JP2021098643A - 非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末およびその製造方法、並びに、nasicon型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法 - Google Patents

非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末およびその製造方法、並びに、nasicon型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶化することによりNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末となり、高いイオン伝導度を発揮する、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末と、当該非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を安価な原料コストと生産コストによって製造する製造方法と、より高いイオン伝導度を発揮するNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末とを提供する。【解決手段】リチウムを、0.5質量%以上6.5質量%以下、アルミニウムを、0質量%を超え25.0質量%以下、ゲルマニウムを、0質量%を超え65.0質量%以下、リンを、10質量%以上30質量%以下、炭素を、0質量%を超え0.35質量%以下含有し、BET一点法で計測される比表面積が15m2/g以上100m2/g以下である、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を提供する。【選択図】図1

Description

この発明は、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末およびその製造方法、並びに、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法に関する。
全固体電池の固体電解質の材料として、イオン伝導度が高いNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体があり、その1つとして一般式Li1+xAlGe2−x(PO(xの範囲は、0<x≦1)にて記載されるリチウムイオン伝導体(本発明において「LAGP」と記載する場合がある)が公知である。
尚、NASICON型結晶構造とは、空間群R3cをとり、高いリチウムイオン伝導度を有することが知られている結晶構造である。測定対象がNASICON型結晶構造であるかは、粉末X線回折測定により判断することが出来る。例えば、前述したLAGPの場合は、JCPDSカードNo.01−080−1922と照合を行うことで、同定することができる。
NASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体は、高いイオン伝導度を得るために、特許文献1や2のように非晶質状態であるLAGPを使用して成型後、焼成し結晶化させる手法が知られている。
非晶質のLAGPの製造方法には、以下の方法が知られている。
1.金属アルコキシドを用いたゾルゲル法によって、非晶質LAGPを製造する方法(特許文献1参照)。
2.ガラス溶融法によって非晶質LAGPを製造する方法(特許文献2(0018)段落参照)。
特開2018−37341号公報 特開2018−101467号公報
しかしながら本発明者らの検討によると、特許文献1、2に記載の方法で製造された非晶質LAGPを用いて成型体を作製し、その後、当該成型体を焼成することにより結晶化させたLAGPであってもイオン伝導度は低い。そこで、全固体電池のさらなる出力向上の為には、焼成し、結晶化させることで、より高いイオン伝導度を発揮するNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体となる、非晶質のリチウムイオン伝導体が求められることに想到した。
さらに、特許文献1に記載の焼成工程は、イオン伝導度を高める為に、イオン伝導性のない抵抗成分であるGeOの生成を抑止することが求められることから不活性雰囲気での焼成工程が必要であり、原料コストや生産コストが嵩む方法である。
また、特許文献2に記載のガラス溶融法も、イオン伝導度を高める為に2.1μm以上2.5μm以下の粒子径を有する第1のLAGPの粉体と、0.18μm以上0.25μm以下の粒子径を有する第2のLAGPの粉体の2種類のLAGPが必要となり、原料コストや生産コストが嵩む方法である。加えて、高温での原料溶融が必須であり、揮発しやすい元素であるリチウムやゲルマニウムが溶融中に揮発してしまい、組成ズレが生じるとの課題が存在するものであった。
本発明は上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、結晶化することにより高いイオン伝導度を発揮するNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末を得ることが出来るNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末の前駆体である非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末と、当該非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を安価な原料コストと生産コストによって製造する製造方法と、より高いイオン伝導度を発揮するNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法とを、提供することである。
上述の課題を解決するためには、リチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、および、リンという元素を所定量含有する粉末であって、当該粉末の炭素含有量とBET比表面積を所定範囲とすることで得られる非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、結晶化することにより、NASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末となり、高いイオン伝導度を発揮することを見出した。
上述した知見に基づき、本発明者らは、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の構成元素であるリチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、リンといった主構成元素に加え、所望に応じて前記主構成元素であるアルミニウムやゲルマニウムを置換する元素、および、所望に応じて添加する元素であるリンおよびケイ素といった元素、を含む原料として、炭素を含まない無機化合物を用いる構成、および、前記構成元素を含む無機化合物の水溶液を混合し、共沈法によりリチウムイオン伝導体の構成元素を含むスラリーを噴霧乾燥し、混合物を300℃以上500℃以下で焼成する構成に想到して、上述の課題を解決した。
即ち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
リチウムを、0.5質量%以上6.5質量%以下、
アルミニウムを、0質量%を超え25.0質量%以下、
ゲルマニウムを、0質量%を超え65.0質量%以下、
リンを、10質量%以上30質量%以下含有し、
BET一点法で計測される比表面積が15m2/g以上100m2/g以下である、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末である。
第2の発明は、
リチウムを、1質量%以上4質量%以下、
アルミニウムを、0質量%を超え6質量%以下、
ゲルマニウムを、15質量%を超え35質量%以下含有する、第1の発明に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末である。
第3の発明は、
さらに、炭素を0.01質量%以上0.35質量%以下含有する、第1または第2の発明に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末である。
第4の発明は、
前記BET一点法で計測される比表面積が20m2/g以上100m2/g以下である、第1から第3の発明のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末である。
第5の発明は、
さらに、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選択される、少なくとも一種の元素を含有する、第1から第4の発明のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末である。
第6の発明は、
さらに、ケイ素を10質量%以下含有する、第1から第5の発明のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末である。
第7の発明は、
前記非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、一般式Li1+x+w(Al1−yM1(Ge1−zM22−x3−wSi12の式で表され、M1はガリウム、ランタン、インジウムおよびイットリウムから選ばれる1種以上であり、M2はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる1種以上であり、xの範囲は0<x1.0、yの範囲は0y1.0、zの範囲は0z1.0、wの範囲は0w1.0である第1から第6の発明のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末である。
第8の発明は、
さらに、ガリウム、ランタン、インジウムおよびイットリウムから選択される、少なくとも一種の元素を含有する、第1から第6の発明のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末である。
第9の発明は、
リチウム化合物の水溶液と、アルミ二ウム化合物の水溶液と、ゲルマニウム化合物の水溶液と、リン酸アンモニウム塩の水溶液とを混合し共沈物の懸濁液を得るスラリー形成工程と、
前記スラリーを噴霧乾燥して、スラリー乾燥物を得る工程と、
前記スラリー乾燥物を300以上500以下で焼成する工程とを有する、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法である。
第10の発明は、
前記スラリー形成工程において、さらにガリウム、ランタン、インジウムおよびイットリウムから選択される少なくとも一種の元素を含む化合物の水溶液を混合し共沈物の懸濁液を得る、第9の発明に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法である。
第11の発明は、
前記スラリー形成工程において、さらにチタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択される少なくとも一種の元素を含む化合物の水溶液を混合し共沈物の懸濁液を得る、第9または第10の発明に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法である。
第12の発明は、
前記スラリー形成工程において、さらにケイ素化合物の水溶液を混合し共沈物の懸濁液を得る、第9から第11の発明のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法である。
