JP4824979B2 - 建物 - Google Patents

建物 Download PDF

Info

Publication number
JP4824979B2
JP4824979B2 JP2005263903A JP2005263903A JP4824979B2 JP 4824979 B2 JP4824979 B2 JP 4824979B2 JP 2005263903 A JP2005263903 A JP 2005263903A JP 2005263903 A JP2005263903 A JP 2005263903A JP 4824979 B2 JP4824979 B2 JP 4824979B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
building
pair
vibration
pendulum member
frame
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005263903A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007077606A (ja
Inventor
郁夫 中井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Misawa Homes Co Ltd
Original Assignee
Misawa Homes Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Misawa Homes Co Ltd filed Critical Misawa Homes Co Ltd
Priority to JP2005263903A priority Critical patent/JP4824979B2/ja
Publication of JP2007077606A publication Critical patent/JP2007077606A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4824979B2 publication Critical patent/JP4824979B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

本発明は、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置と、免震性能を有する免震装置とが所定の位置に設けられた建物に関する。
建物の制振構造の一例として、特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1に記載の制振構造は、上構造部に剛性一体的に固着されて上構造部の下方に突出される下方突出体と、下構造部に剛性一体的に固着されて下構造部の上方に突出される上方突出体と、振れ動き体とが備えられ、下方突出体と上方突出体とは、上下の構造部間の中間高さ位置で上下方向において対向され、振れ動き体は、その高さ方向中間部領域において、下方突出体と上方突出体とにそれぞれ枢結され、かつ、振れ動き体と下方突出体との枢結高さ位置よりも上方において、振れ動き体と、下方突出体又は/及び上構造部とが振動減衰手段を介して連結されると共に、振れ動き体と上方突出体との枢結高さ位置よりも下方において、振れ動き体と、上方突出体又は/及び下構造部とが振動減衰手段を介して連結されたものである。
このような制振構造では、各突出体と振れ動き体との枢結位置を異ならせて、枢結部間の間隔寸法を大小異ならせることで、テコの原理で減衰手段に伝えられる振動の大きさを大小異ならせることができて、同じ性能の減衰手段を用いながら、大きな振動を減衰できる構造に構成したり、小さな振動を減衰できる構造に構成したりすることができる。
特開2000−297556号公報
ところで、地震によって建物に発生する振動は、初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が短い小さな振動であるのに対し、それ以降は振幅や周期が比較的大きい振動となる。
これに対し、例えば上記のような制振構造が、比較的小さな振動を減衰できる構造に構成されていた場合、地震力の大きさによっては、上述のような比較的大きな振動を効果的に制振することができない場合があった。
したがって、上記従来の制振構造では、異なる大きさの振動に対して効果的に機能し難いという問題がある。
本発明の課題は、異なる大きさの振動に対して効果的に制振および免震することができる制振装置および免震装置とが設けられた建物を提供することを目的とする。
請求項に記載の発明は、例えば図1,図5〜図8に示すように、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3と、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられた建物1において、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3は、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置されており、
前記第2制振装置3は、上部構造部32に固定されて、この上部構造部32の下方に突出する上支持部34と、下部構造部33に固定されて、この下部構造部33の上方に突出する下支持部35と、前記上支持部34および下支持部35の双方に枢結される揺動体36とを備え、
前記揺動体36は、前記上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方または下方位置において、前記上支持部34と下支持部35との双方に枢結され、
前記揺動体36の前記上支持部34と下支持部35との枢結位置より、上方または下方位置において、前記揺動体36と、前記上支持部34または前記下支持部35とが振動減衰手段37を介して連結されており、
前記下支持部35と前記揺動体36とは、当該下支持部35に形成した穴に枢結軸41を挿通することによって枢結されており、前記穴は上下に長い長穴となっていることを特徴とする。
前記振動減衰手段37は、前記二つの枢結位置より外側に配置するが、揺動体36と上支持部34とを振動減衰手段37によって連結する場合、揺動体36は前記枢結位置と反対側の端部において振動減衰手段37を介して上支持部34と連結するのが望ましい。
前記上部構造部32は、例えば、柱、梁によって構造部が構成されている場合、柱の上端部およびこれら上端部間に架設された梁、床等を含み、下部構造部33は、柱の下端部およびこれら下端部間に架設された梁、床等を含む。
前記振動減衰手段37としては、バネとダンパからなる制振部材、ゴム、オイルダンパー、粘弾性材料などが好適に使用され、さらには摩擦で震動を減衰させるものでもよい。
また、前記上支持部34、下支持部35、揺動体36等は、新築の建物に組み込んでもよいし、既設の建物にリフォームとして組み込んでもよい。
請求項に記載の発明によれば、それぞれ異なる制振性能を有する前記第1制振装置2を建物1の上部に設置するとともに、前記第2制振装置3を前記第1制振装置2よりも下方に設置するので、地震や風、交通振動等によって建物1に発生した種々の振動に対して、それぞれ異なる制振性能を発揮することができる。
また、免震性能を有する前記免震装置4を建物1と基礎5との間に設置するので、基礎5から建物1へと伝わる震動を減衰して、建物1に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
また、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせるために、てこの原理を用いて建物1の変形を増幅して振動減衰手段37に伝達している。
すなわち、建物1に地震等の振動によって変形が生じると、この建物1の上部構造部32と下部構造部33とが左右に変位し、これに伴って上支持部34と下支持部35とが左右に変位する。上支持部34と下支持部35とが左右に変位することによって、揺動体36が、その二つの枢結位置間の中央部を中心として振り子のように揺動し、この揺動体36の端部は振れが増幅され、これによって、前記上部構造部32と下部構造部33との変位が増幅される。したがって、揺動体36と、上支持部34または下支持部35を連結している振動減衰手段37の変形を増幅できるので、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、この第2制振装置3は、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記上部構造部32および下部構造部33に固定設置されて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
さらに、前記揺動体36が、前記上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方または下方位置において、前記上支持部34と下支持部35との双方に枢結されているので、中間部において枢結されたものに比して、揺動体36を短くできるとともに、揺動体36を上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方または下方に寄せることができる。したがって、前記揺動体36が面外方向に撓むのを防止できるので、制振性能の低下を防止することができる。
請求項に記載の発明は、例えば図1,図13〜図16に示すように、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3Aと、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられた建物1において、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3Aは、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置されており、
前記第2制振装置3Aは、建築用の壁パネル122に形成された開口部126内に取り付けられたフレーム102と、このフレーム102に対向して設けられた一対の支持部103、103と、この一対の支持部103、103によって支持されて、振動によって一対の支持部103、103が変位した場合に、該一対の支持部103、103間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材104と、この振り子部材104の端部と前記フレーム102との間に設けられた制振部材105とを備えており、
前記フレーム102内に前記振り子部材104がその長手方向を前記フレーム102の長手方向に向けて配置されており、
前記振り子部材104に、一対の孔が前記振り子部材104の長手方向と直交する方向に離間して形成されており、これら一対の孔のうち少なくとも一方は前記振り子部材104の長手方向と直交する方向に長い長孔104aとなっており、
前記一対の支持部103、103にはそれぞれ軸110が設けられており、前記一対の孔にそれぞれ前記軸110を前記振り子部材104が回転可能となるように、かつ、長孔104aの長さ方向に摺動可能となるように挿通することによって、前記振り子部材104が前記一対の支持部103、103によって支持されていることを特徴とする。
ここで、前記フレーム102は例えば矩形枠状に形成され、壁パネル122に形成された矩形状の開口部126に取り付けられる。壁パネルとしては、例えばパネル工法やツーバイフォー工法における建築用の壁パネルが挙げられる。なお、パネル工法は、壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組立てることによって建物を構築する工法である。
また、制振部材105としては、バネとダンパからなる制振部材、ゴム、オイルダンパー、粘弾性材料などが好適に使用され、さらには摩擦で震動を減衰させるものでもよい。
また、上記のような第2制振装置3Aが取り付けられてなる壁パネル122は、新築の建物の壁として組み込んでもよいし、既設の建物の壁をリフォームする際に組み込んでもよい。
請求項に記載の発明によれば、それぞれ異なる制振性能を有する前記第1制振装置2を建物1の上部に設置するとともに、前記第2制振装置3Aを前記第1制振装置2よりも下方に設置するので、地震や風、交通振動等によって建物1に発生した種々の振動に対して、それぞれ異なる制振性能を発揮することができる。
また、免震性能を有する前記免震装置4を建物1と基礎5との間に設置するので、基礎5から建物1へと伝わる震動を減衰して、建物1に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
また、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせるために、てこ機構を用いて建物1の変形を増幅して制振部材105に伝達している。
すなわち、建物1に地震等の振動によって変形が生じると、この建物1を構成する壁パネル122の一対の支持部103、103がフレーム102を介して変位する。一対の支持部103、103が変位することによって、振り子部材104が一対の支持部103、103間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材104の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部103、103の変位が増幅される。したがって、振り子部材104の端部とフレーム102との間に設けられている制振部材105の変形を増幅できるので、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、制振部材105の変形速度も建物1の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する制振部材(例えば粘弾性材料など)を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
また、この第2制振装置3Aが取り付けられた壁パネル122は、予め工場等で製造しておくことができるので、現場ではこの壁パネル122を設置することによって、建物1に第2制振装置3Aを容易に導入することができ、現場での施工が簡単となる。
さらに、壁パネル122は建物1の所望の位置に設置できるので、地震の際にもっとも揺れるような箇所に壁パネル122を設置でき、よって、第2制振装置3Aを容易かつ確実にしかも効果的に建物1に導入できる。
