JP7187356B2 - 球状炭化ホウ素粉末の製造方法 - Google Patents

球状炭化ホウ素粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、球状炭化ホウ素粉末、及びホウ素と炭素を含有する球状造粒体の製造方法、並びに、上記球状炭化ホウ素粉末を用いた炭化ホウ素構造体、及びその製造方法に関する。
炭化ホウ素(BC)は、高硬度、低比重、高融点等の優れた特性から、切削工具、耐磨耗部材や軽量部材等に用いられる非酸化物セラミックスである。炭化ホウ素粉末の工業的な製造方法としては、主に炭素還元法が用いられているが、合成温度が1800℃~2800℃と高いことから加熱中にホウ素の揮発損失が生じたり、得られた高硬度の焼成物を粉砕したりしなければならない等の課題を有している。
これらの課題に対して、ホウ酸と有機化合物(炭素源)から調整したゲルを前駆体として使用する低温合成法が開発されている。例えば、特許文献1には、ホウ素源にホウ酸又は酸化ホウ素を、炭素源に糖類を用い、それらを溶媒中に溶解した後に乾燥してホウ素源と炭素源の混合粉末を形成した後、200℃~1100℃で加熱反応させてB-O-Cの結合体からなる非晶質体を生成し、続いてこの非晶質体を1300℃以上で加熱してBC結晶体を得る、炭化ホウ素の製造方法が開示されている。
特開2003-277039号公報
しかしながら、特許文献1の製造方法は、原料の溶解、乾燥後に焼成を行った後、得られた非晶質体を粉砕して粉末にしてから再度の焼成が必要であり、工程が非常に煩雑であると共に、得られる炭化ホウ素は粉砕後の非晶質体の形状を保持した非定型粒子であるため、炭化ホウ素構造体の製造に用いるための粉末原料としては改善の余地がある。
本発明は、上記の課題に鑑み、炭化ホウ素構造体の製造に有用な、球状の炭化ホウ素粉末の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、球状の炭化ホウ素粉末、及び炭化ホウ素構造体の製造に有用な、ホウ素と炭素を含有する前駆体の球状造粒体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いた炭化ホウ素構造体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、例えば、ホウ素源(例えば、ホウ酸及び/又は酸化ホウ素)と炭素源との分散液又は水溶液を噴霧乾燥して得られる、球状の炭化ホウ素前駆体の造粒体を、不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成することにより、球状の炭化ホウ素粉末を簡便に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、次の各項に記載の態様を含む。
項1.球状炭化ホウ素粉末の製造方法であって、
水、ホウ素源、及び炭素源を含む、分散液又は水溶液を調製する工程(1)、
上記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥することにより、ホウ素と炭素を含有する球状造粒体を製造する工程(2)、並びに、
上記工程(2)で得られた球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する工程(3)、
を含む、球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項2.上記ホウ素源は、ホウ酸及び/又は酸化ホウ素を含む、項1に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項3.上記球状炭化ホウ素粉末は、平均粒径が1μm~100μmである、項1又は2に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項4.上記球状炭化ホウ素粉末は、円形度が0.70以上である、項1~3のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項5.上記工程(2)において、上記噴霧乾燥は、120℃~180℃の空気の供給量G(L/分)と、上記分散液又は水溶液の供給量S(g/分)との比(G/S)が、0.5≦(G/S)≦50となる条件下で行なわれる、項1~4のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項6.上記工程(3)において、上記焼成は、1300℃~1900℃で行なわれる、項1~5のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項7.上記ホウ素源中のホウ素原子と、上記炭素源中の炭素原子とのモル比(B:C)は、10:15~10:19である、項1~6のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項8.上記炭素源は、セルロース類又はグルコースを含む、項1~7のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項9.ホウ素と炭素を含有する球状造粒体の製造方法であって、
水、ホウ素源、及び炭素源を含む、分散液又は水溶液を調製する工程(1)、並びに、
上記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥することにより、ホウ素と炭素を含有する球状造粒体を製造する工程(2)
を含む、球状造粒体の製造方法。
項10.上記ホウ素源は、ホウ酸及び/又は酸化ホウ素を含む、項9に記載の球状造粒体の製造方法。
項11.上記球状造粒体は、平均粒径が1μm~100μmである、項9又は10に記載の球状造粒体の製造方法。
