JP2021075479A - 有機化合物及び有機発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】還元電位が大きく電子受容性に優れ、且つ色純度が良い青色発光材料を提供する。【解決手段】下記一般式[1]で示される有機化合物。(一般式[1]において、*1及び*2で示す位置には、一般式[1−1]で表される環Qがそれぞれ独立に、*で示す位置で結合している。前記環Q同士は同一であっても異なっていても良い。R4乃至R5は水素原子、置換或いは無置換のアリール基からそれぞれ独立に選ばれる基である。前記環Qは、芳香族炭化水素であり、R1乃至R3は、水素原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアリール基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる基を表し、少なくとも一つはシアノ基である。)【選択図】なし

Description

本発明は有機化合物及びそれを用いた有機発光素子に関する。
有機発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子、あるいは有機EL素子と呼ぶ)は、一対の電極と、これら電極間に配置される有機化合物層とを有する電子素子である。これら一対の電極から電子及び正孔を注入することにより、有機化合物層中の発光性有機化合物の励起子を生成し、該励起子が基底状態に戻る際に、有機発光素子は光を放出する。
有機発光素子の最近の進歩は著しく、低駆動電圧、多様な発光波長、高速応答性、発光デバイスの薄型化・軽量化が可能であることが挙げられる。
ところで、現在までに発光性の有機化合物の創出が盛んに行われている。高性能の有機発光素子を提供するにあたり、発光特性の優れた化合物の創出が重要であるからである。
これまでに創出された化合物として、特許文献1乃至特許文献3には各々基本骨格としてアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格を有する下記化合物1−A乃至化合物1−C記載されている。
Figure 2021075479
化合物1−A乃至化合物1−Cは、本発明者らが調べたところ後述するように、青色発光である。
特開2010−254610号公報 特開2012−246258号公報 特開2018−76259号公報
特許文献1に記載の化合物1−Aは色純度が良い青色発光材料であるが、電子受容性の更なる向上が望まれる。一方、特許文献2及び特許文献3に記載の化合物1−B及び1−Cは、電子受容性が大きい青色発光材料であるが青色発光の色純度の更なる向上が望まれる。これらの化合物を用いた有機発光素子は色純度或いは耐久特性の更なる向上が望まれる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされるものであり、その目的は、還元電位が大きく電子受容性に優れ、且つ色純度が良い青色発光材料を提供することである。また本発明のその他の目的は、色純度及び駆動耐久特性に優れる有機発光素子を提供することである。
本発明の有機化合物は、下記一般式[1]で示されることを特徴とする。
Figure 2021075479
(一般式[1]において、*1及び*2で示す位置には、一般式[1−1]で表される環Qがそれぞれ独立に、*で示す位置で結合している。前記環Q同士は同一であっても異なっていても良い。
4乃至R5は水素原子、置換或いは無置換のアリール基からそれぞれ独立に選ばれる基である。
前記環Qは、芳香族炭化水素であり、R1乃至R3は、水素原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアリール基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる基を表し、少なくとも一つはシアノ基である。)
本発明に係る有機化合物は、還元電位が大きく電子受容性に優れ、且つ色純度が良い青色発光材料である。
アセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格のHOMO及びLUMOの電子軌道分布を可視化した図である。 本発明の一実施形態に係る有機発光素子を用いた表示装置の一例の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る照明装置の一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る車両用灯具を有する自動車の一例を示す模式図である。
≪有機化合物≫
まず本実施形態に係る有機化合物について説明する。本実施形態に係る有機化合物は、下記一般式[1]で示されることを特徴とする。
Figure 2021075479
一般式[1]において、*1及び*2で示す位置には、一般式[1−1]で表される環Qがそれぞれ独立に、*で示す位置で結合している。二つの環Q同士は同一であっても異なっていても良い。
4乃至R5は水素原子、置換或いは無置換のアリール基からそれぞれ独立に選ばれる基である。
4乃至R5で表されるアリール基として、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでも、炭素数6以上18以下のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基がより好ましい。
4乃至R5で表されるアリール基がさらに有してもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等のアルキル基、ベンジル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等のアリール基、ピリジル基、ピロリル基等のヘテロアリール基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
4乃至R5は、少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。また、R4乃至R5は、一方が水素原子であり、他方が、置換或いは無置換のアリール基、より好ましくは置換或いは無置換のフェニル基、置換或いは無置換のナフチル基、置換或いは無置換のフルオレニル基、置換或いは無置換のフェナンスレニル基から選ばれる基であることが好ましい。
