JP4824979B2 - 建物 - Google Patents
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Description
これに対し、例えば上記のような制振構造が、比較的小さな振動を減衰できる構造に構成されていた場合、地震力の大きさによっては、上述のような比較的大きな振動を効果的に制振することができない場合があった。
したがって、上記従来の制振構造では、異なる大きさの振動に対して効果的に機能し難いという問題がある。
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3は、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置されており、
前記第2制振装置3は、上部構造部32に固定されて、この上部構造部32の下方に突出する上支持部34と、下部構造部33に固定されて、この下部構造部33の上方に突出する下支持部35と、前記上支持部34および下支持部35の双方に枢結される揺動体36とを備え、
前記揺動体36は、前記上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方または下方位置において、前記上支持部34と下支持部35との双方に枢結され、
前記揺動体36の前記上支持部34と下支持部35との枢結位置より、上方または下方位置において、前記揺動体36と、前記上支持部34または前記下支持部35とが振動減衰手段37を介して連結されており、
前記下支持部35と前記揺動体36とは、当該下支持部35に形成した穴に枢結軸41を挿通することによって枢結されており、前記穴は上下に長い長穴となっていることを特徴とする。
前記上部構造部32は、例えば、柱、梁によって構造部が構成されている場合、柱の上端部およびこれら上端部間に架設された梁、床等を含み、下部構造部33は、柱の下端部およびこれら下端部間に架設された梁、床等を含む。
前記振動減衰手段37としては、バネとダンパからなる制振部材、ゴム、オイルダンパー、粘弾性材料などが好適に使用され、さらには摩擦で震動を減衰させるものでもよい。
また、前記上支持部34、下支持部35、揺動体36等は、新築の建物に組み込んでもよいし、既設の建物にリフォームとして組み込んでもよい。
また、免震性能を有する前記免震装置4を建物1と基礎5との間に設置するので、基礎5から建物1へと伝わる震動を減衰して、建物1に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
また、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせるために、てこの原理を用いて建物1の変形を増幅して振動減衰手段37に伝達している。
すなわち、建物1に地震等の振動によって変形が生じると、この建物1の上部構造部32と下部構造部33とが左右に変位し、これに伴って上支持部34と下支持部35とが左右に変位する。上支持部34と下支持部35とが左右に変位することによって、揺動体36が、その二つの枢結位置間の中央部を中心として振り子のように揺動し、この揺動体36の端部は振れが増幅され、これによって、前記上部構造部32と下部構造部33との変位が増幅される。したがって、揺動体36と、上支持部34または下支持部35を連結している振動減衰手段37の変形を増幅できるので、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、この第2制振装置3は、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記上部構造部32および下部構造部33に固定設置されて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3Aは、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置されており、
前記第2制振装置3Aは、建築用の壁パネル122に形成された開口部126内に取り付けられたフレーム102と、このフレーム102に対向して設けられた一対の支持部103、103と、この一対の支持部103、103によって支持されて、振動によって一対の支持部103、103が変位した場合に、該一対の支持部103、103間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材104と、この振り子部材104の端部と前記フレーム102との間に設けられた制振部材105とを備えており、
前記フレーム102内に前記振り子部材104がその長手方向を前記フレーム102の長手方向に向けて配置されており、
前記振り子部材104に、一対の孔が前記振り子部材104の長手方向と直交する方向に離間して形成されており、これら一対の孔のうち少なくとも一方は前記振り子部材104の長手方向と直交する方向に長い長孔104aとなっており、
前記一対の支持部103、103にはそれぞれ軸110が設けられており、前記一対の孔にそれぞれ前記軸110を前記振り子部材104が回転可能となるように、かつ、長孔104aの長さ方向に摺動可能となるように挿通することによって、前記振り子部材104が前記一対の支持部103、103によって支持されていることを特徴とする。
また、制振部材105としては、バネとダンパからなる制振部材、ゴム、オイルダンパー、粘弾性材料などが好適に使用され、さらには摩擦で震動を減衰させるものでもよい。
また、上記のような第2制振装置3Aが取り付けられてなる壁パネル122は、新築の建物の壁として組み込んでもよいし、既設の建物の壁をリフォームする際に組み込んでもよい。
また、免震性能を有する前記免震装置4を建物1と基礎5との間に設置するので、基礎5から建物1へと伝わる震動を減衰して、建物1に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
また、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせるために、てこ機構を用いて建物1の変形を増幅して制振部材105に伝達している。
