JP2021062822A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低転がり抵抗性、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および耐摩耗性を従来レベル以上に改良した空気入りタイヤを提供する。【解決手段】タイヤ径方向外側に配置されたキャップトレッド10aおよびその径方向内側に配置されたアンダートレッド10bからなるトレッド部を有し、該トレッド部の径方向内側にベルト層8を有し、前記ベルト層の厚みGbが0.9mm以上1.2mm以下、前記キャップトレッドの厚みGc(mm)との比Gc/Gbが7.0以下であり、前記キャップトレッドを構成するゴム組成物が、水添率70%以上の水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を80〜100質量%含有するゴム成分からなることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、低転がり抵抗性、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および耐摩耗性に優れた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは操縦安定性、低燃費性および耐久性に優れることが求められ、タイヤを構成するゴム組成物には、高硬度、ウェットグリップ性能、低発熱性および耐摩耗性に優れることが求められる。しかし、タイヤ用ゴム組成物に求められるこれらの要求性能は、トレードオフの関係になり、これら性能を高いレベルで兼備することは困難であった。
特許文献1は、水添共重合体を含むゴム成分およびレジンからなるゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤが、良好な低転がり抵抗性、耐摩耗性およびウェットグリップ性能を有すると記載する。しかし、この空気入りタイヤは、低転がり抵抗性を改良するレベルが必ずしも十分ではなく、またドライグリップ性能が十分に得られないという課題があった。
国際公開WO2016/039008号
本発明の目的は、低転がり抵抗性、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および耐摩耗性を従来レベル以上に改良した空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、タイヤ径方向外側に配置されたキャップトレッドおよびその径方向内側に配置されたアンダートレッドからなるトレッド部を有し、該トレッド部の径方向内側にベルト層を有する空気入りタイヤであって、前記ベルト層の厚みGbが0.9mm以上1.2mm以下、前記キャップトレッドの厚みGc(mm)との比Gc/Gbが7.0以下であり、前記キャップトレッドを構成するゴム組成物が、水添率70%以上の水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を80〜100質量%含有するゴム成分からなることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤは、ベルト層の厚みGbを0.9mm以上1.2mm以下、キャップトレッドの厚みGc(mm)との比Gc/Gbを7.0以下にし、キャップトレッドを構成するゴム組成物が、水添率70%以上の水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を80〜100質量%含有するゴム成分からなるようにしたので、低転がり抵抗性、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および耐摩耗性を従来レベル以上に向上することができる。
前記キャップトレッドを構成するゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対し、シリカを50〜150質量部することにより、低転がり抵抗性およびウェットグリップ性能をより優れたものにすることができる。また前記シリカのCTAB吸着比表面積を180m/g以上にすることにより、耐摩耗性をより優れたものにすることができる。
図1は、本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例を示すタイヤ子午線方向の断面図である。
図1は、空気入りタイヤの実施形態の一例を示す断面図である。空気入りタイヤは、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3からなる。
図1において、左右のビード部3間にタイヤ径方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のカーカス層4が延設され、その両端部がビード部3に埋設したビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ軸方向内側から外側に折り返されている。カーカス層4の内側にはインナーライナー層7が配置されている。トレッド部1のカーカス層4の外周側には、タイヤ周方向に傾斜して延在する補強コードをタイヤ軸方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のベルト層8が配設されている。この2層のベルト層8の補強コードは層間でタイヤ周方向に対する傾斜方向を互いに逆向きにして交差している。ベルト層8の外周側には、ベルトカバー層9が配置されている。このベルトカバー層9の外周側に、トレッド部1が配置され、トレッド部1は、キャップトレッド10aおよびアンダートレッド10bからなる
