JP2021130588A - コンクリート組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】流動性が高く、優れた材料分離抵抗性を有し、空気量の調整が容易で、かつ、得られるコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性が向上されているコンクリート組成物及びその製造方法を提供する。【解決手段】水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、及びコンクリート組成物用混和剤を含み、コンクリート組成物用混和剤が、ポリカルボン酸エーテル系分散剤と、粉末状水溶性セルロースエーテルと、粉末状ガム類と、消泡剤と、所定の脂肪族アルコールリン酸エステルと、を含有し、更に、水/結合材比が30〜70質量%であり、スランプフローが35〜75cmであるコンクリート組成物及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート組成物及びその製造方法に関する。更に詳しくは、流動性の高いコンクリート組成物であって、コンクリート組成物の材料分離抵抗性を改善し、空気量の調整が容易で、かつ、コンクリート組成物から得られるコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性の向上を図ることが可能なコンクリート組成物及びその製造方法に関する。
コンクリート組成物は、セメント等の水硬性結合材、細骨材又は粗骨材等の骨材、水等を含む組成物であり、比重、粒形、粒径等の異なる無機物質の集合体であるため、材料分離が生じやすい。
近年、作業性向上や省力化を図るため、中流動コンクリート組成物(スランプフローが35〜50cm程度)や高流動コンクリート組成物(スランプフローが50〜70cm程度)のような流動性の高いコンクリート組成物の使用事例が増加している。
使用事例としては、例えば、トンネルの覆工工事が挙げられ、作業性の悪い狭小空間での打設において、流動性の高いコンクリート組成物を用いることにより、その高い充填性から作業性の向上や締固めの省力化が図られている。
しかし、このような流動性の高いコンクリート組成物は、骨材等の材料分離が更に生じやすくなり、コンクリート組成物のポンプ圧送性や品質の低下の原因となる。
そこで、コンクリート組成物全体の粘性を高め、このような材料分離の発生を抑制する目的で、減水剤と増粘剤を併用した各種のコンクリート組成物が提案されている。
具体的には、このようなコンクリート組成物として、材料分離を起こさず、かつ、所定の特性を有する水硬性組成物を得るために、水溶性セルロースエーテル、消泡剤、ガム類を含有する増粘剤と、JIS A 6204に規定される減水率が18%以上である高性能AE減水剤とを含有したコンクリートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、コンクリート組成物から得られるコンクリート硬化体において、高耐久性に対する要望が高まってきている。なお、コンクリート硬化体の耐久性を示す指標の一つとしては、「凍結融解抵抗性」が知られている。このような要望に基づき、それ自体の水溶液の安定性が高く、また既存の水硬性セメント組成物用添加剤との溶解性も高く、結果として得られる硬化体が凍結融解抵抗性に優れたものとなる水硬性セメント組成物用添加剤が開発され、具体的には、特定の脂肪族アルコールリン酸エステルを特定の有機アミンで中和した特定の脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩からなる水硬性セメント組成物用添加剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2018−184328号公報 特開2018−177577号公報
しかしながら、特許文献1では、増粘剤と高性能AE減水剤を、流動性の高いコンクリートに用いた場合、通常の空気量調整剤との併用では得られるコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性を十分に確保することができない場合があるという問題がある。
また、特許文献2に記載の添加剤をコンクリートに用いた場合、得られるコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性を向上させることができるが、セメント量が少なく、高い流動性のコンクリート組成物に用いると、材料分離が生じるという問題がある。更には、中和で用いられる有機アミンの影響を受けることがあり、その場合、凍結融解抵抗性が未だ不十分となることがあった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、流動性の高いコンクリート組成物において、優れた材料分離抵抗性を有し、空気量の調整が容易で、かつ、得られるコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性を向上させることが可能なコンクリート組成物及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、所定の成分(A〜E成分)を含有するコンクリート組成物用混和剤を含有し、水/結合材比が30〜70質量%であり、スランプフローが35〜75cmであるコンクリート組成物が特に好適であることを見出した。本発明によれば、以下のコンクリート組成物及びその製造方法が提供される。
[1] 水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、及びコンクリート組成物用混和剤を含み、
前記コンクリート組成物用混和剤が、下記A成分、下記B成分、下記C成分、下記D成分、及び下記E成分を含有し、
水/結合材比が30〜70質量%であり、
スランプフローが35〜75cmである、コンクリート組成物。
A成分:ポリカルボン酸エーテル系分散剤
B成分:粉末状水溶性セルロースエーテル
C成分:粉末状ガム類
D成分:消泡剤
E成分:下記の一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)でそれぞれ示される脂肪族アルコールリン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種である脂肪族アルコールリン酸エステル
Figure 2021130588
(但し、一般式(1)中、Rは、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、M,Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
Figure 2021130588
(但し、一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
Figure 2021130588
(但し、一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、nは2又は3の整数を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
[2] 前記B成分が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも一つである、前記[1]に記載のコンクリート組成物。
[3] 前記C成分が、ダイユータンガム、ウェランガム、キサンタンガム及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも一つである、前記[1]又は[2]に記載のコンクリート組成物。
