合材料中のキシレン不溶成分を意味する。
本明細書において、用語「プロピレン樹脂組成物」は、ヘテロファジックプロピレン重合材料を含有する組成物を意味する。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、これらの記載は、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
〔プロピレン樹脂組成物〕
本実施形態に係るプロピレン樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう。)は、プロピレン単独重合体(A);プロピレンに由来する単量体単位を、80質量%以上含有するプロピレン系重合体(I)と、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンに由来する単量体単位を、40質量%以上80質量%以下含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有する、プロピレン共重合体(II)と、からなるヘテロファジックプロピレン重合材料(B);並びにエチレン−α−オレフィン共重合体(C)を含み、下記式(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)から算出される結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布(P部Mw/Mn)が、6.0以上であり、プロピレン単独重合体(A)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)の含有量が、プロピレン単独重合体(A)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)の合計100質量部に対して、それぞれ、10〜55質量部、10〜55質量部及び10〜40質量部であるものである。
P部Mw/Mn=Mw(A,CXIS(B))/Mn(A,CXIS(B)) ・・・(1)
Mw(A,CXIS(B))=Mw(A)×φ(A)+Mw(CXIS(B))×φ(CXIS(B)) ・・・(2)
Mn(A,CXIS(B))=1/(φ(A)/Mn(A)+φ(CXIS(B))/Mn(CXIS(B))) ・・・(3)
φ(A)=X/(X+Y) ・・・(4)
φ(CXIS(B))=Y/(X+Y) ・・・(5)
ここで、Mw(A)及びMn(A)は、それぞれ、プロピレン単独重合体(A)の重量平均分子量及び数平均分子量を表し、Mw(CXIS(B))及びMn(CXIS(B))は、それぞれ、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)中のキシレン不溶成分の重量平均分子量及び数平均分子量を表す。
Xは、プロピレン単独重合体(A)のプロピレン樹脂組成物の全質量に対する含有量(質量%)を表し、Yは、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)中のキシレン不溶成分の、プロピレン樹脂組成物の全質量に対する含有量(質量%)を表す。
結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布(P部Mw/Mn)は、成形体としたときの寸法安定性を更に向上させる観点から、例えば、7.0以上であってもよく、7.5以上であってもよい。結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布は、例えば、30.0以下であってもよく、25.0以下であってもよい。これらの観点から、結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布は、7.0〜30.0であることが好ましく、7.5〜25.0であることがより好ましい。
プロピレン単独重合体(A)の分子量分布、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)中のキシレン不溶成分の分子量分布、プロピレン樹脂組成物中のプロピレン単独重合体(A)の含有量及びヘテロファジックプロピレン重合材料(B)の含有量、並びにヘテロファジックプロピレン重合材料(B)中のキシレン不溶成分の含有量を調整することにより、結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布(P部Mw/Mn)を前記範囲とすることができる。
ここで、本明細書において、各成分の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記条件で測定する。
装置:東ソー株式会社製 HLC−8121 GPC/HT
分離カラム:東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 3本
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
試料濃度:約1mg/mL
試料注入量:400μL
検出器:示差屈折
検量線作成方法:標準ポリスチレンを使用
また、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、上記測定によって得られた重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を用いて算出できる。
キシレン不溶成分は、キシレンに不溶な成分である。本明細書においては、沸騰キシレンで2時間の加熱した後、20℃まで冷却した状態で、キシレンに溶出している成分をキシレン可溶成分(以下、「CXS成分」ともいう)という。
以下、前記「プロピレン単独重合体(A)」等で示される各成分をそれぞれ、単に「成分A」等ともいう。
以下、各成分について説明する。
[プロピレン単独重合体(A)]
成分Aは、プロピレンを単独で重合させた重合体である。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成分Aを1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
成分Aの分子量分布(Mw(A)/Mn(A))は、成形体としたときの寸法安定性の観点から、3.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。成分Aの分子量分布は、例えば、30.0以下であってもよく、25.0以下であってもよい。成分Aの分子量分布は、3.0〜30.0であることが好ましく、6.0〜25.0であることがより好ましい。
成分Aのアイソタクチックペンタッド分率([mmmm]分率ともいう)は、樹脂組成物からなる成形体の剛性及び寸法安定性の観点から、0.950以上であることが好ましく、0.970以上であることがより好ましい。成分Aのアイソタクチックペンタッド分率は、例えば、1.000以下であってもよい。アイソタクチックペンタッド分率が1に近い重合体は、分子構造の立体規則性が高く、結晶性が高いと考えられる。
