JP2021066865A - 接着剤組成物及び接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】低吸湿性、硬化前のタックフリー性、硬化後の初期接着性、更には湿熱環境下での長期耐久性に優れた接着剤組成物を提供する。【解決手段】多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂(A)を含有する接着剤組成物であって、ポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度が7ミリモル/g以下、酸価が3mgKOH/g以上、ガラス転移温度(Tg)が−5℃以上であることを特徴とする接着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系樹脂を含有する接着剤組成物及びこの接着剤組成物が硬化されてなる接着剤に関し、更に詳しくは、低吸湿性、硬化前のタックフリー性、硬化後の初期接着性、更には湿熱環境下での長期耐久性に優れた接着剤組成物及びこの接着剤組成物が硬化された接着剤に関する。
従来、ポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐久性、機械的強度に優れているため、フィルムやペットボトル、繊維、トナー、電機部品、接着剤、粘着剤等、幅広い用途で用いられている。また、ポリエステル系樹脂は、そのポリマー構造ゆえに極性が高いので、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エポキシ樹脂等の極性ポリマー、及び銅、アルミニウム等の金属材料に対して優れた接着性を発現することが知られている。この特性を利用し、金属とプラスチックの積層体を作製するための接着剤、例えば、フレキシブル銅張積層板やフレキシブルプリント基板等を作製するための接着剤としての使用が検討されている。
例えば、特許文献1には、硬化時の寸法安定性に優れ、硬化後の接着性、耐熱性、屈曲性、電気絶縁性、低誘電率及び低誘電正接に優れる熱硬化性接着シートを得ることを目的として、有機金属化合物又はエポキシ基含有化合物の少なくともいずれか一方と反応し得る反応性官能基と、ハロゲン以外のヘテロ原子を有する官能基との合計量が0.01mmol/g以上、9mmol/g以下の樹脂(例えばポリエステル系樹脂)、有機金属化合物、及び3官能以上のエポキシ基含有化合物を含む熱硬化性組成物が提案されている。
また、特許文献2には、耐湿熱性と耐カチオン酸性に優れ、更にエポキシ樹脂との相溶性と接着性を併せ持ったポリエステル系樹脂を含有する接着剤組成物を得ることを目的として、芳香族ジカルボン酸成分と、ダイマージオール、特定グリコール、特定構造のグリコール又はオキシ酸、炭素数2〜10のアルキレングリコールからなるポリエステル系樹脂を含有する接着剤組成物が提案されている。
特開2017−031301号公報 特開2003−183365号公報
しかしながら、近年では、フレキシブル銅張積層板やフレキシブルプリント基板等の接着層に求められる物性として、硬化性、耐熱性、初期接着性に加え、リワークの点からタックフリー性も求められ、更に信頼性の点から低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性も強く求められるようになっている。
例えば、上記特許文献1の開示技術では、誘電率・誘電正接や吸水率の低下を目的として、長鎖アルキル基を有する多価カルボン酸や多価アルコールを多量に使用しており、それによってガラス転移温度が低下することとなり初期接着性が悪化したり、タック発生によりリワークが困難になる等の問題があった。また、特許文献1では湿熱環境下での長期耐久性の点については考慮されておらず、更なる改良が求められる。
また、上記特許文献2に開示された接着剤組成物を用いて銅張積層板等を作製した場合、耐湿熱性や低吸湿性には比較的優れるものの、ガラス転移温度が低すぎることによりポリイミドや銅に対する接着性が充分でなかったり、タックが発生したりする等の問題があった。また、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコールが含有されていたり、エポキシ樹脂との反応点となる酸価が付与されていなかったりするため、耐熱性に劣るといった問題もあり、更なる改善が求められる。
そこで、本発明ではこのような背景下において、低吸湿性、硬化前のタックフリー性、硬化後の初期接着性、更には湿熱環境下での長期耐久性に優れた接着剤組成物及びこの接着剤組成物が硬化された接着剤の提供を目的とする。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル系樹脂を含有する接着剤組成物であって、ポリエステル系樹脂のエステル結合濃度を低くしながらもガラス転移温度(Tg)は高くし、更に酸価を所定値以上に付与することにより、低吸湿性、硬化前のタックフリー性、硬化後の初期接着性、更には湿熱環境下での長期耐久性に優れた接着剤組成物となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂(A)を含有する接着剤組成物であって、ポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度が7ミリモル/g以下、酸価が3mgKOH/g以上、ガラス転移温度(Tg)が−5℃以上である接着剤組成物である。
また本発明は、上記接着剤組成物が硬化されてなる接着剤も提供するものである。
上記特許文献1に関して述べたように、通常、吸水率を低下させるためには長鎖アルキル基を有する多価カルボン酸や多価アルコールが多量に用いられるが、一方で初期接着性やタックフリー性、及び湿熱環境下での長期耐久性が低下する。
本発明者は、ポリエステル系樹脂を構成するモノマーの組成を調整することによって、エステル結合濃度、酸価、ガラス転移温度(Tg)を最適化することで、低吸湿性でありながら、硬化前のタックフリー性、硬化後の初期接着性、更には湿熱環境下での長期耐久性に優れることを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明の接着剤組成物は、ポリエステル系樹脂を含有する接着剤組成物であり、低吸湿性、硬化前のタックフリー性、硬化後の初期接着性、更には湿熱環境下での長期耐久性に優れた効果を奏するものであり、とりわけ金属とプラスチックの積層体を作製するための接着剤、例えば、フレキシブル銅張積層板やフレキシブルプリント基板等のフレキシブル積層板、カバーレイ、ボンディングシート等の作製に用いられる接着剤に有効である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、化合物名の後に付された「類」は当該化合物に加え、当該化合物の誘導体をも包括する概念である。例えば、「カルボン酸類」との用語は、カルボン酸に加え、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル等のカルボン酸誘導体も含むものである。
