JP6408096B2 - 親水性共重合体、ならびに当該親水性共重合体を含む熱硬化型組成物および塗膜 - Google Patents
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Description
本発明に係る親水性共重合体(以下、単に「共重合体」とも称する)は、後述の構成単位(a)、(b)および(c)を特定の含量割合で含む。当該共重合体は、構成単位(b)のポリオキシアルキレン基の存在により、疎水性の有機溶媒に対する溶解性に優れ、バインダー樹脂と良く相溶する。ゆえに、当該共重合体をバインダー樹脂、硬化剤、溶媒等と混合した際、透明な組成物を得ることができる。さらに、当該組成物を用いて塗膜を形成する際、構成単位(c)に含まれる官能基(下記式(3)のYc)は、硬化剤の働きにより、硬化剤に含まれる官能基と架橋反応するか、それ自身で架橋反応する(自己架橋する)ことができる。これにより、塗膜中に親水性共重合体を含む架橋構造が形成される。一方、構成単位(a)および(b)に含まれるアンモニウム基は、親水性が高く、有機溶媒やバインダー樹脂との親和性が低いため、塗膜表面に露呈しやすくなる。その結果、内部は高架橋密度であり、かつ表面には親水性成分が固定化された塗膜を得ることができる。ゆえに、当該塗膜は、優れた透明性、硬度および表面親水性を発現することができる。さらに、かような塗膜は、温水中等の高温高湿環境に置かれた場合においても、親水性共重合体がブリードアウトしないため、表面親水性を持続することができる(すなわち、耐久親水性に優れる)。なお、上記メカニズムは推定であり、本発明は上記推定によって限定されない。
本発明の親水性共重合体に含まれる構成単位(a)は、下記式(1)で表される。
本発明の親水性共重合体に含まれる構成単位(b)は、下記式(2)で表される。
本発明の親水性共重合体に含まれる構成単位(c)は、下記式(3)で表される。
本発明の親水性共重合体は、上記構成単位(a)、(b)および(c)に加えて、下記式(4)で表される構成単位(d)を含んでもよい。当該構成単位(d)を含むことで、バインダー樹脂との相溶性がさらに向上する。
本発明に係る親水性共重合体は、上記構成単位(a)、(b)および(c)に加えて、アルキル(メタ)アクリレート(単量体E)に由来する構成単位(e)をさらに含んでもよい。当該構成単位(e)を含むことで、親水性共重合体の表面配向性がさらに向上する。
本発明に係る親水性共重合体には、上記構成単位(a)、(b)および(c)に加えて、フッ素含有(メタ)アクリル単量体およびシリコーン変性(メタ)アクリル単量体に由来する構成単位を含んでもよい。かような構成単位を含むことで、形成される塗膜の滑り性が向上し、表面親水性をさらに高めることができる。
本発明の親水性共重合体の重量平均分子量は、有機溶媒やバインダー樹脂との親和性および塗膜の硬度を向上させる観点から、好ましくは1,000〜50,000であり、より好ましくは5,000〜40,000であり、さらにより好ましくは10,000〜30,000であり、特に好ましくは15,000〜20,000である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(標準物質:ポリエチレングリコール・ポリエチレンオキシド)により求めた値である。
本発明の親水性共重合体は、特に限定されず、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法など従来公知の方法を用いて製造することができる。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法、等温重合法などが挙げられる。中でも、分子量の調節が容易であり、また不純物の量も少ないことから、重合開始剤(好ましくは、熱重合開始剤)を用いた溶液重合法が好ましい。
本発明は、上記親水性共重合体と、バインダー樹脂と、硬化剤と、を含む熱硬化型組成物(以下、単に「組成物」とも称する)についても提供する。
硬化剤は、上記親水性共重合体(および場合によっては下記バインダー樹脂)の架橋反応を促進し、塗膜内部の架橋構造の形成に寄与する。この際、硬化剤は架橋構造に組み込まれてもよいし、組み込まれなくてもよい。
バインダー樹脂は、特に制限されないが、上記硬化剤の働きにより架橋反応しうる樹脂であることが好ましい。これにより、塗膜内部に架橋構造が形成され、塗膜の硬度や耐久性が向上する。また、親水性共重合体がバインダー樹脂に(硬化剤を介してまたは直接)結合できるため、親水性共重合体が強固に固定化された塗膜を得ることができる。ゆえに、塗膜の表面親水性がより持続する(すなわち、耐久親水性が一層向上する)。
水酸基を含有するバインダー樹脂としては、例えば、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリウレタンポリオールなどのマクロポリオールが挙げられる。中でも、上記親水性共重合体との相溶性ひいては塗膜の透明性の観点から、アクリルポリオールを用いることが好ましい。
加水分解性シリル基を含有するバインダー樹脂としては、特に制限されず、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の公知の樹脂が加水分解性シリル基で変性されているものを用いることができる。中でも、親水性共重合体との相溶性ひいては塗膜の透明性の観点から、アクリル樹脂が加水分解性シリル基で変性されているもの(以下、アクリルシリコンとも称する)を用いることが好ましい。アクリルシリコンは、例えば、アルコキシシリル基含有(メタ)アクリル単量体と、その他の(メタ)アクリル単量体とを常法によって重合して得ることができる。アクリルシリコンの市販品としては、大成ファインケミカル株式会社製の8SQ−1175、株式会社カネカ製のゼムラック(登録商標)等を用いることができる。