環Qは、芳香族炭化水素、好ましくは炭素数6以上18以下の芳香族炭化水素ある。環Qで表される芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナンスレン、フルオレン、フルオランテン、ピレン、アントラセン、トリフェニレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このうち昇華性の観点から、分子量の小さいベンゼン、ナフタレンが特に好ましい。
1乃至R3は、水素原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアリール基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる基を表し、少なくとも一つはシアノ基である。
1乃至R3で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
1乃至R3で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
1乃至R3で表されるアルキル基、アリール基がさらに有してもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等のアルキル基、ベンジル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等のアリール基、ピリジル基、ピロリル基等のヘテロアリール基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る有機化合物は、好ましくは、下記一般式[2]で表される有機化合物である。
Figure 2021075479
6乃至R15は、水素原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアリール基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる基を表し、少なくとも一つはシアノ基である。R6乃至R15で表されるアルキル基、アリール基、これらが有してもよい置換基は、R1乃至R3で説明したものと同様である。
7乃至R9のうち少なくとも二つがシアノ基であり、R12乃至R14のうち少なくとも二つがシアノ基であることが好ましい。また、R7またはR9がシアノ基であり、R12またはR14がシアノ基であることが好ましい。
次に、本実施形態に係る有機化合物の合成方法を説明する。本実施形態に係る有機化合物は、例えば、下記に示す反応スキームに従って合成される(合成ルート1)。
Figure 2021075479
ここで、上記化合物(a)及び置換基Ar1を適宜変更することにより、種々の化合物を得ることができる。なお、合成法の詳細については実施例にて説明する。
次に、本実施形態に係る有機化合物は、下記(1)乃至(2)、好ましくは下記(1)乃至(3)に示す特徴を有するため、色純度の高い青発光を呈し、還元電位が大きく化学的に安定な化合物となる。さらにこの有機化合物を用いることで、色純度及び素子耐久に優れる有機発光素子を提供することもできる。
なお、ここでいう基本骨格とは、一般式[1]において、*1及び*2で示す位置に環Qではなく水素原子が結合し、R4乃至R5が水素原子である骨格である。
(1)基本骨格は、発光波長領域が色純度の高い青色領域にあり、電子受容性を有する骨格である
(2)環Qは電子吸引性のシアノ基を有し、環Qが基本骨格と結合する位置は、基本骨格のLUMOの電子軌道分布がHOMOの電子軌道分布より相対に少ない位置である
(3)R4乃至R5は孤立電子対を有さない基である
以下、これらの特徴について説明する。
(1)基本骨格は、発光波長領域が色純度の高い青色領域にあり、電子受容性を有する骨格である
本発明者らは、一般式[1]に示される有機化合物を発明するにあたり、基本骨格それ自体に注目した。
まず、色純度が良い青色発光を呈するためには、基本骨格自体が色純度の高い青色領域にある必要がある。本実施形態において、所望の発光波長領域とは色純度の高い青色領域のことであり、具体的には希薄溶液中で最大発光波長が430nm以上450nm以下の帯域内にあることである。
一方、有機発光材料は電荷に対する安定性を高める必要があり、そのためには高い電子受容性が求められる。有機発光素子では、電極間に挟まれた有機化合物が分子間で酸化と還元を繰り返すことでキャリア再結合により有機化合物の励起状態と基底状態を繰り返され、発光が行われる。そのため、電荷の授受に対して不安定な化合物では、酸化還元過程や励起状態において化学変化を起こし、異なる化合物へと変化してしまう。その結果、本来の素子特性が損なわれ、有機発光素子の輝度低下を生じ、連続駆動における素子耐久の劣化を引き起こすことになる。このような劣化を低減するためには電荷に対する安定性が求められ、高い電子受容性が必要である。高い電子受容性を有する材料の設計指針の一つとして還元電位を大きくすることが挙げられる。
ここで、本実施形態の有機化合物は、フルオランテン骨格が二つ縮合したアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格を基本骨格とする化合物である。フルオランテンは五員環を有する芳香族炭化水素であり、五員環を有する芳香族炭化水素の特徴は、5π電子系であるため一つの電子を受容する(還元される)と6π電子となりヒュッケル則に従い、芳香族安定化が起こることである。このためフルオランテンは六員環のみからなる芳香族炭化水素(アントラセンやピレンなど)に比べて電子受容性が高く、電荷の授受に対して安定である。
本実施形態に係る有機化合物の基本骨格の性質を説明するために、下記比較化合物R1と比較化合物1−Aの最大発光波長及び還元電位の比較を行った。比較化合物R1は、ベンゾ[k]フルオランテンの7、12位にフェニル基が置換された化合物であり、比較化合物1−Aは本実施形態の基本骨格を有する化合物である。
Figure 2021075479
発光波長の測定は、日立製F−4500を用い、室温下、励起波長350nmにおける希釈トルエン溶液のフォトルミネッセンス測定により行った。また、還元電位は、CV(サイクリックボルタンメトリー)測定により行った。なお、CV測定は、0.1Mテトラブチルアンモニウム過塩素酸円のDMF溶液(還元電位測定)を行い、参照電極はAg/Ag+、対極はPt、作用電極はグラッシーカーボンを用いて測定した。また、電圧の挿引速度は、1.0V/sで行った。測定装置はALS社製のモデル660C、電気化学アナライザーを用いた。結果を表1に示す。
Figure 2021075479
