JP2021113138A - 窒化ケイ素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】窒化ケイ素粗粉から未反応シリコンを効率よく分離することができる窒化ケイ素の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の窒化ケイ素の製造方法は、シリコン粉末を窒素雰囲気下での焼成合成法により窒化して窒化ケイ素を製造するに際し、窒化反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕し、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粒径が2mmを超える粗粒を粗粒を分級により除去することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、窒化ケイ素の製造方法に関する。
窒化ケイ素は、その焼結体が一般に、高熱伝導性、高絶縁性、高強度等の優れた特性を有するため、各種工業材料のセラミックス原料として注目されている。
窒化ケイ素の製造方法としては、直接窒化法、還元窒化法など種々の方法が知られている。例えば、シリカ粉末を原料として、炭素粉末存在下において、窒素ガスを流通させて窒化ケイ素を生成させる還元窒化法(例えば特許文献1)、シリコン粉末と窒素とを高温で反応させる直接窒化法(例えば特許文献2)、ハロゲン化ケイ素とアンモニアとを反応させるイミド分解法等が知られている。
また、直接窒化法の一つとして、自己燃焼法(Self-Propagating High Temperature Synthesis, SHS法、以下燃焼合成法ともいう)により窒化ケイ素を合成する方法も知られている。自己燃焼法は、燃焼合成法とも呼ばれ、シリコン粉末を含む原料粉末を反応容器内に導入し、窒素雰囲気下で原料粉末の一部を強熱着火して窒化反応を生じさせて、該窒化反応による発生する窒化燃焼熱を周囲に伝播させることで、全体を反応させる合成法である。
例えば、特許文献3では、シリコン粉末を充填したカーボン製坩堝を、反応容器内に置いて、加圧窒素雰囲気中で、YAGレーザーをシリコン粉末表面に照射することにより着火させた後、その後自己発熱により燃焼合成反応を行い、微細な粉末の生成物が得られたことが記載されている。
燃焼合成法は、反応を開始させる着火以外の外部加熱手段が不要となるため、設備が簡略化でき、また投入エネルギーの削減にもなる。また、反応自体は、直接窒化法と同じ発熱反応であるため、反応温度が高温になりやすく、そのため生成した窒化ケイ素粒子が部分的に融着した塊状物として得られる。塊状物として得られた窒化ケイ素は、別途、粉砕又は解砕を行う必要がある。このように、燃焼合成法では、反応が急激進み、反応温度が高温になりやすいため、窒化ケイ素の融着が進行し過ぎて、前記粉砕又は解砕による粉末化に多大の手間がかかったり、原料であるシリコン粉末の未反応物が多く残存したりする場合があった。そのため、希釈剤を使用して、燃焼反応をマイルドに進行させる技術も開示されている(特許文献4)。
特開2009−161376号公報 特開平10−218612号公報 特開2000−264608号公報 WO2018/110565号公報
しかしながら、上記した燃焼合成法においては、希釈剤の使用の有無に関わらず、未反応のシリコンが残存しやすいという課題が存在する。そして、上記未反応シリコンを含む窒化ケイ素は、純度が低下し、フィラーとして使用する場合の熱伝導率の低下を招く。また、窒化ケイ素に含まれる未反応のシリコンは、焼結においては、窒化されるため不純物としては残らないが、その量の変化により、得られる焼結体の特性が低下したり、焼結体間の特性にバラツキが生じたりすることが懸念される。
このような未反応のシリコン粉末が残存するという問題点に対して、本発明者らが検討を行った結果、燃焼合成法の反応において未反応のシリコン粉末は、融着又は融合して、比較的粒径の大きいシリコン固化物(シリコン凝集体及びシリコン塊状物)として残存するとの知見を得た。
一般に、該シリコン固化物は、燃焼合成法により生成した窒化ケイ素塊とともに存在するため、窒化ケイ素塊の粉砕工程において、窒化ケイ素塊と共に粉砕され、その結果、窒化ケイ素粉末中にシリコンが混入していた。
本発明者らは、未反応シリコン粉末が比較的粒径の大きい固化物として窒化ケイ素塊に存在するという上記知見に基づきさらなる検討を進めた結果、上記窒化ケイ素塊に含まれる前記シリコン固化物の圧壊強度が窒化ケイ素粉のみからなる塊の圧壊強度の倍以上であることを確認した。