すなわち、建物1に地震等の振動によって変形が生じると、この建物1を構成する壁パネル122の一対の支持部103、103がフレーム102を介して変位する。一対の支持部103、103が変位することによって、振り子部材104が一対の支持部103、103間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材104の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部103、103の変位が増幅される。したがって、振り子部材104の端部とフレーム102との間に設けられている制振部材105の変形を増幅できるので、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、制振部材105の変形速度も建物1の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する制振部材(例えば粘弾性材料など)を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
また、この第2制振装置3Aが取り付けられた壁パネル122は、予め工場等で製造しておくことができるので、現場ではこの壁パネル122を設置することによって、建物1に第2制振装置3Aを容易に導入することができ、現場での施工が簡単となる。
さらに、壁パネル122は建物1の所望の位置に設置できるので、地震の際にもっとも揺れるような箇所に壁パネル122を設置でき、よって、第2制振装置3Aを容易かつ確実にしかも効果的に建物1に導入できる。
そして、この第2制振装置3Aは、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記壁パネル122に形成された開口部126内に取り付けられて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3Bは、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置されており、
前記第2制振装置3Bは、上下に離間して配置された上下の構造材132、133と、左右に離間して配置された左右の構造材134、135とで囲まれた部位に取り付けられており、
矩形枠状の矩形フレーム137と、この矩形フレーム137に対向して設けられた一対の支持部138、138と、この一対の支持部138、138間に配置され、かつ該一対の支持部138、138によって支持された制振機構140とを備え、
前記制振機構140は、前記一対の支持部138、138によって支持されて、該一対の支持部138、138が変位した場合に、該一対の支持部138、138間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材145と、この振り子部材145の端部と前記矩形フレーム137との間に設けられた制振部材151とを備えており、
前記矩形フレーム137内に前記振り子部材145がその長手方向を前記矩形フレーム137の長手方向に向けて配置されており、
前記振り子部材145に、一対の孔が前記振り子部材145の長手方向と直交する方向に離間して形成されており、これら一対の孔のうち少なくとも一方は前記振り子部材145の長手方向と直交する方向に長い長孔となっており、
前記一対の支持部138、138にはそれぞれ軸147が設けられており、前記一対の孔にそれぞれ前記軸147を前記振り子部材145が回転可能となるように、かつ、長孔の長さ方向に摺動可能となるように挿通することによって、前記振り子部材145が前記一対の支持部138、138によって支持されていることを特徴とする。
また、上下の構造材132、133としては、例えば、梁や土台等が挙げられるが、これに限るものでなく、床、基礎5、屋根等でもよい。また、構造材132、133は木造、鉄骨、鉄筋コンクリート等どのような構造のものでもよい。
左右の構造材134、135としては、例えば、柱が挙げられるが、これに限ることなく、壁や、ツーバイフォー工法における縦枠でもよい。また、構造材134、135は木造、鉄骨、鉄筋コンクリート等どのような構造のものでもよい。
また、免震性能を有する前記免震装置4を建物1と基礎5との間に設置するので、基礎5から建物1へと伝わる震動を減衰して、建物1に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
また、躯体に地震等の振動によって変形が生じると、この躯体の上下の構造材132、133または左右の構造材134、135から第2制振装置3Bの矩形フレーム137を介して、一対の支持部138、138が変位する。一対の支持部138、138が変位することによって、振り子部材145が一対の支持部138、138間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材145の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部138、138の変位が増幅される。したがって、振り子部材145の端部と矩形フレーム137との間に設けられている制振部材151の変形を増幅できるので、建物躯体の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、矩形フレーム137の縦横の長さが、上下の構造材132、133間、左右の構造材134、135間より短いので、これらによって囲まれた部位に矩形フレーム137をそのまま配置したうえで、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135のうちのいずれか一方の構造材に、矩形フレーム137を剛接合することによって、上下の構造材132、133間や左右の構造材134、135間の距離が変更されても、この第2制振装置3Bを設計変更する必要なく容易に躯体に取り付けることができるとともに、制振機能を確実に発揮できる。
さらに、この第2制振装置3Bは、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記上下の構造材132、133と、左右の構造材134、135とで囲まれた部位に取り付けられて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
前記第1制振装置2は、建物1の屋根裏空間15において建物躯体に固定されるベースプレート27と、前記ベースプレート27上に複数の積層ゴム28を介して取り付けられるウェイト29とを備えており、
揺れ等の振動が建物1に作用することにより前記ウェイト29は、前記ベースプレート27に対して相対的に、振動と逆方向に変位する振動を行うことを特徴とする。
また、免震性能を有する前記免震装置を建物と基礎との間に設置するので、基礎から建物へと伝わる震動を減衰して、建物に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