第13の発明は、
前記スラリー形成工程における前記懸濁液の形成は、pH8以上に調整した前記ゲルマニウム化合物の水溶液を混合することにより行う、第9から第12の発明のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法である。
第14の発明は、
第1から第8の発明のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を500よりも高い温度で焼成する工程を有する、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法である。
第15の発明は、
リチウム化合物の水溶液と、アルミ二ウム化合物の水溶液と、ゲルマニウム化合物の水溶液と、リン酸アンモニウム塩の水溶液とを混合し共沈物の懸濁液を得るスラリー形成工程と、
前記スラリーを噴霧乾燥して、スラリー乾燥物を得る工程と、
前記スラリー乾燥物を500よりも高い温度で焼成する工程とを有する、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法である。
本発明によれば、結晶化することにより高いイオン伝導度を発揮するNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末を得ることが出来るNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末の前駆体である非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末と、当非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を、安価な原料コストと生産コストによって製造する製造方法と、より高いイオン伝導度を発揮するNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法を提供することができる。
本発明に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造工程を示すフロー図である。 実施例1、比較例1、2に係るリチウムイオン伝導酸化物粉体の30,000倍のSEM写真である。 実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRDスペクトルである。 実施例1に係るNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末のXRDスペクトルである。 比較例1に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造工程を示すフロー図である。 比較例2に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造工程を示すフロー図である。
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、焼成して結晶化させることにより、NASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末を得ることが出来る前駆体である。本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末およびNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導酸化物粉末は、例えば一般式Li1+x+w(Al1−yM1(Ge1−zM22−x3−wSi12(但し、M1はガリウム、ランタン、インジウムおよびイットリウムから選ばれる1種以上であり、M2はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる1種以上であり、xの範囲は0<x≦1.0、yの範囲は0≦y≦1.0、zの範囲は0≦z≦1.0、wの範囲は0≦w≦1.0である。)で表される。
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を、例えば、ペレット状に成形、または、シート状に成形した後、当該成型物を焼成し結晶化させることにより、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の焼成体を製造出来る。当該NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の焼成体は、固体電解質として全固体電池に使用される。
以下、本発明に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末およびその製造方法、並びに、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法について、[1]構成元素、[2]BET比表面積、[3]製造方法、の順に説明する。
[1]構成元素
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、構成元素として少なくともリチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、リンを有している。リチウムは、Liキャリアを提供し、リチウムイオン伝導をもたらす元素である。アルミニウムは、後述する4価金属元素であるゲルマニウムを置換し、電荷補償としてLiキャリアを増加させる目的で添加する3価の元素である。ゲルマニウムは、結晶化したときのリチウムイオン伝導酸化物粉末がNASICON型結晶構造となるために、必要な4価金属元素であり、リンは、結晶化したときのリチウムイオン伝導酸化物粉末がNASICON型結晶構造となるために必要な5価金属元素である。
また、上述した構成元素であるアルミニウム、ゲルマニウムはその一部を他の元素に置換してもよい。アルミニウムは、ガリウム、ランタン、インジウムおよびイットリウムから選ばれる1種以上の元素により、一部を置換することができる。ゲルマニウムは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる1種以上の元素により、一部を置換することができる。
リンは一部をケイ素に置換することができる。5価であるリンを4価であるケイ素で置換することで、Liキャリアを増加させることが可能になり、Liイオン伝導性の向上に寄与することができる。
ここで、主な構成物質の含有割合について説明する。
リチウムは、リチウム元素として0.5質量%以上6.5質量%以下が含有されている。
これは、リチウムの含有量が0.5質量%以上であれば、リチウムイオン伝導度が担保されるからである。一方、リチウムの含有量が6.5質量%以下であれば、結晶化した際、リチウムイオン伝導酸化物粉末がNASICON構造となるからである。リチウムの含有量は好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは1.8質量%以上であり、一方、好ましくは4.0質量%以下、好ましくは3.5質量%以下、さらに好ましくは3.3質量%以下である。
アルミニウムはアルミニウム元素として0質量%を超え、25.0質量%以下が含有されている。
これは、アルミニウムを添加することで、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末におけるリチウムイオン伝導度を向上させることができるからである。
アルミニウムの含有量が25.0質量%以下であれば、結晶化した際、リチウムイオン伝導酸化物粉末がNASICON型結晶構造となる。アルミニウムの含有量は、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは6.0質量%以下、一方、より好ましくは5.5質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下である。
ゲルマニウムは、ゲルマニウム元素として0質量%を超え65.0質量%以下が含有されている。
ゲルマニウムの含有量が0質量%を超えていれば、ガラスを形成し、非晶質とすることができる。一方、ゲルマニウムの含有量が65.0質量%以下であれば、結晶化した際、リチウムイオン伝導酸化物粉末がNASICON型結晶構造となる。ゲルマニウム含有量は好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは22質量%以上であり、一方、好ましくは35質量%以下、より好ましくは33質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末において、リンはリン元素として10質量%以上30質量%以下が含有されている。この場合にガラスを形成し、非晶質とすることができる。一方、結晶化した際、リチウムイオン伝導酸化物粉末がNASICON型結晶構造となる。リン含有量は好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、一方、好ましくは28質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
以上説明した、本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末における各元素の含有量(質量%)は、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末をアルカリ溶融した溶解液を作製し、この溶解液に対し、発光分析装置(Agilent社製 ICP−720)を用いて各構成元素の定量分析を行い、得られた各構成元素の定量分析結果の値である。
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末において、炭素の含有量は0.35質量%以下であることが好ましい。炭素の含有量が0.35質量%以下であることにより、結晶化のために焼成する際に当該炭素が燃焼し、その部分にポアが発生し、イオン伝導度の悪化につながることを抑制することができる。非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、炭素の含有量を例えば、0.01質量%以上0.35質量%以下にすることが出来る。炭素含有量は好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.25質量%以下である。
尚、炭素の含有量の測定方法については実施例にて説明する。
そして、本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末において、含有されるリチウム元素、アルミニウム元素、ゲルマニウム元素、所望により添加された上述の置換金属元素、リン元素、炭素、酸素の合計は90.0質量%以上100.0質量%以下となるが、95.0質量%以上であることがより好ましい。残余は不純物である。
一方、本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末における酸素量については、上述した各金属元素およびリンが酸化物であることと、ICP分析で測定した各金属元素およびリンの量とから算出した。非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末における酸素量は、25〜60質量%であることが好ましい。そして、不純物量については、各金属元素、リン、炭素、酸素の各量を、100質量%から差し引いて求めた。
計算の具体例については、実施例にて説明する。
