JP2015007340A - 振動抑制吊構造 - Google Patents
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Abstract
Description
また、被吊下物の振動時に吊ロッドの揺動が大きくなると、吊ロッド、若しくは、その吊ロッドの周囲を覆う部材が揺動規制具の規制筒と当接することにより、その揺動が抑制される。つまり、各規制筒は、連結壁によって相互に剛的に連結されているために、吊ロッドの揺動には追従せず、吊ロッド、若しくは、その吊ロッドの周囲を覆う部材と当接して当該吊ロッドの揺動を規制することになる。そして、揺動規制具は、複数の吊ロッドの各外周部を取り囲む複数の規制筒と、その複数の規制筒同士を剛的に連結する連結壁と、を備えた簡単な構造であることから、隣接する吊ロッド間に障害物が存在する場合にも大きなスペースを占有することなく容易に設置することができる。
この場合、複数の規制筒を剛的に連結する連結壁が、規制筒の上下方向の中央よりも下方領域で略水平に延出していることから、吊ロッド間の上方側に梁等の障害物が存在しても、その障害物を避けての設置が可能になる。
この場合、被吊下物の振動時に、揺動規制具に上方に突き上げるような荷重が入力されても、規制筒の上方変位は規制手段によって規制されることになる。
この場合、被吊下物の下方荷重が吊ロッドに入力されると、その荷重は第1の弾性部材を介して吊ロッドの上部から第2の連結部材に入力される。第2の連結部材に入力された荷重は、ガイド面を介して第1の連結部材に入力され、第1の連結部材を介して支持体に支持される。また、被吊下物の振動時に、吊ロッドが上下方向に振動すると、その振動は吊ロッドと第2の連結部材の間の第1の弾性部材と、第1の連結部材と第2の連結部材の間の第2の弾性部材とによって減衰される。また、被吊下物の振動時に、連結具内のガイド面を支持部として吊ロッドの上部が揺動すると、その振動は第2の弾性部材によって減衰される。
特に、この発明においては、複数の吊ロッドの各外周部を取り囲む複数の規制筒と、その複数の規制筒同士を剛的に連結する連結壁と、を備えた揺動規制具が設けられているため、被吊下物の振動時に吊ロッドの揺動を速やかに収束させることができる。そして、この発明の場合、連結具に入力される吊ロッドの過大な揺動荷重を揺動規制具に分散させて受け止めることができるため、連結具に作用する負荷を低減することができる。
図1〜図3に示すように、この実施形態の振動抑制吊構造1は、支持体の一形態である建造物の天井スラブ2に、被吊下物の一形態である空調設備等の吊設備機器7を吊下げ支持するものであり、地震発生時等における吊設備機器7の振動を抑制する機能を備えている。
吊設備機器7は、例えば長方体状をなし、その上面8を略水平にして天井スラブ2の下方に設置される。吊設備機器7の上面8の側方には、略水平な外向きのフランジ9が設けられている。吊設備機器7の平面視(上面視)の四隅と、長尺な二辺の中途部の各一箇所(計6箇所)には、吊ロッドの一形態である吊ボルト5の下端が固定されている。吊ボルト5は、軸方向の全域の外周面にねじ山が形成されており、その下端が吊設備機器7のフランジ9を貫通した状態で当該フランジ9に締結固定されている。なお、図1中符号4は、天井スラブ2の下面3よりも下方に突出するように建造物に設置された梁である。
図4〜図6に示すように、連結具15は、アンカーボルト13とナット13aを介して天井スラブ2に固定される第1の連結部材16と、吊ボルト5の上部を支持するとともに、第1の連結部材16に揺動、及び、上下動可能に連結される第2の連結部材17と、吊ボルト5の上部が第1の連結部材16に対して相対変位するときに、その相対変位に伴う運動エネルギーを減衰するエネルギー吸収部である第1の弾性部材28及び第2の弾性部材19と、を備えている。この実施形態においては、第1の連結部材16と第2の連結部材17が支持体(天井スラブ2)に対する吊ボルト5の相対変位を許容する変位許容部を構成している。
第2の連結部材17の内周壁部34の上部には、後に詳述するように吊ボルト5の上端部が吊り下げ支持されるようになっている。このため、吊ボルト5に作用する吊設備機器7の荷重は、第2の連結部材17のガイド面40と第1の連結部材16の係合板部24(挿通孔24aの上面側の縁部)との当接部を介して第1の連結部材16に入力され、その入力された荷重がアンカーボルト13を介して天井スラブ2に支持される。
なお、この実施形態では、ナット27が吊ボルト5の上部の被支持部を構成し、内周壁部34の上端面が第2の連結部材17上の支持部を構成している。また、この実施形態では、第2の連結部材17の内周壁部34の上端面や、第1の連結部材16の係合板部24の上面等が吊ボルト5の下方荷重を支持する座を構成している。
第2の弾性部材19は、第2の連結部材17の外周壁部33の外周面と、第1の連結部材16の下部円筒部23aの内周面に接着等によって固定されている。外周壁部33と下部円筒部23aとの間で第2の弾性部材19が伸縮変形やせん断変形することにより、吊ボルト5の揺動や上下振動を減衰することができる。