アイソタクチックペンタッド分率は、ペンタッド単位での、アイソタクチック分率を意味する。すなわち、アイソタクチックペンタッド分率は、ペンタッド単位でみたときに、プロピレンに由来する単量体単位が5個連続してメソ結合した構造の含有割合を示す。なお、対象の成分が共重合体である場合には、プロピレンに由来する単量体単位の連鎖について測定される値をいう。
本明細書において、アイソタクチックペンタッド分率は、13C−NMRスペクトルで測定される値をいう。具体的には、13C−NMRスペクトルによって得られるメチル炭素領域の全吸収ピークの面積に対するmmmmピークの面積の比を、アイソタクチックペンタッド分率とする。なお、13C−NMRスペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率の測定方法は、例えば、A.ZambelliらによるMacromolecules,6,925(1973)に記載されている。ただし、13C−スペクトルによって得られる吸収ピークの帰属は、Macromolecules,8,687(1975)の記載に基づくものとする。
成分Aの温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、樹脂組成物の成形加工性の観点から、5g/10分以上であることが好ましく、30g/10分〜300g/10分であることがより好ましく、80g/10分〜300g/10分であることが更に好ましく、100g/10分より大きく300g/10分以下であることが特に好ましい。
本明細書において、メルトフローレートは、JIS K7210に準拠して測定される値をいう。また、メルトフローレートを、以下、MFRと記すことがある。
成分Aの極限粘度数([η])は、例えば、0.10〜2.00dL/gであってもよく、0.50〜1.50dL/gであってもよく、0.70〜1.40dL/gであってもよい。
本明細書において、極限粘度数(単位:dL/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dL、0.2g/dL及び0.5g/dLの3点について還元粘度を測定する。還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法により、極限粘度数を求める。外挿法による極限粘度数の計算方法は、例えば、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載されている。
成分Aは、例えば、重合触媒の存在下、プロピレンを重合することにより製造できる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒;チーグラー・ナッタ型触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物とアルキルアルミノキサンとからなる触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して、変性させた触媒が挙げられる。
上記重合触媒としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報等に記載の触媒を用いてもよい。
また、上記重合触媒の存在下でプロピレンを予備重合させて得られた重合体を、重合触媒として用いることもできる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、及び気相重合が挙げられる。ここで、バルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいい、溶液重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
重合方式としては、例えば、バッチ式、連続式及びこれらの組み合わせが挙げられる。重合方式は、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式であってもよい。
成分Aは、工業的及び経済的に優れる観点から、連続式の気相重合法又はバルク重合法と気相重合法とを連続的に行うバルク−気相重合法により製造することが好ましい。
なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、単量体濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とする成分Aの分子構造に応じて、適宜決定すればよい。
重合工程の後、成分A中に含まれる残留溶媒、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じて成分Aを、成分Aが融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号公報、特許第2565753号公報等に記載の方法が挙げられる。
成分Aの含有量は、成形体の寸法安定性の観点から、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部に対して、例えば、20〜55質量部であってもよく、30〜55質量部であってもよい。
[ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)]
成分Bは、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有するプロピレン系重合体(I)と、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンに由来する単量体単位を40質量%以上80質量%以下含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有する、プロピレン共重合体(II)とからなるものである。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成分Bを1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
本実施形態においては、成分B中のキシレン不溶(CXIS)成分は、主としてプロピレン系重合体(I)から構成され、成分B中のキシレン可溶(CXS)成分は、主としてプロピレン共重合体(II)から構成されると考えられる。
成分Bは、例えば、プロピレン系重合体(I)を形成する第1の重合工程と、プロピレン共重合体(II)を形成する第2の重合工程により製造することができる。
第1の重合工程においては、例えば、プロピレンを含有する単量体を、重合触媒の存在下で重合して、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有するプロピレン系重合体を形成する。重合触媒の例示は、上記と同様である。
第2の重合工程においては、例えば、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンと、プロピレンとを、第1の重合工程で得られたプロピレン系重合体の存在下で重合する。これにより、プロピレン系重合体(I)とプロピレン共重合体(II)とからなるヘテロファジックプロピレン重合材料が形成される。