本発明の接着剤組成物は、多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂(A)を少なくとも含有する。まず、ポリエステル系樹脂(A)について説明する。
<ポリエステル系樹脂(A)>
ポリエステル系樹脂(A)は、多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を分子中に含むものであり、好ましくは、多価カルボン酸類と多価アルコール類とをエステル結合させて得られるものである。
〔多価カルボン酸類〕
多価カルボン酸類における多価カルボン酸としては、例えば、後述する芳香族多価カルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等の脂環族多価カルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族多価カルボン酸を挙げることができる。多価カルボン酸類は1種又は2種以上を用いることができる。
多価カルボン酸類として芳香族多価カルボン酸類を含有することが好ましい。芳香族多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸やその誘導体(芳香族ジカルボン酸類)が挙げられる。また、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の芳香族オキシカルボン酸類等を挙げることができる。更に、ポリエステル系樹脂(A)に分岐骨格や酸価を付与する目的で導入される3官能以上の芳香族カルボン酸類も上記の芳香族多価カルボン酸類に含まれる。3官能以上の芳香族カルボン酸類における芳香族カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,2'−ビス[ (ジカルボキシフェノキシ)フェニル] プロパン二無水物等が挙げられる。
これらのうちでも芳香族ジカルボン酸類が好ましく、特に好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸であり、更に好ましくはイソフタル酸である。
多価カルボン酸類全体に対する芳香族多価カルボン酸類の含有量は、25モル%以上であることが好ましく、より好ましくは40モル%以上、特に好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。芳香族多価カルボン酸類が100モル%を占めてもよい。芳香族カルボン酸類の含有量が少なすぎると、湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向がある。
多価カルボン酸類全体に対する芳香族多価カルボン酸類の含有量(モル比)は下記式から求められる。
芳香族酸類含有量(モル%)=(芳香族多価カルボン酸類(モル)/多価カルボン酸類(モル))×100
なお、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸、等のスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩等のスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸塩は、ポリエステル系樹脂(A)の吸湿性の点から、多価カルボン酸類全体に対する含有量が10モル%以下であることが好ましく、より好ましくは5モル%以下、特に好ましくは3モル%以下、更に好ましくは1モル%以下であり、最も好ましくは0モル%である。
〔多価アルコール類〕
多価アルコール類としては、例えば、ビスフェノール骨格含有モノマー、脂肪族多価アルコール、脂環族多価アルコール、芳香族多価アルコールが挙げられる。多価アルコール類は1種又は2種以上を用いることができる。
ビスフェノール骨格含有モノマーとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールAP、ビスフェノールBP、ビスフェノールP、ビスフェノールPH、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールフルオレンやそれらの水添物、及びビスフェノール類の水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを1〜数モル付加して得られるエチレンオキサイド付加物等やプロピレンオキサイド付加物等のグリコール類等が挙げられる。なかでもビスフェノールA骨格を含有するものが好ましく、反応性の点からエチレンオキサイド付加物が好ましく、特に耐熱性や低吸湿性、湿熱環境下での長期耐久性の点からエチレンオキサイド2〜3モル付加物が好ましい。
多価アルコール類全体に対するビスフェノール骨格含有モノマーの含有量は、10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上である。ビスフェノール骨格含有モノマーの含有量が少なすぎると、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向がある。
なお、多価アルコール類全体に対するビスフェノール骨格含有モノマーの含有量の上限は100モル%である。
脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ジメチロールヘプタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等を挙げることができる。
脂環族多価アルコールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール等を挙げることができる。
芳香族多価アルコールとしては、例えば、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
なお、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、更に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のビスフェノール骨格含有モノマー以外のエ−テル結合含有グリコ−ルは、耐熱性や低吸湿性、湿熱環境下での長期耐久性の観点から、ポリエステル系樹脂全体に対する含有量が20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、更に好ましくは8重量%以下であり、最も好ましくは5重量%以下である。
〔ポリエステル系樹脂(A)を構成する原料化合物全般〕
ポリエステル系樹脂(A)を構成する化合物は、多価カルボン酸類としてダイマー酸類を含有していてもよく、またダイマー酸類を含有しているか否かに関わらず、多価アルコール類としてダイマージオール類を含有していてもよい。