そして、この第2制振装置3Aは、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記壁パネル122に形成された開口部126内に取り付けられて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
請求項に記載の発明は、例えば図1,図17〜図20に示すように、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3Bと、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられた建物1において、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3Bは、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置されており、
前記第2制振装置3Bは、上下に離間して配置された上下の構造材132、133と、左右に離間して配置された左右の構造材134、135とで囲まれた部位に取り付けられており、
矩形枠状の矩形フレーム137と、この矩形フレーム137に対向して設けられた一対の支持部138、138と、この一対の支持部138、138間に配置され、かつ該一対の支持部138、138によって支持された制振機構140とを備え、
前記制振機構140は、前記一対の支持部138、138によって支持されて、該一対の支持部138、138が変位した場合に、該一対の支持部138、138間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材145と、この振り子部材145の端部と前記矩形フレーム137との間に設けられた制振部材151とを備えており、
前記矩形フレーム137内に前記振り子部材145がその長手方向を前記矩形フレーム137の長手方向に向けて配置されており、
前記振り子部材145に、一対の孔が前記振り子部材145の長手方向と直交する方向に離間して形成されており、これら一対の孔のうち少なくとも一方は前記振り子部材145の長手方向と直交する方向に長い長孔となっており、
前記一対の支持部138、138にはそれぞれ軸147が設けられており、前記一対の孔にそれぞれ前記軸147を前記振り子部材145が回転可能となるように、かつ、長孔の長さ方向に摺動可能となるように挿通することによって、前記振り子部材145が前記一対の支持部138、138によって支持されていることを特徴とする。
ここで、前記制振機構140は、上下の構造材132、133や左右の構造材134、135が地震等により振動して、この振動が矩形フレーム137を介して支持部138、138に伝わり、この支持部138、138の変位によって発生する振動を制振できる機構であれば、どのような構造のものでもよい。
また、上下の構造材132、133としては、例えば、梁や土台等が挙げられるが、これに限るものでなく、床、基礎5、屋根等でもよい。また、構造材132、133は木造、鉄骨、鉄筋コンクリート等どのような構造のものでもよい。
左右の構造材134、135としては、例えば、柱が挙げられるが、これに限ることなく、壁や、ツーバイフォー工法における縦枠でもよい。また、構造材134、135は木造、鉄骨、鉄筋コンクリート等どのような構造のものでもよい。
請求項に記載の発明によれば、それぞれ異なる制振性能を有する前記第1制振装置2を建物1の上部に設置するとともに、前記第2制振装置3Bを前記第1制振装置2よりも下方に設置するので、地震や風、交通振動等によって建物1に発生した種々の振動に対して、それぞれ異なる制振性能を発揮することができる。
また、免震性能を有する前記免震装置4を建物1と基礎5との間に設置するので、基礎5から建物1へと伝わる震動を減衰して、建物1に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
また、躯体に地震等の振動によって変形が生じると、この躯体の上下の構造材132、133または左右の構造材134、135から第2制振装置3Bの矩形フレーム137を介して、一対の支持部138、138が変位する。一対の支持部138、138が変位することによって、振り子部材145が一対の支持部138、138間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材145の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部138、138の変位が増幅される。したがって、振り子部材145の端部と矩形フレーム137との間に設けられている制振部材151の変形を増幅できるので、建物躯体の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、矩形フレーム137の縦横の長さが、上下の構造材132、133間、左右の構造材134、135間より短いので、これらによって囲まれた部位に矩形フレーム137をそのまま配置したうえで、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135のうちのいずれか一方の構造材に、矩形フレーム137を剛接合することによって、上下の構造材132、133間や左右の構造材134、135間の距離が変更されても、この第2制振装置3Bを設計変更する必要なく容易に躯体に取り付けることができるとともに、制振機能を確実に発揮できる。
さらに、この第2制振装置3Bは、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記上下の構造材132、133と、左右の構造材134、135とで囲まれた部位に取り付けられて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、例えば図3および図4に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の建物1において、
前記第1制振装置2は、建物1の屋根裏空間15において建物躯体に固定されるベースプレート27と、前記ベースプレート27上に複数の積層ゴム28を介して取り付けられるウェイト29とを備えており、
揺れ等の振動が建物1に作用することにより前記ウェイト29は、前記ベースプレート27に対して相対的に、振動と逆方向に変位する振動を行うことを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、前記ベースプレート27上に複数の積層ゴム28を介して取り付けられたウェイト29を備えた前記第1制振装置2が、建物1の屋根裏空間15において建物躯体に固定されて設置されているので、地震や風、交通振動等による振動が建物1に発生しても、前記ウェイト29がこの振動とは逆方向に変位する振動を行い、建物1全体の振動を小さくすることが可能となる。
本発明によれば、それぞれ異なる制振性能を有する前記第1制振装置を建物の上部に設置するとともに、前記第2制振装置を前記第1制振装置よりも下方に設置するので、地震や風、交通振動等によって建物に発生した種々の振動に対して、それぞれ異なる制振性能を発揮することができる。
また、免震性能を有する前記免震装置を建物と基礎との間に設置するので、基礎から建物へと伝わる震動を減衰して、建物に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明に係る建物1の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態の建物1は、図1に示すように、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3と、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられたものであり、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3は、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置されている。
ここで、本実施の形態の建物1は、複数の直方体状の建物ユニット6を上下左右に組み立てることによって構築されるものである。この建物ユニット6は、図2に示すように、四隅に立設される4本の柱7と、これらの柱7の上端間同士を結合する各2本ずつの長辺上梁8aおよび短辺上梁8bを含む4本の上梁8と、前記柱7の下端間同士を結合する各2本ずつの長辺下梁9aおよび短辺下梁9bを含む4本の下梁9とで構成された骨組み6aを有する。
また、2本の長辺上梁8a間には複数本の天井小梁10が所定間隔で架けわたされ、2本の長辺下梁9a間には複数本の根太11が所定間隔で架けわたされている。さらに、図1に示すように前記上梁8と下梁9との間には間柱12が設けられている。
そして、前記骨組み6aには、床面材、天井面材13(図4参照)、内壁、外壁14(図4参照)や、所定の設備物等が予め工場で取り付けられて、所定の建物ユニット6が完成されている。
そして、以上のような建物1には、図1に示すように、地震や風、交通振動等による振動を制振できる第1制振装置2が設けられている。この第1制振装置2は、建物1の最上階に位置する複数の建物ユニット6のうち、いずれか一つの建物ユニット6に、予め工場で取り付けられている。
この際、前記第1制振装置2は建物1の屋根裏空間15に設けられており、さらに詳しくは、図3に示すように、建物ユニット6の天井裏空間16と、屋根ユニット17の屋根裏空間15とで構成される制振装置設置空間18に配置されている。
すなわち、前記建物ユニット6の上梁8の下面には前記天井面材13が設けられており、上梁8の上面と天井面材13とで、建物ユニット6の前記天井裏空間16が形成されている。また、建物ユニット6の上梁8のうち、当該建物ユニット6の長辺に沿って延びる2本の長辺上梁8a間において、建物ユニット6の一方の短辺上梁8b寄りには、2本の小梁19が所定間隔をあけて、かつ短辺上梁8bと平行に架設されている。
これらの小梁19は、それぞれ溝形状鋼材で形成されているとともに、小梁19の上面と、2本の長辺上梁8aの上面とはほぼ同じ高さとなっている。そして、これら2本の小梁19同士の間隔寸法は、2本の長辺上梁8a同士の間隔寸法よりも小さく設定されている。
2本の小梁19間には、一方(図4中左側)の長辺上梁8a寄りに、当該長辺上梁8aと平行となった1本の支持部材である短寸小梁20が架設されている。この短寸小梁20も溝形状鋼材で形成され、その上面は、長辺上梁8aおよび小梁19の上面とはほぼ同じ高さとなっている。
前記短寸小梁20と一方の長辺上梁8aとの間には、制振装置支持部を構成する2本の副小梁21が、互いに所定間隔をあけて2本の小梁19と平行に架設されている。これらの副小梁21は、前記短寸小梁20等より高さの低い溝形状鋼材で形成されているとともに、副小梁21の上面は、図4に示すように、小梁19および短寸小梁20の上面から寸法Lだけ下がった位置に配置されている。そして、これらの副小梁21の下面は前記天井面材13よりは上方位置にある。
前記副小梁21は、その一端が前記一方の長辺上梁8aに結合された受梁22にボルト等で固定され、他端は短寸小梁20にボルト等で固定されている。
また、2本の小梁19には、図3に示すように、ブラケット23が、それぞれ2個ずつ所定間隔で固定されている。
これらのブラケット23は断面L字状に形成されており、互いに対向して設けられているとともに、副小梁21の長手方向の側面に直交して設けられている。そして、ブラケット23の上面と、副小梁21の上面とは同じ高さとなっている。
前記屋根ユニット17は、図4に示すように、前記長辺上梁8aと同じ大きさの溝形状鋼材で形成された屋根枠体24を備え、この屋根枠体24は、最上階に位置する複数の建物ユニット6と対応する大きさに形成されるとともに、屋根枠体24の周囲には側壁25が設けられている。このような屋根枠体24の上面には、陸屋根を構成する屋根面材26が取り付けられており、この屋根面材26の下面と屋根枠体24の下面との空間が前記屋根裏空間15とされている。
そして、この屋根裏空間15と前記天井裏空間16とで、上述のように、第1制振装置2が設置される制振装置設置空間18が構成されている。
次に、前記第1制振装置2は、図3および図4に示すように、建物1の屋根裏空間15において建物躯体、すなわち前記ブラケット23に固定されるベースプレート27と、前記ベースプレート27上に複数の積層ゴム28を介して取り付けられるウェイト29とを備えており、
揺れ等の振動が建物1に作用することにより前記ウェイト29は、前記ベースプレート27に対して相対的に、振動と逆方向に変位する振動を行うようになっている。
前記ベースプレート27は、平面矩形状に形成され、長手方向両端側には、それぞれ2個ずつのボルト孔があけられており、これらのボルト孔は、前記ブラケット23にあけられたボルト孔と対応するようになっており、各ボルト孔にボルト30を挿通させるとともに、そのボルト30とナットとを螺合させることによって、上述したようにベースプレート27がブラケット23に固定されている。
また、上述のように、2個ずつのブラケット23の近傍にはそれぞれ副小梁21が設けられており、これらブラケット23と副小梁21との上面高さは同じとなっている。従って、ベースプレート27は、そのブラケット23寄りの両端が、副小梁21で支持されていることになる。
ベースプレート27においてブラケット23との結合位置の近傍、つまりベースプレート27のほぼ四隅には、前記積層ゴム28の下端が取り付けられており、この積層ゴム28は、前記2本の副小梁21の長手方向に沿った位置に2個ずつ設けられている。積層ゴム28の上端は、前記ウェイト29の下端の取り付け板(図示せず)に取り付けられている。その結果、ウェイト29とベースプレート27とは、4個の積層ゴム28で連結されていることになる。
この積層ゴム28は、前記ウェイト29の荷重を支持するものであり、積層ゴム28のゴム層は、水平応力が加えられたときに水平方向に変形し、ウェイト29の水平方向の変位(振動)を許容するものである。
また、ウェイト29の下端の取り付け板には、ウェイト29の水平方向の固有振動数を調整するためのコイルバネ31が設けられている。コイルバネ31は、取り付け板の4箇所に取り付けられている。
そして、前記ウェイト29は、例えば所定の厚さの鉄材を矩形状に形成したもので、例えば500kg程度の重さとなっている。また、このウェイト29には、建物1の規模に応じて後から増設重り(図示せず)を継ぎ足せるようになっている。
このような構成の建物1は、予め工場で生産された複数の建物ユニット6および屋根ユニット17等を、建設現場に輸送して、その建設現場で組み合わせて建てられる。
ここで、いずれかの前記建物ユニット6には、前記第1制振装置2が2本の副小梁21で支持されるとともに、4個のブラケット23に固定されて、予め工場で取り付けられている。
