JP2024021564A - 窒化ケイ素粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃焼合成によって得られた窒化ケイ素塊状物より、粗粒が低減され、且つ、微粉の生成も抑制された窒化ケイ素粉末を収率よく製造することが可能な窒化ケイ素粉末の製造方法を提供する。【解決手段】 燃焼合成法によって得られたβ型の窒化ケイ素塊状物を粉砕して窒化ケイ素粉末を製造する方法において、砥石間の距離が5~30μmに調整された石臼式摩砕機により1回以上粉砕する工程を含み、必要に応じて、上記粉砕に先立って、前記窒化ケイ素塊状物を100μm以下の大きさに粉砕する前粉砕工程を含む窒化ケイ素粉末の製造方法である。【選択図】 なし

Description

本発明は、窒化ケイ素粉末の新規な製造方法に関する。詳しくは、燃焼合成法によって得られた窒化ケイ素塊状物から、粗粒が低減した窒化ケイ素粉末を効率よく製造する方法を提供するものである。
窒化ケイ素粉末を焼成して得られる焼結体は、各種セラミックス焼結体の中でも、軽量、機械的強度、耐薬品性、電気絶縁性等に優れており、ボールベアリング等の耐摩耗用部材や高温構造用部材として、また、熱伝導性も高めたものは放熱用基板材料として使用されている。
上記窒化ケイ素焼結体の製造原料である窒化ケイ素粉末を高純度で且つ効率よく製造する方法として燃焼合成法が知られている。この製造方法は、シリコン粉末を窒素中で燃焼させる方法であり、反応制御が難しいため、一般には、シリコン粉末に窒化ケイ素粉末を希釈材として混合して燃焼合成反応を行う方法が実施されている。ところが、上記希釈材を使用しても工業的な実施においては燃焼反応を完全には制御できず、反応後に取り出される塊状物中には、粒子径が数μmから数十μmの範囲で融着粒子が存在する。
上記融着粒子のうち、粗大粒子が焼結体において問題をもたらすことは知られており、例えば、凝集粒子及び/又は融着粒子よりなる粗大粒子の含有量を低減することにより、高強度で、特性のバラツキの少ない高信頼性の窒化ケイ素セラミックスを再現性良く安定して製造できるようになることが記載されている(特許文献1参照)。
一方、燃焼合成により得られた窒化ケイ素塊状物の粉砕は、粉砕効率が良いボールミルを使用するのが一般的であった。しかしながら、ボールミルによる粉砕は、ミル内に死角が存在し、そこに粗粒が滞留した場合には、粗粒が残留する。また、上記粗粒を十分低減するためには、長時間の粉砕処理が必要となり、その分微粉の量が極度に増加してしまうという問題が生じる。特に、燃焼合成により得られる窒化ケイ素は焼結による粒成長が乏しいβ型の結晶であり、過度の微粉量の増加は、これを焼成して得られる焼結体の結晶粒径を低減させ、強度の低下をもたらすことが懸念される。
また、このような窒化ケイ素粉末中の粗大粒子を風力分級や乾式の篩分け等により除去することも考えられるが、比較的量の多い粗粒を除去する方法は、窒化ケイ素粉末の製造における収率を低下させるという問題が生じる。
特開2000-159512号公報
従って、本発明の目的は、燃焼合成法によって得られた窒化ケイ素塊状物から、粗粒の残存量を低減し、更には、過度の微粉の生成も抑制し、効率よく窒化ケイ素粉末を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、燃焼合成法によって得られた窒化ケイ素塊状物の粉砕に石臼式摩砕機を使用することにより、被粉砕物の全量を粉砕メディアと接触させることができるために死角がなく、また、臼のクリアランスを特定の範囲に調整することにより、前記融着粒子の粗粒が確実に破砕され、且つ、凝集粒子も十分解されること、さらに、粉砕メディアとの接触時間が短いことにより、過度の粉砕により生じる微粉が増加する傾向も防止することができ、焼結用粉体として最適な窒化ケイ素粉末を効率的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、燃焼合成法によって得られたβ型の窒化ケイ素(以下、単に窒化ケイ素ともいう。)塊状物を粉砕して窒化ケイ素粉末を製造する方法であって、砥石間の距離が5~30μmに調整された石臼式摩砕機により粉砕する工程を含むことを特徴とする粗粒が減少した窒化ケイ素粉末の製造方法が提供される。
前記方法において、前記石臼式摩砕機により粉砕する工程の前に、前記窒化ケイ素塊状物を平均粒子径100μm以下に粉砕する前粉砕工程を含むことが、石臼式摩砕機による生産効率を向上させるために好ましい。
また、前記石臼式摩砕機により粉砕する工程において、粉砕に供する窒化ケイ素の水分含有率が30質量%以下であることが、粉砕処理を容易にするとともに粉砕効率を上げるためにも好ましい。