プロピレン系重合体(I)は、例えば、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。プロピレン系重合体(I)が、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む場合、この含有量は、プロピレン系重合体(I)の全質量を基準として、例えば、0.01質量%以上20質量%未満であってもよい。
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンが挙げられる。中でも、エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、エチレン及び1−ブテンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含むプロピレン系重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体及びプロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体が挙げられる。
プロピレン系重合体(I)は、成形体の剛性及び寸法安定性の観点から、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体がより好ましい。
プロピレン系重合体(I)の含有量は、成分Bの全質量を基準として、50〜99質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
プロピレン共重合体(II)は、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンに由来する単量体単位を40質量%以上80質量%以下含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有するものである。
プロピレン共重合体(II)において、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、成形体の線膨張係数の観点から、例えば、45質量%以上であってもよい。また、この含有量は、プロピレン共重合体(II)と成分Aとの相溶性の観点及び成形体の耐衝撃性の観点から、例えば、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。上記含有量は、40〜70質量%であることが好ましく、45〜60質量%であることがより好ましい。
プロピレン共重合体(II)において、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンとしては、エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び1−デセンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、エチレン及び1−ブテンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
プロピレン共重合体(II)としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体及びプロピレン−1−デセン共重合体が挙げられる。中でも、上記プロピレン共重合体としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体又はプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体が好ましく、プロピレン−エチレン共重合体がより好ましい。
プロピレン共重合体(II)の含有量は、成分Bの全質量を基準として、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
成分B中のCXIS成分の含有量は、成分Bの全質量を基準として、50〜99質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
成分B中のCXS成分の含有量は、成分Bの全質量を基準として、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
成分Bとしては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−1−オクテン)重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−1−デセン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−デセン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−オクテン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−デセン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−デセン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−オクテン)重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−デセン)重合材料、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−ヘキセン)重合材料、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−オクテン)重合材料、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−デセン)重合材料、(プロピレン−1−オクテン)−(プロピレン−1−オクテン)重合材料、及び(プロピレン−1−オクテン)−(プロピレン−1−デセン)重合材料が挙げられる。
ここで、「(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料」との記載は、「プロピレン系重合体(I)がプロピレン単独重合体であり、プロピレン共重合体(II)がプロピレン−エチレン共重合体であるヘテロファジックプロピレン重合材料」を意味する。他の類似の表現においても同様である。
成分Bとしては、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)重合材料、又は(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)重合材料が好ましく、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料がより好ましい。
プロピレン系重合体(I)の極限粘度数([η]I)は、0.10〜2.00dL/gであることが好ましく、0.50〜1.50dL/gであることがより好ましく、0.70〜1.40dL/gであることが更に好ましい。