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部10を有し、このトレッド部10の径方向内側にベルト層8を有する。トレッド部10は、タイヤ径方向外側に配置されたキャップトレッド10aと、キャップトレッド10aの径方向内側に配置されたアンダートレッド10bとからなる。本明細書において、キャップトレッド10aの厚みをGc(mm)、アンダートレッド10bの厚みをGu(mm)、ベルト層8の厚みをGb(mm)とする。また、キャップトレッド10aはキャップトレッド用ゴム組成物からなる。空気入りタイヤは、キャップトレッド用ゴム組成物を特定し、かつ、ベルト層の厚みGb、およびキャップトレッドの厚みGcとベルト層の厚みGbの比Gc/Gbを特定することにより、低転がり抵抗性、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および耐摩耗性を従来レベル以上に向上することができる。
ベルト層8の厚みGbは、0.9mm以上1.2mm以下、好ましくは0.9mm以上1.1mm以下である。ベルト層8の厚みGbを0.9mm以上にすることにより、耐摩耗性能が向上する。また、1.2mm以下にすることにより、転がり抵抗が小さくなる。ここで、ベルト層8の厚みGbは、補強コードをゴム層に埋設した2層の全体の厚さであり、代表的にはタイヤ幅方向中央部に相当する部分の厚さである。なお、タイヤ幅方向中央部に周方向溝が配置されているとき、中央部に近い陸部に相当する部分の厚さにすることができる。
キャップトレッド10aの厚みGcは、ベルト層8の厚みGbとの比Gc/Gbが7.0以下、好ましくは5.0〜6.5になるように決められる。厚さの比Gc/Gbを7.0以下にすることにより、キャップトレッド10aの厚みGcを薄くすることができ、転がり抵抗を小さくし、ドライグリップ性能を改良することができる。また、空気入りタイヤを軽くし、燃費性能を向上することができる。キャップトレッド10aの厚みGcは、トレッドの溝やサイプが配置されていない陸部の厚さとする。
キャップトレッド10aの厚みGc、アンダートレッド10bの厚みをGuおよびベルト層8の厚みGbの合計(Gc+Gu+Gb)は、特に限定されるものではないが、好ましくは5〜9mm、より好ましくは6〜8mmであるとよい。トレッドおよびベルト層の厚さの合計(Gc+Gu+Gb)を10mm以下にすることにより、空気入りタイヤを軽くし、燃費性能を向上することができる。また、走行時におけるタイヤの発熱を抑制するので、高速耐久性を改良することができる。
キャップトレッド10aを構成するゴム組成物、すなわちキャップトレッド用ゴム組成物は、水添率70%以上の水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を80〜100質量%含有するゴム成分からなる。水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は、芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合したランダム共重合体の共役ジエン部が水素添加された水添共重合体である。芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。なかでもスチレンが好ましい。これらは単独でも、2種以上の組み合わせでもよい。
共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。なかでも1,3−ブタジエンが好ましい。これらは単独でも、2種以上の組み合わせでもよい。
芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物のランダム共重合体としては、スチレン及び1,3−ブタジエンの共重合体(スチレンブタジエン共重合体)が好ましい。したがって、水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体としては、水添スチレンブタジエン共重合体が好ましい。
芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は、モノマーとして、芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物や任意に他の共重合性モノマーを用いた重合を行うことにより製造することができる。ここで、重合法としては、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれを用いてもよいが、溶液重合法が特に好ましい。また、重合形式としては、回分式及び連続式のいずれを用いてもよい。本明細書において、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体および水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は、特許文献1に記載された方法に基づき製造することができる。
溶液重合法を用いる場合、具体的な重合方法の一例としては、有機溶媒中において、共
役ジエン化合物を含むモノマーを、重合開始剤及び必要に応じて用いられるランダマイザ
ーの存在下、アニオン重合を行う方法が挙げられる。
上記により得られた芳香族ビニル−共役ジエン重合体は、任意にその活性末端と、シリカと相互作用する官能基を有する化合物とを反応させることにより、芳香族ビニル−共役ジエン重合体の重合終了末端に、シリカと相互作用する官能基を導入することができる。芳香族ビニル−共役ジエン重合体の活性末端は、分子鎖の端に存在する、炭素−炭素二重結合を有するモノマーに由来する構造以外の部分を意味する。
