JP2021092011A - ロジンエマルションサイズ剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融した原料ロジンを従来より低い温度で貯蔵しても溶融槽で結晶化せず、また強化ロジンを製造する際の不飽和カルボン酸との反応性が高く、乳化性が良好で、サイズ効果に優れるロジンエマルションサイズ剤を提供する。【解決手段】ロジン類(A1)、及び/又はロジン類(A1)とα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物との反応物である強化ロジン類(A2)を含有するロジン系物質を乳化分散してなるロジンエマルションサイズ剤であって、ロジン類(A1)が、原料ロジンとしてカリビア松に由来するロジン類(a)を用いることを特徴とする、ロジンエマルションサイズ剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ロジンエマルションサイズ剤に関するものであり、詳しくは溶解した原料ロジンを従来より低い温度で貯蔵しても溶融槽で結晶化せず、サイズ効果に優れるロジンエマルションサイズ剤に関するものである。
ロジンエマルションサイズ剤の製造には従来、原料ロジンとして馬尾松由来のガムロジンやトール油ロジンが使用されている。これらの原料ロジンには、結晶性が高いアビエチン酸が多く含まれるため、溶融したロジンが100〜110℃になると結晶化し、溶融槽を詰まらせるおそれがある。結晶化物の融点は約140℃であり、これを溶融するには更に高温で溶融する必要があり、それでも溶融しないロジンは人力で掻き出さなければならず、製造トラブルにつながっていた。そのため、溶解した原料ロジンを貯蔵する際は常に結晶化しない温度に保つ必要がある。
一方、近ごろサイズ剤の原料として使用されるようになったメルクシ松由来のロジン(特許文献1参照)や湿地松由来のロジン(特許文献2参照)はアビエチン酸の含有量が比較的少なく結晶化しにくい。しかしながら、強化ロジンを製造する際の反応率が低く、未反応の二塩基酸やメルクシ松ロジンの場合はジヒドロアガト酸が乳化阻害物となるため乳化する際の分散剤量が多く必要となり、コストアップにつながっている。
特開2017−40021号公報 特開2017−66579号公報
従来、ロジンエマルションサイズ剤の製造に使用する原料ロジンの結晶化を抑制するため、溶融槽を常に一定の温度以上に保つ必要があった。このような状況は、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)やCO排出量の削減目標を達成する上で、改善すべきエネルギーロスであると言える。本発明は、溶融した原料ロジンを従来より低い温度で貯蔵しても溶融槽で結晶化せず、なおかつ強化ロジンを製造する際の不飽和カルボン酸との反応性が高く、乳化性が良好で、サイズ効果に優れるロジンエマルションサイズ剤を提供することを目的とするものである。
本発明者は、原料ロジンとしてこれまでほとんど着目されていなかったカリビア松(Pinus caribaea)に由来するロジン類を使用することで、溶融したロジンを比較的低い温度で貯蔵しても結晶化することなく、乳化性も良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]ロジン類(A1)、及び/又はロジン類(A1)とα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物との反応物である強化ロジン類(A2)を含有するロジン系物質を乳化分散してなるロジンエマルションサイズ剤であって、
ロジン類(A1)が、原料ロジンとしてカリビア松に由来するロジン類(a)を含有することを特徴とする、ロジンエマルションサイズ剤。
[2]前記ロジン系物質が、さらにロジン類(A1)のエステル化物であるロジンエステル類(A3)及び/又は該ロジンエステル類(A3)と不飽和カルボン酸及び/又はその無水物との反応物(A4)を含有する、[1]に記載のロジンエマルションサイズ剤。
[3]ロジン系物質が、前記(A1)乃至(A4)成分を、(A1+A2)/(A3+A4)=50/50〜100/0の質量比で含有する、[1]又は[2]に記載のロジンエマルションサイズ剤に関する。
[4][1]〜[3]のいずれかにおけるロジンエマルションサイズ剤をパルプスラリーへ添加しサイジングを行うことを特徴とする紙の製造方法。
[5][1]〜[3]のいずれかにおけるロジンエマルションサイズ剤を紙に塗工してサイジングを行うことを特徴とする紙の製造方法に関する。
本発明によれば、溶融した原料ロジンを従来より低い温度で貯蔵しても溶融槽で結晶化しないため、その貯蔵に要するエネルギーを大幅に削減することができる。また、強化ロジンを製造する際の反応率が高く、乳化性が良好で、サイズ効果に優れるロジンエマルションサイズ剤を提供することができる。
以下、本発明のロジンエマルションサイズ剤について詳述する。
<ロジン類(A1)>
本発明のロジンエマルションサイズ剤は、原料ロジンとしてカリビア松に由来するロジン類(a)を用いることを特徴とする。
