JP2021134157A - クモの忌避空間形成剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】クモの忌避効果を高めるために、クモを直接的に忌避するだけでなく、クモの餌となる害虫にも作用することでクモが生息しにくい環境を形成し、その結果、間接的にもクモを忌避することができるクモの忌避空間形成剤の検討は従来行われていなかった。【解決手段】本発明に係るクモの忌避空間形成剤は、25℃における蒸気圧が1.0〜11.0mPaの範囲のピレスロイド化合物と、高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方と、炭化水素系溶剤とを含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、クモの忌避空間形成剤に係り、さらに詳しくはクモの接触を忌避するだけでなく、クモの餌となる虫の侵入を防ぐことでクモが生息しにくい環境を作ることができるクモの忌避空間形成剤に関するものである。
クモはその不気味な容姿から忌み嫌われ、中には噛まれることで人体に被害をもたらす種類もあることから、不快害虫として扱われることが多い。また、クモはその捕食性の違いから、徘徊性のクモ(歩き回って餌を捕獲するクモ)と造網性のクモ(網を張って餌を捕獲するクモ)の大きく2種類に分類される。そして、どちらのタイプのクモも生きた虫を餌として生活するため、餌となる虫が多く集まる場所に生息しやすいという性質がある。また、造網性のクモによるクモの巣は、触るとべたべたして見た目にも不衛生な印象があるため、クモ自体と同様に不快なものである。そこで、クモを駆除したり、クモの巣を張らせないことを目的とした製剤が種々開発されている(特許文献1、2)。
例えば、本願出願人は、特許文献1において、害虫防除成分の持続性を向上させることで、クモに対する高い駆除効果を奏するとともに、クモの造網を長期間に亘り阻止することができるクモの造網阻止エアゾール剤を開示している。
特許文献2は、光に誘われて集まってくる飛翔害虫に対して、ガラス窓等に塗布することで害虫防除効果を長期間に亘って持続できる飛翔害虫侵入防止用組成物が開示されており、ガラス面上にクモの巣が張られなくなることが記載されている(特許文献2の[0033]、[0037]参照)。
特開2010−159226号公報 特開2003−176203号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、害虫防除成分が噴霧された場所においてクモが接触を嫌がる忌避効果はあるものの、その周辺の空間においての害虫(特に飛翔害虫)に対する忌避効果については今まで十分な検討がなされていなかった。
特許文献2に記載の発明は、害虫防除成分を塗布した面上において飛翔害虫が係留しにくくなる効果およびクモの巣が張られなくなる効果はあるものの、その周辺の空間においての飛翔害虫の忌避効果は不明である。
今回、本願発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の蒸気圧を有するピレスロイド化合物と、高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方と、炭化水素系溶剤とを含有することによって、薬剤を処理(塗布、噴霧)した面だけでなく、その周辺の空間に対してもクモやその他害虫(特に飛翔害虫)を持続的に忌避することができ、その結果クモが生息しにくい環境を作るクモ忌避空間形成剤を得ることができるという知見を得るに至った。すなわち、本発明は、クモを直接的に忌避するだけでなく、クモの餌となる虫に作用することによってクモの餌が存在しない空間を形成し、その結果、クモを間接的にも忌避することができることを技術的思想とするものである。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、薬剤を処理(塗布、噴霧)した場所におけるクモの接触を忌避するだけでなく、処理(塗布、噴霧)した場所周辺の空間を害虫の侵入を防止することができる空間とすることで、クモが生息しにくい(餌となる虫がいない)環境を作ることができるクモの忌避空間形成剤およびクモの忌避方法の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るクモの忌避空間形成剤は、25℃における蒸気圧が1.0〜11.0mPaの範囲のピレスロイド化合物と、高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方と、炭化水素系溶剤とを含有することを特徴とする。