また、本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、さらにケイ素を10質量%以下含有してもよい。ケイ素を添加することで、よりガラス形成しやすくなる。ケイ素の添加量が10質量%を超えると結晶化した際、リチウムイオン伝導酸化物粉末がNASICON型結晶構造をとることができず、その結果イオン伝導度の悪化につながる。ケイ素含有量は好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末がケイ素を含む場合、含有されるリチウム元素、アルミニウム元素、ゲルマニウム元素、リン元素、炭素、酸素、および、ケイ素原子の合計が90.0質量%以上100.0質量%以下となるが、95.0質量%以上であることがより好ましい。
一方、本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、リチウム元素、アルミニウム元素、ゲルマニウム元素、所望により添加された上述の置換金属元素、リン元素、炭素、酸素以外に、10質量%程度、好ましくは3.0質量%程度の不純物を含む場合がある。当該不純物は、当該非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を製造する際に用いられたビーズのジルコニア等でると考えられるが、この程度の含有量であれば、NASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体となった際のリチウムイオン伝導特性に、特に悪影響を与えることはない。
[2]BET比表面積
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、BET比表面積が15m/g以上100m/g以下である。15m/g以上100m/g以下のBET比表面積を有していると、当該リチウムイオン伝導酸化物粉末が焼成される際に、含まれているリチウムイオン伝導体粒子へ均一に熱がかかり、粒子全体において結晶化が均一に生じることで、イオン伝導度が向上するからである。BET比表面積は、好ましくは20m/g以上、さらに好ましくは22m/g以上であり、好ましくは80m/g以下、さらに好ましくは60m/g以下である。
尚、BET比表面積の具体的な測定方法については、実施例にて説明する。
[3]製造方法
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末、並びに、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法について説明する。
本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末、並びに、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末を製造するには、まず、各構成元素を含有する原料を、それぞれ水へ完全に溶解させて水溶液とし、各構成元素をイオンの状態にする。その各構成元素の水溶液を混合し、各構成元素を沈殿させてスラリーを得る。得られたスラリーを噴霧乾燥して粉体とした後、焼成して得られた焼成物を粉砕するものである。各構成元素が溶解した水溶液から沈殿を生成させる際、予め酸性溶液同士、アルカリ性溶液同士で混合しておいてもよい。
以下、本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末、並びに、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法について、当該非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造工程を示すフロー図である図1を参照しながら、(1)原料水溶液調製、(2)混合、(3)噴霧処理、(4)焼成、(5)粉砕、(6)乾燥、(7)焼成、(8)NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造、の順に説明する。
(1)原料水溶液調製
本発明に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の構成元素であるリチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、リンおよび必要に応じてアルミニウムとゲルマニウムの置換元素、および添加元素であるリンおよびケイ素の各元素を含む原料を、それぞれ水に完全に溶解させて水溶液とする。その際、原料として炭素を含有しない水溶性の塩もしくは液性により溶解する元素であれば、各元素の酸化物へ酸またはアルカリを添加して溶解させてもよい。
一方、炭素を含有する原料、例えば各元素の酢酸塩や有機酸塩を使用した場合、本発明に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末に当該炭素が残存してしまう可能性が生じる。当該観点から、各構成元素を含む原料は無機化合物であることが好ましい。
以上より、原料水溶液調製に適した各元素の原料化合物の例を表1に示す。この際、表1において、溶解後の水溶液のpHが酸性であるものは、当該酸性の原料水溶液同士を混合しても良い。また、酸性の原料水溶液へ、さらに他の原料粉末を添加し溶解させても良い。アルカリ性の原料水溶液同士の場合も、同様である。
例えば、原料化合物が二酸化ゲルマニウムの場合、純水へ二酸化ゲルマニウムを添加して撹拌しながら、さらにアルカリを添加してゲルマニウム水溶液を調製することが出来る。この際、溶解時の温度を特に検討する必要はなく、加温してもしなくても良い。二酸化ゲルマニウムは、水溶液のpH値が8から12程度の範囲で溶解するからである。
原料化合物が水溶性ではないものを使用する際、溶液の液性を調整するが、アルカリとしては、不純物が残存しないアンモニアを用いることが好ましい。酸としては、硝酸、硫酸、塩酸等が使用出来る。尚、アルカリとして、水酸化リチウム水溶液を使用することも出来る。その際は、当該水酸化リチウムもリチウムの原料化合物として秤量し使用することは勿論である。
Figure 2021098643
(2)混合(スラリー化)
前記(1)にて調製した原料水溶液を、ねらいのリチウムイオン伝導酸化物粉末の組成に合わせて混合し、共沈法によりリチウムイオン伝導体の構成元素を含むスラリーを得る工程である。例えば、アンモニアで溶解させたアルカリ性のゲルマニウム水溶液に、硝酸リチウム、硝酸アルミニウム9水和物、りん酸二水素アンモニウムを溶解させた酸性の水溶液を添加すると直後に濁り、共沈法によってリチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ン等を含有したスラリーを得ることが出来る。この混合工程では液温は特に検討する必要はなく、加温しても、しなくても良い。当該スラリー中には、水酸化物として析出した構成元素と、イオンとして存在している構成元素とが存在していると考えられる。尚、スラリー中における炭酸由来の炭素量を低減する為に、当該スラリーを窒素パージすることも好ましい構成である。
本発明において、原料水溶液を混合し、共沈法によりリチウムイオン伝導体の構成元素を含むスラリーを得ることとしたのは、共沈法の採用により混合液における構成元素のイオン濃度積が溶解度積よりも高くなる過飽和状態を実現する為である。当該過飽和状態を実現することにより、生成する沈殿物の核数が多くなる結果、析出する沈殿物の粒子径は小さくなり、最終的には、非晶質のリチウムイオン伝導体の粒子のBET比表面積を高くする効果を得ることが出来るからである。尚、本発明における共沈法において、リチウムイオン伝導体の構成元素の全てを沈殿させることは出来ていないとも考えられるが、大部分の構成元素は共沈しており、非晶質のリチウムイオン伝導体の粒子における構成元素の均一性向上の効果も得ることが出来ている。
これに対し、構成元素を完全に溶解させた原料水溶液から脱水することとした場合は、溶解度の変化による析出であって、上述した共沈法のようにpH変化による急激な過飽和態を経過しない。この結果、生成する沈殿物の核数の数は減少し、析出する沈殿物の粒子径は大きくなる。さらに構成元素により溶解度が異なるため、脱水の過程において溶解度の低い構成元素は先に析出し、溶解度の高い構成元素は後に析出することになる為、生成した粒子の不均一性が生じる可能性もある。
(3)噴霧乾燥、
前記(2)にて得られたスラリーを、スプレードライヤー等を用いて噴霧乾燥して前記スラリー中の水分を蒸発させ、粉体を得る工程である。
ここで、乾燥工程を設けるのは、前記(2)にて得られたスラリー中には構成元素であるリチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、リン、および、所望により添加された上述の置換金属元素の大部分が共沈しているが、イオンで存在しているものもある為である。例えば、当該スラリーから濾過工程によって回収された粉体を用いると、目論見の組成を有するリチウムイオン伝導体を得ることが出来ないと考えられる。
一方、得られたスラリーから、噴霧乾燥ではなく、ホットプレート等を使用した蒸発乾固により粉体を得ることも可能ではある。しかし、脱水する時間が長いと、スラリー中においてイオンで存在している構成元素間の溶解度の差により、構成元素が不均一に析出してしまう恐れがある。
ここで、なるべく素早く脱水を実施することで、構成元素間の溶解度の差から生じる、析出の不均一さを低減することが出来る。従って、蒸発乾固のような手法よりも噴霧乾燥法のほうが、粒子の組成均一性には効果があると思われる。さらに生産面の観点からも、短時間で溶媒を除去出来る噴霧乾燥法のほうが好ましい。
噴霧乾燥を行うことで、乾燥粉末にはスラリー中に含まれる元素が残存するが、得られた乾燥粉は焼成することで余剰の不純物は熱により揮散させ除くことができる。さらに、不純物を除くために、乾燥粉を、水洗して不純物を除き、乾燥する工程を加えてもよい。
(4)焼成
前記(3)にて得られた粉体を焼成し、当該粉体に残存している原料由来のアンモニアや硝酸成分等を除去して非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得る、または、当該非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を経由することなく、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末を得る工程である。以下、(I)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得る場合と、(II)NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末を得る場合と工程について説明する。
(I)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得る場合
上述したように、非晶質のリチウムイオン伝導体粉末を圧粉焼成することで、緻密な成型体が得られるが、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末中にアンモニアや硝酸成分などの不純物が存在し、当該不純物を含有したままで焼成することになり、不純物が燃焼または揮発することにより、その部分にポアが生じて緻密なペレットが得られなくなる場合がある。そこで、500℃以下の温度で非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を焼成する。
具体的には、アルミナ製等の容器に、前記(3)にて得られた非晶質のリチウムイオン伝導体粉末を入れ、室温から、300℃〜500℃まで、昇温速度0.1〜20℃/minにて昇温する。300℃以上で焼成することで、アンモニアや硝酸成分等の除去がし易くなる。一方、500℃以下とすることでリチウムイオン伝導体の結晶化を回避することが出来るからである。
