JP7353994B2 - 窒化ケイ素の製造方法 - Google Patents
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Description
窒化ケイ素の製造方法としては、直接窒化法、還元窒化法など種々の方法が知られている。例えば、シリカ粉末を原料として、炭素粉末存在下において、窒素ガスを流通させて窒化ケイ素を生成させる還元窒化法(例えば特許文献1)、シリコン粉末と窒素とを高温で反応させる直接窒化法(例えば特許文献2)、ハロゲン化ケイ素とアンモニアとを反応させるイミド分解法等が知られている。
例えば、特許文献3では、シリコン粉末を充填したカーボン製坩堝を、反応容器内に置いて、加圧窒素雰囲気中で、YAGレーザーをシリコン粉末表面に照射することにより着火させた後、その後自己発熱により燃焼合成反応を行い、微細な粉末の生成物が得られたことが記載されている。
一般に、該シリコン固化物は、燃焼合成法により生成した窒化ケイ素塊とともに存在するため、窒化ケイ素塊の粉砕工程において、窒化ケイ素塊と共に粉砕され、その結果、窒化ケイ素粉末中にシリコンが混入していた。
本発明者らは、未反応シリコン粉末が比較的粒径の大きい固化物として窒化ケイ素塊に存在するという上記知見に基づきさらなる検討を進めた結果、上記窒化ケイ素塊に含まれる前記シリコン固化物の圧壊強度が窒化ケイ素粉のみからなる塊の圧壊強度の倍以上であることを確認した。
そして、前記知見及び確認に基づき、燃焼合成反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕することで、前記圧壊強度の差により窒化ケイ素粉のみからなる塊が選択的に粉状化され、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粗粒を分級により除去することによって未反応シリコンを効率よく除去できることを見出し、本発明を完成させた。
[1]シリコン粉末を窒素雰囲気下での燃焼合成法により窒化して窒化ケイ素を製造するに際し、窒化反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕し、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去することを特徴とする窒化ケイ素の製造方法。
[2]前記粗粒を分級して得られる窒化ケイ素回収粉の平均粒径が2~300μmである上記[1]に記載の窒化ケイ素の製造方法。
[3]前記窒化ケイ素塊の解砕を、メディアを使用しない粉砕機により行う上記[1]又は[2]に記載の窒化ケイ素の製造方法。
[4]前記粉砕機が振動ミルである上記[3]に記載の窒化ケイ素の製造方法。
[5]前記粗粒は、前記シリコン粉末が融着又は融合したシリコン固化物を少なくとも含有する、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の窒化ケイ素の製造方法。
[6]前記粗粒の分級がふるい分けである上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の窒化ケイ素の製造方法。
本発明の窒化ケイ素の製造方法は、シリコン粉末を窒素雰囲気下での燃焼合成法により窒化して窒化ケイ素を製造するに際し、窒化反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕し、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去することを特徴とする。
また、詳細は後述するが、本発明の窒化ケイ素の製造方法によって得られた窒化ケイ素を粉砕して、窒化ケイ素微粉末を作製し、これを成形及び焼成して窒化ケイ素の焼結体が得られる。
効率的に未反応シリコンを除去できる理由は、以下のように推定される。
