JP2020075236A - 粉砕用メディアの製造方法および粉砕用メディア - Google Patents

粉砕用メディアの製造方法および粉砕用メディア Download PDF

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Masayuki Shinkai
真之 新貝
剛司 西山
Takeshi Nishiyama
剛司 西山
吉野 正樹
Masaki Yoshino
正樹 吉野
村山 秀樹
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秀樹 村山
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Abstract

【課題】粉砕中における破壊を防止するとともに、耐摩耗性を向上し高寿命化した、振動ミル、サンドミル等の粉砕機に用いられるボール、ビーズ等の粉砕用メディアの製造方法の提供。【解決手段】ジルコニアを主成分とするセラミック焼結体からなる粉砕用メディアの製造方法であって:ジルコニアを主成分とするセラミック原料粉末を球状に成形した粒子径D(mm)の成形体を、乾燥前の重量を100重量%として水分減少率A(重量%/h)で乾燥させる乾燥工程;前記乾燥工程を経た成形体を焼結する焼結工程;を有する粉砕用メディアの製造方法であって、前記粒子径Dと水分減少率AがD0.5×A≦0.5D+1の関係を満たす粉砕用メディアの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ボールミル、振動ミル、サンドミル、ビーズミル等の粉砕機において使用されるビーズ、ボール等の、ジルコニアを主成分とするセラミック焼結体からなる粉砕用メディアの製造方法および粉砕用メディアに関するものである。
コンデンサ用の無機粉末あるいは磁性塗料等の分野で、粉末を微粉砕するために、ボールミル、振動ミル、サンドミル、ビーズミル等の、ボール、ビーズ等の粉砕用メディアを用いて粉砕する粉砕機が広く使用されている。こうした粉砕機用に用いられる、ボール、ビーズ等の粉砕用メディア(以下、単に「メディア」という場合がある)として、耐摩耗性、耐衝撃性の面で優れている、ジルコニアを主成分とするセラミック焼結体が使用されている。
ただ、セラミック焼結体の粉砕用メディアであっても、内部に割れ等の欠陥が存在する場合、強度が低下して割れやすくなり、セラミック焼結体の破片が処理材への異物として混入する問題が発生する(例えば特許文献1)。特に、セラミック焼結体の破片が電子部品用材料に異物として混入した場合、電子部品の特性に大きな影響を及ぼす場合がある。また、粉砕用メディアの強度が特に低い場合は、メディアが破壊し、粉砕機内の部品が破損するという問題も生じ得る。
そこで、ZrOとYの組成比率を限定し、Al量およびSiO量を制御することで耐久性および耐摩耗性を向上したメディアが検討されている(例えば特許文献2)。
特開2002−355568号公報 特開2001−316178号公報
しかし、特許文献2に記載の粉砕用メディアの製造方法においては水分の除去が不十分となり、割れ等の欠陥が多数発生する可能性が高かった。
本発明は、振動ミル、サンドミル等の粉砕機に用いられるボール、ビーズ等の粉砕用メディアにおいて、粉砕中におけるメディアの破壊を防止するとともに、メディアの耐摩耗性を向上し高寿命化することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、ジルコニアを主成分とするセラミック焼結体からなる粉砕用メディアの製造方法であって:
ジルコニアを主成分とするセラミック原料粉末を球状に成形した粒子径D(mm)の成形体を、乾燥前の重量を100重量%として水分減少率A(重量%/h)で乾燥させる乾燥工程;
前記乾燥工程を経た成形体を焼結する焼結工程;
を有する粉砕用メディアの製造方法であって、前記粒子径Dと水分減少率AがD0.5×A≦0.5D+1の関係を満たす粉砕用メディアの製造方法。
ジルコニアを主成分とするセラミック焼結体からなる粉砕用メディアの製造方法であって:
ジルコニアを主成分とするセラミック原料粉末を球状に成形した成形体を、乾燥前の重量を100重量%として1.5重量%/h以下の水分減少率で乾燥させる乾燥工程;
前記乾燥工程を経た成形体を焼結する焼結工程;
を有する粉砕用メディアの製造方法である。
本発明により、内部欠陥および内部の密度ムラが除去され、かつ圧壊荷重のバラツキが低減された、セラミック焼結体からなる粉砕用メディアを製造することができる。これにより、粉砕用メディアを粉砕機中で用いた場合に破壊が少なく、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明において製造される粉砕用メディアは、ジルコニアを主成分とするセラミック焼結体からなるものである。なお、以下本明細書においては、最終製品としてのセラミック焼結体、すなわち粉砕用メディア以外の、製造工程において一度以上の焼結を経て得られる中間体としてのセラミック焼結体を総称して「中間焼結体」と呼称する。また、最終製品としてのセラミック焼結体および中間焼結体の両者を総称して単に「焼結体」と呼称する。
本発明の製造方法においては、まず、ジルコニアを主成分とするセラミック原料粉末(以下、単に「原料粉末」という場合がある)を球状に成形する。ここで、本明細書においてジルコニアを主成分とする、とは、ジルコニアの比率が90重量%以上であることを意味するが、ジルコニアの比率が全成分の93重量%以上であれば、特に高い強度を得ることが出来るため好ましい。
ジルコニアは安定化剤の添加量により結晶構造が異なり、安定化剤の添加量が少ないと単斜晶の結晶構造をとり、安定化剤の添加量が増えるに従って正方晶の結晶構造比率が高くなり、さらに添加量が増えると立方晶の結晶構造比率が高くなってゆく。このような安定化剤としてはイットリア、マグネシア、カルシア等が挙げられるが、イットリアが安定化剤として好ましく用いられる。
ジルコニアは正方晶の比率が多い方が強度は高くなる。安定化剤の添加量が多く立方晶の比率が高くなると、強度が下がるために粉砕用メディアの使用中に割れやカケの原因となる。また、安定化剤の添加量が少なく単斜晶の比率が高くても同様に強度が下がり、割れやカケの原因となる。このため正方晶の比率が高くなる安定化剤の添加量が好ましく、原料粉末中に安定化剤としてイットリアを添加する場合の添加量は、好ましくは4.5重量%以上5.5重量%以下、さらに好ましくは4.7重量%以上5.4重量%以下である。
このような原料粉末の合成法としては、加水分解法または共沈法等を用いることができる。
原料粉末にはさらにアルミナを添加してもよい。アルミナを添加する場合は、粉末混合法にて添加しても良く、また、加水分解法あるいは共沈法における粉末合成時にアルミニウムの水溶性塩として添加して合成してもよい。この場合、原料粉末は、アルミナを0.2重量%以上0.5重量%以下含有していることが好ましい。アルミナには粒界を強化する作用があり、引張りあるいは圧縮に対し強い応力まで耐えられるため、アルミナを含有することでより高強度となる。またジルコニアとアルミナは僅かにしか反応しないため、高温焼結時には結晶粒径の成長を抑える働きがある。アルミナの含有量が0.2重量%未満では少量すぎて効果が小さく、逆に0.5重量%を超えると靭性が低下する傾向にある。アルミナの含有量は、より好ましくは0.30重量%以上0.45重量%以下であり、さらに好ましくは0.36重量%以上0.40重量%以下である。
また、原料粉末は、ナトリウム元素の含有量がNaO換算で0.01重量%以下であることが好ましい。原料粉末中にナトリウム元素が存在すると、焼結時に粉末粒子同士が強く結合し、凝集体ができ、異形状や粗大粒子が生じやすくなる。焼結を安定的に行うには、原料粉末中のナトリウム元素の含有量は、NaO換算で0.005重量%以下とすることがより好ましい。
また、原料粉末中の鉄元素量が多くなるとジルコニアの立方晶の比率が変化し、結晶粒子の成長が早くなって巨大粒子を発生しやすくなる結果、強度が低下するため好ましくない。また、ジルコニア中の鉄元素量が多くなると、焼結により外観が黄色に呈色する点でも好ましくない。このため、原料粉末においては鉄元素の含有量がFe換算で0.001重量%以下とすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、原料粉末はまず、転動造粒成形法あるいはラバープレス成形法を用いて球状に成形されることが好ましい。転動造粒成形法は、回転しているドラム内に、セラミック原料粉末と、結合剤および水分を含む液体バインダーとを交互に添加することによって球状の微粒を形成し、その後、回転の連動を微粒及び粉末に与えることで粒を成長させ、球状の成形体を作製する方法である。ラバープレス成形法は、半球状の2つの金型の間に原料粉末を投入し、金型間に圧力をかけてプレス成形する方法である。
粉砕用メディアは真球でないと圧壊荷重が低くなったり摩耗が激しくなったりして、寿命が短くなる。そのため、成形においては真円度が1.1以下の球状に成形することが好ましい。転動造粒成形法では目的径に達したあとにドラム内で成形体を回転し続けることで成形体の真円度を1.1以下とすることが出来る。ラバープレス成形法では金型間に生じるバリを研磨等により除去することで成形体の真円度を1.1以下とすることが出来る。なお、真円度は後述する測定例2の粉砕用メディアの真円度の測定方法と同様の方法で測定するものとする。
このように得られた成形体は水分を含んでいるため、そのまま後述する焼結工程に供すると、成形体内部の水分が急激に蒸発することで成形体に割れが生じる可能性がある。そのため、成形体は、焼結工程に供する前に、乾燥機等を用いて成形体内部の水分を徐々に減少させる乾燥工程に供される。