そして、300℃〜500℃に達してから60〜180分間焼成することで非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得る。焼成雰囲気は、大気雰囲気に限られず窒素雰囲気でも良いが、コストや生産性の観点からは大気雰囲気が好ましく、炭酸リチウムの生成を抑制する観点からは窒素雰囲気が好ましい。
(II)NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末を得る場合
具体的には、上述したように、アルミナ製等の容器に、前記(3)にて得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を入れ、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末を得る為に、500℃を超え、好ましくは550℃以上900℃以下の温度で焼成し、結晶化させることで、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末を得る。昇温速度は、とくに問わないが、1〜20℃/minが好ましい。焼成雰囲気に特段制限はないが、大気雰囲気とするのがよい。焼成時間は、とくに問わないが500℃を超え、900℃以下に達してから30分間以上300分間以下とすることが好ましい。
(5)粉砕
前記(4)にて得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を、後工程にて求められる粒径に迄、粉砕する工程である。非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の粒径は、イオン伝導度へ影響することはない。しかし、例えば、リチウムイオン伝導酸化物粉末をシート状に成形する場合、目的のシート厚以上の粒子が存在することは好ましくなく、粒径を調整する必要がある。粉砕の方法としては、公知の方法が使用可能ではあるが、ビーズミル等を用いた湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕を実施した場合は、処理後に固液分離を実施し、リチウムイオン伝導酸化物粉末を乾燥する。例えば非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の好ましい粒径は、体積基準の累積50%粒子径(D50)において、1μm〜5μmである。
湿式粉砕時の溶媒としては有機溶媒が好ましく、具体的にはIPAが好ましい。IPAは粉砕後の乾燥にて揮発するので、リチウムイオン伝導酸化物粉末中に残存しないからである。
溶媒が水の場合、リチウムがプロトンとイオン交換してしまい、リチウムイオン伝導度の悪化につながる場合がある。
尚、粉砕にビーズミルを使用する場合は、ビーズとしてはジルコニアビーズが好ましい。
以上(1)から(5)の工程を経ることで、本発明に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得ることが出来る。
(6)乾燥
前記(5)の工程にて、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末へ湿式粉砕を実施した場合は、その後、濾過等の固液分離を実施し、使用した溶媒の沸点以上の温度、且つ、前記(4)の工程で実施した焼成温度以下の温度範囲で乾燥させて、使用した溶媒を除去することで、本発明に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末を得ることが出来る。
尤も、前記(5)の工程にて、リチウムイオン伝導酸化物粉末へ乾式粉砕を実施した場合は、当該乾燥工程を省いても、本発明に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末を得ることが出来る。
リチウムイオン伝導酸化物粉末が非晶質であるかは、粉末X線回折(XRD)測定により、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察されることにより確認できる。尚、「ハロー」とは、X線の強度の緩やかな起伏であって、X線チャートにおいてブロードな盛り上がりとして観察されるものである。そして、当該ハローの半値幅は2θ:2°以上である。
(7)焼成
前記(6)にて得られた非晶質であるリチウムイオン伝導酸化物粉末を焼成し、結晶化させることで、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末を製造することが出来る。
焼成温度としては、500℃を超え、好ましくは550℃以上900℃以下である。
焼成雰囲気に特段制限はないが、大気雰囲気とすることが好ましい。
焼成時間は、とくに問わないが500℃を超え、900℃以下に達してから30分間以上300分間以下とすることが好ましい。
(8)NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末
以上、説明した工程によりNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末を製造することが出来る。
NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末は、上述する結晶化前の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末が含有する元素と同じ元素を含有している。
本発明のNASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体であるかは、XRD装置を用いて測定しXRDプロファイルを得た。得られたXRDプロファイルをXRD装置付属の電子計算機を用いてJCPDSカードNo.01−080−1922と照合し、結晶構造を同定することができる。
(実施例1)
上述した、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造工程を示すフローに拠って、実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を製造した。そして製造された実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の分析および特性評価を実施した。
(1)原料水溶液調製
実施例1においては、原料水溶液として(I)ゲルマニウム水溶液:アルカリ性と、(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液:酸性とを調製した。以下、それぞれについて説明する。
(I)ゲルマニウム水溶液
純水4000gへ二酸化ゲルマニウム192.5gを添加して撹拌しながら40℃に加温し、さらにアルカリとして濃度28質量%のアンモニア水97.5gを添加して、前記酸化ゲルマニウムを溶解させゲルマニウム水溶液を調製した。調製した水溶液におけるpH値は10.7でありアルカリ性であった。
(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液
純水150gへ、硝酸リチウム21.7gと硝酸アルミニウム9水和物39.4gとリン酸二水素アンモニウム72.5gとを加え、リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を調製した。調製したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液におけるpH値は1.4であり、酸性であった。
(2)混合(スラリー化)
前記アルカリ性であるゲルマニウム水溶液720gを分取し攪拌しながら40℃に加温し、そこへ前記酸性であるリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液の全量(283.7g)を添加しところ、水溶液は当該添加直後に白濁し、白色スラリーを得た。得られた白色スラリーのpH値は4.3であった。
(3)噴霧乾燥、
前記白色スラリーを、噴霧乾燥機(東京理化器械株式会社製 SD−1000)を用いて噴霧乾燥して、前記白色スラリー中の水分を蒸発させて一気に固相析出させ、白色の粉末を得た。尚、噴霧乾燥の条件としては、入口温度180℃、出口温度90℃、前記白色スラリーの添加速度10g/minとした。
(4)焼成
アルミナ製の容器に、前記噴霧乾燥で得られた白色の粉末を入れ、昇温速度5℃/minにて室温から400℃まで昇温し、400℃に達してから大気雰囲気下で120分間焼成することで非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末が得られた。
得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の30,000倍のSEM写真を図2(実施例1)に示す。
(5)湿式粉砕
前記非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末40gを、φ1mmZrビーズ160gとIPA94.32gと共にビーズミルに装填し、120分間湿式粉砕し粒度を調整して、粒度を調整した非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。
(6)乾燥
粒度を調整した非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を乾燥機に入れ、100℃3時間乾燥し、IPAを除去してこの実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。
この実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の体積基準の累積50%粒子径(D50)をHelos(分散圧5bar)で測定したところ1.8μmであった。この値を表3に記載する。
(7)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末
得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に対して、(I)組成分析、(II)炭素量分析、(III)酸素量計算、(IV)BET比表面積測定、(V)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定、(VI)イオン伝導度評価、(VII)リチウムイオン伝導体の圧粉焼成体のXRD測定、を実施した。以下、それぞれの方法および結果について説明する。
(I)組成分析
実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を、溶融剤として炭酸ナトリウムを使用して、アルカリ溶解した。そして、この溶解液に対しICP装置(Agilent社製 ICP−720)を用いて元素分析を行い、リチウム:2.43質量%、アルミニウム:3.02質量%、ゲルマニウム:25.1質量%、およびリン:21.7質量%を得た。各構成元素の分析値を表2に記載する。
(II)炭素量分析
実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末中の炭素量を、微量炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製 EMIA−U510)を用いて測定したところ0.16質量%であった。この値を表2に記載する。
(III)酸素量計算
非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末における酸素量を以下の通り算出した。
1価であるリチウムの酸化物はLiOであることから、リチウム酸化物に係る酸素量は以下の式で標記される。
リチウム酸化物に係る酸素量=(Li濃度×(LiOの式量/LiOのLi原子の個数)÷Liの式量)−Li濃度・・・(式)
一方、上述した(I)より、リチウム濃度のICPの分析結果は2.43質量%であるから、
リチウム酸化物に係る酸素量=(2.43×(29.88/2)÷6.94)−2.43=2.80質量%
となる。
3価であるアルミニウムの酸化物はAlであることから、アルミニウム酸化物に係る酸素量は以下の式で標記される。
アルミニウム酸化物に係る酸素量=(Al濃度×(Alの式量/AlのAl原子の個数)÷Alの式量)−Al濃度・・・(式)
一方、アルミニウム濃度のICPの分析結果は3.02質量%であるから、
アルミニウム酸化物に係る酸素量=(3.02×(101.96/2)÷26.98)−3.02=2.69質量%
となる。
4価であるゲルマニウムの酸化物はGeOであることから、ゲルマニウム酸化物に係る酸素量は以下の式で標記される。
ゲルマニウム酸化物に係る酸素量=(Ge濃度×(GeOの式量/GeOのGe原子の個数)÷Geの式量)−Ge濃度・・・(式)
一方、ゲルマニウム濃度のICPの分析結果は25.1質量%であるから、
ゲルマニウム酸化物に係る酸素量=(25.1×(104.61/1)÷72.61)−25.1=11.06質量%
となる。
5価であるリンの酸化物はPであることから、リン酸化物に係る酸素量は以下の式で標記される。
リン酸化物に係る酸素量=(P濃度×(Pの式量/PのP原子の個数)÷Pの式量)−P濃度・・・(式)
一方、リン濃度のICPの分析結果は21.7質量%であるから、
リン酸化物に係る酸素量=(21.7×(141.94/2)÷30.97)−21.7=28.02質量%
となる。
上述の計算結果より、それぞれの金属元素酸化物およびリン酸化物に係る酸素量を合計すると、2.80+2.69+11.06+28.02=44.6質量%となった。この値を表2に記載する。
得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末はLi1.5Al0.5Ge1.53.012であった。
さらに、上述した金属元素、リン、炭素、酸素の各量から、不純物量は3.0質量%と計算された。この値を表2に記載する。
(IV)BET比表面積測定
実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のBET比表面積を、BET比表面積測定器(株式会社マウンテック製 Macsorb)を用いて測定した。当該測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気した後、窒素とヘリウムとの混合ガス(N:30体積%、He:70体積%)を流しながら、実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のBET比表面積を、BET1点法により測定したところ27.7m/gであった。この値を表3に記載する。
(V)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定
実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に対してXRD測定を実施した。測定条件を表4に記載し、得られたXRDスペクトルを図3に示す。
図3より、実施例1に係るリチウムイオン伝導体は非晶質構造を有していることが確認出来た。このことを表3に記載する。これは、XRD測定により、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察されたことによる。尚、「ハロー」とは、X線の強度の緩やかな起伏であって、X線チャートにおいてブロードな盛り上がりとして観察されるものである。そして、当該ハローの半値幅は2θ:2°以上であった。
(VI)イオン伝導度評価
実施例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末0.5gを、直径10mmの円筒絶縁容器中に投入し、ステンレス集電体と共にプレス機によって360MPaでプレスして圧粉体を得た。
得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉体を炉内温度が700℃に達してから120分間焼成し、結晶化させNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末(Li1.5Al0.5Ge1.53.012)の圧粉焼成体を製造した。
上記焼成により製造されたNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体に対し、大気雰囲気の下、温度25℃にて、ポテンショ/ガルバノスタット(ソーラトロン社製 1470E)と周波数応答分析器(ソーラトロン社製 1255B)を用い、交流インピーダンス法により100Hz〜4MHzの範囲で測定を行った。そして、当該測定値のCole−Coleプロット(複素インピーダンス平面プロット)からNASICON型結晶構造を有する圧粉焼成体の抵抗値を求め、得られた抵抗値から非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を結晶化した、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末のイオン伝導度を算出したところ6.4×10−5S/cmであった。この値を表3に記載する。
(VII)リチウムイオン伝導体の圧粉焼成体のXRD測定
700℃120分間焼成し結晶化したリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を、上述した「(V)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定」に記載した条件でXRD測定し、JCPDSカードNo.01−080−1922と照合したところ、NASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体であるLAGPの結晶ピークが観察され、実施例1に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体は、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導体であることがわかった。得られたXRDスペクトルを図4に示す。
(実施例2〜8)
実施例1にて説明した「(1)原料水溶液調製」および「(2)混合(スラリー化)」の工程を、後述するように変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施して実施例2〜8に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を製造した。
そして、製造された実施例2〜8に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を用いて、実施例1の「(7)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末」にて説明した、「(I)組成分析、(II)炭素量分析、(III)酸素量分析、(IV)BET比表面積測定、(V)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定、(VI)イオン伝導度評価、(VII)リチウムイオン伝導体の圧粉焼成体のXRD測定、」を実施した。
実施例2〜8に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末における各構成元素の組成分析の結果、酸素量、炭素量および不純物量を表2に記載し、体積基準の累積50%粒子径(D50)をHelos(分散圧5bar)で測定した値、結晶相およびBET比表面積を表3に記載する。そして、実施例2〜8に係るNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末のイオン伝導度を表3に記載する。
尚、実施例5〜7に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に含まれる、Ti、Zr、Siに係る酸素量の算出方法は、それぞれの実施例において説明する。また、実施例5〜7においてもTi、Zr、Si以外の元素に係る酸素量の算出方法は、実施例1と同様である。
〈実施例2〉
(1)原料水溶液調製
(I)ゲルマニウム水溶液
純水4000gへ二酸化ゲルマニウム192.5gを添加して撹拌しながら40℃に加温し、さらにアルカリとして濃度28質量%のアンモニア水97.5gを添加して、前記二酸化ゲルマニウムを溶解させゲルマニウム水溶液を調製した。調製した水溶液におけるpH値は10.7であり、アルカリ性であった。
(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液
純水150gへ、硝酸リチウム18.8gと硝酸アルミニウム9水和物23.6gとリン酸二水素アンモニウム72.5gとを加え、リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を調製した。調製したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液におけるpH値は1.5であり、酸性であった。
(2)混合(スラリー化)
前記アルカリ性であるゲルマニウム水溶液816gを分取し攪拌しながら40℃に加温し、そこへ前記酸性であるリチウム、アルミニウム、リン、チタン含有水溶液の全量を添加しところ、水溶液は当該添加直後に白濁し、白色スラリーを得た。得られた白色スラリーのpH値は6.7であった。
(3)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末
得られた白色スラリーを用い、実施例1と同様に操作して、実施例2に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成式は、Li1.5Al0.5Ge1.53.012であった。
実施例2に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察され、ハローの半値幅は、2θ:2°以上であった。
実施例2に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作して、実施例2に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末を得、さらにリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を得た。
実施例2に係るリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、実施例2に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末は、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末(組成式:Li1.5Al0.5Ge1.53.012)であることが判明した。
〈実施例3〉
(1)原料水溶液調製
(I)ゲルマニウム水溶液
純水4000gへ二酸化ゲルマニウム192.5gを添加して撹拌しながら40℃に加温し、さらにアルカリとして濃度28質量%のアンモニア水97.5gを添加して、前記二酸化ゲルマニウムを溶解させゲルマニウム水溶液を調製した。調製した水溶液におけるpH値は10.7でありアルカリ性であった。
(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液
