JP6209639B2 - 親水性共重合体およびその製造方法、ならびに当該親水性共重合体を含む活性エネルギー線硬化型組成物および塗膜 - Google Patents
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Description
本発明に係る親水性共重合体(以下、単に「共重合体」とも称する)は、後述する構成単位(a)、(b)、(d)および(e)を含む。当該共重合体を、有機溶媒やバインダー樹脂である親水性共重合体以外の多官能(メタ)アクリル化合物と混合した際、構成単位(b)および(d)に含まれるポリオキシアルキレン基の存在により、これらの成分が良く相溶した透明な組成物を得ることができる。さらに、当該組成物を用いて塗膜を形成する際、活性エネルギー線の照射により、構成単位(e)に含まれる(メタ)アクリロイル基とバインダー樹脂の(メタ)アクリロイル基との間で共有結合が形成される。一方、構成単位(a)および(b)に含まれるアンモニウム基は、親水性が高くバインダー樹脂や有機溶媒との親和性が低いため、塗膜表面に露呈しやすくなる。その結果、内部は疎水的かつ高架橋密度でありながら、表面には親水性成分が固定化された塗膜を得ることができる。ゆえに、当該塗膜は、優れた透明性、高硬度および表面親水性を発現することができる。さらに、かような塗膜は、温水中等の高温高湿環境に置かれた場合においても、親水性共重合体がブリードアウトしないため、表面親水性を持続することができる(すなわち、耐久親水性に優れる)。なお、上記メカニズムは推定であり、本発明は上記推定によって限定されない。
本発明の親水性共重合体に含まれる構成単位(a)は、下記式(1)で表される。
本発明の親水性共重合体に含まれる構成単位(b)は、下記式(2)で表される。
本発明の親水性共重合体に含まれる構成単位(d)は、下記式(4)で表される。
本発明の親水性共重合体に含まれる構成単位(e)は、下記式(5)で表される。
Re2〜Re4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1〜C20脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換のC1〜C20脂環族炭化水素基であり、好ましくは置換または非置換のC1〜20アルキレン基であり、より好ましくは置換または非置換のC1〜C8アルキレン基であり、さらにより好ましくは置換または非置換のC1〜C4アルキレン基であり、特に好ましくは置換または非置換のC1〜C2アルキレン基である。また、上記式(5−1)および(5−2)中、Re2の炭素原子とメチレン基の炭素原子は、互いに連結して環構造を形成してもよい。
本発明に係る親水性共重合体には、上記の構成単位(a)、(b)、(d)および(e)以外の構成単位が含まれてもよい。当該構成単位は、構成単位(a)、(b)、(d)および(e)の原料である各単量体と共重合可能な(メタ)アクリル系単量体(以下、「その他の単量体」とも称する)に由来する構成単位であれば、特に制限されない。
本発明の親水性共重合体の重量平均分子量は、バインダー樹脂や有機溶媒との相溶性向上および塗膜の硬度向上の観点から、好ましくは1,000〜30,000であり、より好ましくは3,000〜20,000であり、さらにより好ましくは5,000〜15,000であり、特に好ましくは7,000〜10,000である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(標準物質:ポリエチレングリコール・ポリエチレンオキシド)により求めた値である。
本発明は、上記親水性共重合体の製造方法についても提供する。
工程1では、例えば、上記の単量体A、単量体B、単量体D、および単量体E1〜E4のいずれか、ならびに必要に応じてその他の単量体を配合し、共重合を行う。その際、単量体Aおよび単量体Bの仕込み比が10:90〜90:10(重量比)となるように配合する。これにより、構成単位(a)、(b)および(d)を含有し、かつ工程2で付加反応しうる官能基が導入された重合体前駆体(P1)〜(P4)のいずれかを得ることができる。なお、構成単位(a)、(b)および(d)は、単量体A、BおよびDから直接的に誘導されなくてもよい。すなわち、単量体A、B、D以外の単量体を共重合させた後、適宜官能基を付加することにより構成単位(a)、(b)および(d)をそれぞれ誘導してもよい。また、構成単位(a)は、単量体Aの塩形態ではないもの(例えば、DMAPAA(登録商標))を重合させてから、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ベンジルクロライド等の化合物を添加してアミンを4級化させることにより、形成してもよい。あるいは、構成単位(b)は、単量体Bの塩形態ではないものを重合させてから、Yb −Q+(Yb −は上記と同様であり、Q+は任意のカチオンである)で表される塩等を添加してアミンを4級化させることにより、形成してもよい。ただし、重合体前駆体の合成にあたり、構成単位(a)および構成単位(b)の両方が上記の方法により間接的に誘導されることはない。
側鎖にエポキシ基を含有する重合体前駆体(P1)(あるいは、側鎖にカルボキシル基を含有する重合体前駆体(P2))に対して、カルボキシル基(あるいは、エポキシ基)を含有する(メタ)アクリル系単量体を付加させる場合、重合体前駆体側の反応基と、付加させる(メタ)アクリル系単量体側の反応基との比が、1/1〜1/1.5(モル比)となるよう配合することが好ましい。かような範囲であれば、実質的に全ての重合体前駆体側の反応基が(メタ)アクリル系単量体と連結する(すなわち、構成単位(e)の形成効率が実質的に100%に達する)。また、付加反応がヒドロキシル基とイソシアネート基との組み合わせの場合においても、上記と同様のモル比で配合することが好ましい。
本発明は、上記親水性共重合体と、上記親水性共重合体以外の多官能(メタ)アクリル化合物と、を含む、活性エネルギー線硬化型組成物(以下、単に「組成物」とも称する)についても提供する。なお、本明細書において、「活性エネルギー線」とは、可視光線、紫外線、X線、電子線等を指し、好ましくは紫外線を指す。