[4] 前記E成分が、前記一般式(1)〜前記一般式(3)におけるR〜Rが炭素数6〜20のアルキル基及びアルケニル基の一方、または、これらの基の両方である脂肪族アルコールリン酸エステルである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のコンクリート組成物。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載のコンクリート組成物の製造方法であって、
前記コンクリート組成物用混和剤の全添加量の少なくとも一部を後添加成分としたとき、当該後添加成分以外のものを配合して調製され未だ固まっていない固化前コンクリートを作製し、当該固化前コンクリートに前記後添加成分を添加して、コンクリート組成物を製造するコンクリート組成物の製造方法。
[6] 前記コンクリート組成物用混和剤が、F成分として、オキシカルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一つを更に含有する、前記[5]に記載のコンクリート組成物の製造方法。
[7] 前記F成分が、グルコン酸ナトリウムである、前記[6]に記載のコンクリート組成物の製造方法。
本発明のコンクリート組成物によれば、流動性の高いコンクリート組成物において、優れた材料分離抵抗性を有するとともに、空気量の調整が容易で、かつ、得られるコンクリート硬化体等が凍結融解抵抗性に優れたものになるという効果を奏するものである。
本発明のコンクリート組成物の製造方法によれば、上記効果を奏する本発明のコンクリート組成物を良好に製造することができるという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(1)コンクリート組成物:
本発明のコンクリート組成物は、水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、コンクリート組成物用混和剤として特定のA成分、特定のB成分、特定のC成分、特定のD成分及び特定のE成分を含有し、水/結合材比が30〜70質量%であり、練混ぜ直後におけるスランプフローが35〜75cmであるものである。
このようなコンクリート組成物は、流動性が高く、優れた材料分離抵抗性を有するとともに、空気量の調整が容易で、かつ、得られるコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性が優れるものである。
水/結合材比が30質量%より小さい場合やスランプフローが35cmより小さい場合は、そのようなコンクリート組成物に過剰な粘性を付与し、施工性の悪化を招くこととなる。逆に水/結合材比が70質量%より大きい場合やスランプフローが75cmより大きい場合は、そのようなコンクリート組成物に十分な材料分離抵抗性を付与することができず、所望のコンクリート組成物を得ることができない。
所望通りのコンクリート組成物を調製し、コンクリート硬化体を得るためには、水/結合材比を30〜70質量%とし、またスランプフローを35〜75cmとするが、好ましくは水/結合材比を40〜65質量%とし、またスランプフローを45〜70cmとする。
以下に各構成要素(水硬性結合材、細骨材、粗骨材、コンクリート組成物用混和剤)について説明する。
(1−1)水硬性結合材:
水硬性結合材としては、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントなどの各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなどの各種混合セメントが挙げられる。また、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、石粉、シリカフューム、膨張剤などの各種混和材を、先に示した各種セメントと併用してもよい。
(1−2)細骨材:
細骨材としては、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、各種スラグ細骨材などが挙げられる。
(1−3)粗骨材:
粗骨材としては、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、各種スラグ粗骨材、軽量骨材などが挙げられる。
(1−4)コンクリート組成物用混和剤:
コンクリート組成物用混和剤は、上述の通り、特定のA成分、特定のB成分、特定のC成分、特定のD成分及び特定のE成分を含有するものである。
(1−4−1)A成分:
A成分であるポリカルボン酸エーテル系分散剤としては、例えば、不飽和モノカルボン酸単量体、不飽和ジカルボン酸単量体、及び、これらの塩の少なくとも一つと、これらと共重合可能な不飽和単量体であって分子中に1〜300個であり、好ましくは20〜150個である炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体と、の共重合体、当該共重合体の塩、または、これらの両方からなるものが挙げられる。
A成分の添加時の状態は、特に制限されないが、調製し未だ固まっていないコンクリート(固化前コンクリート)に後添加する場合には、添加作業のしやすさから粉末状であることが好ましい。
粉末化の方法は、特に制限されないが、熱風乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などにより溶媒を除去して粉末化する方法(乾燥粉末とする方法)、多孔質シリカなど吸着性を有する物質に溶媒を含んだ状態で吸着させ粉末化する方法などが挙げられる。これらの中でも、コストや効果の安定性が良いという観点から、噴霧乾燥(スプレードライ)や凍結乾燥などで乾燥粉末とする方法が好ましい。
A成分のポリカルボン酸エーテル系分散剤を形成することとなる「不飽和モノカルボン酸単量体、不飽和ジカルボン酸単量体、及び、これらの塩」としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸及びそれらの塩から選ばれるものが挙げられる。
不飽和モノカルボン酸単量体の塩、不飽和ジカルボン酸単量体の塩としては、特に制限するものではないが、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ジエタノールアミン塩やトリエタノールアミン塩などのアミン塩などが挙げられる。
上記(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては、α−アリル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アリル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタリル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタリル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタリル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン、α−メタリル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ブトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシプロピレン、α−アクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシプロピレン、α−アクリロイル−ω−ブトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アクリロイル−ω−ブトキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アクリロイル−ω−ブトキシ−(ポリ)オキシプロピレン、α−メタクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタクリロイル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシプロピレン、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシプロピレン、α−メタクリロイル−ω−ブトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−メタクリロイル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、ポリアマイドポリアミン(ポリ)オキシエチレン、ポリアマイドポリアミン(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−ビニル−ω−ヒドロキシ(ポリ)オキシブチレン(ポリ)オキシエチレン、α−ビニル−ω−ヒドロキシ(ポリ)オキシブチレン(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレンなどが挙げられる。
A成分のポリカルボン酸エーテル系分散剤として用いる共重合体とその塩は、各種方法で合成することができる。これには、溶媒に水を用いたラジカル重合、溶媒に有機溶媒を用いたラジカル重合、無溶媒のラジカル重合などが挙げられる。ラジカル重合に用いられるラジカル重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過酸化物、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ系化合物のように、重合反応温度下において分解し、ラジカル発生するものであればその種類は特に制限されない。また、促進剤として亜硫酸水素ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などの還元剤や、エチレンジアミン、グリシンなどのアミン化合物も併用することができる。得られる水溶性ビニル重合体とその塩の質量平均分子量を所望の範囲とするため、連鎖移動剤を用いることもできる。
A成分のカルボン酸エーテル系分散剤として用いる共重合体とその塩の質量平均分子量は、プルラン換算で2000〜500000の範囲であるのが好ましく、10000〜100000の範囲であるのがより好ましい。
A成分のカルボン酸エーテル系分散剤として用いる共重合体とその塩は、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の単量体を共重合させたものとすることができるが、その共重合割合は、20質量%以下とするのが好ましく、10質量%以下とするのがより好ましい。
他の単量体としては、例えば、スチレン、アクリルアミド、(メタ)アリルスルホン酸、又はその塩、アクリル酸メチルなどが挙げられる。
(1−4−2)B成分:
B成分である粉末状水溶性セルロースエーテルは、流動性の高いコンクリート組成物において、優れた保水性や材料分離抵抗性を付与する。そのため、ブリーディング量の低減による耐久性の向上、強度及び品質のばらつき低減が可能となる。
このような粉末状水溶性セルロースエーテルとして、例えば、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロースが好適に用いられる。
具体的に、アルキルセルロースとしては、その置換度(DS)が好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0であるメチルセルロース、置換度(DS)が好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0であるエチルセルロースなどが挙げられる。
ヒドロキシアルキルセルロースとしては、その置換モル数(MS)が好ましくは0.1〜3.0、より好ましくは0.5〜2.8であるヒドロキシエチルセルロース、置換モル数(MS)が好ましくは0.05〜3.3、より好ましくは0.1〜3.0であるヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとしては、その置換度(DS)が好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0であり、その置換モル数(MS)が好ましくは0.05〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5であるヒドロキシエチルメチルセルロース、置換度(DS)が好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0であり、置換モル数(MS)が好ましくは0.05〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5であるヒドロキシプロピルメチルセルロース、置換度(DS)が好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0であり、置換モル数(MS)が好ましくは0.05〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5であるヒドロキシエチルエチルセルロースなどが挙げられる。
なお、「置換度(DS)」は、無水グルコース1単位当たりのアルコキシ基の平均個数のことをいう。また、「置換モル数(MS)」は、無水グルコース1モル当たりのヒドロキシアルコキシ基の平均モル数のことをいう。
置換度(DS)や置換モル数(MS)は、第17改正日本薬局方記載のヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の置換度分析方法により測定した値を換算することにより求めることができる。
B成分の粉末状水溶性セルロースエーテルの20℃における2質量%又は1質量%の水溶液粘度は、コンクリート組成物に所定の粘性を与える点から、B−H粘度計の20rpmにおいて、好ましくは30(2質量%)〜30000(1質量%)mPa・sであり、より好ましくは80(2質量%)〜25000(1質量%)mPa・sであり、更に好ましくは350(2質量%)〜20000(1質量%)mPa・sである。なお、水溶性セルロースエーテルの粘度は、2質量%水溶液で50000mPa・sを超える場合は、1質量%水溶液により測定した。
また、水溶性セルロースエーテルは粉末状で用いられる。水溶性セルロースエーテルを粉末状とすることにより、特に施工現場で添加の際のハンドリングが改善される。また、水溶性セルロースエーテルの粒子径は、特に制限されないが、分級操作等を施して、粒径1000μm以下とすることで短時間の混合でも溶解しやすくなり、材料分離の抑制効果が得られやすくなるので好ましい。
粉末状水溶性セルロースエーテル(B成分)の割合は、特に制限されないが、好ましくは水硬性結合材100質量部当たり、0.0015〜0.04質量部の割合であり、より好ましくは0.003〜0.025質量部の割合である。
(1−4−3)C成分:
C成分である粉末状ガム類は、流動性の高いコンクリート組成物において優れた材料分離抵抗性を付与する。そのため、強度及び品質のばらつき低減が可能となる。さらには、B成分の粉末状水溶性セルロースエーテルと相乗的に作用し、少ない添加量で材料分離抵抗性の付与に高い効果を発揮する。
