JP2021155537A - 防錆剤 - Google Patents

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輝彦 久保
茂 三尾
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茂 三尾
祐一 伊東
Yuichi Ito
祐一 伊東
康晃 河口
Yasuaki Kawaguchi
康晃 河口
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Abstract

【課題】新規な防錆剤を提供すること。【解決手段】防錆剤が、下記一般式(1)で示される化合物、および/または、前記化合物を含む重合成分の重合体を含む。【化1】(式中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、水素原子または水酸基を示し、Xは、−O−、−NH−または−NHC(O)−を示し、Lは、単結合または炭素数1〜20のアルキレン基を示し、Yは、単結合、−C(O)O−、−OC(O)−、−O−、−NH−、−C(O)NH−または−NHC(O)−を示し、Zは、単結合または炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、防錆剤に関する。
従来、金属に使用される接着剤、コーティング剤などとして、アクリル樹脂を含む樹脂組成物が知られている。
より具体的には、例えば、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、メタクリル酸および2−ヒドロキシエチルメタクリレートを重合させて得られるアクリル樹脂分散液を含む塗料が、提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−67764号公報
上記の塗料が金属に塗布されると、金属の表面に、アクリル樹脂を含む皮膜が形成される。このような皮膜は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートに由来する水酸基と金属との相互作用によって、優れた密着性を確保できる。
一方、金属は酸化により錆を生じさせるため、金属に使用される塗料には、防錆性が要求される。
本発明は、新規な防錆剤である。
本発明[1]は、下記一般式(1)で示される化合物、および/または、前記化合物を含む重合成分の重合体を含む、防錆剤を含んでいる。
Figure 2021155537
(式中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、水素原子または水酸基を示し、Xは、−O−、−NH−または−NHC(O)−を示し、Lは、単結合または炭素数1〜20のアルキレン基を示し、Yは、単結合、−C(O)O−、−OC(O)−、−O−、−NH−、−C(O)NH−または−NHC(O)−を示し、Zは、単結合または炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)
本発明[2]は、上記一般式(1)において、R2、R3およびR4のいずれか1つが水酸基を示し、その他が水素原子を示す、上記[1]に記載の防錆剤を含んでいる。
本発明の防錆剤は、上記一般式(1)で示される化合物、および/または、その化合物を含む重合成分の重合体を含むため、優れた防錆性を発現できる。
本発明の防錆剤は、下記一般式(1)で示される化合物、および/または、化合物を含む重合成分の重合体を含んでいる。
Figure 2021155537
(式中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、水素原子または水酸基を示し、Xは、−O−、−NH−または−NHC(O)−を示し、Lは、単結合または炭素数1〜20のアルキレン基を示し、Yは、単結合、−C(O)O−、−OC(O)−、−O−、−NH−、−C(O)NH−または−NHC(O)−を示し、Zは、単結合または炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)
上記一般式(1)において、R1は、水素原子またはメチル基を示し、好ましくは、メチル基を示す。
上記一般式(1)において、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、水素原子または水酸基を示す。
R2、R3およびR4の全てが水素原子を示してもよく、また、R2、R3およびR4の全てが水酸基を示してもよいが、好ましくは、R2、R3およびR4のうち、少なくとも1つが水酸基を示し、他が水素原子を示す。
防錆性の観点から、より好ましくは、R2、R3およびR4のいずれか1つのみが水酸基を示し、他が水素原子を示し、さらに好ましくは、R3のみが水酸基を示し、R2およびR4が水素原子を示す。
すなわち、R2は、水素原子または水酸基を示し、好ましくは、水素原子を示す。
また、R3は、水素原子または水酸基を示し、好ましくは、水酸基を示す。
また、R4は、水素原子または水酸基を示し、好ましくは、水素原子を示す。
上記一般式(1)において、Xは、−O−、−NH−または−NHC(O)−を示し、防錆性の観点から、好ましくは、−O−を示す。
上記一般式(1)において、Lは、単結合(すなわち、XとYとの直接結合)、または、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、好ましくは、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。
炭素数1〜20のアルキレン基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基、炭素数1〜20の分岐鎖状アルキレン基などが挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレン、エイコシレンなどが挙げられる。
炭素数1〜20の分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、イソプロピレン、イソブチレン、s−ブチレン、t−ブチレン、イソペンチレン、s−ペンチレン、2−メチルヘキシレン、2−エチルヘキシレン、イソデシレンなどが挙げられる。
炭素数1〜20のアルキレン基として、防錆性の観点から、好ましくは、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基が挙げられ、より好ましくは、炭素数3〜18の直鎖状アルキレン基が挙げられ、さらに好ましくは、炭素数5〜15の直鎖状アルキレン基が挙げられ、とりわけ好ましくは、炭素数8〜12の直鎖状アルキレン基が挙げられる。
上記一般式(1)において、Yは、単結合(すなわち、LとZとの直接結合(Lが単結合を示す場合、XとZとの直接結合))、−C(O)O−、−OC(O)−、−O−、−NH−、−C(O)NH−または−NHC(O)−を示し、防錆性の観点から、好ましくは、−OC(O)−を示す。
