JP2019011640A - 吊り天井構造 - Google Patents
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Abstract
Description
既存天井の設計用震度は、平成25年国土交通省告示第771号に規定される水平震度、鉛直震度を下回らないものとする。
天井の設計用水平震度Khは、天井を設ける階に応じて、表1の数値を下回らないものとする。
天井の鉛直震度を考慮する場合は、天井の設計用鉛直震度Kvは1.0を下回らないものとする。
(B−1)水平荷重時張力
水平荷重時張力は、サポート材等の部材1本当たりの地震時水平力とする。
鉛直荷重時張力は、引張材1本当たりの等分布荷重に対して、懸垂線理論を用いて算出するか、または膜張力略算式を用いて算出する。
図2に示すように、単位長さ当たりの設計用荷重を受ける長さの部材(引張材)において、OC部分の垂直方向における力の釣り合いは、次の式(2)で表される。なお、Vは垂直方向の力、qは引張材の単位長さあたりの設計用荷重、SはOC部分の引張材の長さである。
式(4)より、引張材の全長は次の式(8)で表される。なお、Lは引張材の全長、lは引張材の支点間距離である。
膜張力の略算式を示す。
これは、支点間に張られた膜材料の支点間の膜張力を求める略算法で、鉛直等分布荷重に対して、初期状態でサグが無い場合の水平力H、鉛直力V、張力P、たわみδは、それぞれ次の式(13)〜式(16)により算定される。但し、膜張力略算式は、引張材の支点間距離lに対するたわみδの比(サグ比δ/l)が0.1以下の場合に適用する。
例えば図1に示したように、天井下面に引張材(フェイルサポート)10及びつなぎ材11を配置し、落下防止部材(ここでは落下防止ネット)12と組み合わせて、天井の落下防止を行う。すなわち、引張材が荷重を負担し、落下防止ネットが天井の部分的な損傷による小片の落下を防止する。
本実施形態のフェイルサポート工法は、天井下面のサポート材が荷重を負担することで天井の大規模な崩落を防止し、落下防止部材が天井の部分的な損傷による小片の落下を防止することを目的とした天井改修工法である。
(E−1) 設計用震度の算定
天井面の水平震度は、Kh=2.2を標準とする。多層建築物の階に応じて天井面の水平震度を定める場合は、表1に準拠する。なお、超高層建築物や免震建築物の場合は、建物の動特性を考慮して、水平震度は0.5を下回らない範囲で適切に定める。また、天井面の鉛直震度は、天井の支持スパン長が15m未満(12m以下)であるため考慮しない。
フェイルサポート工法による既存天井の落下防止措置に関する検討は、下記の手順で行う。
a)天井自重を支持する場合に生じる引張力の張力算定
b)水平震度Khによる地震時水平力の算定
c)天井自重による張力に落下衝撃割増係数を乗じることによって求めた天井全面落下時の張力に対する引張材の断面検定
d)天井自重によるたわみに落下衝撃割増係数を乗じることによって求めた天井全面落下時のたわみに対する引張材の検討
e)天井脱落後の地震時水平力と天井自重による張力の組合せに対する引張材とつなぎ材の断面検定
a)天井自重を支持する場合に生じる引張材と中間支持材の張力算定
b)水平震度Khによる地震時水平力の算定
c)天井自重による張力に落下衝撃割増係数を乗じることによって求めた天井全面落下時の張力に対する引張材と中間支持材の断面検定
d)天井自重によるたわみに落下衝撃割増係数を乗じることによって求めた天井全面落下時のたわみに対する引張材の検討
e)天井脱落後の地震時水平力と天井自重による張力の組合せに対する引張材とつなぎ材の断面検定
図3に示すように、天井自重は、x方向の引張材に作用する等分布荷重qxとして、次の式(17)により算定する。
天井面に生じる地震時水平力は、短辺方向(x方向)と長辺方向(y方向)のそれぞれのサポート材1本当たりについて、次の式(20)により算定する。なお、x方向が引張材、y方向がつなぎ材である。
a) 引張材及び中間支持材に対する落下衝撃割増係数
