JP2022086337A - 有機化合物、有機発光素子、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、および、移動体 - Google Patents

有機化合物、有機発光素子、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、および、移動体 Download PDF

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Hironobu Iwawaki
淳 鎌谷
Atsushi Kamatani
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Hirokazu Miyashita
直樹 山田
Naoki Yamada
洋祐 西出
Yosuke Nishide
悟 塩原
Satoru Shiobara
博揮 大類
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Abstract

【課題】発光効率に優れる有機化合物を提供する。【解決手段】下記一般式[1]に表される有機化合物。【化1】TIFF2022086337000034.tif80166一般式[1]において、R1~R6は、水素原子および一般式[2]~[18]で表される置換基からそれぞれ独立に選ばれる。R1およびR2は、いずれか一方が水素原子である。R3およびR4は、少なくともいずれか一方が水素原子である。R5およびR6は、少なくともいずれか一方が水素原子である。【選択図】図1

Description

本発明は、有機化合物、有機発光素子、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、および、移動体に関する。
有機発光素子(以下、「有機エレクトロルミネッセンス素子」あるいは「有機EL素子」と呼ぶことがある)は、一対の電極とこれら電極間に配置される有機化合物層とを有する電子素子である。これら一対の電極から電子及び正孔を注入することにより、有機化合物層中の発光性有機化合物の励起子を生成し、該励起子が基底状態に戻る際に、有機発光素子は光を放出する。
有機発光素子の最近の進歩は著しく、その特長としては、低駆動電圧、多様な発光波長、高速応答性、発光デバイスの薄型化・軽量化が可能であることが挙げられる。
有機発光素子の高効率化に関しては、燐光発光材料や遅延蛍光材料等の高効率化材料を用いた素子が報告されている。特許文献1には下記化合物A-1が記載されている。また、特許文献2には下記化合物A-2が記載されている。
Figure 2022086337000002
韓国公開特許第2017-0124412号公報 中国特許出願公開第110003222号明細書
特許文献1に記載の化合物A-1や特許文献2に記載の化合物A-2を有機発光素子中の発光層に用いた場合、発光効率には未だ課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされるものであり、その目的は、発光効率に優れる有機化合物を提供することである。
本発明の一側面としての有機化合物は、下記一般式[1]に表されることを特徴とする。
Figure 2022086337000003
一般式[1]において、R~Rは、水素原子、炭化水素基、および下記一般式[2]~[18]で表される置換基からなる群からそれぞれ独立に選ばれ、R~Rは少なくとも1つが下記一般式[2]~[18]で表される置換基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子または炭化水素基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子または炭化水素基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子である。
Figure 2022086337000004
一般式[2]~[18]において、XおよびXは、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
本発明の化合物を有機発光素子に用いた場合、発光効率に優れる有機化合物を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を用いた表示装置の一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である
(b)本発明の一実施形態に係る携帯機器の一例を表す模式図である。
(a)本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である
(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図である。
(a)本発明の一実施形態に係る照明装置の一例を示す模式図である
(b)本発明の一実施形態に係る移動体の一例である自動車を示す模式図である。
≪有機化合物≫
まず本実施形態に係る有機化合物について説明する。本実施形態に係る有機化合物は、下記一般式[1]に表される。
Figure 2022086337000005
一般式[1]において、R~Rは、水素原子、炭化水素基、および下記一般式[2]~[18]で表される置換基からなる群からそれぞれ独立に選ばれ、R~Rは少なくとも1つが下記一般式[2]~[18]で表される置換基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子または炭化水素基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子または炭化水素基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子または炭化水素基である。
換言すれば、一般式[1]において、RおよびRは、いずれか一方が水素原子または炭化水素基である。
一般式[1]において、R~Rのいずれかが炭化水素基である場合には、置換あるいは無置換の炭素原子数1から6のアルキル基または置換あるいは無置換の炭素原子数6から10のアリール基であることが好ましい。すなわち、一般式[1]において、R~Rは、水素原子、置換あるいは無置換の炭素数1から6のアルキル基、置換あるいは無置換の炭素原子数6から10のアリール基、および下記一般式[2]~[18]で表される置換基からなる群からそれぞれ独立に選ばれる置換基であることが好ましい。
Figure 2022086337000006
一般式[2]~[18]において、XおよびXは、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる置換基である。一般式[2]~[18]において、XおよびXは、置換あるいは無置換の炭素原子数6から10のアルキル基、置換あるいは無置換の炭素原子数6から10のアリール基、置換あるいは無置換の炭素原子数3から9の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる置換基であることが好ましい。
およびXとして好適なアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、XおよびXとしては、炭素原子数1から6の、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
およびXとして好適なアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、XおよびXとしては、炭素原子数6から10の、フェニル基、ナフチル基、インデニル基が好ましい。
およびXとして好適な複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、XおよびXとしては、炭素原子数3から9の、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基が好ましい。
およびXで表されるアルキル基、アリール基、複素環基がさらに有してもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ピリジル基、ピリミジル基等の複素環基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、本実施形態に係る有機化合物の合成方法を説明する。本実施形態に係る有機化合物は、例えば、下記に示す反応スキーム1~3に従って合成される。
Figure 2022086337000007
Figure 2022086337000008
Figure 2022086337000009
ここで、上記反応スキーム1~3における置換基Grは、上記一般式[2]~[18]で表される置換基群から選ばれる置換基である。上記反応スキーム1~3において、Gr-Hで表される化合物を適宜変更することにより、置換基Grの異なる種々の化合物を得ることができる。なお、合成法についてこれらに限定されるものではない。合成方法については実施例にて詳細に説明する。
