JP3126092B2 - 密封容器とその製造方法 - Google Patents

密封容器とその製造方法

Info

Publication number
JP3126092B2
JP3126092B2 JP06124649A JP12464994A JP3126092B2 JP 3126092 B2 JP3126092 B2 JP 3126092B2 JP 06124649 A JP06124649 A JP 06124649A JP 12464994 A JP12464994 A JP 12464994A JP 3126092 B2 JP3126092 B2 JP 3126092B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
container
flange
seal
seal layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP06124649A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07309368A (ja
Inventor
清豪 赤沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP06124649A priority Critical patent/JP3126092B2/ja
Publication of JPH07309368A publication Critical patent/JPH07309368A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3126092B2 publication Critical patent/JP3126092B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品また飲料等を収納
するための優れた密封性と開封性とを兼備する密封容器
とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から実用されている最も一般的なプ
ラスチック製密封容器のイージーオープン構造は、シー
ル層の樹脂材質を変えて容器とのシール強度を適度に制
御(例えば600〜1000g/25mm巾)したシール
層を形成し、蓋材と容器の界面をピールして開封するタ
イプのものである。ところが、シール強度はシール条件
(温度、圧力、時間、環境条件、内容物の付着等)の影
響を受け易く、強弱のバラツキを生じ易い。このバラツ
キは、弱い方に偏ると時にシール漏れの危険性を増し、
逆に強い方に偏るとピール性が減退して容易に開封でき
なくなる。とくにシール漏れは密封容器として致命的な
欠陥となる関係で、一般にシール温度や圧力を高めに設
定する条件が採用されており、このため開封性が犠牲に
なることが多い。
【0003】このような問題点を改善するための方策と
して、シール層とそれに隣接する層とのデラミネーショ
ンによる開封機構(特開昭50−37598 号公報)が知られ
ている。この方法ではピール強度がシール条件に影響さ
れないため一定の力で開封することが可能となるが、シ
ール層の破断が開封終了希望点で行えないと内容物を取
り出し難いという欠点があった。特開昭62−2513
63号公報には容器本体のシール層を剥離する形式のイ
ージーピール性付与容器において、フランジ内縁部に切
り込みを設けて開封終了希望点でのシール層の破断を容
易にする提案がなされている。しかし、この方法におい
ては切り込み部より内縁にシールがなされると開封され
難く、また切り込み部とシール部分最内縁部が近すぎる
と内圧を受けた場合に容易にシール漏れが生じるという
問題がある。したがって、シール時に切り込み部分から
離れた位置でのシールを行う必要があり、シール設備に
精度が要求されたり、必要以上に広い容器本体のフラン
ジ部面積を採らねばならないなど制約条件が多くなる欠
点がある。この点を改善するために、シール盤の形状を
工夫して、余りシール精度を必要とせずにシール層の破
断を行う方法も提案されているが、シール層が厚くなり
過ぎると破断に困難性を伴うなど実用性の面で問題が多
い。
【0004】これらの手段とは異なる開封機構として、
容器本体フランジ部の全面または一部の面に微小凹部を
形成させた易開封性密封容器が本出願人によって開発さ
れている(特開平3−200561号公報、特開平3−226406
号公報、特開平5−310268号公報) 。この機構によると
シール盤の位置精度が悪くても容易にシールならびに破
断が可能となるため生産性と利用性を向上させることが
できるが、蓋を開口した剥離面に外観不良を生じる難点
がある。
【0005】また、特公平5−79587号公報には、
フランジ部の最内層厚みをAμm 、容器本体の側壁から
フランジ部へかけての容器内面の変曲点部の最内層の厚
みをBμm 、最内層材料の破断強度をCkg/cm2とした際
に、A≧1.1×B、B≦(1.33/C)×104
あり、かつ変曲部の最内層の破断強度が最内層とそれに
接する層の剥離強度より小さい多層容器が提案されてい
る。しかしながら、この構造では容器成形時のフランジ
部肉厚のバラツキ等で最内層のシール層の厚さが不安定
となることがあり、シール層が厚くなった場合には開封
が困難となるケースが生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の構造とは異なる開封部機構を備え、優れたシール安定
性と容易な開封性とを兼備する密封容器とその工業的な
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による密封容器は、最内層にシール層を有す