本発明の請求項2に係るクモの忌避空間形成剤は、さらに、難揮散性殺虫成分を含有することを特徴とする。
本発明の請求項3に係るクモの忌避空間形成剤は、ピレスロイド化合物が、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の請求項4に係るクモの忌避方法は、25℃における蒸気圧が1.0〜11.0mPaの範囲のピレスロイド化合物を用いて処理することによって、20m以下の空間を、クモの餌となる虫の侵入を24時間以上防止する空間とすることを特徴とする。
本発明に係るクモの忌避空間形成剤によれば、特定の蒸気圧を有するピレスロイド化合物と、高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方と、炭化水素系溶剤とを含有することによって、クモやその他害虫の接触を忌避するだけでなく、クモの餌となる害虫(特に飛翔害虫)の侵入を持続的に防止することができる空間を形成することができる。その結果、クモの巣の営巣を防止する等、クモの忌避を行うことができる。
本発明の請求項2に係るクモの忌避空間形成剤によれば、さらに、難揮散性殺虫成分を含有することによって、上記の効果をより効果的に発現させることができる。
本発明の請求項3に係るクモの忌避空間形成剤によれば、ピレスロイド化合物、難揮散性殺虫成分、高級脂肪酸エステル、シリコーンに特定の化合物を用いることによって、上記の効果をより顕著に発現させることができる。
本発明の請求項4に係るクモの忌避方法によれば、25℃における蒸気圧が1.0〜11.0mPaの範囲のピレスロイド化合物を用いて処理することで、特定の空間をクモの餌となる虫の侵入を防止する空間とすることから、クモが生存しにくい環境を作ることができる。また、クモの巣の営巣を防止することができる。
本発明の害虫の忌避効果を評価した場所の参考図である。
本発明の実施形態を説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
(基本構造)
本発明に係るクモの忌避空間形成剤は、特定の蒸気圧を有するピレスロイド化合物と、高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方と、炭化水素系溶剤とを含有することを基本構造としている。
このように、特定の蒸気圧を有するピレスロイド化合物と、高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方と、炭化水素系溶剤を配合成分とすることによって、薬剤の処理(塗布、噴霧)面だけでなく、その周辺の空間に対してもクモやクモの餌となる害虫(特に飛翔害虫)を持続的に忌避することができ、その結果クモが生息しにくい環境を作ることができるのである。
以下、本発明の各構成成分について説明する。
(ピレスロイド化合物)
本発明のクモの忌避空間形成剤に用いられるピレスロイド化合物は、25℃における蒸気圧が1.0〜11.0mPaの範囲のピレスロイド化合物である。蒸気圧は、例えばDonovan法により測定される。このように特定の蒸気圧を有するピレスロイド化合物を用いることによって、薬剤を処理(塗布、噴霧)した面から徐々にピレスロイド化合物が周辺の空間に揮散し、害虫が空間へ侵入するのを防止することができる。具体的な化合物としては、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、テラレスリン、フラメトリン等が挙げられる。そして、これらの中でもより高い忌避効果(空間に対する忌避効果)が得られることから、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリンから選ばれる少なくとも1種の化合物を用いるのが好ましく、さらにその中でもトランスフルトリンを用いることが好ましい。
なお、係るピレスロイド化合物の中には、その不斉炭素や二重結合に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、これらの各々やそれらの任意の混合物の使用も本発明に含まれるのは勿論である。
上記ピレスロイド化合物の配合量については、使用目的や使用期間等を考慮して適宜決定すればよいが、本発明のクモの忌避空間形成剤に対して0.01〜5.0w/v%とすることが好ましい。配合量が0.01w/v%未満の場合には所望の効果が得られず、5.0w/v%を超える場合には忌避空間形成剤の安定性が低下する恐れがある。
(殺虫成分)
本発明のクモの忌避空間形成剤は、上記したピレスロイド化合物以外にも、害虫防除効果を有する殺虫成分を含んでも良い。特に、殺虫成分として難揮散性殺虫成分を併用すれば、クモや害虫に対する忌避効果の持続性を向上させることができるので好適である。