本発明においてポリエステル系樹脂(A)を構成する化合物は、特に多価カルボン酸類としてダイマー酸類、及び多価アルコール類としてダイマージオール類からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。
ダイマー酸類やダイマージオール類としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等から誘導されるダイマー酸類(炭素数36〜44のものを主とする)やこれらの還元体であるダイマージオール類、及びそれらの水素添加物等が挙げられる。なかでも製造時のゲル化抑制の点から、水素添加物が好ましく、更には多価カルボン酸類成分の芳香族酸の含有比率を高められる点から、ダイマージオール類が好ましく、特に好ましくは水素添加ダイマージオール類である。
多価カルボン酸類全体に対するダイマー酸類の含有量(α)と多価アルコール類全体に対するダイマージオール類の含有量(β)との合計含有量(α+β)(モル%)は、5モル%以上であることが好ましく、より好ましくは10モル%以上、特に好ましくは15モル%以上、更に好ましくは20モル%以上である。また、合計含有量(α+β)(モル%)は、100モル%以下であることが好ましく、より好ましくは80モル%以下、特に好ましくは65モル%以下、更に好ましくは55モル%以下である。
ダイマー酸類及びダイマージオール類の合計含有量(α+β)(モル%)が少なすぎると、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向があり、合計含有量(α+β)(モル%)が多すぎると、硬化前のタックフリー性や硬化後の初期接着性が不充分となる傾向がある。
また、ダイマー酸類及びダイマージオール類の合計含有量(α+β)に対するダイマージオール類の含有量(β)の比率((β)/(α+β)(モル比))は、0.6以上であることが好ましく、より好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上であり、最も好ましくは1である。
ダイマー酸類及びダイマージオール類の合計含有量(α+β)に対するダイマージオール類の含有量(β)が少なすぎると、湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向がある。
ポリエステル系樹脂(A)全体に対するダイマー酸類の含有量(α)とダイマージオール類の含有量(β)の合計含有量(α+β)(重量%)は10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上であり、また、合計含有量(α+β)(重量%)は80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。
ダイマー酸類及びダイマージオール類の合計含有量(α+β)(重量%)が少なすぎると、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向があり、合計含有量(α+β)(重量%)が多すぎると、硬化前のタックフリー性や硬化後の接着性が不充分となる傾向がある。
また、分子構造の中に水酸基とカルボキシ基を有するオキシカルボン酸化合物もポリエステル系樹脂(A)の原料化合物として使用することができる。かかるオキシカルボン酸化合物としては、例えば、5−ヒドロキシイソフタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)バレリック酸等が挙げられる。
本発明で使用されるポリエステル系樹脂(A)中には、後述する多価カルボン酸無水物とは別に、必要に応じて分岐骨格を導入する目的で、3官能以上の多価カルボン酸類、及び3官能以上の多価アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つを共重合してもよい。特に、硬化剤と反応させて硬化塗膜を得る場合、分岐骨格を導入することによって、樹脂の末端基濃度(反応点)が増え、架橋密度が高い、強度な塗膜を得ることができる。
その場合の3官能以上の多価カルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,2'−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル] プロパン二無水物等の化合物等が挙げられる。また、3官能以上の多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
3官能以上の多価カルボン酸類及び3官能以上の多価アルコール類は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
3官能以上の多価カルボン酸類、及び3官能以上の多価アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つを、後述する多価カルボン酸無水物とは別に使用する場合は、多価カルボン酸類全体に対する3官能以上の多価カルボン酸類の含有量、又は多価アルコール類全体に対する3官能以上の多価アルコール類の含有量は、それぞれ好ましくは0.1〜5モル%、より好ましくは0.1〜3モル%の範囲である。両方又はいずれか一方の含有量が多すぎると、接着剤の塗布により形成された塗膜の破断点伸度等の力学物性が低下する傾向があり、また重合中にゲル化を起こす傾向もある。
本発明におけるポリエステル系樹脂(A)は、側鎖にカルボキシ基を有するものであることが硬化速度や硬化後の耐熱性の点で好ましい。このようなポリエステル系樹脂(A)は、多価カルボン酸類としてカルボン酸無水物構造を有する多価カルボン酸無水物(以下、単に「多価カルボン酸無水物」と称することがある。)を含む共重合成分を共重合することにより得られる。
上記多価カルボン酸無水物は、側鎖にカルボキシ基を導入する目的から少なくとも2つのカルボン酸無水物構造を有するものであることが好ましく、例えば、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物)、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物;
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂環族多価カルボン酸無水物;
エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸無水物;
等が挙げられる。これらから選ばれる1種を単独で、もしくは2種以上を併せて用いることができる。
これらの多価カルボン酸無水物のなかでも、ポリエステル系樹脂(A)を製造する際の重合反応性や製造されたポリエステル系樹脂(A)の耐熱性、湿熱環境下での長期耐久性の点から、好ましくは芳香族多価カルボン酸無水物であり、より好ましくは1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、特に好ましくは1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物)である。
多価カルボン酸類における多価カルボン酸無水物の含有量は、多価カルボン酸類全体に対して、好ましくは0.5〜20モル%であり、より好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは2〜10モル%、更に好ましくは3〜8モル%である。かかる含有量が少なすぎると、耐熱性が不充分となる傾向があり、含有量が多すぎると、ポリエステル系樹脂(A)の製造工程中にゲル化したり、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向がある。
〔ポリエステル系樹脂(A)の製造〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)は周知の方法により製造することができ、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類とを、必要に応じて触媒の存在下で、エステル化反応に付してポリエステル系樹脂を得て、更に酸価を導入することにより製造することができる。
ポリエステル系樹脂に酸価を導入する方法としては、例えば、エステル化反応後や減圧重縮合後に酸付加によってカルボン酸を樹脂に導入する方法が挙げられる。酸付加にモノカルボン酸、ジカルボン酸、多官能カルボン酸化合物を用いると、エステル交換により分子量の低下が起こる可能性があり、カルボン酸無水物を少なくとも一つもった化合物を用いることが好ましい。酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、オルソフタル酸無水物、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,2'−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル] プロパン二無水物等の化合物等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂(A)を構成する全多価カルボン酸類を100モル%としたとき、15モル%以上の酸付加を行うと、ゲル化を起こすことがあり、またポリエステルの解重合を起こし樹脂の分子量が低下することがある。酸付加の方法としては、バルク状態で直接付加する方法と、ポリエステルを溶液化し付加する方法が挙げられる。バルク状態での反応は、速度が速いが、多量に付加するとゲル化が起こることがあり、かつ高温での反応になるので、酸素ガスを遮断し酸化を防ぐ等の注意が必要である。一方、溶液状態での付加は、反応は遅いが、多量のカルボキシ基を安定に導入することができる。
また、側鎖にカルボキシ基を有するポリエステル系樹脂を得るに際しては、多価カルボン酸無水物を除く多価カルボン酸類と多価アルコール類とを共重合して得られる水酸基含有プレポリマーに、多価カルボン酸無水物を反応させる方法が生産性の点で好ましい。
〔ポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度は、7ミリモル/g以下であり、好ましくは2〜6.5ミリモル/g、より好ましくは2.5〜6ミリモル/g、特に好ましくは3〜5.5ミリモル/g、更に好ましくは3.1〜5ミリモル/gである。
エステル結合濃度が高すぎると、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる。また、エステル結合濃度が低すぎると、初期接着性が不充分となる。
エステル結合濃度の定義や測定方法については以下のとおりである。
エステル結合濃度(ミリモル/g)とは、ポリエステル系樹脂1g中のエステル結合のモル数のことであり、例えば、仕込み量からの計算値で求められる。かかる計算方法は、多価カルボン酸類と多価アルコール類の各仕込み量のうち、より少ない方のモル数を樹脂全体重量で割った値であり、計算式の例を以下に示す。
なお、多価カルボン酸類と多価アルコール類の各仕込み量が同モル量の場合には、下記のどちらの計算式を用いてもよい。
また、モノマーとして、カルボキシ基と水酸基を両方持ったものを使ったり、カプロラクトン等からポリエステルを作製する場合等は、計算方法を適宜変えることとなる。
(多価カルボン酸類が多価アルコール類よりも少ない場合)
エステル基濃度(ミリモル/g)=〔(A1/a1×m1+A2/a2×m2+A3/a3×m3・・・)/Z〕×1000
A:多価カルボン酸類の仕込み量(g)
a:多価カルボン酸類の分子量
m:多価カルボン酸類の1分子あたりのカルボン酸基の数
Z:出来上がり重量(g)
(多価アルコール類が多価カルボン酸類よりも少ない場合)
エステル基濃度(ミリモル/g)=〔(B1/b1×n1+B2/b2×n2+B3/b3×n3・・・)/Z〕×1000
B:多価アルコール類の仕込み量(g)
b:多価アルコール類の分子量
n:多価アルコール類の1分子あたりの水酸基の数
Z:出来上がり重量(g)
上記エステル結合濃度は、NMR等を用いて公知の方法で測定することもできる。
また、エステル結合や反応性官能基以外のその他極性基濃度は、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性の点から低い方が好ましい。
その他極性基としては、例えば、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、エーテル基、カーボネート基等が挙げられる。
アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基は、それらの合計の濃度が3ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは2ミリモル/g以下、特に好ましくは1ミリモル/g以下、更に好ましくは0.5ミリモル/g以下であり、最も好ましくは0.2ミリモル/g以下である。
エーテル基としては、例えば、アルキルエーテル基やフェニルエーテル基が挙げられ、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性の点から特にアルキルエーテル基の濃度を低くすることが好ましい。
アルキルエーテル基濃度としては、3ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは2ミリモル/g以下、特に好ましくは1.5ミリモル/g以下、更に好ましくは1ミリモル/g以下であり、最も好ましくは0.5ミリモル/g以下である。また、フェニルエーテル基濃度としては、5ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは4ミリモル/g以下、特に好ましくは3ミリモル/g以下、更に好ましくは2.5ミリモル/g以下である。
カーボネート基濃度としては、3ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは2ミリモル/g以下、特に好ましくは1ミリモル/g以下、更に好ましくは0.5ミリモル/g以下であり、最も好ましくは0.2ミリモル/g以下である。
〔ポリエステル系樹脂(A)の酸価〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の酸価は3mgKOH/g以上であり、好ましくは4〜60mgKOH/g、より好ましくは5〜40mgKOH/g、特に好ましくは6〜30mgKOH/g、更に好ましくは7〜20mgKOH/gである。
酸価が低すぎると、接着剤組成物にポリエポキシ系化合物(B)を含有させた場合、ポリエポキシ系化合物(B)との架橋点が不足し架橋度が低くなるので、耐熱性が不充分となる。また、酸価が高すぎると、吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性が低下したり、硬化時に多量のポリエポキシ系化合物(B)を必要とすることから、近年要求されることが多くなった誘電特性において劣る傾向がある。
酸価の定義や測定方法については以下のとおりである。
酸価(mgKOH/g)は、ポリエステル系樹脂1gをトルエン/メタノールの混合溶剤(例えば、体積比でトルエン/メタノール=7/3)30gに溶解し、JIS K0070に基づき中和滴定により求めることができる。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂(A)の酸価は、樹脂中におけるカルボキシ基の含有量に起因するものである。
〔ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−5℃以上であり、好ましくは0〜100℃、より好ましくは3〜80℃、特に好ましくは5〜60℃、更に好ましくは7〜40℃、最も好ましくは10〜30℃である。
ガラス転移温度(Tg)が低すぎると、初期接着性やタックフリー性が不充分となる。また、ガラス転移温度(Tg)が高すぎると、初期接着性や屈曲性が不充分になる傾向がある。
ガラス転移温度(Tg)の測定方法は以下のとおりである。
ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量計を用いて測定することにより求めることができる。なお、測定条件は、測定温度範囲−70〜140℃、温度上昇速度10℃/分である。
〔ポリエステル系樹脂(A)のピークトップ分子量(Mp)及び重量平均分子量(Mw)〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)のピークトップ分子量(Mp)は、5000〜150000が好ましく、より好ましくは10000〜100000、特に好ましくは15000〜70000、更に好ましくは25000〜40000である。
ピークトップ分子量(Mp)が低すぎると、低吸湿性、タックフリー性、湿熱環境下での長期耐久性が不充分となったり、フレキシブル銅張積層板やフレキシブルプリント基板等のフレキシブル積層板を作製する際のプレス加工時に接着剤層のポリエステル系樹脂が流動し染み出してしまう等の不具合が生じる傾向がある。また、ピークトップ分子量(Mp)が高すぎると、初期接着性が不充分となったり、塗布時の溶液粘度が高すぎて、均一な塗膜が得られ難くなる傾向がある。
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、5000〜300000が好ましく、より好ましくは10000〜200000、特に好ましくは20000〜150000、更に好ましくは30000〜100000である。
重量平均分子量(Mw)が低すぎると、低吸湿性、タックフリー性、湿熱環境下での長期耐久性が不充分となったり、フレキシブル銅張積層板やフレキシブルプリント基板等のフレキシブル積層板を作製する際のプレス加工時に接着剤層のポリエステル系樹脂が流動し染み出してしまう等の不具合が生じる傾向がある。また、重量平均分子量(Mw)が高すぎると、初期接着性が不充分となったり、塗布時の溶液粘度が高すぎて、均一な塗膜が得られ難くなる傾向がある。
ピークトップ分子量(Mp)及び重量平均分子量(Mw)の測定方法は以下のとおりである。
ピークトップ分子量(Mp)及び重量平均分子量(Mw)は、高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC−8320GPC」)にてカラム(TSKgel SuperMultipore HZ−M(排除限界分子量:2×106、理論段数:16000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:4μm))の2本直列を用いて測定し、標準ポリスチレン分子量換算により求めることができる。
〔ポリエステル系樹脂(A)の吸水率(重量%)〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の吸水率は、2重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下、更に好ましくは0.6重量%以下である。
吸水率が高すぎると湿熱耐久性、絶縁信頼性が低下したり、誘電特性が劣ったりする傾向がある。なお、誘電特性に劣るとは、比誘電率や誘電正接の値が小さくならないこと、あるいは、値が大きくなることを意味するものである。
吸水率の測定方法は以下のとおりである。
ポリエステル系樹脂溶液(ポリエポキシ系化合物(B)配合前)を離型フィルム上にアプリケーターで塗布、120℃で10分間乾燥し、ポリエステル系樹脂層の乾燥膜厚が65μmのシートを作製した。このシートを7.5cm×11cmのサイズに切り出し、シートのポリエステル系樹脂層面をガラス板上にラミネートした後、離型フィルムを剥がした。この作業を6回繰り返すことで、ガラス板上に厚み390μmのポリエステル系樹脂層を有する試験板を得る。
このようにして得られる試験板を23℃の精製水に24時間浸漬させた後、取り出して表面の水気をふき取り、70℃で2時間乾燥させる。これらの各工程において必要な重量を測定して、下記式に従って重量変化から吸水率(重量%)を算出する。
(c−d)×100/(b−a)
a:ガラス板単独の重量
b:初期の試験板の重量
c:精製水から取り出して水気をふき取った直後の試験板の重量
d:70℃で2時間乾燥させた後の試験板の重量
また、本発明においては、接着剤組成物中の、ポリエステル系樹脂中における上記ポリエステル系樹脂(A)の含有量は、ポリエステル系樹脂全体の50重量%超であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。かかる含有量が少なすぎると、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向がある。
<ポリエポキシ系化合物(B)>
本発明の接着剤組成物は、ポリエポキシ系化合物(B)を更に含有することが好ましい。ポリエポキシ系化合物(B)中のエポキシ基とポリエステル系樹脂(A)中のカルボキシ基とを反応させ硬化させることで耐熱性に優れ、接着力だけでなく、半田耐熱性に優れた接着層を得ることができる。
本発明に用いるポリエポキシ系化合物(B)としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の2官能グリシジルエーテルタイプ;フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテルタイプ;ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルタイプ;トリグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族又は脂肪族エポキサイド等が挙げられる。ポリエポキシ系化合物(B)は、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の接着剤組成物は、ポリエポキシ系化合物(B)として、窒素原子を含有するポリエポキシ系化合物(窒素原子含有ポリエポキシ系化合物)を含有すると、比較的低い温度の加熱で接着剤組成物の塗膜をBステージ化(半硬化状態)することができ、かつBステージフィルムの流動性を抑えて接着操作における作業性を向上させることができる傾向にある。またBステージフィルムの発泡を抑える効果が期待でき、好ましい。
窒素原子含有ポリエポキシ系化合物としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサノン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等のグリシジルアミン系等が挙げられる。
本発明の接着剤組成物がポリエポキシ系化合物(B)を含有し、更に、ポリエポキシ系化合物(B)がこれら窒素原子含有ポリエポキシ系化合物を含有する場合、かかる窒素原子含有ポリエポキシ系化合物の含有量は、ポリエポキシ系化合物(B)全体に対して30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
また、かかる窒素原子含有ポリエポキシ系化合物の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下、特に好ましくは2重量部以下である。
かかる窒素原子含有ポリエポキシ系化合物の含有量が多すぎると、過度に剛直性が高くなり、接着性が低下する傾向にあり、また、接着シート保存中に架橋反応が進み易く、シートライフが低下する傾向にある。
カルボキシ基に対するエポキシ基の当量は、0.8〜5が好ましく、より好ましくは0.9〜3、特に好ましくは1〜2.5、更に好ましくは1.2〜2である。
当該当量が大きすぎると、初期接着性や低吸湿性が不充分となったり、誘電特性が劣ったりする傾向がある。また、小さすぎると、湿熱環境下での長期耐久性や半田耐熱性が不充分となる傾向がある。
カルボキシ基(COOH)に対するエポキシ基の当量は、ポリエステル系樹脂(A)の酸価と、配合したポリエポキシ系化合物(B)のエポキシ当量(g/eq)から、下記式により求められる。
COOHに対するエポキシの当量=(a÷WPE)/(AV÷56.1÷1000×b)
a:配合に用いたポリエポキシ系化合物(B)の重量(g)
WPE:ポリエポキシ系化合物(B)のエポキシ当量(g/eq)
AV:ポリエステル系樹脂(A)の酸価(mgKOH/g)
b:配合に用いたポリエステル系樹脂(A)の重量(g)
<接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、ポリエステル系樹脂(A)を少なくとも含有し、好ましくは、更にポリエポキシ系化合物(B)を含有し、低吸湿性、硬化前におけるタックフリー性、硬化後における初期接着性、湿熱環境下での長期耐久性に優れるという効果を奏する。
本発明の接着剤組成物においては、フィラーや難燃剤等を配合することもあり、その場合、接着剤組成物におけるポリエステル系樹脂(A)の含有量は、フィラーや難燃剤等を配合することを考慮すると、固形分全体に対して、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは50〜90重量%、更に好ましくは60〜85重量%である。
また、本発明の接着剤組成物がポリエポキシ系化合物(B)を含有する場合、ポリエポキシ系化合物(B)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部、特に好ましくは3〜15重量部、更に好ましくは4〜10重量部である。ポリエポキシ系化合物(B)の含有量が少なすぎると耐熱性や湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向があり、多すぎると初期接着性や低吸湿性が不充分となったり、誘電特性が劣ったりする傾向がある。
本発明の接着剤組成物には、接着剤組成物の粘度を適度に調整し、塗膜を形成する際の取り扱いを容易にするために、溶剤を配合してもよい。溶剤は、接着剤組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられる。以上に挙げた溶剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
〔その他成分〕
本発明の接着剤組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、上記に挙げた成分以外のその他成分を含んでいてもよい。その他成分としては、例えば、無機フィラー、シランカップリング剤等のカップリング剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、フラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤、レベリング剤、触媒等が挙げられる。
本発明の接着剤組成物がその他成分を含有する場合、その他成分の含有量は、好ましくは70重量%以下であり、より好ましくは0.05〜60重量%、特に好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは0.2〜40重量%である。
<接着剤>
本発明の接着剤は、上記接着剤組成物を硬化することにより得られ、初期接着性、低吸湿性、湿熱環境下での長期耐久性に優れるという効果を奏する。
本発明における「硬化」とは熱及び/又は光等により接着剤組成物を意図的に硬化させることを意味し、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御することができる。硬化の程度は接着剤のゲル分率によって確認することができ、好ましくはゲル分率が50%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、更に好ましくは75%以上である。ゲル分率が低すぎると耐熱性や湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向がある。
なお、上記のゲル分率とは、接着剤をメチルエチルケトン中に23℃×24時間浸漬し、浸漬前の接着剤重量に対する不溶解の接着剤成分の重量百分率を意味する。
本発明の接着剤組成物を硬化又は半硬化させて接着剤とする際の接着剤組成物の硬化方法は、接着剤組成物中の配合成分や配合量によっても異なるが、通常80〜200℃で10分〜10時間の加熱条件が挙げられる。
ポリエポキシ系化合物(B)を用いて本発明の接着剤組成物を硬化するに際しては触媒を用いてもよい。
そのような触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾールや1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物;トリエチルアミンやトリエチレンジアミン、N'−メチル−N−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等の三級アミン類;及びこれらの三級アミン類をフェノールやオクチル酸、四級化テトラフェニルボレート塩等でアミン塩にした化合物;トリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートやジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート等のカチオン触媒;トリフェニルフォスフィン等が挙げられる。これらのうち、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7や1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等の三級アミン類;及びこれらの三級アミン類をフェノールやオクチル酸、四級化テトラフェニルボレート塩等でアミン塩にした化合物が、熱硬化性及び耐熱性、金属への接着性、配合後の保存安定性の点で好ましい。
その際の配合量は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜1重量部であることが好ましい。この範囲であればポリエステル系樹脂(A)とポリエポキシ系化合物(B)との反応に対する触媒効果が一段と増し、強固な接着性能を得ることができる。
〔用途〕
本発明の接着剤は、初期接着性、低吸湿性、湿熱環境下での長期耐久性に優れるので、樹脂や金属等の各種材料からなる基材の接着に有効であり、特に、金属層とプラスチック層との積層板を作製するための接着剤、例えば、電子材料部材の貼り合せに用いられる接着剤に好適である。
本発明における「電子材料部材」としては、例えば、フレキシブルプリント基板、カバーレイ、ボンディングシート等が挙げられる。
電子材料部材の貼り合せにより作製されるものとしては、例えば、フレキシブル銅張積層板やフレキシブルプリント基板等のフレキシブル積層板が挙げられる。フレキシブル積層板は、例えば、「可撓性を有するフレキシブル基板/接着剤層/銅やアルミニウム、これらの合金等からなる導電性金属層」を順次積層した積層体であり、接着剤層を構成する接着剤として本発明の接着剤を用いることができる。なお、フレキシブル積層板は、上記の各種層以外に、他の絶縁層、他の接着剤層、他の導電性金属層を更に含んでいてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
多価カルボン酸類全体に対する芳香族多価カルボン酸類の割合(mol%)(表1においては「芳香族酸含有量」と表記)、エステル結合濃度(mmol/g)、吸水率、ガラス転移温度(℃)、酸価(mgKOH/g)、ピークトップ分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、COOHに対するエポキシ基の当量については、本明細書の記載に従って測定を行なった。
<ポリエステル系樹脂の製造>
下記表1に記載された組成(モル比)は、出来上がりの組成比(樹脂組成比)であり、得られたポリエステル系樹脂の各構成モノマー量の相対比(モル比)である。
〔製造例1:ポリエステル系樹脂(A−1)の製造〕
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、多価カルボン酸類としてイソフタル酸(IPA)228.2部(1.3735モル)、多価アルコール類としてビスフェノールAのエチレンオキサイド約2モル付加物「ニューポールBPE−20」(BPE−20)(三洋化成工業社製)223.9部(0.6868モル)、ネオペンチルグリコール(NPG)28.6部(0.2746モル)、ダイマージオール「プリポール2033」(P2033)(クローダ社製)254.4部(0.4801モル)、触媒としてテトラブチルチタネート0.1部を仕込み、内温が270℃となるまで120分かけて昇温し、270℃で3時間、エステル化反応を行った。
次に、内温を200℃まで下げ、ピロメリット酸二無水物(PMAn)15.0部(0.0688モル)を添加し200℃で2時間付加反応を行い、表1に示す樹脂組成及び諸物性を有するポリエステル系樹脂(A−1)を得た。
〔製造例2、比較製造例1〜3:ポリエステル系樹脂(A−2、A'−1、A'−2、A'−3)の製造〕
樹脂組成を表1に記載のとおりになるよう変更した以外はA−1と同様にしてポリエステル系樹脂(A−2、A'−1、A'−2、A'−3)を得た。
得られたポリエステル系樹脂の樹脂組成(成分由来の構造単位)及び諸物性について表1に示す。なお、表1中、各略称は以下のとおりである。
「TPA」:テレフタル酸
「IPA」:イソフタル酸
「AdA」:アジピン酸
「P1010」:ダイマー酸「プリポール1010」(クローダ社製)
「PMAn」:ピロメリット酸二無水物
「BPDA」:3,3',4,4',−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物
「EG」:エチレングリコール
「NPG」:ネオペンチルグリコール
「BPE−20」:ビスフェノールAのエチレンオキサイド約2モル付加物「ニューポールBPE−20」(三洋化成工業社製)
「P2033」:ダイマージオール「プリポール2033」(クローダ社製)
Figure 2021066865
<ポリエポキシ系化合物(B)>
ポリエポキシ系化合物(B)として、以下のものを用意した。
(B−1):フェノールノボラック型エポキシ樹脂「YDPN−638」(日鉄ケミカル&マテリアル社製)(WPE=177(g/eq))
<接着剤組成物の製造>
上記で得られたポリエステル系樹脂及びポリエポキシ系化合物を用いて、下記のとおり接着剤組成物を製造した。
(実施例1)
上記で得られたポリエステル系樹脂(A−1)をメチルエチルケトンで固形分濃度60%に希釈し、このポリエステル系樹脂(A−1)溶液(固形分として100部)に対し、ポリエポキシ系化合物(B−1)(固形分)を10部配合し、更にメチルエチルケトンで固形分50%になるように希釈、撹拌、混合することにより、接着剤組成物を得た。
(実施例2〜3、比較例1〜5)
実施例1において、表2に示すとおりの樹脂組成とした以外は同様にして、接着剤組成物を得た。
得られた接着剤組成物を用いて以下のとおり評価を行った。その結果を表2に示す。
<積層体の作製>
上記で調製した接着剤組成物を厚み50μmのポリイミドフィルム「カプトン200H」(東レ・デュポン社製)にアプリケーターで塗布した後、120℃で5分間乾燥し、乾燥膜厚25μmの接着層を形成した。次に(1)厚み30μmの圧延銅箔、又は、(2)厚み50μmのポリイミドフィルム「カプトン200H」をそれぞれ上記接着層付きポリイミドフィルムの接着層面とラミネート(ラミネート条件:170℃、0.2MPa、送り速度1.5m/min)し、次いで160℃のオーブンで4時間熱処理、硬化させることでそれぞれの積層体を得た。
便宜上、圧延銅箔とラミネートした積層体(ポリイミドフィルム/接着層/圧延銅箔)をPI/Cuと表記し、ポリイミドフィルムとラミネートした積層体(ポリイミドフィルム/接着層/ポリイミドフィルム)をPI/PIと表記する。
<評価>
〔初期接着力〕
上記で得られた積層体を1cm幅に切り出したものを試験片とした。両面テープを用いて試験片を厚み2mmのガラス板に固定し、23℃、50%RHの環境下で剥離試験機を用いて、試験片の引張剥離強度を測定した(剥離速度:50mm/min、剥離角度:180°)。評価基準は下記のとおりとした。
◎:8N/cm以上
○:6N/cm以上、8N/cm未満
△:4N/cm以上、6N/cm未満
×:4N/cm未満
〔湿熱耐久性〕
PI/Cuの試験片を85℃、85%RHの恒温恒湿機に入れ、所定時間後に取り出し、23℃50%RHの環境下に一晩静置した後、上記の初期接着力と同様にして、引張剥離強度を測定した。初期の接着力に対する湿熱処理後の接着力の百分率を「維持率」とした。
接着力の絶対値については初期接着力と同様の評価基準を用いて評価した。
接着力の維持率については下記の評価基準に基づいて評価した。
◎:維持率が80%以上
○:維持率が60%以上、80%未満
△:維持率が40%以上、60%未満
×:維持率が40%未満
〔タックフリー性〕
上記で得られた硬化前の接着層付きポリイミドフィルムの接着層面を指で軽く触れ、下記評価基準に基づいて評価した。
◎:ベタツキがほとんど感じられない。
〇:ベタツキがあまり感じられない。
△:ややベタツキがある。
×:指にくっつく。
〔ゲル分率〕
上記で得られた接着層付きポリイミドフィルムを160℃で4時間熱処理し硬化させた後、4cm×4cmサイズに切り出した。これを200メッシュのSUS製金網で包み、メチルエチルケトン中に23℃×24時間浸漬し、浸漬前の接着剤重量に対する金網中に残存した不溶解の接着剤成分の重量百分率をゲル分率とした。
Figure 2021066865
上記表1、2の結果より、本発明の要件を満たす製造例1、2のポリエステル系樹脂(A−1)、(A−2)は低吸湿性に優れ、それらを用いて得られた実施例1〜3の接着剤組成物は、硬化前のタックフリー性、硬化後の初期接着性、更には湿熱環境下での長期耐久性に優れるものである。
一方、エステル結合濃度が高い比較製造例1のポリエステル系樹脂(A'−1)は吸湿性が高く、それを用いて得られた比較例1、2は湿熱環境下での長期耐久性に劣るものであった。同様にエステル結合濃度が高い比較製造例2のポリエステル系樹脂(A'−2)を用いて得られた比較例3、4の接着剤組成物も、湿熱環境下での長期耐久性に劣るものであった。
また、ガラス転移温度の低い比較製造例3のポリエステル系樹脂(A'−3)を用いて得られた比較例5の接着剤組成物は、硬化前のタックフリー性及び硬化後の初期接着性に劣るものであった。
本発明の接着剤組成物は、ポリエステル系樹脂を含有する接着剤組成物であり、低吸湿性、硬化前のタックフリー性、硬化後の初期接着性、更には湿熱環境下での長期耐久性に優れるという効果を奏するものであり、とりわけ金属とプラスチックの積層板を作製するための接着剤、例えば、フレキシブル銅張積層板やフレキシブルプリント基板等のフレキシブル積層板等に用いられる接着剤として有効である。

Claims (10)

  1. 多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂(A)を含有する接着剤組成物であって、ポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度が7ミリモル/g以下、酸価が3mgKOH/g以上、ガラス転移温度(Tg)が−5℃以上であることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 多価カルボン酸類としてダイマー酸類、及び多価アルコール類としてダイマージオール類からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有し、多価カルボン酸類全体に対するダイマー酸類の含有量(α)と多価アルコール類全体に対するダイマージオール類の含有量(β)との合計含有量(α+β)が5モル%以上であることを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 多価アルコール類としてビスフェノール骨格含有モノマーを含有し、多価アルコール類全体に対するビスフェノール骨格含有モノマーの含有量が10モル%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の接着剤組成物。
  4. 多価カルボン酸類として芳香族多価カルボン酸類を含有し、多価カルボン酸類全体に対する芳香族多価カルボン酸類の含有量が25モル%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  5. ポリエステル系樹脂(A)が、側鎖にカルボキシ基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  6. ポリエステル系樹脂中におけるポリエステル系樹脂(A)の含有量が50重量%超であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  7. 更に、ポリエポキシ系化合物(B)を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物が硬化されてなることを特徴とする接着剤。
  9. 電子材料部材の貼り合せに用いられることを特徴とする請求項8に記載の接着剤。
  10. 電子材料部材が、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルプリント基板、カバーレイ及びボンディングシートから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9記載の接着剤。
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