JP2021136882A - 乳化油脂組成物 - Google Patents

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一洋 浜本
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貴美子 齋藤
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漠 牛島
晶 太田
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晶 太田
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Abstract

【課題】動物性原料を含まない乳化油脂組成物であって、動物性原料が有する風味である爽やかさと甘みとを備える、乳化油脂組成物の提供。【解決手段】麹発酵物を含み、かつ、水相のpHが3.1〜6.0である、乳化油脂組成物。麹発酵物は、米の麹発酵物であってもよい。水相は、果汁を含むことができ、油相は、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂を含むことができる。水相のブリックス値は、2〜40であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、乳化油脂組成物に関する。
近年、バターの原料不足等から、マーガリン等の乳化油脂組成物をバター等の代替物として利用する現状がある。他方で、このような乳化油脂組成物は、通常、動物性原料(乳成分等)を含まないことから、風味に劣る傾向があることが知られる。
そこで、動物性原料を含まない風味増強剤について各種提案されており、例えば、特許文献1では、植物由来エキス及び糖類を含む、乳風味増強剤が提案されている。
特開2017−131176号公報
しかし、動物性原料が有する風味(爽やかさ、甘み等)を実現できる風味増強剤に対するさらなるニーズがある。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、爽やかさと、甘みとを備える乳化油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、麹発酵物を含み、かつ、水相のpHが所定の範囲である乳化油脂組成物によれば上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
(1) 麹発酵物を含み、かつ、水相のpHが3.1以上6.0以下である、乳化油脂組成物。
(2) 前記麹発酵物が、米の麹発酵物である、(1)に記載の乳化油脂組成物。
(3) 前記水相が、果汁を含む、(1)又は(2)に記載の乳化油脂組成物。
(4) 油相が、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂を含む、(1)から(3)のいずれかに記載の乳化油脂組成物。
(5) 前記水相のブリックス値が2以上40以下である、(1)から(4)のいずれかに記載の乳化油脂組成物。
(6) 油中水型乳化油脂組成物である、(1)から(5)のいずれかに記載の乳化油脂組成物。
本発明によれば、爽やかさと、甘みとを備える乳化油脂組成物が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
<乳化油脂組成物>
本発明の乳化油脂組成物は、以下の要件を全て満たす。
(1)麹発酵物を含む。
(2)水相のpHが3.1以上6.0以下である。
麹発酵物は、従来より各種飲食品に配合され、独特の風味やうま味味等を有することが知られる。
他方で、本発明者らの検討の結果、意外にも、麹発酵物が配合された乳化油脂組成物において、水相のpHを3.1以上6.0以下に調整すると、麹発酵物が有する風味(甘み等)を損なうことなく、爽やかさをも付与でき、爽やかさと、甘みとを高めることができることが見出された。乳化油脂組成物に麹発酵物を配合した場合であっても、水相のpHが上記範囲外であると、爽やかさ、及び甘みのいずれか又は両方を高めることができなかった。
本発明において「爽やかさ」とは、さっぱりとした後味の良さを意味する。通常、麹発酵物単独ではこのような風味は奏されない。
本発明において「甘み」とは、糖等のような甘さを意味し、主に麹発酵物に由来する風味である。本発明によって奏される麹発酵物に由来する風味として「コク」も挙げられる。
以下、本発明の乳化油脂組成物の詳細について説明する。
(麹発酵物)
本発明において「麹発酵物」とは、麹を用いて得られる食用可能な発酵物である。
本発明において「麹」とは、コウジカビ(代表的には、Aspergillus P. Micheli ex Link)を穀物等(米、麦、大豆、ふすま、ぬか等)に繁殖させたものである。