純水150gへ、硝酸リチウム22.7gと硝酸アルミニウム9水和物23.6gとリン酸二水素アンモニウム72.5gとを加え、リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を調製した。調製したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液におけるpH値は1.4であり、酸性であった。
(2)混合(スラリー化)
前記アルカリ性であるゲルマニウム水溶液816gを分取し攪拌しながら40℃に加温し、そこへ前記酸性であるリチウム、アルミニウム、リン、チタン含有水溶液の全量を添加しところ、水溶液は当該添加直後に白濁し、白色スラリーを得た。得られた白色スラリーのpH値は4.1であった。
(3)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末
得られた白色スラリーを用い、実施例1と同様に操作して、実施例3に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成式は、Li1.5Al0.5Ge1.53.012であった。
実施例3に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察され、ハローの半値幅は、2θ:2°以上であった。
実施例3に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作して、実施例3に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末を得、さらにリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を得た。
実施例3に係るリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、実施例3に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末は、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末(組成式:Li1.5Al0.5Ge1.53.012)であることが判明した。
〈実施例4〉
(1)原料水溶液調製
(I)ゲルマニウム水溶液
純水4000gへ二酸化ゲルマニウム192.5gを添加して撹拌しながら40℃に加温し、さらにアルカリとして濃度28質量%のアンモニア水97.5gを添加して、前記二酸化ゲルマニウムを溶解させゲルマニウム水溶液を調製した。調製した水溶液におけるpH値は10.7でありアルカリ性であった。
(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液
純水150gへ、硝酸リチウム24.8gと硝酸アルミニウム9水和物57.9gとリン酸二水素アンモニウム72.5gとを加え、リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を調製した。調製したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液におけるpH値は1.3であり、酸性であった。
(2)混合(スラリー化)
前記アルカリ性であるゲルマニウム水溶液600gを分取し攪拌しながら40℃に加温し、そこへ前記酸性であるリチウム、アルミニウム、リン、チタン含有水溶液の全量を添加しところ、水溶液は当該添加直後に白濁し、白色スラリーを得た。得られた白色スラリーのpH値は3.9であった。
(3)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末
得られた白色スラリーを用い、実施例1と同様に操作して、実施例4に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成式は、Li1.5Al0.5Ge1.53.012であった。
実施例4に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察され、ハローの半値幅は、2θ:2°以上であった。
実施例4に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作して、実施例4に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末を得、さらにリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を得た。
実施例4に係るリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、実施例4に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末は、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末(組成式:Li1.5Al0.5Ge1.53.012)であることが判明した。
〈実施例5〉
(1)原料水溶液調製
(I)ゲルマニウム水溶液
純水4000gへ二酸化ゲルマニウム192.5gを添加して撹拌しながら40℃に加温し、さらにアルカリとして濃度28質量%のアンモニア水97.5gを添加して、前記二酸化ゲルマニウムを溶解させゲルマニウム水溶液を調製した。調製した水溶液におけるpH値は10.7でありアルカリ性であった。
(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液
純水150gへ、硝酸リチウム21.7gと硝酸アルミニウム9水和物39.4gとリン酸二水素アンモニウム72.5gとを加え、リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を調製した。調製したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液におけるpH値は1.4であり、酸性であった。
(III)チタン含有水溶液
濃度35質量%の過酸化水素水35.8gに濃度28質量%のアンモニア水を3.0g加えた後、メタチタン酸1.51gを加え、完全に溶解するまで攪拌した。その溶液に前述したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を加えた。この時点でのpH値は4.0であった。
(2)混合(スラリー化)
前記アルカリ性であるゲルマニウム水溶液684gを分取し攪拌しながら40℃に加温し、そこへ前記酸性であるリチウム、アルミニウム、リン、チタン含有水溶液の全量を添加しところ、水溶液は当該添加直後に白濁し、白色スラリーを得た。得られた白色スラリーのpH値は6.7であった。
(3)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末
得られた白色スラリーを用い、実施例1と同様に操作して、実施例5に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成式は、Li1.5Al0.5(Ge1.4Ti0.1)P3.012であった。
実施例5に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察され、ハローの半値幅は、2θ:2°以上であった。
(I)酸素量計算
非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に含まれるチタンに係る酸素量を以下の通り算出した。
4価であるチタンの酸化物はTiOであることから、チタン酸化物に係る酸素量は以下の式で標記される。
チタン酸化物に係る酸素量=(Ti濃度×(TiOの式量/TiOのTi原子の個数)÷Tiの式量)−Ti濃度・・・(式)
一方、チタン濃度のICPの分析結果は0.8質量%であるから、
チタン酸化物に係る酸素量=(0.8×(79.88/1)÷47.88)−0.8=0.53質量%
となる。
実施例5に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を700℃120分間焼成し、結晶化したリチウムイオン伝導体を得、さらにリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を得た。当該リチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を、上述した「(V)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定」に記載した条件でXRD測定し、JCPDSカードNo.01−080−1922と照合したところ、NASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体であるLiGeP12の結晶ピークと一致した。これにより実施例5に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体は、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導体であることが判明した。
〈実施例6〉
(1)原料水溶液調製
(I)ゲルマニウム水溶液
純水4000gへ二酸化ゲルマニウム192.5gを添加して撹拌しながら40℃に加温し、さらにアルカリとして濃度28質量%のアンモニア水97.5gを添加して、前記二酸化ゲルマニウムを溶解させゲルマニウム水溶液を調製した。調製した水溶液におけるpH値は10.7でありアルカリ性であった。
(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液
純水150gへ、硝酸リチウム21.7gと硝酸アルミニウム9水和物39.4gとリン酸二水素アンモニウム72.5gとリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を調製した。調製したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液におけるpH値は0.9であり、酸性であった。
(2)混合(スラリー化)
前記アルカリ性であるゲルマニウム水溶液684gを分取し攪拌しながら40℃に加温し、オキシ硝酸ジルコニウム4.1gを加え完全に溶解させた。そこへ前記酸性であるリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液の全量を添加しところ、水溶液は当該添加直後に白濁し、白色スラリーを得た。得られた白色スラリーのpH値は3.9であった。
(3)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末
得られた白色スラリーを用い、実施例1と同様に操作して、実施例5に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成式は、Li1.5Al0.5(Ge1.4Zr0.1)P3.012であった。
実施例5に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察され、ハローの半値幅は、2θ:2°以上であった。
(I)酸素量計算
非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に含まれるジルコニウムに係る酸素量を以下の通り算出した。
4価であるジルコニウムの酸化物はZrOであることから、チタン酸化物に係る酸素量は以下の式で標記される。
ジルコニウム酸化物に係る酸素量=(Zr濃度×(ZrOの式量/ZrOのZr原子の個数)÷Zrの式量)−Zr濃度・・・(式)
一方、ジルコニウム濃度のICPの分析結果は1.5質量%であるから、
ジルコニウム酸化物に係る酸素量=(1.5×(123.22/1)÷91.22)−1.5=0.53質量%