表1より比較化合物R1の最大発光波長は所望の帯域内にはなく、還元電位も−2.18Vと浅い値を示している。一方で、本実施形態の基本骨格を有する比較化合物1−Aは所望の帯域内に最大発光波長を有するため、基本骨格に近い形で色純度が高い発光材料であることが分かる。そのため、青色発光色の最適化のために置換基を導入することによりチューニングする際、比較化合物R1の基本骨格ベンゾ[k]フルオランテンに置換基を導入する場合よりも、少ない置換基の導入で発光色の最適化を行うことができる。また、置換基による振動失活を低減することにもつながり、発光素子の高効率化、長寿命化にも効果がある。
また、本実施形態の基本骨格を有する比較化合物1−Aの還元電位は比較化合物R1と比較して大きくなっていることから電子受容性が向上していることが分かる。本実施形態の基本骨格はフルオランテン骨格が二つ縮合した構造であり、そのため5π電子系の部分構造が更に一つ増え、その結果、還元電位が大きくなり電子受容性が向上した構造であることが分かる。
(2)環Qは電子吸引性のシアノ基を有し、環Qが基本骨格と結合する位置は、基本骨格のLUMOの電子軌道分布がHOMOの電子軌道分布より相対に少ない位置である
次に、本発明者らは、一般式[1]に示される有機化合物を発明するにあたり、基本骨格に導入する環Qの置換位置に注目した。
上述のように本実施形態の基本骨格は、それ自体で電子受容性を有した安定な化合物であるが、連続的な通電に対して、更に化学変化を起こしにくい構造にすることで、より耐久駆動特性に優れた有機発光素子を提供することができる。そのために、基本骨格に対して電子吸引性のシアノ基を有する環Qを導入することによって、電子受容性が向上し更に電荷に対する安定性を高めることができる。
同時に、環Qを基本骨格の適切な位置に導入することで青色発光の色純度を悪化させないために、発光波長が長波長化することがない設計が必要である。より好ましくは、環Qを導入することで、発光波長が短波長化し、より色純度の高い青色発光色を呈することである。
ここで、本実施形態の基本骨格であるアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格を有する化合物を例に説明する。アセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格を有する化合物として、比較化合物1−A及び1−Bと、本発明の例示化合物A1について、発光波長及び還元電位を併せて比較した。結果を表2に示す。尚、発光波長、還元電位の測定法に関しては、前述のとおりである。
Figure 2021075479
比較化合物1−Aは、環Qの代わりに電子吸引性の置換基を有さないフェニル基がアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の9位、16位に結合した化合物であり、基本骨格自体に近い特性を有する化合物例として挙げている。
表2より、比較化合物1−Bは、比較化合物1−Aに対して基本骨格であるアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の12位に電子吸引性のシアノ基を有するアリール基が置換した構造である。吸引性の置換基効果によって還元電位が比較化合物1−Aよりも−1.89Vと大きくなったが、最大発光波長が447nmであり、比較化合物1−Aよりも長波長化し、色純度が悪化する方向へシフトしている。
一方、本発明の化合物である例示化合物A1はアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の9位、16位にシアノ基を有するアリール基(環Q)が置換した構造である。そして、比較化合物1−Aよりも還元電位が−1.84Vと大きくなると同時に、最大発光波長は438nmと比較化合物1−Aよりも短波長化し、色純度が良い方向へシフトしていることが分かる。
この結果については、次のように考察することができる。アセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格のHOMO及びLUMOの電子軌道分布がアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の位置により異なる。そのため、電子吸引性の置換基が導入される場所によっては、HOMO及びLUMOへの影響度合いが異なると考えられる。
即ち、アセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の12位ではHOMOの電子軌道分布よりLUMOの電子軌道分布のほうが多く、そのためLUMOへの電子吸引性の効果が相対的に大きくなり光学的バンドギャップが狭くなる。その結果、最大発光波長が比較化合物1−Aよりも長波長化し、所望の色純度の範囲内を逸脱したと考えられる。
一方、本発明の化合物である例示化合物A1では、アセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の9位、16位に電子吸引性の置換基が導入されている。この位置はアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格のLUMOの電子軌道分布が比較的少なく、HOMOの電子軌道分布のほうが多い。そのため相対的にHOMOへの電子吸引性の効果が大きくなり、光学的バンドギャップは逆に広くなったことで比較化合物1−Aよりも短波長化し、同時にLUMOへの電子吸引効果の影響により還元電位が大きくなったものと考えられる。
上述の考察を支持するため、アセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格のHOMO及びLUMOの電子軌道分布について分子軌道計算を用いて可視化した。その結果を図1に示す。図1(a)はHOMOの電子軌道分布を可視化した図であり、図1(b)は、LUMOの電子軌道分布を可視化した図である。
