JP2021113234A - N−メチル−n−ニトロソ化合物を使用したオレフィンのシクロプロパン化のためのプロセス - Google Patents

N−メチル−n−ニトロソ化合物を使用したオレフィンのシクロプロパン化のためのプロセス Download PDF

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Abstract

【課題】基質上の炭素−炭素二重結合をシクロプロパン環に変換するプロセスであって、方法が、基質をN−アルキル−N−ニトロソ化合物、遷移金属触媒および水性塩基で処理する工程を含む。【解決手段】ここで、一塩基または二塩基酸またはそれらの混合物の存在下で、アルキルアミンをアルカリ金属亜硝酸塩と反応させることによりN−アルキル−N−ニトロソ化合物を形成し、ここで、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を、基質、触媒および塩基と混合する前に蒸留しない、前記プロセス。【選択図】なし

Description

本開示は、アルケンをシクロプロパン化する方法に関する。
炭素−炭素二重結合のシクロプロパン環への変換は、有機化合物の合成に一般的に用いられる化学変換である。実験室規模でのシクロプロパン化は、ジアゾ化合物、例えばジアゾメタン(DAM)、および典型的には銅またはパラジウム錯体を含む遷移金属触媒を活用して一般的に行われる。DAMなどのジアゾ化合物は、N−アルキル−N−ニトロソ化合物、より具体的にはN−メチル−N−ニトロソ化合物(MNC)から、さらにより具体的には一般式R(N(NO)Me)xを有するMNCで調製する。かかるプロセスを工業的に有用にするために、これらの有毒物質の取り扱いに伴う危険を避けるために、MNCおよびDAMの両方をin-situで形成し、単離せずにさらに反応させることが非常に望ましい。かかるプロセスはWO 2015059290に記載されており、ここでは、N−アルキル−N−ニトロソ化合物は、アミンHNRR’、水、NaNOおよび酸の混合物から液相において生成される。N−アルキル−N−ニトロソ化合物が一旦形成されると、相分離を容易にするために有機溶媒を添加することができる。N−アルキル−N−ニトロソ化合物は、その目的のために提供される有機溶媒に分配される。二相混合物が形成され、相分離工程において有機相を水相から分離することができる。その後、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を含有する有機相を、最初にその純粋な形態で単離することなく、アルケン基質に添加する。N−アルキル−N−ニトロソ化合物は有機溶媒中に存在するので、アルケン基質を含む反応容器中にきれいかつ簡単に移すことができる。
特に適切なN−アルキル−N−ニトロソ化合物は、酸の存在下でニトロソ化することによりメチルアミンメシチルオキシド付加物から調製することができるN−ニトロソ−β−メチルアミノイソブチルメチルケトンNMK(「Liquizald」と呼ばれることもある)である。
Figure 2021113234
NMKは、E.C.S.JonesおよびJ.Kenner(JCS 363,1933)によって最初に調製され、塩基の存在下でジアゾメタンの調製に使用された。HCl(>1モル当量)の存在下でニトロソ化(2モル当量のNaNOで)を行い、有機相からの抽出後にNMKを蒸留した。塩基の存在下でのNMKの分解は、DAMを与え、これを安息香酸のメチレン化のために使用する前に蒸留した。
NMKはまた、2.5モル当量の酢酸およびNaNO(2.35モル当量)を水相中で使用することで、メチルアミンメシチルオキシド付加物をニトロソ化することによって調製された。粗NMKの塩基で処理は、DAMを与え、これを酸のメチル化のために使用する前にもう一度蒸留した(D.W.Adamson、J.Kenner JCS1553 (1937))。
同一の方法は、NMKの調製のために、メシチルオキシド1モル当たり、より少ない酢酸(HOAc)(1.7モル当量)およびNaNO(1.7モル当量)を用いて、後にC.E.Redemann, F.O.Rice, R.RobertsおよびH.P.Ward(Org.Synth.Coll.Vol.3, 244, 1955)によって使用された。粗NMKを塩基で処理し、DAMを蒸留した。DAMのさらなる誘導体化に関する言及がなされたが、DAMとの二重結合の遷移金属触媒メチレン化は当時知られていなかった。