C成分である粉末状ガム類は、その種類に特に制限はないが、ダイユータンガム、ウェランガム、キサンタンガム及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも一つが挙げられる。
ダイユータンガムは、D−グルコース、D−グルクロン酸、D−グルコースとL−ラムノース及び2つのL−ラムノースより構成されている。その市販品としては、例えば、KELCO−CRETE DG−F(CP Kelco社製の商品名)を挙げることができる。ウェランガムは、D−グルコース、D−グルクロン酸、L−ラムノースが2:2:1の割合で結合した主鎖に、L−ラムノース若しくはL−マンノース側鎖が結合した構造である。その市販品としては、例えば、CP KELCO KIA−96(CP Kelco社製の商品名)を挙げることができる。キサンタンガムは、セルロースと同様、主鎖がD−グルコースのβ−1,4結合であり、側鎖がマンノース2つとグルクロン酸1つより構成されている。その市販品としては、例えば、KELZAN(三晶社製の商品名)を挙げることができる。ジェランガムは、D−グルコース、D−グルクロン酸、L−ラムノースが2:1:1の割合で結合した4つの糖を反復単位とするヘテロ多糖類である。その市販品としては、例えば、KELCOGEL AFT(CP Kelco社製の商品名)を挙げることができる。
また、C成分としてガム類の中でも粉末状のガム類を用いることにより、特に施工現場で添加の際のハンドリングが改善される。粉末状ガム類の粒子径は、特に制限されないが、分級操作等を施して、粒径1000μm以下とすることで短時間の混合でも溶解しやすくなり、材料分離の抑制効果が得られやすくなるので好ましい。
粉末状ガム類の割合は、特に制限されないが、ダイユータンガムの場合、好ましくは水硬性結合材100質量部当たり、0.0001〜0.03質量部の割合であり、より好ましくは0.0002〜0.015質量部の割合であり、更に好ましくは0.0005〜0.01質量部である。ウェランガム、キサンタンガム及びジェランガムの場合、好ましくは水硬性結合材100質量部当たり、0.0001〜0.05質量部の割合であり、より好ましくは0.0002〜0.02質量部の割合であり、更に好ましくは0.0005〜0.01質量部の割合である。
(1−4−4)D成分:
D成分である消泡剤は、練混ぜ時の巻き込み空気の低減を可能にし、空気量を所望の範囲に調整するものである。このような消泡剤として、例えば、オキシアルキレン系、シリコーン系、アルコール系、鉱油系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系等が用いられる。
オキシアルキレン系消泡剤としては、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類、ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数8以上の高級アルコールや炭素数12〜14の2級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類、ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリン酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフエノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類、(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアミド等が挙げられる。
シリコーン系消泡剤としては、ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン、フルオロシリコーン油等が挙げられる。
アルコール系消泡剤としては、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等が挙げられる。
鉱油系消泡剤としては、灯油、流動パラフィン等が挙げられる。
脂肪酸系消泡剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
脂肪酸エステル系消泡剤としては、グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等が挙げられる。
D成分の消泡剤としては、オキシアルキレン系消泡剤、鉱油系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤が好ましい。
消泡剤の割合は、特に制限されないが、好ましくは水硬性結合材100質量部当たり、0.00001〜0.05質量部の割合であり、より好ましくは0.00005〜0.03質量部の割合である。
(1−4−5)E成分:
まず、寒冷地においては、凍結と融解を繰り返すことにより、コンクリート組成物にひび割れ等が生じる場合がある。このようなひび割れ等の凍害劣化は、コンクリート組成物が凍結と融解を繰り返し受けることにより、含有する水分の凍結に起因する体積膨張が原因となって引き起こされる。
そこで、空気量調整剤としてE成分である脂肪族アルコールリン酸エステルを用いると、E成分である脂肪族アルコールリン酸エステルは、コンクリート組成物中に細かい良質な空気泡を多く導入し、水分の凍結による体積膨張の際に逃げ場を設け、圧力上昇を緩和する。これによって、コンクリート組成物に凍結融解抵抗性を付与することが可能となる。
このような脂肪族アルコールリン酸エステル(E成分)は、下記の一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)でそれぞれ示される脂肪族アルコールリン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
Figure 2021130588
(但し、一般式(1)中、Rは、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、M,Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
Figure 2021130588
(但し、一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
Figure 2021130588
(但し、一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、nは2又は3の整数を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
ここで、既に説明したように、上記一般式(1)において、Rは炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である。なお、Rの炭素数は6〜24であるが、好ましくは6〜20である。また、炭素数2〜3のアルキレンオキサイドとしては、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドである。
としては、例えば、(i)ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2−プロピル−ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、(ii)ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2−プロピル−ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基が挙げられる。なかでもRとしては、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール等の炭素数6〜20の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基が好ましい。
