JP2021116629A - 天井固定吊り下地補強構造 - Google Patents

天井固定吊り下地補強構造 Download PDF

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Abstract

【課題】振幅の大きな揺れを生じさせる重い吊下げ対象物に対しても防振効果を得ることができる天井固定吊り下地補強構造を提供する。
【解決手段】天井固定吊り下地補強構造10は、建物高さ方向に互いに離間して配置された躯体構成部材16及び天井材20を貫通して吊下げ対象物28を吊り下げ可能な軸体26と、前記軸体26に貫通されて前記躯体構成部材16の下面に締結される上面部32と、前記軸体26に貫通されて前記天井材20の上面に締結される下面部34と、平面視で互いに直交する2つの側壁36A、36Bを含んで構成されて前記上面部32及び前記下面部34とを連結する側面部36とを備えた補強部材30と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、天井固定吊り下地補強構造に関する。
下記特許文献1には、建築物において、上階の床スラブなどの構造躯体から吊り下げられる空調機器などの振動機器に対して、これらの振動が吊りボルトを伝わって躯体に伝播することを防止する吊下げ式防振具が開示されている。この吊下げ式防振具は、吊りボルトの途中に、振動機器の荷重を支える防振具本体を備えている。この防振具本体は、上辺部、下辺部及び対向する一対の側辺部を有する中空矩形状の枠体とされている。
特開2017−044261号公報
しかしながら、上記先行技術では、防振具本体の側辺部が対向する一対の面で構成されている。このため、防振効果を得られる方向及び振動の大きさが限られている。したがって、例えばハンギングチェアなど、振幅の大きな揺れを生じさせる重い吊下げ対象物を、鉄骨住宅の天井梁から天井材を貫通させて吊り下げるような場合には、上記先行技術の防振具では十分な防振効果を得られず、吊りボルトの変形を招く可能性がある。
本発明は上記事実を考慮し、振幅の大きな揺れを生じさせる重い吊下げ対象物に対しても防振効果を得ることができる天井固定吊り下地補強構造を提供することを目的とする。
第1の態様に係る天井固定吊り下地補強構造は、建物高さ方向に互いに離間して配置された躯体構成部材及び天井材を貫通して吊下げ対象物を吊り下げ可能な軸体と、前記軸体に貫通されて前記躯体構成部材の下面に締結される上面部と、前記軸体に貫通されて前記天井材の上面に締結される下面部と、平面視で互いに直交する2つの側壁を含んで構成されて前記上面部と前記下面部とを連結する側面部と、を備えた補強部材と、を有している。
第1の態様によれば、補強部材の側面部は、平面視で互いに直交する2つの側壁を含んで構成されている。このため、吊下げ対象物が平面視で360°あらゆる方向に大きな振幅で揺動した場合でも、補強部材によって軸体の傾き及び変形を抑制することができる。
第2の態様に係る天井固定吊り下地補強構造は、第1の態様において、前記側面部は、互いに直交する2つの側壁からなる。
第2の態様によれば、側面部が設けられている部分以外、補強部材の側方は開放されている。よって、補強部材に軸体を固定する際に使用する工具の可動範囲が広くなる。
第3の態様に係る天井固定吊り下地補強構造は、第1又は第2の態様において、下面部と天井材との間に緩衝部材を備えている。
第3の態様によれば、緩衝部材によって補強部材から天井材に伝わる衝撃が緩和される。
第4の態様に係る天井固定吊り下地補強構造は、第1〜第3のいずれかの態様において、前記軸体は、前記躯体構成部材及び前記上面部に固定される上側軸体と、前記下面部及び前記天井材に固定され、前記吊下げ対象物を吊り下げ可能な下側軸体とに分割されて構成されている。
第4の態様によれば、躯体構成部材及び上面部に固定される上側軸体と、下面部及び天井材に固定され、吊下げ対象物を吊り下げ可能な下側軸体とを、平面視で異なる位置に設けることができる。よって、吊下げ対象物を吊り下げる位置が躯体構成部材の直下に限定されず、躯体構成部材から離れた位置に吊下げ対象物を吊り下げることができる。
以上説明したように、第1の態様に係る天井固定吊り下地補強構造は、振幅の大きな揺れを生じさせる重い吊下げ対象物に対しても防振効果を得ることができるという優れた効果を有する。
第2の態様に係る天井固定吊り下地補強構造は、軸体を固定する際の作業性を維持しつつ、防振効果を得られるという優れた効果を有する。
第3の態様に係る天井固定吊り下地補強構造は、天井材への負担を軽減できるという優れた効果を有する。
第4の態様に係る天井固定吊り下地補強構造は、吊下げ対象物の設置自由度を向上できるという優れた効果を有する。
第1実施形態における天井固定吊り下地補強構造を用いた吊下げ対象物の吊り下げ態様を示す概略側面図である。 図1に示される補強部材及び第3ナットを拡大して示す斜視図である。 図1に示される天井材側締結部を拡大して示す側面図である。 図2に示される第3ナットを、工具を用いて締結する態様を示す平面図である。 第2実施形態における天井固定吊り下地補強構造を用いた吊下げ対象物の吊り下げ態様を示す概略側面図である。
(第1実施形態)
以下、図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態に係る天井固定吊り下地補強構造10について説明する。なお、各図に適宜示される矢印UPは建物高さ方向上方側を示している。
図1には、本実施形態における天井固定吊り下地補強構造10を用いた吊り下げ態様を示す概略側面図が示されている。鉄骨住宅12の天井14には、躯体構成部材としての天井梁16と、部屋の上面を構成する天井材20とが設けられている。
天井梁16は、例えばH形鋼で構成されており、図1に示されるようにウェブ22及び下部フランジ24を備えている。下部フランジ24は、ウェブ22の下端部から水平方向に離反して両側に延出されており、その片側の第1フランジ24Aには、貫通孔24A1が形成されている。天井固定吊り下地補強構造10は、ウェブ22を含む平面Pよりも第1フランジ24A側に設けられている。
天井材20は、例えば石膏ボードで構成されている。天井材20には、天井梁16の貫通孔24A1の直下に貫通孔20Aが同軸上に形成されている。
また、天井14には、軸体としての吊りボルト26が設けられている。吊りボルト26は、貫通孔24A1を介して第1フランジ24Aを貫通すると共に、貫通孔20Aを介して天井材20を貫通するよう構成されている。吊りボルト26の下端部には、ハンギングチェアなどの吊下げ対象物28を吊り下げ可能な環状の吊り部26Aが設けられている。
ここで、天井梁16と天井材20との間には、補強部材30が設けられている。補強部材30は、第1フランジ24Aの下面に締結される上面部32と、天井材20の上面に締結される下面部34と、上面部32と下面部34とを連結する側面部36とを備えている。
図2に示されるように、補強部材30の上面部32及び下面部34は、それぞれ略正方形の板状に形成されている。上面部32の中央には、貫通孔32Aが形成されている。同様に、下面部34の中央には、貫通孔34Aが形成されている(図3参照)。
図1に示されるように、吊りボルト26は、天井梁側締結部38において、貫通孔24A1及び貫通孔32Aを介して天井梁16及び補強部材30の上面部32を貫通した状態で固定されている。詳述すると、吊りボルト26は、第1フランジ24Aの上面側から第1ナット40で締結されており、上面部32の下面側から第2ナット42で締結されている。
また、吊りボルト26は、天井材側締結部44において、貫通孔20A及び貫通孔34Aを介して天井材20及び補強部材30の下面部34を貫通した状態で固定されている。詳述すると、下面部34の上面側から第3ナット46で締結されており、天井材20の下面側から第4ナット48及び第5ナット50のダブルナットで締結されている。天井材側締結部44は、天井梁側締結部38の直下に位置するよう同軸上に構成されている。
ここで、図2に示されるように、補強部材30の側面部36は、平面視で互いに直交する側壁としての第1側面部36A及び第2側面部36Bを含んで構成されている。第1側面部36A及び第2側面部36Bは、それぞれ上下方向に長辺を有する略矩形の板状に形成されている。また、側面部36は、第1側面部36A及び第2側面部36Bの境界となる曲げ部36Cが円弧状に折り曲げられることで一体的に形成されている。第1側面部36Aは、ウェブ22を含む平面Pと平行に設けられており、第2側面部36Bは、平面Pと平面視で直交する向きに設けられている(図1参照)。
図2に示されるように、曲げ部36Cに対向して位置する上面部32の角部32B及び下面部34の角部34Bは、三角形状に切り欠かれている。第1側面部36A及び第2側面部36Bの各上端部は、それぞれ上面部32の側方の端面に溶接されている。同様に、第1側面部36A及び第2側面部36Bの各下端部は、それぞれ下面部34の側方の端面に溶接されている。
図3に示されるように、天井材20と補強部材30の下面部34との間には、ゴム製の緩衝部材52が設けられている。また、第4ナット48は、天井材20との間にワッシャ54を挟んで締結されている。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係る天井固定吊り下地補強構造10によれば、補強部材30の側面部36は、互いに直交する第1側面部36Aと第2側面部36Bとを含んで構成されている。このため、例えば重い吊下げ対象物28が大きな振幅で揺れたとしても、平面視で360°あらゆる方向の揺れに対して吊りボルト26の変形を抑制し、防振効果を得ることができる。また、吊りボルト26の変形を抑制することで、天井材20への負担を軽減することができる。さらに、当該側面部36の構成によって、天井梁16から天井材20までの距離が長い場合であっても、防振効果を得ることができる。
また、補強部材30の側方において、第1側面部36A及び第2側面部36Bが設けられている部分以外は開放されている。このため、図4に示されるように、第3ナット46を工具56で締めて吊りボルト26を固定する際、工具56の可動範囲を広く得ることができる。同様に、第2ナット42を締める際の工具の可動範囲も広く得ることができる。よって、吊りボルト26を固定する際の作業性を維持しつつ、防振効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る天井固定吊り下地補強構造10によれば、天井材20と補強部材30の下面部34との間に、緩衝部材52が設けられている。これにより、補強部材30から天井材20に伝わる衝撃が緩和され、天井材20への負担をより一層軽減することができる。例えば、地震等により天井材20が軽微な動きをした場合にも、天井材20の割れを抑制することができる。また、緩衝部材52を介して天井材20を補強部材30に接地させることによって、天井材20を取り付ける際の水平面の調整を容易にすることができる。
さらにまた、第1側面部36A及び第2側面部36Bの各上端部は、それぞれ上面部32の側方の端面に溶接されており、第1側面部36A及び第2側面部36Bの各下端部は、それぞれ下面部34の側方の端面に溶接されている。これにより、上面部32が側面部36の上端面に接合され、下面部34が側面部36の下端面に接合される構造よりも、高い補強効果を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、図5を用いて、第2実施形態に係る天井固定吊り下地補強構造58について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図5に示されるように、本実施形態における天井固定吊り下地補強構造58は、上側軸体としての天井梁側固定ボルト60と、下側軸体としての天井材側吊りボルト62と、補強部材64とを含んで構成されている。補強部材64は、上面部66、下面部68及び側面部70を備えている。
補強部材64の上面部66は、略正方形の板状に形成されており、中央に貫通孔66Aが形成されている。補強部材64の下面部68は、上面部66よりも大きな略矩形の板状に形成されている。下面部68において、上面部66の下方を下面部68の一端側とすると、他端側に貫通孔68Aが形成されている。
補強部材64の側面部70は、平面視で互いに直交する側壁としての第1側面部70Aと第2側面部70Bとを含んで構成されている。第1側面部70Aは、上下方向に長辺を有する略矩形状の板状に形成されており、ウェブ22を含む平面Pと平行に設けられている。一方、第2側面部70Bは、略矩形の1つの角部を切り欠いた略五角形の板状に形成されおり、平面Pと平面視で直交する向きに設けられている。第2側面部70Bは、上面部66、第1側面部70A及び下面部68と、それぞれ1辺ずつを共有する構成とされている。
本実施形態において、天井材20の貫通孔20Bは、天井梁16の貫通孔24A1の直下よりも、平面Pから離反する方向に離れた位置に形成されている。補強部材64は、上面部66の貫通孔66Aが天井梁16の貫通孔24A1に対応する位置かつ下面部68の貫通孔68Aが天井材20の貫通孔20Bに対応する位置に配設されている。
天井梁16と補強部材64とは、天井梁側締結部72において、天井梁側固定ボルト60及び第2ナット42によって締結されている。第2ナット42と上面部66との間には、ワッシャ74が設けられている。天井梁側固定ボルト60は、貫通孔24A1及び貫通孔66Aを介して天井梁16の第1フランジ24A及び補強部材64の上面部66を貫通した状態で固定されている。
また、天井材20と補強部材64とは、天井材側締結部76において、天井材側吊りボルト62、第3ナット46、第4ナット48及び第5ナット50によって締結されている。第3ナット46と下面部68との間には、ワッシャ78が設けられている。天井材側吊りボルト62は、貫通孔20B及び貫通孔68Aを介して天井材20及び補強部材64の下面部68を貫通した状態で固定されている。天井材側締結部76は、天井梁側締結部72の直下よりも、平面Pから離反する方向に離れた位置に設けられている。吊りボルト62の下端部には、吊下げ対象物28を吊り下げ可能な吊り部62Aが設けられている。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。なお、第1実施形態と同様の作用効果については説明を省略する。
本実施形態に係る天井固定吊り下地補強構造58によれば、補強部材64の下面部68に形成された貫通孔68Aは、上面部66に形成された貫通孔66Aよりも、平面視で離れた位置に形成されている。また、天井梁側固定ボルト60と、天井材側吊りボルト62とは、別体で構成されている。これにより、天井材側締結部76を、天井梁側締結部72から離れた位置に設けることができる。よって、吊下げ対象物28を、天井梁16の直下ではなく、離れた位置に吊り下げることができる。
また、補強部材64の第1側面部70Aと第2側面部70Bとは平面視で互いに直交しており、略五角形の板状の第2側面部70Bは、上面部66及び下面部68と、それぞれ1辺ずつを共有する構成とされている。これにより、天井梁16の直下ではなく離れた位置に吊下げ対象物28を吊り下げても、補強部材64によって天井材側吊りボルト62の変形を抑制しつつ、振動を天井梁16へ伝播して防振効果を発揮することができる。したがって、吊下げ対象物28の設置自由度を向上しつつ、防振効果を発揮することができる。
〔上記実施形態の補足説明〕
上記第1実施形態では、側面部36は、互いに直交する第1側面部36A及び第2側面部36Bを含んで構成されるものとして説明した。また、上記第2実施形態では、側面部70は、互いに直交する第1側面部70A及び第2側面部70Bを含んで構成されるものとして説明した。しかしこれに限らず、補強部材の側面部は、互いに直交する2面を含んで構成されていればよい。例えば、平面視で直交する2面を含むU字状の側面部としてもよい。ただしこの場合、補強効果は得られるものの、ナットを締める工具の作業性が低下する。このため側面部は、第1実施形態及び第2実施形態のように2面からなる方が望ましい。
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、H形鋼の天井梁16と石膏ボードの天井材20との間に補強部材30、64を設けるものとして説明したが、これに限らない。例えば躯体構成部材は、溝形鋼の梁でもよい。
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、吊りボルト26及び天井材側吊りボルト62の下端部に、それぞれ環状の吊り部26A、62Aが形成されており、ハンギングチェアなどの吊下げ対象物を吊り下げ可能な構成として説明した。しかしこれに限らず、吊りボルトの下端部は、吊下げ対象物を吊り下げ可能であればよく、形状は問わない。また、例えばブランコやハンモックなどの対象物を吊り下げる場合、2点で支持してもよい。さらに、水平方向に360°回転可能な吊り部を設けてもよい。
さらにまた、上記第1実施形態及び第2実施形態では、第4ナット48は、天井材20との間にワッシャ54を挟んで締結されているものとして説明したが、これに限らず、ワッシャより大きなカバー材を挟んで締結してもよい。
また、上記第2実施形態では、第2側面部70Bは、略矩形の1つの角部を切り欠いた略五角形の板状に形成されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、第2側面部の周縁部は、上面部、第1側面部、下面部と共有される3辺以外の部分が円弧状に形成されていてもよい。
10 天井固定吊り下地補強構造
16 天井梁(躯体構成部材)
20 天井材
26 吊りボルト(軸体)
28 吊下げ対象物
30、64 補強部材
32、66 上面部
34、68 下面部
36、70 側面部
36A、70A 第1側面部(側壁)
36B、70B 第2側面部(側壁)
52 緩衝部材
60 天井梁側固定ボルト(上側軸体)
62 天井材側吊りボルト(下側軸体)

Claims (4)

  1. 建物高さ方向に互いに離間して配置された躯体構成部材及び天井材を貫通して吊下げ対象物を吊り下げ可能な軸体と、
    前記軸体に貫通されて前記躯体構成部材の下面に締結される上面部と、前記軸体に貫通されて前記天井材の上面に締結される下面部と、平面視で互いに直交する2つの側壁を含んで構成されて前記上面部と前記下面部とを連結する側面部と、を備えた補強部材と、
    を有する天井固定吊り下地補強構造。
  2. 前記側面部は、互いに直交する2つの側壁からなる請求項1に記載の天井固定吊り下地補強構造。
  3. 前記下面部と前記天井材との間に緩衝部材を備えた請求項1又は請求項2に記載の天井固定吊り下地補強構造。
  4. 前記軸体は、前記躯体構成部材及び前記上面部に固定される上側軸体と、前記下面部及び前記天井材に固定され、前記吊下げ対象物を吊り下げ可能な下側軸体とに分割されて構成されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の天井固定吊り下地補強構造。
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