JP4054729B2 - 制振装置付き居室ユニットおよびその居室ユニットを備えたユニット式建物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震や風による揺れ、交通振動等を制振できる制振装置付き居室ユニットおよびその居室ユニットを備えたユニット式建物に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、建物の屋根上や小屋裏に制振装置を取り付けて、地震等による建物の水平方向振動の低減を図る制振装置付き建物が提案されている(特許文献1)。
また、建物に取り付ける制振装置としては、ばねを介して建物に取り付けられたおもりを利用した制振装置が提案されている(特許文献2)。
このようなおもりを利用した制振装置の場合、振動低減効果を得るためには、建物自体の重量に対して、所定割合のおもり重量が必要とされる。このため、建設現場で建物の屋根上や小屋裏に重量物である制振装置をクレーン等で吊り上げて設置する作業に多くの手間がかかっていた。
【0003】
一方、ユニット式建物は、予め工場で製造した複数の居室ユニットを、建設現場まで運搬した後に、これらを組み合わせて構築される。居室ユニットは、予め工場で生産され、四隅に立設される柱と、これらの柱の上端間同士を結合する天井梁と、柱の下端間同士を結合する床梁とを含み構成されたフレームを備えて箱形に形成されている。そのため、このような居室ユニットに予め工場で制振装置を取り付けておくようにすれば、建設現場における制振装置の吊り上げ作業や高所での設置作業を省略可能になる。
【0004】
【特許文献1】
特開平05−231041号公報。
【特許文献2】
特開平11−336830号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、居室ユニットは、運搬時の高さ方向の輸送制限を超えない範囲で、できるだけ高い天井高さが確保できる高さ寸法で製造されており、制振装置を、上述のような居室ユニットの上方に大きく突出させて取り付けると、輸送制限に抵触してしまうという問題がある。
そこで、制振装置を居室ユニットの上方ではなく、下方の室内空間に突出するように取り付けることも考えられるが、このようにすると、制振装置下側の天井高さが十分に得られず、その結果、建物の居住性が低下してしまうという新たな問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、運搬時の高さ方向の輸送制限に抵触することなく輸送できるとともに、天井高さを充分に確保できて快適な居住性を維持できる制振装置付き居室ユニットおよびその制振装置付き居室ユニットを備えたユニット式建物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、図面を参照して説明すると、図4に示すように、複数本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する複数の上梁11と、前記柱10の下端間同士を結合する複数の下梁とを含み形成された略直方体状の居室ユニット5A、およびこの居室ユニット5Aの上側に建設現場にて載置される屋根ユニット6を備えて構成され、前記居室ユニット5Aの天井裏空間7と、前記屋根ユニット6の屋根裏空間8とで構成される制振装置設置空間9に、振動を制御、抑制する制振装置30が設けられる制振装置付き居室ユニット1であって、前記屋根ユニットは、前記居室ユニットの上梁の上側に載置される屋根枠体と、この屋根枠体の上面に設けられる屋根面材とを備えて構成され、前記屋根裏空間は、前記屋根枠体の下面よりも上側で、かつ前記屋根面材よりも下側に形成され、前記居室ユニットの天井裏空間は、前記上梁の下面に設けられた天井面材よりも上側で、かつ前記上梁の上面よりも下側に形成され、前記居室ユニット5Aの天井裏空間7における前記上梁11の上面11Cよりも低い位置には、前記制振装置30を支持する制振装置支持部19が設けられ、前記制振装置30は、予め工場にて前記制振装置支持部19に取り付けられるとともに、前記居室ユニット5Aと共に建設現場まで運搬され、前記居室ユニットの上側に前記屋根ユニットを載置することで前記天井裏空間と前記屋根裏空間とが連続して前記制振装置設置空間が形成されるとともに、当該制振装置設置空間に前記制振装置が設置されることを特徴とする制振装置付き居室ユニット5Aである。
【0008】
このような本発明によれば、制振装置支持部を居室ユニットの天井裏空間における上梁上面より低い位置に設けたので、制振装置が居室ユニットの上方に大きく突出しない。その結果、制振装置を予め工場で居室ユニットに取り付けても、輸送制限に抵触することなく輸送できるとともに、制振装置が居室ユニットの室内空間に突出しないので、快適な居住性を維持することができる。