このような前記第1制振装置2が設けられた建物1によれば、前記ベースプレート27上に複数の積層ゴム28を介して取り付けられたウェイト29を備えた前記第1制振装置2が、建物1の屋根裏空間15において建物躯体に固定されて設置されているので、地震や風、交通振動等による振動が建物1に発生しても、前記ウェイト29がこの振動とは逆方向に変位する振動を行い、建物1全体の振動を小さくすることが可能となる。
また、このような建物1であれば、前記第1制振装置2が室内空間に突出することが無く快適な居住性を維持することができる。一方、前記屋根ユニット17は、略水平に形成された屋根面を有する陸屋根面材26を備えて構成されており、屋根裏空間15が狭くなっているが、副小梁21が建物ユニット6の上梁8の上面8cより低い位置に設けられているので、屋根裏空間15と建物ユニット6の天井裏空間16とで形成される制振装置設置空間18が広くなる。その結果、建物1の屋根が陸屋根であっても、前記第1制振装置2を容易に設置することができるようになっている。
次に、図1に示すように、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に、前記第2制振装置3を設置する。なお、本実施の形態では、この第2制振装置3は建物1の1階部分に設置されている。
このような第2制振装置3は、図5に示すように、上部構造部32に固定されて、この上部構造部32の下方に突出する上支持部34と、下部構造部33に固定されて、この下部構造33の上方に突出する下支持部35と、前記上支持部34および下支持部35の双方に枢結される揺動体36とを備え、
前記揺動体36は、前記上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方または下方位置において、前記上支持部34と下支持部35との双方に枢結され、
前記揺動体36の前記上支持部34と下支持部35との枢結位置より、上方または下方位置において、前記揺動体36と、前記上支持部34または前記下支持部35とが振動減衰手段37を介して連結されている。
ここで、前記上部構造部32は前記骨組み6aにおける上梁8、柱7、間柱12を指し、前記下部構造部33は下梁9、柱7、間柱12を指しており、これら上梁8および下梁9、柱7、間柱12で囲まれた架構面内にこの第2制振装置3が組み込まれている。
すなわち、前記架構面内には、図5および図6に示すように、上支持部34が設けられており、この上支持部34は上部構造部32に、下方に突出するようにして固定されている。上部構造部32は、上梁8と、柱7の上端部と、間柱12の上端部とで構成されている。上支持部34は、略二等辺三角形板状の鉄板で形成されており、二つの角部がそれぞれ前記柱7と間柱12の上端部にそれぞれ固定されている。柱7と間柱12の上端部にはそれぞれブラケット38、38が設けられており、これらブラケット38、38には上支持部34の両角部がボルト止めによって固定されている。また、上支持部34は、その上辺の中央部から上方に一体的に延出するプレート34aを有しており、このプレート34aの上端部は上梁8にボルト止めによって固定されている。このようにして上支持部34は柱7の上端部、間柱12の上端部、上梁8の中央部に固定されている。
また、前記架構面内には、図5に示すように、下支持部35が設けられており、この下支持部35は下部構造部33に、上方に突出するようにして固定されている。下部構造部33は、下梁9と、柱7の下端部と、間柱12の下端部とで構成されている。下支持部35は、略二等辺三角形板状の建築用の構造用パネルで形成されており、下辺部が下部構造部33に以下のようにして固定されている。すなわち、柱7および間柱12の下端部にはそれぞれブラケット39、39が設けられており、このブラケット39、39には、フレーム40の両端部がボルト止めによって固定されている。このフレーム40の中央部は下方に延出しており、この下方に延出した部分が下梁9にボルト止めによって固定されている。フレーム40の上面には前記下支持部35の下辺部が固定されている。
下支持部35は、複数の鉄製のフレーム35aによって略二等辺三角形状の枠体を形成し、この枠体の両面に構造用合板で形成された面材35b、35bを取り付けてなるものである。このような下支持部35の下辺部を構成するフレーム35aが前記フレーム40の上面に固定されることによって、下支持部35がフレーム40を介して下部構造部33に固定されている。
また、下支持部35の上下の長さは、前記上支持部34の上下の長さより長くなっており、下支持部35の厚さも上支持部34の厚さより厚くなっている。下支持部35は、鉄製のフレーム35aで形成された枠体の両面に、構造用合板で形成された面材35b、35bを取り付けた板状ものであるので、非常に剛性が高いものとなっている。
また、前記架構面内には、図5および図6に示すように、揺動体36が設けられており、この揺動体36は上支持部34と下支持部35の双方に枢結されている。
すなわち、揺動体36は、2枚の揺動板36a、36aによって構成されている。揺動板36a、36aはそれぞれ縦長の六角形板状の鉄板で形成されたものであり、これら揺動板36a、36aは、平行離間して対向している。揺動板36a、36aは上支持部34を、それと所定の隙間をもって挟むようにして配置されており、これら揺動板36a、36aの下端部には、枢結軸41が挿通されている。
一方、前記下支持部35の上端部のフレーム35aには、連結部材42の下面が固定されており、この連結部材42は揺動板36a、36a間に挿入されている。そして、この連結部材42には、前記枢結軸41が挿通されており、この枢結軸41を軸として揺動体36が回転可能となっている。なお、枢結軸41を挿通する穴は上下に長い長穴となっており、これによって、揺動体36が揺動した際の枢結軸41の若干の上方向への移動を逃がしている。
また、揺動板36a、36aの下端部には、枢結軸43が前記枢結軸41より上方位置において挿通されている。一方、前記上支持部34の下端部には、前記枢結軸43が挿通されており、この枢結軸43を軸として揺動体36が回転可能となっている。また、上支持部34と前記揺動板36a、36aとの間には、スペーサ44、44が介装されており、これらスペーサ44、44にも前記枢結軸43が挿通されている。このスペーサ44、44は揺動板36a、36aの間隔を所定長さに保持するためのものである。
上記のようにして揺動体36は、上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方位置において、上支持部34と下支持部35との双方に枢結されている。
また、揺動体36の上支持部34と下支持部35との枢結位置(枢結軸43、41の位置)より、上方位置において、揺動体36と、上支持部34とが振動減衰手段を介して連結されている。
すなわち揺動体36は上支持部34側に延出しており、この延出している延出部分が前記他方の支持部34に上部構造部2の近傍で前記振動減衰手段を介して連結されている。
前記揺動板36a、36aの上部裏面、つまり上部の対向する面には、それぞれプレート45、45がボルト46、46によって取り付けられており、このプレート45、45には、四角形板状の粘弾性体(振動減衰手段)37、37が加硫接着または接着剤によって固着されている。
また、上支持部34にはプレート48、48がボルト49、49によって固定されており、このプレート48、48に前記粘弾性体37、37が加硫接着または接着剤によって固着されている。
また、上支持部34の中央部には、横方向に長い長穴50が前記粘弾性体37、37の近傍において形成されており、この長穴50には、ボルト51、51が一方の揺動板36aから他方の揺動板36aに向けて挿通されている。また、前記プレート45、45の下端部間には、複数のスペーサ52・・・が介装されており、これらスペーサ52・・・は前記長穴50に挿通されている。また、これらスペーサ52・・・にも前記ボルト51、51が挿通されている。これらスペーサ52・・・は揺動板36a、36aの間隔を所定長さに保持するためのものである。また、スペーサ52・・・は上支持部34に形成された長穴50に挿通されているので、揺動体36が揺動することによってスペーサ52・・・が移動しても、長穴50内における移動となるように、長穴50の大きさが設定されている。
このようなスペーサ52・・・とボルト51によって揺動板36a、36aはその間隔が一定に保持され、これによって前記粘弾性体37、37の厚さが一定に保持されるようになっている。
上記のような第2制振装置3の制振構造では、まず、地震の震動によって、建物1の骨組み6aに左右に変形が生じる。その場合、上部構造部32と下部構造部33とが左右に変位し、これに伴って上支持部34と下支持部35とが左右に変位する。すると、図7に示すように、上支持部34と下支持部35との双方に揺動体36を枢結する枢結軸43、41が左右に変位する(変位量L1)。
枢結軸43、41が左右に変位することによって、揺動体36が、その二つの枢結位置(枢結軸43、41の位置)間の中央部を中心として振り子のように揺動し、この揺動体36の端部は振れが増幅されて変位し(変位量L2)、これによって、前記上部構造部32と下部構造部33との変位が増幅される。
したがって、揺動体36と、上支持部34とを連結している粘弾性体(振動減衰手段)37の変形を増幅できるので、骨組み6aの小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。図7に示すものでは、層間変位がL1の場合、粘弾性体37の変位量はL2と大きくなり、約195%変位が増幅された。また、図8に示すものでは、層間変位がL3の場合、粘弾性体37の変位量はL4と大きくなり、約257%変位が増幅された。
また、前記枢結軸43、41間の距離や、枢結軸43と粘弾性体37との間の距離を調整することによって、同じ粘弾性体37を使用しながらも、変位の増幅量を容易に調整することができる。
さらに、粘弾性体37の変形速度も骨組み6aの変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性体37によって、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
また、スペーサ52・・・とボルト51によって揺動板36a、36aはその間隔が一定に保持され、これによって前記粘弾性体37、37の厚さが一定に保持されるようになっているので、粘弾性体37、37が変形する際に、その厚さが一定に保持され、薄くなったり、厚くなったりしないので、確実に地震力によるエネルギーを吸収できる。
また、揺動体36が、上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方位置において、上支持部34と下支持部35との双方に枢結されているので、中間部において枢結されたものに比して、揺動体36を短くできるとともに、揺動体36を上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方に寄せることができる。したがって、揺動体36が面外方向に撓むのを防止できるので、制振性能の低下を防止することができる。
さらに、下支持部35が上支持部34より上下の長さが長くなっているので、下支持部35の先端部(上端部)と上支持部34の先端部(下端部)とは、上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方位置に位置する。したがって、下支持部11の先端部と上支持部34の先端部とに揺動体36を枢結することによって、揺動体36を、上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方において、上支持部34と下支持部35との双方に確実に枢結することができる。
また、下支持部35は建築用の構造パネルで形成されており、上支持部34より厚くなっているので、下支持部35の剛性を上支持部34より大きくすることができる。したがって、剛性が大きい下支持部35に揺動体36を枢結することによって、下部構造部33の変位を揺動体36に確実に伝達することができる。
さらに揺動体36の延出部分が、剛性の高い建物1の主要構造部である上部構造部32の近傍で、上支持部34に振動減衰手段37を介して連結されているので、地震力による変形をなるべく受けない位置で地震力を吸収する機能を発揮できる。
また、上支持部34は柱7と間柱12に固定されているので、揺動体36の上方にある構造物の荷重を、柱7、間柱12を介して下方に伝えることができるので、揺動体36の枢結部(枢結軸43、41)に上方から大きな荷重が作用するのを防止できる。したがって、上部構造部32と下部構造部33とが左右に変位し、これに伴って上支持部34と下支持部35とが左右に変位することによって、揺動体36が、その二つの枢結位置間の中央部を中心として振り子のように揺動する際に、スムーズに揺動することができる。
そして、この第2制振装置3は、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記上部構造部32および下部構造部33に固定設置されて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
なお、図示はしないが、前記第2制振装置3は、前記上支持部34と下支持部35とを天地逆として配置して良い。また、前記下支持部35を大きい四角形状の建築用の構造用パネルで構成しても良く、さらには、このような四角形状の下支持部35に前記揺動体を二つ並列して設けても良い。
次に、建物1と基礎5との間に設置される前記免震装置4について説明する。
ここで、前記基礎5はコンクリート等により形成されており、図1に示すように、この基礎5上に前記複数の建物ユニット6が一階部53として配置された状態となっている。この一階部53の上には前記複数の建物ユニット6が二階部53として配置されている。
そして、一階部53を構成する建物ユニット6と基礎5との間には、免震装置4、連結部材55、56および架台57が設けられている。
前記免震装置4は、建物1に所定以上の水平方向の地震力が加わった場合に、その揺れを減衰させるものである。免震装置4は、基礎5に設けられたアンカーボルト58により固定されている。
また、前記建物ユニット6の骨組み6aにおける柱7の下端面および下梁9の底面によって、前記連結部材55、56および架台57が取り付けられる底面部59が形成されている。
前記基礎5上には、図9に示すように、複数の免震装置4が配設されている。これら免震装置4と一階部53を構成する複数の建物ユニット6との間には、連結部材55、56および架台57が設けられている。