シリコン粉末を原料として、直接窒化法により窒化ケイ素を製造する場合、窒化ケイ素塊とともに、原料であるシリコン粉末が融着した凝集物やシリコン粉末が融合した塊状物などの比較的粒径の大きなシリコン固化物(例えば粒径が2mm超)が生成する。生成した窒化ケイ素塊を解砕し、窒化ケイ素粗粉とした際に、残存する粗粒にはシリコン固化物が多く含まれる。これは、窒化ケイ素塊の圧壊強度が、シリコン固化物の圧壊強度よりも低いため、窒化ケイ素塊が優先的に解砕されるためと考えられる。上記粗粒を分級により除去することで、窒化ケイ素粗粉から未反応シリコンを効率的に分離できる。
窒化ケイ素の原料粉末として用いるシリコン粉末の平均粒径は特に限定されないが、平均粒径D50が1~10μmの範囲にあることが好ましい。
シリコン粉末が反応して、窒化ケイ素を生成した後、生成した窒化ケイ素からシリコン粉末と混合した希釈剤を除去しなくてもよいようにするため、希釈剤は窒化ケイ素粉末であることが好ましい。希釈剤として用いられる窒化ケイ素粉末は、例えば、本発明の窒化ケイ素の製造方法により製造された窒化ケイ素を用いることができる。
燃焼合成法においては、上述したシリコン粉末を、反応容器(セッター)に充填する。反応容器は、セラミックス製、黒鉛製などの耐熱性の反応容器であることが好ましい。反応容器内のシリコン粉末の嵩密度、シリコン粉末に希釈剤等を混合した場合はその混合物の嵩密度を0.3~1.0g/cm3の範囲に設定することが好ましい。このような嵩密度となるように調整して着火を行い、燃焼反応を進行させることにより、未反応物の残存を抑制し、シリコン粉末の全体を反応させやすくなる。これらの嵩密度は、シリコン粉末、希釈剤等の平均粒径や、窒素置換において供給する窒素圧などにより調節することができる。
シリコン粉末を反応容器に充填した後、反応容器は、着火装置とガスの給排機構を有する耐圧性の密閉式反応器内に設置される。そして、反応器内を減圧して空気を除去した後、窒素ガスを供給して反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下でシリコン粉末に着火する。
着火は、従来公知の方法で行うことができ、例えば、密閉式反応器に取り付けた一対の電極を用いてのアーク放電による着火、カーボン製または金属製のヒーターに通電加熱することによる着火、レーザー照射による着火などを採用することができる。
本発明の窒化ケイ素の製造方法では、燃焼合成反応後に得られる窒化ケイ素塊を解砕する。ここで解砕とは、凝集した粒子の凝集をほぐすこと(Disintegration)を意味する。
窒化ケイ素塊の解砕は、窒化ケイ素のみからなる塊を解砕しつつ、窒化ケイ素塊中に存在するシリコン固化物を破壊しない程度に行われる。このような解砕条件で解砕することで、解砕後に得られる窒化ケイ素粗粉中にシリコン固化物が粗粒として残存し、該粗粒を分級により窒化ケイ素粗粉から除去することにより、分級により得られた窒化ケイ素回収粉の純度が向上する。
解砕は、窒化ケイ素塊を構成する窒化ケイ素を粒径が500μm未満の大きさ、好ましくは、上記窒化ケイ素回収粉として測定される平均粒径が2~300μmまで解砕し、かつ、シリコン固化物が解砕されない操作が好適である。このような解砕を行うことにより、窒化ケイ素塊のみ解砕され、シリコン固化物が解砕されないため、分級によってシリコン粉末が窒化ケイ素粉末に不純物として混入することを防止でき、窒化ケイ素粉末の純度がより向上する。
解砕は、後述する粉砕機により行うことができる。上記したように、それぞれの圧壊強度が知られているため、後述する粉砕機の種類、メディアの有無、解砕時間などを適宜調整することにより、容易に上記特定解砕条件を設定することができる。
図1は、上記振動ミルにより窒化ケイ素塊の解砕を行う態様を示す概念図である。振動ミル1に窒化ケイ素塊状物2を投入すると、主として粒子同士の接触により表面から徐々に削れて粉状化されていき、その途中に固化物が存在すると粉砕されることなく塊状物から脱離される。
尚、窒化ケイ素塊状物2は、全てが解砕されることは無く、小さくなった状態で窒化ケイ素粗粉中に含まれて、振動ミルから取り出される。すなわち、窒化ケイ素塊状物2を解砕すると、窒化ケイ素の粒子7と、シリコン固化物6と、小さくなった窒化ケイ素塊状物5などを含む窒化ケイ素粗粉が得られる。
上記解砕された窒化ケイ素の粒子7とシリコン固化物6、更に、小さくなった窒化ケイ素塊状物5は、解砕によって得られる窒化ケイ素粗粉として、振動ミルに取り付けられたスクリーン(数ミリ間隔のスリット)4を通過して系外に取り出される。また、上記取り出し量に応じて、投入口3より窒化ケイ素塊が適宜供給される。