次に、本実施形態に係る有機化合物は、以下のような特徴を有する。これにより、本実施形態に係る有機化合物を有機発光素子中に用いることで、高効率発光と駆動耐久特性の優れる有機発光素子を提供する。尚、本実施形態における基本骨格とは、一般式[1]で表される化合物のR~Rがすべて水素原子である骨格である。一般式[1]で表される化合物のR~Rがすべて水素原子である骨格は、ヘキサアザトリフェニレン骨格とも称される。
(1)基本骨格として電子吸引性のヘキサアザトリフェニレン骨格を有し、さらに、R~Rの少なくとも1つは一般式[2]~[18]で表される電子供与性の置換基であることで、SとTのエネルギーギャップが小さい。
(2)平面性の高い構造を有する基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格の有する置換基が、立体障害の比較的大きな一般式[2]~[18]で表される置換基であることで、分子会合が生じにくい。
(3)基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格に対して、一般式[2]~[18]で表される置換基が立体的にねじれて配置された構造を有することで、Sエネルギーレベルが緑、赤発光層用材料として好ましいレベルとなる。
以下、上記の特徴について説明する。
(1)基本骨格として電子吸引性のヘキサアザトリフェニレン骨格を有し、さらに、R~Rの少なくとも1つは一般式[2]~[18]で表される電子供与性の置換基であることで、SとTのエネルギーギャップが小さい。
本発明者らは、一般式[1]に表される有機化合物を創出するにあたり、化合物のHOMO(最高被占軌道)とLUMO(最低空軌道)の電子分布に注目した。
表1に示すように、本実施形態の化合物である例示化合物B-1及びB-2は、HOMOの電子軌道分布を占める部分と、LUMOの電子軌道分布を占める部分とが分離される。つまり、HOMOとLUMOの両方を占める部分は少ないことがわかる。
このことは重なり積分が小さく、励起一重項状態(S)と励起三重項状態(T)のエネルギー差が小さくなることにつながる。具体的には、例示化合物B-1及びB-2のSとTのエネルギーギャップ(ΔST)はそれぞれ、0.17eV、0.17eVと小さい。一方、比較化合物a-1~a-4のSとTのエネルギーギャップ(ΔST)はそれぞれ、0.36eV、0.36eV、0.36eV、0.52eVと大きい。
上記特徴は、基本骨格として電子吸引性である含窒素縮環骨格を有し、置換基として電子供与性のアミノ基を有し、置換基であるアミノ基が基本骨格に対してねじれて配置されていることによる効果である。一般式[1]で表される本実施形態の化合物が有する置換基は一般式[2]~[18]で表されるが、一般式[2]~[18]は、さらに置換基XとXを有する。置換基XとXは、一般式[2]~[18]で表される置換基全体が基本骨格に対して結合する結合位置の近くに、基本骨格との間で立体障害を生じ得る位置に配置されている。本実施形態では置換基XとXはアルキル基、アリール基、複素環基のいずれかであるため、一般式[2]~[18]で表される置換基は、基本骨格との間で比較的大きな立体障害を生じる。基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格は平面性の高い構造を有するが、上記の立体障害の影響で、一般式[2]~[18]で表される置換基は基本骨格に対してねじれて配置される。すなわち、一般式[1]で表される化合物は、一般式[2]~[18]で表される置換基が存在する平面と、基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格が存在する平面とが平行でなく、交差する構造をとる。
一方、比較化合物a-1~a-3や比較化合物A-1~A-2も、基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格が置換基としてアミノ基を有する構造を有する。しかし、これらの比較化合物が有する置換基は、一般式[2]~[18]で表される置換基のような比較的高い立体障害を生じる置換基を有していない。より具体的には、比較化合物a-1~a-3や比較化合物A-1~A-2が有する置換基は、一般式[2]~[18]で表される置換基が有する置換基XとXに相当する部分が無置換、すなわち水素原子となっている。したがって、一般式[2]~[18]で表される置換基のような立体障害を生じないため、比較化合物a-1~a-3や比較化合物A-1~A-2は、置換基の存在する平面と基本骨格が存在する平面とが平行である構造をとる。すなわち、基本骨格と置換基とが立体的にねじれた構造をとらない。そのため、表1にも示すように、例示化合物a-1~a-3や比較化合物A-1~A-2においては、HOMOの電子軌道分布を占める部分と、LUMOの電子軌道分布を占める部分が分離されず、HOMOとLUMOの重なりが大きい。このため、SとTのエネルギーギャップが大きくなる。
Figure 2022086337000010
尚、上記計算結果は分子軌道計算を用いて可視化した。分子軌道計算法の計算手法は、現在広く用いられている密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)を用いた。汎関数はB3LYP、基底関数は6-31Gを用いた。尚、分子軌道計算法は、現在広く用いられているGaussian09(Gaussian09,RevisionC.01,M.J.Frisch,G.W.Trucks,H.B.Schlegel,G.E.Scuseria,M.A.Robb,J.R.Cheeseman,G.Scalmani,V.Barone,B.Mennucci,G.A.Petersson,H.Nakatsuji,M.Caricato,X.Li,H.P.Hratchian,A.F.Izmaylov,J.Bloino,G.Zheng,J.L.Sonnenberg,M.Hada,M.Ehara,K.Toyota,R.Fukuda,J.Hasegawa,M.Ishida,T.Nakajima,Y.Honda,O.Kitao,H.Nakai,T.Vreven,J.A.Montgomery,Jr.,J.E.Peralta,F.Ogliaro,M.Bearpark,J.J.Heyd,E.Brothers,K.N.Kudin,V.N.Staroverov,T.Keith,R.Kobayashi,J.Normand,K.Raghavachari,A.Rendell,J.C.Burant,S.S.Iyengar,J.Tomasi,M.Cossi,N.Rega,J.M.Millam,M.Klene,J.E.Knox,J.B.Cross,V.Bakken,C.Adamo,J.Jaramillo,R.Gomperts,R.E.Stratmann,O.Yazyev,A.J.Austin,R.Cammi,C.Pomelli,J.W.Ochterski,R.L.Martin,K.Morokuma,V.G.Zakrzewski,G.A.Voth,P.Salvador,J.J.Dannenberg,S.Dapprich,A.D.Daniels,O.Farkas,J.B.Foresman,J.V.Ortiz,J.Cioslowski,and D.J.Fox,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2010.)により実施した。以下、本明細書中の分子軌道計算は同方法により実施した。
このように、一般式[1]で表される本実施形態の化合物は、SとTのエネルギー差(ΔST)が小さい、という特徴がある。これにより、本実施形態の化合物を有機発光素子の発光層で用いる場合、高効率発光の素子を提供することはできる。その要因はSとTのエネルギー差が小さいことで一重項励起子と三重項励起子が1:3で生成した励起子について、通常、熱失活していた三重項励起子を一重項励起状態から発光させる遅延蛍光型の発光に使用できるためである。三重項励起子を一重項励起状態へ変換する逆項間交差には、SとTのエネルギー差が小さいほうがエネルギー障壁が小さくなるため、有利である。本実施形態の化合物はその条件に合致して有利であるため、高効率発光の素子を提供できる。
(2)平面性の高い構造を有する基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格の有する置換基が、立体障害の比較的大きな一般式[2]~[18]で表される置換基であることで、分子会合が生じにくい。
本発明者らは、一般式[1]に表される有機化合物を創出するにあたり、化合物の平面性に着目した。本実施形態の化合物の基本骨格は、ヘキサアザトリフェニレン骨格であり、平面性が高い構造である。平面性が高いことは、分子同士のスタックが生じやすい。言い換えると、分子会合が生じやすくなるため好ましくない。なぜなら、有機発光素子において、分子会合は濃度消光による効率低下を招くためである。また、逆項間交差にも不利となる。なぜなら、分子間で行われる三重項励起子のエネルギー移動による励起子消滅(TTA)が起こりやすくなり、一重項励起子への逆項間交差が起こりにくくなるからである。
上述のとおり、一般式[1]に表される化合物は、一般式[2]~[18]で表される置換基が基本子骨格に対して立体的にねじれて配置された構造をとる。そのため、一般式[2]~[18]で表される置換基によって、基本骨格の高い平面性を崩すことができる。したがって、一般式[1]で表される化合物は平面性が比較的低く、分子同士のスタックが生じにくくなり、分子会合が生じにくいため好ましい。そのため、本実施形態の化合物を有機発光素子の発光層で用いた場合、分子会合が生じにくいため、濃度消光を起こしにくく、高効率発光の有機発光素子が得られる。