一般式(1)で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、具体的には、モノヘキシルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノ−2−エチル−ヘキシルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノ−2−ブチル−オクチルホスフェート、モノトリデシルホスフェート、モノミリスチルホスフェート、モノセチルホスフェート、モノステアリルホスフェート、モノイソステアリルホスフェート、モノオレイルホスフェート等、及びそれらのアルカリ金属塩、及び/又はアルカリ土類金属塩が挙げられる。
一般式(2)において、R、Rは一般式(1)中のRについて記述したものと同一である。そのため、詳細な説明は省略する。
一般式(2)で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、具体的には、ジヘキシルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジ−2−エチル−ヘキシルホスフェート、ジノニルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジドデシルホスフェート、ジ−2−ブチル−オクチルホスフェート、ジトリデシルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジセチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジイソステアリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジデシルオレイルホスフェート等及びそれらのアルカリ金属塩、及び/又はアルカリ土類金属塩が挙げられる。
一般式(3)において、R、Rは一般式(1)中のRについて記述したものと同一である。そのため、詳細な説明は省略する。また、nは2又は3の整数である。
一般式(3)で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、具体的には、モノヘキシルピロホスフェート、ジヘキシルピロホスフェート、モノオクチルピロホスフェート、ジオクチルピロホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルピロホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルピロホスフェート、モノノニルピロホスフェート、ジノニルピロホスフェート、モノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ドデシルオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート等、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。
また、脂肪族アルコールリン酸エステルは、上記一般式(1)〜一般式(3)におけるR〜Rが炭素数6〜24のアルキル基及びアルケニル基の一方、または、これらの基の両方であっても構わない。更に、上記一般式(1)〜一般式(3)におけるR〜Rが炭素数6〜20のアルキル基及びアルケニル基の一方、または、これらの基の両方である脂肪族アルコールリン酸エステルであってもよい。
更に、脂肪族アルコールリン酸エステルの酸価は特に制限されるものではないが、例えば、好ましくは0〜500mg/gの範囲であり、より好ましくは0〜400mg/gの範囲であり、更に好ましくは0〜250mg/gの範囲である。
ここで、酸価は、例えば、イソプロピルアルコール、キシレン/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合液、あるいは水等の溶剤に溶解した試料と0.1N水酸化カリウムのエチレングリコール/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合溶液とで電位差自動滴定装置を用いて電位差滴定し、終点の滴定量(ml)を測定して、試料1g中に含まれるリン酸エステルの酸性基を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を下記の数式(1)で算出した値である。
Figure 2021130588
上記数式(1)において、A1、f1、W1は、以下の通りである。
A1:滴定量(ml)
f1:0.1N水酸化カリウム溶液の力価
W1:試料の量(g)
本発明のコンクリート組成物は、水硬性結合材100質量部当たり、E成分が0.0001〜0.05質量部の割合で含有することが好ましく、0.0003〜0.025質量部の割合で含有することがより好ましい。
(1−4−6)F成分:
コンクリート組成物用混和剤は、F成分として、オキシカルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一つを更に含有することでもよい。このようなF成分を更に含有することによって、コンクリート組成物の流動性を保持させること(即ち、流動保持性能を確保すること)ができる。
オキシカルボン酸としては、グルコン酸、クエン酸等を挙げることができ、オキシカルボン酸の塩としては、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等が挙げられる。これらの中でも、コンクリート組成物の流動性を保持させること(即ち、流動保持性能を確保すること)や経済性を良好とするという観点から、グルコン酸ナトリウムが特に好ましい。
コンクリート組成物におけるF成分の割合は、特に制限されないが、好ましくは水硬性結合材100質量部当たり、0.005〜0.1質量部の割合であり、より好ましくは0.01〜0.07質量部の割合である。
(1−5)その他の構成要素:
本発明のコンクリート組成物には、既存の水硬性組成物用添加剤を併用することができる。このような水硬性組成物用添加剤としては、例えば、AE減水剤、高性能AE減水剤、空気量調整剤としてAE剤、消泡剤、収縮低減剤、硬化促進剤等が挙げられる。
本発明のコンクリート組成物は、土木、建築、二次製品等に使用されるものである。
(2)コンクリート組成物の製造方法:
本発明のコンクリート組成物の製造方法は、特に制限されなく、最終的に施工現場で用いるコンクリート組成物に、A成分、B成分、C成分、D成分及びE成分が含まれるコンクリート組成物用混和剤が含有されるように製造されていればよい。
本発明のコンクリート組成物を製造する際において、コンクリート組成物用混和剤を構成する各成分を添加する方法は、特に制限はないが、添加時期によって以下の(a)〜(c)の方法などが挙げられる。
(a)生コンクリート工場において、全ての成分を一括してコンクリートに投入する方法、(b)例えば施工現場において、調製し未だ固まっていないコンクリート(固化前コンクリート)に全ての成分(即ち、全種類(A〜E成分又はA〜F成分))を後添加する方法、(c)生コンクリート工場で一部の成分(即ち、A〜E成分又はA〜F成分のうちの一部)を投入し、更に施工現場等において、調製し未だ固まっていないコンクリート(固化前コンクリート)に投入していない残りの成分を投入する方法、などが挙げられる。なお、生コンクリート工場等及び施工現場等において重複して投入してもよい。上記(c)の方法では、例えば、D成分の一部を生コンクリート工場等で投入し、その後、D成分の残りを施工現場等で投入してもよい。