本発明に係る親水性共重合体以外の多官能(メタ)アクリル化合物(以下、単に「多官能(メタ)アクリル化合物」とも称する)は、バインダー樹脂であり、活性エネルギー線の照射により上記の親水性共重合体と架橋して硬化塗膜を形成する。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、好ましくは光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によってラジカルを生じ、親水性共重合体や多官能(メタ)アクリル化合物のエチレン性二重結合の反応性を促進するため、短時間で硬化塗膜を得ることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、好ましくは溶媒を含む。溶媒は、親水性共重合体、多官能(メタ)アクリル化合物、および必要に応じて光重合開始剤その他の添加剤を溶解または分散でき、後述の乾燥工程において容易に除去できるものであれば特に制限されない。溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸メチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射することにより、硬度、透明性および耐久親水性(高温高湿環境下での表面親水性の持続性)に優れた塗膜を基板上に形成することができる。すなわち、本発明では、上記の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化した塗膜についても提供する。
塗布方法については、特に制限されず、例えば、ワイヤーバーによるコーティング、スピンコーティング、ディップコーティングなどの公知の手法を採用することができる。また、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーターなどの連続塗布装置でも塗布することが可能である。
本発明の塗膜について、水接触角は、好ましくは40°以下、より好ましくは30°以下、さらにより好ましくは20°以下、特に好ましくは10°以下である(下限値:0°)。また、濡れ性は、好ましくは30dyn以上であり、より好ましくは40dyn以上であり、さらにより好ましくは50dyn以上である(上限値:73dyn)。かような範囲であれば、塗膜表面に水膜が形成されるため、セルフクリーニング機能に優れる。なお、水接触角および濡れ性の測定方法は、後述の実施例のとおりである。
本発明に係る親水性共重合体またはこれを含む組成物をガラス、金属、有機物等の種々の基材に塗布することにより、当該基材表面に親水性を付与することができる。ゆえに、自動車のガラス、鏡等の表面を容易に親水化することができる。鏡、太陽電池パネルのガラス面、住宅の窓ガラス等に防曇性やセルフクリーニング機能を付与することができる。また、液晶ディスプレイ等の光学フィルムには、帯電防止によるチリやホコリ等の付着を防止することができる。加えて、濡れ性が向上することから、インクジェットの受像層やリコート性を有する用途などにも有用である。
(合成例1)
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、KJケミカルズ株式会社製DMAPAA−Q(登録商標)(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド−塩化メチル4級塩)の75重量%水溶液(以下、DMAPAA−Q水溶液)12.2重量部、日本乳化剤株式会社製ジメチルアミノエチルアクリレート−ポリオキシブチレン/ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸エステル塩([C13H27−O−(BO)3−(EO)5−SO3]−[(CH3)2NH−(CH2)2−OCO−CH2=CH2]+)(以下、イオン結合性塩)4.8重量部、三菱レイヨン株式会社製メチルメタクリレート(以下、MMA)4重量部、新中村化学工業株式会社製NKエステルM90G(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=9))4重量部、三菱レイヨン株式会社製グリシジルメタクリレート(以下、GMA)12重量部、大塚化学株式会社製2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(以下、AMBN)2.99重量部および日油株式会社製α−メチルスチレンダイマー0.48重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN1.02重量部を添加し、180分間70℃で熟成した。続いて、日本触媒株式会社製アクリル酸(以下、AA)6重量部、川口化学工業株式会社製メトキノン0.03重量部および東京化成工業株式会社製トリフェニルホスフィン0.18重量部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、66℃にて保温した。ガスクロマトグラフィー分析(GC)によりAAの残留量が2重量%に達した時点(保温時間16時間)で反応終了とした。その後、冷却して、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液をヘキサンで10倍に希釈し共重合体を再沈殿させ、沈殿物を1−メトキシ−2−プロパノールで溶解した。得られた共重合体の重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(標準物質:ポリエチレングリコール・ポリエチレンオキシド)により測定したところ、8,000であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、DMAPAA−Q水溶液17.6重量部、イオン結合性塩5.6重量部、三菱レイヨン株式会社製ブチルメタクリレート(以下、BMA)2.8重量部、三菱レイヨン株式会社製2−エチルヘキシルメタクリレート(以下、2EHMA)2.4重量部、NKエステルM90G4重量部、GMA8.0重量部、AMBN3.17重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.50重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN1.08重量部添加し180分間70℃で熟成した。続いて、AA4重量部、メトキノン0.02重量部およびトリフェニルホスフィン0.12重量部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、66℃にて保温した。ガスクロマトグラフィー分析(GC)によりAAの残留量が2重量%に達した時点(保温時間16時間)で反応終了とした。冷却して、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,200であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部、1−メトキシ−2−プロパノール20重量部および温浴で溶解させた新中村化学工業株式会社製NKエステルM230G(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=23))8重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、DMAPAA−Q水溶液7.46重量部、イオン結合性塩13.2重量部、MMA4.4重量部、GMA6重量部、AMBN3.27重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.52重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN1.12重量部添加し180分間70℃で熟成した。