なお、分子軌道計算法の計算手法は、現在広く用いられている密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)を用いた。汎関数はB3LYP、基底関数は6−31G*を用いた。尚、分子軌道計算法は、現在広く用いられているGaussian09(Gaussian09,RevisionC.01,M.J.Frisch,G.W.Trucks,H.B.Schlegel,G.E.Scuseria,M.A.Robb,J.R.Cheeseman,G.Scalmani,V.Barone,B.Mennucci,G.A.Petersson,H.Nakatsuji,M.Caricato,X.Li,H.P.Hratchian,A.F.Izmaylov,J.Bloino,G.Zheng,J.L.Sonnenberg,M.Hada,M.Ehara,K.Toyota,R.Fukuda,J.Hasegawa,M.Ishida,T.Nakajima,Y.Honda,O.Kitao,H.Nakai,T.Vreven,J.A.Montgomery,Jr.,J.E.Peralta,F.Ogliaro,M.Bearpark,J.J.Heyd,E.Brothers,K.N.Kudin,V.N.Staroverov,T.Keith,R.Kobayashi,J.Normand,K.Raghavachari,A.Rendell,J.C.Burant,S.S.Iyengar,J.Tomasi,M.Cossi,N.Rega,J.M.Millam,M.Klene,J.E.Knox,J.B.Cross,V.Bakken,C.Adamo,J.Jaramillo,R.Gomperts,R.E.Stratmann,O.Yazyev,A.J.Austin,R.Cammi,C.Pomelli,J.W.Ochterski,R.L.Martin,K.Morokuma,V.G.Zakrzewski,G.A.Voth,P.Salvador,J.J.Dannenberg,S.Dapprich,A.D.Daniels,O.Farkas,J.B.Foresman,J.V.Ortiz,J.Cioslowski,and D.J.Fox,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2010.)により実施した。
図1より、アセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の9位、16位(矢印の位置)はHOMOの電子軌道分布(図1(a))が、同じ位置のLUMOの電子軌道分布(図1(b))より相対的に多いことが分かる。矢印に付随した数値は各位置の軌道係数であり、アセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の9位、16位の位置(矢印の位置)では、HOMOの軌道係数はそれぞれLUMOの軌道係数より値が大きいことが分かる。
従って、この位置にシアノ基を有する電子吸引性の環Qを導入した場合、LUMOへの電子吸引効果により還元電位が大きくなりつつも、HOMOへの電子吸引性の効果が更に大きいため、その結果、光学的バンドギャップは広くなり発光波長が短波長化する。
(3)R4乃至R5は孤立電子対を有さない基である
本実施形態の化合物の特徴は、基本骨格であるアセナフト[1、2−k]ベンゾ[e]アセナフトフェナンスレン骨格の9位、16位にシアノ基を有する環Qを有することで、同じ置換位置に電子吸引性のないアリール基を有する構造よりも短波長化することである。この効果の発現に関して、R4乃至R5が水素原子の場合については、上述の通りである。
一方、R4乃至R5がアリール基である場合は、孤立電子対を有さない基であることが好ましい。R4乃至R5に導入される基として孤立電子対の有無による短波長化の効果の違いを比較した。具体的には、孤立電子対を有する基を導入した化合物例として比較化合物1−C及び1−Dを、孤立電子対のない基を導入した化合物例として比較化合物1−E及び例示化合物A8で比較し、その結果を表3に示す。
Figure 2021075479
比較化合物1−Cは、例示化合物A1のR4がジベンゾフランで置換された化合物である。また、比較化合物1−Dは、比較化合物1−Cの環Qの代わりに無置換のフェニル基が導入されている化合物である。比較化合物1−Cは比較化合物1−Dと比較して2nm長波長化しており、本発明とは逆の効果を発現している。これは、R4の位置に導入されたジベンゾフランには酸素原子上の孤立電子対があることから、この孤立電子対が電子供与性の性質を帯びている。これにより、選択的にHOMOへの共鳴効果が強まり、シアノ基が導入されている比較化合物1−Cは比較化合物1−Dに比べて分子内CT性が高まり、バンドギャップが狭くなる。その結果、本発明の効果を打ち消す方向に作用し、長波長化したものと考察することができる。
一方、例示化合物A8は、比較化合物1−Eよりも短波長化しており、これは本発明の効果を示すものである。比較化合物1−Dとは異なり、R4の位置に導入された置換基はキシリル基であり、電子供与性の性質が弱いため、HOMO、LUMOへの電子的な影響は非選択的であり、分子内CT性が高まることがない。従って、本発明の効果を打ち消すことがなく、短波長化したものと考察する。
以上より、本実施形態に係る有機化合物は、上記(1)乃至(2)、好ましくは上記(1)乃至(3)の性質を有する化合物であるため、色純度の高い青色発光を呈し、電子受容性が大きく化学的に安定な有機化合物となる。そして、これを用いることで、高効率で素子耐久性の高い、色純度の高い青色発光を示す有機発光素子を得ることができる。
本発明に係る有機化合物の具体例を以下に示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。
Figure 2021075479
Figure 2021075479
Figure 2021075479
Figure 2021075479
上記例示化合物のうち、A群に属するものは、一般式[2]で示され、R6乃至R10及びR11乃至R15の各々何れかがシアノ基である化合物である。R4或いはR5に置換基を有する場合は孤立電子対を有さない炭素数6乃至18のアリール基を有する。高い電子受容性と色純度の高い青色発光を兼ね備えることができる。
一方、上記例示化合物のうち、B群に属するものは、一般式[2]で示され、R7或いはR9、及びR12或いはR14にシアノ基を有する化合物である。R4或いはR5に置換基を有する場合は孤立電子対を有さない炭素数6乃至18のアリール基を有する。A群よりも電子受容性を緩和しつつ色純度がより優れた青色発光を兼ね備えることができる。B群に属するものは、一般式[2]で示され、R6乃至R15のうち、R7或いはR9、及びR12或いはR14にシアノ基を有し、他の置換位置は水素原子であってよい。
また、上記例示化合物のうち、C群に属するものは、一般式[2]で示され、R7乃至R9のうち2つ、及びR12乃至R14のうち2つにシアノ基、或いはシアノ基を置換基として有する置換基を有する化合物である。R4或いはR5に置換基を有する場合は孤立電子対を有さない炭素数6乃至18のアリール基を有する。A群よりも電子受容性を強め、色純度が良好な青色発光を兼ね備えることができる。
本実施形態に係る有機化合物は、青色発光に適した発光を呈し、化学的安定性が高い化合物である。このため本実施形態に係る有機化合物を有機発光素子の構成材料として用いることで、良好な発光特性と優れた耐久特性を有する有機発光素子を得ることができる。
≪有機発光素子≫
次に、本実施形態の有機発光素子について説明する。本実施形態の有機発光素子は、一対の電極である陽極と陰極と、これら電極間に配置される有機化合物層と、を少なくとも有する。本実施形態の有機発光素子において、有機化合物層は発光層を有していれば単層であってもよいし複数層からなる積層体であってもよい。ここで有機化合物層が複数層からなる積層体である場合、有機化合物層は、発光層の他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等を有してもよい。また発光層は、単層であってもよいし、複数の層からなる積層体であってもよい。
本実施形態の有機発光素子において、上記有機化合物層の少なくとも一層が本実施形態に係る有機化合物を含有する。具体的には、本実施形態に係る有機化合物は、上述した発光層、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等のいずれかに含まれている。本実施形態に係る有機化合物は、好ましくは、発光層に含まれる。
本実施形態の有機発光素子において、本実施形態に係る有機化合物が発光層に含まれる場合、発光層は、本実施形態に係る有機化合物のみからなる層であってもよいし、本実施形態に係る有機化合物と他の化合物とからなる層であってもよい。ここで、発光層が本実施形態に係る有機化合物と他の化合物とからなる層である場合、本実施形態に係る有機化合物は、発光層のホストとして使用してもよいし、ゲストとして使用してもよい。また発光層に含まれ得るアシスト材料として使用してもよい。ここでホストとは、発光層を構成する化合物の中で質量比が最も大きい化合物である。またゲストとは、発光層を構成する化合物の中で質量比がホストよりも小さい化合物であって、主たる発光を担う化合物である。またアシスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で質量比がホストよりも小さく、ゲストの発光を補助する化合物である。尚、アシスト材料は、第2のホストとも呼ばれている。
本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲストとして用いる場合、ゲストの濃度は、発光層全体に対して0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
また本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲストとして用いる際には、本実施形態に係る有機化合物よりもLUMOが高い材料(LUMOが真空準位により近い材料)をホストとして用いることが好ましい。というのも本実施形態に係る有機化合物は電子受容性が高い、すなわちLUMOが低いため、本実施形態に係る有機化合物よりもLUMOが高い材料をホストにすることで、発光層のホストに供給される電子を本実施形態に係る有機化合物がより受領することができるからである。
本発明者らは種々の検討を行い、本実施形態に係る有機化合物を、発光層のホスト又はゲストとして、特に、発光層のゲストとして用いると、高効率で高輝度な光出力を呈し、かつ極めて耐久性が高い素子が得られることを見出した。この発光層は単層でも複層でも良いし、他の発光色を有する発光材料を含むことで本実施形態の発光色と混色させることも可能である。複層とは発光層と別の発光層とが積層している状態を意味する。この場合、有機発光素子の発光色は青に限られない。より具体的には白色でもよいし、中間色でもよい。白色の場合、別の発光層が青以外の色、すなわち赤色や緑色を発光する。また、製膜方法も蒸着もしくは塗布製膜で製膜を行う。この詳細については、後述する実施例で詳しく説明する。
本実施形態に係る有機化合物は、本実施形態の有機発光素子を構成する発光層以外の有機化合物層の構成材料として使用することができる。具体的には、電子輸送層、電子注入層、ホール輸送層、ホール注入層、ホールブロッキング層等の構成材料として用いてもよい。この場合、有機発光素子の発光色は青に限られない。より具体的には白色でもよいし、中間色でもよい。
ここで、本実施形態に係る有機化合物以外にも、必要に応じて従来公知の低分子系及び高分子系のホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物、ホストとなる化合物、発光性化合物、電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することができる。以下にこれらの化合物例を挙げる。
ホール注入輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にして、かつ注入されたホールを発光層へ輸送できるようにホール移動度が高い材料が好ましい。また有機発光素子中において結晶化等の膜質の劣化を低減するために、ガラス転移点温度が高い材料が好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、アリールカルバゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。さらに上記のホール注入輸送性材料は、電子ブロッキング層にも好適に使用される。以下に、ホール注入輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2021075479
主に発光機能に関わる発光材料としては、一般式[1]で表わされる有機化合物の他に、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン等)、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体、レニウム錯体、銅錯体、ユーロピウム錯体、ルテニウム錯体、及びポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられる。以下に、発光材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2021075479
発光層に含まれる発光層ホストあるいは発光アシスト材料としては、芳香族炭化水素化合物もしくはその誘導体の他、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体等が挙げられる。以下に、発光層に含まれる発光層ホストあるいは発光アシスト材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2021075479
Figure 2021075479
電子輸送性材料としては、陰極から注入された電子を発光層へ輸送することができるものから任意に選ぶことができ、ホール輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮して選択される。電子輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、クリセン誘導体、アントラセン誘導体等)が挙げられる。さらに上記の電子輸送性材料は、ホールブロッキング層にも好適に使用される。以下に、電子輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2021075479
<有機発光素子の構成>
有機発光素子は、基板の上に、陽極、有機化合物層、陰極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、陽極と配線の導通を確保するために、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、銀−銅、亜鉛−銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を低減するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、1:1であってよい。
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
[保護層]
陰極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を抑え、表示不良の発生を抑えることができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を抑えてもよい。例えば、陰極形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
[対向基板]
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。
[有機層]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
<本発明の一実施形態に係る有機発光素子の用途>
本発明の一実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。表示装置は、複数の画素を有し、複数の画素の少なくとも一つが、本実施形態の有機発光素子と、有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有してよい。
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る表示装置につい説明する。図2は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるTFT素子とを有する表示装置の例を示す断面模式図である。TFT素子は、能動素子の一例である。
図2の表示装置10は、ガラス等の基板11とその上部にTFT素子又は有機化合物層を保護するための防湿膜12が設けられている。また符号13は金属のゲート電極である。符号14はゲート絶縁膜であり、15は半導体層である。
TFT素子18は、半導体層15とドレイン電極16とソース電極17とを有している。TFT素子18の上部には絶縁膜19が設けられている。コンタクトホール20を介して有機発光素子26を構成する陽極21とソース電極17とが接続されている。
尚、有機発光素子26に含まれる電極(陽極21、陰極23)とTFT素子18に含まれる電極(ソース電極17、ドレイン電極16)との電気接続の方式は、図2に示される態様に限られるものではない。つまり陽極21又は陰極23のうちいずれか一方とTFT素子18のソース電極17またはドレイン電極16のいずれか一方とが電気接続されていればよい。
図2の表示装置10では有機化合物層22を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層22は、複数層であってもよい。陰極23の上には有機発光素子26の劣化を低減するための第一の保護層24や第二の保護層25が設けられている。
図2の表示装置10ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えてMIM素子をスイッチング素子として用いてもよい。
また図2の表示装置10に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。尚、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
図2の表示装置10に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。尚、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
図3は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置等の光電変換装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
図4(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、本実施形態に係る表示装置を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本実施形態の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末等の電子機器の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
図4(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。
図5は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図5(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、本実施形態に係る発光装置が用いられてよい。額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図5(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