項12.上記球状造粒体は、円形度が0.70以上である、項9~11のいずれか1項に記載の球状造粒体の製造方法。
項13.上記炭素源は、セルロース類又はグルコースを含む、項9~12のいずれか1項に記載の球状造粒体の製造方法。
項14.項9~13のいずれかに記載の製造方法で得られた球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する工程(3’)、
を含む、球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
項15.項1~8、又は14のいずれか1項に記載の製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いて炭化ホウ素構造体を製造する工程(4)を含む、炭化ホウ素構造体の製造方法。
項16.項14に記載の製造方法で得られた球状造粒体を用いて炭化ホウ素構造体を製造する工程(4’)を含む、炭化ホウ素構造体の製造方法。
項17.項1~8、又は14のいずれか1項に記載の製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を含む、炭化ホウ素構造体。
本発明の球状炭化ホウ素粉末の製造方法により得られる炭化ホウ素粉末は、従来のような焼成物の粉砕を必要としないので、粉砕工程における粉砕媒体片等の不純物の混入が生じることがない。すなわち、本発明の球状炭化ホウ素粉末の製造方法は、一度の焼成のみで不純物を含有しない、球状の炭化ホウ素粉末を、製造プロセスにおけるエネルギーコストを低減しつつ、簡便に得ることができる。
また、本発明の球状造粒体の製造方法を用いることにより、一度の焼成のみで不純物を含有しない、球状の炭化ホウ素粉末を、製造プロセスにおけるエネルギーコストを低減しつつ、簡便に得ることができる。
また、本発明の炭化ホウ素構造体、及びその製造方法は、上記製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いて製造されるため、製造プロセスにおけるエネルギーコストを低減しつつ、簡便に得ることができる。
実施例3で得られた球状炭化ホウ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例3で得られた球状炭化ホウ素粉末のX線回折(XRD)測定の結果を示すチャートであり、炭化ホウ素(BC)単相で構成されている。 比較例1で得られた炭化ホウ素粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例2で得られた炭化ホウ素粉末のX線回折測定の結果を示すチャートであり、炭化ホウ素(BC)と炭素(C)から構成されている。
[炭化ホウ素]
本発明の製造方法により得られる球状炭化ホウ素粉末は、炭化ホウ素の結晶相を主相とするものであり、その全てが、またはほとんど全てが炭化ホウ素の結晶相のみからなる。
本発明における、炭化ホウ素の結晶相を「主相とする」とは、X線回折測定において、同定されたピークの全てが、またはほとんど全てが炭化ホウ素由来であることを意味する。ここで、「ほとんど全て」とは、炭化ホウ素として同定されない微小な回折ピークが認められるか、又は小さなハロー状のバックグランドから非晶質相が少量混在することが否定できないことを意味する。
炭化ホウ素は、理想的には化学式:BCで表されるが、本発明の球状炭化ホウ素粉末の製造方法において得られる「炭化ホウ素」とは、化学式:B3.5C~B10Cで表される、含有される炭素原子量が10質量%~24質量%までの広い組成範囲にわたる固溶体を指す概念である。上記固溶体に含まれる個々の炭化ホウ素の化学式については、X線回折測定による同定が困難であり、炭素分析計などを用いた炭素量の定量結果から平均値として同定することができる。
本発明の製造方法により得られる球状炭化ホウ素粉末は、炭素原子の含有量が10質量%(B10C)~24質量%(B3.5C)であり、好ましくは炭素原子の含有量が18.2質量%(BC)~21.7質量%(BC)である。
また、本発明の製造方法により得られる球状炭化ホウ素粉末は、一次粒子が結合した二次粒子であり、その平均粒径は、炭化ホウ素構造体の原料として用いる観点から、1μm~100μmが好ましく、1μm~75μmがより好ましく、1μm~50μmがさらに好ましい。なお、球状炭化ホウ素粉末の平均粒径とは、当該球状炭化ホウ素粉末に関するレーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られる値であり、累積50%での粒径(メジアン径)を意味する。
また、本発明の製造方法により得られる球状炭化ホウ素粉末を形成する一次粒子の大きさは、高い円形度の二次粒子を得る観点から、30nm~1000nmが好ましく、40nm~750nmがより好ましく、50nm~500nmがさらに好ましい。なお、一次粒子の大きさとは、得られた球状炭化ホウ素粉末のX線回折測定のプロファイルに、シェラーの式を適用して得られた計算値を意味する。
さらに、本発明の製造方法により得られる球状炭化ホウ素粉末は、円形度が、炭化ホウ素構造体の原料として用いる観点から、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。また、上記円形度とは、乾式分級装置を使用して球状炭化ホウ素粉末の一粒一粒が分散した状態を光学顕微鏡で撮影し、その撮影画像を解析して得られた粒子の面積と周囲長を用いて、下記式(1)で得られる計算値を意味する。
√[(4π×(粒子の面積))/(粒子の周囲長)] ・・・(1)