上記記一般式(1)において、Zは、単結合(すなわち、Yとベンゼン環との直接結合)、または、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、好ましくは、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。
炭素数1〜20のアルキレン基としては、例えば、上記した炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基、上記した炭素数1〜20の分岐鎖状アルキレン基などが挙げられ、好ましくは、炭素数1〜4の直鎖状アルキレン基、炭素数1〜4の分岐鎖状アルキレン基が挙げられる。
上記一般式(1)で示される化合物の具体例として、例えば、下記一般式(1−1)で示される10−(メタクリロイルオキシ)デシル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート、例えば、下記一般式(1−2)で示される10−(メタクリロイルオキシ)デシル 3,4−ジヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
Figure 2021155537
Figure 2021155537
その他、上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、例えば、10−(アクリロイルオキシ)デシル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−3)]、20−(メタクリロイルオキシ)イコシル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−4)]、16−(メタクリロイルオキシ)ヘキサデシル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−5)]、12−(メタクリロイルオキシ)ドデシル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−6)]、8−(メタクリロイルオキシ)オクチル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−7)]、4−(メタクリロイルオキシ)ブチル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−8)]、2−(メタクリロイルオキシ)エチル 3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−9)]、10−(2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)アセチル)デシル メタクリレート[下記一般式(1−10)]、10−((3−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)プロパノイル)オキシ)デシル メタクリレート[下記一般式(1−11)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 5−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ペンタノエート[下記一般式(1−12)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 9−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ノナノエート[下記一般式(1−13)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 13−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)トリデカノエート[下記一般式(1−14)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 17−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ヘプタデカノエート[下記一般式(1−15)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 21−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ヘニコサノエート[下記一般式(1−16)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 2, 3,4,5−テトラヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−17)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 2, 3,4,5, 6−ペンタヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−18)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 2, 4,5−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−19)]、10−(メタクリロイルオキシ)デシル 2, 3,4−トリヒドロキシベンゾエート[下記一般式(1−20)]などが挙げられる。
Figure 2021155537
Figure 2021155537
Figure 2021155537
以下において、上記一般式(1)で示される化合物の製造方法について、詳述する。
この方法では、まず、下記一般式(2)で示されるカルボン酸と、下記一般式(3)で示される化合物とを、エステル化反応(以下、第1エステル化反応(破線参照))させる。
Figure 2021155537
(式中、R2、R3、R4、LおよびZは、一般式(1)におけるR2、R3、R4、LおよびZと同意義である。)