水添芳香族ビニル−共役ジエン重合体は、上記で得られた芳香族ビニル−共役ジエン重合体を水素添加(水添)して得られる。水添反応の方法及び条件は、所望の水添率の重合体が得られるのであれば、特に制限されるものではない。それらの水添方法の例としては、チタンの有機金属化合物を主成分とする触媒を水添触媒として使用する方法、鉄、ニッケル、コバルトの有機化合物とアルキルアルミニウム等の有機金属化合物からなる触媒を使用する方法、ルテニウム、ロジウム等の有機金属化合物の有機錯体を使用する方法、パラジウム、白金、ルテニウム、コバルト、ニッケル等の金属を、カーボン、シリカ、アルミナ等の担体に担持した触媒を使用する方法などがある。各種の方法の中では、チタンの有機金属化合物単独、またはそれとリチウム、マグネシウム、アルミニウムの有機金属化合物とから成る均一触媒(特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報)を用い、低圧、低温の穏和な条件で水添する方法は工業的に好ましく、また共役ジエン化合物の二重結合への水添選択性も高く本発明の目的に適している。
水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は、その水素添加率(本明細書において「水添率」と略記することがある。)が70%以上、好ましくは80〜99%、より好ましくは90〜98%、さらに好ましくは93〜98%である。水添率が70%未満であると、耐摩耗性を向上することができない。また水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の水添率は、架橋性を付与するため100%未満である。なお、水添率は、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が有する炭素−炭素二重結合部の合計を100%としたとき、水素添加された炭素−炭素結合部の百分率(%)をいう。なお、水素添加率は、H−NMRを測定して得られたスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少率から計算することができる。
水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは200,000以上、より好ましくは400,000以上である。重量平均分子量が200,000未満では、良好な耐摩耗性が得られない虞がある。また、水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の重量平均分子量は、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下であり、更に好ましくは700,000以下である。重量平均分子量が2,000,000を超えると、加工性が低下する傾向がある。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値から標準ポリスチレン換算により求めることができる。
水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が水添スチレンブタジエン共重合体である場合、水添スチレンブタジエン共重合体のスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、特に好ましくは20質量%以上であり、最も好ましくは25質量%以上である。スチレン含有量が5質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られない虞がある。また、水添スチレンブタジエン共重合体のスチレン含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。スチレン含有量が40質量%を超えると、充分な耐摩耗性が得られず、低燃費性も悪化する虞がある。なお、スチレン含有量は、H−NMRにより測定することができる。
キャップトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中、水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を80〜100質量%、好ましくは85〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%含有する。水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が80質量%未満であると、耐摩耗性および低転がり抵抗性を十分に改良することができない。
キャップトレッド用ゴム組成物は、水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体以外の他のゴム成分を含有することができる。他のゴム成分として、例えばエポキシ化天然ゴム、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)のようなハロゲン化ジエン系ゴム、芳香族ビニル−共役ジエン−アルケン共重合体等のその分子鎖の末端および/または側鎖がハロゲン原子、エポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アミド基等により、変性された変性ジエン系ゴムや、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリシクロアルケン等を例示することができる。なかでもEPDM、エポキシ化天然ゴム、Br−IIRが好ましい。更に例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)等を含有してもよい。
