JP2021109557A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 不整地路面におけるトラクション性能を向上させる。【解決手段】 複数のブロック4は、トレッド溝3を介して隣り合うギザギザ面付きブロック5を含む。ギザギザ面付きブロック5は、傾斜ブロック壁面8の少なくとも一つに、タイヤ周方向に対して2度以下の角度θ1で延びる第1の面要素12Aと、タイヤ軸方向に対して15度以下の角度θ2で延びる第2の面要素12Bとが交互に繰り返される鋸刃状のギザギザ面部11を有する。トレッド溝3を介して隣り合う一方のギザギザ面付きブロック5のギザギザ面部11は、他方のギザギザ面付きブロック5のギザギザ面部11と対向して配される。【選択図】図3

Description

本発明は、不整地路面におけるトラクション性能を向上させたタイヤに関する。
4輪駆動車などに使用されるタイヤでは、不整地路面での走行性能を高めるために、トレッド面に複数のブロックを設けたトレッドパターンが採用されている。
例えば下記の特許文献1には、ブロック壁面をタイヤ周方向及びタイヤ軸方向に対してそれぞれ傾斜させたブロックからなるトレッドパターンが開示されている。このトレッドパターンでは、タイヤ周方向に連続してのびる縦溝をジグザグ溝とすること、及び前記縦溝間を継ぐ横溝を傾斜溝とすることにより、前記ブロック壁面が傾斜している。
特開2016−43895号公報
上記トレッドパターンでは、前記横溝を傾斜溝とすることで、接地した際に生じる衝撃音が減じ、ノイズ性能に有利となる。また縦溝をジグザグ溝とすることで、ストレート溝に比して不整地路面におけるトラクション性能が向上される。
しかし前記トレッドパターンでは、横溝(傾斜溝)、及び縦溝(ジグザグ溝)において排土性能に劣り、トラクション性能を充分に発揮させることが難しいという問題がある。
本発明は、特に溝内の排土性能を高めることができ、不整地路面におけるトラクション性能を向上させたタイヤを提供することを課題としている。
本発明は、トレッド面に、トレッド溝によって区分される複数のブロックを具えるタイヤであって、
前記複数のブロックは、前記トレッド溝を介して隣り合うギザギザ面付きブロックを含み、
前記ギザギザ面付きブロックは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に対して傾斜する傾斜ブロック壁面を具え、
前記傾斜ブロック壁面の少なくとも一つは、タイヤ周方向に対して2度以下の角度θ1で延びる第1の面要素と、タイヤ軸方向に対して15度以下の角度θ2で延びる第2の面要素とが交互に繰り返される鋸刃状のギザギザ面部を有し、
しかも前記トレッド溝を介して隣り合う一方の前記ギザギザ面付きブロックの前記ギザギザ面部は、他方の前記ギザギザ面付きブロックの前記ギザギザ面部と対向して配される。
前記角度θ1の好ましい範囲は1度以下であり、0度を含む。前記第1の面要素の傾斜の向きは、タイヤ周方向に対してタイヤ軸方向の一方側、他方側のどちらに傾斜しても良い。また前記角度θ2の好ましい範囲は5度以下であり、0度を含む。前記第2の面要素の傾斜の向きは、タイヤ軸方向に対してタイヤ周方向の一方側、他方側のどちらに傾斜しても良い。
本発明に係るタイヤでは、対向する一方側の前記ギザギザ面部の前記第1、第2の面要素と、他方側の前記ギザギザ面部の前記第1、第2の面要素とは、互いに平行であるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、対向する前記ギザギザ面部において、前記第1の面要素のタイヤ周方向の長さLAと前記第2の面要素のタイヤ軸方向の長さLBとを比較したときの小さい方の長さは、対向する前記ギザギザ面部間に位置する前記トレッド溝の最大溝幅の8〜40%であるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、対向するギザギザ面部間の領域範囲において、対向するギザギザ面部間に位