また、本発明の制振装置付き居室ユニットは、前記制振装置の上端が前記居室ユニットの上梁の上面よりも上方に突出して前記屋根ユニットの屋根裏空間に位置して設けられることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、図3に示すように、請求項1に記載の制振装置付き居室ユニット5Aにおいて、前記居室ユニット5Aの長辺に沿って延びる2本の長辺上梁11A間には、1本または2本の小梁17が架設され、前記制振装置支持部19は、前記1本の小梁17と前記居室ユニット5Aの短辺に沿って延びる短辺上梁11Bとの間、または前記2本の小梁17間に架設された支持部材18に設けられ、前記1本の小梁17と短辺上梁11Bとの間隔寸法、または前記2本の小梁17同士の間隔寸法は、前記2本の長辺上梁11A同士の間隔寸法よりも小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
このような本発明によれば、支持部材の架設スパンを制振装置を支持するために必要な最小寸法に設定できるので、支持部材に作用する曲げモーメント等の応力を最小限にして、支持部材の高さを小さくでき、これにより、制振装置の取付位置を下げることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、図3に示すように、請求項2に記載の制振装置付き居室ユニット5Aにおいて、前記制振装置支持部19は、少なくとも2本の副小梁19、または面状部材から構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
このような本発明によれば、副小梁により制振装置支持部が構成されていれば、取り扱いやすいため、高さ方向、水平方向の位置決め等が容易であり、その結果、制振装置支持部の設置が容易となる。また、面状部材により制振装置支持部が構成されていれば、全面で荷重を受けるため高強度を確保でき、また、部材が小さなものでもすむ。
【0015】
請求項5に記載の発明は、図8に示すように、複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する上梁と、前記柱の下端間同士を結合する下梁とを含み形成された複数の略直方体状の居室ユニット43,44,45が、互いの長辺同士を隣接させて水平な一方方向に一列に並べられ、かつ上下方向に複数階積層されるとともに、最上階の居室ユニット45の上側に屋根ユニット46が載置されて構成されたユニット式建物41であって、前記居室ユニット43,44,45のうちの最上階の居室ユニット45、および屋根ユニット46の少なくとも一組は、前記請求項1ないし請求項4のいずれかに記載された制振装置付き居室ユニット5Aで構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
このような本発明によれば、複数の最上階の居室ユニットおよび屋根ユニットのうち、少なくとも一組に制振装置が設けられているので、特に振動しやすい1スパン建物であっても、その建物の短辺方向の揺れを低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の制振装置付き居室ユニットおよびユニット式建物の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、制振装置付き居室ユニットを用いた第1実施形態のユニット式建物1の全体が示されている。
【0018】
このユニット式建物1は、基礎2上に固定された複数の1階居室ユニット3と、これらの1階居室ユニット3の上に載置された複数の2階居室ユニット4と、これらの2階居室ユニット4の上に載置された複数の3階居室ユニット5と、これらの3階居室ユニット5の上に設けられた屋根ユニット6とを備えて構成されている。
【0019】
各居室ユニット3,4,5は、図2に示すような骨組みとなっている。
すなわち、代表として1階居室ユニット3で説明すると、四隅に立設される4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する各2本ずつの長辺上梁11Aおよび短辺上梁11Bを含む4本の上梁11と、前記柱10の下端間同士を結合する各2本ずつの長辺下梁12Aおよび短辺下梁12Bを含む4本の下梁12とで構成された骨組み13を有する。2本の長辺上梁11A間には複数本の天井小梁25が所定間隔で架けわたされ、また、2本の長辺下梁12A間には複数本の根太26が所定間隔で架けわたされている。
そして、このような骨組み13には、床面材、天井面材14(図4参照)、内壁、外壁15(図4参照)や、所定の設備物等が予め工場で取り付けられて、所定の居室ユニット3等が完成されている。
【0020】
