以下に定義された用語については、請求項や明細書の他の箇所で異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
全ての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、用語「約」によって修飾されているものとする。「約」という用語は、一般に、当業者が示された値と等価であると考える(すなわち、同じまたは類似の機能/結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数字を含むことができる。
両端点による数値範囲への言及は、その範囲内の全ての数を含む(例えば、1〜5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」には、その内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象が含まれる。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、「または」という用語は、その内容が明確に別途規定しない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用される。
様々な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図面は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、選択要素の相対的なスケールは明瞭化のために誇張されており、同様の構造または機能の要素は図面全体にわたって同じ参照番号で表されている。図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図しており、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ規定される本発明の包括的な説明または本発明の範囲に対する限定を意図するものではない。加えて、例示された実施形態は、示された全ての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明された態様または利点は、その実施形態に必ずしも限定されず、そのように示されていなくても他の実施形態として実施され得る。
図1は、ヒトの患者の頭部100を示す概略図である。患者の頭部の各側において、下錐体静脈洞(IPS)102が、海綿静脈洞(CS)104を頸静脈106および/または頸部球108に接続している。明確のために、本書で用いる頭字語「IPS」は、一般には下錐体静脈洞をいい、より一般的には下錐体静脈洞の内部空間(または管腔)をいう。IPS102は、静脈血の頸静脈106への排出を容易にする。いくつかの患者では、IPS102と頸静脈106との合流が頸部球108内で生じる。しかし、他の患者では、この合流は頸静脈106の他の場所で生じる。さらに、図1のIPS102は単一経路の洞であるが、一部の患者では、IPSは、CSを頸静脈106および/または頸部球108に接続する個別の複数チャネルの叢であり得る(図示せず)。
開示された発明の実施形態は、植込み型シャントデバイスを介して、クモ膜下の空間116から、頸部球108、頸静脈106(図1,2A−B)、および/または上大静脈−右心房の接合部(図示せず)内へと、CSFを流すための導管を提供する、CSFが充填されたCP角槽138にアクセスするためのIPS102内の標的穿通部位に関して説明される。本書記載の送達アセンブリおよびシャントは、患者の静脈アクセス部位を介してIPS102内の標的穿通部位にアクセスすることができる。本書記載の送達アセンブリおよびシャントは、標的部位へのシャントの送達および移植のために、硬膜IPS壁114およびクモ膜層115を貫通して、上錐体静脈洞(SPS)122(図1)内からCP角槽138にアクセスすることができる。硬膜IPS壁114は、本明細書では、単にIPS壁114とも呼ばれる。SPSは、S字状の洞(頸部球108の遠位に位置)から海綿静脈洞104(図1)へと接続する小径の静脈洞である。さらに、本書記載の送達アセンブリおよびシャントは、IPS102を通して海綿静脈洞104内に前進させ、海綿静脈洞104の上部または屋根部に、図1に示すCSPが充填された鞍上槽(suprasellar cistern)148にアクセスするための吻合(図示せず)を形成して、このような標的部位へのシャント移植を行うことができる。標的部位へアクセスするための穿孔、シャントの展開および移植が、SPSの管孔または海面静脈洞のどちらからクモ膜下腔のCSFにアクセスする場合でも、本書記載の本発明の実施形態は、クモ膜下腔から頸部球108、頸静脈106および/または上大静脈−右心房の接合部(図示せず)内へとCSFを流出させるための導管を提供することができる。
図2Aは、IPS102、頸静脈106、および頸部球108を含む頭部100の部分断面図である。さらに、脳底動脈110、脳幹112、軟膜112a、およびIPS壁114も、図2Aに示されている。IPSは、比較的小径の頭蓋内静脈洞であり、脳静脈血の頸静脈への排液を促す。このIPSは、図2Aに示すIPS壁114の部分の厚さが典型的には約0.9mm〜1.1mmの硬膜の円筒状の層によって形成され、これにより血液が流れる中空管腔が構成される。図2Aの断面図において、別ウィンドウ(タブ)の大きな表示で見る図2Aに示すように、IPSの中空管腔は、上部IPS壁114と、これも硬膜からなる下部IPS壁117との間に存在し、IPS自体は、図2AのIPS壁117の下の斜台骨(clivusbone)(図示せず)の骨の溝またはチャネルに延在する。
図2Aに示される面と直行するIPS102の断面によると、IPS102を形成する硬膜の筒状の層は、その周囲の約270°が骨で取り囲まれ、IPS周囲の残りの部分(すなわち、図2A−BのIPS壁114)はクモ膜物質115によって覆われ、CP角槽138に面している。クモ膜物質115(本明細書ではクモ膜層とも呼ばれる)は、繊細で無血管の層であり、典型的には約0.05mmから0.15mmの厚さで、IPS壁114の外側を含む硬膜と直接接触しており、このクモ膜層115は、CSFで満たされたクモ膜下腔116(例えば、CP角槽138)によって脳幹112を取り囲む軟膜から隔てられている。IPS壁114と反対側のIPS102の下部は、斜台骨(図示せず)のチャネルに収まった硬膜によって形成されるIPS壁117である。
開示された発明の実施形態では、方法および装置は、中空のIPS102内から穿刺または貫通させてIPS壁114の硬膜を通し、そのままCSFで満たされたクモ膜下腔116(例えばCP角槽138)に達するまでクモ膜層115を貫通し続けることによって血管内アプローチを介して吻合を生成するように構成される。IPS壁114を覆うクモ膜物質115が存在するが、説明の容易のために、特定の図には示されていないことを理解されたい。
IPS102の直径d1は約3mmであるが、約0.5mm〜約6mmの範囲であってもよい。図2Aに示すように、図2Aに示すように、IPS102と、頸部球108および/または頸静脈106との間の接合部118では、IPS102の直径d2が狭くなり得る。例えば、d2は約2mmであるが、約0.5mmまで小さくてもよい。頸静脈106との接合部118から海綿静脈洞104(図1に示す)までのIPS102の長さは、およそ3.5cm〜4cmの範囲内である。
多くの患者において、IPS102は、頸部球108の下側の、図2Bに接合部118として示されている位置で頸静脈106と連結されている。IPS102は、図2Cに示す第1の湾曲部分102Aを通って吻側に湾曲しながら、9番目の脳神経111Aおよび頚部結節(図示せず)を通り越して、頸静脈106の内側壁の接合部118から遠位方向に延び、その後、接続点111Bで海綿静脈洞(CS)104に接続する前に、図2Cに示す第2の湾曲部分102Bを通ってさらに上方に湾曲する。IPS102は、当該IPS102がCS104に接続するまで、第1の湾曲部分102Aおよび第2の湾曲部分102Bの約45°〜100°の湾曲部分を通って接合部118から遠位方向に延在する。CSFが充填されたCP角槽138は、IPS102の湾曲部分のすぐ後ろのわずかに上にある。