カリビア松(Pinus caribaea)は、中米やキューバ等のカリブ海沿岸諸国を主な原産地とするマツ科の植物であり、近年では南米や南アフリカ、南アジア、フィジーその他の太平洋諸国、中国等において植栽されている。特にキューバを産地とするカリビア松は、トロピカル松と別称されることがある。
カリビア松に由来するロジン類(a)としては、例えば、カリビア松から採取された生松脂や、これを蒸留・精製してなるガムロジン、カリビア松材を使用して得られるトール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。
原料ロジンには、カリビア松以外の松に由来するロジン類(b)(以下、「(b)成分」という。)が含有されていてもよい。そのような松としては、馬尾松(Pinus massoniana)、スラッシュ松(Pinus elliottii)、メルクシ松(Pinus merkusii)、雲南松(Pinus yunnanensis)、ケシア松(Pinus kesiya)、樟子松(Pinus sylvestris var. mongolica)、アレッポ松(Pinus halepensis)等が挙げられる。
カリビア松に由来するロジン類(a)と、カリビア松以外の松に由来するロジン類(b)の質量比は、結晶性や乳化性等の観点から、(a)/(b)=10/90〜100/0が好ましく、20/80〜90/10がより好ましく、30/70〜80/20が特に好ましい。
本発明においては、このロジン類(A1)の他に、ロジン類(A1)とα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物との反応物である強化ロジン類(A2)の少なくとも1種、さらにロジン類(A1)を用いたロジンエステル類(A3)及び強化ロジンエステル類(A4)の少なくとも1種のロジン系物質を使用することができ、また、これらを2種以上併用してもよい。これらのロジン系物質の配合割合については、ロジンエマルションサイズ剤が使用される抄紙工程の条件により適宜変更することができる。例えば抄紙工程のpHが4.0〜5.5程度である場合は、強化ロジン類の配合量を50質量%〜100質量%、ロジンエステル類及び/又は強化ロジンエステル類を0〜50質量%配合して使用することが好ましく、抄紙工程のpHが5.0〜8.0程度である場合は、強化ロジン類を10〜60質量%、ロジンエステル類及び/又は強化ロジンエステル類を20〜90質量%配合し使用することが好ましい。
強化ロジン類(A2)は、前述のロジン類(A1)にα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物を1〜20質量%、好ましくは3〜18質量%付加反応させたものである。α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物として挙げられるものとしてはフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等のα,β−不飽和二塩基性カルボン酸及びその無水物、アクリル酸及びメタクリル酸等のα,β−不飽和一塩基性カルボン酸が挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種又は2種類以上併用して使用できる。
ロジンエステル類(A3)は、上記ロジン類(A1)とアルコール類、フェノール類、エポキシ化合物類等とのエステル化反応によって得られる。完全及び/又は部分エステル化物を含むとともに、未反応ロジン類を含んでも良い。アルコール類としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール等が挙げられる。フェノール類としてはヒドロキノン、ピロガロール、ビスフェノールA等を例示できる。エポキシ化合物としてはグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。エステル化反応は、これらアルコール類、フェノール類、エポキシ化合物類の中から少なくとも1種又は2種類以上併用して反応が行える。反応方法は公知の方法で行うことが可能である。
強化ロジンエステル類(A4)は、ロジンエステル類にα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物等を付加させたものである。付加反応はエステル化反応前、エステル化反応と同時、エステル化反応後のいずれの段階でもよい。
さらに上記ロジン系物質に本発明の効果を阻害しない範囲で、上記ロジン類の変成物である水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、アルデヒド変性ロジンなどや、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸類、パラフィンワックス類、石油樹脂類などを併用することも可能である。併用する場合は、これら化合物を変性前、変性後いずれの段階でも上記ロジン類(A)に添加し使用して良く、これらのうち1種又は2種類以上併用しても本発明の効果を阻害しない範囲では構わない。さらに本発明の効果を阻害しない範囲でアルキルケテンダイマーやアルケニルコハク酸無水物、脂肪酸アミドなども上記ロジン系物質に併用することも可能である。
本発明のロジンエマルションサイズ剤の製造には、分散剤を使用することができる。
分散剤としては、a)疎水性ビニル系モノマー類、b)アニオン性水溶性ビニル系モノマー類及びc)ノニオン性水溶性ビニル系モノマー類のそれぞれに属する少なくとも1種のビニル系モノマーを必須成分として重合させてなる分散剤を用いることができる。
a)疎水性ビニル系モノマー類としては、炭素数1〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、炭素数5〜20の(メタ)アクリル酸脂環基エステル、或いは芳香族オレフィン、脂肪族オレフィンから選ばれる少なくとも1種のモノマーであり、2種以上併用することができる。これらの中でも、特にブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、などやスチレン類、スチレン系化合物のモノマーが好ましく、さらにはブチルアクリレートやシクロヘキシルメタクリレート、スチレンが好ましい。
分散剤中のa)成分の好ましい共重合割合は、a)〜c)のモノマー類の合計100重量%に対し、6〜80重量%であり、さらに好ましくは7〜70重量%である。6重量%未満の場合、ロジン系物質と分散剤との親和性が低下し、80重量%を超える場合はロジン系物質との親和性が良好になるものの水性分散媒への親和性が低下し、良好な乳化性の分散剤が得られなくなる。
次に使用するb)アニオン性水溶性ビニル系モノマー類としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルリン酸エステルなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリルリン酸エステル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルリン酸エステルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリルリン酸エステルおよびそれらの塩から選ばれる少なくとも1種のモノマーであり2種以上併用することができる。これらの中ではメタクリル酸、イタコン酸が好ましい。分散剤中のb)成分の好ましい共重合割合は、6〜50重量%であり、さらに好ましくは7重量%〜40重量%である。6重量%未満の場合には分散剤の親水性が低下し良好な乳化性が得られず、50重量%を超えると、その分散剤により得られるエマルションを含有するロジンエマルションサイズ剤の機械的安定性が悪くなる傾向がある。
c)ノニオン性水溶性ビニル系モノマー類としては(メタ)アクリルアミド、N,N−アルキル(C1〜2)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルエステルなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリルエステル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルエステルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリルエステルから選ばれる少なくとも1種類であり、2種類以上併用することができる。これらの中ではアクリルアミドが好ましい。c)成分の好ましい共重合割合は0〜70重量%であり、さらに好ましくは0重量%〜60重量%である。70重量%以上であると、良好な乳化性が得られなくなる。
また上記a)〜c)成分の他にアミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、アミノヒドロキシアルキルビニルエーテル、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジアリルアミンなどやこれらの第4級アンモニウム塩のカチオン性モノマーやメチレンビスアクリルアミド等の多官能アクリルアミド類、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の架橋性多官能モノマーも分散剤の乳化性能を阻害しない範囲で使用できる。
また重合調整剤としては、メルカプタン類としてn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、チオフェノール、チオ安息香酸、チオサリチル酸、ナフタレンチオール、トルエンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトグリコール、チオグリセリン、システアミン塩酸(塩)、メルカプトプロピオン酸(塩)、チオグリコール酸(塩)、チオ酢酸(塩)チオリンゴ酸(塩)、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルなどのアルキル基やエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの多価水酸基を有するチオグリコール酸エステル及びメルカプトプロピオン酸エステル類や、テルピノレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレン2量体等を分散剤の乳化性能を阻害しない範囲で使用できる。
該分散剤の製造における重合方法については、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など従来公知の方法で行うことができる。溶液重合の場合は水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ターシャルブチルアルコールなどの低級アルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン等の溶剤を使用して重合する。これらの溶剤において2種以上併用して使用することも可能である。乳化重合の場合は公知のアニオン性及び/又はノニオン性界面活性剤を使用し、前記溶剤下において重合をする。
ラジカル重合触媒としては、公知のものが使用できる。例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、これら過硫酸塩と還元剤との組み合わせによるレドックス系重合触媒、あるいは2’2−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系触媒、もしくは過酸化水素、t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物を挙げることができる。
得られた重合物は必要に応じて共重合体中の酸を無機及び/又は有機アルカリにより中和し使用することも可能である。中和に用いる無機アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、有機アルカリとしてはアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類が挙げられる。無機及び/又は有機アルカリによる中和は重合前、重合後、いずれの機会において、必要に応じて、また重合を阻害しない範囲で、且つ分散剤の性能を阻害しない範囲で行うことができる。
こうして得られる分散剤は、重量平均分子量(Mw)で、Mw1,000〜700,000程度で好ましくは50,000〜500,000である。重量平均分子量が、その範囲以下の場合ロジン系物質に対する乳化力が劣り、それ以上であるとこれを使用したサイズ剤の粘度が高くなる傾向があるため、乳化力が低下し好ましくない。
分散剤の使用量(固形分換算)は、ロジン系物質の全固形分100重量部に対して、乳化性と抄紙系での発泡の抑制の観点で好ましくは5〜12重量部、より好ましくは6〜10重量部である。
またロジン系物質を乳化する方法は、特に限定されず公知の方法(例えば米国特許第2393179号、米国特許第3565755号、米国特許4157982号)で製造可能である。例えば、転相乳化法、溶剤乳化法、機械乳化法などいずれの方法でも乳化することができる。剪断力、圧力などの乳化条件を最適化させることにより、望まれる粒子径および粒度分布のロジンエマルションを得ることができる。
また本発明の効果を害しない範囲で、乳化の際に公知の界面活性剤や高分子系共重合体を併用することも可能である。併用可能な界面活性剤として、カチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩およびその4級化物、アルキルアミドアミン、ノニオン性界面活性剤としてはポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンロジンエステル、アニオン性界面活性剤としてはロジン類及び強化ロジン類のアルカリ中和塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ナフタレン系スルホン酸塩、ASAのアルカリ塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高分子系共重合体としてはスチレン−メタクリル酸系共重合体や(メタ)アクリルアミド系共重合体などが挙げられる。
こうして得られるロジンエマルションサイズ剤の粘度は好ましくは100mPa・s以下であり、粒子径0.01〜1.0μmである。粘度が100mPa・sを超える場合、製品が皮張りしやすくなり凝集物が発生しやすくなり、粒子径が1.0μmを超える場合、サイズ効果が低下したり保管中に沈降物が多く生じたりする。
本発明のロジン系エマルションサイズ剤を用いるサイジング方法は公知の方法で行うことができる。例えば抄造時のウェットエンドで添加する場合にはロジン系エマルションサイズ剤をパルプスラリーに対し固形分換算で0.01%〜10%添加する。その添加時のパルプスラリーのpHは4.0〜9.0の範囲である。またコーターにて塗工液に添加し表面サイズ剤としても使用可能である。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、特に指定のない限り、配合量は質量部で示す。
分散剤の重量平均分子量の測定は下記条件により測定を行った。
測定器:東ソー(株)製 GPC−8020 mode III
カラム:(株)東ソーGPWXL
測定温度:40℃
検出器:示差屈折計
また、粘度の測定にはB型粘度計(株式会社東京計器製 形式:BM)を使用した。
ロジンエマルションサイズ剤の粒子径の測定にはレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−2100)を使用した。なお、前記粒子径は、体積平均粒子径を元にした粒子径分布において、全粒子量に対する積算粒子量が50%となる粒子径(いわゆるメディアン径)を意味し、以下同様とする。
<フマル酸強化ロジンの製造例>
製造例1
原料ロジンとしてカリビア松(Pinus caribaea)由来のガムロジン(a)300部と、馬尾松(Pinus massoniana)由来のガムロジン(b1)300部を1L四つ口フラスコに仕込み、200℃で加熱溶融させた。その後フマル酸を67部添加し、同温度で3時間保持し、フマル酸強化ロジン(A2−1)を得た。
製造例2〜6
原料ロジンの種類及び/又はその仕込み部数を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、フマル酸強化ロジン類(A2−2)〜(A2−6)を得た。
比較製造例1〜5
原料ロジンの種類及び/又はその仕込み部数を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、フマル酸強化ロジン類(B2−1)〜(B2−5)を得た。
<無水マレイン酸強化ロジンの製造例>
製造例7
原料ロジンとしてカリビア松(Pinus caribaea)由来のガムロジン(a)300部と、馬尾松(Pinus massoniana)由来のガムロジン(b1)300部を1L四つ口フラスコに仕込み、200℃で加熱溶融させた。その後無水マレイン酸を67部添加し、同温度で3時間保持し、無水マレイン酸強化ロジン(A2−7)を得た。
製造例8〜11
原料ロジンの種類及び/又はその仕込み部数を表2に示すとおりに変更した以外は製造例7と同様にして、無水マレイン酸強化ロジン類(A2−8)〜(A2−11)を得た。
比較製造例6〜9
原料ロジンの種類及び/又はその仕込み部数を表2に示すとおりに変更した以外は製造例7と同様にして、無水マレイン酸強化ロジン類(B2−6)〜(B2−9)を得た。
<原料ロジンの結晶性>
溶融混合した原料ロジンを80mLのガラス容器に40g採取し、定温乾燥機(ヤマト科学機株式会社製DVS602)内に105℃〜110℃で8時間静置した後、結晶化物の有無を目視で確認した。
〇:底部に沈降物なし
×:底部に結晶化物が沈降
<強化ロジン反応率>
強化ロジンの反応率は、以下の方法で算出した。
強化ロジン3gを精秤して四塩化炭素15mLに溶解し、水50mLを加えて20分間煮沸した。水部分をろ過して分離採取し、0.1N水酸化ナトリウムでフェノールフタレインを指示薬として呈色するまで滴定した。滴定量から次の計算式で反応率を算出した。
(計算式)
(1)フマル化強化ロジンの反応率
滴定量×0.1×57/(採取量×1000)=a
フマル酸仕込部数/(ロジン仕込部数+フマル酸仕込部数)=b
反応率(%)=(b−a)/b×100
(2)無水マレイン化強化ロジンの反応率
滴定量×0.1×48/(採取量×1000)=c
無水マレイン酸仕込部数/(ロジン仕込部数+無水マレイン酸仕込部数)=d
反応率(%)=(d−c)/d×100
Figure 2021092011
表1に示されるように、カリビア松由来のロジンを含む製造例1〜6の原料ロジンは105℃〜110℃で貯蔵しても結晶化せず、なおかつフマル酸との反応性も高いことが確認された。一方、カリビア松由来のロジンを含まない比較製造例1〜5の原料ロジンには、結晶化せず、なおかつ反応率も高いものはなかった。
Figure 2021092011
表2に示されるように、カリビア松由来のロジンを含む製造例7〜11の原料ロジンは105℃〜110℃で貯蔵しても結晶化せず、なおかつ無水マレイン酸との反応性も高いことが確認された。一方、カリビア松由来のロジンを含まない比較製造例6〜9の原料ロジンには、結晶化せず、なおかつ反応率も高いものはなかった。
<ロジンのグリセリンエステルの製造例>
製造例12
原料ロジンとしてカリビア松(Pinus caribaea)由来のガムロジン(a)300部と、馬尾松(Pinus massoniana)由来のガムロジン(b1)300部を1L四つ口フラスコに仕込み、200℃で加熱溶融させた。その後グリセリン57部を仕込み、窒素気流下で200℃まで加熱し脱水反応を行った。その後さらに270℃で14時間脱水反応を行いロジンエステル(A3−1)を得た。
<分散剤の製造例>
製造例13
温度計、冷却器、攪拌機、窒素導入管を備えた五つ口フラスコに水600部、スチレン70部、アクリル酸n−ブチル70部、メタクリル酸70部、α−メチルスチレンダイマーを4.3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.7部、過硫酸アンモニウム9.3部を仕込み、80℃まで昇温して重合を行った。その後、48%水酸化ナトリウムを54.1部添加し、さらに水を添加して1000部とし、濃度25%、重量平均分子量(Mw)65,000、粘度80mPa・sの分散剤1を得た。
製造例14
製造例13と同様の装置に水600部、スチレン63.8部、アクリル酸n−ブチル63.8部、メタクリル酸63.8部、アクリルアミド21.3部、α−メチルスチレンダイマーを4部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.5部、過硫酸アンモニウム8.5部を仕込み、80℃まで昇温して重合を行った。その後、48%水酸化ナトリウムを49.5部添加し、さらに水を添加して1000部とし、濃度25%、重量平均分子量(Mw)78,000、粘度110mPa・sの分散剤2を得た。
<ロジンエマルションサイズ剤の製造例>
実施例1
十字撹拌羽を三枚装備した1Lオートクレーブに製造例1で得たフマル酸強化ロジン(A2−1)93部を仕込み、150℃に加熱溶融した。これに製造例13で得た分散剤1を固形分換算で7部(有姿28部)を添加混合し、撹拌数を800rpmまで上昇させた。撹拌数を維持し、さらに熱水を76部加えながら転相させ固形分50%、メディアン径422nmのロジンエマルションサイズ剤を得た。
実施例2〜6、比較例1〜5
製造例2〜6で得たフマル酸強化ロジン(A2−2)〜(A2−6)、比較製造例1〜5で得たフマル酸強化ロジン(B2−1)〜(B2−5)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作で、それぞれ固形分50%のロジンエマルションサイズ剤を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜5のサイズ剤のサイズ効果を、下記の手順で評価した。結果を表3に示す。
<手抄き試験によるサイズ効果の評価>
実施例1〜6および比較例1〜5における評価方法
カナディアン・スタンダード・フリーネス380ccまで叩解したパルプ(UKP100%)を絶乾固形分2%のパルプスラリーとした。このパルプスラリーに絶乾パルプに対して固形分2%の硫酸バンド、0.2%の上記実施例および比較例で得たそれぞれのサイズ剤を添加し、パルプ濃度0.2%まで希釈した。JIS丸型抄紙機でJIS P8222に準拠して坪量80g/mとなるように抄紙した。湿紙の乾燥はドラムドライヤーを用いて90℃で2分間乾燥させた。得られたサイジング紙をJIS P8111に準拠して調湿し、JIS P8122に準拠して試験紙のステキヒトサイズ度を測定した。
Figure 2021092011
<ロジンエマルションサイズ剤の製造例>
実施例7
10Lオートクレーブに製造例7で得た無水マレイン酸強化ロジン(A2−7)65部、製造例12で得たロジンエステル(A3−1)28部を仕込み、150℃に加熱溶融した。これに製造例14で得た分散剤2を固形分換算で7部(有姿28部)を添加混合し、さらに熱水を76部加え、ガウリン高圧乳化装置で乳化分散し、固形分50%、粒子径512nmのロジンエマルションサイズ剤を得た。
実施例8〜11、比較例6〜9
製造例8〜11で得た無水マレイン酸強化ロジン(A2−8)〜(A2−11)、比較製造例6〜9で得たフマル酸強化ロジン(B2−6)〜(B2−9)を表4に示した組成比で用いたこと以外は実施例7と同様の操作で、それぞれ固形分50%のロジンエマルションサイズ剤を得た。
実施例7〜11及び比較例6〜9のサイズ剤について、カナディアン・スタンダード・フリーネス320ccの段古紙(坪80g/m、パルプ濃度3%)にバンド2%、サイズ剤0.3%添加した以外は、段落[0056]に記載したものと同様の評価条件で抄紙した紙のステキヒトサイズ度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2021092011
表3と表4に示すように、カリビア松由来のロジンを含有する原料ロジンを使用した実施例1〜11のロジンエマルションサイズ剤は、比較例1〜9のサイズ剤よりも乳化性に優れ、サイズ効果も良好であった。

Claims (5)

  1. ロジン類(A1)、及び/又はロジン類(A1)とα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物との反応物である強化ロジン類(A2)を含有するロジン系物質を乳化分散してなるロジンエマルションサイズ剤であって、
    ロジン類(A1)が、原料ロジンとしてカリビア松に由来するロジン類(a)を含有することを特徴とする、ロジンエマルションサイズ剤。
  2. 前記ロジン系物質が、さらにロジン類(A1)のエステル化物であるロジンエステル類(A3)及び/又は該ロジンエステル類(A3)と不飽和カルボン酸及び/又はその無水物との反応物(A4)を含有する、請求項1に記載のロジンエマルションサイズ剤。
  3. 前記ロジン系物質が、前記(A1)乃至(A4)成分を、[(A1)+(A2)]/[(A3)+(A4)]=50/50〜100/0の質量比で含有する、請求項1又は2に記載のロジンエマルションサイズ剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項におけるロジンエマルションサイズ剤をパルプスラリーへ添加しサイジングを行うことを特徴とする紙の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項におけるロジンエマルションサイズ剤を紙に塗工してサイジングを行うことを特徴とする紙の製造方法。
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