る2層以上の多層シートからなり、容器本体の開口部周
縁にフランジ部が形成されたプラスチック製容器におい
て、前記シール層と該シール層に隣接する隣接層の層間
剥離強度Aが0.5〜2.5kg/15mm で、前記隣接層と
その外層との層間剥離強度Bに対してB>Aの関係にあ
り、かつ蓋材開封時における容器本体の初期開封部分に
あたる容器側面とフランジ内縁との境界位置に局所的に
シール層が欠落し、容器の隣接層が露出したシール層の
欠落部を形成し、フランジ部と蓋材間を容器本体のシー
ル層と隣接層の層間剥離強度Aより高い接着強度にシー
ルしてなることを構成上の特徴とする。
【0008】本発明において、容器本体の初期開封部分
にあたる容器側面とフランジ内縁との境界位置は、蓋材
を引張り上げて開封する際に剥離抵抗が最も大きくなる
容器凹部の側面とフランジ内縁との境界位置を指す。し
たがって、この位置は容器凹部が単一の場合には一箇所
であるが、複数個の容器凹部が形成された分割型容器の
場合には各容器凹部について容器側面とフランジ内縁と
の境界位置が存在するから、各位置にシール層の欠落部
が形成される。
【0009】図1は本発明の密封容器を示した全体の断
面図、図2は図1の密封容器を斜視図(一部切欠)とし
て示したもので、1は容器本体、2はフランジ部、3は
蓋材、そして4はシール層の欠落部である。図3は初期
開封部分に相当するフランジ部分の拡大断面図、図4は
初期開封部分以外のフランジ部分を示した拡大断面図
で、5は蓋材3のシーラント層、6は容器本体ののシー
ル層、7は前記シール層に隣接する隣接層、8は前記隣
接層7に一体成形されている外層、9はシール部分であ
る。
【0010】容器本体1を構成する多層シートとしては
任意のものが用いられる。シール層6にはヒートシール
が可能な熱可塑性樹脂を用いることができ、例えばポリ
エチレン(以下「PE」と略称する)、ポリプロピレン
(以下「PP」と略称する)、ポリエチレンテレフタレ
ート(以下「PET」と略称する)、ポリスチレン(以
下「PS」と略称する)、ポリカーボネート(以下「P
C」と略称する)、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下
「EVA」と略称する)、アイオノマー、エチレンビニ
ルアルコール共重合体(以下「EVOH」と略称する)
等の各種単体の樹脂のほか、これらの樹脂を任意に数種
配合したものも用いることができる。この隣接層7につ
いてもシール層6との層間剥離強度が2.5kg/15mm 未
満であれば任意の樹脂を用いることができる。組合せの
例を挙げると、PPがシール層6である場合に、隣接層
7としてPE、PPとPEの混合物、エチレン−プロピ
レン共重合体等を任意に選択することができる。また、
PETがシール層6である場合に隣接層7としてPET
とPEまたはPPの混合物、EVA等を任意に選択する
ことができる。これらのシール層6、隣接層7は、隣接
層7の外側に一体成形される外層8も含めて、任意に選
択される。
【0011】隣接層7の外側に一体形成される外層8と
しては、例えば容器に保存性を持たせるバリア層として
EVOHや塩化ビニリデン共重合体(以下「PVDC」
と略称する)を配置したり、強度向上や水蒸気バリアを
目的とした外層として更にPP等を積層してもよく、こ
れらの層間を強固に接着するために各種の接着剤を使用
しても良い。なお、隣接する層としてはプラスチックに
限らず任意の金属層も用いることができるし、またこれ
らの金属層は他の機能層としても使用することができ
る。
【0012】したがって、容器本体1の多層体構成とし
ては、シール層/隣接層/中間層/バリア層/最外層
が、PP/PE/PP/EVOH/PP、PP/PP+
PE/PP/EVOH/PP、PE/PP/PE+PP
/EVOH/PP、PET/EVA/PP/EVOH/
PP、PC/EVA+PP/PP/EVOH/PP、P
ET/EVA/PS/EVOH/PSなどの組合せを例
示することができる。なお、これら多層構成においてE
VOHと他の樹脂層との間は、例えば不飽和カルボン酸
変性ポリエチレン、不飽和カルボン酸変性ポリプロピレ
ン、不飽和カルボン酸変性ポリスチレンなどの接着性樹
脂により接着される。
【0013】蓋材3には、フランジ部のシール層6とシ
ール可能なものであれば任意の樹脂フイルムを用いるこ
とができるが、とくにシール層6と強固に密着する材質
のシーラント層5を有することが好ましい。多層構成の
蓋材としては、シーラント層5にPC、PE、PP、P
ET、PS、EVA、アイオノマー、EVOHの各種単
体樹脂のほか、これら樹脂を任意に数種配合したものを
用いることができる。しかし、シーラント層5を構成す
る樹脂は容器本体のシール層6と同一とすることが好ま
しい。バリア層としてはEVOH、PVDC、アルミニ
ウム箔(以下「Al」と略称する)、ナイロン(以下
「Ny」と略称する)、各種の蒸着フィルムが使用で
き、その他の補強層にはNy、PET、PP等が用いら
れる。
【0014】これらのシーラント層、バリア層および補
強層は、用途に応じた任意の組合せが可能である。蓋材
3の多層構成(右側がシーラント層)としては、例えば
Ny/EVOH/PP、PET/EVOH/Ny/P
P、Ny/PP、PET/Al/PP、Ny/PE、N
y/PET、Ny/EVOH/PET、PET/PVD
C/PP、PET/Al/PET、PP/EVOH/P
ETなどが挙げられる。また、蓋材3は平面フィルム形
状に限らず、多層シートを熱成形した落とし蓋形状のも
のを用いることができる。
【0015】本発明の容器構成は、シール層6と隣接層
7の層間剥離強度Aが0.5〜2.5kg/15mm で、隣接