連結部材55は、基礎5の外周に沿って設けられかつ基礎5の角部でない箇所に設けられた各免震装置4上に、それぞれ配設されている。連結部材55は、複数の建物ユニット6のうち、隣接する二つの建物ユニット6の底面間にまたがって配置され、該建物ユニット6同士を連結している。
連結部材56は、基礎5の略中央に配置された免震装置4の上に配置されている。連結部材56は、六つの隣接した建物ユニット6の柱7の直下に、該建物ユニット6の底面間にまたがって配置され、該建物ユニット6を連結している。
前記架台57は、基礎5の角部に設けられた各免震装置4の上に、それぞれ設けられている。架台57は、その上方に配置された建物ユニット6と連結されている。
前記連結部材55は、図10に示すように、上面部60と底面部61とを備え、それぞれの面で、二つの建物ユニット6と、免震装置4である免震支承62とを連結している。すなわち、連結部材55は、隣接した二つの建物ユニット6の柱7の直下に配置されており、連結部材55の上面部60と該建物ユニット6の底面部59とは、連結具63により連結されている。連結部材55の底面部61と、免震支承62の上面部64とは、連結具65により連結されている。
一方、前記免震支承62は転がり支承であり、鋼球66と、上皿部67と、下皿部68とを備えている。上皿部67および下皿部68それぞれの鋼球66に対向する面は、凹状に湾曲している。このため、上皿部67および下皿部68は、鋼球66に対して横方向に摺動自在となっている。免震支承62は、下皿部68で、基礎5に設けられたアンカーボルト58により固定されている。なお、本実施形態では、免震支承62として転がり支承を採用しているが、他の支承として積層ゴムアイソレータ、滑り支承などを挙げることができ、これらから適宜選択して採用してよい。
また、前記連結部材55は、図10に示すように、前記架台57(図12参照)を水平方向に二つ連結した構成となっている。また、連結部材55は、図示はしないが、リブ格子構造を有しており、これにより、上面部60と底面部61とは連結されている。
上面部60には、二つのガイドピン69と図示しない複数の孔が設けられている。ガイドピン69は、連結する建物ユニット6の位置決めに用いられる位置決め部材であり、上面部60から略垂直方向に突設されている。上面部60に複数穿設された孔には、建物ユニット6と連結する際に、連結具63が挿通されるようになっている。
底面部61には、免震支承62との連結の際に、連結具65が挿通される孔(図示せず)が穿設されている。
前記連結部材56は、図11に示すように、上面部72と底面部76とを備えている。連結部材56の上面部72と、隣接した六つの建物ユニット6の底面部59とは、連結具73により連結され、これにより、該建物ユニット6同士は連結される。連結部材56の直下には、免震装置4である免震支承62、ダンパ74、固定装置75が設けられている。それら免震装置4の上面部64、77、78と連結部材56の底面部76とは、連結具93により連結されている。
前記ダンパ74は、図11に示すように、地震時に建物1に過大な揺れが生じることを防ぐための装置である。
この図に示すように、ダンパ74は、本体79と、上部皿80と、油圧タンク81とを備えている。本体79内部には、ピストン82が設けられており、このピストン82の先端が本体79上部に突出している。本体79の上方には、上部皿80が設けられており、上部皿80は、本体79に向って凹状に開口した湾曲部83を備えている。この湾曲部83には、ピストン82の先端が当接している。湾曲部83とは反対側の面である上面部77は、連結部材56の底面部76と連結される面である。油圧タンク81は、管84を介して、本体79と接続されている。油圧タンク81の内部には、粘性を有する流体が封入されている。建物1に地震力が加えられたとき、凹状の湾曲部83に沿って摺動するピストン82は、この流体によって、緩やかに上下動して、その地震力を吸収する。本体79および油圧タンク81は、それぞれ基礎5のアンカーボルト58により固定されている。
このような構成から、ダンパ74は、建物1の横方向の揺れに応じて本体79に設けられたピストン82が湾曲部83を摺動しながら上下動し、内部に封入された流体の粘性で横方向の移動エネルギを吸収する。
前記固定装置75は、図11に示すように、建物1の揺れを規制するとともに、所定以上の地震力が発生した際に規制を解除する装置である。
この図に示すように、固定装置75は、本体85と、上部皿86と、センサ部87とを備えている。本体85上部には、固定ピン88が突設されている。本体85の上方には、上部皿86が配置されており、この上部皿86の本体85に対向する面には、凹部89が形成されている。この凹部89には、固定ピン88の先端が当接し、上部皿86の横方向の動きを抑えている。凹部89が形成された面とは反対側の上部皿86の面には、上面部78が形成されている。センサ部87は、管90を介して、本体85と接続されている。このセンサ部87は、横方向の震動を感知するためのものであり、所定以上の震動を検出すると、固定ピン88のロックを解除する。これら本体85およびセンサ部87はそれぞれ、基礎5に設けられたアンカーボルト58により固定されている。
以上の構成から、固定装置75の固定ピン88は、通常状態では凹部89に当接した状態で本体85にロックされている。従って、基礎5と、上部皿86の上面部78に連結された連結部材56により連結された建物ユニット6とが固定され、建物1の横方向の揺れは規制される。ここで、所定以上の地震力が建物1に加わった場合、センサ部87がこれを感知し、固定ピン88のロックが解除される。これにより、本体85と上部皿86との接点がなくなり、上部皿86の横方向の移動が可能となることで、建物1は免震状態となる。
ここで、固定ピン88のロックは、風等による横方向の力では、解除されないものとする。更に詳述すれば、固定ピン88のロックが解除されるのは、震度5弱以上の地震力が加わった場合とする。しかしながら、この固定ピン88のロックの範囲は、適宜決めてよい。
また、前記連結部材56は、図示はしないが、リブ格子構造を有しており、これにより、上面部72と底面部76とが連結された状態となっている。
上面部72には、複数のガイドピン91および図示しない孔が設けられている。ガイドピン91は、連結する六つの建物ユニット6の相互位置を決める位置決め部材であり、上面部72から略垂直方向に突設されている。孔は、連結具73が挿通する孔であり、複数穿設されている。
底面部76には、図示しない孔が複数設けられており、これらの孔に免震装置4との連結に用いられる連結具93が挿通する。
前記架台57は、図12に示すように、他の建物ユニット6と隣接していない建物ユニット6の柱7の直下に設けられている。架台57は、上面部94および底面部95とを備えている。上面部94は、該建物ユニット6の底面部59と、連結具96によって連結されている。また、底面部95は、架台57の直下に配置された免震支承62の上面部64と、連結具97により連結されている。
また、前記架台57は、図示はしないが、リブ格子構造を有しており、これにより、上面部94と底面部95とは連結されている。
上面部94には、ガイドピン99と図示しない複数の孔が設けられている。ガイドピン99は、架台57の上に配置される建物ユニット6を位置決めする位置決め部材であり、上面部94から略垂直方向に突設されている。孔は、連結具96が挿通するための孔である。
底面部95には、図示しない複数の孔が穿設されており、この孔は、架台57と免震支承62の上面部64とを連結する連結具97が挿通する孔である。
以上のような免震装置4によれば、基礎5と建物ユニット6の間に免震装置4を設け、この免震装置4上に連結部材55、56を配置し、この連結部材55、56は、建物1を構成する複数の建物ユニット6のうち、隣接する建物ユニット6の底面間にまたがって配置され、該建物ユニット6同士を連結するので、建物ユニット6と免震装置4との連結を容易に、効率的に行うことができる。
そして、これら連結部材55、56および免震装置4は、建物ユニット6において強度の強い柱7の直下に配置されるので、配置された建物ユニット6の安定化を図ることができ、延いては、建物1全体に対する地震力の影響を低減できる。
しかも、他の建物ユニット6に隣接していない柱7の直下にも架台57を介して免震装置4が設けられるので、一階部53を構成する建物ユニット6における全ての柱7の直下に、免震装置4が設けられることとなり、従って、建物ユニット6の安定した配置が図れるほか、免震効率の向上を図ることが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、それぞれ異なる制振性能を有する前記第1制振装置2を建物1の上部に設置するとともに、前記第2制振装置3を前記第1制振装置2よりも下方に設置するので、地震や風、交通振動等によって建物1に発生した種々の振動に対して、それぞれ異なる制振性能を発揮することができる。
また、免震性能を有する前記免震装置4を建物1と基礎5との間に設置するので、基礎5から建物1へと伝わる震動を減衰して、建物1に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
(第2の実施の形態)
図13〜図16は本発明の建物1の第2の実施の形態を示すものである。
本実施の形態における建物1は、上述の第1の実施の形態と同様に、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3Aと、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられたものであり、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3Aは、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置された状態となっている。
なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。また、本実施の形態の建物1は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築される。
また、このパネルとは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助棧材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
ここで、前記第1制振装置2および免震装置4は、上述した第1の実施の形態における第1制振装置2および免震装置4と同様の構成となっているので説明を省くこととする。
そして、本実施の形態の前記第2制振装置3Aは、図13に示すように、建築用の壁パネル122に形成された開口部126内に取り付けられたフレーム102と、このフレーム102に対向して設けられた一対の支持部103、103と、この一対の支持部103、103によって支持されて、振動によって一対の支持部103、103が変位した場合に、該一対の支持部103、103間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材104と、この振り子部材104の端部と前記フレーム102との間に設けられた制振部材116、116とを備えている。
なお、前記制振部材116は、前記フレーム102に前記振り子部材104の端部に対向して取り付けられた箱状のボックス115内に取り付けられた一対の制振ゴム116、116で構成されているものである。
前記フレーム102は、左右一対の縦フレーム106、106と、上下一対の横フレーム107、107とを矩形枠状に組み立てることによって形成されている。
一対の縦フレーム106、106は平行離間して配置されており、それぞれ帯板状の取付板106aと、この取付板106aに直角に立設された帯板状の立設板106bとから構成され、断面T字状に形成されている。
取付板106aは壁パネルに形成された矩形状の開口部の内周面に取り付けられるものであり、その外側を向く面は前記開口部の内周面に当接固定される固定面106cとされている。また、取付板106aには、図示しないビス孔が上下に所定で2列形成されている。そして、取付板106aは、その固定面106cを開口部の内周面に当接固定したうえで、ビス孔にビスを通して開口部の内周面にねじ込むことによって、該内周面に取り付けられるようになっている。
また、立設板106bには、上下に所定間隔で孔が複数形成されている。これら孔は、立設板106bに支持部103をボルト106dによって取り付ける際に使用される孔である。
また、一対の横フレーム107、107は平行離間して配置されており、それぞれ帯板状の取付板107aを有している。取付板107aは壁パネルに形成された矩形状の開口部の内周面取り付けられるものであり、その外側を向く面は前記開口部の内周面に当接固定される固定面107cとされている。また、取付板107aの左右両端部には、図14に示すように、プレート107b、107bが厚さ方向に対向して設けられており、これらプレート107b、107bの基端部間には、前記縦フレーム106の立設板106bの端部が挿入されている。プレート107b、107bの基端部と、立設板の端部とにはそれぞれ孔が形成されており、これら孔にボルト107dが挿通され、この挿通されたボルト107dにナットを螺合して締め付けることによって、縦フレーム106と横フレーム107とが連結されている。
また、前記プレート107b、107bの先端部間には、平面視T字状をなす、固定部材108の基端部が挿入され、溶接等によって固定されている。固定部材108、108の先端部にある固定板108a、108a間は、設置部109とされており、この設置部109に前記制振ボックス105が設置されるようになっている。固定板108a、108aは、設置部109に設置された制振ボックス105の両端の端板にそれぞれ当接固定されるものであり、それぞれ4つのボルト孔(図示せず)が形成されている。
前記縦フレーム106、106の立設板106b、106bには、支持部103、103が設けられている。すなわち、支持部103は、図15に示すように、2枚の支持板103a、103aを備えている。支持板103aは、略二等辺三角形状に形成されており、その頂部と対向する辺を上下に向け、かつ、頂部を内側に向けて配置されている。支持板103aは、略二等辺三角形状に形成されているので、その長手方向(上下方向)中央部が端部側より幅広に形成されている。したがって、2枚の支持板103a、103aで構成された支持部103もその長手方向(上下方向)中央部が端部側より幅広に形成されている。さらに、一対の支持部103、103は、それぞれの頂部を振り子部材104の中央部において対向させて設けられている。