これらの先行技術文献から、NMKおよびDAMは、酢酸の存在下でニトロソ化によってメチルアミンメシチルオキシド付加物から効率的に生成することができるが、NMKおよび/またはDAMは、その後の反応で使用される前に蒸留によって精製および単離されていたと結論付けることができる。実際に、DAMが生成されるとすぐに酢酸のメチル化が起こるので、NMKおよび/またはDAMを酢酸から分離するために蒸留が必要であると考えられた。換言すれば、酢酸は、任意のメチル化反応において競合基質であり、したがって任意の望ましいメチレン化生成物の収率を低下させるであろう。DAMと酢酸との反応は、当該技術分野において十分に裏付けられており、例えばWO 0147869を参照されたい。
NMKから形成されたジアゾメタンでのアルケンの遷移金属触媒メチレン化は、WO 2013110932に記載されている。この文献において、NMKは、メチルアミンメシチルオキシド付加物のニトロソ化によって、三塩基酸、特にHPOの存在下で形成される。三塩基酸は、NMK中の酸混入を減少させ、または排除さえするので、酢酸と比較して好ましい。有機NMK相の相分離後、この手順は60〜80%の水性HPO廃液を生成し、そして、反応の副生成物として生成されるリン酸ナトリウム塩は、水相中で飽和に近いという事実、および高レベルの塩飽和は、NMKの水相における溶解度を低下させ、NMKの高収率およびきれいな分離を確実にするという事実によって、相分離が改善されることが強調される。三塩基酸の使用は、先行技術の方法を用いて製造することができるものよりも、より安価なプロセスおよびより清浄な(酸性化されていない)生成物をもたらすことが強調される。事実、WO 2013110932における比較実験は、三塩基酸HPOまたは一塩基酢酸のいずれを使用するかどうかにかかわらず、NMKの収率は類似しているが、後者の場合、NMK生成物は有意な量のHOAc(6.4%w/w)が混入していることを示しており、このことは、基質をメチル化するために、最初にNMKを蒸留によって精製することなく、NMKを使用して続いてDAMを生成することが適切ではないことを示唆する。
WO 2013110932に記載された方法の使用、例えば、1,1−二置換アルケンのPd(OAc)触媒シクロプロパン化のためのジアゾメタンを生成するために、HPOでの酸性化を使用したNMKの調製が、Markus Baenziger(31th International Conference, Organic Process Research and Development、2014年9月29日〜10月1日、ケルン、ドイツ)によって記載されている。
WO 2015059290は、触媒、基質、水性塩基およびNMKからなる二相性反応混合物中で直接的に(窒素スパージングを伴わずに)ジアゾメタンを生成する末端一置換アルケンの効率的なPd(acac)触媒シクロプロパン化を開示する。例7に記載されるように、酸性化のためにHPOを使用して、WO 2013110932に記載されるようにNMKを調製した。
しかしながら、工業的に拡張可能なプロセスとしての潜在性を評価する目的で、この経路を調査した際、出願人は、HPOなどの三塩基酸を使用したNMK(およびさらに生じる、任意のN−アルキル−N−ニトロソ化合物)を生成すること、これを分解して、NMKまたはDAMのいずれかの精製または単離を行わずに、in-situでDAMを形成すること、およびアルケン基質とDAMを反応させ、その基質をシクロプロパン化することが、再現性の低い反応をもたらすことを見出した。
出願人は、特定の理論に縛られるつもりはないが、再現性の悪さは、その原因として、NMK形成中にNMKとDAMの両方を汚染する可能性のある高濃度の亜硝酸ガスの生成をもたらし、シクロプロパン化工程で使用される触媒を害する可能性があると信じている。
この経験的観察に加えて、HPOの比較的高い価格、限られたリン資源の将来の供給に関連する持続可能性の問題、および反応からのリン廃棄物の発生(特に化学量論量のHPOを使用する場合)から、出願人は先行技術の示唆に反して、三塩基性酸、特にHPOの使用は、実行可能で、工業的に拡張可能な経路ではないと結論付けた。
先行技術の欠点に対処し、安全で費用効果が高く、工業的な量の生成物を高収率で確実に製造できるアルケン官能基をシクロプロパン化する方法を提供する必要がある。
本開示は、第1の側面において、基質上の炭素−炭素二重結合をシクロプロパン環に変換する方法であって、方法が、基質をN−アルキル−N−ニトロソ化合物、遷移金属触媒および水性塩基で処理する工程を含み、ここで、N−アルキル−N−ニトロソ化合物は、アルキルアミンおよびNaNOを一塩基または二塩基酸または前記酸の混合物、より具体的には酢酸などの一塩基カルボン酸または硫酸などの二塩基無機酸の存在下で反応させることによって形成され、ここで、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を、この混合物においてシクロプロパン化の目的のために、基質、触媒および塩基と混合する前に蒸留しない、前記方法を提供する。