上記一般式(2)で示されるカルボン酸として、より具体的には、例えば、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸[下記一般式(2−1)]、3,4−ジヒドロキシ安息香酸[一般式(2−2)]、2, 3,4,5−テトラヒドロキシ安息香酸[下記一般式(2−3)]、2, 3,4,5, 6−ペンタヒドロキシ安息香酸[下記一般式(2−4)]、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸[下記一般式(2−5)]、2, 3,4−トリヒドロキシ安息香酸[下記一般式(2−6)]、2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)エタン酸[下記一般式(2−7)]、3−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)プロパン酸[下記一般式(2−8)]、5−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ペンタン酸[下記一般式(2−9)]、9−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ノナン酸[下記一般式(2−10)]、13−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)トリデカン酸[下記一般式(2−11)]、17−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ヘプタデカン酸[下記一般式(2−12)]、21−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ヘンエイコサン酸[下記一般式(2−13)]などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
上記一般式(2)で示されるカルボン酸として、好ましくは、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
Figure 2021155537
Figure 2021155537
上記一般式(3)で示される化合物として、より具体的には、炭素数1〜20の直鎖状2価アルコール、炭素数1〜20の分岐鎖状2価アルコールなどが挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状2価アルコールとしては、例えば、メタンジオール、エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
炭素数1〜20の分岐鎖状2価アルコールとしては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
上記一般式(3)で示される化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
上記一般式(3)で示される化合物として、好ましくは、炭素数1〜20の直鎖状2価アルコールが挙げられ、より好ましくは、炭素数3〜18の直鎖状2価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、炭素数5〜15の直鎖状2価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、炭素数8〜12の2価アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、1,10−デカンジオールが挙げられる。
上記一般式(2)で示されるカルボン酸と、上記一般式(3)で示される化合物との第1エステル化反応では、まず、例えば、上記一般式(2)で示されるカルボン酸と、上記一般式(3)で示される化合物とを、所定の割合で配合する。
配合割合は、例えば、上記一般式(2)で示されるカルボン酸のCOOH基に対する、上記一般式(2)で示される化合物のOH基の当量比(OH/COOH)が、例えば、2以上、好ましくは、2.5以上であり、例えば、4以下、好ましくは、3.5以下であり、とりわけ好ましくは、3である。
そして、この方法では、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素、アルゴンなど)にて、上記一般式(2)で示されるカルボン酸と、上記一般式(3)で示される化合物とを反応させる。
第1エステル化反応の反応条件としては、温度が、例えば、60℃以上、好ましくは、80℃以上、より好ましくは、90℃以上、さらに好ましくは、100℃以上であり、例えば、300℃以下、好ましくは、250℃以下、より好ましくは、200℃以下、さらに好ましくは、150℃以下である。
また、第1エステル化反応の反応時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上、より好ましくは、4時間以上、さらに好ましくは、6時間以上であり、例えば、100時間以下、好ましくは、80時間以下、より好ましくは、60時間以下、さらに好ましくは、40時間以下、とりわけ好ましくは、20時間以下である。
また、上記の第1エステル化反応では、必要により、溶剤、エステル化触媒などを添加することができ、また、副生する水を留去することができる。
溶剤としては、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、アルキルエステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなど)、脂環族炭化水素類(例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど)、グリコールエーテルエステル類(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテートなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、極性非プロトン類(例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなど)などが挙げられる。これら溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
溶剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
エステル化触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化第二スズなどのルイス酸、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホン酸型イオン交換樹脂などのブレンステッド酸などの酸触媒、例えば、有機チタン化合物(例えば、テトラメチルチタネート、テトラブチルチタネートなど)、有機スズ化合物(例えば、オクチル酸錫、ジブチルスズオキサイドなど)、酢酸金属塩(例えば、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸カルシウムなど)などの公知のエステル化触媒が挙げられる。これらエステル化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
エステル化触媒の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
なお、上記の第1エステル化反応では、上記一般式(2)で示されるカルボン酸の自己縮合を生じる場合がある。すなわち、上記一般式(2)で示されるカルボン酸のCOOH基と、上記一般式(2)で示されるカルボン酸の水酸基(ベンゼン環に直結するOH基)との自己縮合を生じる場合がある。