以上のようなユニット式建物1には、図1に示すように、地震や風による揺れ、交通振動等を制振できる制振装置30が設けられている。この制振装置30は、ユニット式建物1の最上階、つまり3階居室ユニット5のうちの一つの制振装置付き居室ユニット5Aに、予め工場で取り付けられている。
この際、制振装置30は、図3に示すように、制振装置付き居室ユニット5Aの天井裏空間7と、屋根ユニット6の屋根裏空間8とで構成される制振装置設置空間9に配置されている。
【0021】
すなわち、制振装置付き居室ユニット5Aの上梁11の下面には前記天井面材14が設けられており、上梁11の上面11Cと天井面材14とで、制振装置付き居室ユニット5Aの前記天井裏空間7が形成されている。また、制振装置付き居室ユニット5Aの上梁11のうち、当該制振装置付き居室ユニット5Aの長辺に沿って延びる2本の長辺上梁11A間において、居室ユニット5Aの一方の短辺上梁11B寄りには、2本の小梁17が所定間隔をあけて、かつ短辺上梁11Bと平行に架設されている。
【0022】
これらの小梁17は、それぞれ溝形状鋼材で形成されているとともに、小梁17の上面と、2本の長辺上梁11Aの上面とはほぼ同じ高さとなっている。そして、これら2本の小梁17同士の間隔寸法は、2本の長辺上梁11A同士の間隔寸法よりも小さく設定されている。
2本の小梁17間には、一方(図4中左側)の長辺上梁11A寄りに、当該長辺上梁11Aと平行となった1本の支持部材である短寸小梁18が架設されている。この短寸小梁18も溝形状鋼材で形成され、その上面は、長辺上梁11Aおよび小梁17の上面とはほぼ同じ高さとなっている。
【0023】
短寸小梁18と一方の長辺上梁11Aとの間には、制振装置支持部を構成する2本の副小梁19が、互いに所定間隔をあけて2本の小梁17と平行に架設されている。これらの副小梁19は、前記短寸小梁18等より高さの低い溝形状鋼材で形成されているとともに、副小梁19の上面は、図4に示すように、小梁17および短寸小梁18の上面から寸法Lだけ下がった位置に配置されている。そして、これらの副小梁19の下面は前記天井面材14よりは上方位置にある。
【0024】
副小梁19は、その一端が前記一方の長辺上梁11Aに結合された受梁27にボルト等で固定され、他端は短寸小梁18にボルト等で固定されている。
また、2本の小梁17には、図3,5に示すように、断面L字状のブラケット28が、それぞれ2個ずつ所定間隔で固定されている。これらのブラケット28は、互いに対向して設けられているとともに、副小梁19の長手方向の側面に直交して設けられている。そして、ブラケット28の上面と、副小梁19の上面とは同じ高さとなっている。
【0025】
前記屋根ユニット6は、図4に示すように、前記長辺上梁11Aと同じ大きさの溝形状鋼材で形成された屋根枠体21を備え、この屋根枠体21は、3階居室ユニット5Aと対応する大きさに形成されるとともに、屋根枠体21の周囲には側壁22が設けられている。このような屋根枠体21の上面には、陸屋根を構成する屋根面材23が取り付けられており、この屋根面材23の下面と屋根枠体21の下面との空間が前記屋根裏空間8とされている。
そして、この屋根裏空間8と前記天井裏空間7とで、前述のように、制振装置30が設置される制振装置設置空間9が構成されている。
【0026】
制振装置30は、図5〜7にも示すように、ベースプレート31と、このベースプレート31上に複数(実施形態では4個)の積層ゴム32を介して設けられたウェイト33とを備えて構成されている。
ベースプレート31は、平面矩形状に形成され、中央部には角穴31Aがあけられている。このベースプレート31の長手方向両端側には、それぞれ2個ずつのボルト孔があけられており、これらのボルト孔は、前記ブラケット28にあけられたボルト孔と対応するようになっており、各ボルト孔にボルト29を挿通させるとともに、そのボルト29とナットとを螺合させることにより、ベースプレート31がブラケット28に固定されている。
【0027】
また、前述のように、2個ずつのブラケット28の近傍にはそれぞれ副小梁19が設けられており、これらブラケット28と副小梁19との上面高さは同じとなっている。従って、ベースプレート31は、そのブラケット28寄りの両端が、副小梁19で支持されていることになる。
【0028】
ベースプレート31においてブラケット28との結合位置の近傍、つまりベースプレート31のほぼ四隅には、前記積層ゴム32の下端が取り付けられており、この積層ゴム32は、前記2本の副小梁19の長手方向に沿った位置に2個ずつ設けられている。積層ゴム32の上端は、前記ウェイト33の下端の取り付け板34に取り付けられている。その結果、ウェイト33とベースプレート31とは、4個の積層ゴム32で連結されていることになる。
