JP2021123646A - 活性エネルギー線硬化性組成物、コーティング剤、および被膜物品 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物、コーティング剤、および被膜物品 Download PDF

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Abstract

【課題】 透明性等に優れる硬化膜を与える活性エネルギー線硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】 (A)ウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する所定のオルガノポリシロキサン
(B)シロキサン骨格を含まず、かつウレタン結合及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
(C)所定の粒子径のシリカ微粒子
(D)(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物
(E)所定の数の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する脂肪族化合物
(F)重合開始剤
をそれぞれ所定量含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、オルガノポリシロキサンを含む活性エネルギー線硬化性組成物、コーティング剤、および被膜物品に関する。
有機ELディスプレイやウェアラブル端末の発展に伴い、フレキシブル基材の最表面に施される高硬度ながらもクラックや剥離の生じないコーティング剤が求められている。とりわけ、タッチパネルなどの指で触れる画像表示装置の最表面においては、爪などの引っ掻きに対しても傷が付かず、透明性が維持できるコーティング剤が必要とされている。
従来、指で触れる画像表示装置の最表面のハードコート層にはガラスなどの無機材料が用いられることが多かったが、フレキシブル基材へのハードコートにおいては、屈曲性を有し、かつ割れた場合の安全性を考慮する必要があるため、有機樹脂素材が好適である。しかし、有機樹脂素材を画像表示装置の最表面に用いる場合、透明性に加えて表面硬度や耐クラック性、基材への密着性などの種々の物理特性が必要となる。
有機官能基を含有するオルガノポリシロキサンは、高硬度、透明性、可撓性、耐衝撃性、耐クラック性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐水性、耐熱性、耐候性、耐黄変性、耐薬品性、防食性、撥水性、離型性、電気絶縁性、加工性等の特性を有する硬化物を与えることから、ハードコート、耐熱塗料、建材用塗料、医療用材料、食品用材料、自動車用材料、電気用材料、難燃材料、成形材料、各種コーティング材料等の分野で樹脂や添加剤、粘着剤、バインダー、コーティング剤として広く利用されている。
従来の有機官能基を含有するオルガノポリシロキサンに、機能性付与や樹脂改質のために、種々の有機樹脂を配合した場合、相溶性や屈折率の不一致などに起因して収縮やクラックが生じたり、白化が発生したりするなどの問題が生じることがある。一方、ラジカル重合性を有する不飽和化合物として、多官能(メタ)アクリレートおよび不飽和ポリエステル等が広く利用されている。しかし、従来のラジカル重合性を有する不飽和化合物にオルガノポリシロキサンを混合した場合、両者の相溶性が悪いため、オルガノポリシロキサン成分が遊離する等の問題を有している。
この点、化合物の構成要素にウレタン結合を含有させることで、分子同士をウレタン結合由来の水素結合により凝集させ、相溶性の向上を図るとともに、硬化物やコーティング層の屈曲性や硬度を向上させる検討が行われている。
例えば、特許文献1では、ウレタンアクリレート構造を有する3官能のアルコキシシランを加水分解してシルセスキオキサンを合成した例が開示されているが、得られたシルセスキオキサンの末端には縮合性官能基が存在しているため、経時変化が起こりうるという課題を有している。
特許文献2では、ウレタンアクリレート構造を有し、末端には縮合性官能基を有しないシルセスキオキサンを主成分に用いることで、耐屈曲性と表面硬度を両立した硬化フィルムの例が開示されているが、表面硬度を維持しつつも耐屈曲性に優れたコーティング組成物の達成には至っていない。
特許第5579072号公報 特開2019-38872号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、種々の重合性不飽和化合物との相溶性に優れるオルガノポリシロキサンを含有し、透明性、耐溶剤性、硬度、耐クラック性、耐屈曲性、および基材への密着性に優れる硬化膜を与える活性エネルギー線硬化性組成物、コーティング剤および被覆物品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン骨格を含まないウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、シリカ微粒子、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物および(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が少ない脂肪族化合物をそれぞれ所定量含有する活性エネルギー線硬化性組成物が、透明で、耐溶剤性、耐クラック性、鉛筆硬度、耐屈曲性、基材への密着性に優れる硬化膜を与え、コーティング剤として好適であることを見出し、本発明を完成した。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を意味する。