しかし、芳香族炭化水素に置換する水酸基と非芳香族炭化水素に置換する水酸基の酸性条件における反応性の差などにより、上記一般式(2)で示されるカルボン酸のCOOH基と、上記一般式(3)で示される化合物のOH基とのエステル化反応が、優先して進行する。
これにより、反応生成物として、下記一般式(4)で示される化合物が得られる。
Figure 2021155537
(式中、R2、R3、R4、LおよびZは、一般式(1)におけるR2、R3、R4、LおよびZと同意義である。)
次いで、この方法では、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物とを、エステル化反応(以下、第2エステル化反応(破線参照))させる。
Figure 2021155537
(式中、R1、R2、R3、R4、X、LおよびZは、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、X、LおよびZと同意義である。)
上記一般式(5)で示される化合物は、(メタ)アクリル酸である。なお、(メタ)アクリル酸とは、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」と定義される。
上記一般式(5)で示される化合物として、好ましくは、メタクリル酸が挙げられる。
上記一般式(4)で示される化合物と、上記一般式(5)で示される化合物との第2エステル化反応では、まず、例えば、上記一般式(4)で示される化合物と、上記一般式(5)で示される化合物とを、所定の割合で配合する。
配合割合は、上記一般式(5)で示される化合物のCOOH基に対する、上記一般式(4)で示される化合物において、ベンゼン環に直結していないOH基(上記式(4)においてLから延びるOH基)の当量比(OH/COOH)が、例えば、2以上、好ましくは、2.5以上であり、例えば、4以下、好ましくは、3.5以下であり、とりわけ好ましくは、3である。
そして、この方法では、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素、アルゴンなど)にて、上記一般式(4)で示される化合物と、上記一般式(5)で示される化合物とを反応させる。
第2エステル化反応の反応条件としては、温度が、例えば、60℃以上、好ましくは、80℃以上、より好ましくは、90℃以上、さらに好ましくは、100℃以上であり、例えば、300℃以下、好ましくは、250℃以下、より好ましくは、200℃以下、さらに好ましくは、150℃以下である。
また、第2エステル化反応の反応時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上、より好ましくは、4時間以上、さらに好ましくは、6時間以上であり、例えば、100時間以下、好ましくは、80時間以下、より好ましくは、60時間以下、さらに好ましくは、40時間以下、とりわけ好ましくは、20時間以下である。
また、上記の第2エステル化反応では、必要により、溶剤、エステル化触媒などを添加することができ、また、副生する水を留去することができる。
溶剤としては、上記の溶剤が挙げられる。また、溶剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
エステル化触媒としては、上記のエステル化触媒が挙げられる。また、エステル化触媒の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
なお、上記の第2エステル化反応では、上記一般式(5)で示される化合物のCOOH基と、上記一般式(4)で示される化合物のベンゼン環に直結するOH基とのエステル化反応も生じる場合がある。
しかし、芳香族炭化水素に置換する水酸基と非芳香族炭化水素に置換する水酸基の酸性条件における反応性の差などにより、上記一般式(5)で示される化合物のCOOH基に対する、上記一般式(4)で示される化合物において、ベンゼン環に直結していないOH基(上記式(4)においてLから延びるOH基)とのエステル化反応が、優先して進行する。
これにより、反応生成物として、上記一般式(1)で示される化合物が得られる。
より具体的には、上記一般式(1)において、Xが−O−、Lがデシレン、Yが−OC(O)−、Zが単結合を示す場合、まず、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸[一般式(2−1)]と1,10−デカンジオールとを反応させ、次いで、10−ヒドロキシデシル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート[一般式(4−1)]とメタクリル酸とを反応させることにより、上記一般式(1)で示される化合物を得ることができる(下記式参照)。
Figure 2021155537
なお、上記の説明は、上記一般式(1)において、Xが−O−、Lが炭素数1〜20のアルキレン基、Yが−OC(O)−、Zが単結合である場合について説明したが、上記一般式(1)で示される化合物を得る方法は、上記に限定されない。すなわち、X、L、Y、ZおよびR1〜R4の選択に応じて、種々の方法を採用することができる。
また、例えば、上記一般式(1)において、Xが−O−、Lがエチレン、Yが−OC(O)−、Zがエチレンを示す場合、まず、2−ヒドロキシエチル3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン酸[一般式(2−14)]とエタンジオールとを反応させ、次いで、2−ヒドロキシエチル3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパノエート[一般式(4−2)]とメタクリル酸とを反応させることにより、上記一般式(1)で示される化合物を得ることができる(下記式参照)。
Figure 2021155537
そして、上記一般式(1)で示される化合物は、上記一般式(1)で示される化学構造に由来して、防錆性を発現するため、防錆剤として、好適に用いることができる。
つまり、防錆剤は、上記一般式(1)で示される化合物(単量体)を含有することができる。
また、防錆剤は、必要により、上記溶剤を含有することができる。
すなわち、防錆剤として、上記一般式(1)で示される化合物(単量体)の溶液を用いることができる。
上記一般式(1)で示される化合物(単量体)の溶液において、上記一般式(1)で示される化合物(単量体)の濃度(固形分濃度)は、特に制限されないが、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
また、上記一般式(1)で示される化合物を、重合体の原料成分として使用し、得られる重合体を、防錆剤として使用することもできる。
つまり、防錆剤は、上記一般式(1)で示される化合物を含む重合成分の重合体を含むことができる。