積層ゴム32は、ウェイト33の荷重を支持するものであり、積層ゴム32のゴム層は、水平応力が加えられたときに水平方向に変形し、ウェイト33の水平方向の変位(振動)を許容するものである。
【0029】
また、ウェイト33の下端の取り付け板34には、ウェイト33の水平方向の固有振動数を調整するためのコイルバネ35が設けられている。コイルバネ35は、ベースプレート31の前記角孔31Aの内周を囲むように、取り付け板34の4箇所に取り付けられている。4箇所の位置には、それぞれ角孔31Aに向かう方向に、図6にも示すように、角孔31Aのそれぞれの縁部に沿う方向に付勢されたコイルバネ35が、3個ずつ2列にわたって配置されている。
【0030】
ウェイト33は、例えば所定の厚さの鉄材を矩形状に形成したもので、例えば500kg程度の重さとなっている。また、ウェイト33には、ユニット式建物1の規模に応じて、図5に仮想線で示すように、後から増設重り36を継ぎ足せるようになっている。
【0031】
このような構成のユニット式建物1は、予め工場で生産された複数の居室ユニット3,4,5、制振装置付き居室ユニット5A、および屋根ユニット6等を、建設現場に輸送して、その建設現場で組み合わせて建てられる。
ここで、制振装置付き居室ユニット5Aには、制振装置30が2本の副小梁19で支持されるとともに、4個のブラケット28に固定されて、予め工場で取り付けられている。
【0032】
構築されたユニット式建物1に、地震や風、交通振動による揺れ等の振動が作用すると、ウェイト33が、ベースプレート31に対して相対的に、上記振動とは逆方向に変位する振動を行い、これにより、建物の振動が小さくなる。
【0033】
以上のような実施形態によれば、次のような効果がある。
(1) 制振装置支持部を構成する副小梁19を、制振装置付き居室ユニット5Aの天井裏空間7における上梁11の上面11Cより、寸法Lだけ低い位置に設けたので、制振装置30が居室ユニット5Aの上方に大きく突出しない。その結果、制振装置30を予め工場で居室ユニット5Aに取り付けても、輸送制限に抵触することなく輸送できる。
【0034】
(2) 制振装置30が居室ユニット5Aの天井裏空間7と屋根ユニット6の屋根裏空間8とで形成された制振装置設置空間9に設置されているので、制振装置30が居室ユニット5Aの室内空間に突出することはなく、その結果、快適な居住性を維持することができる。
【0035】
(3) 制振装置付き居室ユニット5Aの2本の長辺上梁11A間に架けわたされた2本の小梁17同士の間隔寸法が、2本の長辺上梁11A同士の間隔寸法よりも小さく設定されているので、支持部材である短寸小梁18の架設スパンを制振装置30を支持するために必要な最小寸法に設定できる。その結果、短寸小梁18に作用する曲げモーメント等の応力を最小限にして、短寸小梁18の高さを小さくでき、これにより、制振装置30の取付位置を下げることができる。
【0036】
(4) 制振装置30を支持する2本の副小梁19が、溝形状鋼材により形成されているので、複雑形状のもので形成されているものに比べて取り扱いやすく、高さ方向、水平方向の位置決め等も容易であり、その結果、副小梁19の設置が容易となる。
【0037】
(5) 屋根ユニット6は、略水平に形成された屋根面を有する陸屋根面材23を備えて構成されており、屋根裏空間8が狭くなっているが、副小梁19が居室ユニット5Aの上梁11の上面11Cより低い位置に設けられているので、屋根裏空間8と居室ユニット5Aの天井裏空間7とで形成される制振装置設置空間9が広くなる。その結果、ユニット式建物1の屋根が陸屋根であっても、制振装置30を容易に設置することができる。
【0038】
(6) 制振装置30は、2本の副小梁19で支持されるとともに、4個のブラケット28上に載せられ、かつ固定されている。で、るが、溝形状鋼材により形成されているので、複雑形状のもので形成されているものに比べて取り扱いやすく、高さ方向、水平方向の位置決め等も容易であり、その結果、副小梁19の設置が容易となる。
【0039】
(7) 制振装置30が、ユニット式建物1の最上階の居室ユニット5Aに設けられているので、ユニット式建物1に、地震や風、交通振動による揺れ等の振動が作用しても、ウェイト33が、上記振動とは逆方向に変位する振動を行い、その結果、ユニット式建物1の振動を小さくすることができる。
【0040】
次に、図8に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態のユニット式建物41は、例えば4つの略直方体状の居室ユニット43,44,45が、互いの長辺同士を隣接させて水平な一方方向に一列に並べられ、かつ上下方向に例えば3階にわたって積層され、最上階の居室ユニット45の上方に屋根ユニット46が載置されて構成されたものである。
【0041】
