JP2020196847A - オルガノポリシロキサンおよびそれを含む活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

オルガノポリシロキサンおよびそれを含む活性エネルギー線硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】種々の重合性不飽和化合物との相溶性に優れる高屈折率オルガノポリシロキサン、並びにこのオルガノポリシロキサンを含有し、基材への密着性および耐屈曲性に優れる硬化物を与え得る活性エネルギー線硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】式(I)で表されるシロキサン単位を少なくとも1つ有する、オルガノポリシロキサン

(R1は、下記式(II)で表される基である)

【選択図】なし

Description

本発明は、チオウレア構造を有するオルガノポリシロキサン、特には活性エネルギー線硬化性オルガノポリシロキサン、およびそれを含む活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
近年、スマートフォンのディスプレイをはじめとして、有機ELに代表されるフレキシブルデバイスの台頭が目覚ましいが、基材との密着性や表面硬度を保ちながらも、屈曲性に優れる材料が求められている。
光学ディスプレイは積層膜によって構成され、干渉縞等の光学的問題を改善するために屈折率調整層が設けられることが一般的であるが、高屈折率材料を用いることで薄膜化が可能となり、デバイス物品の軽量化を達成することができる。
一方、有機官能基を含有するオルガノポリシロキサンは、耐衝撃性、耐クラック性、耐熱性、耐薬品性、耐水性、加工性等の特性を有する硬化物を与えることからディスプレイをはじめとした各種コーティング材料等の分野で樹脂改質剤やコーティング剤として広く利用されている。
しかし、シロキサン骨格由来の屈折率が1.4程度と低いために、オルガノポリシロキサンの屈折率は従来の有機化合物と比較して低い傾向にある。オルガノポリシロキサンの高屈折率化を達成するために、フェニル基をシロキサン骨格に導入したり、チタニアやジルコニア等の無機微粒子を添加するなどの手法が挙げられるが、過剰のフェニル基をシロキサン骨格に導入した場合は被膜物品において基材との密着性や硬度が劣る傾向にあり、また無機微粒子の添加においては、オルガノポリシロキサンとの相溶性が悪く、被膜物品において塗りムラやブツが発生する恐れがある。
チオウレア骨格は屈折率が1.7程度と高い傾向にあり、化合物の構成要素にチオウレア骨格を導入することで、高屈折化が可能となる。また、チオウレア骨格に由来する分子間水素結合により、各種フィルムやコーティング物品においては、密着性や屈曲性の発現が期待できる。
ラジカル重合性を有する化合物として、(メタ)アクリレート化合物が広く利用されている。しかし、従来の(メタ)アクリレート化合物にオルガノポリシロキサンを混合した場合、両者の相溶性が悪いため、オルガノポリシロキサン成分が遊離する等の問題点を有している。
特許文献1では、チオウレア構造を有するオルガノシラン化合物を含む金属表面処理剤、並びにその表面処理方法が開示されている。この金属表面処理剤を用いて形成される被膜において、良好な基材密着性が認められており、チオ尿素結合を含有することの優位性を示唆している。
特許文献2では、高屈折率無機微粒子を含有する活性エネルギー性硬化性コーティング組成物が開示されている。高屈折率無機微粒子を含有する活性エネルギー性硬化性コーティング組成物において、基板への密着性や表面硬度は良好なものの、剛直な無機微粒子を含有することから耐屈曲性の点では不十分であることが予想される。
特許第5712980号公報 特開2004−307579号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、種々の重合性不飽和化合物との相溶性に優れる高屈折率オルガノポリシロキサン、並びに該オルガノポリシロキサンを含有し、基材への密着性および耐屈曲性に優れる硬化物を与え得る活性エネルギー線硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、チオウレア結合を1個以上有するシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサンが種々の重合性不飽和化合物との相溶性に優れ、また該オルガノポリシロキサンを含む活性エネルギー線硬化性組成物は基材への密着性および耐屈曲性に優れる硬化物を与え得ることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、下記式(I)で表されるシロキサン単位を少なくとも1つ有する、オルガノポリシロキサンを提供する。
(式中、R1は、互いに独立に、下記式(II)で表される基であり、Rは、互いに独立に、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、及びグリシドキシプロピル基から選ばれる基であり、Xは、単結合、又は炭素原子数1〜6の2価炭化水素基であり、Zは、炭素原子数1〜6の2価炭化水素基であり、nは1〜3の整数であり、及び、rは1〜3の整数である)

(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基である)。
更に本発明は、上記オルガノポリシロキサンを含む硬化性組成物並びにコーティング剤を提供する。
本発明のオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した、チオウレア結合を有する有機基を有することにより、種々の活性エネルギー線硬化性組成物に含有させることができ、基材への密着性および耐屈曲性に優れた高屈折率硬化物を与える。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
(I)オルガノポリシロキサン
本発明のオルガノポリシロキサンは、下記式(I)で表されるシロキサン単位を少なくとも1つ有する。
式(I)において、R1は、下記式(II)で表される基であり、Rは、互いに独立に、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、及びグリシドキシプロピル基から選ばれる基であり、Xは、単結合、又は炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基であり、Zは、炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基であり、nは1〜3の整数であり、及びrは1〜3の整数である。nは好ましくは2又は3であり、及びrは好ましくは2又は3である。