本実施の形態の建物1は、図1に示すように、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3と、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられたものであり、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3は、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置されている。
また、2本の長辺上梁8a間には複数本の天井小梁10が所定間隔で架けわたされ、2本の長辺下梁9a間には複数本の根太11が所定間隔で架けわたされている。さらに、図1に示すように前記上梁8と下梁9との間には間柱12が設けられている。
そして、前記骨組み6aには、床面材、天井面材13(図4参照)、内壁、外壁14(図4参照)や、所定の設備物等が予め工場で取り付けられて、所定の建物ユニット6が完成されている。
この際、前記第1制振装置2は建物1の屋根裏空間15に設けられており、さらに詳しくは、図3に示すように、建物ユニット6の天井裏空間16と、屋根ユニット17の屋根裏空間15とで構成される制振装置設置空間18に配置されている。
2本の小梁19間には、一方(図4中左側)の長辺上梁8a寄りに、当該長辺上梁8aと平行となった1本の支持部材である短寸小梁20が架設されている。この短寸小梁20も溝形状鋼材で形成され、その上面は、長辺上梁8aおよび小梁19の上面とはほぼ同じ高さとなっている。
また、2本の小梁19には、図3に示すように、ブラケット23が、それぞれ2個ずつ所定間隔で固定されている。
これらのブラケット23は断面L字状に形成されており、互いに対向して設けられているとともに、副小梁21の長手方向の側面に直交して設けられている。そして、ブラケット23の上面と、副小梁21の上面とは同じ高さとなっている。
そして、この屋根裏空間15と前記天井裏空間16とで、上述のように、第1制振装置2が設置される制振装置設置空間18が構成されている。
揺れ等の振動が建物1に作用することにより前記ウェイト29は、前記ベースプレート27に対して相対的に、振動と逆方向に変位する振動を行うようになっている。
この積層ゴム28は、前記ウェイト29の荷重を支持するものであり、積層ゴム28のゴム層は、水平応力が加えられたときに水平方向に変形し、ウェイト29の水平方向の変位(振動)を許容するものである。
ここで、いずれかの前記建物ユニット6には、前記第1制振装置2が2本の副小梁21で支持されるとともに、4個のブラケット23に固定されて、予め工場で取り付けられている。
前記揺動体36は、前記上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方または下方位置において、前記上支持部34と下支持部35との双方に枢結され、
前記揺動体36の前記上支持部34と下支持部35との枢結位置より、上方または下方位置において、前記揺動体36と、前記上支持部34または前記下支持部35とが振動減衰手段37を介して連結されている。
下支持部35は、複数の鉄製のフレーム35aによって略二等辺三角形状の枠体を形成し、この枠体の両面に構造用合板で形成された面材35b、35bを取り付けてなるものである。このような下支持部35の下辺部を構成するフレーム35aが前記フレーム40の上面に固定されることによって、下支持部35がフレーム40を介して下部構造部33に固定されている。
また、下支持部35の上下の長さは、前記上支持部34の上下の長さより長くなっており、下支持部35の厚さも上支持部34の厚さより厚くなっている。下支持部35は、鉄製のフレーム35aで形成された枠体の両面に、構造用合板で形成された面材35b、35bを取り付けた板状ものであるので、非常に剛性が高いものとなっている。
すなわち、揺動体36は、2枚の揺動板36a、36aによって構成されている。揺動板36a、36aはそれぞれ縦長の六角形板状の鉄板で形成されたものであり、これら揺動板36a、36aは、平行離間して対向している。揺動板36a、36aは上支持部34を、それと所定の隙間をもって挟むようにして配置されており、これら揺動板36a、36aの下端部には、枢結軸41が挿通されている。
一方、前記下支持部35の上端部のフレーム35aには、連結部材42の下面が固定されており、この連結部材42は揺動板36a、36a間に挿入されている。そして、この連結部材42には、前記枢結軸41が挿通されており、この枢結軸41を軸として揺動体36が回転可能となっている。なお、枢結軸41を挿通する穴は上下に長い長穴となっており、これによって、揺動体36が揺動した際の枢結軸41の若干の上方向への移動を逃がしている。
また、揺動板36a、36aの下端部には、枢結軸43が前記枢結軸41より上方位置において挿通されている。一方、前記上支持部34の下端部には、前記枢結軸43が挿通されており、この枢結軸43を軸として揺動体36が回転可能となっている。また、上支持部34と前記揺動板36a、36aとの間には、スペーサ44、44が介装されており、これらスペーサ44、44にも前記枢結軸43が挿通されている。このスペーサ44、44は揺動板36a、36aの間隔を所定長さに保持するためのものである。
上記のようにして揺動体36は、上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方位置において、上支持部34と下支持部35との双方に枢結されている。
すなわち揺動体36は上支持部34側に延出しており、この延出している延出部分が前記他方の支持部34に上部構造部2の近傍で前記振動減衰手段を介して連結されている。
前記揺動板36a、36aの上部裏面、つまり上部の対向する面には、それぞれプレート45、45がボルト46、46によって取り付けられており、このプレート45、45には、四角形板状の粘弾性体(振動減衰手段)37、37が加硫接着または接着剤によって固着されている。
また、上支持部34にはプレート48、48がボルト49、49によって固定されており、このプレート48、48に前記粘弾性体37、37が加硫接着または接着剤によって固着されている。
このようなスペーサ52・・・とボルト51によって揺動板36a、36aはその間隔が一定に保持され、これによって前記粘弾性体37、37の厚さが一定に保持されるようになっている。
枢結軸43、41が左右に変位することによって、揺動体36が、その二つの枢結位置(枢結軸43、41の位置)間の中央部を中心として振り子のように揺動し、この揺動体36の端部は振れが増幅されて変位し(変位量L2)、これによって、前記上部構造部32と下部構造部33との変位が増幅される。