層7とその外層8との層間剥離強度Bに対して、B>A
の関係にあることが第1の要件となる。この要件は、容
器に易開封性を付与するための前提的要件となるもの
で、シール層6と隣接層7の層間剥離強度Aが隣接層7
とその外層8との層間剥離強度Bより大きくなり、また
2.5kg/15mm より大きくなると、開封時の剥離抵抗が
増して円滑な開封性が損なわれ、また、前記の層間剥離
強度Aが0.5kg/15mm より小さくなると、密封性が低
下する。
【0016】本発明の主要な要件は、蓋材開封時におけ
る容器本体の初期開封部分にあたる容器側面とフランジ
内縁との境界位置に局所的にシール層6の欠落部4を形
成した点にあり、この欠落部4の形成により密封性を減
退させずに優れた易開封機能が付与される。該シール層
の欠落部4は、図5(部分拡大図)に示すようにフラン
ジ周回方向の長さLが2mm以上で、フランジ垂直方向の
幅Wが4mm以下になるように設計することが好ましい。
フランジ周回方向の長さLが2mm未満では開封時の剥離
抵抗を低下させることが困難となり、またフランジ垂直
方向の幅Wが4mmを越えると密封性を減退させる原因と
なる。最適な欠落部4の寸法形状は、フランジ周回方向
の長さLが3〜10mmで、フランジ垂直方向の幅Wが2
〜3mmの範囲である。
【0017】本発明の対象となる容器形態は、図2に示
した丸型容器に限らず、図6のような四角型、図7のよ
うな三角型、図8のような多凹部連結型など多様なタイ
プに利用することができ、いずれの場合も矢印で示した
蓋材開封側における容器本体の初期開封部分にあたる容
器側面とフランジ内縁との境界位置にシール層6の欠落
部4が形成される。なお、図8のように複数の容器凹部
が形成された分割型容器にあっては、各容器凹部におい
て初期開封部分にあたる容器側面とフランジ内縁との境
界位置にシール層6の欠落部4を形成する。
【0018】容器本体1のフランジ部2と蓋材3は、最
終的に相互のシール層6とシーラント層5を重ね合わ
せ、接着することによりシール部分8が形成されるが、
この部位の接着強度は、容器フランジのシール層6と隣
接層7の層間剥離強度Aより高くする。
【0019】上記の密封容器を製造するための本発明に
よる方法は、最内層にシール層を有する2層以上の多層
シートを連続的に金型上に供給して容器形状に加熱成形
したのち、欠落部を形成する部位の内周面が部分的にフ
ランジ巾より内周方向に張り出す突出部を有し、その他
の内周面がフランジ内縁と同等以内にある形状のリング
状抑え部材を用いて直ちに押圧して蓋材開封時における
容器本体の初期開封部分にあたる容器側面とフランジ内
縁との境界位置に局所的にシール層の欠落部を形成し、
形成された容器本体のフランジ部に蓋材を重ねて接着す
ることを特徴とする。
【0020】予め共押出法、ドライラミネート法、共押
出ラミネート法、サーマルラミネート法等により成形さ
れた最内層にシール層を有する2層以上の多層シート
を、加熱帯域を通して所定形状の金型上に連続的に供給
し、プラグ成形、真空成形または圧空成形により容器形
状に成形する。ついで、直ちに金型の周縁平面部を上部
からリング状抑え板により押圧してフランジ部を形成す
る。
【0021】この際、図9(平面図)および図10(図
9のA−A断面図)に示すように、欠落部を形成する部
位の内周面が部分的にフランジ巾より内周方向に張り出
す突出部10を有し、その他の内周面がフランジ内縁と
同等以内にある形状のリング状抑え板11を用いて金型
12の周縁平面部を押圧する。押圧時、リング状抑え部
材11の突出部10を有する部分で押圧されたフランジ
部の断面は、図11に示すように溶融あるいは軟化状態
の隣接層7がフランジ内縁側の無圧力の方向に押し出さ
れ、突出部10の長さに相当する部位に膨出現象が生じ
る。この膨出現象が発生すると、この部分を被覆してい
た薄いシール層6が破られ、局所的に欠落部4が形成さ
れる。このようにして、蓋材開封時における容器本体の
初期開封部分にあたる容器側面とフランジ内縁との境界
位置に局所的にシール層6の欠落部4が形成されるが、
欠落部4のフランジ周回方向の長さLおよびフランジ垂
直方向の幅Wは、リング状抑え板11に形成する突出部
10の寸法と押圧力によって調整することができる。
【0022】形成された容器本体1のフランジ部2には
蓋材3のシートを重ね、最終的に相互のシール層6とシ
ーラント層5を一体に接着してシール部分9を形成す
る。接着方法としては、公知のヒートシール法、超音波
シール法、高周波シール法等が適宜に用いられる。
【0023】
【作用】図12は、本発明に係る密封容器の開封状況を
模式的に示した説明図である。蓋材3の開封端部を上方
に引っ張り上げると、フランジ部のシール層6と隣接層
7の層間で剥離が開始される。この際、シール層6と隣
接層7の層間剥離強度Aが0.5〜2.5kg/15mm で、
隣接層7とその外層8との層間剥離強度Bに対してB>
Aの関係にあるため、前記の層間剥離は円滑に進行す
る。この層間剥離がシール層6の欠落部4に至ると、剥
離抵抗は解放される。欠落部4を過ぎた以後の開封は、
比較的弱い引き裂き破壊力を介してフランジ内縁部ある
いはフランジシール部分の最内縁部に沿って伝播的に進
行し、容易に蓋材が分離される。
【0024】上記の作用で、優れた蓋材の開封が可能に
なるが、シール層の欠落部は容器本体の初期開封部分に
あたる容器側面とフランジ内縁との境界位置に局所的に
設置されており、シール層の隣接層に達するような切り
込みとして形成されるものではないから、内圧を受けた
際にシール洩れが発生する現象が生じることもない。し
たがって、優れた開封性と密封性を同時に付与すること
ができる。