そして、前記知見及び確認に基づき、燃焼合成反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕することで、前記圧壊強度の差により窒化ケイ素粉のみからなる塊が選択的に粉状化され、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粗粒を分級により除去することによって未反応シリコンを効率よく除去できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は、以下の[1]〜[6]である。
[1]シリコン粉末を窒素雰囲気下での燃焼合成法により窒化して窒化ケイ素を製造するに際し、窒化反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕し、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去することを特徴とする窒化ケイ素の製造方法。
[2]前記粗粒を分級して得られる窒化ケイ素回収粉の平均粒径が2〜300μmである上記[1]に記載の窒化ケイ素の製造方法。
[3]前記窒化ケイ素塊の解砕を、メディアを使用しない粉砕機により行う上記[1]又は[2]に記載の窒化ケイ素の製造方法。
[4]前記粉砕機が振動ミルである上記[3]に記載の窒化ケイ素の製造方法。
[5]前記粗粒は、前記シリコン粉末が融着又は融合したシリコン固化物を少なくとも含有する、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の窒化ケイ素の製造方法。
[6]前記粗粒の分級がふるい分けである上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の窒化ケイ素の製造方法。
本発明によれば、燃焼合成法によって得られる窒化ケイ素から未反応シリコンを効率よく分離することができる窒化ケイ素の製造方法を提供することができる。
図1は、振動ミルにより窒化ケイ素塊の解砕を行う態様を示す概念図である。 図2は、窒化ケイ素粗粉から粗粒を分級により除去する態様を示す概念図である。
<窒化ケイ素の製造方法>
本発明の窒化ケイ素の製造方法は、シリコン粉末を窒素雰囲気下での燃焼合成法により窒化して窒化ケイ素を製造するに際し、窒化反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕し、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去することを特徴とする。
また、詳細は後述するが、本発明の窒化ケイ素の製造方法によって得られた窒化ケイ素を粉砕して、窒化ケイ素微粉末を作製し、これを成形及び焼成して窒化ケイ素の焼結体が得られる。
本発明の窒化ケイ素の製造方法においては、焼成合成法に得られる窒化ケイ素塊を解砕し、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去する。これにより、窒化ケイ素粗粉から、効率的に未反応シリコンを除去できる。
効率的に未反応シリコンを除去できる理由は、以下のように推定される。
シリコン粉末を原料として、直接窒化法により窒化ケイ素を製造する場合、窒化ケイ素塊とともに、原料であるシリコン粉末が融着した凝集物やシリコン粉末が融合した塊状物などの比較的粒径の大きなシリコン固化物(例えば粒径が2mm超)が生成する。生成した窒化ケイ素塊を解砕し、窒化ケイ素粗粉とした際に、残存する粗粒にはシリコン固化物が多く含まれる。これは、窒化ケイ素塊の圧壊強度が、シリコン固化物の圧壊強度よりも低いため、窒化ケイ素塊が優先的に解砕されるためと考えられる。上記粗粒を分級により除去することで、窒化ケイ素粗粉から未反応シリコンを効率的に分離できる。
(シリコン粉末)
窒化ケイ素の原料粉末として用いるシリコン粉末の平均粒径は特に限定されないが、平均粒径D50が1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
また、原料粉末として用いるシリコン粉末は、高純度シリコン粉末であることが好ましい。例えば、シリコン粉末におけるAl、Fe含量が、それぞれ200ppm以下であることが好ましい。このような金属元素が存在していると、得られる窒化ケイ素の焼結性が低下し、また得られる焼結体の強度等の特性が低下するおそれがある。同様の理由により、WやMo等の高融点金属含量も200ppm以下であることが好適である。
シリコン粉末は、その粉末表面を適度に酸化しておくことが好ましい。すなわち、シリコン粉末の表面に形成される酸化膜が、燃焼合成反応の進行を適切に制御する重要な要因となるためである。表面を適度に酸化させる方法としては、簡便には空気中において上述の粒径範囲にまで粉砕する方法が採用される。例えば、空気を用いたジェットミルなどが好適に採用される。上記シリコン粉末の酸化の度合いは、本発明の燃焼合成反応を阻害しない範囲で適宜決定すればよいが、シリコン粉末重量に対して、酸素を0.1〜1質量%程度の量で含有させることが好ましい。上記範囲よりシリコン粉末中の酸素量が少ないと、燃焼合成反応時に燃焼温度が過度に高くなる傾向があり、また、この範囲より酸素量が多いと、燃焼合成反応が抑制される傾向があり、着火不良や未反応シリコンの残留などの問題が生じる場合がある。
本発明において、原料粉末として使用される上記のようなシリコン粉末は、どのようにして得られたものであってもよいが、純度及び粒径が上記した所定の範囲に調整されていることが好ましい。一般的には、半導体多結晶シリコンロッドを破砕してナゲットを製造する過程で生じる微粉を回収して使用することが経済的である。
シリコン粉末に希釈剤を混合することが好ましい。シリコン粉末と窒素との反応は発熱反応であり、表面反応が律速な反応であるため、シリコン粉末の量が多くなればなるほど、シリコン粉末の温度をコントロールすることが難しくなる。しかし、シリコン粉末に希釈剤を混合することにより、シリコン粉末は希釈されるので、シリコン粉末の発熱は低減され、シリコン粉末の温度のコントロールが容易になる。
シリコン粉末が反応して、窒化ケイ素を生成した後、生成した窒化ケイ素からシリコン粉末と混合した希釈剤を除去しなくてもよいようにするため、希釈剤は窒化ケイ素粉末であることが好ましい。希釈剤として用いられる窒化ケイ素粉末は、例えば、本発明の窒化ケイ素の製造方法により製造された窒化ケイ素を用いることができる。
シリコン粉末に希釈剤を含有させる場合は、希釈剤の含有量は原料粉末全量基準に対して好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。希釈剤の含有量がこれら下限値以上であると、シリコン粉末の発熱が低減されて、温度のコントロールが容易になる。希釈剤の含有量がこれら上限値以下であると、反応容器内に充填されたシリコン粉末全般にシリコンの窒化燃焼熱を容易に伝播させることができる。
本発明の効果を阻害しない範囲で、シリコン粉末には、必要に応じて用いられる希釈剤以外のその他の成分を配合してもよい。その他の成分としては、例えば塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩化物、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム等の酸化物などが挙げられる。その他の成分は、シリコン粉末100質量部に対して好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0質量部である。
(着火及び燃焼合成法の条件)
燃焼合成法においては、上述したシリコン粉末を、反応容器(セッター)に充填する。反応容器は、セラミックス製、黒鉛製などの耐熱性の反応容器であることが好ましい。反応容器内のシリコン粉末の嵩密度、シリコン粉末に希釈剤等を混合した場合はその混合物の嵩密度を0.3〜1.0g/cmの範囲に設定することが好ましい。このような嵩密度となるように調整して着火を行い、燃焼反応を進行させることにより、未反応物の残存を抑制し、シリコン粉末の全体を反応させやすくなる。これらの嵩密度は、シリコン粉末、希釈剤等の平均粒径や、窒素置換において供給する窒素圧などにより調節することができる。
また、燃焼合成法に際し、着火点となる部分には、Ti、Al等の粉末を含有した着火剤を添加しておくこともできる。もちろん、このような着火剤の量は、得られる窒化ケイ素の焼結性に影響を与えない程度の少量とすべきである。着火剤を配置する場合には、反応容器に充填されているシリコン粉末の端部でも、中央部でも、あるいは任意の位置に、単数または複数の部位に配置することができる。
シリコン粉末を反応容器に充填した後、反応容器は、着火装置とガスの給排機構を有する耐圧性の密閉式反応器内に設置される。そして、反応器内を減圧して空気を除去した後、窒素ガスを供給して反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下でシリコン粉末に着火する。
本発明において、反応は常圧下で行っても、加圧下で行ってもよいが、燃焼合成反応を進行させやすくする観点から、加圧下に行うことが好ましい。具体的には、常圧〜1MPaの圧力で行うことが好ましい。かかる圧力は密閉式反応器に供給される窒素圧により達成される。密閉式反応器の圧力が常圧以上であると、反応途中で失火するなどして未反応シリコンが多くなり、窒化ケイ素の収率が低下することを抑制できる。また、密閉式反応器の圧力が1MPa以下であると、反応温度が過度に上昇してシリコン粉末が溶融して多くのシリコン塊状物が生成し、窒化ケイ素の収率が低下することを抑制できる。
本発明においては、反応容器に充填したシリコン粉末に着火し、窒素加圧されたままの状態、すなわち、常圧〜1MPaの窒素雰囲気下で、自己燃焼拡散により、シリコン粉末の窒化反応を進行させることが好ましい。これにより、シリコン粉末を外部から加熱する必要がないので、窒化ケイ素粗粉の製造コストを低減することができる。
着火は、従来公知の方法で行うことができ、例えば、密閉式反応器に取り付けた一対の電極を用いてのアーク放電による着火、カーボン製または金属製のヒーターに通電加熱することによる着火、レーザー照射による着火などを採用することができる。
以上の条件の燃焼合成反応によりシリコン粉末は窒素と反応し、窒化ケイ素塊が得られる。この窒化ケイ素塊は、窒化ケイ素粒子の凝集体であり、弱い解砕力で解砕することができる。なお、シリコン粉末が窒素と反応し窒化ケイ素粉末となると、窒化ケイ素粉末の焼結はあまり進行しないので、窒化ケイ素粉末は粒子間の結合力が弱い凝集体になると考えられる。一方、シリコンの融点は1400℃程度であるため、シリコン粉末は、窒化していないと、その一部または全部が溶融して、強く結合したシリコン固化物(シリコン粉末の凝集体及び塊)となると考えられる。シリコンと窒素との反応は表面反応が律速であるため、シリコンの溶融によりシリコンの比表面積が小さくなると、シリコンの窒化が難しくなる。このため、シリコン固化物は窒化せず、そのまま強く結合したシリコンの凝集体及びシリコンの塊として生成した窒化ケイ素塊の中に残存すると考えられる。
(解砕)
本発明の窒化ケイ素の製造方法では、燃焼合成反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕する。ここで解砕とは、凝集した粒子の凝集をほぐすこと(Disintegration)を意味する。
窒化ケイ素塊の解砕は、窒化ケイ素のみからなる塊を解砕しつつ、窒化ケイ素塊中に存在するシリコン固化物を破壊しない程度に行われる。このような解砕条件で解砕することで、解砕後に得られる窒化ケイ素粗粉中にシリコン固化物が粗粒として残存し、該粗粒を分級により窒化ケイ素粗粉から除去することにより、分級により得られた窒化ケイ素回収粉の純度が向上する。
解砕は、窒化ケイ素塊を構成する窒化ケイ素を粒径が500μm未満の大きさ、好ましくは、上記窒化ケイ素回収粉として測定される平均粒径が2〜300μmまで解砕し、かつ、シリコン固化物が解砕されない操作が好適である。このような解砕を行うことにより、窒化ケイ素塊のみ解砕され、シリコン固化物が解砕されないため、分級によってシリコン粉末が窒化ケイ素粉末に不純物として混入することを防止でき、窒化ケイ素粉末の純度がより向上する。
なお、凝集した窒化ケイ素の圧壊強度は高々20MPa程度であり、シリコン固化物の圧壊強度は50MPa程度である。なお、上記圧壊強度はJIS Z8841に準拠して測定した値である。そして、このような圧壊強度の差を利用して、シリコン固化物を解砕しないで、窒化ケイ素塊を解砕することができる。
解砕は、後述する粉砕機により行うことができる。上記したように、それぞれの圧壊強度が知られているため、後述する粉砕機の種類、メディアの有無、解砕時間などを適宜調整することにより、容易に上記特定解砕条件を設定することができる。
燃焼合成反応後に得られる窒化ケイ素塊の解砕は、乾式解砕であることが好ましい。また、解砕は、シリコン固化物の解砕及び粉砕を抑制する観点から、メディアを用いずに行うことが好ましい。なお、メディアとは、粉砕機内に導入されるボール状(ビーズ状)の材料であり、一般に、被処理物の粉砕を目的として用いられる。
本発明において、メディアを用いない粉砕機を使用する代表的な態様として、メディア(ボール)を存在させない振動ミルを使用する態様が最も好適な態様として挙げられる。
図1は、上記振動ミルにより窒化ケイ素塊の解砕を行う態様を示す概念図である。振動ミル1に窒化ケイ素塊状物2を投入すると、主として粒子同士の接触により表面から徐々に削れて粉状化されていき、その途中に固化物が存在すると粉砕されることなく塊状物から脱離される。
尚、窒化ケイ素塊状物2は、全てが解砕されることは無く、小さくなった状態で窒化ケイ素粗粉中に含まれて、振動ミルから取り出される。すなわち、窒化ケイ素塊状物2を解砕すると、窒化ケイ素の粒子7と、シリコン固化物6と、小さくなった窒化ケイ素塊状物5などを含む窒化ケイ素粗粉が得られる。
上記解砕された窒化ケイ素の粒子7とシリコン固化物6、更に、小さくなった窒化ケイ素塊状物5は、解砕によって得られる窒化ケイ素粗粉として、振動ミルに取り付けられたスクリーン(数ミリ間隔のスリット)4を通過して系外に取り出される。また、上記取り出し量に応じて、投入口3より窒化ケイ素塊が適宜供給される。
得られた窒化ケイ素粗粉に含まれる粗粒(シリコン固化物6、小さくなった窒化ケイ素塊状物5)は、図2に示すようにふるい分け8などを用いて、分級により除去され、窒化ケイ素の粒子7を得ることができる。なお、分級の詳細については後述する。
上記解砕において、振動ミルは、連続式で稼働することが好ましい。即ち、振動ミル内では窒化ケイ素塊が摩砕されて小さくなるとともに解砕により生じる窒化ケイ素粗粉が増加するため、窒化ケイ素塊が相互に擦り合わされる機会が減り、解砕速度が時間の経過と共に遅くなる。このため、解砕された窒化ケイ素粗粉を連続的に排出できる、連続式の振動ミルが好適に使用される。
本発明において、解砕に用いる粉砕機は、前記操作が可能なものであれば、特に限定されない。例えば、上述の振動ボールミル以外に、転動ミル、石臼式ミル等を用いることができる。
(分級)
本発明の窒化ケイ素の製造方法では、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粗粒を分級により除去する。粗粒には、シリコン粉末が融着又は融合したシリコン固化物が少なくとも含まれ、解砕の条件にもよるが、シリコン固化物の他に解砕において残存した窒化ケイ素塊も含まれる。
上記粗粒の除去において、粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去することにより分級後の窒化ケイ素回収粉におけるシリコンの含量を十分低減することが可能であるが、より高度にシリコンの除去を行うために、粒径が1mmを超える粗粒、更には、粒径が500μmを超える粗粒を分級により除去することが好ましい。上記粗粒を分級するためには、解砕された窒化ケイ素粉はそれ以下の粒径に解されることが必要であるが、前記した振動ミルを使用した態様で示したように、粒子同士の接触により摩砕されて得られる窒化ケイ素粉は、高々数十μmであるので、問題無く分級を行うことができる。このように粗粒を分級して得られる窒化ケイ素回収粉の平均粒径は2〜300μm、好ましくは、2〜50μmである。該平均粒径は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定において測定された粒子径分布の累積カーブが50%になる粒子径(D50)とする。
本発明の窒化ケイ素の製造方法で採用される分級は、窒化ケイ素粗粉から粗粒を除去できるものであれば、特に限定されない。例えば、ふるい分けで窒化ケイ素粗粉を分級してもよいし、流体中を重力、遠心力又は慣性力で運動する粒子が粒子径により沈降速度に差ができることを利用して窒化ケイ素粗粉を分級してもよい。これらの中で、より確実に粗粒を除去できるという観点からふるい分けによる分級が好ましい。窒化ケイ素粗粉のふるい分けに使用できるふるい機には、例えば、振動ふるい、面内ふるい、可動網テンション式ふるい、強制かくはん式ふるい、風力ふるい、音波ふるい等が挙げられる。これらのふるい機の中で、窒化ケイ素粗粉の凝集をほぐしながらふるい分けできるという観点から、振動ふるいが好ましい。振動ふるいには、例えば、リプルフロー型スクリーン、トップマウントスクリーン、ローヘッドスクリーン、振動モータ同期式ふるい、電磁振動ふるい、円型振動ふるい等が挙げられる。
ふるい機に用いられるふるい網の目開きは、前記除去する粗粒の大きさに応じて適宜決定すればよい。
ふるい機に用いられるふるい網の材質には、ステンレス、鉄、真鍮等の金属、ポリアミド、ポリエステル、絹、ポリエチレン、ゴム、ナイロン等の非金属などが挙げられる。これらのふるい網の中で、窒化ケイ素粉末への金属不純物の混入を防止するという観点から非金属のふるい網が好ましく、ナイロンのふるい網がより好ましい。また、ふるい網の織り方は、特に限定されず、平織り、綾織り、クランプ織り、フラットトップ織り等から適宜選択することができる。また、ふるい網の編み目の形状も特に限定されず、正方形、矩形目等から適宜選択される。
窒化ケイ素塊の解砕と窒化ケイ素粗粉の分級を同時に実施してもよい。例えば、窒化ケイ素塊において窒化ケイ素粒子間の結合力が非常に弱い場合、振動ふるいの振動のみにより窒化ケイ素塊を解砕することができる。したがって、このような場合、窒化ケイ素塊を振動ふるいに投入することにより、窒化ケイ素塊の解砕と窒化ケイ素粗粉の分級とを同時に実施することができる。
(粉砕)
本発明の窒化ケイ素の製造方法で分級して得られた窒化ケイ素回収粉は、そのまま窒化ケイ素粉末の完成品としてもよい。しかし、上記窒化ケイ素回収粉を、粉砕により、焼結体の原料粉末としてさらに適切な粒度を有する窒化ケイ素微粉末とすることができる。具体的には、平均粒子径0.3〜1.5μm程度の粒径に粉砕することが好ましい。
この粉砕は、乾式粉砕でも湿式粉砕でもよいが、乾式粉砕により行うことが好ましい。これは、湿式粉砕の場合は、処理後の乾燥で多量のエネルギーを消費し、コスト高になってしまうからである。
分級して得られた窒化ケイ素粉末の粉砕条件を変えた複数の粉砕を実施し、粒度分布の異なる複数種の窒化ケイ素微粉末を準備し、これを適度に混合して、焼結体の原料粉末として適切な粒度分布を有する窒化ケイ素微粉末を得ることも可能である。また、分級して得られた窒化ケイ素粉末の粉砕後、ふるい分け等の分級工程をさらに導入することにより適切な粒度分布を有する窒化ケイ素微粉末を得ることも可能である。
このような乾式粉砕は、振動ミル、ビーズミル、粉砕対象物同士を衝突せしめる気流粉砕機(ジェットミル)等の粉砕機を用いて行われる。粉砕時の重金属類汚染を抑制する自明の方策としては、窒化ケイ素の共材を粉砕メディアとして用いる方法である。例えば、ジェットミルを用いる気流粉砕では粉末同士の衝突によって粉砕することができるため、汚染防止の観点からは最も好適である。また振動ミルやビーズミルを用いる方法であっても、共材である窒化ケイ素製のボールを粉砕メディアとして使用すれば汚染の問題はない。この際、微量ではあるが粉砕メデイアも摩耗するため、汚染物の少ないメディアを利用すべきことは自明である。
粉砕メディア用としての窒化ケイ素ボール作製に関して、窒化ケイ素単独で摩耗に強い焼結体を得る方法は高コストになるため、低コストでメディアを作製するために、イットリア、マグネシア、アルミナ等の焼結助剤を混合して焼結させる方法も採用することができる。これらの焼結助剤の選択は、目的とする窒化ケイ素微粉末に許容される成分を選択すれば、焼結体用の窒化ケイ素微粉末を作製する方法としては問題ない。なお、乾式で振動ミルやビーズミルを使用して窒化ケイ素粉末を粉砕する際には、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、または水などを微量添加して粉砕することが好適に採用される。これらの成分は粉砕を促進する粉砕助剤として機能するため、粉砕時間を短縮することができる。粉砕助剤の添加量は、粉砕物が乾燥状態を維持できる範囲の量を添加する。粉砕助剤の成分によってその量は異なるが、粉砕する窒化ケイ素粉末100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲が好適である。
(窒化ケイ素焼結体の製造)
上記のようにして得られた窒化ケイ素微粉末を用いて、公知の方法により、窒化ケイ素焼結体を製造することができる。例えば、窒化ケイ素微粉末に、イットリア、マグネシア、ジルコニア、アルミナ等の焼結助剤を混合し、プレス成形により、嵩密度が1.7g/cm以上、好ましくは1.85g/cm以上、より好ましくは1.95g/cm以上の成形体を作製し、次いで、焼成を行うことにより、窒化ケイ素の焼結体を得ることができる。
上記のプレス成形は、一軸プレス成形が代表的であるが、一軸プレス成形した後にCIP(Cold Isostatic Pressing、冷間静水圧加圧)成形を行う方法が好適に採用される。
また、焼成は、窒素雰囲気中、1700〜2000℃で行われる。焼結体の密度は、焼成温度と焼成時間の両方に依存する。例えば1700℃で焼成する場合、焼成時間は3〜20時間程度である。焼成時間及び焼成時間は、窒化ケイ素微粉末の粒度分布、目的とする焼結体の大きさ、形状等に応じて適宜設定すればよい。例えば、1850℃以上の温度で窒化ケイ素を焼成する場合、焼成時間が長すぎると窒化ケイ素自体の分解によって焼結体の密度が低下する場合がある。この場合には、窒素で加圧された雰囲気下で焼結することにより、窒化ケイ素焼結体の分解を抑制できる。この窒素圧が高いほど窒化ケイ素の分解を抑制することができるが、装置の耐圧性能等による経済的な理由で1MPa未満の圧力が好適に採用される。相対密度が99%以上の高密度の焼結体を得るために、1800℃以上の加圧窒素雰囲気下で焼成を行うことが好適である。
以上のように得られた窒化ケイ素焼結体は、放熱用基板材料等に好適に使用することができる。
以下、本発明をさらに具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、各種物性の測定は以下の方法によって行ったものである。
(1)未反応シリコン量の測定
窒化ケイ素微粉末及びシリコン粉末の割合を変えた窒化ケイ素微粉末及びシリコン粉末の混合粉末を作製した後、その混合粉末のX線回折パターンを測定し、測定したX線回折パターンにおける窒化ケイ素及びシリコンのピーク強度比から検量線を作成した。そして、実施例及び比較例の窒化ケイ素微粉末のX線回折パターンをそれぞれ測定し、測定したX線回折パターンにおける窒化ケイ素及びシリコンのピーク強度比から、上記検量線に基づいて、未反応シリコンの含有量を算出した。
(2)窒化ケイ素微粉末の平均粒径
(i)試料の前処理
試料の窒化ケイ素微粉末の前処理として、窒化ケイ素微粉末を空気中で約500℃の温度で2時間焼成処理を行った。上記焼成処理は、粒子径測定において、窒化ケイ素微粉末の表面酸素量が少ないか、粉砕時の粉砕助剤等によって粒子表面が疎水性物質で覆われ、粒子そのものが疎水性を呈している場合があり、このような場合、水への分散が不十分となって再現性のある粒子径測定が困難となることがある。そのため、試料の窒化ケイ素微粉末を空気中で200℃〜500℃程度の温度で数時間焼成処理することによって窒化ケイ素微粉末に親水性を付与し、水溶媒に分散しやすくなって再現性の高い粒子径測定が可能となる。この際、空気中で焼成しても測定される粒子径にはほとんど影響がないことを確認している。
(ii)平均粒径の測定
最大100mlの標線を持つビーカー(内径60mmφ、高さ70mm)に、90mlの水と濃度5質量%のピロリン酸ナトリウム5mlを入れてよく撹拌した後、耳かき一杯程度の試料の窒化ケイ素微粉末を投入し、超音波ホモイナイザー((株)日本精機製作所製US−300E、チップ径26mm)によってAMPLITUDE(振幅)50%(約2アンペア)で2分間、窒化ケイ素微粉末を分散させた。
なお、上記チップは、その先端がビーカーの20mlの標線の位置まで挿入して分散を行った。
次いで、得られた窒化ケイ素微粉末の分散液について、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製マイクロトラックMT3300EXII)を用いて粒度分布を測定した。測定条件は、溶媒は水(屈折率1.33)を選択し、粒子特性は屈折率2.01、粒子透過性は透過、粒子形状は非球形を選択した。上記の粒子径分布測定で測定された粒子径分布の累積カーブが50%になる粒子径を平均粒径(平均粒径D50)とする。
(3)β化率
CuKα線を用いた粉末X線回折(XRD)測定を行い、C.P.Gazzara and D.R.Messier:Ceram.Bull.,56(1977),777−780に記載された方法により、窒化ケイ素微粉末のα相とβ相の重量割合を算出した。
(4)BET比表面積
製造した窒化ケイ素微粉末の比表面積は、(株)マウンテック製のBET法比表面積測定装置(Macsorb HM model−1201)を用いて、窒素ガス吸着によるBET1点法を用いて測定した。
なお、上述した比表面積測定を行う前に、測定する窒化ケイ素微粉末は事前に空気中で600℃、30分熱処理を行い、粉末表面に吸着している有機物を除去した。
(5)焼結体密度
自動比重計(新光電子(株)製:DMA−220H型)を使用してそれぞれの焼結体について密度を測定し、15ピースの平均値を焼結体密度として示した。
(6)焼結体の熱伝導度(W/m・K)
レーザーフラッシュ法熱物性測定装置(京都電子工業(株)製:LFA−502型)を使用し、それぞれの焼結体について熱拡散率を測定した。熱伝導率は、熱拡散率と焼結体密度と焼結体比熱の掛け算によって求められる。なお、窒化ケイ素焼結体の比熱は0.68(J/g・K)の値を採用した。
15ピースの焼結体から任意に3ピースを抽出して、レーザーフラッシュ法熱物性測定用の試験片を切り出した。3個の試験片それぞれの密度、熱拡散率から熱伝導率を算出し、その3個の試験片の熱伝導率の平均値を焼結体の熱伝導率として示した。
(7)焼結体の三点曲げ強度(MPa)
熱伝導率測定用に使用した3ピースを除いた12ピースから任意に10ピースを抽出して、三点曲げ強度測定用の試験片を切り出した。10個の試験片それぞれについて、JIS R 1601:2008に準じた方法で三点曲げ強度を測定した。この際、支点間距離は30mmの試験治具を使用した。10個の試験片の三点曲げ強度の平均値を焼結体の三点曲げ強度として示した。
各実施例、及び比較例においては、次の原料粉末を使用した。
<原料粉末>
(シリコン粉末)
太陽電池用途クラスの高純度多結晶シリコンを、アルミナのライニングを施した気流粉砕装置(ジェットミル)を用い、平均粒径で5μm程度に粉砕して得られたシリコン粉末を用いた。なおここで得られたシリコン粉末の酸素量は約0.3質量%であった。また、不純物量としてFeは10ppmであり、Alは5ppmであった。
(希釈剤)
平均粒径1μmの窒化ケイ素微粉末を用いた。
[実施例1]
シリコン粉末80質量%と、希釈剤である窒化ケイ素粉末20質量%とを混合して原料粉末を得た。
上記原料粉末を反応容器に充填した後、反応容器を着火装置とガスの給排機構を有する耐圧性の密閉式反応器内に設置した。そして、反応器内を減圧して脱気後、窒素ガスを供給して反応器内を窒素置換した。その後、窒素ガスを除々に供給し、0.7MPaまで上昇せしめた。所定の圧力に達した時点(着火時)での原料粉末の嵩密度は1.0g/cmであった。
その後、反応容器内の原料粉末の端部に着火し、燃焼合成反応を行い、窒化ケイ素塊を得た。その後、振動ミル(中央化工機(株)製、型番:FV−30)を用いて窒化ケイ素塊を連続的に解砕して窒化ケイ素粗粉を得た。解砕は解砕メディアを用いずに行った。
次に、500μmの目開きを有するふるい網を設置した振動ふるい((株)興和工業所製、型番:KF−1000)を用いて500μmを超える大きさの粗粒を分級した。なお、分級後に得られた窒化ケイ素回収粉の平均粒径は3μmであった。
分級後の窒化ケイ素回収粉を振動ミルに適量を投入して6時間の粉砕を行った。なお、粉砕機及び粉砕方法は、常法の装置及び方法を用いているが、重金属汚染防止対策として粉砕機の内部はウレタンライニングを施し、粉砕メディアには窒化ケイ素を主剤としたボールを使用した。また粉砕開始直前に粉砕助剤としてエタノールを1質量%添加し、粉砕機を密閉状態として粉砕を行い、窒化ケイ素微粉末を得た。得られた窒化ケイ素微粉末の測定結果を表1に示した。
また、前記分離された粗粒は粉砕を行い、前記燃焼合成法による窒化ケイ素の製造方法における希釈剤の一部として使用した。
[実施例2]
ふるい網の目開きを500μmから2mmに変更した以外は、実施例1と同様な方法で窒化ケイ素微粉末を作製した。得られた窒化ケイ素微粉末の測定結果を表1に示した。
なお、分級後に得られた窒化ケイ素回収粉の平均粒径は11μmであった。
[比較例1]
塊状生成物を解砕して窒化ケイ素粗粉を得た後、分級をしないで、得られた窒化ケイ素粗粉を粉砕した以外は、実施例1と同様な方法で窒化ケイ素微粉末を作製した。得られた窒化ケイ素微粉末の測定結果を表1に示した。
Figure 2021113138
塊状生成物を解砕して分級することにより窒化ケイ素微粉末中の未反応シリコンの含有量を低減できることがわかった。
[焼結体の作製]
上記方法により得られた窒化ケイ素微粉末100質量部に対して、主焼結助剤としてイットリア粉末を5質量部、副焼結助剤としてマグネシア粉末を2質量部添加し、エタノール中、遊星ボールミルを用いてよく混合した。このように焼結助剤を混合した窒化ケイ素微粉末を十分に乾燥させた後、約20gを、0.2トン/cmの圧力で一軸プレス成形することにより、50mmφの円板状成形体を15ピース作製した後、1ピース毎に柔らかいゴム袋に封入して水中に投入し、成形体表面に2トン/cmの圧力が印加されるようなCIP処理を行った。
CIP処理を行った円板上成形体の表面に接着防止用の窒化ホウ素粉末を塗布した。成形体は密閉性の高い窒化ホウ素製の箱型セッター内に5枚ずつ重ねて装置し、0.8MPaの窒素雰囲気下、1900℃で5時間焼成して焼結体を得た。得られた焼結体の評価結果を表2に示した。
Figure 2021113138
各実施例の窒化ケイ素微粉末を用いて製造した焼結体は、分級を行わないで得た比較例1の窒化ケイ素微粉末の焼結体と比較し、密度、熱伝導率、及び三点曲げ強度の値が高かった。この結果より、本発明の窒化ケイ素の製造方法により得られる窒化ケイ素を用いると、焼結体の特性を改善できることがわかった。
また、表には示されていないが、未反応シリコンの増加に伴い、得られる使用結体の特性のバラツキも大きくなることが確認され、実施例1の未反応シリコンの含量が0.1質量%以下に抑制された窒化ケイ素微粉末を使用した場合、かかるバラツキはほぼ解消された。
1 振動ミル
2 窒化ケイ素塊状物
3 投入口
4 スクリーン
5 小さくなった窒化ケイ素塊状物
6 シリコン固化物
7 窒化ケイ素の粒子
8 ふるい分け

Claims (6)

  1. シリコン粉末を窒素雰囲気下での燃焼合成法により窒化して窒化ケイ素を製造するに際し、窒化反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕し、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去することを特徴とする窒化ケイ素の製造方法。
  2. 前記粗粒を分級して得られる窒化ケイ素回収粉の平均粒径が2〜300μmである請求項1に記載の窒化ケイ素の製造方法。
  3. 前記窒化ケイ素塊の解砕を、メディアを使用しない粉砕機により行う請求項1又は2に記載の窒化ケイ素の製造方法。
  4. 前記粉砕機が振動ミルである請求項3に記載の窒化ケイ素の製造方法。
  5. 前記粗粒は、前記シリコン粉末が融着又は融合したシリコン固化物を少なくとも含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化ケイ素の製造方法。
  6. 前記粗粒の分級がふるい分けである請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化ケイ素の製造方法。

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