CP角槽138の解剖学的特徴は、本書でさらに説明するように、穿通要素およびシャント遠位部アンカー機構を収容するための、非閉塞の大きな、CSFが充填されたクモ膜下腔を提供する。図2Cは、CP角槽138の一部と、患者の右IPS102Rおよび左IPS102Lに対するこの槽の相対的近接度を示す。CP角槽138よりもCSF空間の方が小さいが、図に示す槽の側方の境界を越えて、CSFで充填されたクモ膜下腔は頭蓋骨の基部の周りに円周方向に連続している。CP角槽138は、頭蓋骨基部と脳幹の間(図示しないが、例えば、後頭骨と蝶形骨の前部と脳幹との間)に、図2CにD1でラベルされた深さの自由なCSF空間を有する。CP角槽138はまた、図2Cに示す、頭蓋骨の基部に沿って延びる(図示しないが、頚部の孔から上方に延びる)自由なCSF空間の高さH1を有する。CP角槽138はさらに、図2Cに示す、自由空間の幅W1(例えば、図示しないが、左右の頸部孔の間に横方向に伸びる自由なCSF空間の大きさ)を有する。CP角槽138は、例示的な深さD1、高さH1、および幅W1の寸法によって規定されるように、比較的大きな体積のCSFを有する。図2Dは、図2Cに示された同じ患者の解剖学的構造の代替図を示し、ここでは左IPS102Lの槽のD1の寸法部分が視野によって不明瞭となっている。
図1、図2Cに示すように、ほとんどの患者は、2つのIPS102と、2つの頸静脈106を有する(左右)。非常に小さなパーセンテージの患者(例えば、1%未満)において、1つのIPSと対応する頸静脈との間に接続がない。しかしながら、どの患者でも、左右のIPSの両方で対応する頸静脈との接続がない可能性は非常に低い。
クモ膜下腔は、CSFが溜まる軟膜とクモ膜層との間の自然発生の間隙である。典型的には、CSFは、クモ膜顆粒によって大脳半球の上のクモ膜下腔に、次に静脈系に移される。図2Aのクモ膜下腔116は、CSFのリザーバとして機能する小脳窩(CP)角槽138に対応する。脳水腫患者では、(他の槽および脳室に加えて)CP角槽138内へのCSFの蓄積は、例えば、患者のクモ膜顆粒が適切に機能していない場合に起こり得る。過剰なCSFが除去されない場合、結果として生じる過剰な頭蓋内圧が、頭痛、神経学的機能不全、昏睡、さらには死亡などの症状につながる可能性がある。
図3A−Jは、開示された発明の実施形態による例示的なアンカー700を示す。アンカー700は、近位部分740、中間部分または本体部分730、遠位部分720(図3A)、およびそれらの間に延びる管腔750(図3A−B)を具える。図3A、3C、3E、3Fの近位部分740は、斜めまたは先細の近位区画742を具える。アンカー700はさらに、近位部分740および/または、傾め/先細の近位区画742に連結された細長いガイド部材780を具える。図3A、3C、および3Fに示すように、テーパが近位部分740および細長いガイド部材780の底部に移行するにつれて、斜め/先細の近位区画742はオフセットされている。あるいは、図3E、3Hのように、斜め/先細の近位区画742は対称であり、中央に配置された細長いガイド部材780を有してもよい。さらに、アンカー700の遠位部分720は、図3Fに示すように、傾め/先細の遠位区画742を含んでもよい。アンカー700の近位部分740および遠位部分720は、様々な適切な角度で先細になってもよい。アンカー700の近位部分740は、細長いガイド部材780(例えば、図3E、3H)に直接的または間接的に連結された支柱または複数のストラット712を具えてもよい。代替実施例では、アンカー700の近位部分740および遠位部分720は、図3Gに示すように、約90°の角度で(すなわち、先細らずに)終端している。
アンカー700は、白金、Nitinol(登録商標)、金または他の生体適合性金属および/またはポリマー材料、例えばシリコン、またはこれらの組み合わせなどの適切な材料で構成することができる。いくつかの実施形態では、アンカー700は、磁気共鳴映像法に適合し、既知のイメージング技術を使用可能にするのに十分な放射線不透過性を有する材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンカー700は、形状記憶、自己拡張可能で生体適合性の材料、例えばNitinol(登録商標)、または他の超弾性合金、ステンレス鋼またはコバルトクロムから構成され、ステント状構成を含んでもよい。他の実施形態では、アンカー700は、管状プロテーゼ、フローダイバータ、凝固レトリーバーなどのような他の適切な構成を含んでもよい。あるいは、アンカー700は、マグネシウム、亜鉛または他の生体吸収性または溶解性成分から構成することができる。
アンカー700は、平らなシート、管状部材、または記載された材料の他の適切な構成を、図3A、3C−Hに示すような、複数のセル714を有する開放または閉鎖したセルパターンを形成する相互接続ストラット712へとレーザカッティングすることによって形成することができる。複数のセル714を画定する複数のストラット712を有するアンカー700の例示的な独立気泡パターンの詳細な部分を、図3I−Jに示す。アンカー700の閉鎖(または開放)セルパターンを形成するために、エッチングといった他の適切な技術を用いたり、一緒に編組、織り、または連結された複数のワイヤ(図示せず)を有するようにしてもよい。アンカー700はさらに、半径方向に畳まれた送達構成と、半径方向に拡張した展開構成を有する。展開構成では、アンカー700は半径方向に拡張して、IPS102またはCS104内に自身を固定するように構成される。アンカー700は、半径方向に拡張された構成(図3C)において、約2mm乃至約20mmの長さL1を有し得る。アンカー700は、半径方向に拡張された構成(図3D)で、約2mm乃至約6mm以上の外径OD1を有し得る。アンカー700は、管腔750の軸751を軸に半径方向に圧縮可能であり、カテーテル(例えば内径が約0.014”乃至約0.040”のマイクロカテーテル)内に潰して入るよう構成され、オペレータ(例えば、医師、臨床医、専門家など)が1つまたはそれ以上のカテーテルを介して収縮させたアンカー700をIPS102またはCS104内へ案内することができる。
アンカー700と、アンカー700の近位部分740に連結された細長いガイド部材780とは、同じ材料片(例えば、Nitinol(登録商標)のような超弾性合金)から製造してもよいし、アンカー700と細長いガイド部材780との間のジョイント744で連結された別個の部品を具えてもよい。図3A、3C、3E−Hに示すように、細長いガイド部材780は、アンカー700の近位部分740に連結される(例えば、直接的または間接的に、取り付けられ、固定され、連結される)。あるいは、細長いガイド部材780は、アンカー700の遠位部分720、中間部分730、および/または複数のストラット712(図3E、3H)のうちの任意のストラットに連結されてもよい(図示せず)。細長いガイド部材780は、例えば図3D、図12に示すように、平坦、矩形、またはそうでなければ非円形の断面プロファイルを有することができる。非限定的な例として、細長いガイド部材780は、約0.001”×0.003”から0.008”×0.040”の寸法を有する矩形断面プロファイルを有してもよい。矩形の断面プロファイルを有する細長いガイド部材780はカラム強度が増大し、カテーテルを通るアンカー700のIPS102やCS104内の目標位置への移動が容易となり、また必要に応じて、IPS壁114/クモ膜層115の貫通およびシャントの展開前に、カテーテル内へアンカー700を再シースしてアンカー700を再配置するのを補助し、またはシャントの展開後にアンカー700を患者の脈管構造から除去する際の補助となる。(例えば、図10に示すように)ガイド部材780の矩形断面プロファイルに一致するように構成された専用の管腔3315を有するシャント送達カテーテル3304と共に使用されるとき、細長いガイド部材780は、ガイド部材780の周りまたは周囲でのシャント送達カテーテル3304の回転を制限または防止することによって、ガイド部材上および標的穿通部位でシャント送達カテーテル3304の軌道を維持する。