さらに、本発明の製造方法により得られる球状炭化ホウ素粉末は、内部空隙率が、炭化ホウ素構造体の原料として用いる観点から、球状炭化ホウ素粉末の100体積%中、1体積%~40体積%が好ましく、1体積%~35体積%がより好ましい。本発明において、内部空隙率とは、球状炭化ホウ素粉末に関する水銀圧入法による測定値を意味する。
[製造方法]
本発明は、球状炭化ホウ素粉末の製造方法であって、
水、ホウ素源、及び炭素源を含む、分散液又は水溶液を調製する工程(1)、
上記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥することにより、ホウ素と炭素を含有する球状造粒体を製造する工程(2)、並びに、
上記工程(2)で得られた球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する工程(3)、
を含む、球状炭化ホウ素粉末の製造方法に関する。
上記工程(1)は、水、ホウ素源、及び炭素源を含む、分散液又は水溶液を調製する工程であれば、公知の手法を適宜用いてもよい。また、本発明における上記調整する工程には、水、ホウ素源、及び炭素源をそれぞれ別個に準備して混合等する場合に限られず、例えば、すでに所望の割合の配合量となっている複数又は全部の要素を含むものを上記工程(2)のために入手や準備する行為も含む。
上記工程(1)として、例えば、水に、ホウ酸及び/又は酸化ホウ素からなるホウ素源と、ホウ素源の添加量に対して特定の割合となる量の炭素源を混合して、均一な分散液又は水溶液を生成する工程を用いることができる。
上記ホウ素源としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、酸化ホウ素からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。これらは必要に応じて40℃~90℃に加熱しながら、水に溶解させることができる。その際、炭素源との原料比を精度よく制御するために、水に完全に溶解させることが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記炭素源としては、例えば、不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下での加熱により炭化するものであって、上記ホウ素源との1500℃以下の焼成反応において炭化ホウ素を生成するものであればよい。上記炭素源として、例えば、水に溶けない材料としては、セルロース、アルキルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロース類;ノボラック、レゾール等のフェノール樹脂類などが好ましく、水溶性材料としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類;マルトース、スクロース、セロビオース等の二糖類;デンプン、デキストリン等の多糖類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリビニルアルコール、グリセリン等のポリオールやポリエーテル;クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等の有機酸が好ましい。なかでも、水への溶解性又は分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、セルロース、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリンが好ましく、セルロース、グルコースがより好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
ここで、水に溶けない材料の炭素源は、その形状や大きさが、得られる炭化ホウ素粉末のテンプレートとして機能することから、形状は球形を呈することが好ましく、また、その大きさ(長径の平均値)は1μm~100μmが好ましく、3μm~75μmがより好ましく、3μm~50μmがさらに好ましい。
上記工程(1)において、上記ホウ素源中のホウ素原子と、上記炭素源中の炭素原子とのモル比(B:C)は、10:15~10:19であることが好ましく、10:16~10:18であることがより好ましい。かかるホウ素原子と炭素原子のモル比(B:C)にすることにより、ホウ素原子の全てが炭化ホウ素となり、また炭化ホウ素とならなかった炭素は、次工程の工程(2)の焼成において、例えば、酸化ホウ素を用いた場合には、下記反応式(2)に示すようにホウ素源に含まれる酸素によって反応系から除去される。
2B+7C→BC+6CO↑ ・・・(2)
上記工程(1)で得られる分散液又は水溶液における、ホウ素源及び炭素源の合計含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5質量部~55質量部であり、より好ましくは8質量部~50質量部である。
なお、上記の水(W(g))と、ホウ素源及び炭素源との合計含有量(M(g))の比(M/W)を調整することで、次の工程(2)で得られるホウ素と炭素が均一に混合している球状の造粒体の大きさを制御することができ、さらには、その後に上記造粒体を焼成して得られる球状炭化ホウ素粉末の大きさを調整することが可能となる。例えば、比(M/W)が大きい場合、次の工程(2)の噴霧乾燥で得られるホウ素と炭素とが混合した造粒体が大径化するため、上記造粒体を焼成して得られる球状炭化ホウ素粉末も大径のものが得られる。
上記工程(1)において、例えば、水に炭素源を混合する前に、あらかじめホウ素源を溶解したホウ素の水溶液を調整し、その水溶液に炭素源を混合するのが好ましい。上記の調整を行うことにより、未溶解のホウ素源を確実になくすことができ、次工程の工程(2)において噴霧乾燥して製造するホウ素と炭素とが混合した球状造粒体について、造粒体間の化学組成のばらつきを低減することができる。