図5(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図5(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、本実施形態に係る発光装置を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
図6(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光源1402が発する光を透過する光学フィルタ1404と光拡散部1405と、を有してよい。光源1402は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。光学フィルタ1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ1404、光拡散部1405は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本実施形態の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
図6(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
テールランプ1501は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。テールランプ1501は、有機発光素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓1502は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
本実施形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
以下、実施例により本発明を説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1(例示化合物A1の合成)>
Figure 2021075479
(1)化合物M3の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物M1:3.64g(20mmol)
化合物M2:5.21g(20mmol)
エタノール:150mL
次に反応溶液を窒素気流下で70℃に加熱し、KOHエタノール溶液を滴下した。さらに、この温度(70℃)で5時間撹拌を行った。反応終了後、水を加えて沈殿物をろ過した。濾過物をメタノールで分散洗浄を行うことにより、黒灰色の化合物M3を5.69g(収率:70%)得た。
(2)例示化合物A1の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物M3:4.06g(10mmol)
化合物M4:3.14g(12mmol)
亜硝酸イソアミル:2.00mL(15mmol)
トルエン:100mL
次に、反応溶液を、窒素気流下で105℃に加熱しこの温度(105℃)で4時間攪拌を行った。反応終了後、トルエンと水で抽出を行った後、濃縮し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:トルエン=1:1)にて精製後、ヘプタン/エタノールで分散洗浄を行うことにより、黄色化合物A1を4.34g(収率:75%)得た。この化合物の純度はHPLCを用いて純度99%以上であることを確認した。
例示化合物A1の1×10-5mol/Lにおけるトルエン溶液の発光スペクトルは、日立製F−4500を用いて、350nmの励起波長においてフォトルミネッセンスの測定を行った結果、438nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
尚、例示化合物A1は、MALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=579 計算値:C44222=578
<実施例2至及6(例示化合物の合成)>
表4,5に示す例示化合物について、実施例1の原料M1、M2を、それぞれ原料1、原料2に変えた他は実施例1と同様にして例示化合物を合成した。また、実施例1と同様にして測定した質量分析結果の実測値:m/zを示す。
Figure 2021075479
Figure 2021075479
<実施例7>
本実施例では、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたボトムエミッション型構造の有機EL素子を作製した。
先ず、ガラス基板上にITOを成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりITO電極(陽極)を形成した。この時、ITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板をITO基板として、以下の工程で使用した。次に、1.33×10-4Paの真空チャンバー内における抵抗加熱による真空蒸着を行って、上記ITO基板上に、表6に示す有機EL層及び電極層を連続成膜した。尚、この時、対向する電極(金属電極層、陰極)の電極面積が3mm2となるようにした。
Figure 2021075479
得られた素子について、素子の特性を測定・評価した。発光素子の最大発光波長は449nmであり、最大外部量子効率(E.Q.E.)は5.8%、色度は(X,Y)=(0.14、0.08)の青色発光を得られた。測定装置は、具体的には電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。さらに、電流密度100mA/cm2での連続駆動試験を行い、輝度劣化率が10%に達した時の時間(LT90)を測定したところ、100時間を越えた。測定の結果を表7に示す。
<実施例8乃至13、比較例1乃至2>
表7に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例7と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例7と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表7に示す。
Figure 2021075479
表7より、比較例1及び比較例2の色度座標はそれぞれ(0.14、0.15)及び(0.14、0.17)であり、本発明の化合物を青発光層に用いた青発光素子と比較して青色発光の色純度が悪い。一方、本発明に係る有機化合物を用いた素子は、良好な青色発光特性と耐久特性を示した。
<実施例14>