他のゴム成分は、ゴム成分100質量%中20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下含有することができる。他のゴム成分が20質量%を超えると、耐摩耗性および低転がり抵抗性を十分に改良することができない。
キャップトレッド用ゴム組成物は、カーボンブラックおよび/またはシリカを配合することができる。とりわけ、シリカを配合することにより、低転がり抵抗性およびウェットグリップ性能をより優れたものにすることができ好ましい。カーボンブラックおよび/またはシリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対し、カーボンブラックおよびシリカの合計で好ましくは50〜150質量部、より好ましくは60〜140質量部、更に好ましくは70〜120質量部であるとよい。カーボンブラックおよびシリカの配合量を50質量部以上にすることによりゴム組成物の耐摩耗性を向上することができる。またカーボンブラックおよびシリカの配合量を150質量部以下にすることにより、ゴム組成物の発熱性を小さくすることができる。またタイヤにしたとき重量の増加を抑制することができる。キャップトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、シリカを50〜150質量部配合してなること
本発明においてカーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、HMF、SRF等のファーネスカーボンブラックが挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは70〜240m/g、より好ましくは90〜200m/gであるとよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積を70m/g以上にすることにより、耐摩耗性を確保することができる。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積を240m/g以下にすることにより、加工性を確保することができる。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2に準拠して、測定するものとする。
シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは150m/g以上、より好ましくは180m/g以上、さらに好ましくは180〜260m/g、特に好ましくは190〜240m/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を180m/g以上にすることにより、耐摩耗性を向上することができる。またシリカのCTAB吸着比表面積を260m/g以下にすることにより、ウェット性能および低転がり抵抗性を良好にすることができる。本明細書において、シリカのCTAB比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
本発明では、シリカと共にシランカップリング剤を配合するとよい。シランカップリング剤を配合することにより、ゴム成分に対するシリカの分散性を向上し、耐摩耗性、低転がり抵抗性、ウェットグリップ性能およびドライグリップ性能のバランスをより高くすることができる。
シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカの重量に対し、好ましくは3〜15質量%を配合すると良く、より好ましくは5〜10質量%にすると良い。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の3質量%未満であるとシリカの分散を十分に改良することができない虞がある。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の15質量%を超えるとシランカップリング剤同士が縮合し、ゴム組成物における所望の硬度や強度を得ることができない。
キャップトレッド用ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。キャップトレッド用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
空気入りタイヤのアンダートレッドおよびベルト層をそれぞれ構成するゴム組成物は、特に制限されるものではなく、通常用いられるアンダートレッド用ゴム組成物およびベルト用ゴム組成物を適用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表3に記載されたゴム組成物の共通組成を有し、表1〜2に記載の原材料を配合した22種類のキャップトレッド用ゴム組成物(実施例1〜10、標準例、比較例1〜11)を調製するにあたり、硫黄、および加硫促進剤を除く成分を1.7Lのバンバリーミキサーで5分間混練し、145℃に達したとき放出し冷却しマスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄、および加硫促進剤を加えて70℃のオープンロールで混練することにより、22種類のタイヤ用ゴム組成物を得た。また表3に記載の各添加剤の配合量は、表1〜2に記載のゴム成分100質量部に対する質量部として表されている。