式(II)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基である。
上記R及びRにおいて、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基としては、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等が挙げられる。また、これらのアルキル基は、その炭素原子に結合する水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。炭素数2〜8のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、これらのアリール基は、その炭素原子に結合する水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。中でも、Rとしては、炭素原子数1〜4のアルキル基またはフェニル基が好ましく、メチル基またはフェニル基がより好ましい。Rとしては、好ましくは、炭素原子数2〜8のアルケニル基であるのがよく、より好ましくはビニル基またはアリル基であるのがよい。
XおよびZにおける、炭素原子数1〜6の2価炭化水素基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及びシクロヘキシレン基等の直鎖、分岐または環状のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜3のアルキレン基が好ましく、エチレン基、及びトリメチレン基がより好ましい。また、Xは単結合であってもよい。
特に、重合性化合物との相溶性や、当該オルガノシラン化合物を含む硬化性組成物の硬化性、並びに当該組成物から得られる硬化物の基板への密着性の観点から、構造式(I)において、Rがメチル基であり、Xがメチレン基であり、Zがエチレン基であることが好適であり、構造式(II)において、Rがアリル基であることが好適である。
本発明のオルガノポリシロキサンとしては、更に、上記式(II)以外のラジカル重合性官能基を有する有機基(R)を有するシロキサン単位を少なくとも1つ有するのが好ましい。好ましくはRSiO3/2で表される単位を少なくとも1つ有するのが好ましい。ラジカル重合性官能基としては、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基が挙げられる。なお、本発明において(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を意味する。
本発明のオルガノポリシロキサンは、好ましくは、上記式(I)で表されるチオウレア構造と、Rで示されるラジカル重合性官能基を有する有機基とを有することを特徴とする。これにより、基材への密着性および耐屈曲性により優れた硬化物を与えることができる。
で示されるラジカル重合性官能基を有する有機基とは、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基を末端に有する有機基であり、例えば、下記式で表すことができる。
(pは1〜10の整数であり、qは1〜10の整数であり、R’は水素原子又はメチル基である)
ラジカル重合性官能基を有する有機基は、特に好ましくは、下記式で表される。

(R’は水素原子又はメチル基である)
上記のようにウレタン結合と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する基を有することにより、このような基を有するシロキサン原料化合物は、チオウレアを有するシロキサン原料化合物との相溶性が高まる為、好ましい。
本発明のオルガノポリシロキサンの平均分子量は特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が300〜15,000が好ましく、500〜6,000がより好ましい。300未満ではシロキサンの縮合反応が十分に進んでいない可能性があり、オルガノポリシロキサンの保存性が低くなるおそれがある。また、15,000超では、該オルガノポリシロキサンを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させたフィルム、または被覆物品において、良好な硬度や耐屈曲性が得られないおそれがある。
特に好ましくは、本発明のオルガノポリシロキサンは下記平均式(III)で表される。
上記式(III)において、R1、R、R、Z、r及びnは上述の通りである。R2’は、互いに独立に、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、及びグリシドキシプロピル基から選ばれる基であり、上記Rにおいて例示したものと同様のものが挙げられる。Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びi−プロピル基である。a、b、c、d、eおよびfは、0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.9、0≦c≦0.3、0≦d≦0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦0.5、a+b+c+d+e+f=1を満たし、gは、0<g≦2を満たす数である。該オルガノポリシロキサンは上述した重量平均分子量を有するのが好ましい。
尚、上記式(III)においてラジカル重合性官能基を有する有機基(R)はRSiO3/2で表されるT単位にあるが、Rを有するM単位(R SiO1/2)やD単位(RSiO2/2)を含んでいてもよい。
上記aは、好ましくは0.2≦a≦0.9を満たす数であり、0.5≦a≦0.9がより好ましい。aはチオウレア構造を有する有機基を有するシロキサン単位の割合である。aが上記下限値未満では、オルガノポリシロキサンの他の重合性不飽和化合物に対する相溶性が不十分なものとなるおそれがある。さらに該オルガノポリシロキサンを含む組成物の基材への密着性および耐屈曲性が不十分なものとなる場合がある。
上記bは、好ましくは0.2≦b≦0.9を満たす数であり、0.5≦b≦0.9がより好ましい。bは上述した有機基(R)を有するシロキサンT単位の割合である。bが上記下限値未満の場合は、オルガノポリシロキサンの他の重合性不飽和化合物に対する相溶性が不十分なものとなるおそれがあり、また、当該オルガノポリシロキサンを含む組成物の硬化性が不十分なものとなる場合がある。
