JP2633041B2 - 密封容器の製造方法 - Google Patents

密封容器の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、フランジ部を有するプラスチック製のカッ
プ体と蓋材とから構成された容器において、蓋をイージ
ーオープンすることができる密封容器の製造方法に関す
る。
〔従来の技術〕
各種の食品類を包装するための容器として、蓋が容易
に開封できるイージーオープン構造のプラスチック製密
封容器が汎用されている。
従来から実用されている最も一般的なイージーオープ
ン式の構造は、蓋材のシール層を構成する樹脂の組成を
変えることによって容器フランジ部とのシール強度を適
度の範囲(通常、500〜1500g/15mm)に調整し、シール
界面をピールして開封する形態のものである(界面剥離
タイプ)。
ところが、この界面剥離タイプでは、付与するシール
強度がシール時の条件、環境温度、内容物の付着等の影
響を受け易いために目的範囲の制御が難しく、往々にし
て強弱のバラツキを発生させる欠点がある。このバラツ
キは、弱い方に偏るとシール漏れを生じ、逆に強い方に
偏るとピール性を阻害して易開封性を損ねる結果を招
く。とくにシール漏れは密封容器としての致命的な欠陥
となるため、通常、ピール性を犠牲にしてもシールの熱
圧条件を高めに設定する方策が採られている。
このような問題点を改善するため、例えば特公昭50−
37597号に記載されているように容器側のシール層とこ
れに隣接する層との間をデラミネーションすることによ
って開封する方法(層間剥離タイプ)が知られている。
しかし、通常のシール方式でこの構造を採ろうとすると
シール層部分が円滑に破断せず、内容物が取り出しにく
いという難点がある。この場合、剥離層と隣接層との切
り離しを容易にするため、フランジ部に切り込みを設け
る構造(特開昭62−251363号公報、同63−78号公報、同
63−25037号公報等)、フランジ部に剥離開始用切り欠
きと剥離停止用の切り欠きを設置した構造(特開昭63−
96060号公報)ほか多数の改良提案がなされているが、
これら構造においては耐圧性の点に問題が残されてい
る。
上記の界面剥離タイプ、層間剥離タイプのほかに、開
封時に容器−蓋間の樹脂組織を破壊させながら剥がすこ
とにより開封する凝集剥離タイプのイージーオープン方
式が知られている。
しかしながら、凝集破壊タイプの場合には容器フラン
ジ部と蓋材間における凝集力と接着力とをバランスよく
調整させないと円滑な易開封性が得られない問題点があ
り、活用度は多くない。
〔発明が解決しようとする課題〕
発明者らは、上記の層間剥離タイプの欠点を凝集剥離
機構により補うイージーオープン構造の改良化について
研究を重ねた結果、容器フランジ部の上面に蓋材と接着
しない無数の点在層を形成した状態でシールすると十分
な耐圧性を有しながら接着層間が層間剥離と凝集剥離を
介して円滑に開封し得るシール構造が形成できることを
確認した。
本発明は前記の知見に基づいて開発されたもので、安
定した高耐圧密封性を保持しながら円滑なイージーオー
プン性を備える密封容器の製造方法を提供することを目
的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するための本発明による密封容器の
製造方法は、多層シートからなる容器本体の最内層に蓋
材と接着しない物質層をラミネートし、そのフランジ部
の上面を超音波処理して前記物質層が破壊された無数の
微小凹部を形成したのち、該フランジ部に露出した隣接
層と接着性を有する蓋材をヒートシールすることを構成
上の特徴としている。
以下、本発明を図面に沿って詳細に説明する。
第1図は、本発明の製造対象となる密封容器を示した
断面図で、1は例えば真空成形、圧空成形などによって
所定の形状に成形したフランジ部2を備える容器本体、
3は容器本体1の最内層にラミネートされた非接着性物
質層、4はその隣接層、5は蓋材である。容器本体1
は、ポリプロピレン、ポリスチレン等の単体樹脂、ある
いはこれら樹脂層にエチレン酢酸ビニル共重合体けん化
物またはポリ塩化ビニリデン系樹脂のバリア層などを組
み合わせた多層シートにより構成される。また、場合に
よっては多層シートの外層や中間層に金属、紙、セラミ
ックス等の材料を積層することも可能であるが、本発明
の目的には隣接層4としてポリプロピレン層を介在させ
た多層容器が好適に使用される。
容器本体の最内層として形成される物質層3は蓋材5
に対して非接着性を有する材質で構成されるもので、蓋
材のシール層とは異質の非接着性樹脂、金属箔、セラミ
ックスあるいはこれらの複合物などから包装内容物との
関係で適宜に選択することができる。例えば、内容物が
光の透過を嫌う場合には遮光性のある金属箔が有効であ
り、内容物の長期保存性および香移性を防止するために
はポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の
樹脂類の使用が効果的となる。これら物質層は、通常、
ドライラミネートにより層形成される。
このようにして非接着性物質層を形成した容器本体1
のフランジ部2上面には超音波処理が施される。この超
音波処理には無数の突起を有するホーンと受け台を用
い、フランジ部上面における前記突起に相当する位置の
物質層が破壊されて隣接層が露出する無数の微小凹部が
形成されるような条件でおこなわれる。形成する微小凹
部の数は、1cm2当たり50〜500個/cm2の範囲とすること