また、一対の支持板103a、103aの上下に沿う辺部間には、前記立設板106bが挿入されている。そして、一対の支持板103a、103aの上下に沿う辺部と、前記立設板106bとにはそれぞれ孔が上下に所定間隔で複数形形されており、これら孔に、図13に示すように、ボルト106dが挿通され、この挿通されたボルト106dにナットを螺合して締め付けることによって、立設板6dに一対の支持板103a、103a、すなわち支持部103が設けられている。
前記一対の支持部103、103の長手方向中央部すなわち対向する頂部によって振り子部材104の長手方向中央部が支持されており、この振り子部材104は、震動によって一対の支持部103、103が変位した場合に、該一対の支持部103、103間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
すなわち、振り子部材104は板状でかつ略菱形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材104の中央部の左半分は、一方の支持部103の支持板103a、103a間に挟まれており、右半分は他方の支持部103の支持板103a、103a間に挟まれている。
また、一方の支持部103の支持板103a、103aの頂部には孔が形成されており、他方の支持部103の支持板103a、103aの頂部にも孔が形成されている。一方、振り子部材104の中央部には、左右に離間して孔が形成されており、これら孔のうち左側の孔104aは左右に長い長孔となっている。
そして、一方の支持部の支持板103a、103aに形成された孔と、振り子部材104の中央部に形成された一方の長孔104aとには、軸110が振り子部材104を回転可能とするように、かつ、長穴の長さ方向に摺動可能となるように挿通されている。この軸110は例えば先端部にねじ部を有するボルト110で形成されており、このボルト110は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト110にはナットが螺合されている。
また、他方の支持部の支持板103a、103aに形成された孔と、振り子部材104の中央部に形成された他方の孔とには、軸110が振り子部材104を回転可能とするように挿通されている。この軸110も先端部にねじ部を有するボルト110で形成されており、このボルト110は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト110にはナットが螺合されている。
これによって、振り子部材104は、一対の支持部103、103によって軸110、110を介して支持されており、この振り子部材104は、震動によって一対の支持部103、103が変位した場合に、該一対の支持部103、103間の略中央部、言い換えれば、軸110、110間の中央部を中心として振れるように構成されている。
また、前記フレーム102には、制振ボックス105が前記振り子部材104の端部に対向して取り付けられている。
すなわち、図14に示すように、制振ボックス105は、フレーム102の横フレーム107に設けられた設置部109に取り付けられる箱状のボックス115と、このボックス115内に取り付けられた一対の制振ゴム(制振部材)116、116と、これら制振ゴム116、116間に挿入されかつ該一対の制振ゴム116、116に固着されたプレート117とを備えている。
ボックス115は、対向する一対の側板115a、115aと、該側板115a、115aの両端部間にそれぞれ配置され、該側板115a、115aに取り外し可能に対向して取り付けられた一対の端板115b、115bとから構成されている。一対の側板115a、115aの両端部には穴が形成されており、一対の端板115b、115bの側端面には、ボルト孔が形成されている。そして、これら孔とボルト孔を合わせたうえで、孔にボルト118を挿入してボルト孔に螺合して締め付けることによって、側板115a、115aと端板115b、115bとがボックス状に組み立てられており、ボルト118を取り外すことによって、側板115a、115aから端板115b、115bを取り外せるようになっている。また、端板115bにはそれぞれ4つのボルト孔(図示せず)が形成されている。
また、側板115a、115aの対向する内面にはそれぞれ制振ゴム116、116が接着剤等によって固着されている。これら制振ゴム116、116間には、プレート117が挿入されており、該プレート117の表面は前記制振ゴム116、116に固着されている。
プレート117の一端部(上端部)は、ボックス115より上方に突出しており、この突出している一端部には、3つの孔(図示せず)が形成されている。
そして、上記のように構成された制振ボックス105は、図14に示すように、ボックス115を横フレーム107に設けられた設置部109に設置したうえで、固定板108a、108aをボックス5の端板115b、115bに当接して、ボルト119を固定板108a、108aの孔から挿入して端板15のボルト孔に螺合して締め付けることによって、設置部109に位置決めされて固定されている。
さらに、前記制振ボックス105のプレート117と前記振り子部材104の端部とが連結されている。すなわちまず、振り子部材104の端部には、孔が3個横方向に所定間隔で形成されている。この振り子部材104の端面は、制振ボックス105のプレート117の端面に当接されている。そして、振り子部材104の端部とプレート117の端部とを挟み付けるようにしてプレート120、120が設けられている。プレート120、120には、その上部と下部とにそれぞれ3つの孔が横方向に所定間隔で形成されており、上部の孔と振り子部材104の端部に形成された孔とにボルト121を挿通し、ナットを螺合して締め付け、下部の孔とプレート117に形成された孔とにボルト121を挿通し、ナットを螺合して締め付けることによって、制振ボックス105のプレート117と振り子部材104の端部とがプレート120、120を介して連結されている。
上記のような構成の第2制振装置3Aは、例えば図13に示すように、住宅の壁を構成する壁パネル122に組み込まれる。すなわち、壁パネル122は、例えば、上部の小壁パネル123と下部の腰壁パネル124とを左右の柱材125、125で連結してなるものであり、その中央部には、開口部126が形成されている。この開口部126は矩形状に形成されており、その内側にフレーム102が挿入されている。
このフレーム102を構成する一対の縦フレーム106、106の取付板106a、6aの外側を向く面が固定面106cとされており、この固定面106cが開口部126の縦方向に沿う内周面に当接固定され、取付板106a、106aにビスを通して開口部の縦方向に沿う内周面にねじ込むことによって、該縦フレーム106、106が縦方向に沿う内周面に取り付けられている。
同様に、フレーム102を構成する一対の横レーム7、7の取付板107a、107aの外側を向く面が固定面107cとされており、この固定面107cが開口部126の横縦方向に沿う内周面に当接固定され、取付板107a、107aにビスを通して開口部の縦方向に沿う内周面にねじ込むことによって、該横フレーム107、107が横方向に沿う内周面に取り付けられている。
このようにして、壁パネル122の開口部126に第2制振装置3Aが組み込まれている。
上記のような第2制振装置3Aが組み込まれた壁パネル122では、まず、この壁パネル122を組み込んだ建物1に地震等の横揺れ震動によって変形が生じると、壁パネル122の開口部126に挿入された矩形状のフレーム102が略平行四辺形状に変形する。つまり、フレーム102の横フレーム107、107が左右にずれるようにして移動するとともに、縦フレーム106、106が横方向に傾斜することによって矩形状のフレーム102が略平行四辺形状に変形する。
フレーム102が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部103、103が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
一対の支持部103、103が変位することによって、振り子部材104が一対の支持部103、103間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材104の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部103、103の変位が増幅される。
そして、振り子部材104の端部と制振ボックス105のプレート117とが連結されており、この連結プレート117は制振ゴム116、116間に挿入されかつ該一対の制振ゴム116、116に固着されているので、この制振ゴム116、116の変形を増幅できる。したがって、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、制振ゴム116、116の変形速度も建物1の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された制振ゴムを用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
上記のような第2制振装置3Aを備えた壁パネル122は、例えば、図16に示すように、3枚連続して設けることによって、制振効果を高めることができる。この場合、壁パネル122を構成する柱材125は、隣接する壁パネル122、122どうしで共通としてもよい。
また、建物1を構成する複数の壁パネルのうちの所望の壁パネルを、第2制振装置3Aが組み込まれた壁パネル122と交換することによって、制振構造を容易かつ確実にしかも効果的に建物1に導入できる。つまり、地震の際にもっとも揺れるような箇所にある壁部分に第2制振装置3Aを容易に導入できる。
さらに、第2制振装置3Aが取り付けられた壁パネル122は、予め工場等で製造しておくことができるので、現場ではこの壁パネル122を設置することによって、建物1に制振構造を容易に導入することができ、現場での施工が簡単となる。
そして、本実施の形態の第2制振装置3Aは、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記壁パネル122に形成された開口部126内に取り付けられて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となっている。
(第3の実施の形態)
図17〜図20は本発明の建物1の第3の実施の形態を示すものである。
本実施の形態における建物1は、上述の第1および第2の実施の形態と同様に、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3Bと、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられたものであり、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3Bは、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置された状態となっている。
なお、説明の便宜上、上述した第1および第2の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。また、本実施の形態の建物1は、在来の木造軸組み工法で構築される。
ここで、前記第1制振装置2および免震装置4は、上述した第1の実施の形態における第1制振装置2および免震装置4と同様の構成となっているので説明を省くこととする。
そして、本実施の形態の前記第2制振装置3Bは、図17(a)に示すように、上下に離間して配置された上下の構造材132、133と、左右に離間して配置された左右の構造材134、135とで囲まれた部位に取り付けられており、矩形枠状の矩形フレーム137と、この矩形フレーム137に対向して設けられた一対の支持部138、138と、この一対の支持部138、138間に配置され、かつ該一対の支持部138、138によって支持された制振機構140とを備えている。
矩形フレーム137は、左右一対の縦フレーム141、141と、上下一対の横フレーム142、142とを矩形枠状に組み立てて形成されたものであり、縦フレーム141の端部と横フレーム142の端部はピン結合されている。
したがって、矩形フレーム137は左右方向に力が作用すると平行四辺形を形成するようにして変形可能となっている。なお、縦フレーム141、横フレーム142は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
また、縦フレーム141は、矩形フレーム137の外周面を構成する帯板状の外周板部141aと、この外周板部141aの内面に直角に形成されて、前記支持部138が取り付けられる帯板状の内側板部141bとから構成され、断面T字状に形成されている。
横フレーム142は、矩形フレーム137の外周面を構成する帯板状の外周板部142aと、この外周板部142aの両端部の内面にそれぞれ直角に形成されて、前記縦フレーム141の内側板部141bの端部にピン結合される内側板部142b、142bとを備えており、内側板部142b、142bには後述する制振ボックス146が取り付けられるようになっている。
また、矩形フレーム137の縦方向の長さは上下の構造材132、133間の距離より短く、矩形フレーム137の横方向の長さは左右の構造材134、135間の距離より短くなっている。
さらに、矩形フレーム137の厚さは、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで構成される矩形状の壁構成部分の厚さより薄くなっている。
したがって、第2制振装置3Bの矩形フレーム137は、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた空間内に納まる、つまり、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで構成される矩形状の壁構成部分の内部に組み込むことができるようになっている。
前記縦フレーム141、141の内側板部141b、141bには、前記支持部138、138が対向して固定されている。
支持部138は長方形板状の2枚の支持板138a、138aによって構成されており、支持板138a、138aの一方の側部は、前記内側板部141bを挟むようにして該内側板部141bに固定されている。支持板138a、138a間には所定の間隔が設けられており、該2枚の支持板138a、138a間には、前記制振機構140を構成する振り子部材145の中央部が挿入されて支持されるようになっている。
前記制振機構140は、振り子部材145と制振ボックス146とを備えている。
振り子部材145は板状でかつ、縦長の八角形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材145の中央部の左半分は、一方の支持部138の支持板138a、138a間に挟まれており、右半分は他方の支持部138の支持板138a、138a間に挟まれている。なお、振り子部材145は鉄やアルミニウム等の金属によって形成されている。
前記一対の支持部138、138の先端部によって振り子部材145の長手方向中央部が支持されており、この振り子部材145は、地震等の振動によって矩形フレーム137が変形して一対の支持部138、138が変位した場合に、該一対の支持部138、138間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
すなわち、一方の支持部138の支持板138a、138aの先端中央部には孔が対向して形成されており、他方の支持部138の支持板138a、138aの先端中央部にも孔が対向して形成されている。一方、振り子部材145の中央部には、左右に離間して孔が形成されており、これら孔のうち左側の孔は左右に長い長孔となっている。
そして、一方の支持部138の支持板138a、138aに形成された孔と、振り子部材145の中央部に形成された一方の長孔とには、軸147が振り子部材145を回転可能とするように、かつ、長孔の長さ方向に摺動可能となるように挿通されている。
この軸147は例えば先端部にねじ部を有するボルト147で形成されており、このボルト147は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト147にはナットが螺合されている。
また、他方の支持部138の支持板138a、138aに形成された孔と、振り子部材145の中央部に形成された他方の孔とには、軸147が振り子部材145を回転可能とするように挿通されている。この軸147も先端部にねじ部を有するボルト147で形成されており、このボルト147は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト147にはナットが螺合されている。
これによって、振り子部材145は、一対の支持部138、138によって軸147、17を介して支持されており、この振り子部材145は、地震等の振動によって一対の支持部138、138が変位した場合に、該一対の支持部138、138間の略中央部、言い換えれば、軸147、147間の中央部を中心として振れるように構成されている。
前記制振ボックス146は、図19に示すように、上下面が開口した箱状のボックス150と、このボックス150内に取り付けられた一対の制振部材151、151と、これら制振部材151、151間に挿入されかつ該一対の制振部材151、151に固着されたプレート152とを備えている。制振部材151としては、例えば高減衰ゴムによって形成された粘弾性体151を使用している。
ボックス150の対向する内面にはそれぞれ粘弾性体151、151が接着剤等によって固着されている。これら粘弾性体151、151間には、プレート152が挿入されており、該プレート152の表面は前記粘弾性体151、151に固着されている。プレート152の一端部は、ボックス150より突出しており、この突出している一端部は、振り子部材145の端部に連結されている。
また、前記ボックス150の端面には、取付プレート150a、150aが突出形成されている。そして、制振ボックス146は、ボックス150を横フレーム142の外周板部142aに設置したうえで、ボックス150の取付プレート150a、150aを内側板部142b、142bにボルトによって連結することによって横フレーム142の略中央部に取り付けられている。
なお、制振ボックス146のボックス150、プレート152等は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
上記のような構成の第2制振装置3Bは以下のようにして建物1の躯体に取り付けられている。
すなわちまず、図17(a)、(b)に示すように、第2制振装置3Bの矩形フレーム137を構成する縦フレーム141の外周板部141aには、工場等によって予め木材155が固定されている。この木材155は縦フレーム141と等しい長さの角材であり、外周板部141aに接着や釘打ち等によって固定されている。
一方、躯体を構成する左右の構造材134、135の内側面には補強材156が接着や釘打ち等によって固定されている。この補強材156は木材で形成された角材であり、上下の長さは左右の構造材(柱)134、135より若干短くなっている。なお、この補強材156は柱径が細い場合の補強のために用いるものであり、柱径が太く補強の必要がない場合は用いないこともある。
そして、木材155、155が取り付けられた第2制振装置3Bは、現場で上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた部位(空間)に、矩形フレーム137および木材155、155を、上下の構造材132、133および左右の構造材134、135の補強材156、156から離間するようにして配置されている。この状態において、第2制振装置3Bの木材155、155と、左右の構造材134、135の補強材156、156との間には若干の隙間が設けられており、この隙間に埋木157・・・が充填されている。埋木157は矩形フレーム137の上下方向の端部側と中央部側とにそれぞれ複数個充填されている。また、第2制振装置3Bは上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた部位(空間)の中央部に配置されている。
また、左右の構造材134、135には、矩形フレーム137が接合材158、158を介して剛接合されている。接合材158は帯板状の構造用合板で形成されており、その上下の長さは前記木材155や縦フレーム141の長さとほぼ等しくなっている。また、接合材158の幅は、前記木材155の、前記縦フレーム141に当接する面から、前記補強材156を超えて左構造材134または右構造材135の幅方向中央部までの距離とほぼ等しくなっている。
そして、一方の接合材158は一方の木材155と左の構造材134とに釘打ちや接着によって固着され、他方の接合材158は、他方の木材155と右の構造材135とに釘打ちや接着によって固着されており、これによって、左右の構造材134、135には、矩形フレーム137が接合材158、158を介して剛接合されている。
また、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた部位のうち、第2制振装置3Bおよび接合材158、158が設けられていない部位(空間)、すなわち第2制振装置3Bの上下にある空間には、面材160、160が配置されている。この面材160、160は構造用合板で形成されたものであり、その上下の長さは矩形フレーム137の横フレーム142、142と上下の構造材132、133との間の距離より所定長さ長くなっている。また、面材160の左右の長さは左右の構造材134、135間の距離とほぼ等しいか若干短くなっている。
そしてこのような面材160、160は、上下の構造材132、133および左右の構造材134、135に固定されている。すなわち、上側の面材160はその上縁部を上の構造材132に当接して接着や釘打ちによって固定するとともに、左右両縁部をそれぞれ左右の補強材156、156の上端部に当接して接着や釘打ちによって固定することによって構造材に固定されている。また、下側の面材160はその下縁部を下の構造材133に当接して接着や釘打ちによって固定するとともに、左右両縁部をそれぞれ左右の補強材156、156の下端部に当接して接着や釘打ちによって固定することによって構造材に固定されている。
さらに、前記接合材158、158間には構造用合板で形成された面材161が配置されており、この面材161は前記左右の木材155、155に接着や釘打ちによって固定されている。この面材161、前記接合材158、面材160、160の表面はほぼ面一となっており、これによって、この面一の面に外装材を取り付けることができる。
また、前記左右の構造材134、135の下端部には、金属製の柱脚プレート162の上端部が釘打ちによって固定されており、この柱脚プレート162の下端部は土台である下構造材133を超えて基礎5まで延出している。そして、この柱脚プレート162の下端部は、アンカーボルト164によって基礎5に固定されている。
上記のような第2制振装置3Bを躯体に取り付けるには、まず、図20(a)、(b)に示すように、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた部位に、第2制振装置3Bをその矩形フレーム137が上下の構造材132、133および左右の構造材134、135から離間するようにして配置する。この際、矩形フレーム137には、工場や現場で木材155、155を固定しておく。また、左右の構造材134、135の内側面には、それぞれ補強材156を固定しておく。
次に、図20(c)に示すように、左右の構造材134、135と、矩形フレーム137の木材155、155との間に埋木157、157を挿入して、矩形フレーム137が左右にずれないように確実に位置決めする。
その後、左右の構造材134、135に、矩形フレーム137の木材155、155を、接合材158、158を介して剛接合する。また、接合材158、158間には、面材161を配置して木材155、155に固定する。
さらに、図20(c)、(d)に示すように、第2制振装置3Bの上下にある空間には、面材160、160を配置し、上下の構造材132、133および左右の構造材134、135に固定することによって、第2制振装置3Bが配置されていない部位を補強する。
なお、前記埋木157はそのまま放置しておいてもよいし、取り出してもよい。また、面材161、接合材158、面材160、160は、建物1の外部側を向く面に取り付け、これらには最終的に外装材を取り付ける。また、建物1の内部側を向く面には、石膏ボード等を前記上下の構造材132、133や左右の構造材134、135に取り付ける。
このように、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた部位に、第2制振装置3Bをその矩形フレーム137が上下の構造材132、133および左右の構造材134、135から離間するようにして配置した後、左右の構造材134、135に、矩形フレーム137を接合材158、158を介して剛接合するので、第2制振装置3Bを躯体に容易に取り付けることができる。なお、このような第2制振装置3Bの取り付けは、建物1を新築する際に取り付けてもよいし、建物1をリフォームする際に取り付けてもよい。その場合、第2制振装置3Bは上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた部位に取り付けるので、その部分にある外装材等を取り外して行う。
第2制振装置3Bが取り付けられた建物1の躯体では、図18に示すように、まず、建物1に地震等の横揺れ振動によって変形が生じると、躯体の左右の構造材(柱)134、135がその下端部を支点として左右に変位する。これに伴い、第2制振装置3Bの矩形フレーム137の横フレーム142、142が左右にずれるようにして変位するとともに、縦フレーム141、141が横方向に傾斜することによって矩形状フレーム7が略平行四辺形状に変形する。
矩形フレーム137が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部138、138が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
一対の支持部138、138が変位することによって、図18に示すように、振り子部材145が一対の支持部138、138間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材145の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部138、138の変位が増幅される。
そして、振り子部材145の端部と制振ボックス146のプレート152とが連結されており、この連結プレート152は粘弾性体151、151間に挿入されかつ該一対の粘弾性体151、151に固着されているので、この粘弾性体151、151の変形を増幅できる。したがって、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、粘弾性体151、151の変形速度も建物1の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された粘弾性体を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
さらに、この第2制振装置3Bは、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記上下の構造材132、133と、左右の構造材134、135とで囲まれた部位に取り付けられて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
本発明の建物を示す斜視図である。 建物を構成する建物ユニットの骨組みを示す斜視図である。 第1制振装置を備えた建物ユニットの平面図である。 図3におけるA−A線に沿った縦断面図である。 本発明の第1の実施の形態における第2制振装置を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。 図5の要部を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。 揺動体が揺動した状態を示す正面図である。 揺動体がさらに揺動した状態を示す正面図である。 免震装置の設置状態を示す平面図である。 連結部材の配置部分を示す断面図である。 連結部材の配置部分を示す断面図である。 架台の配置部分を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態における第2制振装置を示す正面図である。 制振部材と振り子部材との連結部を示す斜視図である。 支持部と振り子部材を示す斜視図である。 第2制振装置を組み込んだ壁パネルを連設した状態を示す正面図である。 本発明の第3の実施の形態における第2制振装置を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。 振り子部材が振れた状態を示す正面図である。 制振ボックスを示す斜視図である。 第2制振装置の取付方法の一例を示す工程図である。
1 建物
2 第1制振装置
3 第2制振装置
3A 第2制振装置
3B 第2制振装置
4 免震装置