代替的に、細長いガイド部材780の実施例は、図17A−Cに示すように、円形の断面プロファイルを有してもよい。非限定的な例として、円形断面プロファイルを有する細長いガイド部材780は、約0.005"から0.018"またはそれ以上の直径を有し得る。この管状構成を有する細長いガイド部材780は、図17A−Cに断面で示されている切れ込み、ピッチ、回転ごとの切れ目、およびカットバランスの例示的ならせん状のカットパターンで示すように、柔軟性を高めるために複数の切れ目を含むことができる。このように細長いガイド部材を構成すると、ガイド部材上の送達カテーテルの「追従性」を向上させ(例えば、ガイド部材の形状に一致するように構成された専用の管腔を有する送達カテーテル)、IPS102またはCS104の管腔内のガイド部材の周りに送達カテーテルと穿通要素とを半径方向に配置する機能を提供する。円形の断面プロファイルを有する細長いガイド部材780は、カラム強度が増大し、カテーテルを通るアンカー700のIPS102やCS104内の目標位置への案内が容易となり、また必要に応じて、IPS壁114/クモ膜層115の貫通およびシャントの展開前に、カテーテル内へアンカー700を再シースしてアンカー700を再配置するのを補助し、またはシャントの展開後にアンカー700を患者の脈管構造から除去する際の補助となる。さらに、IPS102またはCS104の管腔内のガイド部材の周りに送達カテーテルと穿通要素を半径方向に配向させる機能を用いて、ガイド部材上に誤って配置された送達カテーテルの向きを修正することができる。
細長いガイド部材780の形状、寸法、および材料は、細長いガイド部材780の長さに沿ったねじれに抵抗し、アンカーの展開および再シースのための十分なカラム強度を提供するとともに、十分な柔軟性を保持してIPS102の湾曲部分に追従させることによって送達カテーテルを展開できるように構成される。代替的に、細長いガイド部材780は、アンカー700と細長いガイド部材780との間のジョイント744の近くに設けられた予め曲げられた遠位部分を有し、これにより、細長いガイド部材780がIPS102の湾曲部分を通って展開されるときに、細長いガイド部材780がIPS壁114またはIPS壁117の方に付勢されるようにしてもよい。さらに、アンカー700と細長いガイド部材780との間のジョイント744は、細長いガイド部材780がIPS102の湾曲した部分を通って望ましい向きをとることを可能にする回転要素(図18E−F)を有してもよい。
放射線不透過性のマーキングまたはコーティングをアンカー700および/または細長いガイド部材780に組み込んで、IPS壁114上の標的穿通部位の遠位にある洞管腔内のアンカー700の移動および展開を補助することができる。放射線不透過性のマーキングは、図3Cに示すように、アンカー700と細長いガイド部材780に沿って、アンカー700の遠位部分720にある複数のストラット712;アンカー700の中間部分または本体部分730に沿ってマーカー配置が回転可能に変化してもしなくてもL1に沿って;アンカー700と細長いガイド部材780との間のジョイント744;および/または、近位部分740におけるアンカー700の第1の全直径部分の上またはその周り、のうちの1またはそれ以上の位置に配置することができる。
図4A−Cは、開示された発明の実施形態に従って構成された別の例示的なアンカー700を示す。図4A−Bは、複数のストラット712を有する、ステント状構造を形成する複数の切込み710(例えば、開窓など)を含むアンカー700の各側面図を示し、図4Cは断面図を示す。アンカー700、細長いガイド部材780、切込み710および/または切込み710のパターンは、任意の適切なカット方法(例えば、レーザカッティング、エッチングなど)を用いて管状部材を選択的にカットすることによって製造することができる。図5A−Wは、開示された発明の実施形態に従って構成されたアンカー700の例示的な寸法およびカットパターンを示す。アンカー700のストラット712は、それらの間に複数の空間またはセル714を形成する。これらのセル714は、アンカー700が半径方向に拡張された形態である場合に、例えば、図3E、3H−J、50および5Uに示すような独立気泡パターンを有し、アンカー700が半径方向に圧縮された形態である場合に、図4A、5G、および5Kに示すような独立気泡パターンを有する。アンカー700の一実施例では、図5Gの半径方向に圧縮された構成で示されるカットパターンは、図5Oに示すアンカー700の半径方向に拡張した形態を形成するように構成される。図5P−Tは、図5G、5Oのアンカー700の例示的な寸法および特性を示し、傾斜/テーパした近位部分740のバリエーションを示す。(例えば、図5Tの移行長さの測定値によって説明されるように)近位部分740のテーパを変化させることにより、適切な寸法のカテーテル(例えば、内径0.027インチのカテーテル)と組み合わせた場合に、アンカーのスムーズな展開と修正が容易になる。アンカーの別の実施形態では、図5Kの半径方向に圧縮された構成で示されるカットパターンは、図5Uに示すアンカー700の半径方向に拡張した構成を形成するように構成されている。図5V−Wは、図5Uのアンカー700の別の実施例の例示的な寸法および特性を示し、傾斜/テーパした近位部740と遠位部720を有している。図5Uに示すアンカー700の傾斜/テーパした遠位部720と、図5Kに示すこのような遠位部分の螺旋状カットパターンによって提供される対応する可撓性とにより、IPS102やCS104のような頭蓋内静脈構造の離れた領域、狭窄領域および/または曲がりくねった領域へのアクセスが容易となる。説明のために、図5P−S、5V−Wは、これらの図中のアンカー700の寸法や特性(半径方向に拡張した構成)をより良く理解するために、アンカー700のストラット712とセル714なしで示されている。しかしながら、図5P−S、5V−Wのアンカー700は、それぞれ図5O、5Uのストラット712およびセル714を具えている。アンカー700のストラット712およびセル714は、例えば図3Cに半径方向に拡張された構成が示され、図5Gに半径方向に圧縮された構成が示されるように、実質的に長さL1に沿って延びる。しかしながら、ストラット712およびセル714は、例えば図5Uに遠位部720で示すように、アンカー700の選択された部分に沿って延びてもよい。さらに、アンカー700は、ストラット712間にメッシュフレームを有し、アンカー700とIPS102(またはCS104)との間の摩擦を増大させ、アンカー700が展開時に標的部位またはその付近にさらに固定されるようにしてもよい。アンカー700のストラット712は、平坦、円形、楕円形、または不規則な形状のプロファイルまたは適切な断面を有することができる。ストラット712の幅は、約0.0030”から0.0045”、またはそれよりも大きくてもよい。さらに、ストラット712は引っ張りに対し負のポアソン比を示すように構成され、洞管腔(例えば、IPS102またはCS104)内に展開した後に、(例えば、細長いガイド部材780を介して基端側に引っ張ることにより)逆行性の力をアンカー700に加えると、ストラット712を半径方向外側にさらに拡張させて、アンカー700を標的部位に固定するように構成されてもよい。
図5A−5Wで括弧(例えば、[14.67])で示される寸法はミリメートルであるが、図5A−5Wに括弧なしの他の寸法はインチで示されている。図4A−5Wに示す寸法は、アンカー700の例示的な寸法であり、本書に開示されるアンカー700の実施例を限定するものではない。