本発明の熱硬化型組成物は、好ましくは溶媒を含む。溶媒は、親水性共重合体、バインダー樹脂、硬化剤、および必要に応じてその他の添加剤を溶解または分散でき、各成分と反応せず、後述の乾燥工程において容易に除去できるものであれば特に制限されない。溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸メチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。例えば、ポリイソシアネートを硬化剤として使用する場合、イソシアネート基と反応しない溶媒(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒)を用いることが好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化型組成物は、必要に応じて、顔料、成膜助剤、充填剤(フィラー)、トナー、湿潤剤、帯電防止剤、顔料分散剤、可塑剤、酸化防止剤、流れコントロール剤、粘度調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
本発明の熱硬化型組成物を基材上に塗布し、加熱することにより、硬度、透明性、ならびに初期および耐久後の表面親水性に優れた塗膜を基板上に形成することができる。すなわち、本発明では、上記の熱硬化型組成物を硬化した塗膜についても提供する。
本発明の塗膜について、水接触角は、好ましくは50°以下、より好ましくは40°以下、さらにより好ましくは20°以下、特に好ましくは10°以下である(下限値:0°)。また、濡れ性は、好ましくは30dyn以上であり、より好ましくは40dyn以上であり、さらにより好ましくは50dyn以上である(上限値:73dyn)。かような範囲であれば、塗膜表面に水膜が形成されるため、セルフクリーニング機能に優れる。なお、水接触角および濡れ性の測定方法は、後述の実施例のとおりである。
本発明に係る親水性共重合体またはこれを含む組成物をガラス、金属、有機物等の種々の基材に塗布することにより、当該基材表面に親水性を付与することができる。ゆえに、自動車のガラス、鏡等の表面を容易に親水化することができる。鏡、太陽電池パネルのガラス面、住宅の窓ガラス等に防曇性やセルフクリーニング機能を付与することができる。また、液晶ディスプレイ等の光学フィルムには、帯電防止によるチリやホコリ等の付着を防止することができる。加えて、濡れ性が向上することから、インクジェットの受像層やリコート性を有する用途などにも有用である。
(合成例1)
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部を仕込み、KJケミカルズ株式会社製DMAPAA−Q(登録商標、以下同じ)(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド−塩化メチル4級塩)の75重量%水溶液(以下、DMAPAA−Q水溶液)20.0重量部を仕込んだ。続いて窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、日本乳化剤株式会社製ジメチルアミノエチルアクリレート−ポリオキシブチレン/ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸エステル塩([C13H27−O−(BO)3−(EO)5−SO3]−[(CH3)2NH−(CH2)2−OCO−CH2=CH2]+、ここでトリデシル基は分枝状である)(以下、イオン結合性塩)12.5重量部、共栄社化学株式会社製2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、2HEMA)7.5重量部、三菱ケミカル株式会社製メチルメタクリレート(以下、MMA)7.5重量部、新中村化学工業株式会社製NKエステルM90G(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=9))7.5重量部、大塚化学株式会社製2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(以下、AMBN)1.50重量部および日油株式会社製α−メチルスチレンダイマー0.50重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN0.5重量部を添加し、180分間70℃で熟成した。その後、冷却して、不揮発分が40重量%となるようにメチルエチルケトンを加え、水酸基含有親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液をヘキサンで10倍に希釈し共重合体を再沈殿させ、沈殿物をメチルエチルケトンで溶解した。得られた共重合体の重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(標準物質:ポリエチレングリコール・ポリエチレンオキシド)により測定したところ、18,000であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部を仕込み、DMAPAA−Q水溶液20重量部を仕込んだ。続いて窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、イオン結合性塩12.5重量部、2HEMA17.5重量部、MMA5重量部、AMBN1.50重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.50重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN0.5重量部を添加し、180分間70℃で熟成した。その後、冷却して、不揮発分が40重量%となるようにメチルエチルケトンを加え、水酸基含有親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液をヘキサンで10倍に希釈し共重合体を再沈殿させ、沈殿物をメチルエチルケトンで溶解した。