Claims (4)

  1. それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置と、免震性能を有する免震装置とが所定の位置に設けられた建物において、
    前記第1制振装置は、建物の上部に設置されており、
    前記第2制振装置は、建物の前記第1制振装置よりも下方に設置されており、
    前記免震装置は、建物と基礎との間に設置されており、
    前記第2制振装置は、上部構造部に固定されて、この上部構造部の下方に突出する上支持部と、下部構造部に固定されて、この下部構造部の上方に突出する下支持部と、前記上支持部および下支持部の双方に枢結される揺動体とを備え、
    前記揺動体は、前記上部構造部と下部構造部との間の中間部より上方または下方位置において、前記上支持部と下支持部との双方に枢結され、
    前記揺動体の前記上支持部と下支持部との枢結位置より、上方または下方位置において、前記揺動体と、前記上支持部または前記下支持部とが振動減衰手段を介して連結されており、
    前記下支持部と前記揺動体とは、当該下支持部に形成した穴に枢結軸を挿通することによって枢結されており、前記穴は上下に長い長穴となっていることを特徴とする建物。
  2. それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置と、免震性能を有する免震装置とが所定の位置に設けられた建物において、
    前記第1制振装置は、建物の上部に設置されており、
    前記第2制振装置は、建物の前記第1制振装置よりも下方に設置されており、
    前記免震装置は、建物と基礎との間に設置されており、
    前記第2制振装置は、建築用の壁パネルに形成された開口部内に取り付けられたフレームと、このフレームに対向して設けられた一対の支持部と、この一対の支持部によって支持されて、振動によって一対の支持部が変位した場合に、該一対の支持部間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材と、この振り子部材の端部と前記フレームとの間に設けられた制振部材とを備えており、
    前記フレーム内に前記振り子部材がその長手方向を前記フレームの長手方向に向けて配置されており、
    前記振り子部材に、一対の孔が前記振り子部材の長手方向と直交する方向に離間して形成されており、これら一対の孔のうち少なくとも一方は前記振り子部材の長手方向と直交する方向に長い長孔となっており、
    前記一対の支持部にはそれぞれ軸が設けられており、前記一対の孔にそれぞれ前記軸を前記振り子部材が回転可能となるように、かつ、長孔の長さ方向に摺動可能となるように挿通することによって、前記振り子部材が前記一対の支持部によって支持されていることを特徴とする建物。
  3. それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置と、免震性能を有する免震装置とが所定の位置に設けられた建物において、
    前記第1制振装置は、建物の上部に設置されており、
    前記第2制振装置は、建物の前記第1制振装置よりも下方に設置されており、
    前記免震装置は、建物と基礎との間に設置されており、
    前記第2制振装置は、上下に離間して配置された上下の構造材と、左右に離間して配置された左右の構造材とで囲まれた部位に取り付けられており、
    矩形枠状の矩形フレームと、この矩形フレームに対向して設けられた一対の支持部と、この一対の支持部間に配置され、かつ該一対の支持部によって支持された制振機構とを備え、
    前記制振機構は、前記一対の支持部によって支持されて、該一対の支持部が変位した場合に、該一対の支持部間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材と、この振り子部材の端部と前記矩形フレームとの間に設けられた制振部材とを備えており、
    前記矩形フレーム内に前記振り子部材がその長手方向を前記矩形フレームの長手方向に向けて配置されており、
    前記振り子部材に、一対の孔が前記振り子部材の長手方向と直交する方向に離間して形成されており、これら一対の孔のうち少なくとも一方は前記振り子部材の長手方向と直交する方向に長い長孔となっており、
    前記一対の支持部にはそれぞれ軸が設けられており、前記一対の孔にそれぞれ前記軸を前記振り子部材が回転可能となるように、かつ、長孔の長さ方向に摺動可能となるように挿通することによって、前記振り子部材が前記一対の支持部によって支持されていることを特徴とする建物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の建物において、
    前記第1制振装置は、建物の屋根裏空間において建物躯体に固定されるベースプレートと、前記ベースプレート上に複数の積層ゴムを介して取り付けられるウェイトとを備えており、
    揺れ等の振動が建物に作用することにより前記ウェイトは、前記ベースプレートに対して相対的に、振動と逆方向に変位する振動を行うことを特徴とする建物。
JP2005263903A 2005-09-12 2005-09-12 建物 Expired - Fee Related JP4824979B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005263903A JP4824979B2 (ja) 2005-09-12 2005-09-12 建物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005263903A JP4824979B2 (ja) 2005-09-12 2005-09-12 建物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007077606A JP2007077606A (ja) 2007-03-29
JP4824979B2 true JP4824979B2 (ja) 2011-11-30