上記cは0≦c≦0.3を満たす数であり、0≦c≦0.1が好ましい。cが0.3を超えると、得られる硬化物の基板への密着性、耐屈曲性に劣るものとなる場合がある。
上記dは0≦d≦0.5を満たす数であり、0≦d≦0.3が好ましい。dが0.5を超えると、得られる硬化物の基板への密着性、耐屈曲性に劣るものとなる場合がある。
上記eは0≦e≦0.5を満たす数であり、0≦e≦0.3が好ましい。eが0.5を超えると、得られる硬化物の基板への密着性、耐屈曲性に劣るものとなる場合がある。
上記fは0≦f≦0.5を満たす数であり、0≦f≦0.3が好ましい。fが0.5を超えると、得られる硬化物の基板への密着性、耐屈曲性に劣るものとなる場合がある。
上記gは0<g≦2を満たす数であり、0.4≦g≦1の範囲が好ましい。gが2を超えると、オルガノポリシロキサンの保存性が低くなる場合がある。
本発明のオルガノポリシロキサンは、単一の組成でも、組成の異なる複数の化合物の混合物であってもよい。本発明のオルガノポリシロキサンは、有機溶剤等を除く不揮発分が95質量%以上であることが好ましい。揮発分が多くなると、組成物を硬化した際のボイド発生による外観の悪化や機械的性質の低下の原因となる場合がある。
本発明のオルガノポリシロキサンは、一般的なオルガノポリシロキサンの製造方法に従って製造することができる。例えば、チオウレア結合を有する有機基を含む加水分解性シランと、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランとを縮合して得ることができる。詳細には、下記式(IV)および(VI)で表される加水分解性シラン、および必要に応じてその他の加水分解性シランを用いて、触媒の存在下で加水分解縮合を行ってオルガノポリシロキサンを製造する方法が挙げられる。
(式中、R、r、X、Z、R1およびnは、上述した通りであり、Aは、加水分解性基であり、好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、または炭素原子数1〜6のアルコキシ基である)
上記式(IV)において、Aはハロゲン原子、水酸基、及び炭素原子数1〜6のアルコキシ基から選ばれる加水分解性基である。ハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。炭素原子数1〜6のアルコキシ基としては、アルキル基が直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよい。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、及びペンチルオキシ基等が挙げられる。中でも、炭素原子数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、及びエトキシ基がより好ましい。
Si(R 3−x)A (VI)
式中、R、R、及びAは、上述した通りであり、xは1〜3の整数である。該式(VI)で表される加水分解性シランは、好ましくはRSiAで表される化合物がよい。
は、上述の通り、ラジカル重合性基含有有機基であり、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基を末端に有しウレタン結合を有する有機基であり、より好ましくは下記式で表される基である。

(p、q、及びR’は上述の通りである)
また、必要に応じてその他の加水分解性シランを縮合反応させてもよい。その他の加水分解性シランとは、上記構造式(IV)及び(VI)で表される加水分解性シランと加水分解縮合することで上述した本発明のオルガノポリシロキサンを製造できるものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランなどが挙げられる。
加水分解縮合に用いられる触媒としては、特に限定されないが、酸性触媒が好ましい。例えば、塩酸、ギ酸、酢酸、硫酸、燐酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、酢酸、乳酸、炭酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。触媒の使用量は特に限定されるものでなく、触媒量であればよい。反応を速やかに進行させるとともに、反応後の触媒の除去の容易性を考慮すると、加水分解性シラン1モルに対して0.0002〜0.5モルの範囲が好ましい。
上述した加水分解性シランと、加水分解縮合反応に要する水との量比は、特に限定されないが、触媒の失活を防いで反応を十分に進行させるとともに、反応後の水の除去の容易性を考慮すると、加水分解性シラン1モルに対し、水0.1〜10モルの割合が好ましい。加水分解縮合時の反応温度は、特に限定されるものではないが、反応率を向上させるとともに、加水分解性シランが有する有機官能基の分解を防止することを考慮すると、−10〜150℃が好ましい。
加水分解縮合には有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、及びキシレン等が挙げられる。
上記構造式(IV)で表される加水分解性シランは、下記構造式(VII)で表される加水分解性シランと、下記構造式(VIII)で表される化合物とを反応させて得ることができる。

(式中、A、R、XおよびZは、上述の通りである)
(式中、R3は、上述の通りである)
構造式(VII)で表される加水分解性シランとしては、例えば、アミノメチルメトキシジメチルシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルメトキシジメチルシラン、2−アミノエチルジメトキシメチルシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメトキシジメチルシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルメトキシジメチルシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]メトキシジメチルシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]ジメトキシメチルシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、及び3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン等が挙げられる。
上記式(VIII)で表されるイソチオシアネート化合物としては、例えば、メチルイソチオシアネート、エチルイソチオシアネート、プロピルイソチオシアネート、ブチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート等が挙げられる。