発明の詳細な説明
炭素−炭素二重結合のシクロプロパン環への変換において、N−アルキル−N−ニトロソ化合物の調製、およびその後の精製または単離なしでのその使用は、当該技術分野において知られているが、N−アルキル−N−ニトロソ化合物の調製に用いられる酸が、一塩基カルボン酸、より具体的には酢酸などの、メチル化され得る酸である場合、当該技術分野においてこれを行うことへ明らかな偏見がある。
したがって、本出願人は、驚くべきことに、シクロプロパン化反応が進行して、シクロプロパン化生成物を工業的規模で、確実に高収率で製造することを見出した。さらに、これらの酸の使用は、HPOなどの三塩基酸の使用に比べて比較的安価である。さらに、当該反応は、生物圏におけるカルボン酸の生成および分解による持続可能性の観点から有利である。
本発明を実施において、好ましい一または二塩基の酸は、硫酸、または直鎖状、分枝状または環状であり得、飽和であってもよく、または飽和を含有してもよく、官能基で置換されていてもいなくてもよいC〜C20カルボン酸などの一または二塩基カルボン酸である。もちろん、経済性に関する理由のために、ギ酸、酢酸またはプロピオン酸、最も好ましくは酢酸のような低分子量の安価なカルボン酸を使用することが好ましい。C〜C20モノ−、ビス−、トリ−およびポリ酸、ならびにカルボン酸の混合物、またはカルボン酸および二塩基硫酸などの無機酸の混合物、または一および二塩基の無機酸の混合物もまた選択肢である。
本発明の特定の態様において、カルボン酸、例えば酢酸と、より強力な(すなわち、より低いpKa)有機酸および無機酸との混合物を、N−アルキル−N−ニトロソ化合物の形成に用いることができる。典型的な溶液は、前記カルボン酸中、前記のより強力な酸の5〜50%溶液、より具体的には5〜20%が好ましい、を含むことができ、これは、カルボン酸中のより強力な酸のより高いレベルが、N−アルキル−N−ニトロソ化合物の相分離、収率および純度へ弊害をもたらし、ならびに、上述のとおり、後続のシクロプロパン化工程における触媒を害し得る高レベルの亜酸化ガスを生成するからである。これに対する例外は、ニトロソ化反応における酸性化試薬としてのHSOの使用であると思われる。HCl、HNOおよびメチルスルホン酸などの他の強酸とは対照的に、HSOはカルボン酸なしで使用することができるが、酢酸と組み合わせて、0.1〜1.5当量、より好ましくは0.5〜1当量で用いることもできる。
文献からは、好まれる三塩基酸、特にHPOの代わりに、一または二塩基酸、特に酢酸を用いた場合、N−アルキル−N−ニトロソ化合物および最終的なシクロプロパン化された基質の両方の収率が実質的に減少することを予想するので、これらの発見は非常に驚くべきことであった。事実、本出願人は、酸性化工程において酢酸または他の一および二塩基酸、またはHPOを使用するかに関わらず、シクロプロパン化生成物の収率が同程度であることを見出した。上述のとおり、HPOの使用は、一定の利点を有し得るが、出願人は、亜酸化ガスの発生は、負の役割を果たし得ると考えており、酢酸を使用した場合には、HPOの使用と比較して、より低いレベルの亜酸化ガスが観測された。HPOを使用して酸性化を行ったプロセスと比較して、酢酸での酸性化の場合、N−アルキル−N−ニトロソ化合物の茶色がかった着色がより少なく、窒素廃棄物流における茶色い蒸気がより少ないという観測に基づき、より少ない亜酸化ガスが生成された。
WO 2015059290に開示されているN−アルキル−N−ニトロソ化合物のいずれも、本発明に用いることができる。N−アルキル−N−ニトロソ化合物は、アルキルアミン、アルキルアミド、アルキルウレタンまたはアルキル尿素HNRR’を酸およびNaNOなどの亜硝酸アルカリ金属と反応させる先行技術の方法に従って製造することができる。アルキルアミンは、市販されている物質であってもよく、または脂肪族アミンHNRを、脂肪族アミンと反応するα,β−不飽和ケトンなどの適切な出発物質と反応させることによって形成してもよい。調製方法は、WO 2015059290に記載されている。特に好ましいN−アルキル−N−ニトロソ化合物は、N−ニトロソ−β−メチルアミノイソブチルメチルケトン(NMK)である。この特定の材料は、メチルアミンをα,β−不飽和ケトン−メシチルオキシドと反応させてメチルアミンメシチルオキシド付加物(上記のHNRR’に相当)を形成する場合に、調製することができる。そして、付加物は、さらにNaNOおよび酸と反応し、NMKを提供する。NMKを形成する方法は、WO 2013110932に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