麹発酵物の由来となる発酵対象物としては、米、米ぬか、麦、大豆等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果を奏しやすいという観点から、米が好ましい(換言すれば、本発明の麹発酵物は、好ましくは米の麹発酵物である。)。
麹発酵物の製造方法は特に限定されず、発酵対象物等に応じた従来知られる発酵方法を採用できる。発酵物は液汁を漉した固形物であってもよく、液汁と固形物との混合物であってもよい。また、これらを濃縮したものや、乾燥させ粉末化したものであってもよい。
麹発酵物としては、麹甘酒、酒粕、味醂粕、味噌、醤油等が挙げられる。これらの麹発酵物は、市販のものであってもよい。これらのうち、甘みや爽やかさをより高めやすいという観点から、麹甘酒、酒粕、又は味醂粕が好ましく、麹甘酒がより好ましい。
麹発酵物は1種単独で用いてもよく、2種以上の麹発酵物の組み合わせであってもよい。
麹発酵物は、本発明の乳化油脂組成物において、通常、水相中に分布する。
麹発酵物の配合量は、得ようとする爽やかさや、甘みの強さ等に応じて適宜調整できる。
麹発酵物の配合量の下限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、最も好ましくは5質量%以上である。
麹発酵物の配合量の上限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは16質量%以下、より好ましくは12質量%以下、最も好ましくは11質量%以下である。
乳化油脂組成物の原料として用いる麹発酵物のpHは5.0〜6.0であることが好ましい。
(水相)
乳化物を構成する水相には、水性溶媒(水等)、麹発酵物、及び、任意に水溶性成分が含まれる。
本発明における水相は、pHが3.1以上6.0以下に調整される。水相のpHが3.1未満であると良好な爽やかさを実現することが難しく、甘みを損ない得る。水相のpHが6.0超であると充分な爽やかさ、及び甘みを両立させることが難しく、特に爽やかさが損なわれ得る。
水相のpHの下限は、3.1以上であり、好ましくは3.2以上であり、より好ましくは3.5以上である。
水相のpHの上限は、6.0以下であり、好ましくは5.5以下であり、より好ましくは5.0以下であり、最も好ましくは4.5以下である。
水相のpHは、pHを調整することができる任意の成分を使用して調整してもよい。このような成分としては、飲食品のpH調整剤として知られる酸性成分又はアルカリ性成分を使用できる。
pHを調整するための酸性成分としては、クエン酸、乳酸、リン酸等が挙げられる。
pHを調整するためのアルカリ性成分としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
水相のpH調整のために、上記成分を単独又は組み合わせて用いてもよく、上記成分を含む溶液(果汁等)等を用いてもよい。
水相には、爽やかさと、甘みとを備える乳化油脂組成物が得られやすいという観点から、果汁が含まれていることが好ましい。果汁は、果物や野菜の搾汁そのものや、その濃縮物であってもよい。また、果汁は1種単独で用いてもよく、2種以上の果汁の組み合わせであってもよい。
果汁としては、特に限定されないが、柑橘系果汁(グレープフルーツ果汁、オレンジ果汁、レモン果汁等)、リンゴ果汁、ココナッツ果汁等が挙げられる。これらのうち、pHを所望の範囲に調整しやすく、良好な爽やかさを実現しやすいという観点から、柑橘系果汁(グレープフルーツ果汁、オレンジ果汁、レモン果汁等)が好ましく、グレープフルーツ果汁が特に好ましい。
水相に果汁が含まれる場合、その含量の下限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。
水相に果汁が含まれる場合、その含量の上限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下である。
乳化油脂組成物の原料として用いる果汁のpHは、好ましくは2.5以上4.5以下、より好ましくは2.8以上3.5以下である。
乳化油脂組成物の原料として用いる麹発酵物のpHは、好ましくは5.0以上6.5以下である。
水相中の各成分の含量は、含まれる成分の種類や、実現しようとする爽やかさや甘みの程度等に応じて適宜調整できる。
例えば、水相のブリックス値が、好ましくは1.5以上40以下、より好ましくは3以上30以下、さらに好ましくは10以上25以下の範囲になるように水相中の成分量を調整してもよい。
水相に含まれる麹発酵物は、そのブリックス値が、好ましくは0.5以上35以下、より好ましくは10以上20以下となるように調整される。
水相に含まれる果汁は、そのブリックス値が、好ましくは0.2以上10以下、より好ましくは0.5以上3以下となるように調整される。
なお、乳化油脂組成物の原料として用いる麹発酵物は、ブリックス値が好ましくは30以上55以下である。
乳化油脂組成物の原料として用いる果汁は、ブリックス値が好ましくは35以上65以下、より好ましくは43以上50以下である。