重合体としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂は、例えば、上記一般式(1)で示される化合物と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含む重合成分の重合体として、得ることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの、炭素数1〜12のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、重合体のガラス転移温度を調整し、優れた粘着性を得る観点から、適宜選択される。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、炭素数2〜8のアクリル酸アルキルエステルが挙げられ、より好ましくは、メタクリル酸メチル、炭素数3〜5のアクリル酸アルキルエステル、さらに好ましくは、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルが挙げられる。
例えば、メタクリル酸メチルが用いられる場合、メタクリル酸メチルの割合は、上記一般式(1)で示される化合物1モルに対して、例えば、1モル以上、好ましくは、5モル以上であり、例えば、40モル以下、好ましくは、20モル以下である。
また、例えば、アクリル酸n−ブチルが用いられる場合、アクリル酸n−ブチルの割合は、上記一般式(1)で示される化合物1モルに対して、例えば、1モル以上、好ましくは、2モル以上であり、例えば、20モル以下、好ましくは、10モル以下である。
なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの種類および割合は、上記に限定されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
重合成分において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合(総量)は、上記一般式(1)で示される化合物1モルに対して、例えば、1モル以上、好ましくは、5モル以上であり、例えば、60モル以下、好ましくは、30モル以下である。
また、重合成分は、任意成分として、上記一般式(1)で示される化合物、および/または、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性モノマーを、含むことができる。
共重合性モノマーとしては、例えば、官能基含有ビニルモノマー、芳香族ビニルモノマー、N−置換不飽和カルボン酸アミド、複素環式ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、α−オレフィン類、ジエン類などが挙げられる。
官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有ビニルモノマー、水酸基含有ビニルモノマー、アミノ基含有ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、スルホン酸基含有ビニルモノマーおよびその塩、アセトアセトキシ基含有ビニルモノマー、リン酸基含有化合物、アミド基含有ビニルモノマーなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
アミノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(N−メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
グリシジル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
シアノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
スルホン酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸などが挙げられる。また、その塩としては、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーの、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、例えば、アンモニウム塩などが挙げられる。具体的には、例えば、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸アンモニウムなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
アセトアセトキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
リン酸基含有化合物としては、例えば、2−メタクロイロキシエチルアシッドフォスフェートなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
アミド基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
ビニルエステル類としては、例えば、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。好ましくは、スチレンが挙げられる。
N−置換不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
複素環式ビニル化合物としては、例えば、ビニルピロリドンなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
α−オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
ジエン類としては、例えば、ブタジエンなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
さらに、共重合性モノマーとして、架橋性ビニルモノマーを挙げることもできる。
架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール鎖含有ジ(メタ)アクリレートなど、2つ以上のビニル基を含有する化合物などが挙げられる。
これら共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
共重合性モノマーとして、ガラス転移温度を調整し、粘着性の向上を図る観点から、好ましくは、芳香族ビニルモノマーが挙げられ、より好ましくは、スチレンが挙げられる。
芳香族ビニルモノマーが用いられる場合、芳香族ビニルモノマーの割合は、上記一般式(1)で示される化合物1モルに対して、例えば、1モル以上、好ましくは、5モル以上であり、例えば、20モル以下、好ましくは、15モル以下である。
なお、共重合性モノマーの種類および割合は、上記に限定されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