すなわち、本発明は、
1. 下記(A)〜(D)成分、(F)成分および必要により(E)成分を含み、
(A)〜(E)成分の合計100質量部中、(A)成分が10〜50質量部、(B)成分が10〜50質量部、(C)成分が5〜30質量部、(D)成分が5〜30質量部、(E)成分が0〜70質量部含まれ、
(A)〜(E)成分の合計100質量部に対し、(F)成分が0.1〜10質量部含まれる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
(A)下記平均式(I)で表されるオルガノポリシロキサン
Figure 2021123646
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R3は、水素原子またはメチル基を表し、R4は、それぞれ独立して、水素原子、水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、またはグリシドキシプロピル基を表し、R5は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、またはi−プロピル基を表し、a、b、c、dおよびeは、0.1≦a≦0.5、0≦b≦0.2、0≦c≦0.4、0≦d≦0.4、0.2≦e≦0.7、a+b+c+d+e=1を満たす数を表し、fは、0≦f≦0.3を満たす数を表す。)
(B)シロキサン骨格を含まず、かつ、ウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
(C)平均粒子径が80nm以下のシリカ微粒子
(D)(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物
(E)(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が1以上3未満である脂肪族化合物
(F)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤
2. さらに、(A)、(B)、(D)および(E)成分以外の重合性モノマーを含有する1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物、
3. さらに、溶剤を含有する1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物、
4. 1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物からなるコーティング剤、
5. 基材と、この基材の少なくとも一方の面に直接または少なくとも1種のその他の層を介して積層された硬化膜とを有し、
前記硬化膜が、4に記載のコーティング剤から作製された硬化膜である被覆物品
を提供する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、耐溶剤性、耐クラック性、高硬度、高屈曲性、密着性に優れる硬化膜を与え、その透明性の高さからフォルダブルデバイスやフレキシブルタッチパネルの表面層等のコーティング剤として有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、下記(A)〜(F)成分を含む。
(A)下記平均式(I)で表されるオルガノポリシロキサン
(B)シロキサン骨格を含まず、かつ、ウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
(C)シリカ微粒子
(D)(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物
(E)(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が1以上3未満である脂肪族化合物
(F)重合開始剤
(1)(A)成分
(A)成分は、下記式(I)で表されるオルガノポリシロキサンであり、他の有機樹脂との相溶性が高く、硬化膜の耐屈曲性および耐クラック性向上に寄与する。
Figure 2021123646
式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R3は、水素原子またはメチル基を表し、R4は、それぞれ独立して、水素原子、水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、またはグリシドキシプロピル基を表し、R5は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、またはi−プロピル基を表し、a、b、c、dおよびeは、0.1≦a≦0.5、0≦b≦0.2、0≦c≦0.4、0≦d≦0.4、0.2≦e≦0.7、a+b+c+d+e=1を満たす数を表し、fは、0≦f≦0.3を満たす数を表す。
1およびR2の炭素原子数1〜10の2価炭化水素基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、シクロヘキシレン基等の直鎖、分岐または環状のアルキレン基;フェニレン、キシリレン基等のアリーレン基などが挙げられる。
これらの中でも、炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖のアルキレン基がより好ましく、エチレン基、トリメチレン基がより一層好ましい。
4の炭素原子数1〜8のアルキル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル基等が挙げられ、これらのアルキル基は、その水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲン置換アルキル基としては、クロロメチル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