静的な天井自重に対する引張材の張力とたわみを懸垂線理論式または膜張力略算式により算定し、天井落下実験結果に基づいて定めた表2の衝撃割増係数φ、αを乗じて、落下衝撃時の引張材の張力とたわみを算定する。また、中間支持ありの場合の天井落下実験結果に基づいて定めた中間支持材の鉛直力の割増係数βも表2による。
落下防止ネットに対する落下衝撃割増係数は、「建築物における天井脱落対策に係わる技術基準の解説(平成25年10月 国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、一般社団法人新・建築士制度普及協会)」に従い、天井とネット自重を3.3倍に割増すこととする。
a)引張材の設計用張力
引張材の設計用張力Txは、次の式(21)により算定する。
つなぎ材の設計用張力Tyは、次の式(22)により算定する。
天井全面落下時の最大たわみdmaxは、次の式(23)により算定する。
天井全面落下時の中間支持材の衝撃鉛直力NSは、次の式(24)により算定する。
引張材の母材ならびに接合部の短期許容引張力が設計用張力以上であることを検定する。
引張材の母材の有効断面積Aeは、溝形鋼の断面のみを対象とし、接合部のボルト孔による断面欠損を考慮して、次の式(25)で算定する。
引張材の接合部は、母材の溝形鋼−40×40×3.2の内側に、接合部材:溝形鋼−33.6×45×3.2(SGHCまたはSGCC材)を挿入して、普通ボルトM12を用いて接合する。溝形鋼と併用するフラットバー(FB−40×3.2)はつなぎ材位置で切断し、相互には接合しない。
引張材の接合部の必要強度Pjは、母材の許容耐力と同様に、次の式(27)で算定する。
中間接合部は、図5に示すように、引張材(10):溝形鋼−40×40×3.2、接合部材:溝形鋼−33.6×45×3.2、普通ボルトM12を用いることを標準とする。ボルトは支圧接合とし、ボルトのゆるみ止めとして皿ばね座金を用いる。引張材のボルト孔の孔径は14mm、接合部材の孔径は16mmとする。
接合部材の有効断面積Aejは、Aej=371−16×3.2×2=268.6mm2となる。
よって、接合部材に作用する応力度は、Pj/Aej=53.4×103/268.6=198.8≦205N/mm2・・・OKとなる。
ボルト孔は6箇所あるため、ボルト孔1箇所が負担する支圧力Sbは、Sb=53.4×103/6=8900Nとなる。
母材のボルト孔の支圧による応力度は、図6に示すように、8900/12×3.2=232≦1.25F=256N/mm2・・・OKとなる。
端部接合部は、図7に示すように、中間接合部で用いた溝形鋼−33.6×45×3.2(SGHCまたはSGCC)をベースプレート付きガセットプレート(ベースプレート13、ガセットプレート14、リブプレート15)に溶接することを標準とし、接合部の必要強度Pjを用いて検討を行う。引張材の母材と接合部材の接合は、中間接合部と同様であるので、以下では検定を省略する。
接合部材とガセットプレートの隅肉溶接部のせん断応力度は次の式(28)のようになる。
・ガセットプレートが取合うベースプレートと端部構造部材を接合するボルト耐力の検定
ボルトは4×M12とすれば、ボルト1本当たりが負担する応力は、Pb=Pj/4=53.4/4=13.4kNとなる。よって、Pb/sPb=13.4/20.2=0.66≦1.0・・・・OKとなる。なお、Pbはボルト1本が負担する引張応力、sPbはボルトの短期許容引張応力である。
ベースプレートは、厚さが16mm、材質がSS400とし、形状は図7に示すものとする。ベースプレートの設計は、日本建築学会「鋼構造接合部設計指針」(2012年版)の露出柱脚の設計法に従って行う。
フェイルサポート工法を適用する既存天井の周囲には端部構造部材を新設し、端部接合部を標準仕様としてサポート材を緊結する。端部構造部材は、柱や梁などの既存躯体に緊結し、サポート材の張力を既存躯体に伝達する。端部構造部材は、SS400材のH形鋼を横使いで使用するのを標準とするが、他の部材を用いる場合は個別に検討する。