また、上記特徴は、有機化合物のアモルファス性向上にも効果がある。本実施形態の化合物を有機発光素子の有機層(有機化合物層)で用いた場合、結晶化しにくく、安定したアモルファス膜を形成することができる。これにより、長期駆動させても結晶化することなく、高耐久性に優れる有機発光素子を得るため好ましい。
さらに、上記特徴は、昇華性を向上する効果もある。昇華性の向上は、昇華精製による材料の高純度化や、蒸着による有機発光素子の作製を可能にする。これにより、有機発光素子中に含まれる不純物を減少することができ、不純物による発光効率の低下、駆動耐久の低下を招くことを防ぐことができる。
(3)基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格に対して、一般式[2]~[18]で表される置換基が立体的にねじれて配置された構造を有することで、Sエネルギーレベルが緑、赤発光層用材料として好ましいレベルとなる。
一般式[1]で表される化合物の一つである例示化合物B-1は、比較化合物a-1と対比すると、アミノ置換基であるカルバゾール基の1位、8位がメチル基で置換された構造を有する。この結果、上述のようにアミノ置換基が、基本骨格に対して立体的にねじれて配置された構造になる。比較化合物a-1のSのエネルギーレベルは424nmであるのに対して、例示化合物B-1のSのエネルギーレベルが488nmである。すなわち、例示化合物B-1は比較化合物a-1よりも発光波長が約64nm程度長波長化された化合物となっており、緑発光材料として有利な化合物を提供することができる。また、アミノ置換基をさらに増やすことで、Sエネルギーレベルがさらに低くなり、緑発光材料、あるいは赤発光材料として有利な方向に発光波長を変化させることができる。したがって、一般式[1]で表される化合物は、緑発光材料や赤発光材料として好ましい。
さらに、本発明の化合物は有機発光素子中の発光層で用いることが好ましく、その場合、以下の特徴を有する。
(4)本実施形態の化合物を発光層中でホスト材料と混合することで本実施形態の化合物が励起子再結合を起こしやすくなり、高効率の発光素子を提供する。
(5)本実施形態の化合物を発光層中でホスト材料と混合し、さらに発光材料を有することで高効率、高色純度の発光素子を提供する。
(6)発光材料が炭化水素からなる化合物である場合、高効率かつ耐久特性の良好な発光素子を提供する
以下、上記(4)~(6)の特徴について説明する。
(4)本実施形態の化合物を発光層中でホスト材料と混合することで本実施形態の化合物が励起子再結合を起こしやすくなり、高効率の発光素子を提供する。
本実施形態の化合物は電子求引性である含窒素複素環基と、電子供与性のアミノ基を有する化合物である。このため、有機発光素子の発光層でホスト材料と混合することにより、電子求引性の寄与により電子トラップ性の発光層、あるいは、電子供与性の寄与により、ホールトラップ性の発光層となる。
したがって、発光層中で輸送層から供給された電子またはホールは本実施形態の化合物でトラップされ、励起子再結合が行われる。本実施形態の化合物は上記特徴(1)で述べたように、SとTのエネルギー差が小さいため、発光層中で効率良く遅延蛍光型の発光を生じさせ、三重項励起子をより多く、発光に利用できる。
特に、ホスト材料が炭化水素化合物の場合、本実施形態の化合物のLUMOはホスト材料より低いレベル(真空準位から遠い)になりやすく、または本実施形態の化合物のHOMOはホスト材料より高いレベル(真空準位に近い)になりやすい。そのため、より電子やホールをトラップしやすくなるため効果が大きい。炭化水素化合物とは分子中に炭素と水素のみから構成される化合物である。
さらに本実施形態の化合物は(2)で述べたように分子会合が生じにくいため、ホスト材料中で濃度消光を生じにくい。この効果は本実施形態の化合物が励起状態にあるとき、励起子同士の相互作用による消光を防ぐことにつながり、発光層中で効率良く遅延蛍光型の発光を生じさせることに有効である。
(5)本実施形態の化合物を発光層中でホスト材料と混合し、さらに発光材料を有することで高効率、高色純度の発光素子を提供する。
本実施形態の化合物を発光層中に用い、さらに発光材料として用いられる発光量子収率の高い発光材料や発光スペクトルが高色純度を示すのに適したスペクトルを持つ発光材料をドープすることでさらに高効率で高色純度の発光素子を提供する。この場合、本実施形態の化合物は励起子再結合を起こしやすくするため、発光層中に電子や正孔を優先的にトラップできる程度の濃度で構成する必要がある。そのため、本実施形態の化合物の濃度は、発光層全体に対して0.1質量%以上45質量%以下とすることが好ましく、1質量%以上35質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下とすることが特に好ましい。さらに、本実施形態の化合物の濃度は発光層全体に対して15質量%以上としてもよい。一方、本実施形態の化合物を発光材料として捉えた場合には、ドープ濃度は少ないほうが分子同士の相互作用による濃度消光や発光スペクトルの変化の影響を受けにくいため好ましい。そのため、発光層中には本実施形態の化合物以外に発光材料をドープすることが好ましい。発光層中にさらにドープする発光材料のドープ濃度は、好ましくは0.01質量%以上20質量%以下、より好ましくは1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下が良い。以上により、高効率、高色純度の発光素子を提供することができる。さらに、発光材料として、緑、赤発光材料が好ましい。本実施形態の化合物が緑発光材料であるためである。
(6)本実施形態の化合物とともに用いる発光材料が炭化水素からなる化合物である場合、高効率かつ耐久特性の良好な発光素子を提供する。
本実施形態の化合物は強い電子求引性の含窒素複素環基を有するため、上記(5)で記載したようにドープしてともに用いる発光材料は電子供与基であるアミノ基を有さない発光材料が好ましく、炭化水素からなる化合物が好ましい。その理由は下記のとおりである。アミノ基を有する発光材料を本実施形態の化合物とともに用いると、発光層中で本実施形態の化合物の含窒素複素環基と、アミノ基を有する発光材料と、が相互作用する。その結果、エキサイプレックス形成により発光効率が低下したり、発光材料の発光スペクトルが変化することにより発光素子の色純度が悪化したりする可能性がある。
そのため、本実施形態の化合物とともに用いる発光材料は炭化水素からなる化合物であることが好ましく、より好ましくは5員環を有する縮合多環化合物であることが好ましい。イオン化ポテンシャルがより高いことで酸化されにくい構造であるからである。炭化水素化合物とは分子中に炭素と水素のみから構成される化合物である。
以上により、本実施形態の化合物を発光層中でホスト材料と混合することで高効率発光の有機発光素子を得ることができる。この時、発光材料は本実施形態の化合物でも良く、さらに発光材料を混合し、本実施形態の化合物をアシスト材料として機能させても良い。色純度の良い発光材料を用いることで高効率かつ高色純度の有機発光素子を得ることができる。さらにホスト材料が炭化水素化合物である場合、本実施形態の化合物が電子や正孔をトラップしやすくなるため高効率化の効果が大きく好ましい。
本発明に係る有機化合物の具体例を以下に示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。
Figure 2022086337000011
Figure 2022086337000012
Figure 2022086337000013
Figure 2022086337000014
Figure 2022086337000015
C群に属するものは一般式[1]に表される化合物において、R~Rのうち、いずれか1つが一般式[2]~[18]で表される置換基であり、それ以外はすべて水素原子である、一置換化合物(一置換体)である。一置換体であることから、ΔST(S-T差)が小さくなり、遅延蛍光型の発光を生じやすい。一般式[2]~[18]で表される置換基は電子供与性の置換基であり、一般式[1]に表される化合物における一般式[2]~[18]で表される置換基には、LUMOが分布する。C群に属する化合物は一置換体であるため、LUMOが分布する置換基の数が少なく、基本骨格と置換基との間の結合箇所において生じ得る熱振動失活が抑えられ、遅延蛍光型の発光がより得られやすい。
D群に属するものは一般式[1]に表される化合物において、R~Rのうち、いずれか2つが一般式[2]~[18]で表される置換基であり、それ以外はすべて水素原子である、二置換化合物(二置換体)である。より具体的には、RおよびRが一般式[2]~[18]で表される置換基であり、R、および、R~Rが水素原子である化合物であってもよい。置換基を2つ有するため、一置換体よりも立体的な嵩高さが増し、分子と分子の間の距離が広がり、分子会合を生じにくくなり、濃度消光しにくい。また、ΔSTも一置換体と同様に小さいため、遅延蛍光型の発光を得られやすい。