得られた共重合体の重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(標準物質:ポリエチレングリコール・ポリエチレンオキシド)により測定したところ、18,000であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、KJケミカルズ株式会社製DMAPAA(登録商標、以下同じ)12重量部、イオン結合性塩12重量部、2HEMA5重量部、NKエステルM90G10重量部、AMBN1.50重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.50重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN0.5重量部を添加し、180分間70℃で熟成した。その後、ジエチル硫酸(DES)11重量部添加し保温後、ガスクロマトグラフィー(GC)によりジエチル硫酸の残留量が1重量%に達した時点(保温時間6時間)で、冷却した。不揮発分が40重量%となるようにメチルエチルケトンを加え、水酸基含有親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液をヘキサンで10倍に希釈し共重合体を再沈殿させ、沈殿物をメチルエチルケトンで溶解した。得られた共重合体の重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(標準物質:ポリエチレングリコール・ポリエチレンオキシド)により測定したところ、18,200であった。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液10.67重量部、イオン結合性塩20重量部、2HEMA15重量部、NKエステル90G7重量部、MMA0重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:18,600)を得た。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液33.3重量部、イオン結合性塩3重量部、2HEMA12重量部、NKエステル90G 0重量部、MMA10重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:17,600)を得た。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液13.3重量部、イオン結合性塩17.5重量部、2HEMA7.5重量部、NKエステル90G 0重量部に変更し、MMA7.5重量部を三菱ケミカル株式会社製n−ブチルメタクリレート(以下、BMA)15重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:17,800)を得た。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液20重量部、イオン結合性塩12.5重量部、NKエステル90G7.5重量部に変更し、2HEMA7.5重量部を4−ヒドロキシブチルアクリレート(以下、4HBA)7.5重量部に変更し、MMA7.5重量部をMMA3.75重量部およびBMA3.75重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:18,000)を得た。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メタノール20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、KJケミカルズ株式会社製DMAPAA(登録商標)12重量部、イオン結合性塩15重量部、MMA0重量部、NKエステルM90G7重量部、AMBN1.50重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.50重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN0.5重量部を添加し、180分間70℃で熟成した。その後、ジエチル硫酸(DES)11重量部添加し保温後、ガスクロマトグラフィー(GC)によりジエチル硫酸の残留量が1重量%に達した時点(保温時間6時間)で、冷却した。不揮発分が40重量%となるようにメチルエチルケトンを加え、水酸基含有親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液をヘキサンで10倍に希釈し共重合体を再沈殿させ、沈殿物をメチルエチルケトンで溶解した。得られた共重合体の重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(標準物質:ポリエチレングリコール・ポリエチレンオキシド)により測定したところ、18,600であった。
攪拌機、滴下ロート、冷却管および温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン20重量部および1−メトキシ−2−プロパノール20重量部を仕込み、窒素雰囲気中で70℃まで昇温し、コンデンサーの還流下で、イオン結合性塩30重量部、2HEMA5重量部、NKエステルM90G7.5重量部、三菱ケミカル株式会社製ブチルメタクリレート(以下、BMA)7.5重量部AMBN1.50重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.50重量部の混合物を、滴下ロートを用いて180分かけて等速で滴下した。その後、AMBN0.5重量部を添加し、180分間70℃で熟成した。