本発明において「ブリックス値」とは、可溶性固形成分濃度(単位:°Bx)を意味する。ブリックス値は、市販の糖度計等で特定される。
水性溶媒の含量は、乳化油脂組成物を調製できる任意の量であり得る。
水性溶媒の含量の下限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。
水性溶媒の含量の上限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
水相中の成分の総質量に対する、水性溶媒以外の水相中の成分の総質量の割合(水性溶媒以外の水相成分の総質量/水相の総質量)は特に限定されないが、例えば、3以上96以下が好ましく、5以上80以下がより好ましく、30以上50以下が最も好ましい。
(油相)
本発明の乳化油脂組成物は、乳化油脂組成物に通常配合され得る任意の油脂を含む。通常、該油脂が、本発明の乳化油脂組成物における油相に相当する。
油脂としては、通常、食用油脂が用いられる。このような油脂としては、植物性油脂、動物性油脂、合成油脂、加工油脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせた調合油として用いてもよい。
植物性油脂としては、大豆油、ナタネ油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米ぬか油、小麦胚芽油、ヤシ油、カカオ脂、パーム油、パーム核油及び藻類油等が挙げられる。
動物性油脂としては、魚油(マグロ、サバ、イワシ、カツオ、ニシン等に由来する油脂)、豚脂、牛脂、乳脂、羊脂等が挙げられる。
合成油脂としては、中鎖脂肪酸油等が挙げられる。
加工油脂としては、上記の油脂に対して所望の処理を施した油脂であってもよい。このような処理としては、分別(例えば分別乳脂低融点部、パームスーパーオレイン等の分別)、硬化、エステル交換等が挙げられる。油脂に対しては、1又は2以上の処理を施してもよい。
乳化油脂組成物を配合する対象(生地等)中に均一に分散しやすい乳化油脂組成物を得られるという観点から、油脂は、ラウリン系油脂(a1)とパーム系油脂(a2)とのエステル交換油脂(a)を含むことが特に好ましい。
エステル交換油脂(a)の原料であるラウリン系油脂(a1)は、通常、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上の油脂であり、例えば、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記のラウリン系油脂(a1)のうち、ヤシ油等に比べて融点が高く、高融点のエステル交換油脂(a)を容易に得られるという観点から、パーム核油、その分別油や硬化油が好ましい。
ラウリン系油脂(a1)が硬化油を含む場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、微水素添加した硬化油、低温硬化した硬化油、又は完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
エステル交換油脂(a)の原料であるパーム系油脂(a2)は、通常、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上である。パーム系油脂(a2)としては、パーム油、パーム分別油やこれらの硬化油等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
パーム分別油としては、硬質部、軟質部、中融点部等を用いることができる。
パーム系油脂(a2)が硬化油を含む場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、微水素添加した硬化油、低温硬化した硬化油、又は完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
パーム系油脂(a2)は、ヨウ素価が50以上60以下の油脂を含有することが好ましい。ヨウ素価が50以上60以下の油脂を用いることで、含有する飽和脂肪酸量から結晶性に優れ、また不飽和脂肪酸を含む点からフレーバーリリースと可塑性に優れた油脂の作製が可能となる。
エステル交換油脂(a)において、ラウリン系油脂(a1)と、パーム系油脂(a2)とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。
化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられる。
酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられる。位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。