得られたキャップトレッド用ゴム組成物を用いてキャップトレッドを構成し、表1〜2に示すように、ベルト層の厚みGb(mm)、キャップトレッドとベルト層の厚みの比Gc/Gb(−)およびキャップトレッドとアンダートレッドとベルト層の厚みの合計Gc+Gu+Gb(mm)を有する空気入りタイヤ(サイズ195/65R15)を加硫成形した。得られた空気入りタイヤを用いて以下の方法により、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および低転がり抵抗性を評価した。
耐摩耗性
空気入りタイヤを、リムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとして試験車両に装着し、乾燥路面を1万km走行した後の溝深さを測定することにより、耐摩耗性を測定した。得られた値は、標準例の値を100とする指数として、表1〜2の「耐摩耗性」の欄に記載した。この指数が大きいほど、耐摩耗性が優れることを意味する。
ウェットグリップ性能
空気入りタイヤを、リムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとして試験車両に装着し、湿潤路面において時速80kmからの制動距離を測定した。得られた値はそれぞれ逆数を算出し、得られた値は、標準例の逆数の値を100とする指数として、表1〜2の「ウェット性能」の欄に記載した。この指数が大きいほど、ウェットグリップ性能が優れることを意味する。
ドライグリップ性能
空気入りタイヤを、リムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとして試験車両に装着し、乾燥路面において時速80kmからの制動距離を測定した。得られた値はそれぞれ逆数を算出し、得られた値は、標準例の逆数の値を100とする指数として、表1〜2の「ドライ性能」の欄に記載した。この指数が大きいほど、ドライグリップ性能が優れることを意味する。
低転がり抵抗性
空気入りタイヤを、リムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとして、JIS D4230に準拠する室内ドラム試験機(ドラム径1707mm)にかけて、試験荷重30N、速度40km/時の抵抗力を測定し、転がり抵抗とした。得られた値の逆数を算出し、標準例の値の逆数を100とする指数として、表1〜2の「低転がり抵抗性」の欄に記載した。この指数が大きいほど、低転がり抵抗性が優れることを意味する。
Figure 2021062822
Figure 2021062822
なお、表1〜2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・水添SBR−1:水添率が80%の水添スチレンブタジエン共重合体、以下の製造方法により調製した。
水添SBR−1の製造方法
窒素置換された内容量10Lのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン4533g、スチレン367.8g(3.531mol)、ブタジエン714.0g(13.119mol)およびN,N,N′,N′―テトラメチルエチレンジアミン0.432mL(2.901mmol)を仕込み、攪拌を開始した。反応容器内の内容物の温度を50℃にした後、n−ブチルリチウム3.509mL(5.509mmol)を添加した。重合転化率がほぼ100%に到達した後、さらにブタジエン12.0gを添加して5分間反応させた後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.5gを添加し、30分間反応させた。
次いで、反応液を80℃以上にして系内に水素を導入した。
次いで、チタノセンジクロライドを主体とする触媒0.70g、ジエチルアルミニウムクロライド1.2gおよびn−ブチルリチウム0.30gを加え、水素圧1.0MPaを保つように反応させた。所定の水素積算流量に到達後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、重合溶液を得た。中和後、スチームストリッピング法により固体状のゴムを回収した。得られた固体ゴムをロールにより脱水し、乾燥機中で乾燥を行い、水添SBRを得た。そのスチレン量は34質量%、重量平均分子量は340,000および水添率は80%であった。
・水添SBR−2:水添率が60%の水添スチレンブタジエン共重合体、以下の製造方法により調製した。
水添SBR−2の製造方法
窒素置換された内容量10Lのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン4533g、スチレン367.8g(3.531mol)、ブタジエン714.0g(13.119mol)およびN,N,N′,N′―テトラメチルエチレンジアミン0.432mL(2.901mmol)を仕込み、攪拌を開始した。反応容器内の内容物の温度を50℃にした後、n−ブチルリチウム3.509mL(5.509mmol)を添加した。重合転化率がほぼ100%に到達した後、さらにブタジエン12.0gを添加して5分間反応させた後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.5gを添加し、30分間反応させた。
次いで、反応液を80℃以上にして系内に水素を導入した。
次いで、チタノセンジクロライドを主体とする触媒0.70g、ジエチルアルミニウムクロライド1.2gおよびn−ブチルリチウム0.30gを加え、水素圧1.0MPaを保つように反応させた。所定の水素積算流量に到達後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、重合溶液を得た。中和後、スチームストリッピング法により固体状のゴムを回収した。得られた固体ゴムをロールにより脱水し、乾燥機中で乾燥を行い、水添SBRを得た。そのスチレン量は34質量%、重量平均分子量は340,000および水添率は60%であった。