上記のホウ素の水溶液を作成する際の撹拌時間は、用いるホウ素源で異なるが、好ましくは1分間~120分間であり、より好ましくは5分間~60分間である。また、この撹拌の際の温度は、好ましくは20℃~90℃であり、より好ましくは40℃~90℃である。水溶液の加温には、例えば、ホットプレートなどの加熱装置や、溶媒としてお湯を用いればよい。
上記のホウ素の水溶液に炭素源を混合した後の撹拌時間は、一般的な撹拌翼を用いる場合、好ましくは1分間~120分間であり、より好ましくは5分間~60分間である。より具体的には、水溶性の炭素源を用いてホウ素と炭素とが溶解した水溶液をつくる場合、好ましくは1分間~60分間であり、より好ましくは5分間~30分間である。また、水に溶けない炭素源を用いて、ホウ素の水溶液中に炭素源が懸濁している分散液をつくる場合、好ましくは5分間~120分間であり、より好ましくは10分間~60分間である。
ここで、水に溶けない炭素源を用いる場合には、上記炭素源をホウ素の水溶液中に充分に拡散させて、炭素源を均一に分散させる観点から、分散機(ホモジナイザー)を用いるのが好ましい。上記分散機としては、例えば、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等をあげることができる。なかでも、分散効率の観点から、超音波攪拌機が好ましい。得られた分散液の分散均一性の程度は、例えば、UV・可視光分光装置を使用した光線透過率や、E型粘度計を使用した粘度で定量的に評価することもでき、また目視によって白濁度が均一であることを確認することで、簡便に評価することもできる。分散機で処理する時間は、好ましくは1分間~60分間であり、より好ましくは1分間~30分間である。
上記工程(2)は、前記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥することにより、ホウ素と炭素を含有する球状造粒体を製造する工程であれば、公知の手法を適宜用いてもよい。
上記工程(2)として、例えば、上記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥して、ホウ素と炭素が特定の割合で混合した球状造粒体を形成する工程を用いることができる。
上記工程(2)では、まず、上記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥して、分散液中又は水溶液中の水を除去する。上記噴霧乾燥によって、所定の割合でホウ素と炭素が均一に混合している球状の造粒体を得ることができる。
上記噴霧乾燥に用いる空気(送風)は熱風であることが好ましく、上記空気(送風)の温度は、120℃~180℃が好ましく、140℃~180℃がより好ましい。
また、上記噴霧乾燥に用いる空気(送風)の供給量G(L/分)と、上記分散液又は水溶液の供給量S(g/分)との比(G/S)は、0.5≦(G/S)≦50となる条件下で行なわれることが好ましく、0.6≦(G/S)≦40となる条件下で行なわれることがより好ましい。
上記の熱風の供給量G(L/分)と分散液又は水溶液の供給量S(L/分)の比(G/S)を調整することで、得られる球状の造粒体の大きさを制御することができうる。さらに、その後に当該造粒体を焼成して得られる球状炭化ホウ素粉末の大きさを調整することが可能となる。すなわち、例えば、上記比(G/S)が大きい場合、噴霧乾燥で得られるホウ素と炭素が混合した球状造粒体が小径化するため、上記球状造粒体を焼成して得られる球状炭化ホウ素粉末も小径のものが得られる。
また、本発明の製造方法により得られる、上記球状造粒体の平均粒径は、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布におけるメジアン径で、好ましくは1μm~100μmであり、より好ましくは3μm~75μmであり、さらに好ましくは3μm~50μmである。
さらに、本発明の製造方法により得られる上記球状造粒体は、内部空隙率が、炭化ホウ素構造体の原料として用いる観点から、上記球状造粒体の100体積%中、1体積%~40体積%が好ましく、1体積%~35体積%がより好ましい。本発明において、内部空隙率とは、上記球球状造粒体に関する水銀圧入法による測定値を意味する。
さらに、本発明の製造方法により得られる球状造粒体は、円形度が、炭化ホウ素構造体の原料として用いる観点から、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。上記円形度は、上述の球状炭化ホウ素粉末と同様である。
上記工程(3)は、上記工程(2)で得られた球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する工程であれば、公知の手法を適宜用いてもよい。
上記工程(3)において、上記球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する。上記焼成によって、当該球状造粒体中のホウ素源と炭素源とが化学反応を生じ、例えば、平均粒径が1μm~55μm、内部空隙率が1体積%~40体積%、円形度が0.7以上の球状炭化ホウ素粉末を得ることができる。
上記焼成の温度としては、反応率を十分高めつつも低温で焼成する観点から、1300℃~1900℃が好ましく、1300℃~1800℃がより好ましく、1300℃~1500℃がさらに好ましい。なお、焼成時間としては、焼成温度にもよるが、30分間~20時間が好ましく、2時間~10時間がより好ましい。