置する前記トレッド溝の溝幅の最も広い位置で溝幅中心線に沿う線として規定される溝壁基準線からの、前記ギザギザ面部の鋸刃状突出部分の平面視における面積の総和は、前記トレッド溝の平面視における溝面積の20〜30%であるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記複数のブロックは、タイヤ軸方向の最外側に配されるショルダブロック列をなすショルダブロックと、前記ショルダブロック列間に配されるクラウンブロック列をなすクラウンブロックとを含み、前記クラウンブロックが、前記ギザギザ面付きブロックとして形成されるのが好ましい。
本発明のタイヤは、トレッド面に、トレッド溝を介して隣り合うギザギザ面付きブロックを含む複数のブロックを具える。このギザギザ面付きブロックは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に対して傾斜する傾斜ブロック壁面を具える。
そして、この傾斜ブロック壁面の少なくとも一つが、タイヤ周方向に対して2度以下の角度θ1で延びる第1の面要素と、タイヤ軸方向に対して15度以下の角度θ2で延びる第2の面要素とが交互に繰り返される鋸刃状のギザギザ面部を有する。しかもトレッド溝を介して隣り合う一方のギザギザ面付きブロックの前記ギザギザ面部は、他方のギザギザ面付きブロックの前記ギザギザ面部と対向して配される。
即ち、隣り合うギザギザ面付きブロック間に位置するトレッド溝の部分は、傾斜ブロック壁面間で挟まれる傾斜溝をなす。そのため、この傾斜溝が横溝として形成される場合には、接地時の衝撃音を減じる効果を奏しうる。また縦溝(ジグザグ溝)の傾斜部として形成される場合には、トラクション力を得ることができる。
また対向する傾斜ブロック壁面には、それぞれ、ギザギザ面部が設けられている。このギザギザ面部では、第2の面要素がタイヤ軸方向に対して15度以下の角度θ2で延びるため、タイヤ周方向に対して路面を引っ掻く効果(エッジ効果)が高く発揮される。
他方、ブロックは、走行時の接地/非接地により、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向への変形が繰り返される。このとき、第1、第2の面要素からなる鋸刃状のギザギザ面部により、ギザギザ面部と、ギザギザ面部間で踏み固められた泥との間に隙間が形成されやすくなる。そのため、踏み固められた泥が、ギザギザ面部から離れやすくなり、排土性能が高まる。
そして前述の高いエッジ効果と高い排土性能とにより、トラクション性能を向上させることができる。
本発明のタイヤの一実施形態を示すトレッド面の展開図である。 その一部を示す拡大図である。 図2におけるA部を誇張して示す拡大図である。 (a)〜(d)は傾斜縦溝に対するギザギザ面部による効果を説明する効果を示す概念図である。 (a)〜(d)は傾斜横溝に対するギザギザ面部による効果を説明する効果を示す概念図である。 ギザギザ面部の鋸刃状突出部分の面積及びトレッド溝の溝面積を示す拡大図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のタイヤ1は、トレッド面2に、トレッド溝3によって区分される複数のブロック4を具える。複数のブロック4は、トレッド溝3を介してタイヤ周方向及び/又はタイヤ軸方向に隣り合うギザギザ面付きブロック5を含む。
本例では、複数のブロック4は、タイヤ軸方向の最外側に配されるショルダブロック列Rsをなすショルダブロック6と、ショルダブロック列Rs、Rs間に配されるクラウンブロック列Rcをなすクラウンブロック7とを含む。本例では、クラウンブロック7が、前記ギザギザ面付きブロック5として形成される。
詳しくは、本例のクラウンブロック列Rcは、タイヤ赤道Co上に配される中央のクラウンブロック7aからなる中央列Rc1と、その両側に配される側のクラウンブロック7bからなる外側列Rc2とから構成される。中央のクラウンブロック7a及び側のクラウンブロック7bが、それぞれ、ギザギザ面付きブロック5として形成されている。