したがって、揺動体36と、上支持部34とを連結している粘弾性体(振動減衰手段)37の変形を増幅できるので、骨組み6aの小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。図7に示すものでは、層間変位がL1の場合、粘弾性体37の変位量はL2と大きくなり、約195%変位が増幅された。また、図8に示すものでは、層間変位がL3の場合、粘弾性体37の変位量はL4と大きくなり、約257%変位が増幅された。
また、前記枢結軸43、41間の距離や、枢結軸43と粘弾性体37との間の距離を調整することによって、同じ粘弾性体37を使用しながらも、変位の増幅量を容易に調整することができる。
さらに、粘弾性体37の変形速度も骨組み6aの変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性体37によって、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
また、スペーサ52・・・とボルト51によって揺動板36a、36aはその間隔が一定に保持され、これによって前記粘弾性体37、37の厚さが一定に保持されるようになっているので、粘弾性体37、37が変形する際に、その厚さが一定に保持され、薄くなったり、厚くなったりしないので、確実に地震力によるエネルギーを吸収できる。
さらに、下支持部35が上支持部34より上下の長さが長くなっているので、下支持部35の先端部(上端部)と上支持部34の先端部(下端部)とは、上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方位置に位置する。したがって、下支持部11の先端部と上支持部34の先端部とに揺動体36を枢結することによって、揺動体36を、上部構造部32と下部構造部33との間の中間部より上方において、上支持部34と下支持部35との双方に確実に枢結することができる。
また、下支持部35は建築用の構造パネルで形成されており、上支持部34より厚くなっているので、下支持部35の剛性を上支持部34より大きくすることができる。したがって、剛性が大きい下支持部35に揺動体36を枢結することによって、下部構造部33の変位を揺動体36に確実に伝達することができる。
さらに揺動体36の延出部分が、剛性の高い建物1の主要構造部である上部構造部32の近傍で、上支持部34に振動減衰手段37を介して連結されているので、地震力による変形をなるべく受けない位置で地震力を吸収する機能を発揮できる。
前記免震装置4は、建物1に所定以上の水平方向の地震力が加わった場合に、その揺れを減衰させるものである。免震装置4は、基礎5に設けられたアンカーボルト58により固定されている。
また、前記建物ユニット6の骨組み6aにおける柱7の下端面および下梁9の底面によって、前記連結部材55、56および架台57が取り付けられる底面部59が形成されている。
連結部材55は、基礎5の外周に沿って設けられかつ基礎5の角部でない箇所に設けられた各免震装置4上に、それぞれ配設されている。連結部材55は、複数の建物ユニット6のうち、隣接する二つの建物ユニット6の底面間にまたがって配置され、該建物ユニット6同士を連結している。
連結部材56は、基礎5の略中央に配置された免震装置4の上に配置されている。連結部材56は、六つの隣接した建物ユニット6の柱7の直下に、該建物ユニット6の底面間にまたがって配置され、該建物ユニット6を連結している。
前記架台57は、基礎5の角部に設けられた各免震装置4の上に、それぞれ設けられている。架台57は、その上方に配置された建物ユニット6と連結されている。
上面部60には、二つのガイドピン69と図示しない複数の孔が設けられている。ガイドピン69は、連結する建物ユニット6の位置決めに用いられる位置決め部材であり、上面部60から略垂直方向に突設されている。上面部60に複数穿設された孔には、建物ユニット6と連結する際に、連結具63が挿通されるようになっている。
底面部61には、免震支承62との連結の際に、連結具65が挿通される孔(図示せず)が穿設されている。
この図に示すように、ダンパ74は、本体79と、上部皿80と、油圧タンク81とを備えている。本体79内部には、ピストン82が設けられており、このピストン82の先端が本体79上部に突出している。本体79の上方には、上部皿80が設けられており、上部皿80は、本体79に向って凹状に開口した湾曲部83を備えている。この湾曲部83には、ピストン82の先端が当接している。湾曲部83とは反対側の面である上面部77は、連結部材56の底面部76と連結される面である。油圧タンク81は、管84を介して、本体79と接続されている。油圧タンク81の内部には、粘性を有する流体が封入されている。建物1に地震力が加えられたとき、凹状の湾曲部83に沿って摺動するピストン82は、この流体によって、緩やかに上下動して、その地震力を吸収する。本体79および油圧タンク81は、それぞれ基礎5のアンカーボルト58により固定されている。
このような構成から、ダンパ74は、建物1の横方向の揺れに応じて本体79に設けられたピストン82が湾曲部83を摺動しながら上下動し、内部に封入された流体の粘性で横方向の移動エネルギを吸収する。
この図に示すように、固定装置75は、本体85と、上部皿86と、センサ部87とを備えている。本体85上部には、固定ピン88が突設されている。本体85の上方には、上部皿86が配置されており、この上部皿86の本体85に対向する面には、凹部89が形成されている。この凹部89には、固定ピン88の先端が当接し、上部皿86の横方向の動きを抑えている。凹部89が形成された面とは反対側の上部皿86の面には、上面部78が形成されている。センサ部87は、管90を介して、本体85と接続されている。このセンサ部87は、横方向の震動を感知するためのものであり、所定以上の震動を検出すると、固定ピン88のロックを解除する。これら本体85およびセンサ部87はそれぞれ、基礎5に設けられたアンカーボルト58により固定されている。
ここで、固定ピン88のロックは、風等による横方向の力では、解除されないものとする。更に詳述すれば、固定ピン88のロックが解除されるのは、震度5弱以上の地震力が加わった場合とする。しかしながら、この固定ピン88のロックの範囲は、適宜決めてよい。
上面部72には、複数のガイドピン91および図示しない孔が設けられている。ガイドピン91は、連結する六つの建物ユニット6の相互位置を決める位置決め部材であり、上面部72から略垂直方向に突設されている。孔は、連結具73が挿通する孔であり、複数穿設されている。