得られた窒化ケイ素粗粉に含まれる粗粒(シリコン固化物6、小さくなった窒化ケイ素塊状物5)は、図2に示すようにふるい分け8などを用いて、分級により除去され、窒化ケイ素の粒子7を得ることができる。なお、分級の詳細については後述する。
本発明において、解砕に用いる粉砕機は、前記操作が可能なものであれば、特に限定されない。例えば、上述の振動ボールミル以外に、転動ミル、石臼式ミル等を用いることができる。
本発明の窒化ケイ素の製造方法では、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粗粒を分級により除去する。粗粒には、シリコン粉末が融着又は融合したシリコン固化物が少なくとも含まれ、解砕の条件にもよるが、シリコン固化物の他に解砕において残存した窒化ケイ素塊も含まれる。
上記粗粒の除去において、粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去することにより分級後の窒化ケイ素回収粉におけるシリコンの含量を十分低減することが可能であるが、より高度にシリコンの除去を行うために、粒径が1mmを超える粗粒、更には、粒径が500μmを超える粗粒を分級により除去することが好ましい。上記粗粒を分級するためには、解砕された窒化ケイ素粉はそれ以下の粒径に解されることが必要であるが、前記した振動ミルを使用した態様で示したように、粒子同士の接触により摩砕されて得られる窒化ケイ素粉は、高々数十μmであるので、問題無く分級を行うことができる。このように粗粒を分級して得られる窒化ケイ素回収粉の平均粒径は2~300μm、好ましくは、2~50μmである。該平均粒径は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定において測定された粒子径分布の累積カーブが50%になる粒子径(D50)とする。
本発明の窒化ケイ素の製造方法で分級して得られた窒化ケイ素回収粉は、そのまま窒化ケイ素粉末の完成品としてもよい。しかし、上記窒化ケイ素回収粉を、粉砕により、焼結体の原料粉末としてさらに適切な粒度を有する窒化ケイ素微粉末とすることができる。具体的には、平均粒子径0.3~1.5μm程度の粒径に粉砕することが好ましい。
この粉砕は、乾式粉砕でも湿式粉砕でもよいが、乾式粉砕により行うことが好ましい。これは、湿式粉砕の場合は、処理後の乾燥で多量のエネルギーを消費し、コスト高になってしまうからである。
上記のようにして得られた窒化ケイ素微粉末を用いて、公知の方法により、窒化ケイ素焼結体を製造することができる。例えば、窒化ケイ素微粉末に、イットリア、マグネシア、ジルコニア、アルミナ等の焼結助剤を混合し、プレス成形により、嵩密度が1.7g/cm3以上、好ましくは1.85g/cm3以上、より好ましくは1.95g/cm3以上の成形体を作製し、次いで、焼成を行うことにより、窒化ケイ素の焼結体を得ることができる。
以上のように得られた窒化ケイ素焼結体は、放熱用基板材料等に好適に使用することができる。
なお、実施例において、各種物性の測定は以下の方法によって行ったものである。
窒化ケイ素微粉末及びシリコン粉末の割合を変えた窒化ケイ素微粉末及びシリコン粉末の混合粉末を作製した後、その混合粉末のX線回折パターンを測定し、測定したX線回折パターンにおける窒化ケイ素及びシリコンのピーク強度比から検量線を作成した。そして、実施例及び比較例の窒化ケイ素微粉末のX線回折パターンをそれぞれ測定し、測定したX線回折パターンにおける窒化ケイ素及びシリコンのピーク強度比から、上記検量線に基づいて、未反応シリコンの含有量を算出した。
(i)試料の前処理
試料の窒化ケイ素微粉末の前処理として、窒化ケイ素微粉末を空気中で約500℃の温度で2時間焼成処理を行った。上記焼成処理は、粒子径測定において、窒化ケイ素微粉末の表面酸素量が少ないか、粉砕時の粉砕助剤等によって粒子表面が疎水性物質で覆われ、粒子そのものが疎水性を呈している場合があり、このような場合、水への分散が不十分となって再現性のある粒子径測定が困難となることがある。そのため、試料の窒化ケイ素微粉末を空気中で200℃~500℃程度の温度で数時間焼成処理することによって窒化ケイ素微粉末に親水性を付与し、水溶媒に分散しやすくなって再現性の高い粒子径測定が可能となる。この際、空気中で焼成しても測定される粒子径にはほとんど影響がないことを確認している。