揺動規制具50は、複数の吊ボルト5の各外周部を取り囲む複数の規制筒51と、複数の規制筒51同士を剛的に連結する連結壁52と、を備えている。この実施形態の場合、規制筒51と連結壁52は鋼材等の金属材料によって形成されている。規制筒51は、その内径が補強パイプ42の外径よりも所定寸法大きく形成されており、各吊ボルト5と補強パイプ42の外側を所定隙間をもって取り囲むように配置される。
図2に示すように、平面視で四隅に配置される継手材53は、規制筒51を挟む略直角な二方にそれぞれ継手片が延出する形状とされ、平面視で長辺の中途部に配置される継手材53は、規制筒51を挟む相反方向の二方にそれぞれ継手片が延出する形状とされている。なお、図面において、平面視で四隅に配置される継手材53には、符号53Aを付し、平面視で長辺の中途部に配置される継手材53には、符号53Bを付してある。
各梁材54は、図7に示すように断面コ状に形成されている。また、継手材53は、各継手片の断面が、梁材54の断面に対応するように略コ字状、若しくは、H状に形成されている。
また、この振動抑制吊構造1では、連結具15内での吊ボルト5の上部の上下方向や揺動方向の相対変位に伴う運動エネルギーが、第1の弾性部材28や第2の弾性部材19によって吸収されるため、吊設備機器7の振動を速やかに抑制することができる。
特に、この実施形態の場合、揺動規制具50の連結壁52が、規制筒51の下端の近傍(上下方向の中央よりも下方領域)で略水平方向に延出しているため、例えば、図1に示すように、吊ボルト5間の上方側に梁4等の障害物が張り出している場合であっても、その障害物を避けて何等問題なく設置することができる。
次に、図12〜図14に示す第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
この実施形態の振動抑制吊構造1は、基本的な構成は第1の実施形態とほぼ同様であるが、各吊ボルト5に対する規制筒51の軸方向の相対変位を規制する規制手段の構成が第1の実施形態のものと異なっている。
即ち、この実施形態では、規制筒51の下端は吊設備機器7のフランジ9の上面にそのまま載置し、補強パイプ42の上部の規制筒51の上端部からの突出領域に、規制筒51の上端面に摺動可能に当接する樹脂クリップ60が取り付けられている。この実施形態の場合、樹脂クリップ60が規制手段を構成している。
また、この発明で対象とする被吊下物は、空調設備等の設備機器に限定されるものではなく、設備機器以外の機器や吊り下げ式のフロア、天井、配管等であっても良い。
2…天井スラブ(支持体)
5…吊ボルト(吊ロッド)
7…吊設備機器(被吊下物)
15…連結具
16…第1の連結部材
17…第2の連結部材
19…第2の弾性部材(エネルギー吸収部)
24…係合板部(座)
27…ナット(被支持部)
28…第1の弾性部材(エネルギー吸収部)
34…内周壁部(支持部,座)
40…ガイド面(座)
50…揺動規制具
51…規制筒
52…連結壁
59a,59b…ナット(固定手段)
60…樹脂クリップ(規制手段)
Claims (4)
- 支持体に複数の吊ロッドで吊り下げられた被吊下物の振動を抑制する振動抑制吊構造において、
下端に前記被吊下物が取り付けられる前記複数の吊ロッドと、
前記複数の吊ロッドの各上部を前記支持体に連結する複数の連結具と、
前記複数の吊ロッドの過大な揺動変位を規制する揺動規制具と、を備え、
前記連結具は、前記支持体に対する前記吊ロッドの上部の揺動方向及び上下方向の相対変位を許容する変位許容部と、前記吊ロッドの下方荷重を支持する座と、前記吊ロッドの上部の相対変位時に、その相対変位に伴う運動エネルギーを減衰するエネルギー吸収部と、を備え、
前記揺動規制具は、前記複数の吊ロッドの各外周部を取り囲む複数の規制筒と、前記複数の規制筒同士を剛的に連結する連結壁と、を備えていることを特徴とする振動抑制吊構造。 - 前記連結壁は、前記規制筒の上下方向の中央よりも下方領域で略水平に延出しているいることを特徴とする請求項1に記載の振動抑制吊構造。
- 前記規制筒と前記吊ロッドの間には、前記吊ロッドに対する前記規制筒の軸方向の相対変位を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の振動抑制吊構造。
- 前記変位許容部は、前記支持体に取り付けられる第1の連結部材と、前記吊ロッドの上部を吊下げ支持するとともに、前記第1の連結部材に相対変位可能に連結される第2の連結部材と、を備え、
前記第1の連結部材と前記第2の連結部材のうちの一方の部材には、他方の部材に揺動可能に摺接する湾曲状のガイド面が設けられ、
前記第2の連結部材には、前記吊ロッドの上部が上方変位可能に吊り下げ支持され、
前記吊ロッドの上部の被支持部と前記第2の連結部材上の支持部の間には、前記エネルギー吸収部である第1の弾性部材が設けられ、
前記第1の連結部材と前記第2の連結部材の間には、前記エネルギー吸収部である第2の弾性部材が介装されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動抑制吊構造。
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