エステル交換反応に用いる酵素触媒は、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定化したものを用いても、粉末形態のものを用いてもよい。
エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、ラウリン系油脂(a1)とパーム系油脂(a2)とのエステル交換反応が完了すると、通常、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂(a)中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55の範囲内となる。SUS/SSUがこの範囲内であると、他の油脂との相溶性が良好になる。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、反応条件は特に限定されないが、例えば、触媒を油脂質量に対して0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間撹拌することでラウリン系油脂(a1)とパーム系油脂(a2)とのエステル交換反応を平衡状態まで進行させ、エステル交換油脂(a)を得てもよい。
エステル交換反応に酵素触媒を用いる場合、反応条件は特に限定されないが、例えば、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を平衡状態まで進行させ、エステル交換油脂(a)を得てもよい。
エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法でも行うことができる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行ってもよい。
エステル交換油脂(a)は、ヨウ素価が20以上45以下であることが好ましく、30以上40以下であることがより好ましい。ヨウ素価がこの範囲内であると、他の油脂との相溶性がよくなり、甘み、コク、爽やかさが良好であるとともに、乳化状態が良好な乳化油脂組成物を容易に得ることができ、爽やかさが特に良好な乳化油脂組成物を得ることができる。エステル交換油脂(a)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。エステル交換油脂(a)を2種以上組み合わせて使用する場合は、油脂全体のヨウ素価が上記範囲となるように調整することができる。
本発明の油脂組成物において、エステル交換油脂(a)の含有量は、油脂全体の質量に対して40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。エステル交換油脂(a)の含有量がこの範囲であると、爽やかさ、甘み及びコクが良好な乳化油脂組成物を容易に得ることができる。
ラウリン系油脂(a1)における全構成脂肪酸中のラウリン酸の割合、パーム系油脂(a2)における全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量、エステル交換反応の平衡状態は、ガスクロマトグラフ法により確認することができる。
油脂の含量(複数の種類の油脂を含む場合はその総量)は、乳化油脂組成物を調製できる任意の量であり得る。
油脂の含量の下限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
油脂の含量の上限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは98質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
(その他の成分)
本発明の乳化油脂組成物には、その水相及び/又は油相に、上記以外に必要に応じて乳化剤、糖類、増粘安定剤、タンパク質、アルコール、着色料、呈味素材、フレーバー(香料)等を配合することができる。
乳化剤としては、通常食品に添加することができる乳化剤であれば特に制限はなく、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、レシチン(大豆レシチン、卵黄レシチン、酵素分解レシチン等)、スフィンゴ脂質、植物ステロール類、トマト糖脂質、サポニン(大豆サポニン、キラヤサポニン等)、ポリソルベート、ステアロイル乳酸塩(ナトリウム、カルシウム)等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乳化剤の含量は、乳化油脂組成物を調製できる任意の量であり得る。
乳化油脂組成物に乳化剤が含まれる場合、その含量の下限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。
乳化油脂組成物に乳化剤が含まれる場合、その含量の上限は、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
