JP2021155328A - セラミックス球形体 - Google Patents

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真之 新貝
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真之 新貝
皓紀 光野
Akinori Mitsuno
皓紀 光野
康宏 神井
Yasuhiro Kamii
康宏 神井
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Abstract

【課題】振動ミル、サンドミル等の粉砕機に用いられるボール、ビーズ等のセラミックス球形体において、粉砕・分散対象の粉砕効率、分散性付与に優れ、使用後の洗浄性にも優れたものを提供する。【解決手段】正方晶の割合が80%以上、95%未満であり、表面粗さSaが20nm以下であり、BET法による比表面積測定において、窒素ガスを吸着質としたときの比表面積Aと水蒸気を吸着質としたときの比表面積Bとが、(B/A)×100≧10(%)を満足することを特徴とするセラミックス球形体。【選択図】なし

Description

本発明は、ボールミル、振動ミル、サンドミル、ビーズミル等の粉砕機において使用されるビーズ、ボール等の、セラミックス球形体に関するものである。
電子材料用途で使用される粉末の微粉砕や、インク用途における顔料の分散時にボールミル、振動ミル、サンドミル、ビーズミル等の、ボール、ビーズ等の粉砕用メディアを用いて粉砕する粉砕機が広く使用されている。こうした粉砕機用に用いられる、ボール、ビーズ等の粉砕用メディア(以下、単に「メディア」という場合がある)として、耐摩耗性、耐衝撃性の面で優れている、セラミックス焼結体が使用されている。
また、液晶用カラーフィルタ用ペーストを始めとするカラーインク用途においても、色材料となる顔料を分散するために、同様にセラミックス焼結体がメディアとして使用されている。
ジルコニアを主成分とするセラミックス焼結体としては例えば、ZrOとYとの組成比率、Al量およびSiO量を規定することで耐久性および耐摩耗性を向上したとするメディアが開示されている(特許文献1)。
特開2001−316178号公報
しかし、実際に粉砕、分散でメディアを使用する際に求められる特性として、粉砕、分散処理時の効率や、使用後の洗浄性についても、近年特に求められているが、これらを満足する粉砕用メディアは、知られていなかった。本発明は、振動ミル、サンドミル等の粉砕機に用いられるボール、ビーズ等のセラミックス球形体において、粉砕・分散対象の粉砕効率、分散性付与に優れ、使用後の洗浄性にも優れたものを提供することを課題とする。
すなわち本発明は、正方晶の割合が80%以上、95%未満であり、
表面粗さSaが20nm以下であり、
BET法による比表面積測定において、窒素ガスを吸着質としたときの比表面積Aと水蒸気を吸着質としたときの比表面積Bとが、
(B/A)×100≧10(%)
を満足することを特徴とするセラミックス球形体である。
本発明により、粉砕・分散対象への分散性付与に優れ、使用後の洗浄性にも優れるセラミックス球形体を提供することができる。
本発明について以下詳細に説明する。なお、本発明において「以上」とは、そこに示す数値と同じかまたはそれよりも大きいことを意味する。また、「以下」とは、そこに示す数値と同じかまたはそれよりも小さいことを意味する。
本発明のセラミックス球形体を形成するセラミックとしては、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素などが好ましく、これら単独でも用途に応じて適宜複合されていてもよい。なかでも、ジルコニア(ZrO)を主成分とすることが好ましい。ここで、ジルコニアを主成分とする、とは、ジルコニアの比率がセラミックの各金属成分の酸化物換算で90質量%以上であることを意味するが、ジルコニアの比率が全成分の93質量%以上であれば、特に高い強度を得ることが出来るため好ましい。また、後述する安定化剤を添加して強度を高める観点から、96質量%以下が好ましい。
セラミックにおける各成分の含有量は次のようにして求めることができる。まず、セラミックの試料を、万能試験機を用いて圧壊し、圧壊片約0.3gを白金るつぼに入れ、硫酸水素カリウムで融解する。これを希硝酸で溶解して定溶し、ICP発光分光分析法を用いて各金属元素を定量し、さらにそれを酸化物に換算して含有量を求める。以下、本発明のセラミックス球形体における成分を金属元素で表記することもあれば、酸化物で表記することもある。