【0025】また、本発明の製造方法によれば、容器形
状に加熱成形したのち、欠落部を形成する部位の内周面
が部分的にフランジ巾より内周方向に張り出した突出部
を有し、その他の内周面がフランジ内縁と同等以内にあ
る形状のリング状抑え板を用いてフランジ面を押圧する
ことにより容易に局所的なシール層の欠落部を形成する
ことができる。このため、優れた易開封性の密閉容器を
生産性よく製造することが可能となる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0027】実施例1〜3 共押出法により作製された表1に示す組成および表2に
示す層間剥離強度を備えるの多層シートを、間接加熱式
の圧空成形機にセットされた金型上に連続的に供給して
圧空成形により容器内径(口径)64mm、高さ30mm、
フランジ巾6mm、初期開封部分のフランジ巾15mm、フ
ランジ内縁周長200 mm の丸形単一容器に成形した。
ついで、直ちにフランジ部の上部を欠落部形成部位の内
周面に長さ10mm、巾4mmの突出部を有し、その他の内
周面がフランジ巾と同一寸法のリング状抑え部材(図
9)により面圧10kg/cm2で押圧した。この押圧処理に
より、蓋材開封時における容器本体の初期開封部分にあ
たる容器側面とフランジ内縁との境界位置に、フランジ
周回方向の長さ(L) が4mmで、フランジ垂直方向の巾
(W) が2mmのシール層の欠落部を形成した。
【0028】
【表1】 〔表注〕( )内は層厚み(μ)、PP+PEの混合比率はPP
80:PE20(wt%)
【0029】
【表2】
【0030】蓋材として、容器のシール層と同一の樹脂
を用いて厚さ50μのシーラント層とし、これを延伸し
たポリアミド(厚さ30μ)をドライラミネートしたも
のを用いた。ヒートシールは、容器フランジ部のシール
層面に蓋材のシーラント層を重ね、面圧15kg/cm2
温度210℃、時間1秒の条件で2回に亘って熱封止し
た。
【0031】このようにして製造した密封容器の各50
個について蓋を開封したところ、容器本体の初期開封部
分にあたる容器側面とフランジ内縁との境界位置でピー
ル抵抗感が高まることなく、容易に開封が進行し、開封
面の状態も極めて良好であった。また、密封性テストと
して容器に内容物として水を詰め、蓋材上部から圧縮エ
アーを漏れのないように注入し内部からの耐内圧性を測
定したところ、テストを行ったすべての容器が1.2kg
/cm2 以上の内圧に耐え、優れた密封性を示すことが確
認された。
【0032】比較例1 実施例で得た容器本体のフランジ面に、フランジの最内
縁部に沿って1mm外側の位置に深さ80μの切り込みを
全周および切り込みが内縁部周長の1/10以下になる
ように初期開封部に亘って入れた。この容器本体に実施
例と同一の蓋材を同条件によりヒートシールして、密封
容器を得た。得られた密封容器について実施例と同様の
テストをおこなったところ 切り込み部の位置ずれ、ヒ
ートシールの位置ずれ等に起因するピール感不良のもの
や、耐内圧性不良のものが多数発生した。またこれらの
不良品については開封後の外観として、開口部に糸ひき
状にヒゲが発生したり、開封時にシール層が適宜に破断
されず袋状になり内容物が取り出せないものがあった。
【0033】実施例4〜5 実施例1の多層シートを用いて同様に圧空成形したの
ち、直ちに容器のフランジ部を突出部形状が相違するリ
ング状抑え板(図9)により面圧条件を変えて押圧し、
蓋材開封時における容器本体の初期開封部分にあたる容
器側面とフランジ内縁との境界位置に寸法形状の異なる
シール層の欠落部を形成した。この容器に実施例1と同
一条件で蓋材をヒートシールして密封容器を作製した。
得られた密封容器について実施例1と同様に開封性と耐
内圧性を評価し、その結果をシール層欠落部の形状寸法
と対比して表3に示した。
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば初期開封
部分にあたる容器側面とフランジ内縁との境界位置に局
所的なシール層の欠落部を形成させた構造とすることに
より、優れたシール安定性と常に円滑な開封性を兼備
し、輸送中等に外部衝撃を受けても内容物が漏れること
がない高性能の密封容器が提供される。また、本発明の
製造方法によれば前記の密封容器を簡易な操作で生産性
よく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る密封容器の全体を例示した断面図
である。
【図2】本発明に係る密封容器の全体を例示した一部切
欠斜視図である。
【図3】本発明に係る密封容器のシール層欠落部分側の
フランジ部を拡大した断面図である。
【図4】本発明に係る密封容器のシール層欠落部分側以
外のフランジ部を拡大した断面図である。
【図5】本発明に係る密封容器のシール層の欠落部分を
拡大して示した説明図である。
【図6】本発明の別の容器形態を示した斜視図である。
【図7】本発明の別の容器形態を示した斜視図である。
【図8】本発明の別の容器形態を示した斜視図である。
【図9】本発明の製造方法に用いるリング状抑え板の使
用状態を示した平面図である。
【図10】図9のA−A線に沿う断面図である。
【図11】リング状抑え板による押圧状態を示した部分拡
大断面図である。
【図12】本発明に係る密封容器の開封状況を模式的に示
したフランジ部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 容器本体 2 フランジ部 3 蓋材 4 シール層の欠落部 5 蓋材のシーラント層 6 フランジ部のシール層 7 隣接層 8 外層 9 シール部分 10 突出部 11 リング状抑え部材 12 金型