上記焼成は、不活性ガス雰囲気下、又は還元ガス雰囲気下で行なわれ、例えば、アルゴンガス、ネオンガス、窒素ガス、一酸化炭素又はその混合ガスが使用できる。なお、ガスを置換して反応の進行を促進する観点から、不活性ガス又は還元ガスを流動・置換させながら焼成を行なうのが好ましい。
また、得られる球状炭化ホウ素粉末の内部空隙率を低減するために、室温から上記焼成温度まで徐々に昇温させてもよい。この際の昇温速度は、60℃/時間~900℃/時間が好ましく、150℃/時間~300℃/時間がより好ましい。
上記焼成で得られた球状炭化ホウ素粉末は、水で洗浄してもよい。上記水洗浄によって、球状炭化ホウ素粉末中にホウ素源が残存していても、それを除去することができる。上記水洗浄に用いる水量は、得られた球状炭化ホウ素粉末100質量部に対して、洗浄水の温度が25℃の場合は100質量部~1000質量部、洗浄水の温度が80℃の場合は50質量部~300質量部である。
また、洗浄後の球状炭化ホウ素粉末は、必要により乾燥してもよい。上記乾燥の手段は、例えば、恒温乾燥、温風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等をあげることができる。
一方、本発明は、ホウ素と炭素を含有する球状造粒体の製造方法であって、
水、ホウ素源、及び炭素源を含む、分散液又は水溶液を調製する工程(1)、並びに、
前記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥することにより、ホウ素と炭素を含有する球状造粒体を製造する工程(2)
を含む、球状造粒体の製造方法に関する。
上記工程(1)、及び(2)は、上述の記載に従って適宜同様に行うことができる。
また、本発明は、上記製造方法で得られた球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する工程(3’)、
を含む、球状炭化ホウ素粉末の製造方法に関する。
上記工程(3’)は、上記製造方法で得られた球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する工程であれば、公知の手法を適宜用いてもよい。
上記工程(3’)における、「不活性ガス」、「還元ガス」及び「焼成」等の各構成は、上記工程(3)に関する記載等に従って適宜同様に行うことができる。
他方、本発明は、上記製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いて炭化ホウ素構造体を製造する工程(4)を含む、炭化ホウ素構造体の製造方法に関する。
上記工程(4)は、上記製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いて炭化ホウ素構造体を製造する工程であれば、公知の手法を適宜用いてもよい。
上記工程(4)において、上記炭化ホウ素構造体の製造は、上記球状炭化ホウ素粉末を用いて炭化ホウ素構造体を製造する手法であれば、特に制限されず、公知の手法を適宜用いてもよい。上記工程(4)において、上記球状炭化ホウ素粉末が変性・変質等する場合も含まれる。例えば、混合、配合、分散、積層、凝集、変性、変質、加工、加熱、圧縮、熱圧縮、減圧、焼成、酸化、還元、溶融、成型、研磨等の処理をあげることができる。
また、本発明は、上記製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いて炭化ホウ素構造体を製造する工程(4’)を含む、炭化ホウ素構造体の製造方法に関する。
また、上記工程(4’)は、上記製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いて炭化ホウ素構造体を製造する工程であれば、公知の手法を適宜用いてもよい。
上記工程(4’)は、上記工程(4)に関する記載等に従って適宜同様に行うことができる。
さらに、本発明は、上記製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を含む、炭化ホウ素構造体に関する。
本発明の炭化ホウ素構造体は、上記製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を含むであればよく、球状炭化ホウ素粉末を混合、配合、分散、積層、凝集等したものだけでなく、球状炭化ホウ素粉末を混合、配合、分散、積層、凝集等をしたのちに、変性、変質、加工、加熱、圧縮、熱圧縮、減圧、焼成、酸化、還元、溶融、成型、研磨等の処理が適宜なされて形成されたものも含む。
また、本発明の炭化ホウ素構造体は、例えば、軽量防護具、原子炉用中性子吸収体、研磨材、切削工具、耐磨耗部材、軽量部材、スラリーのポンプ輸送やサンドブラスト用のノズル材、金属複合材料、高エネルギー固体燃料等に用いられるが、これらに限定されない。
以下、実施例及び比較例を参照して、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、各実施例及び比較例の内容に限定されない。なお、各実施例及び比較例における各種物性等の測定は、次のようにして行なった。
<SEM(走査型電子顕微鏡)写真撮影>
実施例3及び比較例1で得られた焼成体について、SEM観察を行ない、各倍率(スケールは写真中に示す)における典型的な画像について写真撮影を行なった。
<X線回折(XRD)による同定>
実施例及び比較例で得られた焼成体について、粉末試料成形機(TK-750、東京科学製)にて、70kgwの圧力でプレスした粉末X線回折測定用試料を準備した。次いで、得られた各測定用試料について、X線回折測定装置(D8-Advance、BRUKER製)で測定を行った。その際の測定条件は、ターゲットCuKα、管電圧35kV、管電流350mA、走査範囲10~80°(2θ)、ステップ幅0.02°、およびスキャンスピード0.13秒/ステップとした。得られたチャートより、各ピーク(2θ)に対応する面間隔を有する結晶相を対応付けることで、結晶相の同定を行なった。
<平均粒径の測定>
実施例及び比較例で得られた焼成体の平均粒径は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置 MT3300EXII(マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定した。
<円形度の測定>
実施例及び比較例で得られた焼成体の円形度は、粒子画像分析装置 モフォロギG3(Malvern Panalytical製)を用いて測定した。
<鉄の定量分析>
製造プロセスに粉砕工程を有する比較例1で得られた焼成体について、ICP-AES(ULTIMA2、堀場製作所社製)により、粉砕媒体(高クロム鋼ボール)由来の鉄原子の含有量を定量した。比較として、製造プロセスに粉砕工程を有しない実施例1についても同様の分析をした。
<使用エネルギー量の比較>
実施例及び比較例の製造に要したエネルギー量について、単位試料量(1g)あたりの装置毎の使用エネルギー量を当該装置の仕様から算出し、それらを総和した。
[実施例1]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:粉末セルロース)
オルトホウ酸(純度:99.5%、関東化学社製)98.88gを、容器中の20℃の水2000gに入れ、撹拌子で10分間撹拌して、全てのオルトホウ酸を溶解させた水溶液Aを得た。得られた水溶液Aに、粉末セルロース(FD-101、旭化成社製)75.60gを入れ、超音波攪拌機(T25、IKA製)で5分間撹拌して、粉末セルロースが良好に分散した分散液Bを得た(原料のB:Cモル比は4:7)。得られた分散液B中のホウ素源と炭素源の合計量(M)と分散液B(W)の比である上記(M/W)の値は0.08である。
上記分散液Bを、噴霧乾燥装置(MDL-050M、藤崎電機社製)を用いて噴霧乾燥して、ホウ素と炭素が混合した球状造粒体Cを得た。この際の噴霧乾燥装置の運転条件は、熱風温度:180℃、熱風の供給速度:20L/分、分散液Bの供給速度:6g/分である。熱風供給量G(L/分)と分散液供給量S(g/分)の比である(G/S)の値は3.3である。
得られた球状造粒体Cを、不活性ガス(アルゴン)がフローしている管状炉(AHRF-30KC-32P、アサヒ理化製作所社製)を用い、室温から1400℃まで6時間で昇温した後1400℃で6時間焼成して、球状炭化ホウ素粉末D1を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D1は、平均粒径が15μm、円形度が0.95、構成相は炭化ホウ素単相であった。球状炭化ホウ素粉末D1の製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。なお、球状炭化ホウ素粉末D1の鉄含有量は10ppmであった。
[実施例2]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:粉末セルロース)
実施例1の熱風の供給速度を20L/分から60L/分に変更(G/S:10)した以外は、全て実施例1と同じ条件で、球状炭化ホウ素粉末D2を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D2は、平均粒径が11μm、円形度が0.94、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。
[実施例3]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:粉末セルロース)
実施例1の熱風の供給速度を20L/分から100L/分に変更(G/S:16.7)した以外は、全て実施例1と同じ条件で、球状炭化ホウ素粉末D3を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D3は、平均粒径が5μm、円形度が0.94、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。
上記球状炭化ホウ素粉末D3の走査型電子顕微鏡写真を図1に、X線回折チャートを図2に示す。
[実施例4]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:粉末セルロース)
実施例1の20℃の水2000gを50℃の水1000gに変更(M/W:0.15)し、分散液Bの供給速度を6g/分から9g/分に変更(G/S:2.2)した以外は、全て実施例1と同じ条件で、球状炭化ホウ素粉末D4を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D4は、平均粒径が25μm、円形度が0.95、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。
[実施例5]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:粉末セルロース)
実施例1の20℃の水2000gを80℃の水340gに変更(M/W:0.34)し、分散液Bの供給速度を6g/分から25g/分に変更(G/S:0.8)した以外は、全て実施例1と同じ条件で、球状炭化ホウ素粉末D5を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D5は、平均粒径が48μm、円形度が0.95、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。