上記(b)、(c)の方法としては、具体的には、以下の通りである。コンクリート組成物用混和剤の全添加量の少なくとも一部を後添加成分としたとき(但し、この後添加成分には、A成分、B成分、C成分、D成分及びE成分のうちの少なくとも1つの成分を含む)、この後添加成分以外のものを配合して調製し未だ固まっていないコンクリート(固化前コンクリート)を、例えば生コンクリート工場などで調製する。その後、施工現場等において固化前コンクリートに、上記後添加成分を添加して(即ち、後添加して)、コンクリート組成物を製造する。このような(b)、(c)の方法を採用すると、交通事情などによる施工現場までの運搬時間のばらつきによるコンクリート性状の変化に対応でき、施工に適したコンクリート特性を得ることができる。
ここで、「コンクリート組成物用混和剤の全添加量の少なくとも一部を後添加成分としたとき(但し、この後添加成分には、A成分、B成分、C成分、D成分及びE成分のうちの少なくとも1つの成分を含む)、この後添加成分以外のものを配合して調製し未だ固まっていないコンクリート(固化前コンクリート)に、後添加成分を添加」する場合、施工現場での流動性を保持するという観点から、F成分としてオキシカルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。
オキシカルボン酸としては、グルコン酸、クエン酸等が挙げられ、更にオキシカルボン酸の塩としては、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等が挙げられる。これらの中でも、コンクリート組成物の流動性を保持させること(即ち、流動保持性能を確保すること)や経済性を良好とするという観点からグルコン酸ナトリウムが特に好ましい。
コンクリート組成物におけるF成分の割合は、特に制限されないが、好ましくは水硬性結合材100質量部当たり、0.005〜0.1質量部の割合であり、より好ましくは0.01〜0.07質量部の割合である。
また、施工現場等において、調製し未だ固まっていないコンクリート(固化前コンクリート)に後添加される各成分は、それぞれが個別にコンクリートに添加されてもよく、また、各成分を互いに予め混合して、水やアルカリ水溶液等に可溶性のセルロース繊維等を主成分とする袋状物に内封したものを添加してもよい。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に断りのない限り、“部”は質量部、“%”は質量%を意味する。
試験区分1(A成分であるポリカルボン酸エーテル系分散剤の合成):
・ポリカルボン酸エーテル系分散剤(A−1)の合成
水2200g、α−メタクリロイル−ω−メトキシポリ(23モル)オキシエチレン1700g、メタクリル酸200g及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸30gを反応容器に仕込み、反応容器内の雰囲気を窒素置換した後、攪拌しながら徐々に加温した。反応系の温度を温水浴にて65℃に保ち、過酸化水素の2.5%水溶液350gを投入してラジカル重合反応を開始した。2時間経過後、更に過酸化水素の2.5%水溶液90gを投入し、ラジカル重合反応を6時間継続して行った。得られた共重合体に水及び30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、A成分(A−1)の25%水溶液を得た。このA成分(A−1)の質量平均分子量は、24300(GPC法、プルラン換算)であった。
・ポリカルボン酸エーテル系分散剤(A−2)の合成
水2000g、α−メタクリロイル−ω−メトキシポリ(45モル)オキシエチレン1700g、アクリル酸200g及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸22gを反応容器に仕込み、反応容器内の雰囲気を窒素置換した後、攪拌しながら徐々に加温した。反応系の温度を温水浴にて65℃に保ち、過酸化水素の1.0%水溶液250gを投入してラジカル重合反応を開始した。2時間経過後、更に過酸化水素の1.0%水溶液80gを投入し、ラジカル重合反応を6時間継続して行った。得られた共重合体に水及び30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、A成分(A−2)の40%水溶液を得た。このA成分(A−1)の質量平均分子量は、42200(GPC法、プルラン換算)であった。
・ポリカルボン酸エーテル系分散剤(A−3)の合成
水800gを反応容器に仕込み、撹拌しながら雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて65℃に保ち、α−メタクリロイル−ω−メトキシポリ(68モル)オキシエチレン1500g、メタクリル酸350g、アクリル酸メチル18g、3−メルカプトプロピオン酸28g、30%水酸化ナトリウム水溶液57g及び水1300gの溶液を2時間かけて滴下した。同時に、過硫酸ナトリウムの10%水溶液360gを3時間かけて滴下して重合を行った。その後、65℃のまま1時間重合反応を継続して行った。得られた共重合体に水及び30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、スプレードライヤにより乾燥し、粉末状のA成分(A−3)を得た。このA成分(A−3)の質量平均分子量は、46300(GPC法、プルラン換算)であった。
[質量平均分子量の測定条件]
[GPC法]
装置:昭和電工社製Shodex GPC−101
検出器:示差屈折計(RI)
カラム:昭和電工社製OHpak SB−G+SB−804HQ+SB−802.5HQ
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.7mL/分
カラム温度:40℃
標準物質:昭和電工社製「プルラン」
以上で合成した各A成分のポリカルボン酸エーテル系分散剤の内容を表1にまとめて示した。
Figure 2021130588
試験区分2(その他の使用材料):
A−1、A−2、A−3以外のA成分:
A−1〜A−3以外のA成分として、チューポールHP−11(ポリカルボン酸エーテル系分散剤、竹本油脂社製の商品名、略号A−4)を使用した。
B成分:粉末状水溶性セルロースエーテルの内容を表2にまとめて示した。
C成分:粉末状ガム類の内容を表3にまとめて示した。
D成分(消泡剤):SNデフォーマー14−HP(オキシアルキレン系消泡剤、サンノプコ社製の商品名、略号:D−1)、AFK−2(オキシアルキレン系消泡剤、竹本油脂社製の商品名、略号:D−2)
F成分:グルコン酸ナトリウム(試薬、キシダ化学社製)、略号:F−1
Figure 2021130588
表2において、水溶液粘度(mPa・s)は以下の通りである。
水溶液粘度(mPa・s):20℃における2質量%水溶液の粘度
Figure 2021130588
表3において、C−1、C−2は以下の通りである。
C−1:KELZAN(三晶社製の商品名)
C−2:CP KelcoK1A−96(CP Kelco社製の商品名)
試験区分3(E成分である脂肪族アルコールリン酸エステルの調製):
・脂肪族アルコールリン酸エステル(E−1)の調製