図6は、開示された発明の実施形態に従って構成された、アンカー700およびシャントを患者の標的部位に送達するための送達アセンブリ300の側面図である。送達アセンブリ300は、アンカー700と、送達アセンブリ300に取り外し可能に連結されたシャント(図示せず)とを含む。送達アセンブリ300およびシャントは、適切な生体適合性材料から構成され得る。送達アセンブリ300は、脈管構造の遠隔位置に到達するように寸法決めされ、アンカー700およびシャントを標的位置(例えば、下咽頭洞)に経皮的に送達するように構成されている。送達アセンブリ300は、外側管状部材320(すなわち、ガイドカテーテル)と、外側管状部材320内に同軸配置され外側管状部材320に対して可動の内側管状部材304(例えば、カテーテル/マイクロカテーテル/アンカー送達カテーテル)とを有する管状部材インターフェースを具える。この送達アセンブリ300は、ガイドカテーテル320および/またはアンカー送達カテーテル304内に同軸に配置されたガイドワイヤ302を含んでもよい。ガイドワイヤ302は、例えば、直径が0.035インチ(0.889mm)であり得る。ガイドワイヤ302に加えて、送達アセンブリ300は、アンカー送達カテーテル304内に配置された第2のガイドワイヤ308を含むことができる。この第2のガイドワイヤ308は、ガイドワイヤ302と比較して小さな直径を有する(例えば、約0.010インチ−0.254mm−乃至0.018インチ−0.4572mm−、あるいは送達アセンブリ300の他の構成要素とともに頭蓋内静脈血管系へのアクセスを実現する他の適切な寸法)。
ガイドカテーテル320、アンカー送達カテーテル304、およびガイドワイヤ302/308(図6)は、適切な生体適合性材料で形成され、画像化の目的のマーキング13(例えば、放射線不透過性材料でなるマーカー)を具えてもよい。例えばX線透視検査で遠位部分の位置を見れるようにするガイドカテーテル320の遠位部分324にある1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド13や、ガイドワイヤおよび/または流体のアクセスのためのルアーアセンブリ17などの、送達アセンブリ300に対する様々な既知の、しばしば必要な付属品が、図6に示されている。送達アセンブリ300および/またはシャントは、シャント200の移植のためにCP角槽138にアクセスするため、IPS壁114およびクモ膜層115を穿刺および/または貫通するように構成された穿通要素(図示せず)を含むことができる。
図7A−Fは、開示された発明の実施形態によるアンカー700、細長いガイド部材780およびシャント200を標的部位に送達する例示的な方法を示す。アンカー700は、IPS壁114の貫通およびシャントの展開に先立って、IPS102またはCS104内のような硬膜静脈洞(例えば、図1−2D)に展開されて配置されるように構成されている。いくつかの実施例では、アンカー700は、IPS壁114の標的穿通部位に遠位に配置され、移植処置におけるその後のIPS壁114の貫通およびシャント展開工程のための支持(すなわち基礎)を提供するように構成される。アンカー700は、当該アンカー700をアンカー送達カテーテル304の遠位端開口から外に進めることによって、またはアンカー送達カテーテル304を引き抜くことによって、および/または、アンカー700をIPS102またはCS104(図示せず)内に展開するためにアンカー700の前進とカテーテル304の引き抜きとを組み合わせることによって、IPS102またはCS104内に展開される。
アンカー700が標的部位(例えば、IPS102またはCS104)内に展開されると、アンカー700は、その送達形態(すなわち、アンカー送達カテーテル304の管腔によって半径方向に拘束されている)からその展開形態へと移行する(すなわち、半径方向外側に広がって、IPS102またはCS管腔131の壁に係合する)。展開されると(図7A)、アンカー700のストラット712は、IPS壁114、117に対して、またはCS104の同様の壁に対して、外側の半径方向の力を加えるように付勢され、これがアンカー700をIPS102内に係合させて固定する。基準血管直径(すなわち、アンカーが展開される洞管腔の直径)に対する静止したアンカー700の直径(すなわち、拡張された、非拘束形態)の比は、約1:1から約2:1の範囲である。さらに、アンカー700の外面は、IPS壁114、117(またはCS管腔131の壁)の硬膜に係合するための、固定要素、スパイク、バリ、バーブまたは他の構造を具え、これがさらにアンカーをIPS102またはCS104に固定するようにしてもよい。
アンカー送達カテーテル304は、ガイドワイヤの有無に拘わらず、接合部118を通ってIPS102および/またはCS104内への患者の脈管構造内のアンカー700の移動および送達を容易にする。アンカー700の圧縮可能な性質によって、オペレータは、当該オペレータが患者のアンカー700および/または細長いガイド部材780の配備位置および向きに満足するまで、IPS102(またはCS104)内でアンカー700をアンカー送達カテーテル304から展開し、アンカー700をアンカー送達カテーテル304に再シースし(必要な場合)、アンカー700を適用可能な洞管腔(例えば、IPS102および/またはCS104)に再配置することができる。
図7Aに示すように、アンカー700はIPS102内に展開される。このアンカー700は、IPS102内において、IPS壁114の標的穿通部位の遠位に配置される。アンカー700に結合された細長いガイド部材780が、IPS102からIPS102の湾曲部分を通って接合部118内へと延在している。細長いガイド部材780はさらに頸静脈106内へと延び、さらに静脈血管系を通り、抹消アクセス部位(例えば、大腿静脈)にて患者の身体から出ることができる。アンカー700の展開に使用されるアンカー送達カテーテル304は、アンカーの展開後に他の送達システムの構成要素がIPS102にアクセスできるように、患者から引き抜くことができる。あるいは、アンカー700の展開に使用されるアンカー送達カテーテル304は、他の送達のためにアンカー送達カテーテル304の引き抜きを要することなく、IPS102内に他の構成要素(例えば、穿孔要素または穿通要素、シャントなど)を展開できるようにしてもよい。先に開示したように、アンカー700は、CS104といったより遠位の位置に配置することができる。
シャント200は、CSFをシャント200(すなわち、内側管腔)に貫通させるために、クモ膜下腔116(例えば、CP角槽138)と静脈システム(例えば、IPS102、頸静脈106、および/または頸静脈球108)間の好ましい圧力勾配を利用する。水頭症のない患者では、クモ膜下腔116の頭蓋内圧と静脈系の血圧との間の通常の差圧は約5−12cmH2Oであり、クモ膜下腔と静脈系間のこの差圧は、水頭症患者において有意に高くなり得る。シャント200は、展開され移植されると、クモ膜下腔116から頸静脈球108および/または頸静脈106へCSFの一方通行を促し、正常に機能するクモ膜顆粒がCSFを静脈系に流す方法と同様に、ここからCSFが静脈循環によって運び去られる。シャント200は、1またはそれ以上の一方向弁または任意の他の流れ調整機構を介して、クモ膜下腔116への静脈血の逆流を防止する。シャント200は、CSFを脳静脈系に導くことにより、脳水腫のない人では自然に生じるプロセスであるCSFのより生理的な排出を可能にする。このようにして、クモ膜下腔116内の過剰なCSFによって生成された圧力が緩和され、それにより、水頭症による患者の症状が緩和されるか、または排除される。図7E−Fのシャント200は、シャント200を通って静脈系へ流れる流体を調節するように構成された流量調整機構としての弁209を具える。
本発明の実施例では、シャント200を通るCSFの目標流量(例えば、約5ml/時〜約15ml/時の範囲内)が、クモ膜下腔116と静脈系(例えば、頸静脈106および/または頸静脈球108)との間の通常の差圧(例えば、クモ膜下腔116と静脈系の間が約5cmH2O〜約12cmH2Oの範囲内)のときに生じる。
いくつかの実施例では、シャント200および/または弁209を通るCSFの目標流量は、クモ膜下腔116と静脈系との間の差圧(「△P」)が3−5mmHgの範囲の場合に、約10ml/時である。シャント200および/または弁209を通るCSFの最大流量は、20ml/時を超えることができ、典型的には、ICPが高い患者(例えば、ICPが20cmH2Oより大きい)へのシャント移植直後に生じる。シャント200の流量調整機構としての弁209の実施例は、弁開圧力(CSF流方向)が約0.5mmHg△Pで、逆開き圧力(逆流防止)が約−40mmHg〜約−115mmHg△Pまたはそれ以上のときに、0.5〜8mmHg△Pの通常の動作範囲(CSFの流れ方向)を有することができる。さらに、弁209の実施例は、許容可能なCSF漏れ(流れ方向)が時間当たり0.5ml以下で、および/または、許容可能な血液逆流(逆方向)が時間当たり0.25ml以下である。
クモ膜下腔の頭蓋内圧(ICP)と静脈系の血圧との間の正の圧力勾配は、クモ膜顆粒化を通したCSFの自然吸収に寄与し得る。ICPが20cmH2Oより大きいと水頭症の病状であると考えられるが、この疾病のいくつかの形態でICPは20cmH2O未満となり得る。頭蓋内洞および頸静脈球および静脈内の静脈血圧は、非脳水頭症患者では約4cmH20から約11cmH20の範囲であり、病気の患者ではわずかに高くなる。患者の姿勢変化、例えば仰臥位から直立姿勢への変化はICPと静脈圧に影響を与えるが、ICPと静脈圧との間の正の圧力勾配は比較的一定のままである。しかしながら、例えば、咳、緊張またはヴァルサルヴァの発現中に、ICPよりも静脈圧が瞬間的に増大すると、一時的にこの勾配が乱れる可能性がある。
シャント200および/または弁209は、患者に埋め込まれたときにクモ膜下腔116と静脈系(「△P」)との間の予期される急性および慢性の差圧に対処するように構成される。例えば、患者が仰臥位から直立姿勢へと動く間に咳をした場合のような、最大静脈圧(VP)と最小頭蓋内圧(ICP)との間に、最大の急激な負の△Pが生じる。弁209の実施例は、負の△P条件下(すなわち、静脈圧が頭蓋内圧を超えるとき)で封止、遮断および/または閉鎖するように構成され、静脈血がシャント200を介してクモ膜下空間116に逆流するのを防止する。例えば、患者が直立姿勢から仰臥姿勢に移る際に咳をして引き起こされる急激な正の△Pといった急激な正の△Pが、最大ICPと最小VPとの間に生じる。さらに、シャント200および/または弁209は、慢性的に上昇した正の△P状態(例えば、約2分以上上昇している正の△P、例えば水頭症性の最大ICPと正常なVPとの間、すなわち低VPの水頭症)に対処し;かつ慢性的に上昇した負の△P状態(例えば、約2分以上の負の△P、例えば最小ICPと最大VPとの間、すなわち最小のVP調整で仰臥位から直立姿勢へ変化した場合)に対処するように構成される。
いくつかの実施例では、シャント送達カテーテル3304は、特に、接合部118を通りIPS102に入る際に、穿通要素および/またはシャントの展開の正確な誘導、案内および/または制御を可能にする1またはそれ以上の特徴を具えてもよい。図8A−Bは、開示された発明の一実施例によるシャント送達カテーテル3304の斜視図および断面図である。シャント送達カテーテル3304は、カテーテルの外面3310に形成された凹部3313を具える。凹部3313は、アンカー700の細長いガイド部材780にスライド係合するように構成されており、シャント送達カテーテル3304は、以前に配置されたアンカー700の細長いガイド部材780に乗って(例えば、「サイドカー」構成)、図7Bに示すように、カテーテル3304を、IPS102内の標的部位内の所望の向きおよび位置に誘導することができる。細長いガイド部材780は、シャント送達カテーテル3304の凹部3313に係合するように寸法付けられ、構成されている。細長いガイド部材780はさらに、図7B、7Dに示すように、送達カテーテル3304を標的穿通部位に導くように構成されている。図8A−Bに示す実施例は、カテーテル3304とともに実装可能な例示的な制御構成である。いくつかの実施形態では、シャント送達カテーテル3304およびアンカー700は、このような構成(例えば、複数の凹部と係合する複数の細長いガイド部材)を複数具えてもよい。
図7Bに示すように、シャント送達カテーテル3304は、先に配置されたアンカー700の細長いガイド部材780の上方、中、または上を進められる。上記の凹部3313の代わりに、シャント送達カテーテル3304は、送達カテーテルの近位部と遠位部の間に延在しアンカー700の細長いガイド部材780を収容するように構成された専用の管腔3315を具えてもよい。あるいは、シャント送達カテーテル3304は、カテーテルの近位部分と遠位部分との間に延びる壊れたまたは不完全な管腔を具え、これが細長いガイド部材780をIPS壁117に対して捕捉し、カテーテルが細長いガイド部材780にわたって移動できるようにしてもよい。カテーテル3304の近位部と遠位部との間には、シャント送達カテーテル3304の少なくとも1つの他の管腔3305が延在しており(図8A−B、図9)、これにより本書および参照により本書に組み込まれる関連出願に記載の貫通遠位チップの有無に拘わらず、穿通要素(例えば、外科用ツール、針、RFスタイレットなど)およびシャントデバイスの案内と送達が可能となる。シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344は、図7Bに示すように、標的穿通部位で約75°(または他の適切な角度)の角度でIPS壁114と交差している。
図10A−Kは、デュアルルーメン型のシャント送達カテーテル3304のさらなる実施例を示す。図10A−Eに示すように、送達カテーテルの遠位部分3344は、シャント送達カテーテル3304の管腔3305と流体連通する穿通要素管腔3555を有する穿通要素3350を具えている。図10の各カテーテルは、細長いガイド部材780を受け入れるように構成され、場合によっては細長いガイド部材の輪郭に適合するように構成された、カテーテルの端部間に延在する第1の管腔3315を具える。前述のカテーテルの実施例の第2の管腔3305は、カテーテルの端部間に延在し、穿通要素(例えば、外科用ツール、針、RFスタイレットなど)、または本書および参照により本書に組み込まれる関連出願に記載の貫通遠位チップを有するか有さないシャントデバイスを案内および送達可能となっている。さらに、図10A−Kに示すシャント送達カテーテル3304の一方または両方の管腔は、参照により本書に組み込まれた関連出願に記載のように、ライナを具えてもよいし、および/または、他の送達アセンブリの要素に対するこれらの管腔の潤滑性を高めるための親水性物質でコーティングしてもよい。図10B、10D、および10E−Jは、第1の管腔3315内に配置された細長いガイド部材780を示し、10B、10E−Jは、例示的な送達カテーテル3304の実施例のための、第2の管腔3305内に設けられた中空の内部管腔207を有するシャント200を示す。10A−Kに示される寸法は、シャント送達カテーテル3304、第1の管腔3315、第2の管腔3305、穿通要素3350、穿通要素管腔3555、シャント200、およびシャント管腔207の例示的な寸法であり、本書に開示される実施形態の範囲を限定するものではない。例えば、送達カテーテル3304の実施例は、約0.012インチ(0.3048mm)〜0.040インチ(1.016mm)の範囲の内径を有する第2の管腔3305を有することができる。
図21A−Mは、シャント送達カテーテル3304の別の実施例を示す。図21C、21Dは、シャント送達カテーテル3304の長手方向の側面図および断面図をそれぞれ示す。図21A、Bは、図21Cの基準線におけるシャント送達カテーテル3304の断面図であり、それぞれカテーテルの遠位部分3344から近位部分に向かって見た図である。図21Iは、図21A−Mの送達カテーテルの別の長手方向側面図である。図21F−Mは、図21Iの基準線の指定に対応する長軸に沿った様々な点におけるシャント送達カテーテル3304の断面図である。
