JP2020079209A - 重合性官能基を有する有機ケイ素化合物およびそれを含む活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents
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しかし、このようなオルガノポリシロキサンを縮合することにより形成された硬化物は、残存する縮合性官能基の経時での縮合反応により収縮が起き、クラックが生じるなどの問題を有している。
しかし、従来のラジカル重合性を有する不飽和化合物にオルガノポリシロキサン化合物を混合した場合、両者の相溶性が悪いため、オルガノポリシロキサン成分が遊離する等の問題点を有している。
しかし、特許文献1,2のいずれにおいても、得られたオルガノポリシロキサン化合物の末端には縮合性官能基が存在しているため、継時的変化が起こりうるという課題を有している。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を意味する。
1. 下記一般式(I)で示される有機ケイ素化合物、
2. 1記載の化合物および光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物、
3. 前記化合物以外の重合性モノマーを含有する2記載の活性エネルギー線硬化性組成物、
4. 2または3記載の活性エネルギー線硬化性組成物からなるコーティング剤、
5. 2または3記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物、
6. 5記載の硬化物からなるフィルム、
7. 基材と、該基材の少なくとも一方の面に直接または少なくとも1種のその他の層を介して積層された硬化膜とを有し、該硬化膜が4記載のコーティング剤の硬化膜である被覆物品
を提供する。
また、本発明の有機ケイ素化合物は、縮合性官能基を含有していないため、本発明の有機ケイ素化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物は、経時変化による劣化が抑えられ、耐水性、および耐クラック性に優れた硬化物を与えることができる。
(1)重合性官能基を有する有機ケイ素化合物
本発明に係る重合性官能基を有する有機ケイ素化合物は、下記式(I)で表されるものである。
これらの中でも、炭素原子数1〜6のアルキレン基またはアリーレン基が好ましく、エチレン基、o,m又はp−フェニレン基がより好ましい。
これらの中でも、炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、エチレン基、トリメチレン基がより好ましい。
例えば、アミノ基含有ジメチルシリル化合物に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物を反応させることで本発明の有機ケイ素化合物を得ることができる。
具体的には、下記式(II)で表される化合物、下記式(III)で表される化合物、および必要に応じてその他の化合物を用いて反応を行うことで本発明の有機ケイ素化合物を製造する方法が挙げられる。
反応時の温度及び時間も特に制限されないが、例えば、反応温度は−10〜90℃が好ましく、反応時間は1〜5時間が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上述した本発明の有機ケイ素化合物、および光重合開始剤を含有するものである。
光重合開始剤としては、活性エネルギー線によりラジカル種を発生する開始剤であれば特に限定されるものではなく、アセトフェノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の公知の光重合開始剤から適宜選択して用いることができる。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、チオキサントン誘導体、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート等が挙げられる。
重合性モノマーを用いる場合、その含有量は、本発明の有機ケイ素化合物100質量部に対して、1〜1,000質量部が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の粘度は特に限定されるものではないが、成形または塗布作業性を良好にし、すじむら等の発生を抑制することを考慮すると、回転粘度計により測定される25℃での粘度が、500mPa・s以下が好ましく、300mPa・s以下がより好ましい。なお、25℃における粘度の下限は10mPa・s以上が好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、フィルムとしても好適に使用可能である。
また、これらの基材の表面が、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液で処理されている基材や、基材本体と表層が異なる種類の塗料で被覆された化粧合板等も用いることもできる。
さらに、被覆物品は、本発明のコーティング剤からなる塗膜が形成された面とは反対側の面が、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の1層または複数層によって被覆されていてもよい。