反応容器にn−オクチルアルコール135.8部を仕込み、120℃で0.05MPaの条件下に2時間脱水処理した後、大気圧に戻し、攪拌しながら60±5℃で五酸化二リン59.1部を0.5時間かけて投入した。80℃にて3時間熟成した後、イオン交換水4.1部を投入して0.5時間熟成した。これに48%水酸化カリウム水溶液153.4部を50℃で滴下して中和を行った後、イオン交換水を加えて、E成分(E−1)の25%水溶液を得た。なお、得られた混合物から一部を採取し、混合物中に含まれる水分を乾燥させた後、電位差滴定にて酸価を測定したところ、2mg/gであった。
・脂肪族アルコールリン酸エステル(E−2)〜(E−6)及び(ER−1)の調製
E成分(E−1)と同様にして、E成分である(E−2)〜(E−6)、及びER成分(ER−1)を調製し、E成分(E−2)〜(E−6)、及びER成分(ER−1)の25%水溶液を得た。ER成分は、E成分に該当せず、E成分との比較のために用いる成分である。
・脂肪族アルコールリン酸エステル(E−7)の調製
脂肪族アルコールリン酸エステル(E−1)と非晶質シリカ「カープレックス80−D」(EVONIK社製)を質量比1:1で混合し、脂肪族アルコールリン酸エステルと非晶質シリカの混合物である粉末状のE成分(E−7)を得た。
以上で調製した各E成分及びER成分の脂肪族アルコールリン酸エステル等の内容を表4にまとめて示した。
なお、脂肪族アルコールリン酸エステルのP核積分比率(%)は、溶媒に重水/テトラヒドロフラン=8/2(体積比)の混合溶媒を用い、過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、31P−NMR(VALIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometer System、300MHz)を測定し、下記関係式を用いて算出し、表4にあわせて示した。
Figure 2021130588
表4の脂肪族アルコールリン酸エステルにおいて、C4、C8、C12、C18、C18、C22、K、Naは以下の通りである。
C4:ブチルアルコールから水酸基を除いた残基
C8:オクチルアルコールから水酸基を除いた残基
C12:ラウリルアルコールから水酸基を除いた残基
C18:オレイルアルコールから水酸基を除いた残基
C18:オレイルアルコール−エチレンオキサイド4モル付加物から水酸基を除いた残基
C22:ベヘニルアルコールから水酸基を除いた残基
K:カリウム原子
Na:ナトリウム原子
Figure 2021130588
Figure 2021130588
Figure 2021130588
上記関係式において、P化1、P化2、P化3は以下に示す通りである。
P化1:一般式(1)で示される脂肪族アルコールリン酸エステルに帰属されるP核NMR積分値
P化2:一般式(2)で示される脂肪族アルコールリン酸エステルに帰属されるP核NMR積分値
P化3:一般式(3)で示される脂肪族アルコールリン酸エステルに帰属されるP核NMR積分値
・比較のためのER成分(ER−2)の調製:
反応容器にイオン交換水701.7部、48%水酸化カリウム水溶液76.3部を仕込んだ後、撹拌しながら90℃でロジン(和光純薬社製)222.0部を投入した。その後、1時間熟成し、ER成分(ER−2)の25%水溶液を得た。ER成分は、E成分に該当せず、E成分との比較のために用いる成分である。
試験区分4(コンクリート組成物の調製):
生コンクリート工場のミキサ、生コンクリート工場ミキサ及びコンクリートアジテータ車により、表5及び表6に記載の内容で、各例のコンクリート組成物を調製した。生コンクリート工場のミキサは、強制二軸練りミキサ(容積2.5m)を用い、練混ぜ量は2mで90秒間練り混ぜた。また、「コンクリートアジテータ車」は、積載容積2mのコンクリートアジテータ車を用いた。そして、A成分〜F成分の全て又は一部を後添加する場合には、添加後3分間高速撹拌し、コンクリート組成物を練り混ぜた。
コンクリート組成物の調製は、以下の(a)〜(c)の方法でそれぞれ行った。
(a)生コンクリート工場において、コンクリート組成物用混和剤を含む全ての成分を一括してコンクリートに投入する方法:
(実施例1〜5)
生コンクリート工場のミキサに、水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、A〜E成分を一括で投入した後、90秒間練混ぜを行い、コンクリート組成物を調製した。目標空気量を4.5±1.5%とし、目標スランプフローは配合No.1では65±5cm、配合No.2では60±5cm、配合No.3では55±5cmとした。
(b)調製し未だ固まっていないコンクリート(固化前コンクリート)にコンクリート組成物用混和剤の全ての成分(即ち、全種類(A〜E成分又はA〜F成分))を後添加する方法:
(実施例6〜9)
生コンクリート工場のミキサに、水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、市販のコンクリート用混和剤、及び、表6に示すA〜F成分の一部からなる原料を一括で投入した後、90秒間練り混ぜを行い、所定の流動性となるようベースコンクリートを調製し、アジテータ車に積載した。その後、30分間低速でアジテートした後、アジテータ車のホッパからA〜E成分又はA〜F成分の全種類を添加して3分間高速撹拌し、コンクリート組成物を練り混ぜた。目標空気量を4.5±1.5%とし、目標スランプフローを60±5cmとした。
(c)生コンクリート工場でコンクリート組成物用混和剤(A〜E成分又はA〜F成分)の一部の成分を投入し、更に施工現場において、調製し未だ固まっていないコンクリート(固化前コンクリート)に、コンクリート組成物用混和剤のうちの残りの成分を投入する方法:
(実施例10〜12)
生コンクリート工場のミキサに、水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、市販のコンクリート用混和剤、表6に示すようにA〜E成分又はA〜F成分のうちの一部の成分を投入した後、90秒間練り混ぜを行い、所定の流動性となるようベースコンクリートを調製し、アジテータ車に積載した。その後、30分間低速でアジテートした後、アジテータ車のホッパからA〜E成分又はA〜F成分のうちの投入していない残りの成分を投入して、3分間高速撹拌し、コンクリート組成物を練り混ぜた。目標空気量を4.5±1.5%とし、目標スランプフローを60±5cmとした。
(比較例1〜15)
生コンクリート工場のミキサ、生コンクリート工場ミキサ及びコンクリートアジテータ車により、表5及び表6に記載の内容で、各例のコンクリート組成物を調製した。なお、練混ぜ条件及び練混ぜ方法は、コンクリート組成物用混和剤の組成が異なる以外は、比較例1〜10は実施例1と同様であり、比較例11〜15は実施例10と同様である。
Figure 2021130588
表5において、細骨材及び粗骨材は以下の通りである。
細骨材:陸砂(表乾密度=2.57g/cm
粗骨材:砕石(表乾密度=2.66g/cm
Figure 2021130588
表6において、*1、*2、*3、*4は以下の通りである。
*1:A成分及び市販品の量は、水分を除く有効成分量で示した。
*2:変性リグニンスルホン酸化合物とポリカルボン酸エーテル系分散剤の複合体(竹本油脂社製のAE減水剤、商品名チューポールEX60)
*3:アルキルアリルスルホン酸塩高縮合物(竹本油脂社製のコンクリート用高性能減水剤、商品名ポールファイン510AN)
*4:含窒素型スルホン酸塩(竹本油脂社製のコンクリート用高性能減水剤、商品名ポールファインMF)
なお、実施例6及び実施例9の後添加用混和剤は、使用したA〜F成分を水溶性紙(日本製紙パピリア社製、商品名A6015)に内封して使用した。
試験区分5(コンクリート組成物の物性試験及び物性評価):