図21C、DおよびIに示すように、図示されたシャント送達カテーテル3304は、当該送達カテーテルの遠位部分3344上に斜め針穿通要素3350を具える。この穿通要素3350は送達カテーテルに固定することができ、図示のように、補強部材1345(後述)に溶接されている。穿通要素3350は、シャント送達カテーテル3304の管腔3305と流体連通する穿通要素管腔3555を具える。送達カテーテルは、穿通要素3350の近位部分の周りに設けられた最遠位のマーカー3354と、中間マーカー3354aと、最近位のマーカー3345bとの、3つの異なる放射線不透過性のマーカーバンドを具える。送達カテーテルの第1の管腔3315は細長いガイド部材780を収容し、管腔3315は、当該管腔の潤滑性を高め、ガイド部材780上でシャント送達カテーテル3304の滑らかな動きを促進するための、PTFEといった材料のポリマーライナー3306を具えることができる(図21B)。
図示するように、第1の管腔3315は迅速交換構成を有し、シャント送達カテーテル3304の長手方向軸の全体に及んでいないが、他の実施例ではそのような構成も可能である。マーカーバンド3354a、3354bが、図21A、21K−Lに示すように、管腔3315の遠位部開口3315aおよび近位部開口3315bを補強している。シャント送達カテーテル3304の実施例は、送達カテーテル3304の長さに沿った長手方向の寸法を有し(インチ単位で、例えば図21C、21Iを参照)、これは、穿通要素3350の近位部分から第1の管腔3315の遠位開口部3315aまで(0.16インチ/0.4064cm)、マーカーバンド3354aの遠位端まで(0.17インチ/0.4318cm)、マーカーバンド3354bの遠位端まで(7.95インチ/20.193cm)、第1の管腔3315の近位開口部3315bまで(8インチ/20.32cm)、および送達カテーテル3304の近位部分まで(39.37インチ/100cm)の測定がある。さらに、シャント送達カテーテル3304は、本書に開示されるシャントおよびシャントプッシャ送達アセンブリを収容するための第2の管腔3305を具える。第2の管腔3305は、図21E、21E−1、21E−2から21Mに示すように、例えばPTFEといったポリマーライナー材料3306を有する。
図21A−Mのシャント送達カテーテル3304の外径は、長手方向軸に沿って変化する。図21F−Mの断面図は、送達カテーテル3304の軸に沿って最遠位の断面から最近位の断面までとったものであり、それぞれ、図21Jは図21Iの基準線E−E、図21Fは図21Iの基準線F−F、図21Kは図21Iの基準線G−G、図21Gは図21Iの基準線H−H、図21Lは図21Iの基準線I−I、図21Hは図21Iの基準線J−J、および図21Mは図21Iの基準線K−Kに対応する。図21A−BおよびF−Mはそれぞれ、示された特定の断面位置におけるシャント送達カテーテル3304の長手方向軸に沿った外径を示しており、カテーテルの軸に沿った断面の長手方向の位置によって変化している(例えば、0.036〜0.046インチ/0.09144〜0.11684cmの範囲にわたっている)。図21K、21Fおよび21Jは、カテーテルの軸に沿って遠位方向へと移る、送達カテーテル3304の遠位部分の徐々に先細る外径を示し(すなわち、0.046〜0.036インチ/0.11684〜0.09144cmまで)、これにより曲がりくねった解剖学的構造および細くなる脈管構造(例えば、頸静脈106とIPS102の接合部118)へのアクセスを容易にする。
図21A−Mおよび上記の説明は2本の管腔を有するシャント送達カテーテル3304に関するが、シャント送達カテーテルのさらなる実施例は、第3の管腔を具えてもよい(例えば、例えば後述する穿通要素ガード4000のプルワイヤを収容するための図19A、図29A−Dの管腔3325)。
穿通要素3350の実施例は、市販の皮下注射針を含むことができる。図22は、シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344に取り付けられるか固定されて、送達アセンブリの穿通要素3350として利用可能な針の多様な詳細を記載する表を含む。それぞれの針の選択肢において、図22に、製品名、製造業者、およびゲージサイズ(針の外径に標準化されている)、場合によっては壁厚、面取り長さ、面取りタイプ、および/または他の情報が特定されている。開示された発明の実施形態に従って構成された穿通要素3350のさらなる実施例が、図24A−Kに示されている。組織穿通要素3350は、近位端部3353および遠位端部3357と、それらの間に延びる管腔3355とを有する管状構造を具える(図24A−B)。組織貫通部材3350の遠位端部分3357は、穿孔チップ3352で終端している先細の/傾斜した穿孔エッジ3351を具える(図24A−E)。図24Kは、送達アセンブリの穿通要素3350として使用することができる針の様々な詳細を記述する表を含む。図24F−Jは、傾斜角に変化を有するような穿通要素3350のさらなる実施例を示す。図24A−Kに、組織貫通部材3350の例示的な寸法(インチ単位)、角度および特性を示すが、これらは図24A−Kの実施例を限定するものではない。
送達アセンブリ300の穿通要素3350として特定の針を選択する基準には、傾斜の長さ、IPS壁114を貫通するのに必要な力、および針の壁の厚さが含まれる。傾斜の長さはIPS壁を貫通するのに必要な穿刺力に反比例するが、シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344が血管系を移動する際に針が曲がらないとすると、傾斜が長いと、傾斜が短い場合と比べて、特に蛇行した解剖学的構造において送達アセンブリ300の案内が難しくなる。穿刺力が低いと、穿通要素がIPS壁114を通過してクモ膜下腔内に入るので、シャント移植処置の円滑な貫通ステップが容易になる。候補となる穿通要素の実施例の穿刺力は、例えばSynovis Surgical Innovations社から入手可能なDuraGuard(商標名)Dural Repair Patchのような代替硬膜と、2015年10月30日に出願された米国特許出願第14/929,066号にさらに記載されたような力ゲージを用いて生体外で査定可能である。針構造を含む穿通要素の実施例は、約0.1重量ポンド以下の穿刺力を有することができる。より薄いニードル壁とすると、IPS壁114を通る吻合と、配置されたシャント2200の外面との間のギャップが最小化する。このギャップを小さくすると、静脈血がIPS102またはCS104から吻合(例えば、IPS壁114を通る貫通路と、移植されたシャント2200の外表面との間)を通ってクモ膜下腔内へ漏れるのと、逆に、CSFがクモ膜下腔からIPS管腔への漏出とが防止される。
アンカー700および細長いガイド部材780は、シャント送達カテーテル3304を介して細長いガイド部材780を越えてIPS102の湾曲部分に沿ってIPS壁114上の標的穿通部位の方に前進する穿通要素またはシャントを配向付けるように最適化することができる。例えば、アンカー700の上端に沿った位置でアンカー700に結合された細長いガイド部材780は、図7A−Bに示すように、細長いガイド部材780の遠位部分782をIPS壁114に近接または隣接配置するように構成される。代替的に、アンカー700および細長いガイド部材780は、アンカー700がIPS壁114に沿って標的穿通部位の遠位に配置されたときに、図7C−Dに示すように、細長いガイド部材780が、IPS102の湾曲部分を通ってIPS壁117に最も近くなる(すなわち「ハグ」する)ように構成することができる。
さらに、洞管腔内におけるアンカー700の展開位置によって、細長いガイド部材780がアンカー700の頂部、中間部、底部に対してどのように配向されているかに拘わらず、IPS102の湾曲部分を通る細長いガイド部材780の経路を変えることができる。例えば、図7A−Bに示す展開位置よりも遠位にアンカー700を配置すると、細長いガイド部材780をIPS壁114よりもIPS壁117の近くに配向させることになる。