図2に、側のクラウンブロック7b及び中央のクラウンブロック7aが代表して示される。図2に示すように、ギザギザ面付きブロック5である側のクラウンブロック7bは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に対して傾斜する傾斜ブロック壁面8を具える。本例では、側のクラウンブロック7bの周囲を囲むブロック壁面の全てが傾斜ブロック壁面8である場合が示される。しかしブロック壁面は、非傾斜ブロック壁面を含んでいても良い。
ここで、「タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に対して傾斜する」とは、ブロック壁面のタイヤ周方向に対する角度が、0度より大かつ90度より小の範囲、言い換えると、タイヤ軸方向に対する角度が、90度より小かつ0度より大の範囲の状態を意味する。なおタイヤ周方向に対する角度が0度(タイヤ軸方向に対する角度が90度に相当する。)、及びタイヤ周方向に対する角度が90度(タイヤ軸方向に対する角度が0度に相当する。)のブロック壁面を、前記非傾斜ブロック壁面と呼ぶ。
本例の側のクラウンブロック7bは、5角形状をなし、傾斜ブロック壁面8として、第1〜第5の傾斜ブロック壁面8b〜8bが配される。
例えば、第1の傾斜ブロック壁面8bは、タイヤ周方向の一方側(図2では上側)に面している。第3の傾斜ブロック壁面8bは、タイヤ周方向の他方側(図2では下側)に面している。第2の傾斜ブロック壁面8bは、前記第1、第3の傾斜ブロック壁面81、83間をタイヤ軸方向の一方側(図2では右側)で連結している。また第4、第5の傾斜ブロック壁面8b、8bは、前記第1、第3の傾斜ブロック壁面8b、8b間をタイヤ軸方向の他方側(図2では左側)で連結している。
第1〜第5の傾斜ブロック壁面8b〜8bの少なくとも一つ、本例では、第1〜第3の傾斜ブロック壁面8b〜8bに、鋸刃状のギザギザ面部11が設けられる。
図3は、図2におけるA部を誇張して示す。図3に示すように、ギザギザ面部11は、タイヤ周方向に対して2度以下の角度θ1で延びる第1の面要素12Aと、タイヤ軸方向に対して15度以下の角度θ2で延びる第2の面要素12Bとが交互に繰り返される鋸刃状の屈曲面として形成される。
本例では、ギザギザ面部11が、第1〜第3の傾斜ブロック壁面8b〜8bに、それぞれ全面に亘って形成された場合が示される。しかし、ギザギザ面部11は、部分的に形成されても良い。
またトレッド溝3を介して隣り合う一方の前記ギザギザ面付きブロック5のギザギザ面部11は、他方のギザギザ面付きブロック5のギザギザ面部11と対向して配されている。
図3に示すように、側のクラウンブロック7bと中央のクラウンブロック7aとは、トレッド溝3を介して隣り合って配される。側のクラウンブロック7bにおける第2の傾斜ブロック壁面8bのギザギザ面部11と、中央のクラウンブロック7aにおける第9の傾斜ブロック壁面8aのギザギザ面部11とが互いに対向して配されている。同様に、側のクラウンブロック7bにおける第3の傾斜ブロック壁面8bのギザギザ面部11と、中央のクラウンブロック7aにおける第8の傾斜ブロック壁面8aのギザギザ面部11とが互いに対向して配されている。
なお中央のクラウンブロック7aは、図2に示すように、本例では、逆Z字形状をなし、第1〜第9の傾斜ブロック壁面8a〜8aである傾斜ブロック壁面8を具える。そして、第1〜第9の傾斜ブロック壁面8a〜8aのうち、第2〜第4の傾斜ブロック壁面8a〜8a及び第7〜第9の傾斜ブロック壁面8a〜8aにギザギザ面部11が設けられている。
図3に示すように、対向する一方側のギザギザ面部11の第1の面要素12Aと、他方側のギザギザ面部11の第1の面要素12Aとは平行であるのが好ましい。また対向する一方側のギザギザ面部11の第2の面要素12Bと、他方側のギザギザ面部11の第2の面要素12Bとは平行であるのが好ましい。