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最内層にシール層を有する2層以上の多
    層シートからなり、容器本体の開口部周縁にフランジ部
    が形成されたプラスチック製容器において、前記シール
    層と該シール層に隣接する隣接層の層間剥離強度Aが
    0.5〜2.5kg/15mm で、前記隣接層とその外層との
    層間剥離強度Bに対してB>Aの関係にあり、かつ蓋材
    開封時における容器本体の初期開封部分にあたる容器側
    面とフランジ内縁との境界位置に局所的にシール層が欠
    落し、容器の隣接層が露出したシール層の欠落部を形成
    し、フランジ部と蓋材間を容器本体のシール層と隣接層
    の層間剥離強度Aより高い接着強度にシールしてなるこ
    とを特徴とする密封容器。
  2. 【請求項2】 シール層の欠落部を、フランジ周回方向
    に2mm以上の長さ、およびフランジ垂直方向に4mm以下
    の巾になるように形成する請求項1記載の密封容器。
  3. 【請求項3】 最内層にシール層を有する2層以上の多
    層シートを連続的に金型上に供給して容器形状に加熱成
    形したのち、欠落部を形成する部位の内周面が部分的に
    フランジ巾より内周方向に張り出す突出部を有し、その
    他の内周面がフランジ内縁と同等以内にある形状のリン
    グ状抑え部材を用いて直ちに押圧して蓋材開封時におけ
    る容器本体の初期開封部分にあたる容器側面とフランジ
    内縁との境界位置に局所的にシール層の欠落部を形成
    し、形成された容器本体のフランジ部に蓋材を重ねて接
    着することを特徴とする密閉容器の製造方法。
JP06124649A 1994-05-13 1994-05-13 密封容器とその製造方法 Expired - Fee Related JP3126092B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06124649A JP3126092B2 (ja) 1994-05-13 1994-05-13 密封容器とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06124649A JP3126092B2 (ja) 1994-05-13 1994-05-13 密封容器とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07309368A JPH07309368A (ja) 1995-11-28
JP3126092B2 true JP3126092B2 (ja) 2001-01-22