さらに、シャント送達カテーテル3304(または送達カテーテルなしで細長いガイド部材780上に送達される場合のシャント)の実施例は、細長いガイド部材780上またはそれを通ってIPS102の湾曲部分(例えば、IPS102の第1の湾曲部分)に沿ってIPS壁114の標的穿通部位に向かって前進する穿通要素および/またはシャントを配向させるように最適化することができる。シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344は、図7Dの「×」印で示されるように、細長いガイド部材780を収容するための複数の境界点を有することができる。細長いガイド部材780のためのシャント送達カテーテル3304の遠位部分3344上の境界点は、穿通要素3350がIPS壁114を通り、CP角槽138内へ移動できる距離を制限する貫入止めを提供する(例えば、最大貫入深さは、穿通要素3350の遠位チップと、細長いガイド部材780を受けるための送達カテーテル3304上の境界点との間の距離に対応する)。細長いガイド部材780をシャント送達カテーテル3304内またはこれに沿って、カテーテル3304に最も近い位置に導入することにより、送達カテーテル3304の穿通要素3350および/または遠位開口端3341と細長いガイド部材780との間の分離が大きくなる。穿通要素3350と細長いガイド部材780間の分離が大きいほど、IPS102の湾曲部分に沿ってIPS壁114およびクモ膜層115を貫通する深さが比較的長くなる。逆に、シャント送達カテーテル3304および細長いガイド部材780に沿って入口点または接続部がより遠位となると、細長いガイド部材780と穿通要素3350および/または送達カテーテル3304の遠位開口端3341との間の分離が減少する。穿通要素3350と細長ガイド部材780間の分離が小さいと、IPS102の湾曲部分に沿ってIPS壁114およびクモ膜層115を通る貫入深さが比較的短くなる。オペレータは、細長いガイド部材780と送達カテーテル3304との間の境界点を調節して、送達カテーテル3304からの透過要素の軌跡と、IPS114に沿った標的穿通部位における貫入深さとを最適化することができる。細長いガイド部材780とシャント送達カテーテル3304との間の境界点は、送達カテーテル3304の遠位端3341(送達カテーテルの遠位端が、専用のレール管腔への遠位開口を含む地点)から、送達カテーテル3304の遠位端から約10cm近位の境界点まで及んでもよい。
配置されると、アンカー700と細長いガイド部材780とは、シャント移植の間に穿通要素の軸外れの軌道を生成する安定した洞内のプラットフォームを提供する。配置されたアンカー700および細長いガイド部材780は、送達システムの他の態様とともに、シャント配置の間、CP角槽138内のCSFが充填された空間の最大範囲への制御されたアクセスをオペレータに提供する。IPS102の湾曲部分を通って延びる細長いガイド部材780は、有利なことに、穿通要素3350をIPS壁114の方へ、CP角槽138内へと向ける(すなわち、ガイド部材を介して前進させる)。図7Dに示すように、送達カテーテルがIPSの湾曲部分を通ってガイド部材上を進むにつれて、境界点の遠位のシャント送達カテーテル3304の部分が細長いガイド部材780の軸から離れる。すなわち、穿通要素3350を有する送達カテーテル3304の最遠位部分が、細長いガイド部材780から軸外に移動してIPS壁114を穿刺し、CSFが充填されたCP角槽138にアクセスする。この細長いガイド部材のシャント送達カテーテル3304に対する配向構成により、穿通要素の前進が確実に、(a)IPS102の湾曲部分に沿った標的穿通部位でIPS壁114と約90°の角度(すなわち、IPS壁114に直交するように配向される)から約30°の角度で交差し(他の適切な角度としてもよい)、(b)IPS壁114の硬膜を通ってクモ膜層115を通る軌道上を延び、遮られていない、IPS壁114の貫通点から遠位に測定した場合にCSFが充填されたCP角槽138に少なくとも2−3mmアクセス可能となる。本書記載のアンカー700および細長いガイド部材780の特徴により、オペレータは、他の血管内シャント送達技術と比較して、遮られていない、CSFが充填された空間に3mmから5mmより大きな、槽内のCSFの充填空間の比較的大きな範囲にシャントをアクセスさせて配置することができる。
アンカー700と細長いガイド部材780が洞腔内の所望の位置に配置され、穿通要素が細長いガイド部材780を超えてIPS壁114に沿った標的穿通部位に進められた後、オペレータは、IPS102とCP角槽138との間に吻合を形成し、続いてシャント送達および移植の処置ステップを進めることができる。オペレータは、細長いガイド部材780を近位方向に引っ張りつつ(または、細長いガイド部材780を他の送達システムの構成要素に対して定位置にロックしつつ)、穿通要素を細長いガイド部材780上でIPS壁114に向かって前進させることにより、穿通要素でIPS壁114に穿孔してCP角槽138にアクセスすることができる(例えば、穿通要素はカテーテルを介して、シャント上に進められ、またはカテーテルの遠位端によって運ばれる)。貫通ステップ中の細長いガイド部材780の逆行する力が、さらにガイド部材とアンカー700を洞腔内に固定し、これによりIPS102の湾曲部分内で細長いガイド部材780を安定化させながら、穿通要素をIPS壁114に向けて、かつIPS管腔の湾曲部分の細長いガイド部材780の軌道から逸らして配向させる。そして、シャント200の遠位のアンカー機構229がCP角槽138内に展開されるまで(すなわち、穿孔およびシャント展開ステップの間に送達システムの構成要素の交換なしで)IPS壁114およびクモ膜層115を通って穿通要素および/またはシャント200を(前述のように)同時に前進させることによって、洞管腔からクモ膜下腔への出血リスクが排除される。
放射線不透過性マーキングまたはコーティングを、穿通要素3350(例えば、穿通要素はカテーテルを介して、シャント上に進められ、またはカテーテルの遠位端によって運ばれる)および/または送達カテーテルに組み込んで、オペレータが、シャント移植処置の貫通ステップの前または中に洞腔内の送達システムの構成要素の配向とこれらの要素の軌道を見れるようにしてもよい。例えば、放射線不透過性材料の半円片または半バンドを、送達カテーテル3304の穿通要素3350および/または遠位部分3344に結合するか組み込むことができる。シャント送達カテーテル3304の穿通要素3350および/または遠位部分3344におけるマーカーの位置によって(例えば、穿通要素の遠位セクションまたは近位セクションとすると、内径または管腔のそれぞれのセクションの視覚化に役立つ)、オペレータは、穿通要素3350がIPS壁114に向かって適切に配向されているか、および/または、IPS壁117に向かって不適切に配向されているかを確認することができる。
シャント200の遠位のアンカー機構229がCP角槽138内に展開された後、シャント送達カテーテル3304を、IPS102の湾曲部分から引き抜く(すなわち、近位方向に引っ張る)ことができる。遠位に固定されたシャント200は、カテーテルがIPS102を通って接合部118内に引き戻されるにしたがって、送達カテーテル3304の遠位端の開口部3341から現れる。送達カテーテル3304がIPS102から引き戻される際には、CP角槽138内に配置されたシャントの遠位のアンカー機構が、クモ膜下腔116内の展開位置にシャントを保持し、固定し、および/または係留させる。その後、送達カテーテル3304を接合部118を介してさらに引き戻して、図7Eに示すように、シャント200の近位のアンカー機構227が頸静脈106内に展開できるようにする。