端部構造部材の自重qに対して、単純支持梁として応力解析を行い、曲げモーメントLMmax、中央部のたわみLdmaxを算定する。長期の断面検定は、弱軸曲げとして次の式(29)のように行う。
サポート材の設計用張力を集中荷重P1として与え、単純支持梁として応力解析を行って、曲げモーメントSMmax、中央部のたわみSdmaxを算定する。短期の断面検定は、長期荷重時と水平荷重時を組合わせた応力とたわみに対して、次の式(30)、式(31)のように行う。
中間支持材の母材ならびに定着部は、天井全面落下時の衝撃鉛直力NSに対して、1.2倍以上の耐力余裕度を持たせる設計を行う。そのため、断面検定では、応力度比が0.8以下であることを確認する。
中間支持材として、M16ボルト(ボルト材質4T)を用いる場合は、引張材の溝形鋼に対して、図8に示すように取り付ける。
中間支持材の定着部は、ガセットプレートとベースプレートを介して既存躯体(主として天井内の上部梁)に緊結する。既存躯体が鉄骨梁の場合はリンダプターを用い、RC梁の場合はあと施工アンカーを用いて、それぞれベースプレートを既存梁に緊結する。中間支持材の近傍にスラブ以外の既存躯体がない場合は、鉄骨の横架材を既存の梁間に新設するなどして、中間支持材の定着部を支持するものとする。
つなぎ材の母材ならびに接合部の短期許容引張力が設計用張力以上であることを検定する。
つなぎ材は、FB−40×3.2(SGHCまたはSGCC材)を標準とする。
つなぎ材の母材の有効断面積Aeは、接合部のドリルビス孔による断面欠損を考慮して、次の式(33)で算定する。
つなぎ材の接合部は、スプライスプレートを被せてドリルビス打ちを行う。接合に用いるドリルビスは、テクスビス5φ(日本パワーファスニング社のMBテクス又は同等品)を用いるものとする。
2枚の薄板鋼板をドリルビスで締め付けた場合の鋼板接合部の許容せん断力は、「薄板軽量形鋼造建築物設計の手引き(一般社団法人 日本鉄鋼連盟編、2014年版)」に従い、次の式(36)によって求める。
つなぎ材11(FB−40×3.2)同士の中間接合部は、図9に示すように、つなぎ材と同厚、同幅、同材質の接合部材FB−40×3.2を重ね、径5mmのドリルビス6本を用いて接合することを標準とする。
端部接合部は、図10に示すように、つなぎ材11(FB-40×3.2)をベースプレート付きガセットプレート(ベースプレート13、ガセットプレート14、リブプレート15)に溶接することを標準とし、接合部の必要強度Pjを用いて検討を行う。
つなぎ材とガセットプレートの隅肉溶接部のせん断応力度は、次の式(37)のようになる。
・ガセットプレートが取合うベースプレートと端部構造部材を接合するボルト耐力の検定
ボルトは4×M12とすれば、ボルト1本当たりが負担する応力は、Pb=Pj/4=19.7/4=4.9kNとなる。よって、Pb/sPb=4.9/20.2=0.24≦1.0・・・・OKとなる。なお、Pbはボルト1本が負担する引張応力、sPbはボルトの短期許容引張応力である。
ベースプレートは、厚さが9mm、材質がSS400とし、形状が図11に示すものとする。ベースプレートの設計は、日本建築学会「鋼構造接合部設計指針」(2012年版)の露出柱脚の設計法に従って行う。
天井落下防止ネットは、難燃性高強度繊維素材ネットを天井下面に設置し、@1.82m間隔の位置で、つなぎ材と引張材に挟み込んで定着することを標準とする。
天井落下防止ネットは、協立工業株式会社の難燃性高強度繊維素材ネット ベクトランフィックスネット FS840(8×40)(φ1.31mm一目巾40mm)を標準とする。ネットの破断強度および長期・短期の許容引張耐力は、表4による。
天井落下防止ネットの端部は、ケダーが縫製されたものとし、引張材の溝形鋼とフラットバーのつなぎ材の間にケダーを挟み込むことで、ネット相互の重ね継手と定着部を形成する。その定着部の許容耐力は、実験結果より表5による。
以下のネットの検討では、天井の単位面積質量は、25kg/m2以下を標準とする。
・サポート材の質量
引張材(溝形鋼−40×40×3.2+FB−40×3.2)の質量:2.75+1.00=3.75kg/m
つなぎ材(FB−40×3.2)の質量:1.00kg/m
サポート材の接合部等による割増し:2.6×1.10=2.9kg/m2
ネット材およびネット端部定着ケダー等の質量:γ=0.2kg/m2
以上より、天井の質量を25kg/m2とした場合のネットの設計用荷重wNは、wN=25.0+2.9+0.2=28.1kg/m2→275N/m2となる。
ネットの設計用荷重に対する天井落下時の衝撃割増係数はφN=3.3とする。
W=0.908kN/m2、伸びを考慮してH=Ha=Hb=3√(EtW2B2/24)=4.18kN/m、V=Va=Vb=1/2W×B=0.83kN/m、Ta=Tb=√(H2+V2)=4.26kN/m=T1
ネットの変形量 : δ
δ=3√(3WB4/64Et)=0.090m
P=W×B=1.65kN/m、伸びを考慮してH=Ha=Hb=3√(EtP2/8)=6.02kN/m、V=Va=Vb=P/2=0.825kN/m、Ta=Tb=√(H2+V2)=6.08kN/m=T2
ネットの変形量 : δ
δ=3√(PB3/8Et)=0.125m
落下防止ネットの許容耐力ftは、次の式(40)で算定する。
2 天井材(天井パネル)
3 吊り部材(吊りボルト)
4 建物躯体
5 天井部
6 束材
7 端部構造部材
10 引張材(フェイルサポート:サポート材)
11 つなぎ材(サポート材)
12 落下防止部材(落下防止ネット)
13 ベースプレート
14 ガセットプレート
15 リブプレート
A 吊り天井構造(フェイルサポート工法)
Claims (2)
- 吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される天井下地に、天井面を形成する天井材を取り付けてなる吊り天井構造において、
前記天井材の下方に且つ前記天井面に沿って横方向に所定の間隔をあけて配設されるとともに、前記天井材の下方から前記天井材及び/又は前記天井下地に接続固定し、且つ端部を建物躯体に接続して配設され、地震時に水平荷重及び鉛直荷重を負担して前記天井下地及び前記天井材からなる天井部の横揺れを抑止する略棒状の引張材と、
前記天井面を被覆するように配設され、地震時に天井構成材の落下を防止するための落下防止部材とを備えるとともに、
前記天井材の下方から前記天井材及び/又は前記天井下地に接続固定し、前記引張材とともに前記天井面に沿って格子状を呈するように配設され、前記引張材とともに前記天井材との間に挟み込んで前記落下防止部材を保持する平板帯状のつなぎ材を備えて構成されていることを特徴とする吊り天井構造。 - 請求項1記載の吊り天井構造において、
天井自重を支持する場合に生じる引張力の張力、または天井自重を支持する場合に生じる引張材と中間支持材の張力を算定し、水平震度による地震時水平力を算定し、天井自重による張力に落下衝撃割増係数を乗じることによって求めた天井全面落下時の張力に対する引張材の断面検定を行い、天井自重によるたわみに落下衝撃割増係数を乗じることによって求めた天井全面落下時のたわみに対する引張材の影響を検討し、天井脱落後の地震時水平力と天井自重による張力の組合せに対する引張材とつなぎ材の断面検定を行って、引張材とつなぎ材の仕様が設定されていることを特徴とする吊り天井構造。
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CN111765583A (zh) * | 2020-06-08 | 2020-10-13 | 五冶集团上海有限公司 | 一种建筑用无动力风帽防脱落安全装置 |
JP2021116629A (ja) * | 2020-01-28 | 2021-08-10 | トヨタホーム株式会社 | 天井固定吊り下地補強構造 |
JP7364510B2 (ja) | 2020-03-24 | 2023-10-18 | 株式会社熊谷組 | 床構造 |
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