これらの中でも、R4としては、炭素原子数1〜4のアルキル基またはフェニル基が好ましく、メチル基またはフェニル基がより好ましい。
aは0.1≦a≦0.5を満たす数であるが、0.2≦a≦0.5が好ましい。aが0.1未満の場合は、オルガノポリシロキサンの相溶性が不十分なものとなり、また、当該オルガノポリシロキサンを含む組成物の硬化性、並びに硬化物の硬度、耐擦傷性、耐クラック性、および耐屈曲性に劣るものとなる。
bは0≦b≦0.2を満たす数であるが、0≦b≦0.1が好ましい。bが0.2を超えると、得られる硬化物が耐クラック性、耐屈曲性に劣るものとなる。
cは0≦c≦0.4を満たす数であるが、0≦c≦0.2が好ましい。cが0.4を超えると、得られる硬化物が耐クラック性、耐屈曲性に劣るものとなる。
dは0≦d≦0.4を満たす数であるが、0≦d≦0.3が好ましい。dが0.4を超えると、得られる硬化物が硬度に劣るものとなる。
eは0.2≦e≦0.7を満たす数であるが、0.3≦e≦0.6が好ましい。eが0.2未満の場合は、オルガノポリシロキサンが高粘度となり、作業性および加工性の観点から好ましくない。eが0.7を超えると、得られる硬化物が硬度に劣るものとなる。
fは0≦f≦0.3を満たす数であるが、縮合性官能基による縮合反応の抑制に効果的であることや、得られる硬化物の耐クラック性、耐水性、および耐候性の観点を考慮すると、fは0≦f≦0.1を満たす数が好ましい。
特に、他の重合性不飽和化合物との相溶性や、当該オルガノポリシロキサンを含む硬化性組成物の硬化性、並びに当該組成物から得られる硬化物の硬度、耐クラック性、耐屈曲性、および耐水性の観点から、平均式(I)において、R1がトリメチレン基であり、R2がエチレン基であり、R3が水素原子であり、R4がメチル基であることが好適である。
本発明で用いるオルガノポリシロキサンの平均分子量は特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で500〜100,000が好ましく、700〜10,000がより好ましい。500未満では縮合が十分に進んでおらず、オルガノポリシロキサンの保存性が低くなる場合があり、また経時で縮合反応が生じ、耐熱耐湿試験で良好な結果が得られない場合がある。100,000超の高分子量体では、当該オルガノポリシロキサンを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させたフィルム、または被覆物品において良好な硬度や耐屈曲性が得られない場合がある。
また、本発明で用いるオルガノポリシロキサンの粘度は特に限定されるものではないが、作業性および加工性の観点から、回転粘度計により測定される25℃における粘度が200〜50,000mPa・sが好ましく、300〜5,000mPa・sがより好ましい。
さらに、本発明で用いるオルガノポリシロキサンは、有機溶剤等を除く不揮発分が96質量%以上であることが好ましい。揮発分が多くなると、組成物を硬化した際のボイド発生による外観の悪化や機械的性質の低下の原因となる場合がある。
(A)成分は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いるオルガノポリシロキサンは、一般的なオルガノポリシロキサンの製造方法に従って製造することができ、例えば、ウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランを縮合して得ることができる。
具体的には、下記式(II)で表される加水分解性シラン、および必要に応じてその他の加水分解性シランを用いて、触媒の存在下で加水分解縮合を行ってオルガノポリシロキサンを製造する方法が挙げられる。
Figure 2021123646
式中、R1〜R3は、上記と同じ意味を表す。Xは、それぞれ独立して、塩素原子または炭素原子数1〜6のアルコキシ基を表す。
Xの炭素原子数1〜6のアルコキシ基としては、その中のアルキル基が直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ基等が挙げられる。
また、必要に応じて用いられるその他の加水分解性シランとしては、上記式(II)で表される加水分解性シランとともに加水分解縮合することでオルガノポリシロキサンを製造できるものであれば特に限定されるものではない。
その具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランなどやこれらの加水分解縮合物が挙げられる。
その他の加水分解性シランおよび/またはその加水分解縮合物の添加量は、式(II)のシラン1モルに対して、0.1〜3モルが好ましく、より好ましくは0.5〜2モルである。
縮合に用いられる触媒としては、特に限定されるものではないが、酸性触媒が好ましく、その具体例としては、塩酸、ギ酸、酢酸、硫酸、燐酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、酢酸、乳酸、炭酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。
触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応を速やかに進行させるとともに、反応後の触媒の除去の容易性を考慮すると、加水分解性シラン1モルに対して0.0002〜0.5モルの範囲が好ましい。
加水分解性シランと、加水分解縮合反応に要する水との量比は、特に限定されるものではないが、触媒の失活を防いで反応を十分に進行させるとともに、反応後の水の除去の容易性を考慮すると、加水分解性シラン1モルに対し、水0.1〜10モルの割合が好ましい。