更に、前記方法は、得られる窒化ケイ素粉末が、10μm以上の粗粒が1000ppm以下であり、0.3μm以下の微粉が10質量%以下となる粉砕条件であることが好ましい。
本発明によれば、前記本発明の製造方法によって得られた窒化ケイ素粉末、焼結助剤、バインダー、及び溶媒を混合してスラリーを調製するスラリー調製工程、及び上記スラリー調製工程より得られたスラリーをシート状に成形するシート成形工程を含む、粗粒が減少した窒化ケイ素グリーンシートの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、燃焼合成法によって得られたβ型の窒化ケイ素塊状物を粉砕して得られた窒化ケイ素粉末、焼結助剤、バインダー、及び溶媒を混合してスラリーを調製するスラリー調製工程、及び上記スラリー調製工程より得られたスラリーをシート状に成形するシート成形工程を含む、窒化ケイ素グリーンシートの製造方法であって、前記スラリー調製工程により得られたスラリーを、砥石間の距離が5~30μmに調整された石臼式摩砕機により粉砕する工程を含むことを特徴とする、粗粒が減少した窒化ケイ素グリーンシートの製造方法が提供さる。
更に、本発明によれば、上述した製造方法によって得られた窒化ケイ素グリーンシートを脱脂する脱脂工程、及び脱脂工程より得られた脱脂体を焼成して焼結体を得る焼成工程を含む窒化ケイ素焼結体の製造方法をも提供される。
本発明の方法によれば、燃焼合成によって得られた窒化ケイ素塊状物より、粗粒が低減され、且つ、微粉の生成も抑制された窒化ケイ素粉末を収率よく製造することが可能となる。
また、粗粒も確実に粉砕されて窒化ケイ素粉末として使用することができるため、窒化ケイ素粉末の収率向上も図ることができる。
本発明において、燃焼合成法により窒化ケイ素を得る方法は、公知の方法が特に制限なく採用される。代表的な製造方法としては、窒素雰囲気下で、反応容器に収容したシリコン粉末を含む原料粉末に着火し、前記シリコン粉末の窒化燃焼熱を前記収容された原料粉末全般に伝播されることにより前記シリコンの窒化物を合成する方法が一般的であり、例えば、特開2000-264608号公報、国際公開第2019/167879号などを参照することができる。
通常、燃焼合成法によって得られる窒化ケイ素は、燃焼熱により粒子が凝集或いは融着した塊状物として得られるため、後述する本発明の石臼式摩砕機による粉砕を効率よく行うために、前粉砕する工程を設けることが好ましい。
上記前粉砕の程度は特に制限されないが、平均粒子径が100μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下となるまで行うことが好適である。即ち、前記のような前粉砕された窒化ケイ素の原料粉末を使用することによって、石臼式摩砕機による粉砕工程における負担を軽減し、且つ、粗大粒子を効率的に粉砕することができ、10μm以上の粗粒の量を規定値以下にまで低減し易い。
上記前粉砕する工程は、燃焼合成法によって得られた窒化ケイ素塊状物を、目的とする窒化ケイ素粉末の粒子径より大きい粒子径に粗粉砕してもよいし、後述の目的とする窒化ケイ素粉末の粒子径程度まで粉砕してもよい。後者の粉砕を採用する場合、粗粒を低減するまでの粉砕は不要であり、その粉砕時間を短縮することができる。
上記前粉砕処理には、公知の粉砕装置が特に制限なく使用される。具体的には、ジョークラッシャー、ボールミル、ジェットミル等が一般的であり、粉砕の程度に応じて適宜選択して使用することができる。また、粉砕条件も、目的とする粉砕の程度に応じて適宜設定すればよい。なお、後述する石臼式摩砕機も上記の塊状物の粉砕処理に使用できる。
本発明において、粗粒量を低減するために使用する石臼式摩砕機は、間隔を自由に調整できる上下2枚の砥石によって構成されており、上部砥石を固定し、高速で回転する下部砥石との間に原料を送り込み、両砥石間で生ずる強力な圧縮・せん断・転がり摩擦等の複合作用により原料を粉砕する装置が一般的である。市販されている石臼式摩砕機を例示すると、例えば、マスコロイダーやセレンディピター(商品名:増幸産業製)、グローミル(商品名:グローエンジニアリング製)、ミクロパウダー(商品名:槇野産業製)、石臼式摩砕機(ヤマト機販株式会社)等を挙げることができ、本発明においては、これらの石臼式摩砕機を何ら制限なく使用することができる。
前記石臼式摩砕機の粉砕を担う砥石は、セラミックス製、有機無機複合樹脂製、金属製等があるが、電子材料用途のような不純物金属の混入を嫌う用途においては、窒化ケイ素と同等か、より硬度が高いセラミックス製の砥石が好ましく採用される。砥石の材質としては、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、炭化タングステン等が挙げられる。また、砥石面のパターンは、微粉砕用として市販されている砥石のパターン、例えば、砥石面に複数の平行な溝をブロック毎に角度を変えて形成したものが好適に採用される。