・水添SBR−3:水添率が40%の水添スチレンブタジエン共重合体、以下の製造方法により調製した。
水添SBR−3の製造方法
窒素置換された内容量10Lのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン4533g、スチレン367.8g(3.531mol)、ブタジエン714.0g(13.119mol)およびN,N,N′,N′―テトラメチルエチレンジアミン0.432mL(2.901mmol)を仕込み、攪拌を開始した。反応容器内の内容物の温度を50℃にした後、n−ブチルリチウム3.509mL(5.509mmol)を添加した。重合転化率がほぼ100%に到達した後、さらにブタジエン12.0gを添加して5分間反応させた後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.5gを添加し、30分間反応させた。
次いで、反応液を80℃以上にして系内に水素を導入した。
次いで、チタノセンジクロライドを主体とする触媒0.70g、ジエチルアルミニウムクロライド1.2gおよびn−ブチルリチウム0.30gを加え、水素圧1.0MPaを保つように反応させた。所定の水素積算流量に到達後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、重合溶液を得た。中和後、スチームストリッピング法により固体状のゴムを回収した。得られた固体ゴムをロールにより脱水し、乾燥機中で乾燥を行い、水添SBRを得た。そのスチレン量は34質量%、重量平均分子量は340,000および水添率は40%であった。
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220
・カーボンブラック:ISAFグレード、CABOT社製
・シリカ−1:Evonik社製ZEOSIL 1165MP、CTAB吸着比表面積が160m/g
・シリカ−2:Evonik社製ZEOSIL 200MP、CTAB吸着比表面積が200m/g
・カップリング剤:シランカップリング剤、Evonik社製Si69
Figure 2021062822
なお、表3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
・亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤:Solutia社製SANTOFLEX 6PPD
・プロセスオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト 4号S
・硫黄:細井化学工業社製油処理硫黄、硫黄含有率が95質量%
・加硫促進剤−1:大内新興化学工業(株)製ノクセラー CZ−G(CBS)
・加硫促進剤−2:大内新興化学工業(株)製ノクセラー D(DPG)
表1〜2から明らかなように実施例1〜10の空気入りタイヤは、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および低転がり抵抗性が、標準例および比較例に対し優れていることが確認された。
比較例1,2の空気入りタイヤは、水添スチレンブタジエン共重合体の水添率が70%未満であるので、耐摩耗性が劣る。
比較例3,4の空気入りタイヤは、水添スチレンブタジエン共重合体の水添率が70%未満であることに加え、キャップトレッドとベルト層の厚みの比Gc/Gbが7.0を超えるので、耐摩耗性に加え、ドライグリップ性能および低転がり抵抗性が劣る。
比較例5,6の空気入りタイヤは、水添スチレンブタジエン共重合体の水添率が70%未満であることに加え、ベルト層の厚みのGbが1.2mmを超えるので、耐摩耗性に加え、低転がり抵抗性が劣る。
比較例7の空気入りタイヤは、キャップトレッドとベルト層の厚みの比Gc/Gbが7.0を超えるので、ドライグリップ性能および低転がり抵抗性が劣る。
比較例8,10の空気入りタイヤは、ベルト層の厚みのGbが1.2mmを超えるので、ドライグリップ性能が劣る。
比較例9,11の空気入りタイヤは、キャップトレッドとベルト層の厚みの比Gc/Gbが7.0を超えるので、ドライグリップ性能および低転がり抵抗性が劣る。

Claims (3)

  1. タイヤ径方向外側に配置されたキャップトレッドおよびその径方向内側に配置されたアンダートレッドからなるトレッド部を有し、該トレッド部の径方向内側にベルト層を有する空気入りタイヤであって、
    前記ベルト層の厚みGbが0.9mm以上1.2mm以下、前記キャップトレッドの厚みGc(mm)との比Gc/Gbが7.0以下であり、
    前記キャップトレッドを構成するゴム組成物が、水添率70%以上の水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を80〜100質量%含有するゴム成分からなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記キャップトレッドを構成するゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対し、シリカを50〜150質量部配合してなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記シリカのCTAB吸着比表面積が180m/g以上であることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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