Family

ID=14890638

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06124649A Expired - Fee Related JP3126092B2 (ja) 1994-05-13 1994-05-13 密封容器とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3126092B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5466982B2 (ja) * 2010-04-08 2014-04-09 出光ユニテック株式会社 容器本体およびその製造方法、並びに包装容器
JP6527722B2 (ja) * 2015-03-12 2019-06-05 出光ユニテック株式会社 容器、包装体、容器の加工方法、包装体の製造方法、および、容器の加工装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07309368A (ja) 1995-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0435638B1 (en) Easily openable sealed container and process for producing the same
EP0262652B1 (en) Easily-openable packaging container and lid for the same
JPH0457760A (ja) 易開封性容器及びその製造方法
JP6829500B2 (ja) 両面接着が可能な高周波誘導加熱容器封止体及びそれを適用したタンパー機能を有するコンパクト化粧品容器並びにそれを適用したタンパー機能のあるフリップキャップを有する容器
JP3208007B2 (ja) 易開封性密封容器
JP2575770B2 (ja) 易開封性密封容器
JP3126092B2 (ja) 密封容器とその製造方法
JP2872738B2 (ja) 易開封性容器及びその製造方法
JP3965304B2 (ja) 易開封性包装体および易開封性包装体の製造方法
JP2997127B2 (ja) 密封容器
JP2994864B2 (ja) 易開封性密封容器
JP3003393B2 (ja) 密封容器
JP3194689B2 (ja) 密封容器
JP2984464B2 (ja) 易開封性密封容器
JP2739987B2 (ja) 易開封性密封容器
JPH08164973A (ja) ピーラブルシール容器
JP2575709B2 (ja) 易開封性密封容器およびその製造方法
JP2571569B2 (ja) 容器用落し蓋を用いた易開封性密封容器
JP3040257B2 (ja) 密封容器
JP3546940B2 (ja) 密封包装体
JP2672856B2 (ja) 易開封性密封容器
JPH11171247A (ja) 易開封性密封容器及びそれに使用される容器本体の製造方法
JPH03240667A (ja) 包装体の製造方法
JP2742085B2 (ja) 易開封性密封容器
JP7259240B2 (ja) 樹脂製密閉容器

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071102

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081102

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091102

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091102

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131102

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees