JP2010161957A - 害虫の侵入阻止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題の解決手段】常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分を含有し、噴射剤として圧縮ガスを充填してなるエアゾール剤を、その平均噴霧粒子径が50〜150μで、かつ対象処理面に前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の処理量が0.5mg/m2以上になるように噴霧して、この対象処理面上方に前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分のバリア空間を形成し、害虫のこの空間への侵入を6時間以上にわたり阻止するようになした害虫の侵入阻止方法。
【選択図】なし
Description
しかしながら、特開2002−234804号公報のエアゾール剤は、(1)二液性で使用前に振らなければならないこと、(2)殺虫成分バリヤーの持続効果が短いこと、(3)植物体に対して少なからず薬害が認められるなど、改善すべき課題が多い。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のいずれも、植物体への影響を懸念するような場面で比較的遠い距離から広範囲に噴霧する用法を意図したものであり、噴射距離を長くするために噴射剤として液化石油ガスやジメチルエーテルの使用がいわば必須であった。従って、これらのエアゾール剤をテラスやベランダ等にて噴霧する方法は、害虫の処理面上方空間のみならず屋外から室内への侵入をも防止するような用途には必ずしも満足のいくものとは言えなかった。
(1)常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分を含有し、噴射剤として圧縮ガスを充填してなるエアゾール剤を、その平均噴霧粒子径が50〜150μで、かつ対象処理面に前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の処理量が0.5mg/m2以上になるように噴霧して、この対象処理面上方に前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分のバリア空間を形成し、害虫のこの空間への侵入を6時間以上にわたり阻止するようになした害虫の侵入阻止方法。
(2)前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分が、エムペントリン及び一般式(I)
(3)前記エアゾール剤が、前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の揮散調整剤として、炭素数3〜6のグリコールを前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の20〜100倍量含有する(1)又は(2)記載の害虫の侵入阻止方法。
(4)前記エアゾール剤が、溶剤として炭素数が2ないし3の低級アルコールを含有する(1)ないし(3)のいずれか記載の害虫の侵入阻止方法。
エアゾール剤中に配合される殺虫成分の含有量は、使用目的や使用期間等を考慮して適宜決定すればよいが、エアゾール剤中に0.01〜3.0w/v%程度が適当である。0.01w/v%未満であると所望の効果が得られないし、一方、3.0w/v%を超えるとエアゾール内容液の液性安定化の点で困難を伴う。
前記低級アルコール類は、速乾性で速やかに揮発するため、処理面がべたつくことがなく噴霧時や噴霧直後に足が滑るという懸念を生じない。また、水を配合した水性処方化が容易なうえ、後記するように、噴射剤としての圧縮ガスとの相溶性もよく、エアゾール剤の平均噴霧粒子径を50〜150μに調整しやすいというメリットも有する。
前記低級アルコール類のエアゾール剤中の配合量は、20〜80v/v%の範囲で決定すればよいが、火気に対する安全性を考慮すると20〜60v/v%が好ましい。なお、20v/v%未満の場合、一般的に液性を一液に保つうえで問題を生じやすい。
このようなグリコールとしては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどがあげられるが、これらに限定されない。このうち、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコールが性能的に好適である。
かかる炭素数3〜6のグリコールは、常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の揮散を徐放化し、殺虫成分のバリヤー効果を持続させる。また、水性化処方の場合、界面活性剤の作用に準じてエアゾール剤内容液の可溶化安定性に寄与しうる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミドなどがあげられ、なかでも、エーテル類が適している。
なお、必要ならば噴射圧を調整するために、ジメチルエーテルや液化石油ガス(LPG)を混合しても構わない。
噴霧の用法は、対象処理面とバリアを形成したい空間の性状に応じて決定すればよいが、有効なバリア空間の形成には一定以上の処理面積が必要とされる。例えば、対象処理面が平坦な場合、処理面積は3m以上×3m以上とするのが好ましく、2m×2mでは確実な害虫の侵入防止効果が得られず持続時間も短かくなる。
一方、ベランダの出入り口、窓を有するサッシあるいはテントの出入り口などの立設物に隣接して対象処理面が設定される場合、立設物に沿った処理面の幅を1.5m以上として噴霧するのが適当である。すなわち、例えば、3m以上(立設物に隣接する長さ部分)×1.5m以上(処理面の幅)を処理面積とすれば、十分な害虫の侵入防止効果を奏するが、2m×1mの処理面積では有効なバリア空間の形成に至らず満足のいく結果が得られない。
具体的な適用場面としては、テラス、ベランダの出入りや洗濯物干し、玄関の出入り、庭先でのガーデニングなどのアウトドアライフ、キャンプでのテントの出入り、野外バーベキュー、ピクニックでの昼食などがあげられるが、勿論これらに限定されない。なお、バリア空間とは、概ね処理面から2〜2.5m程度までの高さをいう。
このエアゾール剤の平均噴霧粒子径は90μであった。
(1)飛翔害虫の防除効果
キャンプ場に設営したテントの入り口付近に各種エアゾール剤を噴霧処理した。所定時間経過後に、テント内に侵入した飛翔害虫数を数え、下記式による侵入阻害率を80%以上保持する持続時間を求め、殺虫成分バリア効果の持続性を評価した。
侵入阻止率(%)=[無処理区の侵入数−処理区の侵入数]/無処理区の侵入数 ×100
(2)火気に対する安全性
日本家庭用殺虫剤工業会の評価基準に基づき、火炎長試験を行った。すなわち、火種に向かってエアゾール剤を噴射し、発生する火炎の長さを比較した。結果は、A(火炎長45cm未満)、B(火炎長45cm以上)で示した。
これに対し、比較例1のように、常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の処理量が少ない場合、持続時間は短くなった。比較例2や比較例3の如く、圧縮ガスの替わりに液化石油ガスやジメチルエーテルを用いるとともに噴霧粒子径を小さくすると、持続時間が短くなる傾向があり、火気に対する危険性も増大して本発明の目的に合致しなかった。更に、常温揮散性が乏しいピレスロイド系殺虫成分・フェノトリンを含有するエアゾール剤(比較例4)では、バリア空間が形成されず侵入阻止効果は全く認められなかった。
このエアゾール剤の平均噴霧粒子径は120μであった。
Claims (4)
- 常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分を含有し、噴射剤として圧縮ガスを充填してなるエアゾール剤を、その平均噴霧粒子径が50〜150μで、かつ対象処理面に前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の処理量が0.5mg/m2以上になるように噴霧して、この対象処理面上方に前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分のバリア空間を形成し、害虫のこの空間への侵入を6時間以上にわたり阻止するようになしたことを特徴とする害虫の侵入阻止方法。
- 前記エアゾール剤が、前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の揮散調整剤として、炭素数3〜6のグリコールを前記常温揮散性ピレスロイド系殺虫成分の20〜100倍量含有することを特徴とする請求項1又は2記載の害虫の侵入阻止方法。
- 前記エアゾール剤が、溶剤として炭素数が2ないし3の低級アルコールを含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の害虫の侵入阻止方法。
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2009
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