糖類としては、例えば、砂糖、異性化糖、液糖、澱粉糖化物、糖アルコール、乳糖等が例示される。前記糖アルコールとしては、1糖アルコール(ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール等)、2糖アルコール(マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール)、3糖アルコール(マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等)、4糖アルコール(マルトテトライトール等)等が挙げられる。
増粘安定剤としては、例えば、寒天、アルギン酸ナトリウム、PGA(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、グルコマンナン、ジェランガム、大豆多糖類、イヌリン、タラガム、ローカストビーンガム、カードラン、アラビアガム、タマリンドシードガム、ウェランガム、ペクチン、結晶セルロース、セルロースエーテル等が例示される。前記セルロースエーテルとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
タンパク質としては、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、牛乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等)、発酵乳、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、小麦タンパク質等が挙げられ、その分解物等も好適に使用できる。
アルコールとしては、例えば、エタノール、グリセリン等が挙げられる。
呈味素材としては、各種動植物素材の発酵物や抽出物等が挙げられる。例えば大麦発酵物、魚介エキス(ダシ)、キノコエキス、酵母エキス等が例示される。
フレーバーとしては、例えば、バターフレーバー、ミルクフレーバー、クリームフレーバー、チーズフレーバー、チョコレートフレーバー、コーヒーフレーバー、紅茶フレーバー、カスタードフレーバー、ナッツフレーバー、フルーツフレーバー、はちみつフレーバー、メイプルフレーバー等が挙げられる。
(動物性原料)
本発明の乳化油脂組成物は、爽やかさと、甘みとを備える。本発明の乳化油脂組成物によって奏される爽やかさ、及び甘みは、動物性原料を含む乳化油脂組成物と同等であり得る。
したがって、本発明の乳化油脂組成物は、動物性原料を含んでいなくともよい。ただし、本発明の乳化油脂組成物において動物性原料が含まれる態様は排除されない。本発明の乳化油脂組成物に動物性原料が含まれる場合、その総量は少量であってもよく、例えば、乳化油脂組成物全体に対して、好ましくは10質量%以下である。
本発明において「動物性原料」とは、哺乳類(ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ等)に由来する原料を意味し、例えば、動物性油脂、乳成分及びその加工品(生乳、粉乳、バター、チーズ等)が挙げられる。
本発明において「動物性原料を含む乳化油脂組成物」とは、例えば、バター、チーズ、コンパウンド(植物脂肪及び乳脂肪を含む)、マーガリン等が挙げられる。本発明の乳化油脂組成物は、これらの動物性原料を含む乳化油脂組成物の代替物となり得る。
(各成分の配合比)
本発明の効果をより奏しやすくする観点から、乳化油脂組成物の構成成分は以下のいずれか、又は全てを満たすように調整することが好ましい。
乳化油脂組成物において、果汁の質量に対する麹発酵物の質量の比率を好ましくは0.1以上65以下、より好ましくは5以上30以下に調整してもよい。果汁の質量に対する麹発酵物の質量の比率が上記範囲内にあると、良好な爽やかさ、甘み及びコクを有する乳化油脂組成物が得られやすく、さらには、乳化油脂組成物を食パン等に配合した際に発酵臭を抑制し、コク及び香ばしさが良好になるというメリットがある。
乳化油脂組成物において、果汁のブリックス値に対する麹発酵物のブリックス値の比率を好ましくは0.03以上120以下、より好ましくは2.0以上60以下、最も好ましくは3.5以上25以下に調整してもよい。果汁のブリックス値に対する麹発酵物のブリックス値の比率が上記範囲内にあると、良好な爽やかさ、甘み及びコクを有する乳化油脂組成物が得られやすく、さらには、乳化油脂組成物を食パン等に配合した際に発酵臭を抑制し、コク及び香ばしさが良好になるというメリットがある。
<乳化油脂組成物の製造方法>
本発明の乳化油脂組成物は、水相及び油相を含む乳化油脂組成物の製造方法として知られる任意の方法によって製造することができる。
乳化油脂組成物の形態は特に限定されないが、例えば、油中水型(W/O)乳化物、油中水中油型(W/O/W)乳化物、水中油型(O/W)乳化物、水中油中水型(O/W/O)乳化物等が挙げられる。
本発明の乳化油脂組成物は、バター等の代替物となり得ることから、油中水型乳化油脂組成物であることが好ましく、可塑性油中水型乳化油脂組成物であることがより好ましい。