E群に属するものは一般式[1]に表される化合物において、R~Rのうち、いずれか3つが一般式[2]~[18]で表される置換基であり、それ以外はすべて水素原子である三置換化合物(三置換体)である。より具体的には、R、R、および、Rが一般式[2]~[18]で表される置換基であり、R、R、および、Rが水素原子である化合物であってもよい。置換基を3つ有するため、分子の平面性は一置換体や二置換体と比較してより小さく、すなわち、より立体的である。したがって、分子会合が生じにくいために濃度消光しにくく、高濃度で使用する場合により有利になる。また、基本骨格のヘキサアザトリフェニレンの化学反応箇所が減り、置換基によって反応個所が立体的に覆われるために化学安定性が高くなる。これにより、耐久性に優れた有機発光素子を実現できる。
≪有機発光素子≫
次に、本実施形態の有機発光素子について説明する。
本実施形態の有機発光素子は、一対の電極である陽極(アノード)と陰極(カソード)と、これら電極間に配置される有機化合物層と、を少なくとも有する。本実施形態の有機発光素子において、有機化合物層は発光層を有していれば単層であってもよいし複数層からなる積層体であってもよい。
ここで有機化合物層が複数層からなる積層体である場合、有機化合物層は、発光層の他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等を有してもよい。また発光層は、単層であってもよいし、複数の層からなる積層体であってもよい。
本実施形態の有機発光素子において、有機化合物層の少なくとも一層に本実施形態に係る有機化合物が含まれている。具体的には、本実施形態に係る有機化合物は、上述した発光層、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等のいずれかに含まれている。本実施形態の係る有機化合物は、好ましくは、発光層に含まれる。発光層は、緑色発光または赤色発光することができるが、発光色はこれらに限定されない。
本実施形態の有機発光素子において、本実施形態に係る有機化合物が発光層に含まれる場合、発光層は、本実施形態に係る有機化合物のみからなる層であってもよいし、本実施形態に係る有機化合物と他の化合物とからなる層であってもよい。ここで、発光層が本実施形態に係る有機化合物と他の化合物とからなる層である場合、本実施形態に係る有機化合物は、発光層のホスト材料として使用してもよいし、ゲスト材料として使用してもよい。また発光層に含まれ得るアシスト材料として使用してもよい。ここでホスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で質量比が最も大きい化合物である。またゲスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で質量比がホスト材料よりも小さい化合物であって、主たる発光を担う化合物である。またアシスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で質量比がホスト材料よりも小さく、ゲスト材料の発光を補助する化合物である。
ここで、本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲスト材料として用いる場合、ゲスト材料である本実施形態の有機化合物の濃度は、発光層全体に対して0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。本実施形態に係る有機化合物を発光層のアシスト材料として用いる場合、アシスト材料である本実施形態の有機化合物の濃度は、発光層全体に対して0.1質量%以上45質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
また本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲスト材料として用いる場合は、ゲスト材料である本実施形態の有機化合物に対するホスト材料の質量比(ホスト材料/ゲスト材料)が、1.1以上10000以下であることが好ましい。さらに、前記質量比は、2以上1000以下であることがより好ましく、2以上100以下であることがさらに好ましい。
また本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲスト材料として用いる際には、本実施形態に係る有機化合物よりもLUMOが高い材料(LUMOが真空準位により近い材料)をホスト材料として用いることが好ましい。というのも本実施形態に係る有機化合物はLUMOが低い傾向にあるため、本実施形態に係る有機化合物よりもLUMOが高い材料をホスト材料にすることで、発光層のホスト材料に供給される電子を本実施形態に係る有機化合物がより受領することができるからである。
また本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲスト材料として用いる際には、下記の関係を満たすことが好ましい。ホスト材料のSのエネルギーレベルをSh1、TのエネルギーレベルをTh1とし、ゲスト材料のSのエネルギーレベルをSg1、TのエネルギーレベルをTg1としたときに、Sh1>Sg1を満たし、かつ、Th1>Tg1を満たすことが好ましい。
また本実施形態に係る有機化合物を発光層のアシスト材料として用いる際には、本実施形態に係る有機化合物よりもLUMOが高い材料(LUMOが真空準位により近い材料)をゲスト材料として用いることが好ましい。本実施形態に係る有機化合物はLUMOが低い傾向にある。そのため、本実施形態に係る有機化合物よりもLUMOが高い材料を発光材料(ゲスト材料)にすることで、発光層のホスト材料に供給される電子を本実施形態に係る有機化合物がより受領し、励起子再結合をアシスト材料が担う。その結果、効率良く発光材料(ゲスト材料)へエネルギー移動を起こすことが可能になる。本実施形態に係る有機化合物を発光層のアシスト材料として用いる際には、本実施形態に係る有機化合物よりもSのエネルギーレベルが低い材料をゲスト材料(発光材料)として用いることが好ましい。
本発明者らは種々の検討を行い、本実施形態に係る有機化合物を、発光層のホスト材料、ゲスト材料またはアシスト材料として、特に、発光層のゲスト材料として用いると、高効率で高輝度な光出力を呈し、かつ極めて耐久性が高い素子が得られることを見出した。さらに、発光層のアシスト材料として用いると、高効率で高輝度な光出力を呈し、かつ極めて耐久性が高い素子が得られることを見出した。この発光層は単層でも複層でも良いし、複数の発光材料を含むことも可能である。複層とは発光層と別の発光層とが積層している状態でも良く複数の発光層の間に中間層を積層しても良い。また、タンデム素子やスタック素子でも良い。これらの場合、有機発光素子の発光色は単色に限られない。より具体的には白色でもよいし、中間色でもよい。また、製膜方法も特に限られず、蒸着もしくは塗布製膜で製膜を行う。この詳細については、後述する実施例で詳しく説明する。
本実施形態に係る有機化合物は、本実施形態の有機発光素子を構成する発光層以外の有機化合物層の構成材料として使用することができる。具体的には、電子輸送層、電子注入層、ホール輸送層、ホール注入層、ホールブロッキング層等の構成材料として用いてもよい。
<有機発光素子を構成する材料>
ここで、有機発光素子を構成する材料としては、本実施形態に係る有機化合物以外にも、必要に応じて従来公知の低分子系及び高分子系の各種化合物を用いることができる。典型的には、ホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物、ホスト材料となる化合物、発光性化合物、電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することができる。以下にこれらの化合物例を挙げる。
ホール注入輸送性材料(ホール注入性材料またはホール輸送性材料)としては、陽極からのホールの注入を容易にして、かつ注入されたホールを発光層へ輸送できるようにホール移動度が高い材料が好ましい。また有機発光素子中において結晶化等の膜質の劣化を抑制するために、ガラス転移点温度が高い材料が好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、アリールカルバゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。さらに上記のホール注入輸送性材料は、電子ブロッキング層にも好適に使用される。
以下に、ホール注入輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2022086337000016
ホール注入輸送材料としてあげた中でも、HT16~HT18は、陽極に接する層に用いることで駆動電圧を低減することができる。HT16は広く有機発光素子に用いられている。HT16に隣接する有機化合物層に、HT2、HT3、HT4、HT5、HT6、HT10、HT12を用いてよい。また、一つの有機化合物層に複数の材料を用いてもよい。
主に発光機能に関わる発光材料としては、一般式[1]で表わされる有機化合物の他に、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン等)、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体、レニウム錯体、銅錯体、ユーロピウム錯体、ルテニウム錯体、及びポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられる。