底面部76には、図示しない孔が複数設けられており、これらの孔に免震装置4との連結に用いられる連結具93が挿通する。
上面部94には、ガイドピン99と図示しない複数の孔が設けられている。ガイドピン99は、架台57の上に配置される建物ユニット6を位置決めする位置決め部材であり、上面部94から略垂直方向に突設されている。孔は、連結具96が挿通するための孔である。
底面部95には、図示しない複数の孔が穿設されており、この孔は、架台57と免震支承62の上面部64とを連結する連結具97が挿通する孔である。
そして、これら連結部材55、56および免震装置4は、建物ユニット6において強度の強い柱7の直下に配置されるので、配置された建物ユニット6の安定化を図ることができ、延いては、建物1全体に対する地震力の影響を低減できる。
しかも、他の建物ユニット6に隣接していない柱7の直下にも架台57を介して免震装置4が設けられるので、一階部53を構成する建物ユニット6における全ての柱7の直下に、免震装置4が設けられることとなり、従って、建物ユニット6の安定した配置が図れるほか、免震効率の向上を図ることが可能となる。
また、免震性能を有する前記免震装置4を建物1と基礎5との間に設置するので、基礎5から建物1へと伝わる震動を減衰して、建物1に対する地震力の影響を低減することができる。
したがって、風や交通振動等を始め、振幅や周期が比較的小さい地震の振動、振幅や周期が比較的大きい地震の振動等の異なる大きさの振動に対して、効果的に制振および免震することが可能となる。
図13〜図16は本発明の建物1の第2の実施の形態を示すものである。
本実施の形態における建物1は、上述の第1の実施の形態と同様に、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3Aと、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられたものであり、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3Aは、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置された状態となっている。
なお、前記制振部材116は、前記フレーム102に前記振り子部材104の端部に対向して取り付けられた箱状のボックス115内に取り付けられた一対の制振ゴム116、116で構成されているものである。
一対の縦フレーム106、106は平行離間して配置されており、それぞれ帯板状の取付板106aと、この取付板106aに直角に立設された帯板状の立設板106bとから構成され、断面T字状に形成されている。
取付板106aは壁パネルに形成された矩形状の開口部の内周面に取り付けられるものであり、その外側を向く面は前記開口部の内周面に当接固定される固定面106cとされている。また、取付板106aには、図示しないビス孔が上下に所定で2列形成されている。そして、取付板106aは、その固定面106cを開口部の内周面に当接固定したうえで、ビス孔にビスを通して開口部の内周面にねじ込むことによって、該内周面に取り付けられるようになっている。
また、立設板106bには、上下に所定間隔で孔が複数形成されている。これら孔は、立設板106bに支持部103をボルト106dによって取り付ける際に使用される孔である。
また、一対の支持板103a、103aの上下に沿う辺部間には、前記立設板106bが挿入されている。そして、一対の支持板103a、103aの上下に沿う辺部と、前記立設板106bとにはそれぞれ孔が上下に所定間隔で複数形形されており、これら孔に、図13に示すように、ボルト106dが挿通され、この挿通されたボルト106dにナットを螺合して締め付けることによって、立設板6dに一対の支持板103a、103a、すなわち支持部103が設けられている。
すなわち、振り子部材104は板状でかつ略菱形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材104の中央部の左半分は、一方の支持部103の支持板103a、103a間に挟まれており、右半分は他方の支持部103の支持板103a、103a間に挟まれている。
また、一方の支持部103の支持板103a、103aの頂部には孔が形成されており、他方の支持部103の支持板103a、103aの頂部にも孔が形成されている。一方、振り子部材104の中央部には、左右に離間して孔が形成されており、これら孔のうち左側の孔104aは左右に長い長孔となっている。
そして、一方の支持部の支持板103a、103aに形成された孔と、振り子部材104の中央部に形成された一方の長孔104aとには、軸110が振り子部材104を回転可能とするように、かつ、長穴の長さ方向に摺動可能となるように挿通されている。この軸110は例えば先端部にねじ部を有するボルト110で形成されており、このボルト110は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト110にはナットが螺合されている。
また、他方の支持部の支持板103a、103aに形成された孔と、振り子部材104の中央部に形成された他方の孔とには、軸110が振り子部材104を回転可能とするように挿通されている。この軸110も先端部にねじ部を有するボルト110で形成されており、このボルト110は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト110にはナットが螺合されている。
これによって、振り子部材104は、一対の支持部103、103によって軸110、110を介して支持されており、この振り子部材104は、震動によって一対の支持部103、103が変位した場合に、該一対の支持部103、103間の略中央部、言い換えれば、軸110、110間の中央部を中心として振れるように構成されている。
すなわち、図14に示すように、制振ボックス105は、フレーム102の横フレーム107に設けられた設置部109に取り付けられる箱状のボックス115と、このボックス115内に取り付けられた一対の制振ゴム(制振部材)116、116と、これら制振ゴム116、116間に挿入されかつ該一対の制振ゴム116、116に固着されたプレート117とを備えている。