また、本発明のセラミックス球形体は、上記のような主成分以外に、イットリウム、セリウム、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムから選ばれる少なくとも1種を含むことも好ましい。これらは、セラミックの原料としては、イットリア(Y)、セリア(CeO)、アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、カルシア(CaO)といった酸化物を安定化剤として添加することができる。安定化剤により、セラミックス球形体の強度、靭性を向上させることができる。
例えばジルコニアは、安定化剤の添加量により結晶構造が異なり、安定化剤の添加量が少ないと単斜晶の結晶構造をとり、安定化剤の添加量が増えるに従って正方晶の結晶構造比率が高くなり、さらに添加量が増えると立方晶の結晶構造比率が高くなってゆく。このような安定化剤としてはイットリア、マグネシア、カルシア等を挙げることができ、なかでもイットリアを好ましく用いることができる。
本発明のセラミックス球形体は、正方晶の割合が80%以上、95%未満であることが重要である。正方晶の割合を80%以上とすることで、粉砕・分散対象の処理時に割れや欠けの生じにくい強度を得ることができる。一方、正方晶の割合を95%未満とすることで、粉砕・分散対象の処理時に球形体同士が衝突して摩耗が生じることによる微粒子の粉砕・分散対象への混入を抑えることができる。
本発明のセラミックス球形体の平均粒径が0.03mm〜0.1mmの範囲内の場合には、正方晶の割合は90%以上95%未満とすることがより好ましい。
一方、本発明のセラミックス球形体の平均粒径が0.1mmを超える場合には、正方晶の割合は80%以上90%以下とすることがより好ましい。
正方晶の割合を80%以上95%未満とする上で、セラミックス成形体に安定化剤としてイットリアを含有させる場合の含有量は、4.5質量%以上5.5質量%以下が好ましく、より好ましくは4.7質量%以上5.4質量%以下である。
本発明のセラミックス球形体は、アルミナ(Al)を含有することも好ましい。アルミナには粒界を強化する作用があり、引張りあるいは圧縮に対し強い応力まで耐えられるため、アルミナを含有することでより高強度となる。またジルコニアとアルミナは僅かにしか反応しないため、高温焼結時には結晶粒径の成長を抑える働きがある。
アルミナの含有量としては、セラミックの各金属成分の酸化物換算で0.20質量%以上0.50質量%以下が好ましい。0.20質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上、さらに好ましくは0.36質量%以上とすることで、上記のような効果を得やすくなる。また、0.50質量%以下、より好ましくは0.45質量%以下、さらに好ましくは0.40質量%以下とすることで、靭性の低下を抑えることができる。
また、本発明のセラミックス球形体は、ナトリウムの含有量がセラミックの各金属成分の酸化物に対するNaO換算で0.01質量%以下であることが好ましい。0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下とすることで、焼結時に粉末粒子同士が強く結合して異形状や粗大粒子が生じやすくなるのを抑え、焼結を安定的に行うことができる。
また、本発明のセラミックス球形体は、鉄の含有量をセラミックの各金属成分の酸化物に対するFe換算で0.001質量%以下とすることが好ましい。そうすることで、例えばジルコニアの立方晶の比率を抑え、結晶粒子の成長による巨大粒子の発生を抑えることにより、強度の低下を抑えることができる。また、例えばジルコニアを焼結した際に黄色に呈色して外観が悪くなるのを抑えることができる。
本発明のセラミックス球形体は、焼結密度が5.90g/cm以上であることが好ましい。例えば正方晶酸化ジルコニウムの理論密度は6.10g/cmであるが、内部に空隙が発生したり、立方晶の比率が増えたりすると密度が下がってしまう。この空隙や立方晶の比率の増加は圧壊強度の低下を招いてしまうため、少ない方が好ましく、より好ましくは6.01g/cm以上、さらに好ましくは6.03g/cm以上である。