その後、冷却して、不揮発分が40重量%となるようにメチルエチルケトンを加え、水酸基含有親水性共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液をヘキサンで10倍に希釈し共重合体を再沈殿させ、沈殿物をメチルエチルケトンで溶解した。得られた共重合体の重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(標準物質:ポリエチレングリコール・ポリエチレンオキシド)により測定したところ、18,600であった。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液3.33重量部、イオン結合性塩25重量部、2HEMA5重量部、NKエステル90G17.5重量部、MMA0重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:17,600)を得た。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液33.3重量部、イオン結合性塩0重量部、2HEMA5重量部、NKエステル90G10重量部に変更し、かつMMA7.5重量部をBMA10重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:18,200)を得た。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液20重量部、2HEMA0重量部、NKエステル90G11.25重量部に変更し、かつMMA7.5重量部をBMA11.25重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:18,000)を得た。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液13.33重量部、イオン結合性塩10重量部、2HEMA30重量部、NKエステル90G 0重量部、MMA0重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:17,200)を得た。
合成例1において、各単量体の配合量をDMAPAA−Q水溶液16.67重量部、イオン結合性塩10重量部、2HEMA20重量部、NKエステル90G7.5重量部、MMA0重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、水酸基含有親水性共重合体(重量平均分子量:18,200)を得た。
(実施例1)
重量平均分子量75,000、水酸基価20mgKOH/g、計算ガラス転移温度85℃の水酸基含有アクリル樹脂(大成ファインケミカル株式会社製アクリット6BF−100、以下、アクリルポリオール(A)とも称する)100重量部(固形分40重量%)に、ポリイソシアネート硬化剤として旭化成株式会社デュラネート(登録商標、以下同じ)TPA−100 6.5重量部(固形分100重量%、NCO含量23重量%)を混合した。合成例1で製造した親水性共重合体溶液(固形分40重量%)10重量部を混合した後、メチルエチルケトン136部を混合し固形分20重量%の熱硬化型組成物1を調製した。得られた熱硬化型組成物1を、PETフィルム(東洋紡株式会社製A4300)にバーコーターで塗工し80℃で1分間の予備乾燥を行った。次に、温風乾燥機で105℃、3時間で熱硬化を行い、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例1において、アクリルポリオール(A)100重量部(固形分40重量%)を、重量平均分子量50,000、水酸基価45mgKOH/g、計算ガラス転移温度50℃の水酸基含有アクリル樹脂(大成ファインケミカル株式会社製アクリット6BF−200、以下、アクリルポリオール(B)とも称する)100重量部(固形分40重量%)に変更し、かつ、ポリイソシアネート硬化剤をデュラネートTPA−100 6.5重量部から東ソー株式会社製コロネート(登録商標、以下同じ)HX 6.5重量部(固形分100重量%、NCO含量21.5重量%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化型組成物2を調製し、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例1において、アクリルポリオール(A)100重量部(固形分40重量%)を、重量平均分子量25,000、水酸基価20mgKOH/g、計算ガラス転移温度50℃の水酸基含有アクリル樹脂(大成ファインケミカル株式会社製アクリット6BF−300、以下、アクリルポリオール(C)とも称する)100重量部(固形分40重量%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化型組成物3を調製し、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例1において、アクリルポリオール(A)100重量部(固形分40重量%)を、重量平均分子量19,000、計算ガラス転移温度85℃のアルコキシシリル基含有アクリル樹脂(大成ファインケミカル株式会社製8SQ−1175、以下、アクリルシリコンとも称する)100重量部(固形分40重量%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化型組成物4を調製し、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
合成例2〜8で得られた水酸基含有親水性共重合体をそれぞれ用いて表3の組成で配合した以外は実施例1と同様にして熱硬化型組成物5〜11を調製し、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