調製した各例のコンクリート組成物について、スランプフロー、空気量、ブリーディング率、及びコンクリート硬化体の物性(圧縮強度材齢28日、耐久性指数)を下記のように測定し、結果を表7にまとめて示した。ベースコンクリートについては、スランプ、及び空気量を下記のように測定し、結果を表7にまとめて示した。また、各コンクリート組成物の空気量の調整の容易さを、調整後の空気量を指標として次のように評価し、結果を表8に示した。また、各コンクリート組成物の材料分離抵抗性を、ブリーディング率及び材料の一体感を指標として次のように評価し、結果を併せて表8に示した。更に、各コンクリート組成物の凍結融解抵抗性を、耐久性指数を指標として次のように評価し、結果を表8に示した。
・スランプ(cm):
ベースコンクリートについて、JIS A 1101に準拠して測定した。
・スランプフロー(cm):
コンクリート組成物、ベースコンクリートについて、JIS A 1150に準拠して測定した。
・空気量(容積%):
コンクリート組成物、ベースコンクリートについて、JIS A 1128に準拠して空気量(容積%)を測定した。コンクリート組成物の空気量について以下の基準で評価した。
(練混ぜ直後の空気量)
A:目標空気量4.5±1.5%以内のもの
C:目標空気量4.5±1.5%を外れたもの
(練混ぜ30分後の空気量)
A:目標空気量4.5±1.5%以内のもの
C:目標空気量4.5±1.5%を外れたもの
・ブリーディング率(%):
練混ぜ直後のコンクリート組成物について、JIS A 1123に準拠して測定した。ブリーディング率について以下の基準で評価した。
(水/結合材比40%)
A:ブリーディング率が4.0%以下
C:ブリーディング率が4.0%超
(水/結合材比50%)
A:ブリーディング率が6.0%以下
C:ブリーディング率が6.0%超
(水結合材比60%)
A:ブリーディング率が8.0%以下
C:ブリーディング率が8.0%超
・圧縮強度(材齢28日):
日本工業規格JIS−A1108に準拠して材齢28日での圧縮強度を測定した。具体的には、直径100mm×200mmのブリキ製の型枠に、コンクリート組成物を充填し、温度20℃、湿度80%の恒温室で材齢24時間となるまで養生した。その後、脱型し、20℃の水中にて材齢28日となるまで養生した。その後、研磨により表面を仕上げた後、圧縮強度を測定した。
・耐久性指数:
各コンクリート組成物の硬化体(コンクリート硬化体)を作製し、この硬化体についてJIS A 1148に準拠して算出した。
・コンクリート組成物の「材料の一体感」の評価:
コンクリート組成物について、目視により、材料の一体感を次の基準で評価した。
A:非常に良好(粗骨材とモルタル・ペーストの分離なし)
B:良好(わずかに粗骨材とモルタル・ペーストが分離)
C:悪い(明らかに粗骨材とモルタル・ペーストが分離)
・耐凍害性(300サイクル)(凍結融解抵抗性):
上述のようにして耐久性指数を求めた。凍結融解抵抗性の評価は、算出した耐久性指数から以下の基準に基づいて行った。この数値は、最大値が100であり、100に近いほど、凍結融解に対する抵抗性が優れていることを示す。
S:90以上で100以下
A:80以上で90未満
B:70以上で80未満
C:70未満
Figure 2021130588
表7において、*1、「配合No.」、g−1、g−2は以下に示す通りである。
*1:スランプフロー(cm)を示した。
配合No.:表5に記載の「配合No.」に相当
g−1:普通ポルトランドセメント
g−2:高炉セメントB種
Figure 2021130588
(結果)
表8に示される結果から明らかなように、本発明によると、流動性が高く、骨材等の材料の分離が少なく、空気量の調整が容易で、更に耐凍害性(凍結融解抵抗性)に優れるコンクリート硬化体を作製可能なコンクリート組成物及びその製造方法を提供することができることが確認された。
本発明のコンクリート組成物は、優れた作業性を有し、耐久性の高いコンクリート硬化体を調製する際のコンクリート組成物として利用することができる。

Claims (7)

  1. 水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、及びコンクリート組成物用混和剤を含み、
    前記コンクリート組成物用混和剤が、下記A成分、下記B成分、下記C成分、下記D成分、及び下記E成分を含有し、
    水/結合材比が30〜70質量%であり、
    スランプフローが35〜75cmである、コンクリート組成物。
    A成分:ポリカルボン酸エーテル系分散剤
    B成分:粉末状水溶性セルロースエーテル
    C成分:粉末状ガム類
    D成分:消泡剤
    E成分:下記の一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)でそれぞれ示される脂肪族アルコールリン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種である脂肪族アルコールリン酸エステル
    Figure 2021130588
    (但し、一般式(1)中、Rは、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、M,Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
    Figure 2021130588
    (但し、一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
    Figure 2021130588
    (但し、一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを合計で1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、nは2又は3の整数を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す。)
  2. 前記B成分が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載のコンクリート組成物。
  3. 前記C成分が、ダイユータンガム、ウェランガム、キサンタンガム及びジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1又は2に記載のコンクリート組成物。
  4. 前記E成分が、前記一般式(1)〜前記一般式(3)におけるR〜Rが炭素数6〜20のアルキル基及びアルケニル基の一方、または、これらの基の両方である脂肪族アルコールリン酸エステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート組成物の製造方法であって、
    前記コンクリート組成物用混和剤の全添加量の少なくとも一部を後添加成分としたとき、当該後添加成分以外のものを配合して調製され未だ固まっていない固化前コンクリートを作製し、当該固化前コンクリートに前記後添加成分を添加して、コンクリート組成物を製造するコンクリート組成物の製造方法。
  6. 前記コンクリート組成物用混和剤が、F成分として、オキシカルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一つを更に含有する、請求項5に記載のコンクリート組成物の製造方法。
  7. 前記F成分が、グルコン酸ナトリウムである、請求項6に記載のコンクリート組成物の製造方法。
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