水相及び油相は、各相を構成する成分を、撹拌機等を用いて適宜混合撹拌することで得られる。
乳化物は、水相及び油相から乳化物を製造できる任意の方法によって得られる。このような方法としては、水相を撹拌しながら油相を添加する方法、油相を撹拌しながら水相を添加する方法、水相及び油相を同時に添加して混合する方法等が挙げられる。
乳化剤を用いる場合、乳化剤は、その性質等に応じて任意のタイミングで水相及び油相に添加できる。
本発明の乳化油脂組成物の製造に際して、水相と油相との割合(質量比)は、好ましくは、水相:油相=30:70〜10:90である。
<乳化油脂組成物の性質>
本発明の乳化油脂組成物は、爽やかさと、甘みとを備える。本発明の乳化油脂組成物は、コクをも備え得る。乳化油脂組成物の爽やかさ、甘み、及びコクの有無や程度は、実施例に示した官能評価によって特定される。
<乳化油脂組成物の用途>
本発明の乳化油脂組成物は、任意の飲料及び食品等に配合して用いることができる。本発明の乳化油脂組成物によれば、該組成物を配合された飲食品等の風味(コク、香ばしさ等)を高めることができる。
本発明の乳化油脂組成物は、本発明の乳化油脂組成物が配合される飲食品等において、該飲食品等の原料に由来する不快臭(発酵臭、ふすま臭、コラーゲン臭等)を抑制し得る。
本発明の乳化油脂組成物は、動物性原料を含む乳化油脂組成物(バター等)の代替物となり得ることから、例えば、マーガリン、ファットスプレッド等として利用できる。
本発明の乳化油脂組成物を配合し得る飲食等としては、特に限定されないが、製菓(クッキー等)、製パン(食パン等)等が挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<乳化油脂組成物の作製>
下記の方法で、表2〜5に示す油相及び水相を有する乳化油脂組成物を作製した。
(1)油相を構成する油脂を混合後、75℃に調温して油相を得た。
(2)水に対し、水相を構成する全成分を添加し、85℃で加熱殺菌して水相を得た。
(3)油相に水相を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌して乳化(油中水型)した後、パーフェクターによって急冷捏和し、油中水型の乳化油脂組成物を得た。
(4)得られた乳化油脂組成物は、以下の官能試験に供するまで5℃で保管した。
表2〜5に示すエステル交換油脂1〜3の詳細は以下のとおりである。
(エステル交換油脂1)
以下のラウリン系油脂(a1−1)とパーム系油脂(a2−1)とのエステル交換油脂である。
ラウリン系油脂(a1−1):パーム核油(ヨウ素価18)
パーム系油脂(a2−1):パーム油(ヨウ素価53)
反応条件:パーム核油50質量%、パーム油50質量%を原料に使用してエステル交換反応を行い、エステル交換油脂1を得た。この油脂のヨウ素価は35.5であった。
(エステル交換油脂2)
以下のラウリン系油脂(a1−2)とパーム系油脂(a2−2)とのエステル交換油脂である。
ラウリン系油脂(a1−2):パーム核極度硬化油(ヨウ素価2)
パーム系油脂(a2−2):パーム油(ヨウ素価53)及びパーム極度硬化油(ヨウ素価2)
反応条件:パーム核極度硬化油25質量%、パーム油50質量%、パーム極度硬化油25質量%を混合して110℃に加熱し、充分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間撹拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、さらに脱臭を行ってエステル交換油脂2を得た。この油脂のヨウ素価は27.5であった。
(エステル交換油脂3)
以下のパーム系油脂(a2−3)のエステル交換油脂である。
パーム系油脂(a2−3):パーム分別軟質油
反応条件:パーム分別軟質油100質量%を原料に使用してエステル交換反応を行い、エステル交換油脂3を得た。この油脂のヨウ素価は56であった。
油中水型乳化油脂組成物の作成にあたり、実施例4−2以外の実施例、及び比較例では油相及び水相は質量比が油相:水相=83:17となるように混合した。実施例4−2では油相及び水相は質量比が油相:水相=70:30となるよう混合した。なお、水相中の溶媒(水)の量は、「水相合計量」から「水相」中の「材料」に記載された数値を引いた値である。
表2〜5中、「油相」、「油相合計量」、「水相」の「材料」、及び「水相合計量」の項目に記載された数値の単位は「質量%」である。
「油相」の項に示された数値は、各成分が「油相合計量」に占める割合を意味する。例えば、「実施例1−1」において、「エステル交換油脂1」は、「油相合計量」に対して25質量%配合される。
「水相」の「材料」の項に示された数値は、各成分が乳化油脂組成物全体に占める割合(質量%)を意味する。
「水相合計量」の項に示された数値は、水相の総量(「材料」に示された成分及び溶媒の総量)が乳化油脂組成物全体に占める割合(質量%)を意味する。
