JP7068812B2 - 害虫防除方法 - Google Patents
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Description
<1>害虫防除用エアゾール剤を用いて屋内の害虫を防除する方法であって、50cm離れた位置から噴射した際の25℃における噴射力が4.7~15gfである害虫防除用エアゾール剤を用い、屋内の噴射対象の噴射目標位置から直線距離で1.6~3.4m離れた位置から、前記噴射目標位置に向けて前記害虫防除用エアゾール剤を噴射することを特徴とする害虫防除方法。
<2>前記噴射対象が、壁、パーテーション壁、窓ガラス、天井及びドアからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする前記<1>に記載の害虫防除方法。
<3>前記噴射目標位置を中心とする1300cm2の領域内に付着した前記害虫防除用エアゾール剤の原液量を原液量(a)とし、前記噴射対象の対象面の前記噴射目標位置から50cm離れた位置に噴射方向と平行に設けられた、前記噴射対象と同じ材質からなる板材の1300cm2の領域に付着した前記害虫防除用エアゾール剤の原液量を原液量(b)としたとき、前記原液量(a)に対する前記原液量(b)の割合(b)/(a)が0.15以上であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の害虫防除方法。
そしてまた、本発明の方法では噴射目標位置から1.6~3.4m離れた位置からエアゾール剤を噴射するので、対象面がエアゾール剤の原液で過剰に濡れることがない。
なお、本明細書において、害虫の「防除」には「駆除」の意味合いも含むものとして説明する。
本発明で用いる害虫防除用エアゾール剤(以下、単に「エアゾール剤」ともいう。)は、噴射剤(すなわち、液化ガス、圧縮ガス又はそれらの混合ガス)と、原液(すなわち、溶媒と、殺虫剤、忌避剤、殺菌剤のような薬剤からなる溶質)とを含むものを用いることができる。
中でも好ましくは、DME、LPG、n-ブタン、イソブタン、プロパン、炭酸ガス、窒素ガス、フロン134a等を挙げることができる。
・dl-3-アリル-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテニル-dl-シス/トランス-クリサンテマート(一般名アレスリン:商品名ピナミン:住友化学工業株式会社製)
・dl-3-アリル-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテニル-d-シス/トランス-クリサンテマート(商品名ピナミンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・dl-3-アリル-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテニル-d-トランス-クリサンテマート(商品名バイオアレスリン:ユクラフ社製)
・d-3-アリル-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテニル-d-トランス-クリサンテマート(商品名エキスリン:住友化学工業株式会社製、商品名エスバイオール:ユクラフ社製)
・(5-ベンジル-3-フリル)メチル-d-シス/トランス-クリサンテマート(一般名レスメトリン、商品名クリスロンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・5-プロパギル-2-フリルメチル-d-シス/トランス-クリサンテマート(一般名フラメトリン、商品名ピナミンDフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・(+)-2-メチル-4-オキソ-3-(2-プロピニル)-2-シクロペンテニル(+)-シス/トランス-クリサンテマート(一般名プラレトリン、商品名エトック:住友化学工業株式会社製)
・dl-3-アリル-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテニル-dl-シス/トランス-2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボシキラート(一般名テラレスリン:住友化学工業株式会社製)
・(1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,3-ジオキソ-2-イソインドリル)メチル-dl-シス/トランス-クリサンテマート(一般名フタルスリン、商品名ネオピナミン:住友化学工業株式会社製)
・(1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,3-ジオキソ-2-イソインドリル)メチル-d-シス/トランス-クリサンテマート(商品名ネオピナミンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・3-フェノキシベンジル-d-シス/トランス-クリサンテマート(一般名フェノトリン、商品名スミスリン:住友化学工業株式会社製)
・3-フェノキシベンジル-dl-シス/トランス-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチル-1-シクロプロパンカルボキシラート(一般名ペルメトリン、商品名エクスミン:住友化学工業株式会社製)
・(±)α-シアノ-3-フェノキシベンジル(+)-シス/トランス-クリサンテマート(一般名シフェノトリン、商品名ゴキラート:住友化学工業株式会社製)
・(±)α-シアノ-3-フェノキシベンジル-dl-シス/トランス-3-(2,2-ジメチル-1-シクロプロパンカルボキシラート(一般名サイパーメスリン)
・d-トランス-2,3,5,6-テトラフルオロベンジル-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチル-1-シクロプロパンカルボキシレート(一般名トランスフルスリン)
・イミプロトリン
・トラロメスリン
・メトフルトリン
・モンフルオロトリン
・メパフルトリン
なお、噴射量は、エアゾールバルブの仕様、噴射ボタンの噴口の孔径、ノズルの形状等を調節したり、噴射剤の種類や原液と噴射剤の含有比を調節することにより調整することができる。
本発明は、上記した害虫防除用エアゾール剤を用いて、屋内の噴射対象の噴射目標位置から直線距離で1.6~3.4m離れた位置から、前記噴射目標位置に向けて噴射することにより、害虫を防除する。本発明の防除方法によれば、特にカーテンやタンス等の障害物の裏の空間に潜む害虫に対しても効果的に防除することができる。
図1は、本発明の害虫防除方法の第1実施形態を説明するための部屋の概略平面図である。図1において、部屋10は、壁面11,12,13,14と図示しない床面と天井により囲まれて構成されている。ここでは、壁面11に対し害虫の防除を行う形態について説明する。
該距離が1.6m未満であると、壁面11をエアゾール剤から噴射された噴霧粒子で過剰に濡らすことになり好ましくない。また、3.4mを超えると、噴霧粒子が壁面11に到達した後、該壁面に沿うように流動することが妨げられ、害虫の防除効果が不十分となる。噴射目標位置Bからの噴射位置Aの距離は、1.8~3.2mであることがより好ましく、2~3mであることが更に好ましい。
割合(b)/(a)が0.15以上であることにより、対象面である壁面11に沿って噴霧粒子を流動させることができるので薬剤を拡散させることができ、広範囲に亘って害虫の防除効果を得ることができる。特に対象面に平行してカーテンやタンス等の障害物がある場合、該障害物と対象面との間に潜んでいる害虫を更に効率的に駆除することが可能となる。
割合(b)/(a)は、0.25以上がより好ましい。また、その上限は特に限定されないが、2.0以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
第2実施形態では、噴射位置Aは、対象面の噴射目標位置Bから垂直に延びた直線上の位置から水平方向(X軸)に角度αでずれている。この場合、角度αは例えば0°を超えて90°未満であることができる。害虫防除用エアゾール剤の噴射位置Aと噴射目標位置Bとの直線距離D1は1.6~3.4mの範囲であり、本発明の害虫用エアゾール剤を用いて前記範囲の角度αで、1.6~3.4m離れた位置から壁面11に対して噴射することで、本発明の所望の効果を得ることができる。噴射目標位置Bからの噴霧粒子の流動性の観点から、角度αは5~60°がより好ましい。
第3実施形態では、噴射位置Aは、対象面の噴射目標位置Bから垂直に延びた直線上の位置から鉛直方向(Y軸)に角度βでずれている。この場合角度βは例えば0°を超えて±90°未満であることができる。害虫防除用エアゾール剤の噴射位置Aと噴射目標位置Bとの直線距離D1は1.6~3.4mの範囲であり、本発明の害虫用エアゾール剤を用いて前記範囲の角度βで、1.6~3.4m離れた位置から壁面11に対して噴射することで、本発明の所望の効果を得ることができる。なお、+(プラス)は噴射目標位置Bよりも上方位置(天井側)であることを示し、-(マイナス)は噴射目標位置Bよりも下方位置(床側)であることを示す。噴射目標位置Bからの噴霧粒子の流動性の観点から、角度βは-30~+30°がより好ましい。
具体的に、噴射対象としては、壁、パーテーション壁、窓ガラス、天井、ドア等が挙げられる。
(実施例1)
<エアゾール剤の作製>
表1及び表2の処方に従い、原液と噴射剤を準備した。原液は、d-T80-フタルスリン、フェノトリン、ミリスチン酸イソプロピルをそれぞれ配合処方に従って測り取り、1号灯油で100mLにまでメスアップして調製した。
エアゾール缶に原液135mLを充填し、エアゾールバルブ(ステム孔径:φ0.6mm×2個、ハウジング:UT(Under Tap)φ2.2mm、VT(Vapour Tap)φ0.5mm)を取り付けてクリンチし、エアゾールバルブを通して噴射剤315mLを圧入した。原液と噴射剤の液ガス比(容量比)は原液/噴射剤=30/70であった。続いて、トリガーボタン(孔径:φ0.8mm)を取り付けてエアゾール剤を作製した。
作製したエアゾール剤の噴射力は7.9gf/50cm(0.077N/50cm)であり、噴射量は19g(原液として9mL)/10秒であった。
なお、噴射力は、25℃の室温下で噴射孔から50cmの距離からデジタルフォースゲージ(型番:DS2-2N、株式会社イマダ製)に装着したφ40mmの円状の平板の中心に向かってエアゾール剤を3秒間噴射した際の最大値を噴射圧として測定し、3回測定した平均値を算出した。
図1及び図2に示すような8畳の部屋10を用意し、壁面11の噴射目標位置Bに、1300cm2のろ紙P1を設置した。また、噴射目標位置Bから水平に50cm移動した移動点B’に、奥行方向(Z軸)に平行となるように1300cm2のろ紙P2を貼り付けた板材を設置した。
噴射目標位置Bに対して水平に2m離れた噴射位置Aから、ろ紙P1に向けてエアゾール剤を10秒間噴射した。噴射量は原液9mLであった。
〔評価基準〕
5:1200cm2以上の範囲で濡れており、濡れが気になる。
4:400cm2以上1200cm2未満の範囲で濡れており、濡れがやや気になる。
3:400cm2未満の濡れが見られ、濡れがわずかに気になる。
2:濡れが確認できるが、ほとんど気にならない。
1:濡れがなく、全く気にならない。
実施例1において、エアゾール剤の噴射位置Aと噴射目標位置Bとの距離を表3のように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
(実施例4~5及び比較例6~7)
表4に記載の噴射力となるように、エアゾール剤における原液と噴射剤の液ガス比(容量比)、並びにエアゾールバルブとトリガーボタンの仕様を表4のように変更した以外は、実施例1と同様にしてエアゾール剤を作製した。
25℃の室温下で噴射孔から50cmの距離からデジタルフォースゲージ(型番:DS2-2N、株式会社イマダ製)に装着したφ40mmの円状の平板の中心に向かってエアゾール剤を3秒間噴射した際の最大値を噴射圧として測定した。測定は3回行い、平均値を算出した。
試験例1の実施例1と同様の試験設備を用い、実施例1と同様にして、噴射目標位置Bに対して水平に2m離れた噴射位置Aから、ろ紙P1に向けてエアゾール剤を、原液が9mL噴射されるように噴射した。
噴射後、ろ紙P1とろ紙P2を回収し、各々のろ紙の重量を測定して、試験前のろ紙の重量を差し引くことによりろ紙に付着した原液量を求めた。ろ紙P1に付着した原液量を原液量(a)とし、ろ紙P2に付着した原液量を原液量(b)としたときの、原液量(a)に対する原液量(b)の割合(b)/(a)を計算した。結果を表5に示す。
(実施例6~7及び比較例8)
表6に記載の噴射力となるように、エアゾール剤における原液と噴射剤の液ガス比(容量比)、並びにエアゾールバルブとトリガーボタンの仕様を表6のように変更した以外は、実施例1と同様にしてエアゾール剤を作製した。なお、実施例6、7、比較例8のエアゾール剤は試験例2の実施例4、5、比較例6と同仕様である。
図5に示すような8畳の部屋10を用意し、部屋10の壁面11の噴射目標位置Bから水平に50cm離れた移動点B’の前面にカーテン17を設置し、移動点B’には、供試虫(アカイエカのメス10頭)の入った20メッシュナイロン製ケージ18(1辺23cmの正方形のメッシュシートを筒状にし、開口両端はホッチキスで閉じ、23×11cmの袋状としたもの)を吊るした。なお、壁面11とカーテン17との間は20cmとした。
噴射目標位置Bに対して水平に2m離れた噴射位置Aから、エアゾール剤を原液が3mL噴射されるように噴射した。
噴射終了から10秒後、供試虫のノックダウン率(KD率)を測定した。試験は3回繰り返して行い、その平均値を求めた。結果を表6に示す。
(実施例8~11及び比較例9)
実施例1で作製したエアゾール剤を用い、壁面11に対する噴射距離と噴射角度を変更して薬剤の流動性の確認を行った。
図3に示すような8畳の部屋10を用意し、壁面11の噴射目標位置Bに、1300cm2のろ紙P1を設置し、また、噴射目標位置Bから水平に50cm移動した移動点B’に、奥行方向(Z軸)に平行となるように1300cm2のろ紙P2を貼り付けた板材を設置した。
エアゾール剤の噴射位置Aと噴射目標位置Bとの距離を表7のように変更し、かつ、図3に示したように、噴射位置Aを水平方向(X軸)に表7に記載の角度αでずらして、ろ紙P1に向けてエアゾール剤を10秒間噴射した。噴射量は原液9mLであった。
(実施例12~15)
実施例1で作製したエアゾール剤を用い、壁面11に対する噴射距離と噴射角度を変更して薬剤の流動性の確認を行った。
図4に示すような8畳の部屋10を用意し、壁面11の噴射目標位置Bに、1300cm2のろ紙P1を設置し、また、噴射目標位置Bから水平に50cm移動した移動点B’に、奥行方向(Z軸)に平行となるように1300cm2のろ紙P2を貼り付けた板材を
設置した。
エアゾール剤の噴射位置Aと噴射目標位置Bとの距離を表8のように変更し、かつ、図4に示したように、噴射位置Aを鉛直方向(Y軸)に表8に記載の角度βでずらして、ろ紙P1に向けてエアゾール剤を10秒間噴射した。噴射量は原液9mLであった。
なお、表8において、角度βがマイナスを示す場合は、噴射位置Aが噴射目標位置Bよりも室内の下方であることを意味し、プラスを示す場合は噴射目標位置Bよりも室内の上方であることを意味する。
11,12,13,14: 壁面
15: 床面
16: 天井
17: カーテン
18: ケージ
A: 噴射位置
B: 噴射目標位置
B’: 移動点
C: エアゾール剤の噴射直線方向
D1: 噴射位置と噴射目標位置との距離
P1: 1300cm2の領域(ろ紙)
P2: 1300cm2の領域(ろ紙)
Claims (3)
- 害虫防除用エアゾール剤を用いて屋内の障害物裏に潜む害虫を防除する方法であって、
50cm離れた位置から噴射した際の25℃における噴射力が4.7~15gfであり、25℃における噴射量が5~50g/10秒である害虫防除用エアゾール剤を用い、
屋内の噴射対象の噴射目標位置から直線距離で1.6~3.4m離れた位置から、前記噴射目標位置に向けて前記害虫防除用エアゾール剤を噴射することにより噴霧粒子を前記噴射対象の対象面に沿って流動させることを特徴とする害虫防除方法。 - 前記噴射対象が、壁、パーテーション壁、窓ガラス、天井及びドアからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の害虫防除方法。
- 前記噴射目標位置を中心とする1300cm2の領域内に付着した前記害虫防除用エアゾール剤の原液量を原液量(a)とし、前記噴射対象の対象面の前記噴射目標位置から50cm離れた位置に噴射方向と平行に設けられた、前記噴射対象と同じ材質からなる板材の1300cm2の領域に付着した前記害虫防除用エアゾール剤の原液量を原液量(b)としたとき、
前記原液量(a)に対する前記原液量(b)の割合(b)/(a)が0.15以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の害虫防除方法。
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