以下に、発光材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2022086337000017
Figure 2022086337000018
発光材料は炭化水素化合物である場合、エキサイプレックス形成による発光効率低下や発光材料の発光スペクトルが変化による色純度悪化を防ぎ、好ましい。ここで、炭化水素化合物とは炭素と水素のみで構成される化合物であり、上記の発光材料として用いられる化合物の具体例の中ではBD7、BD8、GD5~GD9、RD1が相当する。
発光材料は5員環を含む縮合多環である場合、イオン化ポテンシャルが高いため、酸化しにくく、高耐久な寿命の素子を提供するためさらに好ましい。上記の発光材料として用いられる化合物の具体例の中ではBD7、BD8、GD5~GD9、RD1が相当する。
発光層に含まれる発光層ホスト材料あるいは発光アシスト材料としては、芳香族炭化水素化合物もしくはその誘導体の他、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体等が挙げられる。
以下に、発光層に含まれる発光層ホスト材料あるいは発光アシスト材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2022086337000019
ホスト材料は炭化水素化合物である場合、本発明の化合物が電子や正孔をトラップしやすくなるため高効率化の効果が大きく好ましい。ここで、炭化水素化合物とは炭素と水素のみで構成される化合物であり、上記のホスト材料として用いられる化合物の具体例の中ではEM1~EM12、EM16~EM27が相当する。
電子輸送性材料としては、陰極から注入された電子を発光層へ輸送することができるものから任意に選ぶことができ、ホール輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮して選択される。電子輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、クリセン誘導体、アントラセン誘導体等)が挙げられる。さらに上記の電子輸送性材料は、ホールブロッキング層にも好適に使用される。
以下に、電子輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2022086337000020
電子注入性材料としては、陰極からの電子注入が容易に可能なものから任意に選ぶことができ、正孔注入性とのバランス等を考慮して選択される。有機化合物としてn型ドーパント及び還元性ドーパントも含まれる。例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属を含む化合物、リチウムキノリノール等のリチウム錯体、ベンゾイミダゾリデン誘導体、イミダゾリデン誘導体、フルバレン誘導体、アクリジン誘導体が挙げられる。
<有機発光素子の構成>
有機発光素子は、基板の上に、陽極、有機化合物層、陰極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層とカラーフィルタとの間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハなどの半導体基板、樹脂、金属等を用いることができる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、陽極と配線の導通を確保するために、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
反射電極として用いる場合には、例えば、クロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えば、マグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を抑制するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が抑制できれば、合金の比率は問わない。例えば、1:1であってよい。
陰極としてITOなどの酸化物導電層を使用して有機発光素子をトップエミッション素子としてもよいし、陰極としてアルミニウム(Al)などの反射電極を使用して有機発光素子をボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
[保護層]
陰極の形成後に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を抑え、表示不良の発生を抑えることができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機EL層に対する水等の浸入を抑えてもよい。例えば、陰極7形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズに合わせたカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、酸化ケイ素等の保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
平坦化層は、カラーフィルタの上下にそれぞれ設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
[対向基板]
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。
[有機層]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
<本実施形態に係る有機発光素子の用途>
本実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。表示装置は、複数の画素を有し、複数の画素の少なくとも一つが、本実施形態の有機発光素子と、有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有してよい。このとき、基板はシリコンなどの半導体基板であり、トランジスタは基板に形成されたMOSFETであってもよい。
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る表示装置につい説明する。図1は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるTFT素子とを有する表示装置の例を示す断面模式図である。TFT素子は、能動素子の一例である。
図1の表示装置1は、ガラス等の基板11とその上部にTFT素子又は有機化合物層を保護するための防湿膜12が設けられている。防湿膜12の上には、金属のゲート電極13と、ゲート絶縁膜14と、半導体層15と、が設けられている。
TFT素子18は、半導体層15とドレイン電極16とソース電極17とを有している。TFT素子18の上部には絶縁膜19が設けられている。コンタクトホール20を介して有機発光素子を構成する陽極21とソース電極17とが接続されている。
尚、有機発光素子に含まれる電極(陽極21、陰極23)とTFTに含まれる電極(ソース電極17、ドレイン電極16)との電気接続の方式は、図1に表される態様に限られるものではない。つまり陽極21又は陰極23のうちいずれか一方とTFT素子18のソース電極17又はドレイン電極16のいずれか一方とが電気接続されていればよい。
図1の表示装置1では有機化合物層22を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層22は、複数層であってもよい。陰極23の上には有機発光素子の劣化を抑制するための第1の保護層25や第2の保護層24が設けられている。
図1の表示装置1ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えてMIM素子をスイッチング素子として用いてもよい。
また図1の表示装置1に使用されるトランジスタは、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタに限らず、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。尚、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
図1の表示装置1に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。尚、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
図2は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。撮像装置は、光電変換装置と言い換えてもよい。