続いて、AA2.8重量部、メトキノン0.014重量部およびトリフェニルホスフィン0.084重量部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、66℃にて保温した。ガスクロマトグラフィー分析(GC)によりAAの残留量が2重量%に達した時点(保温時間18時間)で反応終了とした。その後、冷却して、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,600であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、KJケミカルズ株式会社製DMAPAA(登録商標)7重量部、イオン結合性塩12.8重量部、MMA4重量部、NKエステルM90G7.92重量部、三菱ガス化学株式会社製メタクリル酸(以下、MAA)1.28重量部、AMBN3.34重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.53重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN1.14重量部添加し180分間70℃で熟成した。続いて、GMA2重量部、メトキノン0.01重量部およびトリフェニルホスフィン0.06重量部を仕込み混合した。その後、空気バブリング下にて、66℃にて保温した。ガスクロマトグラフィー分析(GC)によりGMAの残留量が2重量%に達した時点(保温時間18時間)で反応終了とした。その後、ジエチル硫酸5重量部添加し保温後、GCによりジエチル硫酸の残留量が1重量%に達した時点(保温時間6時間)で、冷却した。その後、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、活性エネルギー線硬化型(メタクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、7,600であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部、1−メトキシ−2−プロパノール20重量部および温浴で溶解させたNKエステルM230G4重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、DMAPAA−Q水溶液11.7重量部、イオン結合性塩8重量部、MMA6重量部、MAA5.2重量部、AMBN2.82重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.45重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN0.96重量部添加し180分間70℃で熟成した。続いて、GMA8重量部、メトキノン0.04重量部およびトリフェニルホスフィン0.24重量部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、66℃にて保温した。ガスクロマトグラフィー分析(GC)によりGMAの残留量が2重量%に達した時点(保温時間16時間)で反応終了とした。その後、冷却して、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、活性エネルギー線硬化型(メタクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、7,800であった。
合成例5について、DMAPAA−Q水溶液の配合量を22.9重量部に変更し、イオン結合性塩の配合量を2重量部に変更し、MMA6重量部をBMA3.6重量部に変更した以外は合成例5と同様にして、活性エネルギー線硬化型(メタクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、7,800であった。
合成例6について、DMAPAA−Q水溶液の配合量を2.67重量部に変更し、イオン結合性塩の配合量を17.2重量部に変更した以外は合成例6と同様にして、活性エネルギー線硬化型(メタクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,200であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部および温浴で溶解させたNKエステルM230G6.28重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、DMAPAA−Q水溶液10.67重量部、イオン結合性塩9.2重量部、MAA6.52重量部、AMBN2.64重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.42重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN0.9重量部添加し180分間70℃で熟成した。続いて、GMA10重量部、メトキノン0.05重量部およびトリフェニルホスフィン0.3重量部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、66℃にて保温した。ガスクロマトグラフィー分析(GC)によりGMAの残留量が2重量%に達した時点(保温時間16時間)で反応終了とした。その後、冷却して、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、活性エネルギー線硬化型(メタクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、7,800であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、酢酸エチル20重量部、メチルエチルケトン20重量部および温浴で溶解させたNKエステルM230G4.2重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、DMAPAA(登録商標)4.26重量部、イオン結合性塩12重量部、MMA2重量部、三菱レイヨン株式会社製2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、2HEMA)7.28重量部、AMBN2.88重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.46重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN0.98重量部添加し180分間70℃で熟成した。