表2〜5中、「水相」(「材料」の項)の項において、「麹発酵物」、「果汁」の欄の上段(括弧が付されていない数値)に各成分の量(単位:質量%)を示し、下段(括弧が付された数値)に各成分中のブリックス値(可溶性固形成分の量、単位:°Bx)を示した。
例えば、「実施例1−1」において、「麹発酵物1」の配合量は、乳化油脂組成物全体に対して「0.5質量%」であり、「麹発酵物1」の水相中のブリックス値が「1.0°Bx」であることを意味する。
なお、麹発酵物の水相中のブリックス値は、表1に示す麹発酵物のブリックス値から算出される。例えば、「実施例1−1」における「麹発酵物1」の水相中のブリックス値は、35(麹発酵物1のブリックス値)×0.5(乳化油脂組成物全体に対する配合率)/17(水相合計量)=約1.0°Bxと算出される。
表2〜5中、「水相pH」は、水相のpHをpH測定器(LAQUA D−72、HORIBA社製)によって測定した値である。
表2〜5中、「水相ブリックス値」は、水相のブリックス値を糖度計(HAND REFRACTOMETER、ATAGO社製)によって測定した値である。
表2〜5中、「水相ブリックス値」は、水相中の「麹発酵物」及び「果汁」に含まれる可溶性固形成分の総量(単位:°Bx)を意味する。
表2〜5中、「麹発酵物/果汁」の項において、上段(括弧が付されていない数値)に「果汁」の質量に対する「麹発酵物」の質量の比率を示し、下段(括弧が付された数値)に「果汁」のブリックス値に対する「麹発酵物」のブリックス値の比率を示した。
表2〜5中、「水相成分/水相合計量」は、「水相」の「材料」の項に示された成分の総量が「水相合計量」の値に占める割合を意味する。
本例で用いた原料のブリックス値及びpHを表1に示す。なお、表1中、麹発酵物1〜3は、いずれも米の麹発酵物である。
Figure 2021136882
<食パンの作製>
上記で作製した乳化油脂組成物を用い、下記の方法で食パンを作製した。
(1)中種工程
イーストを分散させた水、及び強力粉をミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速4分、中低速1分でミキシングを行った。捏上温度は24℃に設定した。次いで、27℃、湿度75%の条件で4時間発酵を行った。発酵の終点温度は29℃であり、発酵後、中種生地を得た。
[中種配合]
強力粉:70質量部
イースト:2.5質量部
水:40質量部
[中種工程の条件]
ミキシング:低速3分、中低速1分(フック使用)
捏上温度:24℃
発酵条件:発酵室温27℃、湿度75%、3時間
(2)本捏工程
下記「本捏配合」のうち、乳化油脂組成物以外の材料及び中種生地を、低速3分、中低速3分でミキシングした後、各乳化油脂組成物を投入し、さらに低速3分、中低速4分でミキシングしパン生地を得た。捏上温度は28℃に設定した。その後、室温で20分フロアタイムをとった後、分割してベンチタイムを20分とった。3斤型に成型して、38℃、湿度80%のホイロで45分発酵させた後、200℃で40分間焼成して食パンを得た。得られた食パンを、焼成後2時間室温で放冷し、放冷後20℃で1日保管した後、以下の官能評価に供した。
[本捏配合]
強力粉:30質量部
上白糖:6質量部
食塩:1.8質量部
乳化油脂組成物(本発明品):5質量部
水:25質量部
[本捏工程の条件]
ミキシング:低速3分、中低速3分
乳化油脂組成物投入後、低速3分、中低速4分
捏上温度:28℃
フロアタイム:28℃、20分
生地分割:230g
ベンチタイム:28℃、20分
成型:モルダーで延ばしロール型に成型後、U型にしてプルマン型に6本詰め
ホイロ:室温38℃、湿度80%、40分
焼成:200℃、40分
<乳化油脂組成物及び食パンの官能評価>
得られた乳化油脂組成物及び食パンについて、20名のパネルにより、以下の基準で官能評価を行った。その結果を表2〜5中の「評価」の項に示す。
なお、官能評価は、下記のように選抜されたパネルによって行った。
パネル候補に対し、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準臭覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判定された20〜40代の男性8名と女性12名をパネルとして選抜した。
また、評価を実施するにあたり、パネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが共通認識を持つようにした。また、官能評価におけるパネルの偏りを排除し、評価の精度を高めるために、サンプルの試験区番号や内容はパネルに知らせず、ランダムに提示した。
(乳化油脂組成物の爽やかさ)
◎+:20名中、17名以上が爽やかさを感じると答えた。
◎ :20名中、13名以上16名以下が爽やかさを感じると答えた。
○ :20名中、9名以上12名以下が爽やかさを感じると答えた。