となる。
実施例6に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を700℃120分間焼成し、結晶化したリチウムイオン伝導体を得、さらにリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を得た。当該リチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を、上述した「(V)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定」に記載した条件でXRD測定し、JCPDSカードNo.01−080−1922と照合したところ、NASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体であるLiGeP12の結晶ピークと一致した。これにより実施例6に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体は、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導体であることが判明した。
〈実施例7〉
(1)原料水溶液調製
(I)ゲルマニウム水溶液
純水4000gへ二酸化ゲルマニウム192.5gを添加して撹拌しながら40℃に加温し、さらにアルカリとして濃度28質量%のアンモニア水97.5gを添加して、前記二酸化ゲルマニウムを溶解させゲルマニウム水溶液を調製した。調製した水溶液におけるpH値は10.7でありアルカリ性であった。
(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液
純水150gへ、硝酸リチウム23.9gと硝酸アルミニウム9水和物39.4gとリン酸二水素アンモニウム68.9gとを加え、リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を調製した。調製したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液におけるpH値は1.6であり、酸性であった。
(2)混合(スラリー化)
前記アルカリ性であるゲルマニウム水溶液720gを分取し、Li11Si溶液(シグマアルドリッチ製)を10.2g添加した。その液を攪拌しながら40℃に加温し、そこへ前記酸性であるリチウム、アルミニウム、リン、チタン含有水溶液の全量を添加しところ、水溶液は当該添加直後に白濁し、白色スラリーを得た。
(3)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末
得られた白色スラリーを用い、実施例1と同様に操作して、実施例7に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成式は、Li1.5Al0.5Ge1.5(P2.96Si0.04)O12であった。
実施例7に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察され、ハローの半値幅は、2θ:2°以上であった。
(I)酸素量計算
非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に含まれるケイ素に係る酸素量を以下の通り算出した。
4価であるケイ素の酸化物はSiOであることから、ケイ素酸化物に係る酸素量は以下の式で標記される。
ケイ素酸化物に係る酸素量=(Si濃度×(SiOの式量/SiOのSi原子の個数)÷Siの式量)−Si濃度・・・(式)
一方、ケイ素濃度のICPの分析結果は0.2質量%であるから、
ケイ素酸化物に係る酸素量=(0.2×(60.08/1)÷28.09)−0.2=0.23質量%
となる。
実施例7に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を700℃120分間焼成し、結晶化したリチウムイオン伝導体を得、さらにリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を得た。当該リチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を、上述した「(V)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定」に記載した条件でXRD測定し、JCPDSカードNo.01−080−1922と照合したところ、NASICON型結晶構造のリチウムイオン伝導体であるLiGeP12の結晶ピークと一致した。これにより実施例7に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体は、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導体であることが判明した。
〈実施例8〉
(1)原料水溶液調製
(I)ゲルマニウム水溶液
純水4000gへ二酸化ゲルマニウム192.5gを添加して撹拌しながら40℃に加温し、さらにアルカリとして濃度28質量%のアンモニア水97.5gを添加して、前記酸化ゲルマニウムを溶解させゲルマニウム水溶液を調製した。調製した水溶液におけるpH値は10.7でありアルカリ性であった。
(II)リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液
純水150gへ、酢酸リチウム22.9gと硝酸アルミニウム9水和物39.4gとリン酸二水素アンモニウム72.5gとを加え、リチウム、アルミニウム、リン含有水溶液を調製した。調製したリチウム、アルミニウム、リン含有水溶液におけるpH値は1.8であり、酸性であった。
(2)混合(スラリー化)
前記アルカリ性であるゲルマニウム水溶液720gを分取し攪拌しながら40℃に加温し、そこへ前記酸性であるリチウム、アルミニウム、リン、チタン含有水溶液の全量を添加しところ、水溶液は当該添加直後に白濁し、白色スラリーを得た。得られた白色スラリーのpH値は4.5であった。
(3)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末
得られた白色スラリーを用い、実施例1と同様に操作して、実施例8に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成式は、Li1.5Al0.5Ge1.53.012であった。
実施例8に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、2θ:15°〜40°の領域でハローが観察され、ハローの半値幅は、2θ:2°以上であった。
実施例8に係る非晶質リチウムイオン伝導体粉末を用い、実施例1と同様に操作して、実施例8に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末を得、さらにリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を得た。
実施例8に係るリチウムイオン伝導体の圧粉焼成体を用い、実施例1と同様に操作してXRD測定を実施したところ、実施例8に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末は、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末(組成式:Li1.5Al0.5Ge1.53.012)であることが判明した。
(比較例1)
図5に示す比較例1に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造工程を示すフロー図に拠って、比較例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を製造した。そして製造された比較例1に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の分析および特性評価を実施した。
(1)ゲルマニウム、アルミニウム溶液調製
ブタノール97.68gへ、Ge(OEt)410gとAl(OBt)33.25gとを添加し、溶解させてGe、Al溶液を調製した。
(2)リチウム、リン溶液調製
純水379.64gへ、LiCOOCH2.61gと(NHHPO9.098gとを添加し、溶解させてリチウム、リン溶液を調製した。
(3)混合(ゾル化)
前記ゲルマニウム、アルミニウム溶液と前記リチウム、リン溶液とを混合して、混合溶液を得た。
(4)乾燥→真空乾燥
前記混合溶液を100℃の雰囲気下で乾燥し、その後110℃で真空乾燥し、粉体を得た。
(5)焼成
前記真空乾燥で得られた粉体を窒素雰囲気下400℃で焼成し、比較例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末が得られた。
得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の30,000倍のSEM写真を図2に示す。
(6)粉砕
比較例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末40gを、φ1mmZrビーズ160gとIPA94.32gと共にビーズミルに装填し、120分間粉砕し粒度を調整したリチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。
(7)乾燥
粒度を調整したリチウムイオン伝導酸化物粉末を乾燥機に入れ、100℃3時間乾燥し、IPAを除去してこの比較例1に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。
この比較例1に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の体積基準の累積50%粒子径(D50)を、Helos(分散圧5bar)で測定したところ1.5μmであった。
(8)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成分析
比較例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を、実施例1と同様に元素分析を行い、Li2.40(質量%)、Al2.94(質量%)、Ge25.2(質量%)、およびP21.7(質量%)を得た。各構成元素の組成を表2に記載する。
(9)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の炭素量および酸素量分析
比較例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末中の炭素量および酸素量を、実施例1と同様に測定したところ炭素量は0.38質量%、酸素量は44.5質量%であった。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末はLi1.5Al0.5Ge1.53.012であった。さらに、上述した金属元素、リン、炭素、酸素の各量から、不純物量は2.9質量%と計算された。この値を表2に記載する。
(10)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のBET比表面積測定
比較例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のBET比表面積を、実施例1と同様に測定したところ12.3m/gであった。この値を表3に記載する。
(11)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定