続いて、カレンズAOI(登録商標)(2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート、昭和電工株式会社製)7.32重量部、メトキノン0.04重量部および日東化成株式会社製ジオクチル錫0.009重量部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、66℃にて保温した。ガスクロマトグラフィー分析(GC)によりカレンズAOIの残留量が2重量%に達した時点(保温時間10時間)で反応終了とした。その後、ジエチル硫酸3.04重量部添加し保温後、GCによりジエチル硫酸の残留量が1重量%に達した時点(保温時間6時間)で、冷却した。その後、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,200であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、酢酸エチル20重量部、メチルエチルケトン20重量部および温浴で溶解させたNKエステルM230G5.6重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、DMAPAA(登録商標)4.26重量部、イオン結合性塩12重量部、MMA2重量部、カレンズMOI(登録商標)(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、昭和電工株式会社製)7.6重量部、AMBN3.04重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.48重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN1.04重量部添加し180分間70℃で熟成した。続いて、共栄社化学株式会社製2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、2HEA)5.6重量部、メトキノン0.03重量部およびジオクチル錫0.008重量部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、66℃にて保温した。ガスクロマトグラフィー分析(GC)により2HEAの残留量が2重量%に達した時点(保温時間10時間)で反応終了とした。その後、ジエチル硫酸3.04重量部添加し6時間保温後、GCによりジエチル硫酸の残留量がGCで1重量%に達した時点(保温時間6時間)で、冷却した。その後、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,000であった。
合成例1について、イオン結合性塩4.8重量部をDMAPAA−Q水溶液6.4重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,000であった。
合成例2について、イオン結合性塩5.6重量部をKJケミカルズ株式会社製DMAPAA(登録商標)−TFSI(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド−トリフルオロメタンスルホニルイミド4級塩)5.6重量部に変更したこと以外は合成例2と同様にして、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,200であった。
合成例3について、イオン結合性塩13.2重量部をDMAPAA(登録商標)−TFSI13.2重量部に変更したこと以外は合成例3と同様にして、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,600であった。
合成例5について、DMAPAA−Q水溶液11.7重量部をイオン結合性塩8.8重量部に変更したこと以外は合成例5と同様にして、活性エネルギー線硬化型(メタクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、7,600であった。
確認しました。
合成例5について、DMAPAA−Q水溶液の配合量を1.6重量部に変更し、イオン結合性塩の配合量を15.6重量部に変更したこと以外は合成例5と同様にして、活性エネルギー線硬化型(アクリロイル基を側鎖に導入した)の親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、7,800であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管、温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部、1−メトキシ−2−プロパノール20重量部、および温浴で溶解させたNKエステルM230G6重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、DMAPAA−Q水溶液11.73重量部、イオン結合性塩8重量部、MMA17.2重量部、AMBN3.52重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.56重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN1.2重量部を添加し180分間70℃で熟成した。冷却して、不揮発分が40重量%となるよう1−メトキシ−2−プロパノールを加え、親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体について、合成例1と同様に重量平均分子量を測定したところ、8,000であった。
・単量体A
DMAPAA−Q:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド−塩化メチル4級塩
DMAPAA−DES:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド−ジエチル硫酸4級塩
・単量体B
イオン結合性塩:ジメチルアミノエチルアクリレート−ポリオキシブチレン/ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸エステル塩([C13H27−O−(BO)3−(EO)5−SO3]−[(CH3)2NH−(CH2)2−OCO−CH2=CH2]+)
DMAPAA−TFSI:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド−トリフルオロメタンスルホニルイミド4級塩