ボックス115は、対向する一対の側板115a、115aと、該側板115a、115aの両端部間にそれぞれ配置され、該側板115a、115aに取り外し可能に対向して取り付けられた一対の端板115b、115bとから構成されている。一対の側板115a、115aの両端部には穴が形成されており、一対の端板115b、115bの側端面には、ボルト孔が形成されている。そして、これら孔とボルト孔を合わせたうえで、孔にボルト118を挿入してボルト孔に螺合して締め付けることによって、側板115a、115aと端板115b、115bとがボックス状に組み立てられており、ボルト118を取り外すことによって、側板115a、115aから端板115b、115bを取り外せるようになっている。また、端板115bにはそれぞれ4つのボルト孔(図示せず)が形成されている。
プレート117の一端部(上端部)は、ボックス115より上方に突出しており、この突出している一端部には、3つの孔(図示せず)が形成されている。
このフレーム102を構成する一対の縦フレーム106、106の取付板106a、6aの外側を向く面が固定面106cとされており、この固定面106cが開口部126の縦方向に沿う内周面に当接固定され、取付板106a、106aにビスを通して開口部の縦方向に沿う内周面にねじ込むことによって、該縦フレーム106、106が縦方向に沿う内周面に取り付けられている。
同様に、フレーム102を構成する一対の横レーム7、7の取付板107a、107aの外側を向く面が固定面107cとされており、この固定面107cが開口部126の横縦方向に沿う内周面に当接固定され、取付板107a、107aにビスを通して開口部の縦方向に沿う内周面にねじ込むことによって、該横フレーム107、107が横方向に沿う内周面に取り付けられている。
このようにして、壁パネル122の開口部126に第2制振装置3Aが組み込まれている。
フレーム102が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部103、103が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
一対の支持部103、103が変位することによって、振り子部材104が一対の支持部103、103間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材104の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部103、103の変位が増幅される。
そして、振り子部材104の端部と制振ボックス105のプレート117とが連結されており、この連結プレート117は制振ゴム116、116間に挿入されかつ該一対の制振ゴム116、116に固着されているので、この制振ゴム116、116の変形を増幅できる。したがって、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、制振ゴム116、116の変形速度も建物1の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された制振ゴムを用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
また、建物1を構成する複数の壁パネルのうちの所望の壁パネルを、第2制振装置3Aが組み込まれた壁パネル122と交換することによって、制振構造を容易かつ確実にしかも効果的に建物1に導入できる。つまり、地震の際にもっとも揺れるような箇所にある壁部分に第2制振装置3Aを容易に導入できる。
さらに、第2制振装置3Aが取り付けられた壁パネル122は、予め工場等で製造しておくことができるので、現場ではこの壁パネル122を設置することによって、建物1に制振構造を容易に導入することができ、現場での施工が簡単となる。
図17〜図20は本発明の建物1の第3の実施の形態を示すものである。
本実施の形態における建物1は、上述の第1および第2の実施の形態と同様に、それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置2、3Bと、免震性能を有する免震装置4とが所定の位置に設けられたものであり、
前記第1制振装置2は、建物1の上部に設置されており、
前記第2制振装置3Bは、建物1の前記第1制振装置2よりも下方に設置されており、
前記免震装置4は、建物1と基礎5との間に設置された状態となっている。
ここで、前記第1制振装置2および免震装置4は、上述した第1の実施の形態における第1制振装置2および免震装置4と同様の構成となっているので説明を省くこととする。
したがって、矩形フレーム137は左右方向に力が作用すると平行四辺形を形成するようにして変形可能となっている。なお、縦フレーム141、横フレーム142は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
また、縦フレーム141は、矩形フレーム137の外周面を構成する帯板状の外周板部141aと、この外周板部141aの内面に直角に形成されて、前記支持部138が取り付けられる帯板状の内側板部141bとから構成され、断面T字状に形成されている。
横フレーム142は、矩形フレーム137の外周面を構成する帯板状の外周板部142aと、この外周板部142aの両端部の内面にそれぞれ直角に形成されて、前記縦フレーム141の内側板部141bの端部にピン結合される内側板部142b、142bとを備えており、内側板部142b、142bには後述する制振ボックス146が取り付けられるようになっている。
さらに、矩形フレーム137の厚さは、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで構成される矩形状の壁構成部分の厚さより薄くなっている。
したがって、第2制振装置3Bの矩形フレーム137は、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた空間内に納まる、つまり、上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで構成される矩形状の壁構成部分の内部に組み込むことができるようになっている。
支持部138は長方形板状の2枚の支持板138a、138aによって構成されており、支持板138a、138aの一方の側部は、前記内側板部141bを挟むようにして該内側板部141bに固定されている。支持板138a、138a間には所定の間隔が設けられており、該2枚の支持板138a、138a間には、前記制振機構140を構成する振り子部材145の中央部が挿入されて支持されるようになっている。