最大100mlの標線を持つビーカー(内径60mmφ、高さ70mm)に、90mlの水と濃度5質量%のピロリン酸ナトリウム5mlを入れてよく撹拌した後、耳かき一杯程度の試料の窒化ケイ素微粉末を投入し、超音波ホモイナイザー((株)日本精機製作所製US-300E、チップ径26mm)によってAMPLITUDE(振幅)50%(約2アンペア)で2分間、窒化ケイ素微粉末を分散させた。
なお、上記チップは、その先端がビーカーの20mlの標線の位置まで挿入して分散を行った。
次いで、得られた窒化ケイ素微粉末の分散液について、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製マイクロトラックMT3300EXII)を用いて粒度分布を測定した。測定条件は、溶媒は水(屈折率1.33)を選択し、粒子特性は屈折率2.01、粒子透過性は透過、粒子形状は非球形を選択した。上記の粒子径分布測定で測定された粒子径分布の累積カーブが50%になる粒子径を平均粒径(平均粒径D50)とする。
CuKα線を用いた粉末X線回折(XRD)測定を行い、C.P.Gazzara and D.R.Messier:Ceram.Bull.,56(1977),777-780に記載された方法により、窒化ケイ素微粉末のα相とβ相の重量割合を算出した。
製造した窒化ケイ素微粉末の比表面積は、(株)マウンテック製のBET法比表面積測定装置(Macsorb HM model-1201)を用いて、窒素ガス吸着によるBET1点法を用いて測定した。
なお、上述した比表面積測定を行う前に、測定する窒化ケイ素微粉末は事前に空気中で600℃、30分熱処理を行い、粉末表面に吸着している有機物を除去した。
自動比重計(新光電子(株)製:DMA-220H型)を使用してそれぞれの焼結体について密度を測定し、15ピースの平均値を焼結体密度として示した。
レーザーフラッシュ法熱物性測定装置(京都電子工業(株)製:LFA-502型)を使用し、それぞれの焼結体について熱拡散率を測定した。熱伝導率は、熱拡散率と焼結体密度と焼結体比熱の掛け算によって求められる。なお、窒化ケイ素焼結体の比熱は0.68(J/g・K)の値を採用した。
15ピースの焼結体から任意に3ピースを抽出して、レーザーフラッシュ法熱物性測定用の試験片を切り出した。3個の試験片それぞれの密度、熱拡散率から熱伝導率を算出し、その3個の試験片の熱伝導率の平均値を焼結体の熱伝導率として示した。
熱伝導率測定用に使用した3ピースを除いた12ピースから任意に10ピースを抽出して、三点曲げ強度測定用の試験片を切り出した。10個の試験片それぞれについて、JIS R 1601:2008に準じた方法で三点曲げ強度を測定した。この際、支点間距離は30mmの試験治具を使用した。10個の試験片の三点曲げ強度の平均値を焼結体の三点曲げ強度として示した。
<原料粉末>
(シリコン粉末)
太陽電池用途クラスの高純度多結晶シリコンを、アルミナのライニングを施した気流粉砕装置(ジェットミル)を用い、平均粒径で5μm程度に粉砕して得られたシリコン粉末を用いた。なおここで得られたシリコン粉末の酸素量は約0.3質量%であった。また、不純物量としてFeは10ppmであり、Alは5ppmであった。
(希釈剤)
平均粒径1μmの窒化ケイ素微粉末を用いた。
シリコン粉末80質量%と、希釈剤である窒化ケイ素粉末20質量%とを混合して原料粉末を得た。
上記原料粉末を反応容器に充填した後、反応容器を着火装置とガスの給排機構を有する耐圧性の密閉式反応器内に設置した。そして、反応器内を減圧して脱気後、窒素ガスを供給して反応器内を窒素置換した。その後、窒素ガスを除々に供給し、0.7MPaまで上昇せしめた。所定の圧力に達した時点(着火時)での原料粉末の嵩密度は1.0g/cm3であった。