・単量体D
NKエステルM90G:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=9)
NKエステルM230G:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=23)
・単量体E
GMA:グリシジルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
2HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
カレンズAOI:2−アクロイルオキシエチルイソシアネート
カレンズMOI:2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート
AA:アクリル酸
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
・その他の単量体
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
2EHMA:2エチルヘキシルメタクリレート。
(実施例1)
新中村化学工業株式会社製NKエステルA−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、以下、DPHA)95重量部を1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)300重量部に混合し10分間攪拌した。次に、合成例1で製造した親水性共重合体溶液(固形分40重量%)12重量部を混合した後、BASFジャパン株式会社製イルガキュア(登録商標、以下同じ)−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を3重量部添加し溶解させ、固形分25重量%の活性エネルギー線硬化型組成物1を調製した。得られた活性エネルギー線硬化型組成物1を、PETフィルム(東洋紡株式会社製A4300)にバーコーターで塗工し80℃で1分間の予備乾燥を行った。次に、空気下で高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の照射量となるよう紫外線照射を行い、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
合成例2〜4で製造した親水性共重合体を用いて表3の組成で配合した以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型組成物2〜4をそれぞれ調製した。得られた活性エネルギー線硬化性組成物2〜4を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
15官能のウレタンアクリレートである新中村化学工業株式会社製U−15HA(以下、UA(A))95重量部を1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)300重量部に混合し10分間攪拌した。次に、合成例5で製造した親水性共重合体溶液(固形分40重量%)12重量部を混合した後、イルガキュア184を3重量部添加し溶解させ、固形分25重量%の活性エネルギー線硬化型組成物5を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物5を用いて、実施例1と同様に、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
15官能のウレタンアクリレートである大成ファインケミカル株式会社製8UX−015A(以下、UA(B))95重量部を1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)300重量部に混合し10分間攪拌した。次に、合成例5で製造した親水性共重合体溶液(固形分40重量%)12重量部を混合した後、イルガキュア184を3重量部添加し溶解させ、固形分25重量%の活性エネルギー線硬化型組成物6を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物6を用いて、実施例1と同様に、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
合成例5〜10で製造した親水性共重合体を用いて表3の組成で配合した以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型組成物7〜12をそれぞれ調製した。得られた活性エネルギー線硬化性組成物7〜12を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例1について、活性エネルギー線硬化型組成物1を活性エネルギー線硬化型組成物7に変更し、PETフィルムをPMMAフィルム(株式会社カネカ製018XA88H(75μ))に変更した以外は、実施例1と同様にして、PMMAフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例13について、PMMAフィルムをTAcフィルム(富士フイルム株式会社製フジタック(80μ))に変更した以外は、実施例13と同様にして、TAcフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例13について、PMMAフィルムをPCフィルム(帝人株式会社製パンライト(登録商標)PC2151HTN(180μ))に変更した以外は、実施例13と同様にして、PCフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例13について、PMMAフィルムをガラス板(コーニング社製イーグルXG)に変更した以外は、実施例13と同様にして、ガラス板上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
比較合成例1〜6で製造した親水性共重合体を用いて表3の組成で配合した以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型組成物13〜18をそれぞれ調製した。得られた活性エネルギー線硬化性組成物13〜18を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