本発明において、必要に応じて粉砕された窒化ケイ素塊状体は、石臼式摩砕機にて粉砕する。石臼式摩砕機は原料粉末の全量が上下砥石の間隙を通過して粉砕作用を受けるため、上記間隙に応じた大きさ以上の粗大粒子を確実に粉砕することが可能となる。
上記石臼式摩砕機の粉砕能力(微粒化と生産性)は、上下砥石の間隙と、砥石の回転数に依存する場合が多い。市販機の場合は使用する機種にもよるが、砥石の間隙は数μm~10mm前後まで自由に調整可能である。本発明においては、特に10μm以上の粗粒を極力減らすため、前記石臼式摩砕機の砥石の間隙は5~30μmの範囲とすることが必要であり、さらに好ましくは5~25μmの範囲、特に好ましいのは5~20μmの範囲である。
また、砥石の回転数は数rpm~4800rpm程度まで自由に調整することができるが、一般的に、砥石の回転数を上げるほど微粒化が進むため、200~2500rpm程度が好ましい。
本発明において、石臼式摩砕機による粉砕は、湿式或いは乾式で行うことができるが、水等の溶媒を含んだ湿式の状態で窒化ケイ素の塊状物を粉砕機に供給すれば粉砕時の粉立ちの問題が軽減されるため好ましい。また、溶媒の含有率を特定の範囲にすることにより被粉砕物が液状(またはペースト状)で得られるようになり、取り扱いがさらに容易になるというメリットがある。特に、溶媒として水を使用した湿式粉砕法が好ましく採用される。また、水を溶媒として使用する場合、後述するように、水系溶媒を使用する窒化ケイ素系グリーンシート用スラリーの調製には極めて好適である。
しかしながら、湿式粉砕においては、水分含有率の高い、いわゆる低粘度のスラリー状のサンプルを使用した場合には粉砕効率が低下する傾向がある。したがって、湿式で粉砕処理する場合には、できるだけ水分含有率の低い原料を使用することが望ましい。原料の固形分濃度は、使用する粉体の種類や粒度などにも影響されるので一概には言えないが、例えば、BET比表面積が5~20m/gの窒化ケイ素粉末の場合、粉砕に供する窒化ケイ素の水分含有率は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは25質量%以下、特に好ましいのは20質量%以下である。前述したように、できるだけ低い水分含有率の原料を処理した方が粗粒を選択的に粉砕する上で望ましい。また、前記水分含有率の下限は、2質量%以上、特に5質量%以上とすることが好ましい。
前記比表面積の範囲の窒化ケイ素粉末の場合、水分含有率が30質量%を超えると予備混合段階においても液状(またはペースト状)となる場合が多い。一方、水分含有率が30質量%未満では予備混合段階では粉状(湿った粉末状態)であることが多いが、粉状の原料粉末を石臼式摩砕機で処理すると液状(ペースト状)の処理物に変化する。また、水分含有率が少なくとも10質量%未満では処理物は液状化せず、粉状のままであることが多い。ただし、液状化しなくても、粗大粒子の微粉化は達成されており、水を含むことによって粉立ちが抑えられるので作業をする上では好ましい。
本発明において、石臼式摩砕機によって粉砕処理されて得られる窒化ケイ素粉末は、10μm以上の粗粒が1000ppm以下、好ましくは、500ppm以下とすることが可能である。窒化ケイ素原料粉末中の粗粒量を低減することによって、その焼結体の曲げ強度などの機械的特性を向上させることができる。上記粗粒の量は、水に分散させた10質量%の窒化ケイ素分散液(窒化ケイ素粉末20gに水を加えて200gとしたもの)を超音波により分散させた分散液において、目開き10μmの電成篩を用いた湿式篩法により篩分けした際の篩上残量(10μm以上の粗粒)を測定することにより求めることができる。前記の超音波による分散は、固形分濃度が10質量%の水200gに分散剤(ピロリン酸ナトリウム5質量%水溶液)を5ml加え、超音波ホモジナイザー(BRANSON製、Sonifier250等)を用いて、40Wで10分の条件で行ったものである。上記電成篩としては、飯田製作所製の電成篩が好適に使用される。前記篩上残量(10μm以上の粗粒量)は、試料量として窒化ケイ素粉末20gを篩分けした際の値である。よって、粗粒の含有率は、前記粗粒量を20gで除した値となる。