重合成分において、共重合性モノマーの割合(総量)は、上記一般式(1)で示される化合物1モルに対して、例えば、1モル以上、好ましくは、5モル以上であり、例えば、60モル以下、好ましくは、50モル以下である。
重合成分の重合は、特に制限されず、公知の重合方法が採用される。
より具体的には、例えば、上記の重合成分を溶剤中でラジカル重合させる方法、例えば、上記の重合成分を水中で乳化重合またはエマルジョン重合させる方法、例えば、上記の重合成分と、公知のラジカル重合性モノマーと、紫外線ラジカル重合開始剤とを共存させ、紫外線照射により重合する方法などが挙げられる。
好ましくは、上記の重合成分を、溶剤中でラジカル重合させる。この方法では、例えば、上記の溶剤中に、重合成分および重合開始剤が配合され、溶剤中で重合される。
重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、過酸化水素、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物、あるいは、これらと鉄イオンなどの金属イオンおよびナトリウムスルホキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤などが挙げられる。これら重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、重合開始剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定されるが、重合成分の総量に対して、例えば、0.1質量%以上であり、例えば、5質量%以下である。
また、重合においては、必要に応じて、分子量調節剤を配合することができる。
分子量調節剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、例えば、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸およびこれらのソーダ塩などのアリル化合物、例えば、低分子ハロゲン化合物などが挙げられる。これら分子量調節剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。分子量調節剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、150℃以下、好ましくは、120℃以下である。また、重合時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
これにより、上記一般式(1)で示される化合物を含む重合成分の重合体、すなわち、上記一般式(1)で示される化合物に由来する重合単位を含む重合体が、得られる。
重合体が(メタ)アクリル樹脂である場合、重合成分の主成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する重合単位の割合は、重合体の総量に対して、例えば、50モル%以上、好ましくは、55モル%以上であり、例えば、90モル%以下、好ましくは、85モル%以下、より好ましくは、80モル%以下、さらに好ましくは、75モル%以下である。
また、上記一般式(1)で示される化合物に由来する重合単位が、重合体の総量に対して、例えば、1モル%以上、好ましくは、2モル%以上であり、例えば、10モル%以下、好ましくは、8モル%以下、より好ましくは、6モル%以下である。
また、上記共重合性モノマーに由来する重合単位が、重合体の総量に対して、例えば、0モル%以上、好ましくは、20モル%以上、より好ましくは、30モル%以上であり、例えば、49モル%以下、好ましくは、45モル%以下、より好ましくは、40モル%以下である。
なお、重合体の総量に対する各重合単位の割合は、重合成分(原料)の総量に対する、各重合単位を得るための単量体の割合として、算出することができる。
また、重合体の製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、例えば、界面活性剤、pH調整剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびその塩などの金属イオン封止剤など、公知の添加剤を適宜の割合で配合することができる。
得られる重合体の分子量は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜調整される。
例えば、得られる重合体を塗布する場合、重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で、例えば、5000以上、好ましくは、20000以上であり、例えば、200000以下、好ましくは、100000以下である。
また、得られる重合体のガラス転移温度は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜調整される。
なお、重合体のガラス転移温度は、FOXの式に基づいて、算出できる。
そして、得られる重合体は、上記一般式(1)で示される化合物を含む重合成分の重合体を含むため、密着性に優れ、かつ、優れた防錆性を発現できる。
より具体的には、上記一般式(1)で示される化学構造中の水酸基と金属との相互作用により、金属に対する密着性を図ることができる。さらに、上記一般式(1)で示される化学構造に由来する防錆性を発現できる。
そのため、上記の重合体は、防錆剤として、好適に用いられる。
なお、防錆剤は、上記一般式(1)で示される化合物、および/または、その化合物を含む重合成分の重合体を含んでいれば、特に限定されず、例えば、添加剤、溶剤などを含有することができる。
添加剤としては、例えば、他の樹脂成分(例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂など)、界面活性剤、乳化剤、硬化剤、架橋剤、造膜助剤、消泡剤、ハジキ防止剤、レベリング剤、粘着付与剤、硬度付与剤、防腐剤、増粘剤、凍結防止剤、分散剤、無機顔料、有機顔料などの公知の添加剤が挙げられる。これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。添加剤の配合割合および配合のタイミングは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
溶剤としては、上記した溶剤が挙げられる。溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。溶剤の配合割合および配合のタイミングは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
防錆剤において、上記重合体の濃度(固形分濃度)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
そして、防錆剤は、上記一般式(1)で示される化合物(単量体)、および/または、上記一般式(1)で示される化合物を含む重合成分の重合体を含み、好ましくは、さらに、上記の溶剤を含む。防錆剤として、より好ましくは、上記一般式(1)で示される化合物を用いて得られる上記(メタ)アクリル樹脂と、上記の溶剤とを含む。