図3(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、本実施形態に係る表示装置を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本実施形態の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末等の電子機器の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
図3(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。
図4は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図4(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、本実施形態に係る発光装置が用いられてよい。表示装置1300は、額縁1301と表示部1302とを支える土台1303を有している。土台1303は、図4(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、表示部1302の表示面が湾曲するように、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
図4(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図4(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、本実施形態に係る発光装置を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
図5(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光源1402が発する光を透過する光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源1402は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。光学フィルタは光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路や発光色を調色する調色回路を有してよい。照明装置は本実施形態の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
図5(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
テールランプ1501は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。テールランプ1501は、有機EL素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓1502は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
本実施形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
以下、実施例により本発明を説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1(例示化合物C-1の合成)>
以下のスキームに従い、例示化合物C-1を合成した。以下のスキームは、上述の反応スキーム1において、置換基Grが上述の一般式[2]で表される置換基であって、XおよびXがいずれもメチル基である場合の反応スキームである。
Figure 2022086337000021
(1)化合物m-2の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-1:3.0g
オキサリルジブロミド:3.0ml
酢酸:60ml
次に、反応溶液を加熱還流撹拌した。3時間後、反応溶液を室温に戻し、沈殿物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄した後に減圧乾燥することにより、化合物m-2を5.0g(収率:90%)得た。
(2)化合物m-4の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-2:2.0g(5.10mmol)
化合物m-3:1.1g(5.61mmol)
ナトリウムターシャリブトキシド:0.73g(7.67mmol)
Pd(dba):146mg(0.52mmol)
トリ-ターシャリブチルホスフィン:318mg(1.59mmol)
オルトキシレン:60ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、140℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行い、濃縮乾固した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、黄色固体m-4を1.95g(収率:75%)得た。
(3)化合物C-1の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-4:1.0g(1.97mmol)
ナトリウムターシャリブトキシド:0.28g(2.97mmol)
Pd(dba):91mg(0.99mmol)
トリ-ターシャリブチルホスフィン:60mg(2.96mmol)
オルトキシレン:30ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、140℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行い、濃縮乾固した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、黄色固体C-1を0.67g(収率:80%)得た。
得られた黄色固体C-1について、MALDI-TOF-MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。質量分析により、目的の化合物C-1が合成できたことを確認した
[MALDI-TOF-MS]
実測値:m/z=429 計算値:C2619=429
<実施例2~11(例示化合物の合成)>
表2に示すように、実施例2~11に示す例示化合物について、実施例1の原料m-3を原料1に、変えた他は実施例1と同様にして例示化合物を合成した。また、実施例1と同様にして測定した質量分析結果の実測値(m/z)を表2にまとめて示す。
Figure 2022086337000022
<実施例12(例示化合物D-2の合成)>
以下のスキームに従い、例示化合物D-2を合成した。以下のスキームは、上述の反応スキーム2において、置換基Grが上述の一般式[3]で表される置換基であって、XおよびXがいずれもメチル基である場合の反応スキームである。
Figure 2022086337000023
(1)化合物m-7の合成
500mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。化合物m-6は、J.Heterocyclic Chem.,12,829(1975)に記載の方法で、化合物m-5経由で合成した。
化合物m-6:6.0g
スズ粉体:11.6g
ジオキサン:200ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、加熱還流撹拌し、その中に濃塩酸42mlを滴下して加え、約6時間反応した。反応溶液を室温に戻し、沈殿物を吸引ろ過し、エタノール洗浄後90℃で減圧乾燥することにより化合物m-7の塩酸塩(四塩酸塩)を6.2g得た。
(2)化合物m-8の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-7の四塩酸塩:3.0g
オキサリルジブロミド:3.3ml
酢酸:60ml
次に、反応溶液を加熱還流撹拌した。3時間後、反応溶液を室温に戻し、沈殿物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄した後に減圧乾燥することにより、化合物m-8を3.7g得た。
(3)化合物m-10の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-8:2.0g(3.63mmol)
化合物m-9:1.5g(7.64mmol)
ナトリウムターシャリブトキシド:0.52g(5.46mmol)
Pd(dba):104mg(0.18mmol)
トリ-ターシャリブチルホスフィン:110mg(0.55mmol)
オルトキシレン:60ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、140℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行い、濃縮乾固した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、黄色固体m-10を2.0g(収率:70%)得た。
(4)化合物D-2の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-10:1.0g(1.28mmol)
ナトリウムターシャリブトキシド:0.18g(1.93mmol)
Pd(dba):59mg(0.64mmol)
トリ-ターシャリブチルホスフィン:39mg(1.92mmol)
オルトキシレン:30ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、140℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行い、濃縮乾固した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、黄色固体D-2を0.64g(収率:80%)得た。
得られた黄色固体D-2について、MALDI-TOF-MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。質量分析により、目的の化合物D-2が合成できたことを確認した。
[MALDI-TOF-MS]
実測値:m/z=620 計算値:C4028=620
<実施例13~19(例示化合物の合成)>
表3に示すように、実施例13~19に示す例示化合物について、実施例12の原料m-9を原料2に変えた他は実施例12と同様にして例示化合物を合成した。また、実施例12と同様にして測定した質量分析結果の実測値(m/z)を表3にまとめて示す。
Figure 2022086337000024
<実施例20(例示化合物E-2の合成)>
以下のスキームに従い、例示化合物D-2を合成した。以下のスキームは、上述の反応スキーム3において、置換基Grが上述の一般式[3]で表される置換基であって、XおよびXがいずれもメチル基である場合の反応スキームである。
Figure 2022086337000025
(1)化合物m-12の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-11:3.0g
オキサリルジブロミド:8.9ml
酢酸:90ml
次に、反応溶液を加熱還流撹拌した。3時間後、反応溶液を室温に戻し、沈殿物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄した後に減圧乾燥することにより、化合物m-12を11.4g(収率:90%)得た。
(2)化合物m-14の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-12:2.0g(2.83mmol)
化合物m-13:1.7g(6.76mmol)
ナトリウムターシャリブトキシド:0.40g(4.24mmol)
Pd(dba):46mg(0.08mmol)
トリ-ターシャリブチルホスフィン:50mg(0.25mmol)
オルトキシレン:60ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、140℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行い、濃縮乾固した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、黄色固体m-14を2.4g(収率:80%)得た。
(3)化合物E-2の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物m-14:1.0g(0.95mmol)
ナトリウムターシャリブトキシド:0.13g(1.43mmol)
Pd(dba):30mg(0.48mmol)
トリ-ターシャリブチルホスフィン:29mg(1.43mmol)
オルトキシレン:30ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、140℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行い、濃縮乾固した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、黄色固体E-2を0.62g(収率:80%)得た。
得られた黄色固体E-2について、MALDI-TOF-MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。質量分析により、目的の化合物E-2が合成できたことを確認した。
[MALDI-TOF-MS]
実測値:m/z=814 計算値:C5439=814
<実施例21~23(例示化合物の合成)>
表4に示すように、実施例21~23に示す例示化合物について、実施例20の原料m-13を原料3に変えた他は実施例20と同様にして例示化合物を合成した。また、実施例20と同様にして測定した質量分析結果の実測値(m/z)を表4にまとめて示す。
Figure 2022086337000026
<実施例24>
本実施例では、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたボトムエミッション型構造の有機EL素子を作製した。
まず、ガラス基板上にITOを成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりITO電極(陽極)を形成した。この時、ITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板をITO基板として、以下の工程で使用した。次に、真空チャンバー内における抵抗加熱による真空蒸着を行って、上記ITO基板上に、表5に示す有機化合物層及び電極層(陰極)を連続成膜した。尚、この時、ITO電極と対向する電極(陰極)の電極面積が3mmとなるようにした。
Figure 2022086337000027
得られた素子について、素子の特性を測定、評価した。発光に関する初期特性として最大外部量子効率(E.Q.E.)が5.9%の緑色発光が得られた。測定装置は、具体的には電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。さらに、電流密度50mA/cmでの連続駆動試験を行い、輝度劣化率が5%に達した時の時間(LT95)を測定したところ、120時間であった。
<実施例25~29>
実施例24において、各層を形成する材料を表6に表される化合物に適宜変更する以外は、実施例24と同様の方法により有機発光素子を作製した。なお、表6に記載されていない層については、実施例24と同様の構成とした。得られた素子について実施例24と同様に素子の特性を測定、評価した。測定の結果を、実施例24の測定の結果もあわせて表6に示す。
Figure 2022086337000028
<実施例30>
本実施例では、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたボトムエミッション型構造の有機EL素子を作製した。
まず、ガラス基板上にITOを成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりITO電極(陽極)を形成した。この時、ITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板をITO基板として、以下の工程で使用した。次に、真空チャンバー内における抵抗加熱による真空蒸着を行って、上記ITO基板上に、表7に示す有機化合物層及び電極層(陰極)を連続成膜した。尚、この時、ITO電極と対向する電極(陰極)の電極面積が3mmとなるようにした。
Figure 2022086337000029
得られた素子について、素子の特性を測定、評価した。発光に関する初期特性として最大外部量子効率(E.Q.E.)が6.8%の緑色発光が得られた。測定装置は、具体的には電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。さらに、電流密度50mA/cmでの連続駆動試験を行い、輝度劣化率が5%に達した時の時間(LT95)を測定したところ、153時間であった。
<実施例31~45、比較例1~2>
実施例30において、表8に表される化合物に適宜変更する以外は、実施例30と同様の方法により有機発光素子を作製した。なお、表8に記載されていない層については、実施例30と同様の構成とした。得られた素子について実施例30と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を、実施例30の測定の結果もあわせて表8示す。尚、比較例1~2においてアシスト材料として用いた化合物(比較化合物)を以下に示す。
Figure 2022086337000030
Figure 2022086337000031
表8に示されるように、比較例1及び比較例2の有機発光素子の最大外部量子効率(E.Q.E.)は4.0以下と低かった。すなわち、比較例1及び比較例2の有機発光素子は、発光効率が低かった。比較例1においてアシスト材料として用いた比較化合物F-1は、表1に示される化合物a-1である。上述のとおり、化合物a-1は基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格に置換基であるアミノ基を有する構造を有するが、置換基が立体障害の大きな構造を有さないために、置換基と基本骨格とが同一平面上に配置された平面性の高い構造をとる。そのため、HOMOの電子軌道分布とLUMOの電子軌道s分布の重なりが大きく、SとTのエネルギー差が大きい。その結果、逆項間交差が生じにくく、遅延蛍光型の発光が生じにくいため、比較例1の有機発光素子の発光効率は低い。比較例2においてアシスト材料として用いた比較化合物F-2についても同様である。比較化合物F-2と同様に置換基が立体障害の大きな構造を有さないために、置換基と基本骨格とが同一平面上に配置された平面性の高い構造をとる。したがって比較化合物F-2もSとTの差が大きく、遅延蛍光型の発光が生じにくいため、比較例2の有機発光素子の発光効率は低い。