このようなユニット式建物41において最上階の居室ユニット45、および屋根ユニット46のうち一組は、制振装置付き居室ユニット45A、および屋根ユニット46Aとされている。そして、居室ユニット45Aの天井裏空間と、屋根ユニット46Aの屋根裏空間とで形成された制振装置設置空間に、前記制振装置30が設置されている。
これらの居室ユニット45A、屋根ユニット46Aは、前記第1実施形態の最上階の制振装置付き居室ユニット5A、屋根ユニット6と同じ構成となっている。従って、居室ユニット45A、屋根ユニット46Aの詳しい構造の説明は省略する。
【0042】
以上のような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様な作用、および前記(1) 〜(7) と同様な効果がある他、
(8) ユニット式建物41が、4つの略直方体状の居室ユニット43,44,45を、互いの長辺同士を隣接させて水平な一方方向に一列に並べ、かつ上下方向に3階にわたって積層された構成となっているが、制振装置付き居室ユニット45Aがユニット式建物41の最上階に設けられ、その居室ユニット45Aに制振装置30が設けられているので、特に振動しやすい構造の1スパン建物であっても、居室ユニット43,44,45の短辺方向の揺れを低減できる。
【0043】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、次のような変形形態でもよいものである。
例えば、前記第1実施形態では、制振装置30を、最上階の3個ずつ2列に配置された居室ユニット5の、1列の外側に配置された居室ユニット5Aに設けたが、制振装置30の設置位置はこれに限らない。最上階であれば、2列の居室ユニット5の中央部の居室ユニット5に設けてもよい。
【0044】
また、前記第1実施形態では、制振装置付き居室ユニット5Aの一方の短辺上梁11B寄りに2本の小梁17を2本の長辺上梁11A間に架設し、これらの小梁17間に1本の短寸小梁18を一方の長辺上梁11A寄りに架設して、この短寸小梁18と一方の長辺上梁11Aとの間に制振装置30を設置したが、制振装置30の設置位置はこれに限らない。例えば、2本の小梁17間において居室ユニット5Aの短辺方向のほぼ中央部に設置してもよく、あるいは、小梁17を1本だけ設け、この小梁17と居室ユニット5Aの一方の短辺上梁11Bとの間に、実施形態と同じように、副小梁、およびブラケットを設け、それらに支持、固定させて制振装置30を設置してもよい。
【0045】
さらに、前記第1実施形態では、制振装置30の設置に際しては、全体ほぼ矩形状の制振装置30の長手方向を、制振装置付き居室ユニット5Aの長辺方向に沿わせて設置したが、これに限らない。制振装置30の長手方向を、制振装置付き居室ユニット5Aの短辺方向に沿わせて設置してもよい。
【0046】
また、前記第1実施形態では、制振装置30を支持する制振装置支持部として、溝形状鋼材の2本の副小梁19を使用したが、制振装置30を支持することができるものであれば、面状部材、波形鋼部材等、どのような部材を使用してもよい。
【0047】
また、前記各実施形態では、制振装置付き居室ユニット5Aは、3階建てユニット式建物1の最上階に設けられたものであったが、制振装置付き居室ユニット5Aが組み合わされるユニット式建物1は3階建てに限らない。2階建て、4階建て、あるいは平屋にも用いることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1の発明によれば、制振装置支持部を居室ユニットの天井裏空間における上梁上面より低い位置に設けたので、制振装置が居室ユニットの上方に大きく突出しない。その結果、制振装置を予め工場で居室ユニットに取り付けても、輸送制限に抵触することなく輸送できるとともに、制振装置が居室ユニットの室内空間に突出しないので、快適な居住性を維持することができる。
【0049】
請求項2の発明によれば、支持部材の架設スパンを制振装置を支持するために必要な最小寸法に設定できるので、支持部材に作用する曲げモーメント等の応力を最小限にして、支持部材の高さを小さくでき、これにより、制振装置の取付位置を下げることができる。
【0050】
請求項3の発明によれば、副小梁により制振装置支持部が構成されていれば、取り扱いやすいため、高さ方向、水平方向の位置決め等が容易であり、その結果、制振装置支持部の設置が容易となる。また、面状部材により制振装置支持部が構成されていれば、全面で荷重を受けるため高強度を確保でき、また、部材が小さなものでもすむ。
【0051】
請求項4の発明によれば、屋根裏空間が狭くても、制振装置支持部が居室ユニットの上梁の上面より低い位置に設けられているので、制振装置を設置することができる。
【0052】