比較例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に対して、実施例1と同様の測定条件でXRD測定を実施した。得られたXRDスペクトルは実施例1と同様にハローが確認されたことより、比較例1に係るリチウムイオン伝導体は非晶質であることが確認できた。このことを表3に記載する。
(12)NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末のイオン伝導性の評価
比較例1に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に対して、実施例1と同様の操作を行い、比較例1に係るNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体を製造した。
製造された比較例1に係るNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体に対し、実施例1と同様にイオン伝導度を算出したところ4.6×10−6S/cmであった。この値を表3に記載する。
また、比較例1に係るNASICON型結晶構造を有する圧粉焼成体を、実施例1と同様にXRD測定した結果、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導体であることがわかった。
(比較例2)
図6に示す比較例2に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造工程を示すフロー図に拠って、比較例2に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)を製造した。そして製造された比較例2に係るリチウムイオン伝導酸化物粉末の分析および特性評価を実施した。
(1)原料秤量、混合
原料粉末として、LiCO2.85g、Al1.31g、GeO8.08g、NHPO17.76gを秤量した。そして、秤量した各原料粉末を磁製乳鉢に入れ、混合して混合粉末を得た。
(2)焼成
得られた混合粉末をアルミナルツボに入れ、大気雰囲気下400℃の温度で5時間焼成して焼成粉を得た。
(3)熔解
得られた焼成粉を白金ルツボに入れ、1200℃の温度で1時間加熱して熔解物とした。
(4)急冷
前記溶解物の急冷を行い、ガラス化してガラス体の粉体を得た。
得られたガラス体の10,000倍のSEM写真を図2に示す。
(5)粉砕
得られたガラス体の粉体を、乳鉢にて粗解砕し粒径200μm以下の粉体を得た。その後、実施例1と同様に溶媒にIPAを用いて、湿式粉砕を実施し、粒度を調整した非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を得た。
(6)乾燥
粒度を調整したリチウムイオン伝導酸化物粉末を乾燥機に入れ、100℃3時間乾燥し、IPAを除去してこの比較例2に係る非晶質のリチウムイオン伝導体粉体を得た。
(7)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の組成分析
比較例2に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を、実施例1と同様に元素分析を行い、Li2.39(質量%)、Al2.98(質量%)、Ge24.5(質量%)、およびP21.8(質量%)を得た。各構成元素の組成の値を表2に記載する。
(8)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の炭素量および酸素量分析
比較例2に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末中の炭素量および酸素量を、実施例1と同様に測定したところ炭素量は0.041質量%、酸素量は44.4質量%であった。得られた非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末はLi1.5Al0.5Ge1.53.012であった。さらに、上述した金属元素、リン、炭素、酸素の各量から、不純物量は3.9質量%と計算された。この値を表2に記載する。
(9)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のBET比表面積測定
比較例2に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のBET比表面積を、実施例1と同様に測定したところ3.3m/gであった。この値を表3に記載する。
(10)非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末のXRD測定
比較例2に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に対して、実施例1と同様の測定条件でXRD測定を実施した。得られたXRDスペクトルは実施例1と同様にハローが確認されたことより、比較例2に係る非晶質のリチウムイオン伝導体は非晶質であることが確認できた。このことを表3に記載する。
(11)NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末のイオン伝導性の評価
比較例2に係る非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末に対して、実施例1と同様の操作を行い、比較例2に係るNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体を製造した。
製造された比較例2に係るNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の圧粉焼成体に対し、実施例1と同様にイオン伝導度を算出したところ2.2×10−5S/cmであった。この値を表3に記載する。
また、比較例2に係るNASICON型結晶構造を有する圧粉焼成体を、実施例1と同様にXRD測定した結果、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導体であることがわかった。
Figure 2021098643
Figure 2021098643
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Claims (15)

  1. リチウムを、0.5質量%以上6.5質量%以下、
    アルミニウムを、0質量%を超え25.0質量%以下、
    ゲルマニウムを、0質量%を超え65.0質量%以下、
    リンを、10質量%以上30質量%以下含有し、
    BET一点法で計測される比表面積が15m2/g以上100m2/g以下である、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末。
  2. リチウムを、1質量%以上4質量%以下、
    アルミニウムを、0質量%を超え6質量%以下、
    ゲルマニウムを、15質量%を超え35質量%以下含有する、請求項1に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末。
  3. さらに、炭素を0.01質量%以上0.35質量%以下含有する、請求項1または2に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末。
  4. 前記BET一点法で計測される比表面積が20m2/g以上100m2/g以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末。
  5. さらに、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選択される、少なくとも一種の元素を含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末。
  6. さらに、ケイ素を10質量%以下含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末。
  7. 前記非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末は、一般式Li1+x+w(Al1−yM1(Ge1−zM22−x3−wSi12の式で表され、M1はガリウム、ランタン、インジウムおよびイットリウムから選ばれる1種以上であり、M2はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる1種以上であり、xの範囲は0<x≦1.0、yの範囲は0≦y≦1.0、zの範囲は0≦z≦1.0、wの範囲は0≦w≦1.0である請求項1から6のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末。
  8. さらに、ガリウム、ランタン、インジウムおよびイットリウムから選択される、少なくとも一種の元素を含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末。
  9. リチウム化合物の水溶液と、アルミ二ウム化合物の水溶液と、ゲルマニウム化合物の水溶液と、リン酸アンモニウム塩の水溶液とを混合し共沈物の懸濁液を得るスラリー形成工程と、
    前記スラリーを噴霧乾燥して、スラリー乾燥物を得る工程と、
    前記スラリー乾燥物を300℃以上500℃以下で焼成する工程とを有する、非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法。
  10. 前記スラリー形成工程において、さらにガリウム、ランタン、インジウムおよびイットリウムから選択される少なくとも一種の元素を含む化合物の水溶液を混合し共沈物の懸濁液を得る、請求項9に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法。
  11. 前記スラリー形成工程において、さらにチタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択される少なくとも一種の元素を含む化合物の水溶液を混合し共沈物の懸濁液を得る、請求項9または10に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法。
  12. 前記スラリー形成工程において、さらにケイ素化合物の水溶液を混合し共沈物の懸濁液を得る、請求項9から11のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法。
  13. 前記スラリー形成工程における前記懸濁液の形成は、pH8以上に調整した前記ゲルマニウム化合物の水溶液を混合することにより行う、請求項9から12のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法。
  14. 請求項1から8のいずれか一項に記載の非晶質リチウムイオン伝導酸化物粉末を500℃よりも高い温度で焼成する工程を有する、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法。
  15. リチウム化合物の水溶液と、アルミ二ウム化合物の水溶液と、ゲルマニウム化合物の水溶液と、リン酸アンモニウム塩の水溶液とを混合し共沈物の懸濁液を得るスラリー形成工程と、
    前記スラリーを噴霧乾燥して、スラリー乾燥物を得る工程と、
    前記スラリー乾燥物を500℃よりも高い温度で焼成する工程とを有する、NASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導酸化物粉末の製造方法。
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