本発明の方法によって、上記のように、粗粒量が低減した窒化ケイ素粉末を確実に得ることが可能であるが、石臼式摩砕機を使用することにより、粗粒を確実に低減させるために粉砕を長時間行うことが必要ないことのメリットとして、粉砕時間の増大によって増加する微粉の生成をも効果的に防止できることが挙げられる。即ち、本発明によれば、石臼式摩砕機による粉砕のみを行った場合に限らず、他の粉砕を組み合わせた場合でも、粗粒を低減するための粉砕時間を低減することができるため、微粉の生成量を低く抑えることができ、0.3μm以下の微粉が10質量%以下、特に5質量%以下とすることが可能となる。
本発明の方法において、粗粒が低減された窒化ケイ素粉末は、後述する焼結体製造用の原料として使用する場合などにおいて、平均粒子径0.5~5μm、好ましくは、0.8~3μmであることが好ましく、上記粒子径に調整するため、前記したように、石臼式摩砕機による粉砕前、或いは、石臼式摩砕機による粉砕後に、最終的に得られる窒化ケイ素粉末が上記平均粒子径となるように粉砕を行うことが好ましい。
本発明の窒化ケイ素粉末は、窒化ケイ素焼結体製造用の原料などに利用される。窒化ケイ素焼結体の代表的な用途としては、放熱基板やエレクトロニクス用の回路基板などの各種基板材料としての用途がある。そのような焼結体の製造方法の一例として、前記窒化ケイ素粉末を使用してグリーンシートと呼ばれるシート状の成形体を製造し、これを脱脂、焼成する方法が挙げられる。上記グリーンシートは、窒化ケイ素粉末、バインダーなどの原料を溶媒に分散させたスラリーをドクターブレード法などによってシート状に成形することで製造される。
本発明の粗粒が減少した窒化ケイ素粉末の製造方法は、石臼式摩砕機による粉砕工程において溶媒として前記スラリーの調製に使用する溶媒、例えば水を使用することができるため、粉砕処理した窒化ケイ素スラリーを乾燥させることなく、前述のような水系グリーンシートの原料に使用できることも有利な特徴の一つである。即ち、本発明の湿式粉砕処理後の窒化ケイ素粉末を乾燥させることなくグリーンシートの製造工程に供給して使用できるため、乾燥による粒子の再凝集を懸念する必要がない。
従って、本発明によれば、窒化ケイ素粉末、焼結助剤、バインダー、及び溶媒を含むグリーンシートを製造する方法であって、少なくとも窒化ケイ素粉末を含む原料を石臼式摩砕機により粉砕する工程を含むことを特徴とする、粗粒が減少した窒化ケイ素系グリーンシートの製造方法も提供される。
前記焼結助剤としては、窒化ケイ素の焼結に使用される公知の焼結助剤が特に制限なく使用される。焼結助剤の配合量は、窒化ケイ素100質量部あたり、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
また、溶媒としては水が好適であり、用いる水としては特に制限されず、水道水等を用いてもよいが、イオン交換水や純水等を用いることが好ましい。また、上記水の配合量は、窒化ケイ素100質量部あたり10質量部以上、好ましくは30質量部以上であり、70質量部以下、好ましくは50質量部以下である。
更に、バインダーとしても、公知のものが特に制限なく使用されるが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メチルセルロース、アルギン酸、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、アクリル樹脂が好適に使用される。配合されるバインダーは、1種でもよく、2種以上でもよい。前記スラリーにおけるバインダーの配合量は、窒化ケイ素100質量部あたり、好ましくは1~30質量部であり、前記配合量は成形条件等に応じて適宜決定すればよい。また、前記スラリーには、本発明の効果を阻害しない範囲で、消泡剤など公知の添加剤を配合してもよい。
得られるグリーンシートの厚みは、0.3~1.2mm程度が一般的である。
本発明において、前記石臼式摩砕機により粉砕する工程を設けることにより、窒化ケイ素粉末の粗粒を確実に低減することができることを活用し、前記グリーンシートの製造方法において、公知の粉砕方法により得られた窒化ケイ素粉末を使用して調製されたスラリーに対して、前記石臼式摩砕機により粉砕する工程を行うことによっても、同様に粗粒が減少し、且つ、過剰の微粉の生成が抑制された窒化ケイ素粉末を含むグリーンシートを製造することが可能である。
即ち、本発明によれば、燃焼合成法によって得られたβ型の窒化ケイ素塊状物を粉砕して得られた窒化ケイ素粉末、焼結助剤、バインダー、及び溶媒を混合してスラリーを調製するスラリー調製工程、及び上記スラリー調製工程より得られたスラリーをシート状に成形するシート成形工程を含む、窒化ケイ素グリーンシートの製造方法であって、前記スラリー調製工程により得られたスラリーを、砥石間の距離が5~30μmに調整された石臼式摩砕機により粉砕する工程を含むことを特徴とする窒化ケイ素グリーンシートの製造方法をも提供することができる。
本発明において、前記方法により得られたグリーンシートは、後述する焼成工程に先立ち、必要に応じて、脱脂工程を行うことが好ましい。脱脂工程での加熱温度は、通常300℃以上、好ましくは400℃以上であり、通常1200℃以下、好ましくは1000℃以下である。また、脱脂工程におけるグリーンシートの加熱時間は、バインダーの種類や脱脂雰囲気に応じて適宜選択できるが、通常30分以上、好ましくは2時間以上であり、通常140時間以下、好ましくは120時間以下である。尚、脱脂は、通常、酸素や空気などの酸化性ガス、水素などの還元性ガス、アルゴンや窒素などの不活性ガス、二酸化炭素、若しくは、これらの混合ガス雰囲気下、又は、これらガスと水蒸気とを混合した加湿ガス雰囲気下で行われる。
前記のように、必要に応じて脱脂工程を経た成形体は、焼成工程により焼成されて窒化ケイ素焼結体が得られる。焼成条件は特に限定されず、窒化ケイ素焼結体を得る公知の焼成条件で実施すればよい。例えば、焼成は窒素雰囲気下、又は、アルゴン雰囲気下などの不活性ガス雰囲気下において行う。また、焼成は、圧力を制御した雰囲気で行うことが好ましい。具体的には、低圧では焼成時に窒化ケイ素が分解する場合があり、高圧では設備等のコストがかかるので、例えば0MPa・G以上であり、例えば10MPa・G以下、好ましくは3MPa・G以下、さらに好ましくは0.1MPa・G以下であることが好ましい。また、焼成温度は、通常1200℃以上、好ましくは1500℃以上で、2000℃以下、好ましくは1800℃以下である。また、焼成時間は所望の焼結反応が進行すれば特に限定されないが、3~20時間程度とすることが一般的である。
本発明の窒化ケイ素粉末を使用して製造される窒化ケイ素焼結体は、鉄、アルミニウム元素及びその他の不純物金属の含有量が極力少ないことが望ましい。不純物金属が多いと窒化ケイ素焼結体の様々な性能を低下させる懸念がある。本発明では、石臼式摩砕機を使用するため、粗粒を低減するための粉砕メディアとの接触時間を減少することができ、不純物金属の汚染が低く抑えられるという特徴がある。特に、窒化ケイ素焼結体中のアルミニウム元素の総含有量(質量)は800ppm以下であることが好ましい。そして、かかる純度を有する粗粒が低減された本発明の窒化ケイ素粉末を使用すれば、得られる窒化ケイ素焼結体のアルミニウム元素の含有量をかかる範囲に低く抑えることができ、高い熱伝導率を発揮することが可能となる。前記窒化ケイ素焼結体中のアルミニウム元素の総含有量は、好ましくは700ppm以下であり、より好ましくは600ppm以下であることが好ましい。
本発明の方法で製造された窒化ケイ素粉末を使用して得られる焼結体は、原料における10μm以上の粗粒が非常に少ないため、破壊の起点となるような粗大な結晶粒子が少なく、それによって曲げ強度や破壊靭性値などの機械的特性に優れている。さらに詳しく説明すると、α型の窒化ケイ素原料粉末を使用した場合とは異なり、10μm以上の粗粒量を低減したβ化率が80%以上の窒化ケイ素原料粉末を使用することによって、さらにβ型原料粉末の焼結メカニズム(オストワルド成長)も功を奏して、焼結体中の粗大な結晶粒子の発生頻度も低下することが期待される。すなわち、微細で比較的均一なβ型窒化ケイ素結晶よりなる焼結体は、緻密で熱伝導性にも優れており、各種の放熱用基板材料として有用である。さらにまた、本発明の方法によって得られる粗大な結晶粒子を含まない焼結体は、緻密でボイドの生成なども抑制できるため、ボールベアリングなどの各種摺動部材への応用も期待される。
以下、本発明をさらに具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において、各種物性の測定は以下の方法によって行ったものである。
(1)窒化ケイ素粉末のβ化率
窒化ケイ素粉末のβ化率は、CuKα線を用いた粉末X線回折(XRD)測定により求めた。具体的には、C.P.Gazzara and D.R.Messier:Ceram.Bull.,56(1977),777-780に記載された方法により、窒化ケイ素粉末のα相とβ相の重量割合を算出し、β化率を求めた。
(2)窒化ケイ素粉末の粒子径
(i)試料の前処理
試料の窒化ケイ素粉末の前処理として、窒化ケイ素粉末を空気中で約500℃の温度で2時間焼成処理を行った。上記焼成処理は、粒子径測定において、窒化ケイ素粉末の表面酸素量が少ないか、粉砕時の粉砕助剤等によって粒子表面が疎水性物質で覆われ、粒子そのものが疎水性を呈している場合があり、このような場合、水への分散が不十分となって再現性のある粒子径測定が困難となることがある。そのため、試料の窒化ケイ素粉末を空気中で200℃~500℃程度の温度で数時間焼成処理することによって窒化ケイ素粉末に親水性を付与し、水溶媒に分散しやすくなって再現性の高い粒子径測定が可能となる。この際、空気中で焼成しても測定される粒子径にはほとんど影響がないことを確認している。
(ii)粒子径の測定
最大100mLの標線を持つビーカー(内径60mmφ、高さ70mm)に、45mLの水と濃度5質量%のピロリン酸ナトリウム5mLを入れてよく撹拌した後、耳かき一杯程度の試料の窒化ケイ素粉末を投入し、超音波ホモイナイザー((株)日本精機製作所製US-300E、チップ径26mm)によってAMPLITUDE(振幅)50%(約2アンペア)で2分間、窒化ケイ素粉末を分散させた。上記チップは、その先端がビーカーの20mLの標線の位置まで挿入して分散を行った。次いで、得られた窒化ケイ素粉末の分散液について、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製マイクロトラックMT3300EXII)を用いて粒度分布を測定した。測定条件は、溶媒は水(屈折率1.33)を選択し、粒子特性は屈折率2.01、粒子透過性は透過、粒子形状は非球形を選択した。上記の粒子径分布測定で測定された体積基準の粒子径分布の累積曲線が50%になる粒子径をD50、90%になる粒子径をD90とした。
(3)窒化ケイ素粉末の比表面積
窒化ケイ素粉末の比表面積は、(株)マウンテック製のBET法比表面積測定装置(Macsorb HM model-1201)を用いて、窒素ガス吸着によるBET1点法を用いて測定した。
なお、上述した比表面積測定を行う前に、測定する窒化ケイ素粉末は事前に空気中で600℃、30分熱処理を行い、粉末表面に吸着している有機物を除去した。
(4)窒化ケイ素粉末の全酸素量、固溶酸素量
窒化ケイ素粉末の固溶酸素量は、不活性ガス融解-赤外線吸収法により測定した。測定は、酸素・窒素分析装置(HORIBA社製「EMGA-920」)により行った。
試料として各実施例、比較例で使用した窒化ケイ素粉末25mgをスズカプセルに封入(スズカプセルはLECO製のTin Cupsuleを使用)しグラファイト坩堝に導入し、5.5kWで20秒間加熱し、吸着ガスの脱ガスを行った後、0.8kWで10秒、0.8kWから4kWまで350秒かけて昇温しその間に発生した二酸化炭素の量を測定し、酸素含有量に換算した。350秒の昇温中、初期に発生する酸素が、窒化ケイ素粒子の表面に存在する酸化物由来の酸素(外部酸素)であり、遅れて発生する酸素が窒化ケイ素の結晶に固溶する固溶酸素(内部酸素)に相当することから、予め測定したバックグランドを差し引いたこれら2つの測定ピークの谷に相当する部分から垂線を引き、2つのピークを分離した。それぞれのピーク面積を比例配分することより、固溶酸素(内部酸素)量と、外部酸素量とを算出した。
(5)窒化ケイ素粉末中の鉄、アルミニウム量
窒化ケイ素粉末中の鉄元素、アルミニウム元素の量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフック社製「iCAP 6500 DUO」)を用いて測定した。
(6)窒化ケイ素粉末中の粗粒量(電成篩を用いた湿式篩法での篩上残量)
測定試料の調製は、200mLの樹脂製カップ4個に各々窒化ケイ素粉末5g(合計で20g)を電子天秤ではかり取り、各々純水を95ml加え、固形分濃度を5質量%に調整した。ただし、測定試料がスラリーの場合は、スラリーの固形分濃度より粉末量と水の量を計算した。各々の試料を超音波ホモジナイザー(BRANSON製、Sonifier250)を用いて、40W・10分の条件で分散させた後、全量(窒化ケイ素粉末の総量が20g分)を目開き20μm・角孔の電成篩(飯田製作所製、φ75mm×40mmH)を用いて湿式篩を行い、篩網上の残留分を定量した。なお、湿式篩の際は、篩が目詰まりしないように篩の上から洗瓶を用いて十分な量の純水を供給した。なお、粗粒量が多い試料に対しては、目開きが106、75、53、25μmのステンレス製の網篩を多段に使用して段階的に篩分けし、最後に10μmの電成篩で篩分けした。この場合は、各段の篩上残量の合計量を10μm以上の粗粒量とした。
(7)0.3μm以下の微粉量
上記(2)に記載の粒子径分布測定で測定された体積基準の粒子径分布の累積曲線データより、0.3μm以下の微粉量を求めた。
(8)窒化ケイ素焼結体の密度
窒化ケイ素焼結体の密度は、自動比重計(新光電子(株)製:DMA-220H型)を使用して測定した。
(9)窒化ケイ素焼結体の熱伝導率
窒化ケイ素焼結体の熱伝導率は、京都電子工業製LFA-502を用いてレーザーフラッシュ法により測定した。熱伝導率は、熱拡散率と焼結体密度と焼結体比熱の掛け算によって求められる。なお、窒化ケイ素焼結体の比熱は0.68(J/g・K)の値を採用した。焼結体密度は、自動比重計(新光電子(株)製:DMA-220H型)を用いて測定した。
上記熱伝導率の測定は、窒化ケイ素焼結体の表面をブラスト処理した後、表面にAuコート及びカーボンコートをした後に行った。
(10)窒化ケイ素焼結体の3点曲げ強度
窒化ケイ素焼結体より3点曲げ強度測定用の試験片を切り出し、ISO 23242:2020に準じた方法で3点曲げ強度を測定した。この際、支点間距離は15mmの試験治具を使用した。
(11)窒化ケイ素焼結体の破壊靭性値
窒化ケイ素焼結体の破壊靭性値は、JIS R1607:2015のSEPB法に準じて市販の測定装置(エー・アンド・デイ製:テンシロン万能試験機、RTI-1310)を用いて測定した。SEPB法は、予き裂導入試験片の3点曲げ破壊試験によって試験片が破壊するまでの最大荷重を測定し,最大荷重,予き裂長さ,試験片寸法及び曲げ支点間距離から平面ひずみ破壊靭性KICを求める方法である。
実施例1、2、比較例1
シリコン粉末(半導体グレード、平均粒子径5μm)と、希釈剤である窒化ケイ素粉末(平均粒子径1.5μm)とを混合し、原料粉末(Si:80質量%、Si:20質量%)を得た。該原料粉末を反応容器に充填し、原料粉末層を形成させた。次いで、該反応容器を着火装置とガスの給排機構を有する耐圧性の密閉式反応器内に設置し、反応器内を減圧して脱気後、窒素ガスを供給して窒素置換した。その後、窒素ガスを除々に供給し、0.7MPaまで上昇せしめた。原料粉末の嵩密度を0.8g/cmとした後、反応容器内の原料粉末の端部に着火し、燃焼合成反応を行い、窒化ケイ素よりなる塊状生成物を得た。
得られた塊状物を、お互いに擦り合わせることで解砕した後、振動ボールミルで4時間粉砕を行った。上記振動ボールミルによる粉砕は、直径15mmの窒化ケイ素焼結体よりなるボールを、見掛け充填率85%充填し、窒化ケイ素粗粉を空隙に対して70%となるように充填し、振動幅8mm、振動数1200回/分で行った。
また、上記ボールミルによる粉砕は、重金属汚染防止対策として容器内部はウレタンライニングを施し、粉砕助剤としてエタノールを1質量%添加して行った。
このようにして得られた窒化ケイ素粉末(以下、粉末Aという。)について前記物性値を測定し、結果を比較例1として表1に示した。続いて、前記粉末Aを用いて、石臼式摩砕機(スーパーマスコロイダー;増幸産業製、MKZA10-15J)を使用して粉砕処理を実施した。砥石の直径は250mm、上下の砥石の間隙は20μmで、砥石の回転数は1800rpmの条件で粉砕処理を実施した。破砕面を構成する部材にはSi系の砥石を使用した。
具体的には、窒化ケイ素粉末(粉末A)4kgに対して純水1kgを加えて粉体と水がよく馴染むように十分に混合した。このときの水分含有率は20質量%であり、粉体の性状は粉状であった。上記条件にて摩砕機を用いて粉砕処理を実施したところ、ペースト状の処理物が得られた。上記処理を1回実施したものを実施例1とした。また、上記処理を3回繰り返したものを実施例2とした。なお、上記処理中に若干の水分が蒸発するため、回収した処理物の固形分濃度を測定した。
上記の処理後のサンプルの一部を採取し、乾燥させた窒化ケイ素粉末について、それぞれ前記物性値を測定し、結果を実施例1、2として表1に示した。続いて、上記窒化ケイ素粉末を使用して、以下の方法によりグリーンシート成形用スラリーを調製し、得られたグリーンシートを焼成して窒化ケイ素焼結基板を製造した。
窒化ケイ素粉末を100g、焼結助剤としてY(比表面積20m/g)を5.6g、焼結助剤としてMgSiN(比表面積12m/g)を3.4g、バインダーとしてアクリル樹脂エマルジョン(藤倉化成株式会社製:アクリベースEMK-02)を24g、消泡剤としてポリオキシアルキレン(サンノプコ株式会社製:SNデフォーマー485)を2.0g、水を47g混合し、48時間撹拌して窒化ケイ素水スラリーを得た。
尚、実施例1と2は前記の石臼式摩砕機で処理して得られたスラリーをそのまま使用したが、各スラリーの固形分濃度から窒化ケイ素の添加量を計算し、また不足した量の水を調整した。
また、比較例1においては窒化ケイ素水スラリー中の特に固形分の分散状態を安定化するために48時間攪拌が必要であったが、実施例1および2においては、主要な固形分である窒化ケイ素粉末の分散が石臼式摩砕機によって達成されているので、安定化するまでの撹拌時間は1時間で充分であった。また、上記実施例、比較例の窒化ケイ素粉末を使用して得られた各水系スラリーの固形分濃度は66質量%前後であった。
得られた窒化ケイ素粉末の水系スラリーを容器に投入し、容器内を-0.1MPa・Gの減圧状態として、30℃で2.5時間静置することで減圧処理工程を行い、グリーンシート成形用スラリーを得た。得られたグリーンシート成形用スラリーを、ポリエチレンメッシュ(目開き229μm)に通して凝集物等を取り除いた後、得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法にて300mm×2000mm×0.4mmのシート成形体を作製した。得られたシート成形体を、50℃に設定したプレート状ヒータの上に乗せ、3時間静置して乾燥してグリーンシートを得た。続いて、500℃で60時間脱脂し、次いで、窒素雰囲気下、1800℃、0.1MPa・Gの条件で、16時間焼成して、窒化ケイ素焼結体を得た。その後、得られた窒化ケイ素焼結体について物性等を評価し、その評価結果を表1に併せて示した。
実施例3
前記方法によって得られた粉末Aを4kg、焼結助剤としてY(比表面積20m/g)を224g、焼結助剤としてMgSiN(比表面積12m/g)を136g計り取り、さらに水を770g加えて粉体と水がよく馴染むように十分に混合した。得られた混合物の水分含有率は15質量%であり、性状は粉状であった。上記混合物を前記実施例1と同じ条件にて、摩砕機を用いて粉砕処理を2回繰り返して実施した。その結果、ペースト状の処理物が得られた。
続いて、上記処理物に、バインダーとしてアクリル樹脂エマルジョン(藤倉化成株式会社製:アクリベースEMK-02)を960g、消泡剤としてポリオキシアルキレン(サンノプコ株式会社製:SNデフォーマー485)を80g添加し十分に撹拌した後、前記と同じ条件にて摩砕機を用いて粉砕処理を実施した。前記粉砕処理の回数は2回で、均質なスラリー状の処理物が得られた。得られた処理物に、水を870g加え、十分に撹拌して窒化ケイ素水スラリーを調製した。該スラリーの固形分濃度は69質量%であった。
尚、上記スラリーの一部を取り出し、>10μmの粗粒量を定量した結果、480ppmであった。
引続き、前記の実施例1と同様に、減圧処理、グリーンシート成形用スラリーの調製、ドクターブレード法によるグリーンシート成形を実施し、さらに該シートを焼成して窒化ケイ素焼結体を得た。得られた窒化ケイ素焼結体は、相対密度が>99%、アルミニウム元素濃度が170ppm、熱伝導率が95W/mK、3点曲げ強度が810MPa、破壊靭性値が7.5MPa・m1/2であった。
以上のように、本発明では、石臼式摩砕機による粉砕工程を含むことにより、窒化ケイ素粉末中の粗粒量の低減を図ることが可能となり、そのような窒化ケイ素粉末を使用した焼結体では機械的特性の改善効果が確認できた。また、石臼式摩砕機による粉砕工程をグリーンシートの製造工程に適用することにより、高性能の焼結体を効率よく生産できることがわかった。

Claims (7)

  1. 燃焼合成法によって得られたβ型の窒化ケイ素塊状物を粉砕して窒化ケイ素粉末を製造する方法において、砥石間の距離が5~30μmに調整された石臼式摩砕機により粉砕する工程を含むことを特徴とする粗粒が減少した窒化ケイ素粉末の製造方法。
  2. 更に、前記石臼式摩砕機により粉砕する工程の前に、前記窒化ケイ素塊状物を平均粒子径100μm以下に粉砕する前粉砕工程を含む請求項1記載の粗粒が減少した窒化ケイ素粉末の製造方法。
  3. 前記石臼式摩砕機により粉砕する工程において、粉砕に供する窒化ケイ素の水分含有率が30質量%以下である請求項1記載の粗粒が減少した窒化ケイ素粉末の製造方法。
  4. 得られる窒化ケイ素粉末における10μm以上の粗粒が1000ppm以下であり、0.3μm以下の微粉が10質量%以下である請求項1記載の粗粒が減少した窒化ケイ素粉末の製造方法。
  5. 請求項1記載の製造方法によって得られた窒化ケイ素粉末、焼結助剤、バインダー、及び溶媒を混合してスラリーを調製するスラリー調製工程、及び上記スラリー調製工程より得られたスラリーをシート状に成形するシート成形工程を含む、窒化ケイ素グリーンシートの製造方法。
  6. 燃焼合成法によって得られたβ型の窒化ケイ素塊状物を粉砕して得られた窒化ケイ素粉末、焼結助剤、バインダー、及び溶媒を混合してスラリーを調製するスラリー調製工程、及び上記スラリー調製工程より得られたスラリーをシート状に成形するシート成形工程を含む、窒化ケイ素グリーンシートの製造方法であって、前記スラリー調製工程により得られたスラリーを、砥石間の距離が5~30μmに調整された石臼式摩砕機により粉砕する工程を含むことを特徴とする窒化ケイ素グリーンシートの製造方法。
  7. 請求項5又は6記載の製造方法によって得られた窒化ケイ素グリーンシートを脱脂する脱脂工程、及び脱脂工程より得られた脱脂体を焼成して焼結体を得る焼成工程を含む窒化ケイ素焼結体の製造方法。
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