請求項5の発明によれば、複数の最上階の居室ユニットおよび屋根ユニットのうち、少なくとも一組に制振装置が設けられているので、特に振動しやすい1スパン建物であっても、その建物の短辺方向の揺れを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制振装置付き居室ユニットを備えた第1実施形態のユニット式建物を示す全体斜視図である。
【図2】前記実施形態のユニット式建物を構成する居室ユニットの骨組みを示す全体斜視図である。
【図3】前記実施形態の制振装置付き居室ユニットを示す平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿った縦断面図である。
【図5】図3におけるV−V線に沿った縦断面図である。
【図6】前記実施形態の制振装置の下側を示す下面図である。
【図7】前記実施形態の制振装置の取り付け状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るユニット式建物の第2実施形態を示す全体斜視図である。
【符号の説明】
1,41 ユニット式建物
3 1階居室ユニット
4 2階居室ユニット
5 3階居室ユニット
5A,45A 制振装置付き居室ユニット
6 屋根ユニット
7 天井裏空間
8 屋根裏空間
9 制振装置設置空間
11 上梁
11A 長辺上梁
11B 短辺上梁
17 小梁
18 支持部材を構成する短寸小梁
19 制振装置支持部を構成する副小梁
23 陸屋根面材
30 制振装置
Claims (5)
- 複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する複数の上梁と、前記柱の下端間同士を結合する複数の下梁とを含み形成された略直方体状の居室ユニット、およびこの居室ユニットの上側に建設現場にて載置される屋根ユニットを備えて構成され、前記居室ユニットの天井裏空間と、前記屋根ユニットの屋根裏空間とで構成される制振装置設置空間に振動を制御、抑制する制振装置が設けられる制振装置付き居室ユニットであって、
前記屋根ユニットは、前記居室ユニットの上梁の上側に載置される屋根枠体と、この屋根枠体の上面に設けられる屋根面材とを備えて構成され、前記屋根裏空間は、前記屋根枠体の下面よりも上側で、かつ前記屋根面材よりも下側に形成され、
前記居室ユニットの天井裏空間は、前記上梁の下面に設けられた天井面材よりも上側で、かつ前記上梁の上面よりも下側に形成され、
前記居室ユニットの前記天井裏空間における前記上梁の上端縁よりも低い位置には、前記制振装置を支持する制振装置支持部が設けられ、前記制振装置は、予め工場にて前記制振装置支持部に取り付けられるとともに、前記居室ユニットと共に建設現場まで運搬され、前記居室ユニットの上側に前記屋根ユニットを載置することで前記天井裏空間と前記屋根裏空間とが連続して前記制振装置設置空間が形成されるとともに、当該制振装置設置空間に前記制振装置が設置されることを特徴とする制振装置付き居室ユニット。 - 請求項1に記載の制振装置付き居室ユニットにおいて、
前記制振装置の上端が前記居室ユニットの上梁の上面よりも上方に突出して前記屋根ユニットの屋根裏空間に位置して設けられることを特徴とする制振装置付き居室ユニット。 - 請求項1または請求項2に記載の制振装置付き居室ユニットにおいて、
前記居室ユニットの長辺に沿って延びる2本の長辺上梁間には、1本または2本の小梁が架設され、前記制振装置支持部は、前記1本の小梁と前記居室ユニットの短辺に沿って延びる短辺上梁との間、または前記2本の小梁間に架設された支持部材に設けられ、前記1本の小梁と短辺上梁との間隔寸法、または前記2本の小梁同士の間隔寸法は、前記2本の長辺上梁同士の間隔寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする制振装置付き居室ユニット。 - 請求項3に記載の制振装置付き居室ユニットにおいて、
前記支持部材は、少なくとも2本の副小梁、または面状部材から構成されていることを特徴とする制振装置付き居室ユニット。 - 複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する複数の上梁と、前記柱の下端間同士を結合する複数の下梁とを含み形成された複数の略直方体状の居室ユニットが、互いの長辺同士を隣接させて水平な一方方向に一列に並べられ、かつ上下方向に複数階積層されるとともに、最上階の居室ユニットの上側に屋根ユニットが載置されて構成されたユニット式建物であって、
前記複数の居室ユニットのうちの最上階の居室ユニット、および屋根ユニットの少なくとも一組は、前記請求項1ないし請求項4のいずれかに記載された制振装置付き居室ユニットで構成されていることを特徴とするユニット式建物。
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