DPHA100重量部を1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)300重量部に混合し10分間攪拌した後、イルガキュア184を3重量部添加し溶解させ、固形分25重量%の活性エネルギー線硬化型組成物19を調製した。得られた活性エネルギー線硬化性組成物19を用いて、実施例1と同様に、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例13について、活性エネルギー線硬化型組成物7を活性エネルギー線硬化型組成物14に変更した以外は、実施例13と同様にして、PMMAフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例14について、活性エネルギー線硬化型組成物7を活性エネルギー線硬化型組成物14に変更した以外は、実施例14と同様にして、TAcフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例15について、活性エネルギー線硬化型組成物7を活性エネルギー線硬化型組成物14に変更した以外は、実施例15と同様にして、PCフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例16について、活性エネルギー線硬化型組成物7を活性エネルギー線硬化型組成物14に変更した以外は、実施例16と同様にして、ガラス板上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例1〜16および比較例1〜11で作製した塗膜(塗膜付基材)について、下記の方法により物性を評価した。
上記塗膜付基材の塗工面上に0.005mlの純水を滴下し、1分後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、接触角測定器(KSV instrument製 CAM200)を用いた。
○:10°超過30°以下
△:30°超過40°以下
×:40°超過。
呼気防曇法により塗膜の防曇性を評価した。具体的には、25℃、50%RHの条件で、上記塗膜付基材の塗工面にゆっくりと呼気を5秒間吹きかけ、曇りの有無を目視判定した。
〇:部分的に僅かに曇る
△:全体が僅かに曇る
×:全体が曇る。
上記塗膜付基材を40℃の温水に8時間浸漬後、上記2.と同様にして目視にて防曇性評価を行った。
〇:部分的に僅かに曇る
△:全体が僅かに曇る
×:全体が曇る。
JIS K 6911(2006)に準拠し、上記塗膜付基材の塗工面の表面抵抗率(Ω)を、抵抗率計(三菱化学株式会社製ハイレスタMCP−HT−450)を用い、印加電圧100Vで測定した。
〇:1×1011超過1×1012以下
△:1×1012超過1×1013以下
×:1×1013超過。
JIS K 6768(1999)に準拠し、上記塗膜付基材の塗工面に濡れ張力試験用混合液(和光純薬工業株式会社製)を付与し、濡れ性を評価した。
〇:40dyn以上50dyn未満
△:30dyn以上40dyn未満
×:30dyn未満。
JIS K 5600−5−4(1999)に準拠し、上記塗膜付基材の塗工面について、荷重750gで鉛筆引っかき試験を実施した。
〇:H
△:HBまたはF
×:B以下。
塗膜付基材の塗工面を、200gの重りの底に10mm×10mmの範囲に付けたスチールウールで10回擦り、外観を観察し、以下の基準で評価した。
〇:傷数本
△:傷数10本
×:白化。
JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−5000)を用いて、塗膜付基材のヘイズ値を測定した。
〇:0.1%以上0.5%未満
△:0.5%以上1%未満
×:1%以上。
Claims (8)
- 下記式(1)で表される構成単位(a)と、下記式(2)で表される構成単位(b)と、下記式(4)で表される構成単位(d)と、下記式(5)で表される構成単位(e)と、を含む親水性共重合体であって、前記親水性共重合体における前記構成単位(a)と前記構成単位(b)との重量比が10:90〜90:10である、親水性共重合体:
Re2〜Re4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1〜C20脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換のC5〜C20脂環族炭化水素基であり、
上記式(5−1)および(5−2)中、Re2の炭素原子とメチレン基の炭素原子は、互いに連結して環構造を形成してもよい。 - 上記式(2’)中、(A’O)mはオキシブチレン基を含む、請求項1に記載の親水性共重合体。
- (メタ)アクリル当量が400〜3,000g/eqである、請求項1または2に記載の親水性共重合体。
- 側鎖にエポキシ基を含有する重合体前駆体(P1)を合成し、前記重合体前駆体(P1)とカルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体とを付加反応させて、前記構成単位(e)を形成する;または
側鎖にカルボキシル基を含有する重合体前駆体(P2)を合成し、前記重合体前駆体(P2)とエポキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体とを付加反応させて、前記構成単位(e)を形成する;
ことを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性共重合体の製造方法。 - 側鎖にヒドロキシル基を含有する重合体前駆体(P3)を合成し、前記重合体前駆体(P3)とイソシアネート基を含有する(メタ)アクリル系単量体とを付加反応させて、前記構成単位(e)を形成する;または
側鎖にイソシアネート基を含有する重合体前駆体(P4)を合成し、前記重合体前駆体(P4)とヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体とを付加反応させて、前記構成単位(e)を形成する;
ことを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性共重合体の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性共重合体と、前記親水性共重合体以外の多官能(メタ)アクリル化合物と、を含む、活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記親水性共重合体以外の多官能(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ有する、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 請求項6または7に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化した塗膜。
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