振り子部材145は板状でかつ、縦長の八角形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材145の中央部の左半分は、一方の支持部138の支持板138a、138a間に挟まれており、右半分は他方の支持部138の支持板138a、138a間に挟まれている。なお、振り子部材145は鉄やアルミニウム等の金属によって形成されている。
前記一対の支持部138、138の先端部によって振り子部材145の長手方向中央部が支持されており、この振り子部材145は、地震等の振動によって矩形フレーム137が変形して一対の支持部138、138が変位した場合に、該一対の支持部138、138間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
この軸147は例えば先端部にねじ部を有するボルト147で形成されており、このボルト147は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト147にはナットが螺合されている。
また、他方の支持部138の支持板138a、138aに形成された孔と、振り子部材145の中央部に形成された他方の孔とには、軸147が振り子部材145を回転可能とするように挿通されている。この軸147も先端部にねじ部を有するボルト147で形成されており、このボルト147は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト147にはナットが螺合されている。
これによって、振り子部材145は、一対の支持部138、138によって軸147、17を介して支持されており、この振り子部材145は、地震等の振動によって一対の支持部138、138が変位した場合に、該一対の支持部138、138間の略中央部、言い換えれば、軸147、147間の中央部を中心として振れるように構成されている。
ボックス150の対向する内面にはそれぞれ粘弾性体151、151が接着剤等によって固着されている。これら粘弾性体151、151間には、プレート152が挿入されており、該プレート152の表面は前記粘弾性体151、151に固着されている。プレート152の一端部は、ボックス150より突出しており、この突出している一端部は、振り子部材145の端部に連結されている。
また、前記ボックス150の端面には、取付プレート150a、150aが突出形成されている。そして、制振ボックス146は、ボックス150を横フレーム142の外周板部142aに設置したうえで、ボックス150の取付プレート150a、150aを内側板部142b、142bにボルトによって連結することによって横フレーム142の略中央部に取り付けられている。
なお、制振ボックス146のボックス150、プレート152等は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
すなわちまず、図17(a)、(b)に示すように、第2制振装置3Bの矩形フレーム137を構成する縦フレーム141の外周板部141aには、工場等によって予め木材155が固定されている。この木材155は縦フレーム141と等しい長さの角材であり、外周板部141aに接着や釘打ち等によって固定されている。
一方、躯体を構成する左右の構造材134、135の内側面には補強材156が接着や釘打ち等によって固定されている。この補強材156は木材で形成された角材であり、上下の長さは左右の構造材(柱)134、135より若干短くなっている。なお、この補強材156は柱径が細い場合の補強のために用いるものであり、柱径が太く補強の必要がない場合は用いないこともある。
そして、木材155、155が取り付けられた第2制振装置3Bは、現場で上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた部位(空間)に、矩形フレーム137および木材155、155を、上下の構造材132、133および左右の構造材134、135の補強材156、156から離間するようにして配置されている。この状態において、第2制振装置3Bの木材155、155と、左右の構造材134、135の補強材156、156との間には若干の隙間が設けられており、この隙間に埋木157・・・が充填されている。埋木157は矩形フレーム137の上下方向の端部側と中央部側とにそれぞれ複数個充填されている。また、第2制振装置3Bは上下の構造材132、133と左右の構造材134、135とで囲まれた部位(空間)の中央部に配置されている。
そして、一方の接合材158は一方の木材155と左の構造材134とに釘打ちや接着によって固着され、他方の接合材158は、他方の木材155と右の構造材135とに釘打ちや接着によって固着されており、これによって、左右の構造材134、135には、矩形フレーム137が接合材158、158を介して剛接合されている。
そしてこのような面材160、160は、上下の構造材132、133および左右の構造材134、135に固定されている。すなわち、上側の面材160はその上縁部を上の構造材132に当接して接着や釘打ちによって固定するとともに、左右両縁部をそれぞれ左右の補強材156、156の上端部に当接して接着や釘打ちによって固定することによって構造材に固定されている。また、下側の面材160はその下縁部を下の構造材133に当接して接着や釘打ちによって固定するとともに、左右両縁部をそれぞれ左右の補強材156、156の下端部に当接して接着や釘打ちによって固定することによって構造材に固定されている。
さらに、前記接合材158、158間には構造用合板で形成された面材161が配置されており、この面材161は前記左右の木材155、155に接着や釘打ちによって固定されている。この面材161、前記接合材158、面材160、160の表面はほぼ面一となっており、これによって、この面一の面に外装材を取り付けることができる。
さらに、図20(c)、(d)に示すように、第2制振装置3Bの上下にある空間には、面材160、160を配置し、上下の構造材132、133および左右の構造材134、135に固定することによって、第2制振装置3Bが配置されていない部位を補強する。
なお、前記埋木157はそのまま放置しておいてもよいし、取り出してもよい。また、面材161、接合材158、面材160、160は、建物1の外部側を向く面に取り付け、これらには最終的に外装材を取り付ける。また、建物1の内部側を向く面には、石膏ボード等を前記上下の構造材132、133や左右の構造材134、135に取り付ける。
矩形フレーム137が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部138、138が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