照射量は特に制限されないが、10〜5,000mJ/cm2が好ましく、20〜1,000mJ/cm2がより好ましい。
硬化時間は、0.5秒〜2分が好ましく、より好ましくは1秒〜1分である。
得られるフィルムの厚さは0.1〜2mmが好ましく、コーティング被膜の厚さは5〜300μmが好ましい。
なお、下記例において、揮発分はJIS C2133に準じて測定した値であり、屈折率はJIS K0211に準じて測定した値である。
[実施例1−1]
反応器中に2−イソシアナトエチルアクリラート(昭和電工(株)製)423.3g(3.0モル)、1,4−ベンゾキノン(東京化成工業(株)製)0.065g(0.0006モル)を投入し、撹拌しているところに1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン(信越化学工業(株)製)462.9g(1.5モル)を滴下した後、25℃で2時間撹拌し、下記式で表される化合物を得た。
得られた反応物は、揮発分0.28質量%、屈折率1.5303の淡黄色透明粘稠液体であった。1H−NMRおよびIRの測定結果を下記に示す。
1H−NMR(ppm):0.2(12H)、0.7(4H)、1.5(4H)、3.1(4H)、3.5(4H)、4.2(4H)、5.8(2H)、6.1(2H)、6.4(4H)、7.5(4H)。
IR(cm-1):810、1188、1250、1408、1572、1635、1727、2953、3346。
[比較例1−1]
反応器中に2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)846.6g(6.0モル)を投入し、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業(株)製)1,075.8g(6.0モル)を滴下した後、25℃で30分間撹拌し、下記式で表される化合物を得た。
[実施例2−1及び比較例2−2]
実施例1−1または比較例1−1で得られた各有機ケイ素化合物10質量部、ダロキュア1173(ラジカル系光重合開始剤、BASF社製)0.5質量部を混合して硬化性組成物を調製した。
この組成物を硬化後の厚さ0.2mmとなるように離形フィルムを貼り付けた型に流し込み、高圧水銀灯で積算照射量600mJ/cm2となるように光を照射し、硬化させることでフィルムを製造した。
実施例2−1および比較例2−2で得られたフィルムについて、85℃、85%RHの環境に10日間曝露した前後の鉛筆硬度および耐屈曲性を測定した。結果を表1に示す。
(1)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準じて750g荷重にて測定した。鉛筆硬度に関して、6B試験で傷が生じたフィルムに対しては、「6B未満」とした。
(2)耐屈曲性
JIS K5600−5−1に準じて円筒形マンドレル(タイプ1)を用いて測定した。耐屈曲性に関して、8mmφ試験でクラックが生じたフィルムに対しては、「8mmφ超」とした。
[実施例3−1,比較例3−1]
実施例1−1または比較例1−1で得られた各有機ケイ素化合物4.5質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(MIWON社製)4.5質量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート1.0質量部(大阪有機化学工業(株)製)、ダロキュアー1173(ラジカル系光重合開始剤、BASF社製)0.5質量部を混合し、コーティング組成物を調製した。
このコーティング組成物をバーコ−タ−No.14を用いてポリカーボネート基板上、またはガラス基板上に硬化後の厚さが30μmとなるように塗布し、高圧水銀灯で積算照射量600mJ/cm2となるように光を照射し、硬化させることで被膜物品を製造した。
得られた被覆物品の硬化膜について、鉛筆硬度および耐湿熱性を評価した。結果を表2に示す。なお、鉛筆硬度は上記と同様の手順で測定した(暴露なし)。
(3)耐湿熱性
85℃、85%RHの環境に10日間曝露した後に、目視により表面のクラックの有無を確認した。クラックが確認できなかった場合は「GOOD」、確認できた場合は「NG」とした。
Claims (7)
- 請求項1記載の化合物および光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記化合物以外の重合性モノマーを含有する請求項2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項2または3記載の活性エネルギー線硬化性組成物からなるコーティング剤。
- 請求項2または3記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
- 請求項5記載の硬化物からなるフィルム。
- 基材と、該基材の少なくとも一方の面に直接または少なくとも1種のその他の層を介して積層された硬化膜とを有し、該硬化膜が請求項4記載のコーティング剤の硬化膜である被覆物品。
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