プロピレン共重合体(II)の極限粘度数([η]II)は、1.00〜10.00dL/gであることが好ましく、2.00〜10.00dL/gであることがより好ましく、2.00〜8.00dL/gであることが更に好ましい。
プロピレン系重合体(I)の極限粘度数([η]I)に対するプロピレン共重合体(II)の極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η]I)は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜9であることが更に好ましい。
プロピレン系重合体(I)の極限粘度数([η]I)の測定方法としては、例えば、プロピレン系重合体(I)を形成した後に、当該プロピレン系重合体の極限粘度数を測定する方法が挙げられる。
プロピレン共重合体(II)の極限粘度数([η]II)は、例えば、B成分の極限粘度数([η]Total)、プロピレン系重合体(I)の極限粘度数([η]I)並びにプロピレン共重合体(II)及びプロピレン系重合体(I)の含有量を用いて、下記式(6)により算出できる。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII ・・・(6)
[η]Total:成分Bの極限粘度数(dL/g)
[η]I:プロピレン系重合体(I)の極限粘度数(dL/g)
XI:B成分の全質量に対するプロピレン系重合体(I)の質量の比(プロピレン系重合体(I)の質量/B成分の質量)
XII:B成分の全質量に対するプロピレン共重合体(II)の質量の比(プロピレン共重合体(II)の質量/B成分の質量)
ここで、XI、XIIは、重合時の物質収支から求めることができる。
なお、XIIは、プロピレン系重合体(I)の融解熱量及びB成分の融解熱量を測定し、下記式を用いて算出してもよい。
XII=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:B成分の融解熱量(J/g)
(ΔHf)P:プロピレン系重合体(I)の融解熱量(J/g)
CXIS成分の極限粘度数([η]CXIS)は、0.10〜2.00dL/gであることが好ましく、0.50〜1.50dL/gであることがより好ましく、0.70〜1.40dL/gであることが更に好ましい。
CXS成分の極限粘度数([η]CXS)は、1.00〜10.00dL/gであることが好ましく、2.00〜10.00dL/gであることがより好ましく、2.00〜8.00dL/gであることが更に好ましい。
CXIS成分の極限粘度数([η]CXIS)に対するCXS成分の極限粘度数([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜9であることが更に好ましい。
プロピレン系重合体(I)の分子量分布(Mw(I)/Mn(I))は、3.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。
CXIS成分の分子量分布(Mw(CXIS)/Mn(CXIS))は、3.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。
成分Bのアイソタクチックペンタッド分率は、樹脂組成物からなる成形体の剛性及び寸法安定性の観点から、0.950以上であることが好ましく、0.970以上であることがより好ましい。なお、成分Bのアイソタクチックペンタッド分率は、例えば、1.000以下であってもよい。
成分Bの温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、樹脂組成物の成形加工性の観点から、5g/10分以上であることが好ましく、10〜300g/10分であることがより好ましい。
成分Bの含有量は、成形体の寸法安定性を更に向上する観点から、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部に対して、例えば、10〜45質量部であってもよく、10〜35質量部であってもよい。
成分Cの含有量を100質量%としたとき、成分B中のプロピレン共重合体(II)の含有量が5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜25質量%となるように、成分Bの含有量を調整してもよい。
[エチレン−α−オレフィン共重合体(C)]
成分Cにおいては、成分Cの全質量を100質量%として、成分Cに含まれるエチレンに由来する単量体単位の含有量と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量との合計が100質量%であってよい。
炭素数が4以上のα−オレフィンとしては、例えば、炭素数4〜12のα−オレフィンが挙げられる。炭素数が4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン及び1−デセンが挙げられる。中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンが好ましい。上記α−オレフィンは、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタンなどの環状構造を有するα−オレフィンであってよい。
成分Cとしては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−(3−メチル−1−ブテン)共重合体、及びエチレンと環状構造を有するα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
成分Cにおいて、炭素数が4以上のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、成分Cの全質量を基準として、1〜49質量%であることが好ましく、5〜49質量%であることがより好ましく、24〜49質量%であることが更に好ましい。
成分Cの温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましい。
成分Cの密度は、成形体の耐衝撃性の観点から、0.850〜0.890g/cmであることが好ましく、0.850〜0.880g/cmであることがより好ましく、0.855〜0.870g/cmであることが更に好ましい。
成分Cは、重合触媒の存在下、エチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンを共重合することにより製造できる。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒、及びチーグラー・ナッタ型触媒が挙げられる。
均一系触媒としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物とアルキルアルミノキサンとからなる触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して変性させた触媒が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせた触媒が挙げられる。
成分Cとしては、市販品を用いてもよい。市販の成分Cとしては、例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、及びエスプレンSPO(登録商標)が挙げられる。
成分Cの含有量は、成形体の寸法安定性の観点から、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部に対して、例えば、15〜40質量部であってもよく、25〜35質量部であってもよい。
[充填材(D)]
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、充填材(D)を更に含んでいてもよい。
成分Dとしては、無機充填材及び有機充填材が挙げられる。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成分Dを1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
無機充填材としては、ガラス、ケイ酸塩鉱物、アルミナ、シリカ、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウム・フェライト、ストロンチウム・フェライト、酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸塩鉱物、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩基性硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、カーボンブラック及び硫化カドミウムが挙げられる。
有機充填材としては、ポリエステル、芳香族ポリアミド、セルロース及びビニロンが挙げられる。
充填材の形状は、板状であってよく、針状であってよく、繊維状であってよい。
成分Dは、成形体の剛性、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、無機充填材が好ましく、板状ケイ酸塩鉱物であるタルクがより好ましい。
成分Dの平均粒子径D50[L]は、成形体の剛性、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、20.0μm以下であることが好ましく、17.0μm以下であることがより好ましく、15.0μm以下であることが更に好ましい。成分Dの平均粒子径D50[L]は、例えば、2.0μm以上であってもよく、4.0μm以上であってもよく、8.0μm以上であってもよい。成分Dの平均粒子径D50[L]は、2.0〜20.0μmが好ましく、4.0〜17.0μmがより好ましく、8.0μm〜15.0μmが更に好ましい。
成分Dの平均粒子径D50[S]は、成形体の剛性、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。
成分Dの平均粒子径D50[S]は、例えば、0.5μm以上であってもよく、1.0μm以上であってもよい。成分Dの平均粒子径D50[S]は、0.5〜5.0μmが好ましく、1.0〜3.0μmがより好ましい。
成分Dの平均粒子径D50[L]と平均粒子径D50[S]との比であるD50[L]/D50[S]は、成形体の剛性、及び寸法安定性の観点から、1.5以上であってもよく、2.5以上であってもよい。D50[L]/D50[S]は、10以下であってもよく、8以下であってもよい。D50[L]/D50[S]は、1.5〜10であってもよく、2.5〜8であってもよい。
ここで、本明細書において、「平均粒子径D50[L]」とは、JIS R1629に規定された方法に従い、レーザー回析法により測定された体積基準の粒子径分布測定データに基づいて決定されるものであり、該粒子径分布測定データにおいて、粒子径が小さい側からの粒子数の累積が50%に達したときの粒子径(50%相当粒子径)を意味する。このように定義される粒子径は、一般に「50%相当粒子径」と称され、「D50」で表記される。
本明細書において、「平均粒子径D50[S]」とは、JIS R1619に規定された方法に従い、遠心沈降法により測定された体積基準の粒子径分布測定データに基づいて決定されるものであり、該粒子径分布測定データにおいて、粒子径が小さい側からの粒子数の累積が50%に達したときの粒子径(50%相当粒子径)を意味する。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成形体の寸法安定性の観点から、成分Dを含み、かつ、成分Dの含有量が、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部に対して、1〜65質量部であることが好ましい。
成分Dの含有量は、成形体の寸法安定性の観点から、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部に対して、10〜60質量部であってもよく、20〜55質量部であってもよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Aの含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、10〜55質量%であってよく、20〜50質量%であってよく、30〜50質量%であってよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Bの含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、10〜55質量%であってよく、10〜40質量%であってよく、10〜35質量%であってよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Cの含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、10〜40質量%であってよく、15〜25質量%であってよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Dの含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、0〜40質量%であってよく、10〜35質量であってよく、20〜35質量%であってよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、成分Aの含有量と成分Bの含有量と成分Cの含有量との合計が50質量%以上であることが好ましい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、成分Aの含有量と成分Bの含有量と成分Cの含有量と成分Dの含有量との合計が90質量%以上であることが好ましい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、樹脂組成物の成形加工性の観点から、15g/10分以上であることが好ましい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、各原料成分を溶融混練することによって得ることができる。溶融混練時の温度は、180℃以上であってよく、180〜300℃であってよく、180〜250℃であってよい。
溶融混練には、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等が使用できる。
各原料成分の混練順序は特に限定されるものではない。例えば、成分Aと成分Bと成分Cと成分Dとを一括に混練してもよく、成分A、成分B、成分C、成分Dのうち、一部の成分を混練した後、得られた混練物と他の成分とを混練してもよい。
プロピレン樹脂組成物の形状に特に制限はないが、プロピレン樹脂組成物は、例えば、ストランド状、シート状、平板状又はペレット状の形態であってもよい。ペレット状の樹脂組成物は、例えば、ストランド状の樹脂組成物を形成した後、これを適当な長さに裁断することにより製造できる。
樹脂組成物の成形加工性、及び、成形体を製造する場合の生産安定性の観点から、成形体に成形加工する前の樹脂組成物の形状は、長さが1〜50mmのペレット状であることが好ましい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、上記以外の成分を含んでいてよい。このような成分としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤及び光拡散剤が挙げられる。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、これらの成分を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成形して成形体を形成させるための材料として用いることができる。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、射出成形用材料として用いることが好ましい。以下、本実施形態のプロピレン樹脂組成物を射出成形用材料として用いて製造される射出成形体の一例について説明する。
〔射出成形体〕
本実施形態の射出成形体は、本実施形態のプロピレン樹脂組成物からなるものである。このような射出成形体は、寸法安定性に優れる。
上記射出成形体は、射出成形法により製造できる。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、及びインサート・アウトサート成形法が挙げられる。射出成形体の形状に特に制限はない。
本実施形態に係る射出成形体は、例えば、自動車材料用途、家電材料用途、及びコンテナー用途に好ましく用いることができる。中でも、自動車内外装用途に好適である。自動車内外装部品としては、例えば、ドアートリム、ピラー、インストルメントパネル及びバンパーが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例では、以下の原料を使用した。
[成分A:プロピレン単独重合体]
下記プロピレン単独重合体((A−1)〜(A−4))を製造した。
(A−1)プロピレン単独重合体
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):62g/10分、
極限粘度数([η]):1.11dL/g、
アイソタクチックペンタッド分率:0.9768、
Mw/Mn:8.8
(A−2)プロピレン単独重合体
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):107g/10分、
極限粘度数([η]):0.92dL/g、
アイソタクチックペンタッド分率:0.9811、
Mw/Mn:5.4
(A−3)プロピレン単独重合体
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法において二つの気相重合槽の間で水素濃度を変化させることで製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):80g/10分、
極限粘度数([η]):1.13dL/g、
アイソタクチックペンタッド分率:0.9760、
Mw/Mn:10
(A−4)プロピレン単独重合体
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法において二つの気相重合槽の間で水素濃度を変化させることで製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):144g/10分、
極限粘度数([η]):0.99dL/g、
アイソタクチックペンタッド分率:0.9834、
Mw/Mn:7.0
[成分B:ヘテロファジックプロピレン重合材料]
下記ヘテロファジックプロピレン重合材料((B−1)〜(B−7))を準備した。
(B−1)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):38g/10分
CXIS成分量:69.5質量%
CXIS成分のMw/Mn:5.4
プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量(プロピレン共重合体(II)の全質量を基準とした、エチレンに由来する単量体単位の含有量):45.5質量%
アイソタクチックペンタッド分率:0.9776
極限粘度数([η]CXIS):1.03dL/g、([η]CXS):2.07dL/g
(B−2)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):51g/10分
CXIS成分量:74.1質量%
CXIS成分のMw/Mn:5.1
プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量(プロピレン共重合体(II)の全質量を基準とした、エチレンに由来する単量体単位の含有量):31.3質量%
アイソタクチックペンタッド分率:0.9785
極限粘度数([η]CXIS):0.97dL/g、([η]CXS):2.44dL/g
(B−3)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):20g/10分
CXIS成分量:74.3質量%
CXIS成分のMw/Mn:6.1
プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量(プロピレン共重合体(II)の全質量を基準とした、エチレンに由来する単量体単位の含有量):52.9質量%
アイソタクチックペンタッド分率:0.9853
極限粘度数([η]CXIS):1.14dL/g、([η]CXS):2.76dL/g