構造式(VII)で表される化合物と構造式(VIII)で表される化合物との反応は、構造式(VII)で表される化合物1モルに対して、構造式(VIII)で表される化合物を1モル以上用いて行うことが好ましい。反応温度は−80〜200℃が好ましく、−20〜40℃がより好ましい。また、該反応には、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノール、トルエン、及びキシレン等の有機溶媒を用いてもよい。
(II)活性エネルギー線硬化性組成物
本発明は、更に上述したオルガノポリシロキサン、および光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。光重合開始剤としては、活性エネルギー線によりラジカル種を発生する開始剤であれば、特に限定されるものではなく、アセトフェノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の公知の光重合開始剤から適宜選択すればよい。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、チオキサントン誘導体、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、光重合開始剤は市販品を使用することもできる。該市販品としては、例えば、ダロキュア1173、ダロキュアMBF、イルガキュア127、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア379EG、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア784、イルガキュア819、イルガキュア819DW、イルガキュア907、イルガキュア1800、イルガキュア2959、及びルシリンTPO(いずれもBASFジャパン社製)等が挙げられる。
光重合開始剤の量は、硬化性を良好にするとともに、硬化後の表面硬度の低下を防止することを考慮すると、本発明のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜10質量部である。また、後述する他の重合性不飽和化合物をさらに含む場合には、本発明のオルガノポリシロキサンと重合性不飽和化合物との合計100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、本発明のオルガノポリシロキサン以外の重合性不飽和化合物をさらに含有していてもよい。該重合性不飽和化合物としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びエステルアクリレート等が挙げられる。他の重合性不飽和化合物の量は、本発明のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、1〜1,000質量部が好ましく、さらに好ましくは5〜500質量部である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに、金属酸化物微粒子、シリコーンレジン、シランカップリング剤、希釈溶剤、可塑剤、充填剤、増感剤、光吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、熱線反射剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤、消泡剤、着色剤、増粘剤、及びレベリング剤等の各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記各成分を常法に準じて均一に混合することにより得られる。活性エネルギー線硬化性組成物の粘度は特に限定されるものではないが、成形または塗布作業性を良好にし、スジムラ等の発生を抑制することを考慮すると、回転粘度計により測定される25℃での粘度が10,000mPa・s以下が好ましく、2,000mPa・s以下がより好ましい。なお、25℃における粘度の下限は10mPa・s以上が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、コーティング剤として好適に使用可能であり、基材の少なくとも一方の面に、直接または少なくとも1種のその他の層を介して塗布し、それを硬化させることにより被膜を形成した被覆物品を得ることができる。また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、フィルムとしても好適に使用可能である。
上記基材としては、特に限定されるものではないが、プラスチック成形体、木材系製品、セラミックス、ガラス、金属、およびそれらの複合物等が挙げられる。また、これらの基材の表面が、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液で処理されている基材や、基材本体と表層が異なる種類の塗料で被覆された化粧合板等も用いることもできる。
さらに、予めその他の機能層が形成された基材表面に、本発明のコーティング剤による被覆を施してもよく、その他の機能層としては、プライマー層、防錆層、ガスバリア層、防水層、及び熱線遮蔽層等が挙げられ、これらのいずれか一層または複数層が基材上に予め形成されていてもよい。
被覆物品は、本発明のコーティング剤からなる塗膜が形成された面に、さらに、CVD(化学気相成長)法による蒸着層、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の1層または複数層によって被覆されていてもよい。さらに、被覆物品は、本発明のコーティング剤からなる塗膜が形成された面とは反対側の面が、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、及び帯電防止層等の1層または複数層によって被覆されていてもよい。
本発明のコーティング剤は、表面に耐擦傷性および耐磨耗性の付与が必要とされる物品、特に液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の各種表示素子等の表面に塗布し、硬化被膜とすることにより、これらの表面に耐擦傷性、耐磨耗性、耐屈曲性、および耐クラック性を付与することが可能である。コーティング剤の塗布方法としては、公知の手法から適宜選択すればよく、例えば、バーコーター、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、及びナイフコート等の各種塗布方法を用いることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させるための光源としては、通常、200〜450nmの範囲の波長の光を含む光源、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射量は特に制限されないが、10〜5,000mJ/cm2が好ましく、20〜1,000mJ/cm2がより好ましい。硬化時間は、通常0.5秒〜2分であり、好ましくは1秒〜1分である。