△ :20名中、5名以上8名以下が爽やかさを感じると答えた。
× :20名中、4名以下が爽やかさを感じると答えた。
(乳化油脂組成物の甘み及びコク)
◎+:20名中、17名以上が甘み及びコクを感じると答えた。
◎ :20名中、13名名以上16名以下が甘み及びコクを感じると答えた。
○ :20名中、9名以上12名以下が甘み及びコクを感じると答えた。
△ :20名中、5名以上8名以下が甘み及びコクを感じると答えた。
× :20名中、4名以下が甘み及びコクを感じると答えた。
(食パンの発酵臭)
◎+:20名中、17名以上が発酵臭を感じないと答えた。
◎ :20名中、13名以上16名以下が発酵臭を感じないと答えた。
○ :20名中、9名以上12名以下が発酵臭を感じないと答えた。
△ :20名中、5名以上8名以下が発酵臭を感じないと答えた。
× :20名中、4名以下が発酵臭を感じないと答えた。
(食パンのコク及び香ばしさ)
◎+:20名中、17名以上がコク及び香ばしさを感じると答えた。
◎ :20名中、13名以上16名以下がコク及び香ばしさを感じると答えた。
○ :20名中、9名以上12名以下がコク及び香ばしさを感じると答えた。
△ :20名中、5名以上8名以下がコク及び香ばしさを感じると答えた。
× :20名中、4名以下がコク及び香ばしさを感じると答えた。

Figure 2021136882
Figure 2021136882
Figure 2021136882
Figure 2021136882

表2〜5に示されるとおり、本発明の乳化油脂組成物は、爽やかさと、甘み及びコクとを備えていた。また、本発明の乳化油脂組成物を配合された食パンは発酵臭が抑えられつつ、良好なコク及び香ばしさが付与されていた。
他方、本発明の要件を満たさない乳化油脂組成物は、爽やかさ、並びに、甘み及びコクのうちいずれか又は両方が顕著に劣っていた。この乳化油脂組成物を配合された食パンは好ましくない発酵臭を有し、コク及び香ばしさに劣っていた。
<クッキーの作製>
上記で作製した乳化油脂組成物を用い、下記の方法でクッキーを作製した。
表6の「配合」の項(単位:質量%)に示す材料をミキシングして生地を作製し、冷蔵庫で一旦生地を休ませた。この生地を1cm厚に延ばし、2cm×8cmにカットした後、鉄板に並べて160℃で17分焼成しクッキーを得た。得られたクッキーを、30分放置して粗熱を取りポリ袋に入れて密封し、25℃にて1週間保存した後、以下の官能評価に供した。
なお、本例では、上記<乳化油脂組成物の作製>において作製した乳化油脂組成物のうちいずれかと同様の乳化油脂組成物を使用した。用いた乳化油脂組成物の種類は、表6中、「乳化油脂組成物」の項の下段の括弧内に示した。例えば、「実施例5−1」では、「実施例1−2」と同様の乳化油脂組成物を使用した。
<クッキーの官能評価>
得られたクッキーについて、20名のパネルにより、以下の基準で官能評価を行った。その結果を表6中の「評価」の項に示す。
(クッキーのふすま臭)
◎+:20名中、17名以上がふすま臭を感じないと答えた。
◎ :20名中、13名以上16名以下がふすま臭を感じないと答えた。
○ :20名中、9名以上12名以下がふすま臭を感じないと答えた。
△ :20名中、5名以上8名以下がふすま臭を感じないと答えた。
× :20名中、4名以下がふすま臭を感じないと答えた。
(クッキーのコラーゲン臭)
◎+:20名中、17名以上がコラーゲン臭を感じないと答えた。
◎ :20名中、13名以上16名以下がコラーゲン臭を感じないと答えた。
○ :20名中、9名以上12名以下がコラーゲン臭を感じないと答えた。
△ :20名中、5名以上8名以下がコラーゲン臭を感じないと答えた。
× :20名中、4名以下がコラーゲン臭を感じないと答えた。

Figure 2021136882
表6に示されるとおり、本発明の乳化油脂組成物を配合されたクッキーは、原料由来の好ましくないふすま臭及びコラーゲン臭が抑えられていた。
他方、本発明の要件を満たさない乳化油脂組成物を配合されたクッキーは、原料由来の好ましくないふすま臭を有していた。

Claims (6)

  1. 麹発酵物を含み、かつ、水相のpHが3.1以上6.0以下である、乳化油脂組成物。
  2. 前記麹発酵物が、米の麹発酵物である、請求項1に記載の乳化油脂組成物。
  3. 前記水相が、果汁を含む、請求項1又は2に記載の乳化油脂組成物。
  4. 油相が、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂を含む、請求項1から3のいずれかに記載の乳化油脂組成物。
  5. 前記水相のブリックス値が2以上40以下である、請求項1から4のいずれかに記載の乳化油脂組成物。
  6. 油中水型乳化油脂組成物である、請求項1から5のいずれかに記載の乳化油脂組成物。
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