が望ましい。50個/cm2未満では開封性能が向上せず、50
0個/cm2以上の加工は困難となるからである。第2図
(容器の部分平面図)および第3図(フランジ部の拡大
断面図)は超音波処理後の状態を示したもので、5は形
成された微小凹部、6は非接着物質層の残存部分であ
る。
蓋材5の材質は、少なくとも容器フランジ部と接着す
る層が非接着物質層の残存部分7とは接着しないが露出
点在する隣接層4とは接着するもので構成する。したが
って、最も好ましい態様は蓋材5のシール層が隣接層4
と同一の樹脂で構成する組み合わせである。なお、蓋材
5は前記したようなシール層を備えるものであれば単層
でも、またバリア性のよいアルミ箔やプラスチックなど
の材質を組み合わせた多層構成であってもよい。
このようにして非接着物質層面に無数の微小凹部を形
成した容器本体1のフランジ部2と露出点在する隣接層
4に接着する蓋材5を重ね合わせてヒートシールするこ
とにより本発明の密封容器が製造される。
〔作 用〕
上記した本発明のプロセスで製造されるシール構造
は、第4図に示したように蓋材5のシール層がフランジ
部2の上面に形成された微小凹部内に完全に充填してお
り、非接着性物質の残存部分7が介在する部位において
は接着せず、微小凹部6の隣接層4に接する部位では強
固に接着した独特の形態を呈する。この接着・非接着部
はシール全域に亘って無数に介在するから、密封時には
内圧、外圧に対して安定した高耐圧性をもたらし、開封
時には次のような凝集剥離と層間剥離の共働作用が発揮
される。
すなわち、開封時に蓋材5を上方に引っ張り上げると
第5図のように強固に接着する部位(A位置)では樹脂
組織を破壊し、接着しない部位(B位置)ではその形態
に沿って剥離する2態様の分離パターンが連続的に進行
する。このような、凝集剥離と層間剥離の相互補完作用
を介して最後まで抵抗感のない円滑な開封が可能とな
る。
〔実施例〕
ポリプロピレン(PP)層、エチレン酢酸ビニル共重合
体(EVA)けん化物のバリア層およびポリプロピレン(P
P)層からなる容器基材のポリプロピレン層を隣接層と
し、その面に蓋材との非接着物質層として厚さ16μのポ
リエチレンテレフタレート(PET)層をドライラミネー
トした。この多層シートを真空成形して非接着物質層が
最内層を形成する内径65mm、フランジ部外径75mm、高さ
25mmの容器本体を作製した。
ついで、フランジ部の上面に突起数が256個/cm2の多
突起状超音波ホーンを当てて超音波処理をおこない、全
域に無数の微小凹部を形成した。超音波処理の条件は、
加圧力450KPa、時間0.4秒とした。この超音波処理によ
り、微小凹部が形成された位置のポリエチレンテレフタ
レート層(非接着物質層)は破壊されて連接層が露出
し、表面に微細な非接着物質層の残存部分が無数に点在
する形態が形成された。
蓋材として、容器の隣接層と同一のポリプロピレン
(PP)をシール層とし、これを6−6ナイロン(厚さ25
μ)とドライラミネートしたものを用いた。
容器のフランジ部の上面に蓋材のシール層を重ね、面
圧2kg/cm2、温度190℃、時間1.5秒の条件で2回に亘っ
てヒートシールした。
このようにして製造した20個の密封容器につき蓋を開
封したところ、全ての容器が抵抗のないピール感で最後
まで円滑に蓋が開口分離し、開封面の状態も良好であっ
た。
また、蓋材の中央に粘着性のゴム板(厚さ1.5mm)を
貼りつけ、注射針を差込んで2cc/秒の速度で空気を圧入
した際のパンク圧を測定したところ、平均パンク圧は0.
8kg/cm2、バラツキ巾0.2kg/cm2で安定した耐圧密封性を
示した。
〔発明の効果〕
以上のとおり、本発明によれば上面に蓋材と接着しな
い部分が無数に点在するフランジ部と蓋材とをシールす
ることにより、常に安定した高耐圧密封性を保持しなが
ら円滑なピール感で容易に蓋を開封することができる層
間・凝集剥離機構によるシール構造の形成化が可能とな
る。
したがって、あらゆる種類の食品類を包装するために
有効な高品質の易開封性密封容器が能率よく製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製造対象となる密封容器を示した断面
図、第2図は容器の部分平面図、第3図はフランジ部分
の拡大断面図、第4図は蓋材をシールした状態を示した
フランジ部分の拡大断面図、第5図は蓋を開封する状態
を示したフランジ部分の拡大断面図である。 1……容器本体、2……フランジ部 3……非接着性物質層、4……隣接層 5……蓋材、6……微小凹部 7……非接着物質層の残存部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−200561(JP,A) 特開 昭51−115181(JP,A) 実開 平3−120466(JP,U) 実開 昭57−131408(JP,U) 実開 昭56−59556(JP,U) 実開 昭60−146077(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多層シートからなる容器本体の最内層に蓋
    材と接着しない物質層をラミネートし、そのフランジ部
    の上面を超音波処理して前記物質層が破壊された無数の
    微小凹部を形成したのち、該フランジ部に露出した隣接
    層と接着性を有する蓋材をヒートシールすることを特徴
    とする密封容器の製造方法。
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