また、本発明のセラミックス球形体は、その中心を通り表面にまで達する割れ、または直径の1/2以上の長さを有する割れが存在する個体の個数の割合が全体1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下、最も好ましくは0%、すなわちこのような割れが存在しないことである。
本発明のセラミックス球形体は、平均粒径が0.03mm以上0.3mm以下であることが好ましい。0.03mm以上、より好ましくは0.05mm以上とすることで、セラミックス球形体としての物理的強度を保ち、対象物の粉砕・分散処理の際に自身が破壊されるのを防ぐことができる。また、0.3mm以下、より好ましくは0.1mm以下とすることで、効率良く対象物を粉砕・分散処理することができ、また、セラミックス球形体同士での衝突による自身の破壊を防ぐことができる。
ここでいう平均粒径は、累積分布が50%に相当するいわゆるメジアン径(D50)である。
平均粒径は、次のようにして求める。すなわち、300mlのビーカーに電気伝導度が5μm/Sの純水210gと、セラミックス球形体90gとを入れ、よく攪拌した後、超音波発生機に10分間かけて、30重量%のスラリーを調製する。しかる後、粒度分布測定器を用いて平均粒径を測定する。
本発明のセラミックス球形体は、表面粗さSaが20nm以下である。表面粗さSaを20nm以下、より好ましくは10nm以下とすることで、表面を平滑なものとし、耐摩耗性に優れる。特に平均粒径が0.1mm以下の場合は、物理耐性を上げるために正方晶の割合が多く含まれることが好ましいが、前述の通り耐摩耗性を維持することが必要となるため、表面粗さSaは10nm以下とすることがより好ましい。また、表面の凹凸に分散体が侵入することを防ぎ、洗浄を容易にし、再利用の際の粉砕・分散へのコンタミを防ぐことができる。表面粗さSaはISO 25178の算術平均高さにより定められ、レーザー顕微鏡を用いて、非接触で10個を対象に測定し、その平均値を算出する。
本発明のセラミックス球形体は、BET法による比表面積測定において、窒素ガスを吸着質としたときの比表面積Aと水蒸気を吸着質としたときの比表面積Bとが、
(B/A)×100≧10(%)
を満足することが重要である。尚、BET法による比表面積はJIS R1626(1996)に基づいて測定することができる。
上記式の左辺が10%以上、より好ましくは15%以上を満足することで、粉砕・分散対象への分散性付与に優れ、使用後の洗浄性にも優れる。上記式の左辺が高いほど、これらの効果に優れる。これは、セラミックス球形体の表面が親水性の傾向を有していることを意味し、かかる傾向により、粉砕・分散処理において粉砕・分散対象がセラミックス球形体の表面近傍に近づき易く、セラミックス球形体間で挟まれ衝撃により粉砕される機会が増すためと考えられる。また、使用後の洗浄時においては、洗浄液がセラミックス球形体の表面の微細な凹凸にまで浸透し、汚れを浮き上がらせることができるためと考えられる。
また、本発明のセラミックス球形体は、表面の有機物濃度が10ppm以下であることが好ましい。表面の有機物濃度を10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは0.5ppm以下とすることで、上記のような親水性の傾向を効果的に得ることができる。表面の有機物濃度の測定は、JIS K0123(2006)のガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて、加熱の際に生じる二酸化炭素濃度を定量することにより行うことができる。
本発明のセラミックス球形体を製造する方法について、以下説明する。なお、製造工程において一度以上の焼結を経て得られる中間体としてのセラミックス焼結体を総称して「中間焼結体」と呼称する。また、最終製品としてのセラミックス焼結体および中間焼結体の両者を総称して単に「焼結体」とも呼称する。
(原料粉末の合成)
原料粉末の合成方法としては、加水分解法または共沈法等を用いることができる。また、例えばアルミナを添加する場合は、粉末混合法にて添加しても良く、また、加水分解法あるいは共沈法における粉末合成時にアルミニウムの水溶性塩として添加して合成してもよい。
(成形)
原料粉末は、転動造粒成形法あるいはラバープレス成形法を用いて球状に成形される。転動造粒成形法は、回転しているドラム内に、セラミック原料粉末と、結合剤および水分を含む液体バインダーとを交互に添加することによって球状の微粒を形成し、その後、回転の連動を微粒及び粉末に与えることで粒を成長させ、球状の成形体を作製する方法である。ラバープレス成形法は、半球状の2つの金型の間に原料粉末を投入し、金型間に圧力をかけてプレス成形する方法である。
(乾燥)
このように得られた成形体は水分を含んでいるため、そのまま後述する焼結工程に供すると、成形体内部の水分が急激に蒸発することで成形体に割れが生じる可能性がある。そのため、成形体は、焼結工程に供する前に、乾燥機等を用いて成形体内部の水分を徐々に減少させる乾燥工程に供される。
乾燥工程における成形体中の水分の減少速度が大きいと、成形体の収縮による応力が大きくなり乾燥中に割れが生じてしまう。収縮による応力は、成形体のサイズに反比例する。そのため、当該成形体の乾燥前の質量を100質量%とした時、水分減少率K(質量%/h)とサイズD(mm)とを、下式を満足するように設定することで、乾燥中の割れを抑制することができる。
K×D1/2≦0.5D+1 …(式)。
また、乾燥工程における水分減少率(水分の減少速度)は、1.5質量%/h以下とすることが好ましく、より好ましくは1.2質量%/h以下、さらに好ましくは1.0質量%/h以下である。また、水分の減少速度を0.01質量%/h以上とすることで、成形体を複数層積層した状態で乾燥する乾燥工程においても下層の成形体からも水分を効率良く抜くことができる。
(焼結)
成形され乾燥工程を経た成形体を、コウバチ等に入れて焼成炉で焼結する。焼結工程を経ることで、バインダーの除去および粉末粒子の結合がなされ、セラミックス焼結体が得られる。焼結工程では、1350〜1450℃で1〜3時間焼成することが好ましい。
(加圧)
焼結工程を経た焼結体は、そのまま、あるいはさらに後述する研磨を経て、粉砕用メディアとして使用することもできる。しかし、粉砕用メディアの欠陥をさらに減少させるためには、後述する熱間等方圧加圧処理(Hot Isostatic Pressing 以下、「HIP処理」という)を行う熱間等方圧加圧工程を経ることが好ましい。HIP処理は、高温と等方的な圧力を被処理物に同時に加える処理であり、前述の焼結後の中間焼結体にHIP処理を行うことで、形状を変えることなく中間焼結体内部に残存する割れなどの欠陥を除去することが出来る。
HIP処理は、焼結工程における焼結温度Tsに対してTs−50(℃)以上Ts(℃)以下の温度範囲で行うことが好ましい。HIP処理の温度をTs−50(℃)以上、より好ましくはTs−40(℃)以上、さらに好ましくはTs−30(℃)以上とすることで、HIP処理中におけるジルコニア等のセラミック粉末の拡散を十分なものとし、欠陥を効果的に消滅させることができる。一方、HIP処理の温度を焼結温度Ts以下とすることで、中間焼結体の粒成長による強度低下や強度のバラツキを抑えることができる。
HIP処理の圧力は、欠陥を除去出来るのに十分な圧力があればよく、100MPa以上の圧力で処理すれば問題無く処理することができる。高圧状態にするにはArガス雰囲気中で処理することが好ましい。
(研磨)
焼結体は、そのまま粉砕用メディアとして用いることができるが、さらにバレル研磨装置、ボールミル等の装置を用いて表面を研磨することによって、より高品質な粉砕用メディアを得ることができる。
(親水性付与)
前述のとおり、本発明のセラミックス球形体は、親水性の傾向を有していることが重要である。例えば、上記の研磨工程や、さらにその後の洗浄工程において、セラミックス球形体の表面には研磨剤や有機物が残留する場合がある。これらを熱処理により除去することで、表面の有機物濃度を10ppm以下とし、親水性の傾向を付与することができる。
親水性の傾向を付与する方法としては、上記の方法の他に、洗浄時に添加剤を加えて親水性を付与する方法、大気圧プラズマ照射、紫外線照射によって表面処理を施す方法等、様々な方法がある。分散体への影響を鑑みて好適なものを選択することが好ましい。
また、本発明のセラミックス球形体の平均粒径が0.03mm〜0.1mmの範囲内の場合には、熱処理を付与すると400℃を超えた時点で単斜晶の割合が増加し、正方晶の割合が減少するため、残留した研磨剤、有機物を除去するためには、フラッシュランプやIRヒータにより瞬間的に熱処理することや、大気圧プラズマ照射、紫外線照射、洗浄時に添加剤を加える等の常温処理を施すことがより好ましい。
本発明のセラミックス球形体は、粉砕・分散対象の粉砕効率、分散性付与に優れ、使用後の洗浄性にも優れることから、例えば、顔料分散用メディア、金属酸化物の粉砕用メディアなどとして好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[測定方法]
(1)組成比率
試料を、万能試験機を用いて圧壊し、圧壊片約0.3gを白金るつぼに入れ、硫酸水素カリウムで融解した。これを希硝酸で溶解して定溶し、ICP発光分光分析法を用いて各金属元素を定量し、さらにそれを酸化物(ZrO、Y、Al、MgO、NaO、Fe)に換算して含有量を求めた。
(2)結晶相の含有率
試料を樹脂包埋し、断面出しおよび鏡面研磨を行って測定試料とした。それを試料ホルダーに貼り付け、広角X線回折法(微小部X線回折)で測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
X線源:CuK線(多層膜ミラー使用)
出力:50kV、22mA
スリット系:100μmφピンホール
測定範囲:2θ=23°〜33°、70°〜77°
積算時間:3600秒/フレーム。
測定結果より、以下の式を用いてジルコニアの各結晶層の含有率を算出した。
単斜晶の含有率(%)=[{I(111)+I(1−1−1)}/{I(111)+I(1−1−1)+It+c(111)}]×100
立方晶の含有率(%)=[It+c(111)/{I(111)+I(1−1−1)It+c(111)}]×[{I(400)/{I(400)+I(400)+I(004)}×100
正方晶の含有率(%)=100−単斜晶の含有率−立方晶の含有率
ここに、Iは回折強度を示す。添え字のm、t、cはそれぞれ単斜晶、立方晶、正方晶を示す。回折強度の( )内は各結晶の指数を示す。
(3)表面粗さSa
ISO 25178の算術平均高さにより求めた。レーザー顕微鏡を用いて、非接触で10個の球形体を対象に測定し、その平均値を算出した。
(4)比表面積比
JIS R1626(1996)「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」の定容法により、窒素ガスを吸着質としたときの比表面積Aと水蒸気を吸着質としたときの比表面積Bとをそれぞれ測定した。
そして下記式により、比表面積比を算出した。
比表面積比(%)=(B/A)×100 …(式)。
(5)有機物濃度の測定
表面の有機物濃度の測定は、JIS K0123(2006)のガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて、加熱の際に生じる二酸化炭素濃度を定量し算出した。
(6)粉砕・分散性能
各実施例・比較例で得たセラミックス球形体を用いて、ビーズミル装置で、ブラック顔料および酸化チタンをそれぞれ周速12m/secで120min粉砕し、それぞれの粒径d50を測定した。粒径d50は、300mlのビーカーに電気伝導度が5μS/cmの純水210gとブラック顔料あるいは酸化チタン粉末90gとを入れ、よく攪拌した後、超音波発生機に10分間かけて、30質量%のスラリーを調製し、粒度分布測定器を用いて測定した。
また、酸化チタン粉砕に使用したセラミックス球形体を使用後に純水で超音波洗浄し、表面に残留したTiOの有無の観察をSEMにて行った。表面に残留したTiOが認められない場合、使用後の洗浄性に優れていることを示す。
[実施例1]
市販のオキシ塩化ジルコニウムに市販の塩化イットリウムを加えて共沈法で原料粉末を作製した。得られた原料粉末の組成分率は以下のとおりであった。
ZrOの含有量:94.75質量%
の含有量:4.86質量%
Alの含有量:0.38質量%
Feの含有量:0.0002質量%
MgOの含有量:0.001質量%
NaOの含有量:0.0011質量%。
上記原料粉末を用いて転動造粒成形法で、焼結後の平均粒径が0.3mmとなるサイズの成形体を造粒成型した。得られた成形体を水分の減少速度2.0質量%/hで乾燥した(乾燥工程)後に、1400℃で2時間焼成し、中間焼結体を得た(焼結工程)。その後、中間焼結体に対し、1380℃、120MPaで1.5時間、HIP処理を行った(熱間等方圧加圧工程)。得られた焼結体の表面をバレル研磨装置で研磨し、粉砕用メディアを作製した。得られた粉砕用メディアを1400℃で2時間焼成することにより、表面の有機物を除去して、本発明のセラミックス球形体を得た。
[実施例2]
実施例1で用いたのと同様の原料粉末を用いて、転動造粒成形法で焼結後の平均粒径が0.05mmとなるサイズの成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少速度4.6質量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成、HIP処理を行った。得られた焼結体の表面をバレル研磨装置で研磨し、粉砕用メディアを作製した。得られたメディアを1400℃で2時間焼成することにより、表面の有機物を除去して、本発明のセラミックス球形体を得た。
[実施例3]
実施例1で用いたのと同様の原料粉末を用いて、転動造粒成形法で焼結後の平均粒径が0.05mmとなるサイズの成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少速度4.6質量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成、HIP処理を行った。得られた焼結体の表面をバレル研磨装置で研磨し、粉砕用メディアを作製した。得られたメディアをIRヒータを用いて1400℃で2分間アニールすることにより、表面の有機物を除去して、本発明のセラミックス球形体を得た。
[比較例1]
実施例1で用いたのと同様の原料粉末を用いて、転動造粒成形法で焼結後の平均粒径が0.3mmとなるサイズの成形体を造粒した。得られた成形体に対し、実施例1と同じ条件で乾燥、熱処理を行った。得られた焼結体をバレル研磨装置で表面を研磨し、セラミックス球形体を作製した。研磨後の熱処理は行わなかった。
[比較例2]
以下の組成分率の原料粉末を用いた。
ZrOの含有量:94.75質量%
の含有量:5.2質量%
Alの含有量:0.34質量%
Feの含有量:0.0010質量%
MgOの含有量:0.005質量%
NaOの含有量:0.0100質量%
上記原料粉末を用いて転動造粒成形法で、焼結後の平均粒径が0.3mmとなるサイズの成形体を造粒した。得られた成形体に対し、実施例1と同じ条件で、乾燥、焼結を行った。HIP処理は行わなかった。得られた焼結体の表面をバレル研磨装置で研磨し、セラミックス球形体を作製した。研磨後の熱処理は行わなかった。
[比較例3]
実施例1の原料粉末を用いて転動造粒成形法で、焼結後の平均粒径が0.05mmとなるサイズの成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少速度4.6質量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼結を行った。HIP処理は行わなかった。得られた焼結体の表面をバレル研磨装置で研磨し、セラミックス球形体を作製した。研磨後の熱処理は行わなかった。
実施例1〜3、比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
Figure 2021155328

Claims (6)

  1. 正方晶の割合が80%以上、95%未満であり、
    表面粗さSaが20nm以下であり、
    BET法による比表面積測定において、窒素ガスを吸着質としたときの比表面積Aと水蒸気を吸着質としたときの比表面積Bとが、
    (B/A)×100≧10(%)
    を満足することを特徴とするセラミックス球形体。
  2. 表面の有機物濃度が10ppm以下である、請求項1に記載のセラミックス球形体。
  3. 平均粒径が0.03mm以上0.3mm以下である、請求項1または2に記載のセラミックス球形体。
  4. 顔料分散用メディアとして用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス球形体。
  5. 金属酸化物の粉砕用メディアとして用いられる、請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス球形体。
  6. ジルコニアを主成分とする、請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックス球形体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023106178A1 (ja) * 2021-12-06 2023-06-15 東レ株式会社 セラミックス球形体およびその製造方法
WO2024070689A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 東レ株式会社 セラミックス球形体およびセラミックス球形体の製造方法

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