加水分解縮合時の反応温度は、特に限定されるものではないが、反応率を向上させるとともに、加水分解性シランが有する有機官能基の分解を防止することを考慮すると、−10〜150℃が好ましく、反応時間は1〜6時間が好ましい。
なお、加水分解縮合の際には、有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
式(I)で表されるオルガノポリシロキサンは、(A)〜(E)成分の合計100質量部中、10〜50質量部であるが、コーティング組成物における各成分との相溶性や硬化膜の耐屈曲性、鉛筆硬度を考慮すると、15〜40質量部が好ましい。
(2)(B)成分
(B)成分の、シロキサン骨格を含まず、かつ、ウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、ポリオール化合物、イソシアネート化合物、アクリル酸エステル化合物を出発原料にして合成した化合物(ウレタンアクリレート)等が挙げられ、単官能型、多官能型、ポリマー型などが挙げられる。
(B)成分の化合物の官能基((メタ)アクリロイルオキシ基)数は任意であるが、得られる樹脂やコーティングの密着性、硬度、耐クラック性、耐屈曲性をより高めることを考慮すると、1〜20が好ましく、2〜15がより好ましく、2〜8がより一層好ましい。
ポリマー型の化合物としては、ポリエチレン骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、ポリイミド骨格を含むウレタンアクリレートが挙げられるが、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格を含むウレタンアクリレートが好ましい。
(B)成分は市販品として入手することができ、例えば、U−2PPA、U−6LPA、U−10hA、U−10PA、UA−1100H、U−15HA、UA−53H、UA−33H、U−200PA、UA−160TM、UA−290TM、UA−4200、UA−4400、UA−122P、UA−7100、UA−W2A(いずれも新中村化学工業(株)製)、AH−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H、UF−8001G、DAUA−167(いずれも共栄社化学(株)製)、KUA−4I、KUA−6I、KUA−9N、KUA−10H、KUA−15N、KUA−C2I、KUA−PC2I、KUA−PEA2I、KUA−PEB2I、KUA−PEC2I(いずれもケーエスエム(株)製)、EBECRYL 210、EBECRYL 220、EBECRYL 225、EBECRYL 230、EBECRYL 246、EBECRYL 270、EBECRYL 280、EBECRYL 284、EBECRYL 286、EBECRYL 294、EBECRYL 1258、EBECRYL 1271、EBECRYL 1290、EBECRYL 1291、EBECRYL 2221、EBECRYL 4101、EBECRYL 4141、EBECRYL 4201、EBECRYL 4220、EBECRYL 4250、EBECRYL 4265、EBECRYL 4396、EBECRYL 4397、EBECRYL 4491、EBECRYL 4501、EBECRYL 4510、EBECRYL 4531、EBECRYL 4587、EBECRYL 4666、EBECRYL 4680、EBECRYL 4683、EBECRYL 4738、EBECRYL 4740、EBECRYL 4820、EBECRYL 4858、EBECRYL 4859、EBECRYL 5129、EBECRYL 8209、EBECRYL 8210、EBECRYL 8301R、EBECRYL 8307、EBECRYL 8311、EBECRYL 8402、EBECRYL 8405、EBECRYL 8409、EBECRYL 8411、EBECRYL 8413、EBECRYL 8465、EBECRYL 8602、EBECRYL 8701、EBECRYL 8800、EBECRYL 8804、EBECRYL 8807、EBECRYL 8809、EBECRYL 8810、EBECRYL 8811、EBECRYL 9260、EBECRYL 9270、KRM7735、KRM8200、KRM8200AE、KRM8296、KRM8452、KRM8528、KRM8530、KRM8531BA、KRM8667、KRM8904、KRM8961、KRM8191(いずれもダイセル・オルネクス(株)製)等が挙げられる。
シロキサン骨格を含まず、かつ、ウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の含有量は、(A)〜(E)成分の合計100質量部中、10〜50質量部であるが、得られる硬化物の基材との密着性、被膜の平滑性、透明性、および表面硬度を高めることを考慮すると、15〜40質量部が好ましい。
(3)(C)成分
(C)成分のシリカ微粒子は、硬化膜の表面硬度、耐擦傷性および耐クラック性向上に寄与する。
シリカ微粒子としては、特に限定されるものではなく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランを出発原料にして合成したもの等が挙げられる。
また、シリカ微粒子として、多孔質シリカ微粒子、中空シリカ微粒子や、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタニウム等とケイ素との複合金属酸化物を用いてもよい。中空や多孔質の微粒子においては低屈折率効果も期待される。