以下、合成例、実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記において、揮発分はJIS C2133に準じて測定した値であり、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、HLC−8220 東ソー(株)社製)を用いてテトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒として測定した値である。また、平均式(III)におけるa〜gの値は、1H−NMRおよび29Si−NMR測定の結果から算出した。
[1]チオウレア結合を含有する加水分解性シランの合成
[合成例1]
アリルイソチオシアネート(東京化成工業(株)社製)99.15g(1.0mol)を秤量し、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業(株)社製)179.29g(1.0mol)を滴下して黄色透明液体として下記構造式(IX)で表される化合物を得た。得られた加水分解性シランは25℃で液体であり、屈折率1.513、揮発分4.6質量%を有した。
[合成例2]
アリルイソチオシアネート(東京化成工業(株)社製)198.3g(2.0mol)を秤量し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603、信越化学工業(株)社製)222.4g(1.0mol)を滴下して黄色透明液体として下記構造式(X)で表される化合物を得た。得られた加水分解性シランは25℃で液体であり、屈折率1.557、揮発分6.7質量%を有した。
[合成例3]
アリルイソチオシアネート(東京化成工業(株)社製)297.5g(3.0mol)を秤量し、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン(X−12−580、信越化学工業(株)社製)562.9g(1.0mol)を滴下して黄色透明液体として下記構造式(XI)で表される化合物を得た。得られた加水分解性シランは25℃で液体であり、屈折率1.585、揮発分5.6質量%、重量平均分子量640を有した。
[2]末端にアクリロイルオキシ基を有する加水分解性シランの合成
[合成例4]
2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(カレンズAOI、昭和電工(株)社製)846.6g(6.0mol)を秤量し、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業(株)社製)1,075.8g(6.0mol)を滴下して無色透明液体として下記構造式(XII)で表される化合物を得た。得られた加水分解性シランは25℃で液体であり、屈折率1.453、揮発分9.2質量%、重量平均分子量390であった。
[3]オルガノポリシロキサンの合成
[実施例1−1]
合成例1で得られた加水分解性シラン(IX)835.3g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸38.0gを反応器中で混合し、イオン交換水194.4gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)189.8gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.533、揮発分2.9質量%、重量平均分子量1,280の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.5、b=0.5、c=0、d=0、e=0、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−2]
合成例1で得られた加水分解性シラン(IX)835.3g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、テトラメトキシシラン(KBM−04、信越化学工業(株)社製)15.2g(0.1mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸38.1gを反応器中で混合し、イオン交換水198.7gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)190.1gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.530、揮発分3.1質量%、重量平均分子量1,790の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.49、b=0.49、c=0.02、d=0、e=0、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−3]
合成例1で得られた加水分解性シラン(IX)835.3g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、トリメトキシメチルシラン(KBM−13、信越化学工業(株)社製)136.22g(1.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸39.0gを反応器中で混合し、イオン交換水226.8gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)194.9gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.527、揮発分3.0質量%、重量平均分子量1,320の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.43、b=0.43、c=0、d=0.14、e=0、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−4]