重量平均分子量50,000、水酸基価20mgKOH/g、計算ガラス転移温度85℃の水酸基含有アクリル樹脂(アクリルポリオール(A))100重量部(固形分40重量%)にn−ブチル化メラミン樹脂としてDIC株式会社製アミディア(登録商標、以下同じ)L−117−60 25.5重量部(固形分60重量%)を混合した。合成例1で製造した親水性共重合体溶液(固形分40重量%)10重量部を混合し、メチルエチルケトン161部を混合し固形分20重量%の熱硬化型組成物12を調整した。得られた熱硬化型組成物20を、ガラス板にバーコーターで塗工し200℃で30秒間の焼き付け硬化を行い、ガラス板に膜厚5μmの塗膜を作製した。
比較合成例1〜6で得られた水酸基含有親水性共重合体を用いて表3の組成で配合した以外は実施例1と同様にして熱硬化型組成物13〜18を調製し、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例1において、デュラネートTPA−100を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして熱硬化型組成物19を調製し、PETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
実施例1〜12および比較例1〜7で作製した塗膜(塗膜付基材)について、下記の方法により物性を評価した。
上記塗膜付基材の塗工面上に0.005mlの純水を滴下し、1分後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、接触角測定器(KSV instrument製 CAM200)を用いた。
○:20°超過40°以下
△:40°超過50°以下
×:50°超過。
呼気防曇法により塗膜の防曇性を評価した。具体的には、25℃、50%RHの条件で、上記塗膜付基材の塗工面にゆっくりと呼気を5秒間吹きかけ、曇りの有無を目視判定した。判定結果が○以上であれば、表面親水性が良好であると言える。
○:部分的に僅かに曇る
△:全体が僅かに曇る
×:全体が曇る。
上記塗膜付基材を40℃の温水に8時間浸漬後、上記2.と同様にして目視にて防曇性評価を行った。判定結果が○以上であれば、表面親水性の持続性(耐久親水性)が良好であると言える。
○:部分的に僅かに曇る
△:全体が僅かに曇る
×:全体が曇る。
JIS K 6911(2006)に準拠し、上記塗膜付基材の塗工面の表面抵抗率(Ω)を、抵抗率計(三菱化学株式会社製ハイレスタMCP−HT−450)を用い、印加電圧100Vで測定した。
○:1×1011超過1×1012以下
△:1×1012超過1×1013以下
×:1×1013超過。
JIS K 6768(1999)に準拠し、上記塗膜付基材の塗工面に濡れ張力試験用混合液(和光純薬工業株式会社製)を付与し、濡れ性を評価した。
○:40dyn以上50dyn未満
△:30dyn以上40dyn未満
×:30dyn未満。
JIS K 5600−5−4(1999)に準拠し、上記塗膜付基材の塗工面について、荷重750gで鉛筆引っかき試験を実施した。
○:F △:HBまたはB
×:2B以下。
JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−5000)を用いて、塗膜付基材のヘイズ値を測定した。
○:0.1%以上0.5%未満
△:0.5%以上1%未満
×:1%以上。
Claims (7)
- 下記式(1)で表される構成単位(a)と、下記式(2)で表される構成単位(b)と、下記式(3)で表される構成単位(c)と、を含む親水性共重合体であって、前記親水性共重合体における前記構成単位(a)と前記構成単位(b)との重量比が12:88〜90:10であり、前記親水性共重合体における前記構成単位(c)の含有量は、全構成単位の合計に対して、5重量%以上40重量%未満である、親水性共重合体:
上記式(1)中、
Ra1は、水素原子またはメチル基であり、
Ra2は、置換または非置換のC1〜C6アルキル基であり、
Xaは、NHまたはOであり、
naは、1〜6の整数であり、
Ya −は、下記式(2)のYb−を除く任意のアニオンである;
上記式(2)中、
Rb1は、水素原子またはメチル基であり、
Rb2は、水素原子または置換もしくは非置換のC1〜C6アルキル基であり、
nbは、1〜6の整数であり、
Yb −は、下記式(2’)で表されるアニオンである、
上記式(2’)中、
R’は、置換もしくは非置換のC12〜C14の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
A’は、C2〜C4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、
mは、A’Oの平均付加モル数であって2〜50である;
上記式(3)中、
Rc1は、水素原子またはメチル基であり、
Xcは、NHまたはOであり、
ncは、Ycが水素原子のとき0であり、Ycが水素原子でないとき1〜6の整数であり、
Ycは、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基および加水分解性シリル基からなる群より選択される基である。 - 上記式(2’)中、(A’O)mはオキシブチレン基を含む、請求項1に記載の親水性共重合体。
- 上記式(3)中、Ycは水酸基である、請求項1または2に記載の親水性共重合体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性共重合体と、バインダー樹脂と、硬化剤と、を含む、熱硬化型組成物。
- 前記硬化剤は、ポリイソシアネートまたはメラミン樹脂を含む、請求項4に記載の熱硬化型組成物。
- 前記バインダー樹脂は、水酸基または加水分解性シリル基を含有する、請求項4または5に記載の熱硬化型組成物。
- 請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱硬化型組成物を硬化した塗膜。
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