N−アルキル−N−ニトロソ化合物を生成するための反応は、二相混合物中で行うことができる。反応が完了する前、間または後に、アルキル−N−ニトロソ化合物の溶媒である有機溶媒を添加することができ、粗N−アルキル−N−ニトロソ化合物を含有する有機層を分離することができ、その後のシクロプロパン化反応において、例えば蒸留によるさらなる精製をすることなく、使用することができる。しかしながら、任意に、ジアゾメタンの遊離を防止するために、さらなる酸性化が起こらないか、またはいずれの塩基化もpHを中程度の塩基度、例えば7〜8.5よりも上のレベルに上昇させない限り、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を含有する有機層を、当該技術分野で公知の水性洗浄手順、例えば、塩溶液による洗浄で洗浄してもよい。かかる洗浄手順は、理想的には、亜硝酸塩ガス、痕跡量の酸、例えば酢酸、および他の不純物を除去する。さらなる任意の手順において、不活性ガス(例えば窒素)を使用して有機層に脱ガス手順を施して痕跡量の亜硝酸ガスを除去してもよい。
シクロプロパン化反応は、有機相がN−アルキル−N−ニトロソ化合物の溶媒である二相混合物中で行われる。適切な溶媒には、エーテルおよびトルエン、より具体的にはテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサンおよびジメチルイソソルビドが含まれる。第1の工程において、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を含有する有機相を、変換すべき基質、水性塩基および触媒を含有する混合物に添加する。水性塩基は、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を分解してジアゾアルカンを形成し、これは触媒の存在下で炭素−炭素二重結合をシクロプロピル基に変換する。シクロプロパン化反応が完了すると、混合物を相分離し、標的シクロプロパン化化合物を含む有機相が得られる。
本明細書に記載の方法は、流動反応器中で流動条件下で実施することができる。フロー化学を実施するための方法および装置は、当該技術分野において周知であり、本明細書においてさらに詳述する必要はない。
シクロプロパン化方法の詳細、ならびに用いられる試薬、溶媒および反応条件および後処理条件は、WO 2015059290に記載されており、これはこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
本発明において有用な触媒は、遷移金属触媒、より具体的にはパラジウム触媒、さらにより具体的にはパラジウム触媒、Pd(acac)、Pd(OAc)またはPdClである。
あらゆる二重結合含有基質を本発明の方法に従って変換して、あらゆる種類の有用かつ望ましいシクロプロパン化標的化合物を形成することができる。フレグランス、化粧品およびフレーバー用途に特に有用である、好適な二重結合含有基質および標的シクロプロパン化化合物は、WO 2015059290に記載されており、これはこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
特定の基質は、末端(すなわち、一置換された)アルケンを含む。より具体的には、一般式
Figure 2021113234
式中、RおよびRは、独立して、H、分枝状または非分枝状であり、置換または非置換である、アルキル、アルキリデン、またはアリールを表すことができ;Rは、分枝状または非分枝状であり得、置換または非置換であり得る、アルキル、アルキリデン、またはアリールであり得る、
で表される化合物。
さらにより具体的には、基質は、アルファまたはベータファルネセンなどのイソプレノイドであり得る。
本発明の方法によって形成され得る標的化合物には、式
Figure 2021113234
式中、n=0、1、2または3
の化合物が含まれる。
特定の態様において、標的化合物は、
Figure 2021113234
である。
他の特定の態様において、標的化合物は、
Figure 2021113234
である。
本発明による標的化合物は、香料において有用な成分である化合物の有用な前駆体である。
次に、本発明をさらに説明するために一連の実施例が続く。

H−NMR:報告したNMRスペクトルは、別段の記載がない限り400MHzでCDCl中で測定した。化学シフトは、TMSからダウンフィールドのppmで報告する。Liquizaldの定量は、d−DMSO中の既知の純度を有する内部標準(アニスアルデヒド)を用いて行った。さらに、信号の完全な緩和を保証するために、緩和時間d1を56sに設定した。
例1
カルボン酸の存在下でのニトロソ化による(N−メチル−N−ニトロソ)−4−アミノ−4−メチル−2−ペンタノン(NMK)の調製
Figure 2021113234
外部冷却および撹拌下、5〜15℃で、メシチルオキシド(10g、0.1mol)をメチルアミン(水中40%、8.3g、0.11mol)に15分間かけて滴下する。結果として得られたオレンジ色の溶液を室温で1時間撹拌し、10℃に冷却し、ギ酸(98%、8.4g、0.18mol)を10〜20℃で15分間かけて滴下する。次に、水(21g)中の亜硝酸ナトリウム(8.85g、0.125mol)の30%溶液を10〜15℃で10分間かけて滴下する。二相性混合物を攪拌しながら室温で一晩(16時間)放置する。相分離(1時間)後、主に(N−メチル−N−ニトロソ)−4−アミノ−4−メチル−2−ペンタノン(NMK)からなる有機層15.25g(メシチルオキシドに基づいて68%)が得られ、内部標準のH−NMRによる純度は72%であった。
以下の表は、異なるカルボン酸を使用するこの手順の変形からの結果を示す:
Figure 2021113234
条件:上述のとおり、メチルアミン/メシチル付加物へのカルボン酸の添加、続いてNaNO添加、および相分離。a)内部標準アニスアルデヒドを用いたH−NMRによる純度の測定。b)反応混合物の茶色の着色、反応表面上および排気管内の茶色の蒸気。c)有機相の量および純度に基づく。
例2
酢酸およびより強力な酸の存在下でのニトロソ化による(N−メチル−N−ニトロソ)−4−アミノ−4−メチル−2−ペンタノン(NMK)の調製
Figure 2021113234
外部冷却および攪拌下、5〜15℃で、メシチルオキシド(10g、0.1mol)をメチルアミン(水中40%、8.5g、0.11mol)に15分間かけて滴下する。結果として得られたオレンジ色の溶液を室温で1時間撹拌し、10℃に冷却し、酢酸(100%、10g、0.1mol)を10〜20℃で15分間かけて滴下して加える。次に、水(21g)中の亜硝酸ナトリウム(8.85g、0.125mol)の30%溶液を10〜15℃で10分間かけて滴下する。二相性混合物を攪拌しながら室温で一晩(16時間)放置する。相分離(1時間)後、主に(N−メチル−N−ニトロソ)−4−アミノ−4−メチル−2−ペンタノン(NMK)からなる有機層14.25g(メシチルオキシドに対して62%)が得られ、内部標準のH−NMRによる純度は70%であった。
以下の表は、異なる強酸と組み合わせた酢酸を使用するこの手順の変形からの結果を示す。
Figure 2021113234
条件:上述のとおり、メチルアミン/メシチル付加物への純粋な酢酸(およびより強力な酸)の添加、続いてNaNO添加、および相分離。a)内部標準アニスアルデヒドを用いたH−NMRによる純度の測定。b)反応混合物の茶色の着色、反応表面上および排気管内の茶色の蒸気。c)酢酸中に溶解したより強力な酸。d)JCS 363, 1933に記載の方法。e)有機相の量および純度に基づく。
例3
HOAcの存在下でニトロソ化することにより製造された(N−メチル−N−ニトロソ)−4−アミノ−4−メチル−2−ペンタノン(NMK)によるジアゾメタンシクロプロパン化
Figure 2021113234
外部冷却および攪拌下、5〜15℃で、メシチルオキシド(68.8g、0.7mol)をメチルアミン(水中40%、58.1g、0.75mol)に1時間かけて滴下する。結果として得られたオレンジ色の溶液を室温で1時間撹拌する。水(140ml)およびトルエン(70ml)を添加し、続いて10〜20℃で1時間かけて酢酸(100%、115g、1.9mol)を滴下する。次いで、水(116g)中の亜硝酸ナトリウム(49.8g、0.7mol)の30%溶液を20〜25℃で60分間かけて滴下する。二相性混合物を攪拌しながら室温で一晩(16時間)放置する。相分離(1時間)後、主に(N−メチル−N−ニトロソ)−4−アミノ−4−メチル−2−ペンタノン(NMK)からなる有機層155.23gが得られ、焼結管を通して窒素で1時間フラッシュし、不透明な有機相を透明な溶液に変える。
Pd(acac)(0.1g、0.33mmol)をトルエン(150ml)中のE−β−ファルネセン98%(51.5g、0.25mol)の溶液に加え、続いて水(208.5g)中のKOH(49.9g、0.76mol)を強く撹拌しながら加える。(N−メチル−N−ニトロソ)−4−アミノ−4−メチル−2−ペンタノン層(155.2g)を25℃で2時間かけて添加する。GCは0.5時間後にE−β−ファルネセン(4%)、Δ−E−β−ファルネセン(88%)、およびΔ2−E−β−ファルネセン(8%)を示す。17時間後(同じGCプロファイル)、相を分離する。水相をトルエン(100ml)で洗浄し、有機相を水(250ml)、酢酸(250g)、水(250ml)、10%NaOH(250ml)および水(2×250ml)で洗浄する。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、63.6gの粗Δ−E−β−ファルネセンを得、これをフラッシュ蒸留により精製し、0.73gのE−β−ファルネセン(0.5%)、48.12gのΔ−E−β−ファルネセン(89%)および3.1gのΔ2−E−β−ファルネセン(5%)を得、これらの分析データは、WO 2015059290に記載されたものと同一である。
Figure 2021113234
以下の表は、異なる量の触媒および/または二塩基酸HSOを使用するこの手順の変形からの結果を示す。
Figure 2021113234
条件:25℃でのシクロプロパン化。a)ファルネセンに基づく、モル当量またはmol%。b)短経路蒸留後、E−Δ1−ファルネセンの純度で補正。n.d.=未測定。

Claims (10)

  1. 基質上の炭素−炭素二重結合をシクロプロパン環に変換するプロセスであって、方法が、基質をN−アルキル−N−ニトロソ化合物、遷移金属触媒および水性塩基で処理する工程を含み、ここで、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を、一塩基または二塩基酸またはそれらの混合物の存在下で、アルキルアミンをアルカリ金属亜硝酸塩と反応させことにより形成し、ここで、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を、基質、触媒および塩基と混合する前に、蒸留しない、前記プロセス。
  2. 酸が、一または二塩基カルボン酸、または硫酸である、請求項1に記載のプロセス。
  3. 酸が、ギ酸、酢酸または硫酸である、請求項1または2に記載のプロセス。
  4. 酸が、一または二塩基カルボン酸、および前記カルボン酸よりも低いpKaを有する有機または無機酸の混合物である、請求項1または2に記載のプロセス。
  5. 酸が、酢酸および硫酸の混合物である、請求項4に記載のプロセス。
  6. N−アルキル−N−ニトロソ化合物がNMKである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 基質が、一般式
    Figure 2021113234
    式中、RおよびRは、独立して、H、分枝状または非分枝状であり、置換または非置換である、アルキル、アルキリデン、またはアリールを表すことができ;Rは、分枝状または非分枝状であり得、置換または非置換であり得る、アルキル、アルキリデン、またはアリールであり得る、
    で表される化合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 基質がイソプレノイド、より具体的にはアルファファルネセンまたはベータファルネセンである、請求項7に記載のプロセス。

  9. Figure 2021113234
    式中、n=0、1、2または3
    の化合物を形成する、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。

  10. Figure 2021113234
    の化合物を形成する、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。

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