Family

ID=37938198

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005263903A Expired - Fee Related JP4824979B2 (ja) 2005-09-12 2005-09-12 建物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4824979B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114775825B (zh) * 2022-05-20 2023-11-21 烟台大学 一种连杆式变形放大防屈曲支撑

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09228685A (ja) * 1996-02-21 1997-09-02 Shigenobu Furukawa 建造物の除震装置
JP2000297556A (ja) * 1999-04-14 2000-10-24 Daiwa House Ind Co Ltd 制振構造
JP2001073587A (ja) * 1999-09-07 2001-03-21 Wako:Kk 免震住宅
JP2001193190A (ja) * 2000-01-12 2001-07-17 Sekisui House Ltd 住宅制振方法
JP4030447B2 (ja) * 2003-03-12 2008-01-09 ミサワホーム株式会社 免震装置付きユニット式建物
JP4054729B2 (ja) * 2003-08-21 2008-03-05 ミサワホーム株式会社 制振装置付き居室ユニットおよびその居室ユニットを備えたユニット式建物
JP3954551B2 (ja) * 2003-09-10 2007-08-08 江戸川木材工業株式会社 制振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007077606A (ja) 2007-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4878142B2 (ja) 制振壁構造
JP2010261297A (ja) 連層壁を用いた制振構造
JP2007138606A (ja) 制振装置
JP4092340B2 (ja) 建物の制振構造
WO2007032300A1 (ja) 制振壁パネル
JP2019120050A (ja) 制震ユニット、制震装置および建物
JP4824979B2 (ja) 建物
JP5615599B2 (ja) 制振装置及び建物
JP4657067B2 (ja) 制振壁パネル
JP4630140B2 (ja) 制振装置の取付構造および取付方法
JP5596338B2 (ja) 木造建築物の補強金具及び木造建築物の補強方法
JP2007262691A (ja) すべり支承およびその取り付け方法ならびに免震構造物
JP2005133533A (ja) 制振壁
JP4969820B2 (ja) 制振パネルの設置構造
JP4796344B2 (ja) 制振装置および制振装置の取付方法
JP3230839B2 (ja) 建物ユニットの防振構造
JP4095607B2 (ja) 制振装置
JP2003247294A (ja) 遮音床構造
JP2007056623A (ja) ユニット式建物
JP4895672B2 (ja) 建物の制振構造および制振装置の設置方法
JP2007077605A (ja) 制振装置の取付構造
JP6950065B2 (ja) 制振装置
JP4878144B2 (ja) 制振壁の連結構造
JP4354390B2 (ja) 木質系住宅用の制振装置
JP2008138511A (ja) 建物の制振構造

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080122

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080219

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080730

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110906

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110909

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4824979

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140916

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees