JP2021066478A - 容器、容器の製造方法および容器の製造装置 - Google Patents

容器、容器の製造方法および容器の製造装置 Download PDF

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季和 橋本
Suekazu Hashimoto
季和 橋本
康宏 中野
Yasuhiro Nakano
康宏 中野
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Abstract

【課題】凝集破壊層の樹脂溜まりを利用して密封性と開封性とを両立する容器において、より低いシール時の圧力で製造する。【解決手段】表面下層および表面層を含む第1の積層体からなり、凹部および凹部の周縁から延出するフランジ部を含む容器本体と、シール層および外層を含む第2の積層体からなり、フランジ部に形成される接合領域でシール層が容器本体の表面層に接合される蓋体とを備える容器であって、表面層は凝集破壊層であり、表面下層およびシール層は非凝集破壊層であり、接合領域において、表面層を形成する樹脂が凹部とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まりを形成し、シール層を形成する樹脂が樹脂溜まりを覆う容器が提供される。【選択図】図2

Description

本発明は、容器、容器の製造方法および容器の製造装置に関する。
容器本体および蓋体からなる食品などの容器において、容器の密封性と、開封性、すなわち開封時に蓋体を容器本体から容易に剥離できるようにすることとを両立することは容易ではない。容器本体と蓋体との間の接合強度を高くすれば密封性は向上するが開封性は低下し、逆に接合強度を低くすれば開封性が向上する代わりに密封性が低下するためである。このような課題を解決するための技術は、これまでに種々提案されている。
例えば、特許文献1には、容器本体のフランジ部と蓋体とをヒートシールする際に、接合領域の内周縁近傍で容器本体の表面層および表面下層、ならびに蓋体のシール層に瘤状の樹脂溜まりを形成する技術が記載されている。このような樹脂溜まりを形成し、かつ容器本体の表面層または蓋体のシール層のいずれかを凝集破壊層とすることによって、密封性と開封性とを両立した容器を低コストで製造することができる。
特許第5001962号公報
ここで、特許文献1に記載された技術では、上記のような樹脂溜まりを形成可能な程度にヒートシール時の圧力を高めるために、環状のシール盤を幅狭にし、さらにヒートシール機の圧力設定を上げたりする必要がある。しかしながら、シール盤を幅狭にすると、ヒートシール時のわずかな位置ずれや小さな夾雑物によって未接合領域が発生するため、製造工程を厳密に管理する必要が生じる。また、接合領域の外側でフランジ部と蓋体との間に未シールの隙間が生じることによる水分などの残留を防ぐために幅広のシール盤で別途ヒートシールを行う場合もあるが、2段階のシールは工程を煩雑化させる。一方、ヒートシール機の圧力設定を上げると、装置への負担が大きくなるのに加えて、圧力設定は頻繁に変更できないため、例えば異なる種類の製品への対応が難しくなる。
そこで本発明は、凝集破壊層の樹脂溜まりを利用して密封性と開封性とを両立する容器において、より低いシール時の圧力で製造することが可能な容器、容器の製造方法および容器の製造装置を提供することを目的とする。
[1]表面下層および表面層を含む第1の積層体からなり、凹部および凹部の周縁から延出するフランジ部を含む容器本体と、シール層および外層を含む第2の積層体からなり、フランジ部に形成される接合領域でシール層が容器本体の表面層に接合される蓋体とを備える容器であって、表面層は凝集破壊層であり、表面下層およびシール層は非凝集破壊層であり、接合領域において、表面層を形成する樹脂が凹部とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まりを形成し、シール層を形成する樹脂が樹脂溜まりを覆う容器。
[2]樹脂溜まりは、凹部側に形成される斜辺を断面形状に含む、[1]に記載の容器。
[3]樹脂溜まりは高さ10μm以上、幅200μm以上、斜辺の角度は2°以上である、[2]に記載の容器。
[4]接合領域の周方向の一部の区間には樹脂溜まりが形成されない、[1]から[3]のいずれか1項に記載の容器。
[5]表面下層および表面層を含む第1の積層体からなり、凹部および凹部の周縁から延出するフランジ部を含む容器本体のフランジ部に形成される接合領域で、シール層および外層を含む第2の積層体からなる蓋体を容器本体の表面層に接合する工程を含む容器の製造方法であって、表面層は凝集破壊層であり、表面下層およびシール層は非凝集破壊層であり、接合する工程は、表面層を形成する樹脂に凹部とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まりを形成し、樹脂溜まりを覆ってシール層を溶着させる工程を含む、容器の製造方法。
[6]接合する工程は、幅が2mmを超えるシール盤で接合領域を1段階のシールで形成する工程を含む、[5]に記載の容器の製造方法。
[7]表面下層および表面層を含む第1の積層体からなり、凹部および凹部の周縁から延出するフランジ部を含む容器本体のフランジ部に形成される接合領域で、シール層および外層を含む第2の積層体からなる蓋体を容器本体の表面層に接合する手段を含む容器の製造装置であって、表面層は凝集破壊層であり、表面下層およびシール層は非凝集破壊層であり、接合する手段は、表面層を形成する樹脂に凹部とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まりを形成し、樹脂溜まりを覆ってシール層を溶着させる手段を含む、容器の製造方法。
[8]接合する手段は、接合領域の全体をカバーする幅が2mmを超えるシール盤を含む、[7]に記載の容器の製造装置。
上記の構成によれば、表面層を形成する樹脂が凹部とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まりによって、密封性と開封性とを両立することができる。樹脂溜まりは表面層のみに形成されればよいため、ヒートシール時の圧力は上記のような従来の樹脂溜まりを形成する場合に比べて低くてよい。
本発明の一実施形態に係る容器の斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1のIV−IV線断面図である。 図1のV−V線断面図である。 本発明の一実施形態に係る容器の製造工程の変形例を示す図である。 本発明の実施例に係る実験に用いられた容器の平面図である。 シール圧力160kgfでヒートシールした実験結果を示すグラフである。 シール圧力240kgfでヒートシールした実験結果を示すグラフである。 樹脂溜まりの寸法について説明するための図である。 樹脂溜まりの高さとシール温度との関係を示すグラフである。 樹脂溜まりの幅とシール温度との関係を示すグラフである。 樹脂溜まりの角度とシール温度との関係を示すグラフである。 樹脂溜まりの高さとシール強度との関係を示すグラフである。 樹脂溜まりの幅とシール強度との関係を示すグラフである。 樹脂溜まりの角度とシール強度との関係を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る容器の斜視図である。図1(a)には開封前の状態が、図1(b)には開封中の状態が、それぞれ示されている。図2および図3はそれぞれ図1(a)に示すII−II線およびIII−III線に沿った断面図であり、図4および図5はそれぞれ図1(b)に示すIV−IV線およびV−V線に沿った断面図である。
本実施形態に係る容器100は、容器本体110と、蓋体130とを含む。容器本体110は、略矩形の平面形状を有し、凹部111と、凹部111の周縁から延出するフランジ部112とを含む。蓋体130は、凹部111の開口を覆うフィルム状の部材であり、フランジ部112に形成される接合領域140でヒートシールまたは超音波シールなどを用いて容器本体110に接合されることによって凹部111との間に形成される内部空間SPを封止する。
容器本体110は、図2に示されるように、基材層114A,表面下層114Bおよび表面層114Cを含む積層体114を、真空成形または圧空成形などによって凹部111およびフランジ部112を含む形状に成形したものである。基材層114Aは、容器本体110の外側に位置し、容器本体110の形状の保持に必要とされる剛性を発揮する。表面下層114Bは、基材層114Aと表面層114Cとの間にあり、それぞれの層に接合されている。表面層114Cは、容器本体110の内側、すなわち内部空間SPに面する側に位置し、フランジ部112に形成される接合領域で蓋体130に接合される。
ここで、積層体114の基材層114Aおよび表面下層114Bは、例えばオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、およびポリエステル系樹脂からなる群の少なくともいずれかを含む樹脂組成物で形成される。オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、およびポリエチレンが例示される。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が例示される。基材層114Aおよび表面下層114Bとの間では、例えば剛性が異なる。基材層114Aには、剛性を向上させるためにタルクなどの無機フィラーが添加されてもよい。
一方、積層体114の表面層114Cは、例えばエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体またはスチレングラフトプロピレン樹脂の少なくともいずれかを、ポリプロピレン系樹脂にブレンドして得られた樹脂組成物で形成される。この場合、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体またはスチレングラフトプロピレン樹脂は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部から50質量部、特に好ましくは15質量部から40質量部程度、添加すればよい。
他の例として、特許第5523933号公報に記載のように、表面層114Cが、ポリプロピレン系樹脂30質量%以上70質量%以下、融点130℃以下のプロピレン−エチレンランダムコポリマー10質量%以上30質量%以下、および融点120℃以上の低密度ポリエチレン系樹脂20質量%以上40質量%以下を含有する樹脂組成物で形成されてもよい。この場合、表面下層114Bは、アイソタクティックペンタッド分率が93mol%以上であるポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成されることが好ましい。
なお、図示された例において積層体114は基材層114A、表面下層114Bおよび表面層114Cの3つの層を含むが、他の例において積層体114は追加の層を含んでもよい。例えば、積層体114は、高い剛性が必要とされる場合に、複数の基材層と、基材層同士を接着する接着層とを含んでもよい。接着層は、例えばウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、またはエチレン酢酸ビニル(EVA)などで形成される。また、積層体114は、酸素などを遮断するガスバリア層を含んでもよい。ガスバリア層は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、またはポリアクリロニトリル(PAN)などで形成される。
蓋体130は、外層131Aおよびシール層131Bを含むフィルム状の積層体131からなる。外層131Aは、蓋体130の表側、すなわち容器本体110に面しない側に位置し、蓋体130に必要とされる柔軟性や引張強度を発揮する。外層131Aは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、または二軸延伸ナイロンフィルム(O−Ny)などで形成される。一方、シール層131Bは、蓋体130の裏側、すなわち容器本体110に向けられる側に位置し、フランジ部112に形成される接合領域140に面する。シール層131Bは、例えばランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレン(BPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリエチレンなどの樹脂組成物で形成される。本実施形態において、外層131Aとシール層131Bとは互いに接合されている。なお、他の実施形態では、積層体131にも追加の層が含まれてもよい。
ここで、本実施形態では、容器本体110を構成する積層体114の表面層114Cが凝集破壊層である。すなわち、表面層114Cの凝集強度は、接合領域140における蓋体130と容器本体110との間の接合強度よりも低く、積層体114および積層体131の各層の間の層間接合強度よりも低い。一方、表面下層114Bおよびシール層131Bを含む積層体114および積層体131の他の層は非凝集破壊層である。すなわち、これらの層の凝集強度は、接合領域140における蓋体130と容器本体110との間の接合強度よりも高く、積層体114および積層体131の各層の間の層間接合強度よりも高い。これによって、後述するように、容器本体110と蓋体130とを引き離す方向に力が作用した場合、表面層114Cが選択的に破壊される。なお、本明細書において、凝集強度は、積層体の各層を構成する樹脂を結合させている分子間力(凝集力)によって発揮される強度を意味する。
さらに、本実施形態では、図2に示されるように、接合領域140において、容器本体110を構成する積層体114の表面層114Cが凹部111とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まり121が形成される。蓋体130を構成する積層体131のシール層131Bは、樹脂溜まり121に沿った形状に盛り上がって樹脂溜まり121を覆う。一方、積層体114の表面下層114Bには樹脂溜まりは形成されない。図示された例において、樹脂溜まり121は、接合領域140の幅方向の中ほどに形成される。
ここで、樹脂溜まり121の凹部111とは反対側に傾いて突出した断面形状とは、図示されているように接合領域140の幅方向について非対称であり、かつ樹脂溜まり121の断面図心が樹脂溜まり121の幅方向中心に対して凹部111とは反対側に偏った形状を意味する。図示された例において、樹脂溜まり121は、凹部111側に形成される斜辺121Aと、鋭角状の突端121Bと、突端121Bから折り返された折り返し面121Cとを断面形状に含む。他の例では、例えば樹脂溜まり121の断面の両側に斜辺が形成されてもよく、また突端121Bが鋭角状でなく鈍角状でもよい。
図3は、図1(a)に示されるように内部空間SPが封止された状態で内部空間SPの内圧が上昇した状態を示す断面図である。この状態では、接合領域140の内周縁に容器本体110と蓋体130とを引き離す方向の力が作用し、表面層114Cは凹部111側から凝集破壊する。しかし、凝集破壊の破断面は凹部111とは反対側に傾いて突出した樹脂溜まり121の断面形状に沿って誘導され、凝集破壊層ではないシール層131Bとの界面まで進展したところで止まる。結果として、樹脂溜まり121よりも外側で表面層114Cは凝集破壊されず、内圧の上昇によって容器本体110と蓋体130との間が完全に破断されて内部空間SPが外部空間に連通することはない。
一方、図4および図5は、図1(b)に示すようにユーザが容器100を開封する場合の動作を示す断面図である。図4に示されるようにユーザが蓋体130を引き剥がすことによって、接合領域140に対応する位置で蓋体130に引っ張られた表面層114Cが凝集破壊する。これによって、表面層114Cの一部が蓋体130とともに引き剥がされ、表面層114Cの残りの部分は表面下層114B側に残る。図5に示されるようにユーザがさらに蓋体130を引き剥がすと、表面層114Cの凝集破壊が接合領域140の内周縁に達して容器本体110と蓋体130との間が完全に破断され、容器100は開封される。樹脂溜まり121の断面形状は凹部111とは反対側に傾いているため、開封時の表面層114Cの凝集破壊の破断面は樹脂溜まり121で遮られることなく接合領域140の内周縁に達する。
本実施形態に係る容器100では、上記のような樹脂溜まり121の作用によって、表面層114Cの凝集強度を低くして図4および図5に示したような開封を容易にしつつ、シール層131Bの凝集強度を高くして図3に示したように内部空間SPの高い内圧に対抗することができる。このようにして、本実施形態に係る容器100では、開封性と耐内圧性とが両立される。
また、本実施形態では、樹脂溜まり121が表面層114Cのみに形成されればよいため、ヒートシール時の圧力は例えば特許第5001962号公報に記載されたような従来の樹脂溜まりを形成する場合に比べて低くてよい。従って、本実施形態では、例えば図2に示すような幅広の環状シール盤601を用いたヒートシールによって容器100を製造することができる。環状シール盤601は、樹脂溜まり121を形成するための膨出部602および傾斜面603に加えて、接合領域140の外周側をカバーする平坦面604を含む。膨出部602および傾斜面603は接合領域140の内側から表面層114Cの樹脂を押し出して樹脂溜まり121を形成するとともに、樹脂溜まり121を覆ってシール層131Bを溶着させる。平坦面604は、樹脂溜まり121よりも外側の接合領域140を広くシールする。環状シール盤601を用いることによって、樹脂溜まり121を形成するためのヒートシールと、接合領域の外側の領域のヒートシールとを1段階で実施することができる。
なお、本発明の実施形態は、表面層114C以外の層に樹脂溜まりが形成されることを排除するものではない。例えば、表面下層114Bやシール層131Bに樹脂溜まりが形成される必要はないが、表面層114Cの樹脂溜まり121の形成時に表面下層114Bやシール層131Bに樹脂溜まり状の断面変化が生じることはありうる。
図6は、本発明の一実施形態に係る容器の製造工程の変形例を示す図である。図示された例では、環状シール盤605および環状シール盤606を用いた2段階のヒートシールによって容器100が製造される。環状シール盤605は膨出部602および傾斜面603を含み、環状シール盤606は平坦面604を含む。製造上の都合でこのような2段階のヒートシールを実施することもありうるが、ヒートシール時の圧力が従来の樹脂溜まりを形成する場合に比べて低くてよいことは上記の例と同様である。例えば、従来の樹脂溜まりを形成する場合は圧力を高めるために環状シール盤の幅を2mm未満にするが、本実施形態において環状シール盤605の幅wは2mmを超えていてもよい。図2の例における環状シール盤601も同様に、幅wが2mmを超えている。
図7は、本発明の実施例に係る実験に用いられた容器の平面図である。本実施例では、図示されたような形状でフランジ部112に接合領域140が形成された長辺150mm、短辺127mmの矩形の容器100について、4つの測定点P1〜P4でシール強度を測定した。容器本体110のシートグレードはSEP(凝集剥離グレード)、シート材厚は400μm、シール時間は1.2秒、シール回数は1回である。シール強度は、それぞれの測定点における接合領域140の内周縁側でフランジ部112に隣接する凹部111の側面と蓋体130とを治具で挟持して上下に引張速度300mm/minで引き離すことによって測定し、n=3の平均値を算出した。このようにして測定されたシール強度は、上記で図3を参照して説明したように内部空間SPの内圧が上昇した場合の耐圧強度を示す。
なお、実験は通蒸容器の実験と併せて実施されたため、測定点P1が配置された長辺の一部には弱接合領域141が形成されている。接合領域140の周方向の一部の区間である弱接合領域141には、樹脂溜まりが形成されない。樹脂溜まりを形成しないこと、および必要に応じてローレット状のシール盤や、円形などの独立した非接合部分が配置されたシール盤を用いたりすることによって弱接合領域141におけるシール強度を他の区間よりも低くすることができる。内容物の加熱で発生した蒸気によって内部空間SPの内圧が上昇した場合は、弱接合領域141が接合領域140の他の区間よりも先に破断され、内部空間SPから外部空間に蒸気を放出することが可能になる。なお、以下で説明する実験の結果に弱接合領域141の影響は見られないため、弱接合領域141のさらなる詳細な説明は省略する。
図8および図9は、シール圧力160kgf(通常用いられる圧力)および240kgf(従来の樹脂溜まりを形成するために用いられる、通常よりも高い圧力)のそれぞれで、シール温度を180℃から10℃ずつ変更しながら容器本体110に蓋体130をヒートシールした結果を示すグラフである。シール圧力160kgfの場合、シール強度の基準の1つである2.3kgf/15mmが測定点P1〜P4のすべてで得られるようになるシール温度は220℃であった。一方、シール圧力240kgfで同様の結果が得られるシール温度は200℃であった。この結果から、本発明の実施例では、低いシール圧力でも、シール温度をさほど上げずに樹脂溜まり121を形成し、高い耐内圧性を得られることがわかる。
次に、樹脂溜まり121の寸法とシール温度、およびシール強度との関係についての実験結果について説明する。図10は樹脂溜まりの寸法について説明するための図であり、樹脂溜まり121の高さh、幅wおよび角度θが示されている。高さhは、フランジ部112の厚さ方向における樹脂溜まり121の断面寸法である。図示された例では樹脂溜まり121以外の部分における表面層114Cの上面を基準として高さhが定義されている。幅wは、フランジ部112の幅方向における樹脂溜まり121の断面寸法である。図示された例では樹脂溜まり121の突端121Bが鋭角に形成されて折り返し面121Cが形成されるため、幅wは斜辺121Aをフランジ部112の幅方向に投影した長さに一致する。角度θは、図示されたように樹脂溜まり121に斜辺121Aが形成される場合の、表面層114Cの積層方向に対する斜辺121Aの角度である。
図11〜図13は、シール圧力240kgfの場合の測定点P1〜P4のそれぞれにおける樹脂溜まり121の高さh、幅wおよび角度θとシール温度との関係を示すグラフである。図14〜図16は、図11〜図13の結果におけるシール温度を図9に示したシール強度に変換して示すグラフである。図11〜図13に示されるように、高さh、幅wおよび角度θとも、シール温度が高くなると大きくなる。図14〜図16に示されるように、シール強度が2.3kgf/15mm以上になるのは、樹脂溜まり121の高さhが約10μm以上、幅wが約200μm以上、角度θが約1.8°以上の場合である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100…容器、110…容器本体、111…凹部、112…フランジ部、114…積層体、114A…基材層、114B…表面下層、114C…表面層、121…樹脂溜まり、121A…斜辺、121B…突端、121C…折り返し面、130…蓋体、131…積層体、131A…外層、131B…シール層、140…接合領域、141…弱接合領域、601…環状シール盤、602…膨出部、603…傾斜面、604…平坦面、605…環状シール盤、606…環状シール盤。

Claims (8)

  1. 表面下層および表面層を含む第1の積層体からなり、凹部および前記凹部の周縁から延出するフランジ部を含む容器本体と、
    シール層および外層を含む第2の積層体からなり、前記フランジ部に形成される接合領域で前記シール層が前記容器本体の前記表面層に接合される蓋体と
    を備える容器であって、
    前記表面層は凝集破壊層であり、
    前記表面下層および前記シール層は非凝集破壊層であり、
    前記接合領域において、前記表面層を形成する樹脂が前記凹部とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まりを形成し、前記シール層を形成する樹脂が前記樹脂溜まりを覆う容器。
  2. 前記樹脂溜まりは、前記凹部側に形成される斜辺を断面形状に含む、請求項1に記載の容器。
  3. 前記樹脂溜まりは高さ10μm以上、幅200μm以上、前記斜辺の角度は1.8°以上である、請求項2に記載の容器。
  4. 前記接合領域の周方向の一部の区間には前記樹脂溜まりが形成されない、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の容器。
  5. 表面下層および表面層を含む第1の積層体からなり、凹部および前記凹部の周縁から延出するフランジ部を含む容器本体の前記フランジ部に形成される接合領域で、シール層および外層を含む第2の積層体からなる蓋体を前記容器本体の前記表面層に接合する工程を含む容器の製造方法であって、
    前記表面層は凝集破壊層であり、
    前記表面下層および前記シール層は非凝集破壊層であり、
    前記接合する工程は、前記表面層を形成する樹脂に前記凹部とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まりを形成し、前記樹脂溜まりを覆って前記シール層を溶着させる工程を含む、容器の製造方法。
  6. 前記接合する工程は、幅が2mmを超えるシール盤で前記接合領域を1段階のシールで形成する工程を含む、請求項5に記載の容器の製造方法。
  7. 表面下層および表面層を含む第1の積層体からなり、凹部および前記凹部の周縁から延出するフランジ部を含む容器本体の前記フランジ部に形成される接合領域で、シール層および外層を含む第2の積層体からなる蓋体を前記容器本体の前記表面層に接合する手段を含む容器の製造装置であって、
    前記表面層は凝集破壊層であり、
    前記表面下層および前記シール層は非凝集破壊層であり、
    前記接合する手段は、前記表面層を形成する樹脂に前記凹部とは反対側に傾いて突出した断面形状の樹脂溜まりを形成し、前記樹脂溜まりを覆って前記シール層を溶着させる手段を含む、容器の製造方法。
  8. 前記接合する手段は、前記接合領域の全体をカバーする幅が2mmを超えるシール盤を含む、請求項7に記載の容器の製造装置。
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