合成例1で得られた加水分解性シラン(IX)835.3g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、ジメトキシジメチルシラン(KBM−22、信越化学工業(株)社製)240.4g(2.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸40.2gを反応器中で混合し、イオン交換水237.6gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)201.0gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.521、揮発分3.2質量%、重量平均分子量1,370の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.38、b=0.38、c=0、d=0、e=0.24、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−5]
合成例2で得られた加水分解性シラン(X)1,262.0g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸44.36gを反応器中で混合し、イオン交換水194.4gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)221.8gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.549、揮発分3.3質量%、重量平均分子量1,470の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.5、b=0.5、c=0、d=0、e=0、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−6]
合成例2で得られた加水分解性シラン(X)1,262.0g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、テトラメトキシシラン(KBM−04、信越化学工業(株)社製)15.3g(0.1mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸44.5gを反応器中で混合し、イオン交換水197.6gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)222.4gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.545、揮発分2.8質量%、重量平均分子量1,890の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.49、b=0.49、c=0.02、d=0、e=0、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−7]
合成例2で得られた加水分解性シラン(X)1,262.0g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、トリメトキシメチルシラン(KBM−13、信越化学工業(株)社製)136.22g(1.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸45.4gを反応器中で混合し、イオン交換水226.8gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)226.9gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.542、揮発分3.5質量%、重量平均分子量1,620の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.43、b=0.43、c=0、d=0.14、e=0、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−8]
合成例2で得られた加水分解性シラン(X)1,262.0g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、ジメトキシジメチルシラン(KBM−22、信越化学工業(株)社製)240.4g(2.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸46.6gを反応器中で混合し、イオン交換水237.6gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)233.0gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.516、揮発分3.7質量%、重量平均分子量1,670の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.38、b=0.38、c=0、d=0、e=0.24、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−9]
合成例3で得られた加水分解性シラン(XI)1,688.6g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸50.8gを反応器中で混合し、イオン交換水194.4gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)253.8gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.559、揮発分3.5質量%、重量平均分子量1,650の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.5、b=0.5、c=0、d=0、e=0、f=0、g=0.65であった。
[実施例1−10]
合成例3で得られた加水分解性シラン(XI)1,688.6g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、テトラメトキシシラン(KBM−04、信越化学工業(株)社製)15.3g(0.1mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸50.9gを反応器中で混合し、イオン交換水198.7gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)254.3gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.556、揮発分2.8質量%、重量平均分子量2,060の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.49、b=0.49、c=0.02、d=0、e=0、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−11]