対向するギザギザ面部11間において、一方側のギザギザ面部11の溝壁基準線Xと、他方側のギザギザ面部11の溝壁基準線Xとは平行である。
「溝壁基準線X」とは、対向するギザギザ面部11間に配されるトレッド溝3の溝幅の最も広い位置で溝幅中心線(図示省略)に沿う線として規定される。この溝壁基準線X、Xの距離が、前記トレッド溝3の最大溝幅W3max に相当する。
対向する一方側のギザギザ面部11における第1の面要素12Aのタイヤ周方向の長さLAと、他方側のギザギザ面部11における第1の面要素12Aのタイヤ周方向の長さLAとは互いに等しい。また対向する一方側のギザギザ面部11における第2の面要素12Bのタイヤ軸方向の長さLBと、他方側のギザギザ面部11における第2の面要素12Bのタイヤ軸方向の長さLBとは互いに等しい。
なお一つのギザギザ面付きブロック5においては、ギザギザ面部11毎に、第1、第2の面要素12A、12Bの長さLA、LBは、相違しても良い。即ち、例えば、第2の傾斜ブロック壁面8bにおけるギザギザ面部11の第1、第2の面要素12A、12Bの長さLA、LBは、第3の傾斜ブロック壁面8bにおけるギザギザ面部11の第1、第2の面要素12A、12Bの長さLA、LBと相違しても良い。
対向するギザギザ面部11間において、第1の面要素12Aの長さLAと第2の面要素12Bの長さLBとを比較したときの小さい方の長さL0は、対向するギザギザ面部11間に位置するトレッド溝3の前記最大溝幅W3max の8〜40%であるのが好ましい。
次に、ギザギザ面部11の作用効果について説明する。
図3に代表して示すように、便宜上、トレッド溝3のうち、溝幅中心線のタイヤ軸方向に対する角度が0度より大かつ45度より小なものを傾斜横溝13と呼び、タイヤ軸方向に対する角度が45度以上かつ90度より小なものを、傾斜縦溝14と呼ぶこととする。
タイヤ1では、対向するギザギザ面部11間に位置するトレッド溝3が傾斜縦溝14の場合、第2の面要素12Bがタイヤ軸方向に対して15度以下の角度θ2で延びる。そのため、ギザギザ面部11の無い滑らかな斜面の場合に比して、タイヤ周方向に対する路面引っ掻き効果(エッジ効果)が高く発揮される。
なお対向するギザギザ面部11間に位置するトレッド溝3が傾斜横溝13の場合にも、同様の効果は発揮される。しかし傾斜横溝13は、それ自体、タイヤ軸方向に対する角度が小であるため、タイヤ周方向に対する路面引っ掻き効果が比較的高い。そのため、ギザギザ面部11によるトラクションの向上効果は、傾斜縦溝14の場合よりも小さくなるが、発揮されうる。
又ギザギザ面部11により、トレッド溝3の排土性能が向上される。
図4(a)〜(d)には、対向するギザギザ面部11間に傾斜縦溝14が配される場合における、ギザギザ面部11による排土性能の向上のメカニズムが誇張して示される。
タイヤ1では、走行時の接地/非接地により、ギザギザ面付きブロック5を含むブロック4は、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向への変形が繰り返される。そして、ギザギザ面部11、11間で踏み固められた泥M(図4(a)に示す)は、図4(b)に示すように、タイヤ軸方向への変形の繰り返しにより、第1の面要素12Aによって押され、泥Mとギザギザ面部11との間にタイヤ軸方向の隙間dxが形成される。同様に、図4(c)に示すように、タイヤ周方向への変形の繰り返しにより、第2の面要素12Bによって押され、泥Mとギザギザ面部11との間にタイヤ周方向の隙間dyが形成される。即ち、図4(c)に示すように、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向への変形の繰り返しにより、泥Mとギザギザ面部11との間に、隙間dx、dyが形成され、泥がギザギザ面部11から離れやすくなる。その結果、排土性能が高められる。
図5(a)〜(d)に、対向するギザギザ面部11間に傾斜横溝13が配される場合における、ギザギザ面部11による排土性能の向上のメカニズムが誇張して示される。
ギザギザ面部11、11間で踏み固められた泥M(図5(a)に示す)は、図5(b)に示すように、タイヤ軸方向への変形の繰り返しにより、第1の面要素12Aによって押され、泥Mとギザギザ面部11との間にタイヤ軸方向の隙間dxが形成される。同様に、図5(c)に示すように、タイヤ周方向への変形の繰り返しにより、第2の面要素12Bによって押され、泥Mとギザギザ面部11との間にタイヤ周方向の隙間dyが形成される。即ち、図5(c)に示すように、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向への変形の繰り返しにより、泥Mとギザギザ面部11との間に、隙間dx、dyが形成され、泥がギザギザ面部11から離れやすくなる。その結果排土性能が高められる。
図3に示すように、第1の面要素12Aの前記角度θ1が2度を超える場合、及び第2の面要素12Bの前記角度θ2が15度を超える場合、隙間dx、dyの形成効果に劣り、排土性能の向上効果が不充分となる。前記角度θ1の好ましい範囲は1度以下であり、0度を含む。前記第1の面要素12Aの傾斜の向きは、タイヤ周方向に対してタイヤ軸方向の一方側、他方側のどちらに傾斜しても良い。また前記角度θ2の好ましい範囲は、12度以下、さらには8度以下、特には5度以下であり、0度を含む。前記第2の面要素12Bの傾斜の向きは、タイヤ軸方向に対してタイヤ周方向の一方側、他方側のどちらに傾斜しても良い。
又第1の面要素12Aの前記長さLAと第2の面要素12Bの前記長さLBとを比較したときの小さい方の長さL0が、前記最大溝幅W3max の8%未満である場合、ギザギザ面部11による上記効果が充分に発揮されなくなる。
傾斜縦溝14においては、第2の面要素12Bの長さLBが小さい方の長さL0に相当し、傾斜横溝13においては、第1の面要素12Aの長さLAが小さい方の長さL0に相当する。小さい方の長さL0が最大溝幅W3max の8%未満の場合、傾斜縦溝14においては、路面引っ掻き効果の減少を招く。又傾斜横溝13においては、隙間dxの形成効果の減少を招く。
逆に小さい方の長さL0が最大溝幅W3max の40%を越える場合、鋸刃状突出部分20が大となり、対向するギザギザ面部11間に位置するトレッド溝3の溝容積が過小となる。その結果、ギザギザ面部11、11間の泥Mから得られるせん断力が大きく低下し、トラクション性能の悪化を招く。
このような観点から、小さい方の長さL0の下限は、最大溝幅W3max の10%以上さらには15%以上がより好ましく、上限は、最大溝幅W3max の35%以下さらには30%以下がより好ましい。
なお鋸刃状突出部分20は、ギザギザ面部11において、前記溝壁基準線Xから突出する部分で規定される。
図6に示すように、対向するギザギザ面部11間の領域範囲Yにおいて、前記鋸刃状突出部分20の平面視における面積S20の総和ΣS20は、トレッド溝3の平面視における溝面積S3の20〜30%であるのが好ましい。
総和ΣS20が溝面積S3の20%を下回ると、ギザギザ面部11による路面引っ掻き効果、及び排土効果が充分に発揮されなくなる。逆に30%を越えると、ギザギザ面部11、11間の泥Mから得られるせん断力が低下し、トラクション性能の悪化を招く。
トレッド溝3内の泥の目詰まりは、トレッド溝3の溝幅が広い方が起こり難い。これは、溝幅が広いほど、溝内の泥が動きやすくブロック壁面との密着が低下すること、及び泥自体の自重が重くなることに起因している。従って、ギザギザ面部11は、特にトレッド溝3の溝幅が30mm以下と狭い場合により有効に発揮しうる。言い換えると、タイヤ1では、対向するギザギザ面部11間に位置するトレッド溝の最大溝幅W3max が30mm以下、さらには25mm以下であるのが好ましい。
又図1に示すように、ショルダブロック列Rsでは、トレッド溝3内の泥は、トレッド端Teからタイヤ外側に排出されやすく、排土性は十分である。そのため、本例では、クラウンブロック7にのみギザギザ面部11を設けている。しかし、要求により、ショルダブロック6にギザギザ面部11を設けることもできる。
なおギザギザ面部11によるトラクションの向上効果は、雪路面においても有効に発揮されうる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認するために、図1に示すトレッドパターンを基本パターンとした空気入りタイヤ(サイズ35×12.50R20)が、表1の仕様に基づいて試作された。そして各試作タイヤの不整地路面におけるトラクション性能がテストされた。比較例は、ギザギザ面部を具えないことのみ実施例と相違している。
なお各実施例において、ギザギザ面部の第1の面要素の角度θ1は2度、第2の面要素の角度θ2は15度であった。又各実施例において、鋸刃状突出部分の平面視における面積の総和ΣS20と、トレッド溝の平面視における溝面積との比ΣS20/S3は、対向するギザギザ面部間毎に相違しているが、それぞれ20〜30%の範囲であった。
<トラクション性能>
タイヤを内圧(260kPa)の条件にて、四輪駆動車(ジープ)の全輪に装着し、不整地路面のテストコースをドライバー1名乗車で走行し、トラクション性能をドライバーの官能により評価した。評価は、従来例を100とする評点とし、数値が大きいほど良好である。
Figure 2021109557
表に示すように、実施例は、ギザギザ面部が設けられることによりトラクション性能が向上されたことが確認された。
1 タイヤ
2 トレッド面
3 トレッド溝
4 ブロック
5 ギザギザ面付きブロック
6 ショルダブロック
7 クラウンブロック
8 傾斜ブロック壁面
11 ギザギザ面部
12A 第1の面要素
12B 第2の面要素
20 鋸刃状突出部分
L0 小さい方の長さ
Rc クラウンブロック列
Rs ショルダブロック列
W3max 最大溝幅
X 溝壁基準線

Claims (5)

  1. トレッド面に、トレッド溝によって区分される複数のブロックを具えるタイヤであって、
    前記複数のブロックは、前記トレッド溝を介して隣り合うギザギザ面付きブロックを含み、
    前記ギザギザ面付きブロックは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に対して傾斜する傾斜ブロック壁面を具え、
    前記傾斜ブロック壁面の少なくとも一つは、タイヤ周方向に対して2度以下の角度θ1で延びる第1の面要素と、タイヤ軸方向に対して15度以下の角度θ2で延びる第2の面要素とが交互に繰り返される鋸刃状のギザギザ面部を有し、
    しかも前記トレッド溝を介して隣り合う一方の前記ギザギザ面付きブロックの前記ギザギザ面部は、他方の前記ギザギザ面付きブロックの前記ギザギザ面部と対向して配される、タイヤ。
  2. 対向する一方側の前記ギザギザ面部の前記第1、第2の面要素と、他方側の前記ギザギザ面部の前記第1、第2の面要素とは、互いに平行である、請求項1記載のタイヤ。
  3. 対向する前記ギザギザ面部において、前記第1の面要素のタイヤ周方向の長さLAと前記第2の面要素のタイヤ軸方向の長さLBとを比較したときの小さい方の長さは、対向する前記ギザギザ面部間に位置する前記トレッド溝の最大溝幅の8〜40%である、請求項1または2記載のタイヤ。
  4. 対向するギザギザ面部間の領域範囲において、対向するギザギザ面部間に位置する前記トレッド溝の溝幅の最も広い位置で溝幅中心線に沿う線として規定される溝壁基準線からの、前記ギザギザ面部の鋸刃状突出部分の平面視における面積の総和は、前記トレッド溝の平面視における溝面積の20〜30%である、請求項1〜3の何れかに記載のタイヤ。
  5. 前記複数のブロックは、タイヤ軸方向の最外側に配されるショルダブロック列をなすショルダブロックと、前記ショルダブロック列間に配されるクラウンブロック列をなすクラウンブロックとを含み、前記クラウンブロックが、前記ギザギザ面付きブロックとして形成される、請求項1〜4の何れかに記載のタイヤ。
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