また、比較例1及び比較例2の有機発光素子の5%劣化寿命(LT95)は50時間以下と、耐久性が低かった。これは、比較化合物F-1および比較化合物F-2は平面性が高いために、分子会合が生じやすく、膜性が悪く、結晶化しやすい化合物であるためであると考えられる。
一方、実施例30~45の有機発光素子は、発光効率、耐久性ともに良好な結果を示した。実施例30~45においてアシスト材料として用いた本発明の化合物はいずれも、基本骨格であるヘキサアザトリフェニレン骨格に対して比較的大きな立体障害を有する置換基を有している。そのため、置換基が基本骨格に対して空間的にねじれて配置された平面性の低い構造をとり、HOMOの電子軌道分布とLUMOの電子軌道分布の重なりが小さく、SとTのエネルギー差が小さい。その結果、逆項間交差が生じやすく、遅延蛍光型の発光が生じやすく、高効率発光を示したと考えられる。また、上記の構造を有することで、発光層がアモルファス性の高い膜となり、良好な耐久性を示したと考えられる。
実施例36と比較例1は、アシスト材料以外の構成はすべて同じ構成である。実施例36では、本発明の化合物の一つである化合物C-36をアシスト材料として用いており、一方、比較例1では、比較化合物F-1をアシスト材料として用いている。上述のように、化合物C-36は基本骨格に対する置換基であるアミノ基が比較的大きな立体障害を有するために、基本骨格に対して置換基が立体的にねじれて配置された構成をとる。そのため、SとTのエネルギー差が小さく、遅延蛍光型の発光が生じやすいと考えられる。その結果、実施例36では、遅延蛍光型の発光が生じにくい比較化合物F-1を用いた比較例1に対して発光効率、耐久性ともに優れた有機発光素子が得られた。
実施例45と比較例2は、アシスト材料以外の構成はすべて同じ構成である。実施例45では、本発明の化合物の一つである化合物E-1をアシスト材料として用いており、一方、比較例2では、比較化合物F-2をアシスト材料として用いている。上述のように、化合物E-1は基本骨格に対する置換基であるアミノ基が比較的大きな立体障害を有するために、基本骨格に対して置換基が立体的にねじれて配置された構成をとる。そのため、SとTのエネルギー差が小さく、遅延蛍光型の発光が生じやすいと考えられる。その結果、実施例45では、遅延蛍光型の発光が生じにくい比較化合物F-2を用いた比較例2に対して発光効率、耐久性ともに優れた有機発光素子が得られた。
1 有機発光素子
11 基板
21 陽極
22 有機化合物層
23 陰極

Claims (23)

  1. 下記一般式[1]に表されることを特徴とする有機化合物。
    Figure 2022086337000032
    (一般式[1]において、R~Rは、水素原子、炭化水素基、および下記一般式[2]~[18]で表される置換基からなる群からそれぞれ独立に選ばれ、R~Rは少なくとも1つが下記一般式[2]~[18]で表される置換基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子または炭化水素基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子または炭化水素基である。RおよびRは、少なくともいずれか一方が水素原子である。)
    Figure 2022086337000033
    (一般式[2]~[18]において、XおよびXは、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。)
  2. 前記一般式[1]において、Rが一般式[2]~[18]で表される置換基から選ばれ、R~Rがそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
  3. 前記一般式[1]において、RおよびRが前記一般式[2]~[18]で表される置換基からそれぞれ独立に選ばれ、R、および、R~Rがそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
  4. 前記一般式[1]において、R、R、および、Rが前記一般式[2]~[18]で表される置換基からそれぞれ独立に選ばれ、R、R、および、Rがそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
  5. 前記一般式[2]において、XおよびXは、置換あるいは無置換の炭素原子数1から6のアルキル基、置換あるいは無置換の炭素原子数6から10のアリール基、置換あるいは無置換の炭素原子数3から9の複素環基からそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の有機化合物。
  6. 前記一般式[1]において、R~Rが、水素原子、置換あるいは無置換の炭素数1から6のアルキル基、置換あるいは無置換の炭素原子数6から10のアリール基、および下記一般式[2]~[18]で表される置換基からなる群からそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の有機化合物。
  7. 前記一般式[1]において、R~Rが、水素原子、および下記一般式[2]~[18]で表される置換基からなる群からそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の有機化合物。
  8. 前記一般式[2]において、XおよびXがそれぞれ独立に、置換あるいは無置換の炭素原子数1から6のアルキル基であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の有機化合物。
  9. 前記一般式[2]において、XおよびXがそれぞれ独立に、置換あるいは無置換の炭素原子数6から10のアリール基であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の有機化合物。
  10. 前記一般式[2]において、XおよびXがそれぞれ独立に、置換あるいは無置換の炭素原子数3から9の複素環基であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の有機化合物。
  11. 陽極と陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に配置される少なくとも一層の有機化合物層と、を有する有機発光素子において、
    前記有機化合物層は、請求項1~10のいずれか一項に記載の有機化合物を有することを特徴とする有機発光素子。
  12. 前記有機化合物を有する層が発光層であることを特徴とする請求項11に記載の有機発光素子。
  13. 前記発光層は、ホスト材料をさらに有することを特徴とする請求項11または12に記載の有機発光素子。
  14. 前記ホスト材料は、炭化水素化合物であることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子。
  15. 前記発光層は、発光材料をさらに有することを特徴とする請求項13または14に記載の有機発光素子。
  16. 前記発光材料は、炭化水素化合物であることを特徴とする請求項15に記載の有機発光素子。
  17. 前記発光層は、緑色発光または赤色発光することを特徴とする請求項12~16のいずれか1項に記載の有機発光素子。
  18. 複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも1つが、請求項11~17のいずれか1項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
  19. 複数の画素を有し、前記複数の画素が、請求項11~17のいずれか1項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、カラーフィルタと、を有することを特徴とする表示装置。
  20. 複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
    前記表示部は請求項11~17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする光電変換装置。
  21. 請求項11~17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
  22. 請求項11~17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルタと、を有することを特徴とする照明装置。
  23. 請求項11~17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。

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