一対の支持部138、138が変位することによって、図18に示すように、振り子部材145が一対の支持部138、138間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材145の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部138、138の変位が増幅される。
そして、振り子部材145の端部と制振ボックス146のプレート152とが連結されており、この連結プレート152は粘弾性体151、151間に挿入されかつ該一対の粘弾性体151、151に固着されているので、この粘弾性体151、151の変形を増幅できる。したがって、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、粘弾性体151、151の変形速度も建物1の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された粘弾性体を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
さらに、この第2制振装置3Bは、前記第1制振装置2よりも下方の位置において前記上下の構造材132、133と、左右の構造材134、135とで囲まれた部位に取り付けられて、第1制振装置2とは異なる制振性能を発揮することができるので、地震や風、交通振動等の異なる大きさの振動に対して効果的に制振することが可能となる。
2 第1制振装置
3 第2制振装置
3A 第2制振装置
3B 第2制振装置
4 免震装置
Claims (4)
- それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置と、免震性能を有する免震装置とが所定の位置に設けられた建物において、
前記第1制振装置は、建物の上部に設置されており、
前記第2制振装置は、建物の前記第1制振装置よりも下方に設置されており、
前記免震装置は、建物と基礎との間に設置されており、
前記第2制振装置は、上部構造部に固定されて、この上部構造部の下方に突出する上支持部と、下部構造部に固定されて、この下部構造部の上方に突出する下支持部と、前記上支持部および下支持部の双方に枢結される揺動体とを備え、
前記揺動体は、前記上部構造部と下部構造部との間の中間部より上方または下方位置において、前記上支持部と下支持部との双方に枢結され、
前記揺動体の前記上支持部と下支持部との枢結位置より、上方または下方位置において、前記揺動体と、前記上支持部または前記下支持部とが振動減衰手段を介して連結されており、
前記下支持部と前記揺動体とは、当該下支持部に形成した穴に枢結軸を挿通することによって枢結されており、前記穴は上下に長い長穴となっていることを特徴とする建物。 - それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置と、免震性能を有する免震装置とが所定の位置に設けられた建物において、
前記第1制振装置は、建物の上部に設置されており、
前記第2制振装置は、建物の前記第1制振装置よりも下方に設置されており、
前記免震装置は、建物と基礎との間に設置されており、
前記第2制振装置は、建築用の壁パネルに形成された開口部内に取り付けられたフレームと、このフレームに対向して設けられた一対の支持部と、この一対の支持部によって支持されて、振動によって一対の支持部が変位した場合に、該一対の支持部間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材と、この振り子部材の端部と前記フレームとの間に設けられた制振部材とを備えており、
前記フレーム内に前記振り子部材がその長手方向を前記フレームの長手方向に向けて配置されており、
前記振り子部材に、一対の孔が前記振り子部材の長手方向と直交する方向に離間して形成されており、これら一対の孔のうち少なくとも一方は前記振り子部材の長手方向と直交する方向に長い長孔となっており、
前記一対の支持部にはそれぞれ軸が設けられており、前記一対の孔にそれぞれ前記軸を前記振り子部材が回転可能となるように、かつ、長孔の長さ方向に摺動可能となるように挿通することによって、前記振り子部材が前記一対の支持部によって支持されていることを特徴とする建物。 - それぞれ異なる制振性能を有する第1および第2制振装置と、免震性能を有する免震装置とが所定の位置に設けられた建物において、
前記第1制振装置は、建物の上部に設置されており、
前記第2制振装置は、建物の前記第1制振装置よりも下方に設置されており、
前記免震装置は、建物と基礎との間に設置されており、
前記第2制振装置は、上下に離間して配置された上下の構造材と、左右に離間して配置された左右の構造材とで囲まれた部位に取り付けられており、
矩形枠状の矩形フレームと、この矩形フレームに対向して設けられた一対の支持部と、この一対の支持部間に配置され、かつ該一対の支持部によって支持された制振機構とを備え、
前記制振機構は、前記一対の支持部によって支持されて、該一対の支持部が変位した場合に、該一対の支持部間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材と、この振り子部材の端部と前記矩形フレームとの間に設けられた制振部材とを備えており、
前記矩形フレーム内に前記振り子部材がその長手方向を前記矩形フレームの長手方向に向けて配置されており、
前記振り子部材に、一対の孔が前記振り子部材の長手方向と直交する方向に離間して形成されており、これら一対の孔のうち少なくとも一方は前記振り子部材の長手方向と直交する方向に長い長孔となっており、
前記一対の支持部にはそれぞれ軸が設けられており、前記一対の孔にそれぞれ前記軸を前記振り子部材が回転可能となるように、かつ、長孔の長さ方向に摺動可能となるように挿通することによって、前記振り子部材が前記一対の支持部によって支持されていることを特徴とする建物。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の建物において、
前記第1制振装置は、建物の屋根裏空間において建物躯体に固定されるベースプレートと、前記ベースプレート上に複数の積層ゴムを介して取り付けられるウェイトとを備えており、
揺れ等の振動が建物に作用することにより前記ウェイトは、前記ベースプレートに対して相対的に、振動と逆方向に変位する振動を行うことを特徴とする建物。
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