[実施例6]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:粉末セルロース)
実施例1の20℃の水2000gを20℃の水3000gに変更(M/W:0.05)し、分散液Bの供給速度を6g/分から4g/分に変更し、熱風の供給速度を20L/分から100L/分に変更(G/S:25)した以外は、全て実施例1と同じ条件で、球状炭化ホウ素粉末D6を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D6は、平均粒径が3μm、円形度が0.94、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。
[実施例7]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:粉末セルロース)
実施例1の水溶液Aに添加する粉末セルロース量75.60gを、79.90gに変更(M/W:0.08、原料のB:Cモル比は20:37)した以外は、全て実施例1と同じ条件で、球状炭化ホウ素粉末D7を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D7は、平均粒径が14μm、円形度が0.95、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。
[実施例8]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:粉末セルロース)
実施例1の水溶液Aに添加する粉末セルロース量75.60gを、66.96gに変更(M/W:0.08、原料のB:Cモル比は20:31)した以外は、全て実施例1と同じ条件で、球状炭化ホウ素粉末D8を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D8は、平均粒径が13μm、円形度が0.95、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。
[実施例9]
(ホウ素源:ホウ酸、炭素源:グルコース)
オルトホウ酸(純度:99.5%、関東化学社製)98.88gを、容器中の20℃の水2000gに入れ、撹拌子で10分間撹拌して、全てのオルトホウ酸を溶解させた水溶液Aを得た。水溶液Aに、グルコース(特級試薬、富士フィルム和光純薬社製)84.07gを入れ、撹拌子で10分間撹拌して、ホウ素源と炭素源が良好に溶解した水溶液B2を得た(原料のB:Cモル比は4:7)。水溶液B2中のホウ素源と炭素源の合計量(M)と分散液B(W)の比である上記M/Wの値は、0.08である。
得られた水溶液B2を、噴霧乾燥装置(MDL-050M、藤崎電機社製)を用いて噴霧乾燥して、ホウ素と炭素が混合した球状造粒体C2を得た。この際の噴霧乾燥装置の運転条件は、熱風温度:180℃、熱風の供給速度:20L/分、水溶液B2の供給速度:6g/分である。熱風供給量G(L/分)と分散液供給量S(g/分)の比である(G/S)の値は、3.3である。
得られた球状造粒体C2を、不活性ガス(アルゴン)がフローしている管状炉 (AHRF-30KC-32P、アサヒ理化製作所社製)を用い、室温から1400℃まで6時間で昇温した後1400℃で6時間焼成して、球状炭化ホウ素粉末D7を得た。
得られた球状炭化ホウ素粉末D7は、平均粒径が15μm、円形度が0.95、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。
[比較例1]
(炭素還元法)
オルトホウ酸(同上)2.4733gとグラファイト(特級試薬、富士フィルム和光純薬社製)0.8407gを十分に乾式混合後、多目的高温炉(ハイマルチ5000、富士電波工業社製)を用い、室温から2200℃まで1時間で昇温した後2200℃で12時間焼成して、焼成体Eを得た。
得られた焼成体Eを、遊星ボールミル(P-5、媒体はφ10mmの高クロム鋼ボール、フリッチュ・ジャパン社製)を用いて1時間粉砕して、炭化ホウ素粉末F1を得た。なお、焼成体Eの粉砕を1時間以上実施しても、それ以上の小径化は困難であった。
得られた炭化ホウ素粉末F1は、平均粒径が35μm、円形度が0.59、構成相は炭化ホウ素単相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は22kWh/gであった。
上記炭化ホウ素粉末F1の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。なお、炭化ホウ素粉末F1の鉄含有量は、3200ppmであった。
[比較例2]
(特許文献1の製造方法を模擬)
オルトホウ酸(同上)61.83gとスクロース(試薬特級、富士フィルム和光純薬社製)56.77gを、容器中の20℃の水2000gに入れ、撹拌子で10分間撹拌して、全てのオルトホウ酸とスクロースを溶解させた水溶液A3を得た(原料のB:Cモル比は1:2)。
得られた水溶液A3を、噴霧乾燥装置(同上)を用いて噴霧乾燥して、ホウ素と炭素が混合した球状造粒体C3を得た。この際の噴霧乾燥装置の運転条件は、熱風温度:200℃、熱風の供給速度:20L/分、水溶液A3の供給速度:6g/分である。熱風供給量G(L/分)と水溶液供給量S(g/分)の比である(G/S)の値は、3.3である。
得られた球状造粒体C3を、不活性ガス(アルゴン)がフローしている管状炉(同上)を用い、室温から1400℃まで6時間で昇温した後1400℃で6時間焼成して、炭化ホウ素粉末F2を得た。
得られた炭化ホウ素粉末F2は、平均粒径が15μm、円形度が0.94、構成相は炭化ホウ素及び炭素からなる複相であり、製造プロセスにおける使用エネルギー量は10kWh/gであった。炭化ホウ素粉末F2のX線回折チャートを図4に示す。
以上の実施例及び比較例の結果を、製造条件と共に表1に示す。
Figure 0007187356000001
表1の結果が示すように、実施例1~9においては、炭化ホウ素単相からなる、球形度の高い粉末粒子が得られた。一方、従来法である比較例1及び比較例2では、球形度が低下したり、構成相に不純物相が含まれたりしていた。加えて、実施例1~9の製造方法におけるエネルギー使用量は、比較例1の半分以下になっていたことから、本発明の球状炭化ホウ素粉末の製造方法は、省エネの観点からも優れた方法であることが分かった。

Claims (16)

  1. 球状炭化ホウ素粉末の製造方法であって、
    水、ホウ素源、及び炭素源を含む、分散液又は水溶液を調製する工程(1)、
    前記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥することにより、ホウ素と炭素を含有する球状造粒体を製造する工程(2)、並びに、
    前記工程(2)で得られた球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する工程(3)、
    を含み、
    前記工程(1)において、前記水(W(g))と、ホウ素源及び炭素源との合計含有量(M(g))の比(M/W)は、0.05~0.34であり、
    前記工程(2)において、前記噴霧乾燥は、120℃~180℃の空気の供給量G(L/分)と、前記分散液又は水溶液の供給量S(g/分)との比(G/S)が、0.5≦G/S≦50となる条件下で行なわれ、
    前記球状炭化ホウ素粉末は、円形度が0.90以上である、
    球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  2. 前記ホウ素源は、ホウ酸及び/又は酸化ホウ素を含む、請求項1に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  3. 前記球状炭化ホウ素粉末は、平均粒径が1μm~100μmである、請求項1又は2に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  4. 前記水(W(g))と、ホウ素源及び炭素源との合計含有量(M(g))の比(M/W)は、0.080.15である、請求項1~3のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  5. 前記分散液又は水溶液の供給量S(g/分)との比(G/S)が、0.5≦G/S≦40となる条件下で行なわれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  6. 前記工程(3)において、前記焼成は、1300℃~1900℃で行なわれる、請求項1~5のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  7. 前記ホウ素源中のホウ素原子と、前記炭素源中の炭素原子とのモル比(B:C)は、10:15~10:19である、請求項1~6のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  8. 前記炭素源は、セルロース類又はグルコースを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  9. ホウ素と炭素を含有する球状造粒体の製造方法であって、
    水、ホウ素源、及び炭素源を含む、分散液又は水溶液を調製する工程(1)、並びに、
    前記工程(1)で得られた分散液又は水溶液を噴霧乾燥することにより、ホウ素と炭素を含有する球状造粒体を製造する工程(2)
    を含み、
    前記工程(1)において、前記水(W(g))と、ホウ素源及び炭素源との合計含有量(M(g))の比(M/W)は、0.05~0.34であり、
    前記工程(2)において、前記噴霧乾燥は、120℃~180℃の空気の供給量G(L/分)と、前記分散液又は水溶液の供給量S(g/分)との比(G/S)が、0.5≦G/S≦50となる条件下で行なわれる、
    球状造粒体の製造方法。
  10. 前記ホウ素源は、ホウ酸及び/又は酸化ホウ素を含む、請求項9に記載の球状造粒体の製造方法。
  11. 前記球状造粒体は、平均粒径が1μm~100μmである、請求項9又は10に記載の球状造粒体の製造方法。
  12. 前記球状造粒体は、円形度が0.90以上である、請求項9~11のいずれか1項に記載の球状造粒体の製造方法。
  13. 前記炭素源は、セルロース類又はグルコースを含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の球状造粒体の製造方法。
  14. 請求項9~13のいずれかに記載の製造方法で得られた球状造粒体を不活性ガス雰囲気下又は還元ガス雰囲気下で焼成する工程(3’)、
    を含む、球状炭化ホウ素粉末の製造方法。
  15. 請求項1~8、又は14のいずれか1項に記載の製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いて炭化ホウ素構造体を製造する工程(4)を含む、炭化ホウ素構造体の製造方法。
  16. 請求項14に記載の製造方法で得られた球状炭化ホウ素粉末を用いて炭化ホウ素構造体を製造する工程(4’)を含む、炭化ホウ素構造体の製造方法。
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