本実施例では、基板上に陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、第一発光層、第二発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたトップエミッション型構造の有機EL素子を作製した。
ガラス基板上に、スパッタリング法でTiを40nm成膜し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、陽極を形成した。尚、この時、対向する電極(金属電極層、陰極)の電極面積が3mm2となるようにした。続いて、真空蒸着装置(アルバック社製)に洗浄済みの電極までを形成した基板と材料を取り付け、1.33×10-4Pa(1×10−6Torr)まで排気した後、UV/オゾン洗浄を施した。その後、表8に示される層構成で各層の製膜を行い、最後に、窒素雰囲気下において封止を行った。
Figure 2021075479
得られた素子について、素子の特性を測定・評価した。得られた素子は、良好な白色発光を示した。さらに、初期輝度2000cd/m2での連続駆動試験を行い、100時間後の輝度劣化率を測定した。結果を表9に示す。
<実施例15乃至18、比較例3乃至4>
表9に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例14と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例13と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表9に示す
Figure 2021075479
表9より比較化合物1−D及び1−Eとして用いている有機発光素子では輝度劣化率がそれぞれ20%、25%であった。これは比較化合物をゲストとして用いた場合、還元電位が低く電子受容性が十分でないため化学的な安定性が劣っていることに起因する。
10:表示装置、11:基板、12:防湿膜、13:ゲート電極、14:ゲート絶縁膜、15:半導体層、16:ドレイン電極、17:ソース電極、18:TFT素子、19:絶縁膜、20:コンタクトホール、21:陽極、22:有機化合物層、23:陰極、24:第一の保護層、25:第二の保護層、26:有機発光素子

Claims (16)

  1. 下記一般式[1]で示されることを特徴とする有機化合物。
    Figure 2021075479
    (一般式[1]において、*1及び*2で示す位置には、一般式[1−1]で表される環Qがそれぞれ独立に、*で示す位置で結合している。前記環Q同士は同一であっても異なっていても良い。
    4乃至R5は水素原子、置換或いは無置換のアリール基からそれぞれ独立に選ばれる基である。
    前記環Qは、芳香族炭化水素であり、R1乃至R3は、水素原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアリール基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる基を表し、少なくとも一つはシアノ基である。)
  2. 下記一般式[2]で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
    Figure 2021075479
    (R6乃至R15は、水素原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアリール基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる基を表し、少なくとも一つはシアノ基である。)
  3. 前記R7乃至R9のうち少なくとも二つがシアノ基であり、前記R12乃至R14のうち少なくとも二つがシアノ基であることを特徴とする請求項2に記載の有機化合物。
  4. 前記R7またはR9がシアノ基であり、前記R12またはR14がシアノ基であることを特徴とする請求項2に記載の有機化合物。
  5. 前記R4乃至R5は、少なくとも一つが水素原子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機化合物。
  6. 前記R4乃至R5は、一方が水素原子であり、他方は、置換或いは無置換のフェニル基、置換或いは無置換のナフチル基、置換或いは無置換のフルオレニル基、置換或いは無置換のフェナンスレニル基から選ばれる基であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機化合物。
  7. 前記R4乃至R5は、孤立電子対を有さない基であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機化合物。
  8. 陽極と陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置される有機化合物層と、を有する有機発光素子であって、前記有機化合物層の少なくとも一層は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機化合物を有することを特徴とする有機発光素子。
  9. 前記有機化合物を有する層が発光層であることを特徴とする、請求項8に記載の有機発光素子。
  10. 前記発光層と積層して配置される別の発光層を更に有し、前記別の発光層は前記発光層が発する発光色とは異なる色を発光することを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
  11. 白色発光することを特徴とする請求項10に記載の有機発光素子。
  12. 複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
  13. 複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
    前記表示部は請求項8乃至11のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする光電変換装置。
  14. 請求項8乃至11のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
  15. 請求項8乃至11のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルタと、を有することを特徴とする照明装置。
  16. 請求項8乃至11のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
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