このような防錆剤によれば、基材に作業性よく塗布することができるため、密着性および防錆性に優れる塗膜を、作業性よく基材の表面に形成できる。
基材としては、例えば、酸化により錆を発生させる基材が挙げられる。
そのような基材として、より具体的には、金、銀、銅、ニッケル、亜鉛、チタン、コバルト、インジウム、クロム、アルミニウムなどの金属からなる金属基材、例えば、鋼、ステンレスなどの合金からなる合金基材などが挙げられる。
また、基材に対して、プライマー(チタネートやポリエチレンイミンなど)を塗工することができ、また、コロナ放電処理や化成処理などの前処理を施すこともできる。
これら基材は、単独使用または2種類以上併用することができる。
基材として、好ましくは、金属基材、合金基材が挙げられる。
基材に対する防錆剤の塗布(塗工)方法としては、特に制限されず、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、バーコード法、浸漬コート法、スプレーコート法などの公知の方法が採用される。また、乾燥条件としては、乾燥温度が、例えば、10〜100℃であり、乾燥時間が、例えば、10秒〜60分である。これにより、基材の表面に、乾燥塗膜を形成できる。
得られる乾燥塗膜は、上記一般式(1)で示される化合物、および/または、その化合物を含む重合成分の重合体を含むため、優れた防錆性を発現できる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
合成例1(10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエートの合成)
(第1エステル化反応)
窒素置換した2000mLの四つ口フラスコおよびジムロート冷却管が接続されたDean Stark装置に、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(42.5g、250mmol)と、1,10−デカンジオール(174.0g、1000mmol)と、溶剤としてのジオキサン(1000mL)とを装入し、100℃に昇温し、溶液を均一に撹拌した。
次いで、酸触媒としてのパラトルエンスルホン酸・一水和物(23.76g、0.50mmol)を加え、還流温度にて、撹拌反応させた。
また、30分ごとに、Dean Stark装置に溜まった約20mLのジオキサン溶媒を除去し、新たなジオキサン溶媒を加えた。
そして、2時間または4時間ごとに、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて、反応を追跡し、12時間後、反応を止めて、室温まで冷却した。
その後、得られた反応生成物を、洗浄した。すなわち、反応液に対し、pH5〜6程度になるまで、1mol/LのNaOH水溶液を加え、酢酸エチル1000mLを加え、蒸留水1000mLを加え、分液ロートで抽出洗浄した。
上記の水洗浄を3回繰り返し、得られた有機層に硫酸マグネシウムを添加して乾燥させた後、減圧下で濃縮した。
得られた粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル溶剤を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにて分離精製した。
これにより、10−ヒドロキシデシル−3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(62.4g、191mmol、収率77.0%)を得た。
(第2エステル化反応)
窒素置換した2000mLの四つ口フラスコおよびジムロート冷却管が接続されたDean Stark装置に、上記で得られた10−ヒドロキシデシル−3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(41.5g、127mmol)を投入した。
次いで、上記の装置に、メタクリル酸(54.7g、636mmol)と、溶剤としてのジクロロエタン(500mL)とを装入し、80℃に昇温し、溶液を均一に撹拌した。
次いで、上記の装置に、酸触媒としてのパラトルエンスルホン酸・一水和物(23.76g、0.50mmol)を加え、還流温度にて、撹拌反応させた。
また、30分ごとに、Dean Stark 装置に溜まった20mLのジクロロエタンを除去し、新たなジクロロエタン溶媒を加えた。
そして、1時間ごとに、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて、反応を追跡し、4時間後、反応を止めて、室温まで冷却した。
その後、得られた反応生成物を、洗浄した。すなわち、反応液に対し、pH5〜6程度になるまで、1mol/L NaOH水溶液を加え、酢酸エチル500mLを加え、蒸留水500mLを加え、分液ロートで抽出洗浄した。
上記の水洗浄を3回繰り返し、得られた有機層に硫酸マグネシウムを添加して乾燥させた後、減圧下で濃縮した。
得られた粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル溶剤を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにて分離精製した。
これにより、10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(14.5g、36.8mmol、収率29.0%、白色固体)を得た。
なお、10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエートの、H−NMR(CDOD)による帰属を以下に示す。
H−NMR:δ1.27−1.50(m,12H)、1.55−1.80(m,4H)、1.89−1.93(m,3H)、4.13(t,J=6.6Hz,2H)、4.22(t,J=6.3Hz,2H)、5.55−5.62(m,1H)、6.02−6.08(m,1H)、7.04(s,2H)
合成例2(10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4−ジヒドロキシベンゾエートの合成)
3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(250mmol)に代えて、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(250mmol)を用いた以外は、合成例1と同じ方法で、10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4−ジヒドロキシベンゾエートを得た。
なお、10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4−ジヒドロキシベンゾエートの、H−NMR(CDCL)による帰属を以下に示す。
H−NMR:δ1.22−1.50(m,12H)、1.50−1.80(m,4H)、1.92−1.98(m,3H)、4.15(t,J=7.0Hz,2H)、4.28(t,J=6.5Hz,2H)、5.55−5.60(m,1H)、6.10−6.15(m,1H)、6.91(d,J=8.4Hz,1H)7.56(dd,J=8.4, 1.9Hz,1H)、7.64(d,J=1.9Hz,1H)
実施例1
ジムロート冷却管、温度計および攪拌翼を備えた500mLの四つ口フラスコを窒素置換した後、酢酸ブチル(42.8g)を装入し、95℃に昇温した。
次いで、上記フラスコに、メチルメタクリレート(41.1g,0.41mol)、スチレン(37.8g,0.36mol)、ブチルアクリレート(24.1g,0.19mol)、および、合成例1で得られた10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(0.04mol)と、溶剤としての酢酸ブチル(1.03g)と、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN、0.866g,5.3mmol)との混合液を、30分ごとに20mLずつ加えた。混合液を全て添加した後、1時間加熱し、その後、90℃まで冷却した。
次いで、AIBN(0.165g,1.0mmol)を加え、その後、95℃に昇温して、1時間加熱した後、90℃まで冷却した。
次いで、再度AIBN(0.165g,1.0mmol)を加え、その後、105℃まで昇温して、1時間加熱した後、90℃に冷却した。
次いで、再度AIBN(0.165g,1.0mmol)を加え、その後、115℃まで昇温して、1時間加熱した後、77℃に冷却した。
その後、溶剤としての酢酸エチル(42.2g)と酢酸ブチル(4.45g)との混合溶剤を加え、均一に撹拌した後、50℃以下まで冷却した。
これにより、合成例1で得られた10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエートを重合単位として含む(メタ)アクリル樹脂を得た。
得られた(メタ)アクリル樹脂を酢酸エチルで希釈し、固形分濃度((乾燥後の質量)/(乾燥前の質量)×100)40質量%の樹脂溶液を得た。
樹脂溶液を、防錆剤とした。
実施例2
合成例1で得られた10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(0.04mol)に代えて、合成例2で得られた10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4−ジヒドロキシベンゾエート(0.04mol)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で、(メタ)アクリル樹脂を得た。また、得られた(メタ)アクリル樹脂を用いて、防錆剤を調製した。
比較例1
合成例1で得られた10−(メタクリロイルオキシ)デシル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(0.04mol)に代えて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(0.04mol)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で、(メタ)アクリル樹脂を得た。また、得られた(メタ)アクリル樹脂を用いて、防錆剤を調製した。
評価
(1)試験片の作成
各実施例および比較例で得られた防錆剤(固形分濃度40質量%)を、バーコーターNo.14を用いて、鋼板および銅板に塗布した。次いで、得られた塗膜を、室温下で20分静置し、さらに、120℃で20分静置した。
これにより、防錆剤の乾燥塗膜を備える試験片を得た。
(2)耐水性
試験片を、40℃の水中に24時間静置し、外観を観察した。評価の基準を下記する。
◎:塗膜の外観に変化がなかった。
○:塗膜の外観に、部分的に白化が観察された。白化の面積は、50%未満であった。
△:塗膜の外観に、全面的に白化が観察された。白化の面積は、50%以上であった。
×:上記のいずれにも該当しない外観変化が観察された。
(3)密着性
JIS K 5600−5−6(1999)「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し、クロスカット法にて、密着性を評価した。
すなわち、上記の試験片について、カッターナイフを使用して、塗膜を1×1mmの碁盤目状にクロスカット(100マス)した。
次いで、マス上に、24mm幅の粘着テープ(ニチバン製)を貼り付け、乾燥塗膜が透けて見えるように粘着テープを圧着した。
その後、粘着テープを塗膜に対し60°の角度で、0.5秒で剥ぎ取り、残ったマス数を数えることにより、密着性を評価した。評価の基準を下記する。
◎:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも塗膜の剥がれが観察されなかった。
○:カットの縁に沿って、および/または、交差点において、塗膜の剥がれが観察された。剥がれが観察されたクロスカット部分の割合は、全体の15%未満であった。
△:カットの縁に沿って、および/または、交差点において、塗膜の剥がれが観察された。剥がれが観察されたクロスカット部分の割合は、全体の15%以上35%未満であった。
×:上記のいずれにも該当しない剥がれが観察された。
(4)防錆性
試験片を、40℃の水中に168時間静置した。
その後、錆の発生の度合いを、外観観察により評価した。評価の基準を下記する。
◎:錆は塗膜上に全く発生しなかった。
○:錆がカットの縁に部分的に発生した。
△:錆がカットの縁および格子の目に、部分的に発生した。
×:錆がカットの縁および格子の目に、全面的に発生した。
Figure 2021155537

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で示される化合物、および/または、前記化合物を含む重合成分の重合体
    を含むことを特徴とする、防錆剤。
    Figure 2021155537

    (式中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、水素原子または水酸基を示し、Xは、−O−、−NH−または−NHC(O)−を示し、Lは、単結合または炭素数1〜20のアルキレン基を示し、Yは、単結合、−C(O)O−、−OC(O)−、−O−、−NH−、−C(O)NH−または−NHC(O)−を示し、Zは、単結合または炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)
  2. 上記一般式(1)において、R2、R3およびR4のいずれか1つが水酸基を示し、その他が水素原子を示す
    ことを特徴とする、請求項1に記載の防錆剤。
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