(B−4)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、二つの気相重合槽を直列に連結させた多段の気相重合法により、プロピレンを重合してプロピレン単独重合体を製造し、その次の気相重合槽で、前記プロピレン単独重合体の存在下、プロピレンとエチレンとを共重合することによって、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料(B−4)を製造した。プロピレン単独重合体を製造する二つの気相重合槽内の水素濃度は、互いに異なるように調整した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):25g/10分
CXIS成分量:77.4質量%
CXIS成分のMw/Mn:9.5
プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量(プロピレン共重合体(II)の全質量を基準とした、エチレンに由来する単量体単位の含有量):49.1質量%
アイソタクチックペンタッド分率:0.9755
極限粘度数:([η]CXIS)1.32dL/g、([η]CXS):2.31dL/g
(B−5)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):32g/10分
CXIS成分量:83.1質量%
CXIS成分のMw/Mn:4.8
プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量(プロピレン共重合体(II)の全質量を基準とした、エチレンに由来する単量体単位の含有量):37.0質量%
アイソタクチックペンタッド分率:0.9832
極限粘度数([η]CXIS):1.13dL/g、([η]CXS):2.38dL/g
(B−6)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):29g/10分
CXIS成分量:82.7質量%
CXIS成分のMw/Mn:6.2
プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量(プロピレン共重合体(II)の全質量を基準とした、エチレンに由来する単量体単位の含有量):51.4質量%
アイソタクチックペンタッド分率:0.9849
極限粘度数([η]CXIS):1.20dL/g、([η]CXS):3.06dL/g
(B−7)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、二つの気相重合槽を直列に連結させた多段の気相重合法により、プロピレンを重合してプロピレン単独重合体を製造し、その次の気相重合槽で、前記プロピレン単独重合体の存在下、プロピレンとエチレンとを共重合することによって、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)重合材料(B−7)を製造した。プロピレン単独重合体を製造する二つの気相重合槽内の水素濃度は、互いに異なるように調整した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):50g/10分
CXIS成分量:82.5質量%
CXIS成分のMw/Mn:8.4
プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量(プロピレン共重合体(II)の全質量を基準とした、エチレンに由来する単量体単位の含有量):57.9質量%
アイソタクチックペンタッド分率:0.9828
極限粘度数([η]CXIS):1.13dL/g、([η]CXS):2.39dL/g
[成分C:エチレン−αオレフィン共重合体]
下記エチレン−αオレフィン共重合体((C−1)及び(C−2))を準備した。
(C−1)エチレン−1−ブテン共重合体
ダウ・ケミカル株式会社製「ENR7467」
密度:0.862g/cm
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):2.5g/10分
(C−2)エチレン−1−オクテン共重合体
ダウ・ケミカル株式会社製「EG8842」
密度:0.857g/cm
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):2.7g/10分
[成分D:充填材]
充填材として、下記(D−1)を準備した。
(D−1)タルク
Imerys製 「HAR W92」
平均粒子径D50[L](レーザー回析法、50%相当粒子径):11.4μm
平均粒子径D50[S](遠心沈降法、50%相当粒子径):2.54μm
ここで、タルクの平均粒子径D50[L]は、日機装株式会社製 マイクロトラック粒度分析計MT−3300EXIIを用い、JIS R1629に規定された方法に従って、下記の条件にて粒子を分散させたのち、測定した。
(粒子の分散処理)
分散媒:エタノール
装置:ホモジナイザ―
出力:40W
処理時間:10分
また、D50[S]は、株式会社島津製作所製 遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3を用い、JIS R1619に規定された方法に従って、下記の条件にて粒子を分散させたのち、測定した。
(粒子の分散処理)
分散媒:エタノール
装置:本多電子株式会社製 W−113MkII
出力:110W 24kHz
処理時間:10分
成分A〜Cについて、MFR、極限粘度数及びアイソタクチックペンタッド分率は上述した方法に従って測定した。
B成分中のCXIS成分及びCXS成分の含有量並びにプロピレン共重合体(II)中のエチレン含量については、以下の方法により算出した。
(B成分中のCXIS成分及びCXS成分の含有量)
成分Bを2g秤量し(以下、「成分Bの質量」を「a」とする)、沸騰キシレンで2時間加熱溶解した。次いで、20℃まで冷却した後、ろ紙を用いてろ別した。ろ別したろ液を、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、CXS成分を得た。得られたCXS成分を秤量した(以下、「CXS成分の質量」を「b」とする)。B成分中のCXIS成分及びCXS成分の含有量は、数値a及びbを用いて下記式により算出した。また、ろ紙上に残った固形物を真空乾燥することにより、CXIS成分を得た。得られたCXIS成分は、後述の結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布の評価に用いた。
CXS成分量(質量%)=(b/a)×100
CXIS成分量(質量%)=100−CXS成分量(質量%)
(プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量)
プロピレン共重合体(II)中のエチレン含量は、下記の条件で測定した13C−NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(Macromolecules,15,1150−1152(1982))に基づいて求めた。13C−NMRスペクトルは、直径10mmの試験管中でB成分約200mgを3mLのオルソジクロロベンゼンに均一に溶解させた試料を用い、下記条件で測定した。
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