その後、反応容器内の原料粉末の端部に着火し、燃焼合成反応を行い、窒化ケイ素塊を得た。その後、振動ミル(中央化工機(株)製、型番:FV-30)を用いて窒化ケイ素塊を連続的に解砕して窒化ケイ素粗粉を得た。解砕は解砕メディアを用いずに行った。
次に、500μmの目開きを有するふるい網を設置した振動ふるい((株)興和工業所製、型番:KF-1000)を用いて500μmを超える大きさの粗粒を分級した。なお、分級後に得られた窒化ケイ素回収粉の平均粒径は3μmであった。
分級後の窒化ケイ素回収粉を振動ミルに適量を投入して6時間の粉砕を行った。なお、粉砕機及び粉砕方法は、常法の装置及び方法を用いているが、重金属汚染防止対策として粉砕機の内部はウレタンライニングを施し、粉砕メディアには窒化ケイ素を主剤としたボールを使用した。また粉砕開始直前に粉砕助剤としてエタノールを1質量%添加し、粉砕機を密閉状態として粉砕を行い、窒化ケイ素微粉末を得た。得られた窒化ケイ素微粉末の測定結果を表1に示した。
また、前記分離された粗粒は粉砕を行い、前記燃焼合成法による窒化ケイ素の製造方法における希釈剤の一部として使用した。
ふるい網の目開きを500μmから2mmに変更した以外は、実施例1と同様な方法で窒化ケイ素微粉末を作製した。得られた窒化ケイ素微粉末の測定結果を表1に示した。
なお、分級後に得られた窒化ケイ素回収粉の平均粒径は11μmであった。
塊状生成物を解砕して窒化ケイ素粗粉を得た後、分級をしないで、得られた窒化ケイ素粗粉を粉砕した以外は、実施例1と同様な方法で窒化ケイ素微粉末を作製した。得られた窒化ケイ素微粉末の測定結果を表1に示した。
上記方法により得られた窒化ケイ素微粉末100質量部に対して、主焼結助剤としてイットリア粉末を5質量部、副焼結助剤としてマグネシア粉末を2質量部添加し、エタノール中、遊星ボールミルを用いてよく混合した。このように焼結助剤を混合した窒化ケイ素微粉末を十分に乾燥させた後、約20gを、0.2トン/cm2の圧力で一軸プレス成形することにより、50mmφの円板状成形体を15ピース作製した後、1ピース毎に柔らかいゴム袋に封入して水中に投入し、成形体表面に2トン/cm2の圧力が印加されるようなCIP処理を行った。
CIP処理を行った円板上成形体の表面に接着防止用の窒化ホウ素粉末を塗布した。成形体は密閉性の高い窒化ホウ素製の箱型セッター内に5枚ずつ重ねて装置し、0.8MPaの窒素雰囲気下、1900℃で5時間焼成して焼結体を得た。得られた焼結体の評価結果を表2に示した。
また、表には示されていないが、未反応シリコンの増加に伴い、得られる使用結体の特性のバラツキも大きくなることが確認され、実施例1の未反応シリコンの含量が0.1質量%以下に抑制された窒化ケイ素微粉末を使用した場合、かかるバラツキはほぼ解消された。
2 窒化ケイ素塊状物
3 投入口
4 スクリーン
5 小さくなった窒化ケイ素塊状物
6 シリコン固化物
7 窒化ケイ素の粒子
8 ふるい分け
Claims (6)
- シリコン粉末を窒素雰囲気下での燃焼合成法により窒化して窒化ケイ素を製造するに際し、窒化反応後に得られる凝集した窒化ケイ素と未反応シリコンのシリコン固化物とを含む窒化ケイ素塊を、前記凝集した窒化ケイ素の圧壊強度及び前記シリコン固化物の圧壊強度の差を利用して、前記シリコン固化物を解砕しないで前記凝集した窒化ケイ素が解砕する解砕条件で解砕し、解砕後に得られた窒化ケイ素粗粉から粒径が2mmを超える粗粒を分級により除去することを特徴とする窒化ケイ素の製造方法。
- 前記粗粒を分級して得られる窒化ケイ素回収粉の平均粒径が2~300μmである請求項1に記載の窒化ケイ素の製造方法。
- 前記窒化ケイ素塊の解砕を、メディアを使用しない粉砕機により行う請求項1又は2に記載の窒化ケイ素の製造方法。
- 前記粉砕機が振動ミルである請求項3に記載の窒化ケイ素の製造方法。
- 前記粗粒は、前記シリコン粉末が融着又は融合したシリコン固化物を少なくとも含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の窒化ケイ素の製造方法。
- 前記粗粒の分級がふるい分けである請求項1~5のいずれか1項に記載の窒化ケイ素の製造方法。
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