合成例3で得られた加水分解性シラン(XI)1,688.6g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、トリメトキシメチルシラン(KBM−13、信越化学工業(株)社製)136.22g(1.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸51.2gを反応器中で混合し、イオン交換水226.8gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)265.0gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.554、揮発分3.5質量%、重量平均分子量1,710の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.43、b=0.43、c=0、d=0.14、e=0、f=0、g=0.64であった。
[実施例1−12]
合成例3で得られた加水分解性シラン(XI)1,688.6g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、ジメトキシジメチルシラン(KBM−22、信越化学工業(株)社製)240.4g(2.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸53.0gを反応器中で混合し、イオン交換水237.6gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)233.0gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.549、揮発分3.6質量%、重量平均分子量1,790の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.38、b=0.38、c=0、d=0、e=0.24、f=0、g=0.64であった。
[比較例1−1]
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803、信越化学工業(株)社製)589.2g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸34.3gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水194.4gを添加し、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)171.4gを投入し、2時間撹拌して中和した。減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去し、加圧濾過を行った。
得られた反応物は25℃で液体であり、屈折率1.519、揮発分2.6質量%、重量平均分子量1,090であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0、b=1、c=0、d=0、e=0、f=0、g=0.65であった。
[比較例1−2]
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803、信越化学工業(株)社製)589.2g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、テトラメトキシシラン(KBM−04、信越化学工業(株)社製)15.3g(0.1mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸34.4gを反応器中で混合し、イオン交換水198.7gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)171.8gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.514、揮発分3.5質量%、重量平均分子量1,720の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.49、b=0.49、c=0.02、d=0、e=0、f=0、g=0.64であった。
[比較例1−3]
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803、信越化学工業(株)社製)589.2g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、トリメトキシメチルシラン(KBM−13、信越化学工業(株)社製)136.22g(1.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸35.3gを反応器中で混合し、イオン交換水226.8gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)176.4gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.510、揮発分3.2質量%、重量平均分子量1,300の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.43、b=0.43、c=0、d=0.14、e=0、f=0、g=0.64であった。
[比較例1−4]
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803、信越化学工業(株)社製)589.2g(3.0mol)、合成例4で得られた加水分解性シラン(XII)964.2g(3.0mol)、ジメトキシジメチルシラン(KBM−22、信越化学工業(株)社製)240.4g(2.0mol)、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(東京化成工業(株))1,146.1g(4.0mol)、メタンスルホン酸36.5gを反応器中で混合し、イオン交換水237.6gを添加して、25℃で4時間撹拌した。キョーワード500SH(協和化学工業(株)社製)182.5gを投入し、2時間撹拌し中和した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。
得られた反応物は、屈折率1.504、揮発分2.9質量%、重量平均分子量1,410の25℃で粘稠な液体であった。上記平均式(III)におけるa〜gの値は、NMRによる構造分析により、a=0.38、b=0.38、c=0、d=0、e=0.24、f=0、g=0.64であった。
上記で製造した各オルガノポリシロキサンの原料構成を下記表1及び2にまとめる。
[5]活性エネルギー線硬化性組成物およびその硬化物の製造及び評価
[実施例2−1〜2−12,比較例2−1〜2−4]
上記実施例又は比較例で得た各オルガノポリシロキサン10質量部、及びダロキュア1173(ラジカル系光重合開始剤、BASF社製)0.5質量部を混合して、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。該組成物を、厚さ0.2mmとなるように離形フィルムを貼り付けた型に流し込み、高圧水銀灯で積算照射量600mJ/cm2となるように光を照射し、硬化させることでフィルムを製造した。得られたフィルムについて、下記の方法に従い、屈折率および耐屈曲性を測定した。結果を表3に示す。
(1)屈折率
プリズムカプラー(Metricon社製)を用いて波長633nmにおける値を測定した。
(2)耐屈曲性
JIS K5600−5−1に準じて円筒形マンドレル(タイプ1)を用いて測定した。上記で得たフィルムに対して,各サイズ(2mmφ、4mmφ、6mmφ、8mmφ)の円筒形マンドレルで、折り曲げ試験をくり返し、フィルムに割れ等が生じなかった最小の直径を表4に記載した。
(3)デュロメータ硬さ(HDD)
JIS K6253−3に準じてタイプDデュロメータ(テックロック社製)を用いて測定した。
[6]コーティング剤の製造及び評価
[実施例3−1〜3−12,比較例3−1〜3−4]
上記実施例および比較例で得られた各オルガノポリシロキサン10質量部、及びダロキュア1173(ラジカル系光重合開始剤、BASF社製)0.5質量部を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(コーティング剤)を得た。該コーティング剤をバーコ−タ−No.3を用いてPET基板(コスモシャインA4300、東洋紡(株)社製)上に塗布し、高圧水銀灯で積算照射量600mJ/cm2となるように光を照射し、硬化させることで被覆物品を製造した。
得られた被覆物品の硬化膜について密着性および鉛筆硬度を評価した。結果を表4に示す。
(4)密着試験
JIS K5600−5−6に準じて25マスによるクロスカット試験を行い、(剥離せず残ったマスの数)/25として表した。
(5)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準じて500g荷重にて測定した。
表3に示されるように、チオウレア結合を有する本発明のオルガノポリシロキサンを含有する活性エネルギー線硬化性組成物のフィルムは、屈折率が1.530以上であり、マンドレルの直径を最小(2mmφ)にしても塗膜の割れ等が生じず耐屈曲性に優れており、且つ、HDD50以上を有する。また、表4に示されるように、本発明のオルガノポリシロキサンを含むコーティング剤は、良好な基材密着性と表面硬度を兼ね備えている。
従って、本発明のオルガノポリシロキサンを含む活性エネルギー線硬化性組成物は、基材への密着性及び耐屈曲性に優れた高屈折率被膜を与えることができる。

Claims (11)

  1. 下記式(I)で表されるシロキサン単位を少なくとも1つ有する、オルガノポリシロキサン
    (式中、R1は、互いに独立に、下記式(II)で表される基であり、Rは、互いに独立に、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、及びグリシドキシプロピル基から選ばれる基であり、Xは、単結合、又は炭素原子数1〜6の2価炭化水素基であり、Zは、炭素原子数1〜6の2価炭化水素基であり、nは1〜3の整数であり、及び、rは1〜3の整数である)

    (式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基である)。
  2. 更に、ラジカル重合性官能基を有する有機基(上記式(II)以外)を有するシロキサン単位を少なくとも1つ有する、請求項1記載のオルガノポリシロキサン。
  3. 下記平均式(III)で表される、請求項2記載のオルガノポリシロキサン
    (式中、R1、R、X、Z、r及びnは上述の通りであり、R2’は、互いに独立に、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、及びグリシドキシプロピル基から選ばれる基であり、Rは上記式(II)以外の、ラジカル重合性官能基を有する有機基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、a、b、c、d、eおよびfは、0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.9、0≦c≦0.3、0≦d≦0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦0.5、a+b+c+d+e+f=1を満たす数を表し、gは、0<g≦2を満たす数である)。
  4. が、末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基である、請求項3記載のオルガノポリシロキサン。
  5. GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量300〜15,000を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン100質量部、および光重合開始剤0.1〜20質量部を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン以外の重合性不飽和化合物を、該オルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜1,000質量部でさらに含有する、請求項4記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  8. 請求項6または7記載の活性エネルギー線硬化性組成物からなるコーティング剤。
  9. 請求項6または7記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
  10. 請求項9記載の硬化物からなるフィルム。
  11. 基材と、該基材の少なくとも一方の面に直接または少なくとも1種のその他の層を介して積層された硬化膜とを有し、該硬化膜が請求項9記載の硬化物からなる物品。
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