シリカ微粒子の平均粒子径は80nm以下であるが、シリカ微粒子の分散安定性と硬化性組成物の粘度を好適に調整する点から、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。80nmより大きいものを使用すると、当該組成物を用いて得られた被覆物品に異物や塗りムラが生じ、透明性が損なわれる。
上記シリカ微粒子は、活性エネルギー線硬化性反応基で表面修飾されたものが好ましい。このような表面修飾シリカ微粒子は、組成物中での分散安定性が向上するとともに、活性エネルギー線の照射によって、架橋反応を起こし、ポリマーマトリックス中に固定される。
表面修飾シリカ微粒子としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等で表面処理されたシリカ微粒子が挙げられる。
本発明で用いるシリカ微粒子は、シリカ微粒子と、後述する(D)成分、またはその他の重合性不飽和化合物との組成物として使用してもよい。このような組成物は市販品として入手でき、例えば、NANOCRYL A200、NANOCRYL A210、NANOCRYL A215、NANOCRYL A220、NANOCRYL A223、NANOCRYL A235、NANOCRYL C130、NANOCRYL C140、NANOCRYL C150、NANOCRYL C153‐10、NANOCRYL E114、NANOCRYL E129、NANOCRYL E134、NANOCRYL E137、NANOCRYL E139、NANOCRYL E149、NANOCRYL E334(いずれもエボニック インダストリーズAG製)、SIRHDDA30WT%−E06、SIRHDDA30WT%−E01、SIRTPGDA30WT%−P01、SIRTPGDA30WT%−P02(いずれもCIKナノテック(株)製)等が挙げられる。
シリカ粒子の含有量は、(A)〜(E)成分の合計100質量部中、5〜30質量部であるが、得られる樹脂やコーティングと相溶し、かつシリカ粒子の分散性を向上させることを考慮すると、5〜20質量部が好ましい。
(4)(D)成分
(D)成分の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物は、基材と硬化被膜との密着性を向上させ、被膜の平滑性、透明性、耐擦傷性の向上に寄与する。
(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物中の炭化水素部位は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
その具体例としては、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールEO変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO変性テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物は、市販品として入手することができ、例えば、MIRAMER M170、MIRAMER M202、MIRAMER M232、MIRAMER M233、MIRAMER M270、MIRAMER M280、MIRAMER M281T、MIRAMER M282、MIRAMER M283、MIRAMER M284、MIRAMER M286、MIRAMER M287、MIRAMER M3130、MIRAMER M3150、MIRAMER M3160、MIRAMER M3190、MIRAMER M4004(いずれも美源スペシャリティケミカル(株)製)、ビスコート#MTG、MPE400A、MPE550A(いずれも大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレートEC−A、ライトアクリレートMTG−A、ライトアクリレートEHDG−AT、ライトアクリレート130A、ライトアクリレート3EG−A、ライトアクリレート4EG−A、ライトアクリレート9EG−A、ライトアクリレート14EG−A、ライトアクリレートPTMGA−250、ライトエステルBC、ライトエステル130MA、ライトエステル041MA、ライトエステル2EG、ライトエステル3EG、ライトエステル4EG、ライトエステル9EG、ライトエステル14EG、(いずれも共栄社化学(株)製)、AM−90G、AM−130G、A−200、A−400、A−600、A−1000、M−90G、M−230G、2G、3G、4G、9G、14G、23G(いずれも新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物の含有量は、(A)〜(E)成分の合計100質量部中、5〜30質量部であるが、得られる硬化物の基材との密着性、被膜の平滑性、透明性、および表面硬度を高めることを考慮すると、5〜20質量部が好ましい。
(5)(E)成分
(E)成分の(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が1以上3未満である脂肪族化合物は、コーティング液の低粘度化や硬化性に有効であり、基材とコーティング膜との密着性向上にも寄与する。
低分子量化合物は、揮発性が高く、毒劇物に指定されているものも多いため、人体や環境への影響を考慮すると、(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が2の化合物を使用することが好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が1以上3未満である脂肪族化合物の炭化水素部位は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
その具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が1以上3未満である脂肪族化合物は、市販品として入手することができる。
その具体例としては、MIRAMER M120、MIRAMER M121、MIRAMER M130、MIRAMER M131、MIRAMER M180、MIRAMER M181、MIRAMER M200、MIRAMER M201、MIRAMER M205、MIRAMER M213、MIRAMER M221、MIRAMER M251、MIRAMER M262、MIRAMER M1130、MIRAMER M1140、MIRAMER M1150(いずれも美源スペシャリティケミカル(株)製)、AIB、TBA、NOAA、INAA、IDAA、LA、STA、ISTA、IBXA、ビスコート#155、ビスコート#195、ビスコート#197、ビスコート#230、ビスコート#260(いずれも大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレートIAA、ライトアクリレートL−A、ライトアクリレートS−A、ライトアクリレートIB−XA、ライトアクリレートNP−A、ライトアクリレートMPD−A、ライトアクリレート1.6HX−A、ライトアクリレート1.9ND−A、ライトアクリレートDCP−A、ライトエステルE、ライトエステルNB、ライトエステルIB、ライトエステルTB、ライトエステルEH、ライトエステルID、ライトエステルL、ライトエステルL−7、ライトエステルS、ライトエステルIB−X、ライトエステルEG、ライトエステル1.4BG、ライトエステルNP、ライトエステル1.6HX、ライトエステル1.9ND(いずれも共栄社化学(株)製)、S−1800A、A−DCP、A−HD−N、A−NOD−N、A−DOD−N(いずれも新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が1以上3未満である脂肪族化合物の含有量は、(A)〜(E)成分の合計100質量部中、0〜70質量部であるが、(E)成分を配合する場合、当該組成物を硬化した際に十分な架橋密度が得られ、その被覆物品において表面硬度および耐擦傷性に優れることを考慮すると、1〜20質量部が好ましい。
(6)(F)成分
(F)成分の光重合開始剤としては、活性エネルギー線によりラジカル種を発生する開始剤であれば、特に限定されるものではなく、アセトフェノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の公知の光重合開始剤から適宜選択すればよい。
その具体例としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、チオキサントン誘導体、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤は市販品として入手することができ、例えば、Omnirad 1173、Omnirad MBF、Omnirad 127、Omnirad 184、Omnirad 369、Omnirad 379、Omnirad 379EG、Omnirad 651、Omnirad 754、Omnirad 784、Omnirad 819、Omnirad 819DW、Omnirad 907、Omnirad 2959、Omnirad TPO(いずれもIGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、(A)〜(E)成分の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であるが、組成物の硬化性を良好にするとともに、得られる硬化膜の表面硬度の低下を防止することを考慮すると、0.5〜5質量部が好ましい。
(7)その他の成分
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、(A)、(B)、(D)および(E)成分以外の重合性モノマーを含有していてもよい。
その他の重合性モノマー(重合性不飽和化合物)としては、エポキシアクリレート、エステルアクリレート、チオウレタンアクリレート、含フッ素アクリレート等が挙げられる。
その他の重合性不飽和化合物を用いる場合、その含有量は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対して、1〜1,000質量部が好ましく、5〜500質量部がより好ましい。
重合性モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて溶剤を含有してもよい。好ましい溶剤としては、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルのエステル化物などが挙げられる。
溶剤を含有する場合、その含有量は特に制限されないが、(A)、(B)、(D)および(E)成分の合計量100質量部(その他の重合性モノマーを含む場合、上記成分およびその他の重合性モノマーの合計量100質量部)に対して5〜100質量部が好ましく、より好ましくは10〜80質量部である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに、金属酸化物微粒子、シリコーンレジン、シランカップリング剤、希釈溶剤、充填剤、可塑剤、密着助剤、加工助剤、増感剤、光吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、熱線反射剤、帯電防止剤、酸化防止剤、乾燥剤、防腐剤、防カビ剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤、撥油性付与剤、滑り防止剤、ハジキ防止剤、艶消し剤、着色剤、色分かれ防止剤、消泡剤、脱泡剤、整泡剤、増粘剤、減粘剤、乳化剤、界面活性剤、湿潤分散剤、相溶化剤、レオロジーコントロール剤、たれ防止剤、皮はり防止剤、表面調整剤、レベリング剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記各成分を常法に準じて均一に混合することにより得られる。
活性エネルギー線硬化性組成物の粘度は特に限定されるものではないが、成形または塗布作業性を良好にし、スジムラ等の発生を抑制することを考慮すると、回転粘度計により測定される25℃での粘度が50,000mPa・s以下が好ましく、10,000mPa・s以下がより好ましい。なお、25℃における粘度の下限は10mPa・s以上が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、コーティング剤として好適に使用可能であり、基材の少なくとも一方の面に、直接または少なくとも1種のその他の層を介して塗布し、それを硬化させることにより被膜を形成した被覆物品を得ることができる。
上記基材としては、特に限定されるものではないが、プラスチック成形体、木材系製品、セラミックス、ガラス、金属、およびそれらの複合物等が挙げられる。
また、これらの基材の表面が、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液で処理されている基材や、基材本体と表層が異なる種類の塗料で被覆された化粧合板等も用いることもできる。
さらに、予めその他の機能層が形成された基材表面に、本発明のコーティング剤による被覆を施してもよく、その他の機能層としては、プライマー層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層等が挙げられ、これらのいずれか一層または複数層が基材上に予め形成されていてもよい。
被覆物品は、本発明のコーティング剤からなる塗膜が形成された面に、さらに、CVD(化学気相成長)法による蒸着層、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の1層または複数層によって被覆されていてもよい。
さらに、被覆物品は、本発明のコーティング剤からなる塗膜が形成された面とは反対側の面が、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の1層または複数層によって被覆されていてもよい。
本発明のコーティング剤は、表面硬度および表面耐擦傷性の付与が必要とされる物品、特に液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等の各種表示素子等の表面に塗布し、硬化被膜とすることにより、これらの表面に高硬度、耐屈曲性および耐クラック性を付与することが可能である。
コーティング剤の塗布方法としては、公知の手法から適宜選択すればよく、例えば、バーコーター、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を用いることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物(コーティング剤)を硬化させるための光源としては、通常、200〜450nmの範囲の波長の光を含む光源、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射量は特に制限されないが、10〜5,000mJ/cm2が好ましく、20〜1,000mJ/cm2がより好ましい。
硬化時間は、通常0.5秒〜2分であり、好ましくは1秒〜1分である。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、下記において、揮発分はJIS C2133に準じて測定した値であり、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、HLC−8220 東ソー(株)製)を用いてテトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒として測定した値である。
また、平均式(I)におけるa〜fの値は、1H−NMRおよび29Si−NMR測定の結果から算出した。
[1]平均式(I)で表されるオルガノポリシロキサンの合成
[合成例1]オルガノポリシロキサン1の合成
特開2019−38872号公報の実施例1−2記載の合成法を参考にオルガノポリシロキサン1を合成した。得られた反応物は、粘度2,980mPa・s、揮発分0.8質量%、重量平均分子量1,970の25℃で粘稠な液体であった。
NMRの結果から算出した平均式(I)におけるa〜fの値は、それぞれa=0.32、b=0、c=0.16、d=0、e=0.52、f=0.08であった。
[合成例2]オルガノポリシロキサン2の合成
特開2019−38872号公報の実施例1−3記載の合成法を参考にオルガノポリシロキサン2を合成した。得られた反応物は、粘度1,680mPa・s、揮発分0.6質量%、重量平均分子量1,550の25℃で粘稠な液体であった。
NMRの結果から算出した平均式(I)におけるa〜fの値は、それぞれa=0.30、b=0、c=0、d=0.21、e=0.49、f=0.09であった。
[2]活性エネルギー線硬化性組成物(コーティング組成物)の製造
[実施例1−1〜1−18、比較例1−1〜1−16]
合成例1で得られたオルガノポリシロキサン1、合成例2で得られたオルガノポリシロキサン2、KRM8200(ダイセル・オルネクス(株)製)、UA−122P(新中村化学工業(株)製)、NANOCRYL A235(粒子径20nmのシリカ粒子の50質量%ペンタエリスリトールEO変性テトラアクリレート(PE(EO)TTA)分散液、エボニック インダストリーズAG製)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA、大阪有機化学工業(株)製)、Omnirad TPO、Omnirad 184(いずれもラジカル系光重合開始剤、IGM Resins B.V.社製)を表1に示す配合比率(質量部)で混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。表2に(A)〜(E)成分の比率を示す。
Figure 2021123646
Figure 2021123646
[3]被覆物品の製造および評価
[実施例2−1〜2−18,比較例2−1〜2−16]
上記各実施例および比較例で調製した組成物を、バーコーターを用いてPET基板(A4100、東洋紡(株)製)上に硬化後の膜厚が10μmになるよう塗布し、高圧水銀灯で積算照射量600mJ/cm2となるように光を照射し、硬化させて硬化膜を形成して被覆物品を製造した。
得られた被覆物品の硬化膜についてそれぞれ外観、密着性、耐溶剤性、鉛筆硬度、耐屈曲性、および屈曲耐久性を評価した。結果を表3に示す。
(1)外観観察
目視により表面にクラックや凝集が確認された場合はNG、確認されずに透明性、平滑性を保って成膜された場合はOKとした。
(2)密着試験
JIS K5600−5−6に準じて25マスによるクロスカット試験を行い、(剥離せず残ったマスの数)/25として表した。
(3)耐溶剤性
脱脂綿にアセトンを染み込ませ、硬化膜上を50往復させて剥離やクラックが生じなければOKとした。
(4)鉛筆硬度(表面硬度)
JIS K5600−5−4に準じて750g荷重にて測定した。
(5)耐屈曲性
JIS K5600−5−1に準じて円筒形マンドレル(タイプ1)を用いて測定し、耐屈曲性に関して、8mmφ試験でクラックが生じたフィルムに対しては、>8mmφとした。
(6)耐久性
耐久性試験機(DMLHB−P150、ユアサシステム機器製)に被膜物品を固定し、500gの重りを吊るし、R5mmの曲げR治具を使用して、90度屈曲させた後、直線状に戻し、次に反対方向に90度屈曲させた後に直線状に戻す操作を毎分約30回の速度で2万回繰り返し、クラックや剥がれが生じた場合はNG、確認されずに透明性、密着性を維持していた場合はOKとした。
Figure 2021123646
表3に示されるように、実施例1−1〜1−18で得られた活性エネルギー線硬化性組成物(コーティング剤)を硬化することによって得られた硬化膜は、密着性、耐溶剤性、鉛筆硬度、耐屈曲性を兼ね備え、耐久性にも優れていることがわかる。したがって、本発明は有機EL等のフレキシブルデバイス、タッチパネルの表面層等の硬度および耐屈曲性が求められる用途に好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 下記(A)〜(D)成分、(F)成分および必要により(E)成分を含み、
    (A)〜(E)成分の合計100質量部中、(A)成分が10〜50質量部、(B)成分が10〜50質量部、(C)成分が5〜30質量部、(D)成分が5〜30質量部、(E)成分が0〜70質量部含まれ、
    (A)〜(E)成分の合計100質量部に対し、(F)成分が0.1〜10質量部含まれる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    (A)下記平均式(I)で表されるオルガノポリシロキサン
    Figure 2021123646
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R3は、水素原子またはメチル基を表し、R4は、それぞれ独立して、水素原子、水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、またはグリシドキシプロピル基を表し、R5は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、またはi−プロピル基を表し、a、b、c、dおよびeは、0.1≦a≦0.5、0≦b≦0.2、0≦c≦0.4、0≦d≦0.4、0.2≦e≦0.7、a+b+c+d+e=1を満たす数を表し、fは、0≦f≦0.3を満たす数を表す。)
    (B)シロキサン骨格を含まず、かつ、ウレタン結合および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
    (C)平均粒子径が80nm以下のシリカ微粒子
    (D)(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル化合物
    (E)(メタ)アクリロイルオキシ基の含有数が1以上3未満である脂肪族化合物
    (F)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤
  2. さらに、(A)、(B)、(D)および(E)成分以外の重合性モノマーを含有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. さらに、溶剤を含有する請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化性組成物からなるコーティング剤。
  5. 基材と、この基材の少なくとも一方の面に直接または少なくとも1種のその他の層を介して積層された硬化膜とを有し、
    前記硬化膜が、請求項4記載のコーティング剤から作製された硬化膜である被覆物品。
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