〔実施例1〜7、比較例1〜8〕
[プロピレン樹脂組成物の製造]
プロピレン単独重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)、(B−6)、(B−7)、エチレン−α−オレフィン共重合体(C−1)、(C−2)及び充填材(D−1)を、表1及び表2に示す量で準備した。
準備した各成分を、ヘンシェルミキサーまたはタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製TEX44αII−49BW−3V型)を用いて、押出量70kg/hr、200℃、スクリュー回転数を300rpm、ベント吸引下で混練押出して、樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物の物性を下記の表1及び表2に示す。
(分子量分布の評価)
プロピレン単独重合体(A)の重量平均分子量(Mw(A))及び数平均分子量(Mn(A))をGPCにより測定した。上述の操作で得られたCXIS成分の重量平均分子量Mw(CXIS(B))及び数平均分子量Mn(CXIS(B))をGPCにより測定した。なお、GPCの測定条件は上述のとおりである。次いで、式(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)を用いて、結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布(P部Mw/Mn)を算出した。また、Mn(A)に対するMw(A)の比(Mw(A)/Mn(A))、及びMn(CXIS(B))に対するMw(CXIS(B))の比(Mw(CXIS(B))/Mn(CXIS(B)))を算出することにより、成分AのMw/Mn及び成分(B)中のCXIS成分のMw/Mnを求めた。これらの結果を表1及び表2に示す。
[射出成形体の製造]
得られた樹脂組成物を以下の条件で射出成形して射出成形体を製造した。射出成形機として、住友重機械工業株式会社製 SE180D、型締力180トン、金型として、100mm×400mm×3mm(厚さ)、端面から1点ゲートを用いて、成形温度220℃、射出速度23mm/sec、金型温度50℃の条件で射出成形した。
(寸法安定性の評価)
得られた射出成形体を用いて、線膨張係数を測定することにより寸法安定性を評価した。SIIナノテクノロジー株式会社製 熱機械分析装置TMA/SS6100を用い、以下の方法により線膨張係数を測定した。
射出成形体の長手方向の中央部から5×10×3(mm)の試験片を切り出した。試験片を上記装置にセットして、5℃/分の昇温速度で−20℃から130℃まで昇温し、成形時の残留歪みを取り除いた。その後、装置に射出成形時のMD方向(樹脂の流れ方向)又はTD方向(MD方向に対して直交方向)の寸法変化が測定できるように、試験片を再びセットし、23℃における寸法を正確に測定した。5℃/分の昇温速度で−20から80℃に昇温し、その間のMD方向及びTD方向の寸法変化を測定した。単位長さ及び単位温度あたりの寸法変化を線膨張係数として求めた。MD方向の線膨張係数とTD方向の線膨張係数の和を2で除した値を「MDTD平均線膨張係数」(単位:1/℃)とした。MDTD線膨張係数の値が小さいほど寸法安定性が良好であることを示す。
Figure 2018178109

Figure 2018178109
表1及び表2から、実施例に係る射出成形体は、MDTD平均線膨張係数が低く、寸法安定性に優れることがわかる。すなわち、本実施形態のプロピレン樹脂組成物によれば、寸法安定性に優れる成形体を製造できること及び本実施形態の射出成形体は寸法安定性に優れることを確認した。

Claims (3)

  1. プロピレン単独重合体(A)、
    プロピレンに由来する単量体単位を、80質量%以上含有するプロピレン系重合体(I)と、エチレン及び炭素数4以上12以下のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα−オレフィンに由来する単量体単位を、40質量%以上80質量%以下含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有する、プロピレン共重合体(II)と、からなるヘテロファジックプロピレン重合材料(B)、並びに
    エチレン−α−オレフィン共重合体(C)(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体(C)はプロピレンに由来する単量体単位を含まない)を含み、
    下記式(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)から算出される結晶性ポリプロピレン成分の分子量分布(P部Mw/Mn)が、6.0以上であり、
    プロピレン単独重合体(A)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)の含有量が、プロピレン単独重合体(A)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)の合計100質量部に対して、それぞれ、10〜55質量部、10〜55質量部及び10〜40質量部である、プロピレン樹脂組成物。
    P部Mw/Mn=Mw(A,CXIS(B))/Mn(A,CXIS(B)) ・・・(1)
    Mw(A,CXIS(B))=Mw(A)×φ(A)+Mw(CXIS(B))×φ(CXIS(B)) ・・・(2)
    Mn(A,CXIS(B))=1/(φ(A)/Mn(A)+φ(CXIS(B))/Mn(CXIS(B))) ・・・(3)
    φ(A)=X/(X+Y) ・・・(4)
    φ(CXIS(B))=Y/(X+Y) ・・・(5)
    [Mw(A)及びMn(A)は、それぞれ、プロピレン単独重合体(A)の重量平均分子量及び数平均分子量を表し、Mw(CXIS(B))及びMn(CXIS(B))は、それぞれ、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)中のキシレン不溶成分の重量平均分子量及び数平均分子量を表す。Xは、プロピレン単独重合体(A)のプロピレン樹脂組成物の全質量に対する含有量(質量%)を表し、Yは、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)中のキシレン不溶成分の、プロピレン樹脂組成物の全質量に対する含有量(質量%)を表す。]
  2. 充填材(D)を更に含み、
    充填材(D)の含有量が、プロピレン単独重合体(A)、ヘテロファジックプロピレン重合材料(B)、及びエチレン−α−オレフィン共重合体(C)の合計100質量部に対して、1〜65質量部である、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のプロピレン樹脂組成物からなる射出成形体。
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