本発明者らの知見によると、乾燥工程における成形体中の水分の減少速度が大きいと、成形体の収縮による応力が大きくなり乾燥中に割れが生じてしまう。収縮による応力は、成形体のサイズに反比例する。そのため、本発明においては、ジルコニアを主成分とするセラミック原料粉末を球状に成形した粒子径D(mm)の成形体を、乾燥前の重量を100重量%として水分減少率A(重量%/h)で乾燥させる乾燥工程にて、前記粒子径Dと水分減少率AがD0.5×A≦0.5D+1の関係を満たすことにより、乾燥中の割れが抑制できることを見出した。すなわち、乾燥時の収縮による応力は粒子径の平方根及び水分減少率に比例する一方、成形体の割れに対する耐性は粒子径に比例する。そこで乾燥時の収縮による応力を、成形体の割れに対する耐性より小さくすることにより、割れを抑制できると考えた。また、水分減少率は、1.5重量%/h以下が好ましく、1.2重量%/h以下がより好ましく、さらに好ましくは1.0重量%/h以下である。なお、乾燥工程は成形体を複数層積層した状態で乾燥するため減少速度を遅くしすぎると最下層の成形体から水分が減少しにくくなる。このため、乾燥工程における水分の減少速度は0.01重量%/h以上であることが好ましい。粒子径は、後述する測定例5に記載する方法によって求めることができる。また、水分減少率は、後述する測定例6に記載する方法によって求めることができる。
このように、成形され、乾燥工程を経た成形体をコウバチ等に入れて焼成炉で焼成する焼結工程を行うことで、バインダーの除去および粉末粒子の結合がなされ、セラミック焼結体が得られる。焼結工程では、1350〜1450℃で1〜3時間焼成することが好ましい。
焼結工程を経た焼結体は、そのまま、あるいはさらに後述する研磨を経て、粉砕用メディアとして使用することができる。しかし、粉砕用メディアの欠陥をさらに減少させるためには、後述する熱間等方圧加圧工程を行うことが好ましい。以下、焼結工程後にさらに熱間等方圧加圧工程を行う場合について説明する。なお、熱間等方圧加圧工程を行わない場合、前述の焼結工程後の焼結体は最終製品であって「中間焼結体」ではないが、熱間等方圧加圧工程を行う場合の以下の説明においては「中間焼結体」として記述する。
前述の焼結工程後の中間焼結体に、焼結体表面に達する割れが存在していると、次の熱間等方圧加圧処理時に割れ内部にまで雰囲気ガスが侵入してしまうため、欠陥が除去しにくくなる。そのため、焼結後の中間焼結体は、表面に達する割れが少ないことが望ましい。なお、表面に達する割れとは、中間焼結体粒子(本明細書においては、集合としての粉砕用メディアや中間焼結体ではなく、集合に含まれる一つひとつの粉砕用メディア、中間焼結体等を特に表したい場合、「粉砕用メディア粒子」、「中間焼結体粒子」等「粒子」という表現を用いるものとする。)の略中心を通る断面の円において、発生した割れの進展が円の内部で収まらず、円の外周部まで達している割れを指す。
また、表面には達していなくても大きな割れが存在すると、熱間等方圧加圧処理時に割れの部分に十分にセラミック粉末が拡散せず、欠陥を除去しにくくなる。あるいは欠陥を除去できても内部で密度ムラを生じてしまい、脆弱な層を形成してしまうため強度の低下を招いてしまう。よって、焼結後の中間焼結体は、略中心を通る断面に直径に対して1/2以上の長さを有する割れが存在する中間焼結体粒子の割合を1%以下とすることが好ましく、0.5%以下とすることがより好ましく、0.1%以下とすることがさらに好ましく、0%、すなわちこのような割れが存在しないようにすることが最も好ましい。なお、割れの存在やその長さは、中間焼結体粒子の略中心を通る断面を光学顕微鏡で観察することにより確認するものとし、具体的には後述する測定例1の方法により確認する。
〔熱間等方圧加圧工程〕
前述のように、焼結工程で得られた中間焼結体は、次に、熱間等方圧加圧(Hot Isostatic Pressing)処理(以下「HIP処理」という)を行う熱間等方圧加圧工程に供することが好ましい。HIP処理は、高温と等方的な圧力を被処理物に同時に加える処理であり、中間焼結体にHIP処理を行うことで、形状を変えることなく中間焼結体内部に残存する割れなどの欠陥を除去することが出来る。
HIP処理は、焼結工程における焼結温度に対して0℃〜50℃低い温度で行うことが好ましい。それより低い温度であると、HIP処理中におけるジルコニア等のセラミック粉末の拡散が不十分となり、欠陥が残ってしまう場合がある。一方、HIP処理の温度が焼結温度より高いと、中間焼結体が粒成長することで強度低下を招き、また強度のバラツキも大きくなってしまう場合がある。HIP処理の温度は、より好ましくは焼結工程における焼結温度に対して0℃〜40℃低い温度であり、さらに好ましくは0℃〜30℃低い温度である。
HIP処理の圧力は、欠陥を除去出来るのに十分な圧力があればよく、100MPa以上の圧力で処理すれば問題無く処理することができる。高圧状態にするにはArガス雰囲気中で処理することが好ましい。
一般的なHIP処理装置のヒーターはモリブデン、タングステンなどの金属製ヒーターが使用されるが、これらは1350℃以上の温度では溶融してしまう場合がある。従って、HIP処理には溶融の心配のないカーボン系ヒーターを用いた装置が好ましく用いられる。
一般に、このようなカーボン系ヒーターを用いた装置によりHIP処理を行った場合、被処理物はカーボンによって黒く変色する。ところがジルコニアを主成分とする焼結体をHIP処理した場合、焼結体に不純物が存在すると赤く変色したり、変色がまだらになったりする。また、ジルコニアの組成中にNaO、MgO、Feが含まれていると同様に変色を示す。
従って、焼結体中のNaOの含有量は0.01重量%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.005重量%以下である。同様にMgOは0.03重量%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.02重量%以下である。また同様にFeは0.001重量%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.0005重量%以下である。
また、HIP処理後の中間焼結体は、RGBカラーモデルにおける赤、緑、青のそれぞれの値が50以下に変色にすることが好ましい。HIP処理後の中間焼結体の変色は、後述する測定例3の方法で測定するものとする。
本発明においては、熱間等方圧加圧工程を経た中間焼結体を再び焼成する再焼結工程に供することが好ましい。HIP処理した中間焼結体を再焼成することで、HIP処理により変色した中間焼結体を再び白くすることができると同時に、HIPで修復した欠陥部位周辺とそれ以外の部位で生じる密度ムラを解消することが出来る。
再焼結工程の条件は、焼結工程と同じく、1350〜1450℃で1〜3時間が望ましい。再焼結の温度が1350℃未満だと密度ムラが解消できない場合があり、一方1450℃以上だと結晶粒が大きくなる傾向があり、いずれも圧壊強度の低下を招く可能性がある。
最終的な粉砕用メディアの焼結密度は5.90g/cm以上であることが好ましい。正方晶酸化ジルコニウムの理論密度は6.10g/cmであるが、内部に空隙が発生したり、立方晶の比率が増えたりすると密度が下がってしまう。この空隙や立方晶の比率の増加は圧壊強度の低下を招いてしまうため、少ない方が好ましく、焼結密度は5.90g/cm以上、より好ましくは6.01g/cm以上、さらに好ましくは6.03g/cm以上である。
また、粉砕用メディアは、粉砕用メディア粒子の略中心を通る断面に表面にまで達する割れまたは直径の1/2以上の長さを有する割れが存在する粉砕用メディア粒子の割合が1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましく、0%、すなわちこのような割れが存在しないことが最も好ましい。
以上のようにして得られた焼結体は、そのまま粉砕用メディアとして用いることができる。なお、さらにバレル研磨装置、ボールミル等の装置を用いて表面を研磨することによって、より高品質な粉砕用メディアを得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[測定例1]焼結体の割れ・カケ
中間焼結体を研削機でメディア径の40〜60%まで研削した後、さらに粒径6μmのダイヤモンドスラリーで10分以上仕上げ研磨して略断面を得た。得られたサンプルを、デジタルマイクロスコープVHX−2000(Keyence製)で倍率10〜200倍で観察した。測定は、HIP処理後の中間焼結体と最終製品である粉砕用メディアの両方で行った。
中間焼結体・最終製品の両方とも肉眼で観察できる割れの数をカウントし、全ての焼結体粒子の内、割れがある焼結体粒子の割合を割れの発生率として算出した。また、割れのうち、表面部まで達している割れ、または中間焼結体の直径の1/2以上の長さを有するものについてもそれぞれ全ての中間焼結体に対する割合を算出した。割れが複数あるときは長径の合計値を割れの長さとした。測定は1水準につき200個のメディアに対して行った。
[測定例2]粉砕用メディアの真円度
粉砕用メディアをガラス等の透明板の上に載せ、透明板の下側から光りを当てて透過光像を対象レンズを通して観察した。接眼レンズ側にカメラを取り付け得られた観察像に対して、画像解析・計測ソフトウェア「WinRoof2015 Standard」(三谷商事製)を用いて真円度を計測した。計測は100個以上行い、その平均値を真円度とした。
[測定例3]HIP処理後の中間焼結体の変色評価
測定例1において断面出しを行ったHIP処理後の中間焼結体の当該断面を、デジタルマイクロスコープVHX−2000(Keyence製)を用いて倍率10〜200倍で観察を行い、得られた画像をRGBカラーモデルで表し、赤・青・緑の各要素の値を取得した。測定は1水準につき10個のメディアで行い、値は中間焼結体の平均値を採用した。
[測定例4]粉砕用メディアの圧壊荷重
粉砕用メディアを直径20mmのジルコニア製の円柱状冶具で挟み、電子式万能試験機CATY−2000YD(米倉製作所製)で0.5mm/minの速度で圧縮荷重をかけ、破壊したときの荷重値を測定した。1水準につき30回(30個)測定し、平均値と標準偏差を算出した。
[測定例5:粒子径]
デジタルマイクロスコープVHX−2000(キーエンス社製)を用いて倍率10〜200倍で観察を行い、約100個の成形体を撮影した。測定のバラツキを抑制し、精度良く評価するために、一視野ごとに撮影した複数の画像を結合し、測定用画像を得た。画像解析・計測ソフトウェアWinROOF(登録商標:三谷商事製)を用いて測定用画像の明度を基準として2値化することにより成形体と基材部を分離し、二値化画像を得た。二値化画像を円形図形分離し、分離したそれぞれの円の直径を測定し、成形体の粒子径を求めた。
[測定例6:水分減少率]
水分計MOC63u(島津製作所製)を用いて、乾燥前のセラミックス粒子の水分率を測定し、乾燥開始から経時的に水分率を測定し、時間に対する水分減少率を算出した。
[実施例1]
オキシ塩化ジルコニウムに塩化イットリウムを加えて共沈法で原料粉末を作製した。得られた原料粉末の諸元は以下の通りであった。
の含有量 :4.86 重量%
Alの含有量 :0.38 重量%
Feの含有量 :0.0002 重量%
MgOの含有量 :0.001 重量%
NaOの含有量 :0.0011 重量%
次に上記原料粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が5mmとなるサイズまで成形体を造粒成型した。得られた成形体を水分の減少速度0.8重量%/hで乾燥した(乾燥工程)後に、1400℃で2時間焼成し、中間焼結体を得た(焼結工程)。その後、中間焼結体に対し、1380℃、120MPaで1.5時間HIP処理を行った(熱間等方圧加圧工程)。その後、さらに中間焼結体を1400℃で2時間再焼成した(再焼結工程)。さらに、バレル研磨装置で得られた焼結体の表面を研磨し、粉砕用メディアを作製した。
[実施例2]
実施例1の原料粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が5mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率0.1重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成を行った。その後HIP、再焼結工程を経ず、得られた焼結体をバレル研磨装置で表面を研磨し、球径粉砕用メディアを作製した。
[実施例3]
実施例1の原料粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が5mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率0.3重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成を行った。その後1300℃、120MPaで1.5時間HIP処理を行った。その後1400℃で1h再焼成を行った。得られた焼結体は研磨剤を用いずにバレル研磨装置で表面を研磨し、球径粉砕用メディアを作製した。
[実施例4]
実施例1の原料粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が5mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率1.4重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成を行った。その後1350℃、120MPaで1.5時間HIP処理を行った。その後1400℃で1h再焼成を行った。得られた焼結体は研磨剤を用いずにバレル研磨装置で表面を研磨し、球径粉砕用メディアを作製した。
[実施例5]
以下の諸元の粉末を用いて造粒を行った。
の含有量 :5.2重量%
Alの含有量 :0.34重量%
Feの含有量 :0.0010 重量%
MgOの含有量 :0.005 重量%
NaOの含有量 :0.0100 重量%
次に上記粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が5mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率0.8重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成、HIP処理、再焼成を行った。さらに、バレル研磨装置で得られた焼結体の表面を研磨し、粉砕用メディアを作製した。
[実施例6]
実施例1の粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が5mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率0.05重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成、HIP、再焼結行った。得られた焼結体は研磨剤を用いずにバレル研磨装置で表面を研磨し、球径粉砕用メディアを作製した。
[実施例7]
実施例1の粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が5mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率1.3重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成、HIP、再焼結行った。得られた焼結体は研磨剤を用いずにバレル研磨装置で表面を研磨し、球径粉砕用メディアを作製した。
[実施例8]
実施例1の粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が0.3mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率2.0重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成、HIP、再焼結行った。得られた焼結体は研磨剤を用いずにバレル研磨装置で表面を研磨し、球径粉砕用メディアを作製した。
[比較例1]
実施例1の粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が5mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率4.4重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成、HIP処理、再焼成を行った。得られた焼結体はバレル研磨装置で表面を研磨し、粉砕用メディアを作製した。
[比較例2]
実施例1の粉末を用いて転動造粒成形法で焼結後の粒子径が0.3mmとなるサイズまで成形体を造粒した。得られた成形体を水分の減少率3.5重量%/hで乾燥して水分を除去した後に、実施例1と同じ条件で焼成、HIP処理、再焼成を行った。得られた焼結体はバレル研磨装置で表面を研磨し、粉砕用メディアを作製した。
実施例1〜7、比較例1における粉砕用メディアの製造方法の概略と、得られた粉砕用メディアの評価結果を表1に、実施例8、比較例2における粉砕用メディアの製造方法の概略と、得られた粉砕用メディアの評価結果を表2にそれぞれ示す。
Figure 2020075236
Figure 2020075236

Claims (7)

  1. ジルコニアを主成分とするセラミック焼結体からなる粉砕用メディアの製造方法であって:
    ジルコニアを主成分とするセラミック原料粉末を球状に成形した粒子径D(mm)の成形体を、乾燥前の重量を100重量%として水分減少率A(重量%/h)で乾燥させる乾燥工程;
    前記乾燥工程を経た成形体を焼結する焼結工程;
    を有する粉砕用メディアの製造方法であって、前記粒子径Dと水分減少率AがD0.5×A≦0.5D+1の関係を満たす粉砕用メディアの製造方法。
  2. ジルコニアを主成分とするセラミック焼結体からなる粉砕用メディアの製造方法であって:
    ジルコニアを主成分とするセラミック原料粉末を球状に成形した成形体を、乾燥前の重量を100重量%として1.5重量%/h以下の水分減少率で乾燥させる乾燥工程;
    前記乾燥工程を経た成形体を焼結する焼結工程;
    を有する粉砕用メディアの製造方法。
  3. さらに、
    前記焼結工程を経た中間焼結体を熱間等方圧加圧処理する熱間等方圧加圧工程;
    前記熱間等方圧加圧工程により得られた中間焼結体を再び焼結する再焼結工程;
    を有する、請求項1または2に記載の粉砕用メディアの製造方法。
  4. 前記熱間等方圧加圧処理を、前記焼結工程における焼結温度に対して0℃〜50℃低い温度で行う、請求項3に記載の粉砕用メディアの製造方法。
  5. 前記熱間等方圧加圧処理前の中間焼結体において、各中間焼結体粒子の略中心を通る断面に直径に対して1/2以上の長さを有する割れが存在する中間焼結体粒子の割合を1%以下とする、請求項3または4に記載の粉砕用メディアの製造方法。
  6. 前記熱間等方圧加圧処理後の中間焼結体におけるRGBカラーモデルにおける赤、青、緑の各要素が50以下である、請求項3〜5のいずれかに記載の粉砕用メディアの製造方法。
  7. ジルコニアを主成分とする粉砕用メディアであって、粉砕用メディア粒子の略中心を通る断面に表面にまで達する割れまたは直径の1/2以上の長さを有する割れが存在する粉砕用メディア粒子の割合が1%以下である粉砕用メディア。
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