本発明のクモの忌避空間形成剤に用いられる殺虫成分は特に限定されないが、シフルトリン、フタルスリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、ビフェントリン、デルタメトリン、フェンプロパトリン、レスメトリン、アクリナトリン、イミプロトリン、プラレトリン、モンフルオロトリン、テフルトリン、フルメトリン、フェンバレレート、フルシスリネート、シクロプロトリン、フルバリネート、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、ジノテフラン、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、チアクロプリド、メトキサジアゾン、プロポクスル、フィプロニル、ヒドラメチルノン、ブロフラニリドから選ばれる少なくとも1種の難揮散性殺虫成分を用いるのが好ましい。その中でも、クモや害虫に対する忌避効果の持続性向上の観点から、シフルトリン、エトフェンプロックス、ビフェントリン、ペルメトリンを用いるのが好ましく、エトフェンプロックス、シフルトリンを用いるのがより好ましく、シフルトリンを用いるのがさらに好ましい。
なお、係る殺虫成分の中には、その不斉炭素や二重結合に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、これらの各々やそれらの任意の混合物の使用も本発明に含まれるのは勿論である。
ピレスロイド化合物と殺虫成分との配合比率は特に限定されるものではないが、クモの造網阻止効果の観点から、殺虫成分の配合量をピレスロイド化合物に対して0.1〜20倍量とするのが好ましく、1〜15倍量とするのがより好ましく、2〜10倍量とするのがさらに好ましい。
(高級脂肪酸エステル又はシリコーン)
本発明のクモの忌避空間形成剤は、高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方を必須の構成成分とする。前記したピレスロイド化合物と高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方を併用することによって、ピレスロイド化合物および殺虫成分の徐放性を制御し、クモおよび害虫の忌避に対して持続性を向上させることができる。また、高級脂肪酸エステルは、噴霧した場所において液状を維持するため、クモの巣を張りにくくする効果もある。
(高級脂肪酸エステル)
本発明のクモの忌避空間形成剤に用いられる高級脂肪酸エステルは特に限定されないが、炭素数が14〜18の高級脂肪酸と炭素数が14〜18の分枝飽和アルコールとのエステル化合物を用いるのが好ましい。その中でも、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチルが好ましい。さらにその中でも、クモの造網を阻止する効果が高いことから、ステアリン酸イソセチルを用いることが好ましい。
(シリコーン)
本発明のクモの忌避空間形成剤に用いられるシリコーンは特に限定されないが、シリコーンオイル、シリコーンエマルジョン等が挙げられ、具体的には、ジメチルシリコール、アルキルアラルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、シリコーンレジン、水性ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フェニルメチルシリコーン等が挙げられる。これらの中でも噴霧箇所への展着性等の観点から、シリコーンオイルが好ましく、具体的には、ジメチルシリコーンオイル、アルキルアラルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シリコーンレジンオイルから選ばれる少なくとも1種のシリコーンオイルを用いるのが好ましい。
上記高級脂肪酸エステル又はシリコーンの配合量については、使用目的や使用期間等を考慮して適宜決定すればよいが、本発明のクモの忌避空間形成剤に対して0.01〜30w/v%とすることが好ましく、その中でも0.10〜25w/v%とすることが好ましく、さらにその中でも0.20〜20w/v%とすることが好ましい。配合量が0.01w/v%未満の場合にはクモおよび害虫の忌避に対する持続性の向上が不十分になる恐れがある。
(炭化水素系溶剤)
本発明のクモの忌避空間形成剤に用いられる炭化水素系溶剤は特に限定されないが、パラフィン系溶剤を用いるのが好ましく、具体的には炭素数12〜14主体のノルマルパラフィン系炭化水素(製品名:ネオチオゾール、アイソゾール、DA−1等)、ケロシン、炭素数10〜16主体のイソパラフィン系炭化水素(製品名:IPソルベント2028、IPソルベント1620、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソゾール300及びアイソゾール400等)等が挙げられる。
また、本発明に高級脂肪酸エステルを用いる場合は、その相溶性が良いことから炭素数が10〜16主体のイソパラフィン系炭化水素溶剤を用いるのが好ましい。具体的には、出光興産株式会社製のIPソルベント1620及びIPソルベント2028、エクソンモービル社製のアイソパーH、アイソパーL及びアイソパーM、JXTGエネルギー株式会社製のアイソゾール300及びアイソゾール400などが挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
なお、本発明の作用効果に支障をきたさない限りにおいて、他の有機溶剤、例えば、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどの炭素数3〜6のグリコール、これらのグリコールエーテル、ケトン系溶剤、エステル系溶剤などを適宜配合することができる。
本発明のクモの忌避空間形成剤は、更に水を配合してもよく、この場合、必要に応じて適宜、界面活性剤、可溶化剤を添加してもよい。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミドなどの非イオン系界面活性剤や、例えば、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼン硫酸塩などのアニオン系界面活性剤が挙げられる。
本発明のクモの忌避空間形成剤は、更に、殺ダニ剤、カビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、あるいは、安定剤、消臭剤、帯電防止剤、消泡剤、香料、賦形剤等を適宜配合しても勿論構わない。殺ダニ剤としては、5−クロロ−2−トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等があり、一方、防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルト−フェニルフェノール等が挙げられる。
本発明のクモの忌避空間形成剤の処方形態は特に限定されるものではないが、液剤、ポンプスプレーやエアゾール等が挙げられ、天井や軒下など手の届きにくい所にも薬剤を到達させることができるため、噴射剤を含有したエアゾール剤とするのが好ましい。噴射剤としては、ジメチルエーテル、液化石油ガス(LPG)、ハイドロフルオロオレフィン等の液化ガスや、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等の圧縮ガス、あるいはこれらの混合ガスが用いられる。エアゾール剤が充填される容器は、その使用場面、使用目的等に応じて、適宜バルブ、噴口、ノズル等の形状を選択すればよい。
(忌避方法)
本発明のクモの忌避方法は、クモを直接的に忌避するだけでなく、クモの餌となる虫(特に飛翔害虫)に作用することによってクモの餌が存在しない空間を形成し、その結果、クモを間接的にも忌避することができるものである。つまり、薬剤(25℃における蒸気圧が1.0〜11.0mPaの範囲のピレスロイド化合物を含有するクモの忌避空間形成剤)を処理(塗布、噴霧)した面におけるクモと薬剤との接触による忌避(接触忌避)だけでなく、薬剤が周辺に揮散することによる忌避(空間忌避)により、クモやクモの餌となる害虫を忌避するものである。具体的には、薬剤を処理した面から3m以内の空間をクモの餌となる虫の侵入を防止することができ、薬剤を処理した面から2m以内の空間をクモの餌となる虫の侵入をより効果的に防止することができる空間とするものである。
本発明のクモの忌避方法において、薬剤の処理量としては5〜50mL/m2が好適である。薬剤をエアゾール剤として処理する場合は、対象となる場所(面)に向けてエアゾール製品を上記処理量となるよう(例えば1mあたり3〜30秒)噴射すればよい。具体的には、対象面に対してエアゾール製品を20秒間噴射することで、20m以下の空間をクモの餌となる虫の侵入を防止することができ、10m以下の空間をクモの餌となる虫の侵入をより効果的に防止する空間とすることができる。
本発明のクモの忌避方法において、薬剤を処理(塗布、噴霧)する場所としては、虫が多く集まる場所、例えば、照明周りや物陰の隙間、部屋の隅などに予め処理しておくと、効果的にクモを忌避することができる。また、クモに直接噴射することでも、優れた速効性と確実な殺虫効力を奏することができる。
本発明のクモの忌避空間形成剤の対象となるクモ類としては、ジョロウグモ、ナガコガネグモ、クロガケジグモ、オオヒメグモ、クサグモ、セアカゴケグモなどが挙げられるが、これらに限定されない。
次に、本発明に係るクモの忌避空間形成剤を実施例および比較例に基づいて詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
表1に記載の配合のとおり、実施例1〜7及び比較例1〜5の忌避空間形成剤を作製した。なお、表中の化合物Aは下記の[化1]の化学式で表される化合物、化合物Bは下記の[化2]の化学式で表される化合物を用いた。また、表中のイソパラフィンはIPソルベント2028(出光興産株式会社製)、ノルマルパラフィンはネオチオゾール(当栄ケミカル株式会社製)、アルキルアラルキル変性シリコーンオイルはX−22−1877(信越シリコーン社製)を用いた。なお、表中のピレスロイド化合物の蒸気圧は、Donovan法(J. Chromatogr. A, 749, 123 (1996)に記載の方法)により測定を行った。
次に、作製した各忌避空間形成剤180mLを耐圧容器に入れ、噴射剤として液化石油ガスを270mL加圧充填して各エアゾール製品を作製した。
Figure 2021134157
Figure 2021134157
Figure 2021134157
各実施例および比較例の忌避空間形成剤を用いたエアゾール製品について、下記に示す試験を行った。結果を表2に示す。
(害虫の忌避効果試験)
図1に示すような屋外の外壁が入隅となっている場所に、縦2m×横2.5m×高さ2mの区域(体積10m)を設け、区域に面する地面および壁面全体に各エアゾール製品を20秒間噴射処理した。噴霧処理後、地面と壁面にそれぞれ2つずつ粘着トラップ(20cm×20cm)を貼り付け、さらに地面から高さ1mの位置に2つの粘着トラップ(20cm×20cm)を空中に吊るした。
次に、噴霧処理12時間後及び24時間後に、各粘着トラップに捕まった匍匐害虫数、飛翔害虫数をそれぞれ計数した。噴霧処理をしていない無処理対照区の捕獲虫数(匹)をC、噴霧処理区の捕獲虫数(匹)をTとして、下記の式(1)により匍匐害虫および飛翔害虫それぞれの忌避率を求めた。そして、忌避率が80〜100%の場合を「◎」、60〜80%の場合を「○」、40〜60%の場合を「△」、40%未満の場合を「×」として評価を行った。
忌避率(%)={(C−T)/C}×100・・・式(1)
(造網阻止効果試験)
クロガケジグモが多く営巣するフェンスに各エアゾール製品を噴霧処理し、1か月後に造網の有無を観察した。そして、造網がない場合を「○」、僅かな場合を「△」、多い場合を「×」として評価を行った。
Figure 2021134157
表2の結果から、本発明に係るクモの忌避空間形成剤を用いた実施例1〜7のエアゾール製品は、比較例1〜5のエアゾール製品に比べ、害虫の忌避効果および造網阻止効果ともに高い効果を示すことが分かった。特に、実施例1〜7のクモの忌避空間形成剤は飛翔害虫に対する忌避効果が高いことから、対象となる区域に接する面での接触忌避効果だけでなく、区域内の空間自体において害虫が侵入しにくい空間となっていることが分かった。
このことから、本発明のクモの忌避空間形成剤は、特定の蒸気圧を有するピレスロイド化合物と、高級脂肪酸エステルまたはシリコーンの少なくとも一方と、炭化水素系溶剤を含有することによって、クモの餌となる害虫の侵入を持続的に防止することができる空間を形成することができ、その結果、クモの巣の営巣を防止する等、クモの忌避を行うことができることが分かった。
本発明のクモの忌避空間形成剤は、屋内、屋外を問わず広範な害虫駆除を目的として利用することができる。

Claims (4)

  1. 25℃における蒸気圧が1.0〜11.0mPaの範囲のピレスロイド化合物と、
    高級脂肪酸エステル又はシリコーンの少なくとも一方と、
    炭化水素系溶剤とを含有することを特徴とするクモの忌避空間形成剤。
  2. さらに、難揮散性殺虫成分を含有することを特徴とする請求項1に記載のクモの忌避空間形成剤。
  3. 前記ピレスロイド化合物が、
    トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクモの忌避空間形成剤。
  4. 25℃における蒸気圧が1.0〜11.0mPaの範囲のピレスロイド化合物を用いて処理することによって、20m以下の空間を、クモの餌となる虫の侵入を24時間以上防止する空間とすることを特徴とするクモ忌避方法。
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