シャント200が、シャント200の各アンカー機構227、229によって標的部位に完全に展開および/または固定された後、オペレータは、シャント送達カテーテル3304および/またはアンカー送達カテーテル(例えば内径0.027”または0.021”のカテーテル)を細長いガイド部材780上に進めてアンカー700を再シースし、アンカー700および細長いガイド部材780を含むカテーテル3304を患者から(例えば、大腿部のアクセスポイントを介して)引き出すことができる。あるいは、細長いガイド部材780は、アンカー700とのジョイント744またはその周囲(図3C、3H)、あるいは細長いガイド部材780の任意の他の適切な部分(例えば、図7F)に、細長いガイド部材780をアンカー700から切り離すための電解分離要素785を具えることができる。細長いガイド部材780をアンカー700から切り離した後に、アンカー700をIPS102またはCS104に配置したまま、細長いガイド部材780を患者から引き抜くことができる。アンカー700はIPS102と接合部118を通って引き抜かれるため、この構成により、アンカー700を展開したシャントの一部に引っかけることによりアンカー700をその遠位の展開位置から回収しつつ、移植したシャントがCPO角槽138から不意に引っ張り出されるのが防止されるため有利である。
図11A−Iは、シャント展開後にアンカー700を患者の脈管構造から除去するのを容易にするためのアンカー700および方法ステップの代替構成を示す。アンカー700は、アンカー700の近位部740、中間または本体部730、および遠位部720のうちの1以上に、1または複数の電解分離要素790を含むことができる(図11A、B、E、F)。電解分離要素790は、図11H−Iに示すように破断または崩壊するように構成されており、これによって図11A−Dに示すようにアンカー700を2つ以上の部分に分離して、展開されたシャントを越えIPS102の湾曲部分に沿ったアンカー700の各セクションを引き抜き易くする。さらに、アンカー700の各セクションは、図11A、11Dに示すように、アンカー700の部分の引き抜きを容易にするように構成されたそれぞれの細長い要素787,788(例えば、紐など)に連結されてもよい。1以上の細長い要素788(例えば、隣接して配置される)は、細長いガイド部材780を一緒に構成してもよく、または細長いガイド部材780に加えて1以上の細長い要素788をアンカー700に含めることができる。
さらに別の実施例では、電解分離要素785は、図7E、7Fに示すように、ジョイント744の近くに配置することができる(例えば、接合部118の周囲に配置されるように構成された細長いガイド部材780部分)。アンカー700と細長いガイド部材780の一部とは、移植されたシャントシステムの一部であってもよく、この場合は展開されたシャントが、細長いガイド部材780との1以上の接続点またはインターフェースを具え、展開されたアンカー700と細長いガイド部材780の一部とがシャントをその展開位置にさらに固定する。このような実施例では、細長いガイド部材780は、接合部118の周りに配置されるように構成された細長いガイド部材780の部分に電解分離要素785を含むことができる。その結果、細長いガイド部材780の近位部780'(電解分離要素785の近く)はシャント展開後に患者から引き抜かれ、一方で細長いガイド部材780の遠位部はアンカー700と結合したままとなる。この実施例では、アンカー700は、図7Fに示すように、配置されたシャント200のための足場支持を提供する。
アンカー700および細長いガイド部材780システムは、他の血管内シャント送達システムおよび技術に対して以下の利点を有する:
別個のアンカー700およびシャント200展開ステップは、単一のアンカーおよびシャント200展開ステップ用に構成され複数の集中的な構成要素(例えば、送達カテーテル、送達システムアンカーおよび/またはガイドワイヤ、シャント、および穿通要素)を具える送達システムと比較して、シャント送達カテーテル3304およびシャント200などの送達システムの構成要素を収容するために、標的穿通部位の周りのIPS102および/またはCS104における重要な作業および展開スペースを確保する。
アンカー700および細長いガイド部材780システムは、従来の送達カテーテルおよびガイドワイヤシステムと比較して、(a)硬膜IPS壁114とクモ膜層115を通ってCP角槽138に進入し、(b)洞内にシャントの遠位のアンカー機構229を展開する、間の送達システムの構成要素を固定するための安定したプラットフォームを提供する。
アンカー700および細長いガイド部材780システムは、硬膜IPS壁114およびクモ膜層115の貫通ステップや、シャントおよびその遠位アンカー機構229を展開するといった重要な処置ステップ中に、曲がりくねった解剖学的構造に起因するIPS102および/またはCS104から頸静脈106内への送達システムの構成要素(例えばシャント送達カテーテル3304)の「キックアウト」に抵抗する。
アンカー700のいくつかの実施形態では、例えば、移植されたシャント200を固定するためにアンカーが洞腔(IPS102またはCS104)内に残されている場合、このアンカーは、ステンレス鋼またはコバルトクロム材料を用いて油圧拡張するよう構成し、これによってシステム設計を単純化し、製品製造コストを削減することができる。
展開されたアンカー700からIPS壁117に沿って近位方向に延びる細長いガイド部材780は、穿通要素が標的へ送達されるときに、覆われていないか保護されていない穿通要素がIPS壁114の一部を不注意にぶつかるリスクをなくすか低減させる。
図12A−Fは、開示された発明の実施形態に従って構成された、患者の標的部位にシャントを送達するための別のシャント送達カテーテル1304を示す。説明の容易のため、本開示のシャント送達カテーテル3304や、先に参照に組み込まれた関連出願における送達カテーテル304、304'と同じか類似の送達カテーテル1304の特徴、機能、および構成は、同じか類似の参照番号が付されている。送達カテーテル1304は、近位部分1342と、遠位部分1344と、それらの間に延びる管腔1341とを有する細長い構成を具える。送達カテーテル1304は、脈管構造の遠隔位置に達するように寸法決めされ、標的部位(例えば、IPS、CS、CP角槽など)に経皮的に送達するように構成される。送達カテーテル1304は、当該カテーテルの遠位部分1344をIPS102またはCS104内の標的部位に配置するために、カテーテル1304を脈管構造内に挿入し、前進させ、および/または回転させられるように、硬さの異なる複数のセクションを有し(例えば、選択された強度を含む材料比を変化させ、使用される材料の特性または分布を変化させ、および/または、製造プロセス中のデュロメータまたは材料の厚さを変化させる)、十分な「押し出し可能性」(例えば、IPS102やCS104といった標的部位へ送達可能にするのに十分なカラム強度を示す;組織穿通要素1350を具える実施例では、約0.1Nから2.0Nまたはそれ以上の力を、IPS壁114とクモ膜層115の硬膜を貫通するための貫通または穿刺要素に提供する)と、「トルク性(torqueability)」(例えば、脈管構造が約1:1のトルク応答を示し、患者の鼠径部または近位部でカテーテルを時計回りの1回転が、IPS102やCS104といった標的位置でカテーテルの遠位部分の時計回りの1回転を生じる)を提供するのに適している。さらに、遠位部分1344は、特に曲がりくねった解剖学的構造において十分な可撓性を有し、これによって標的部位へと追従して操作することができる。
埋め込みコイルや編組のような既知の構成要素が、送達カテーテルに選択的な補強を提供するためにしばしば使用される。埋込みコイルを有する送達カテーテルは適切な可撓性を提供し得るが、埋め込みコイルは一般に、特にマイクロカテーテルの遠位部分において、カテーテルに必要なカラム強度を提供することができない。埋め込み編組を具える送達カテーテルは、特に、埋め込まれた編組がカテーテルの遠位部分に配置される場合に、可撓性を犠牲にしながら、適切なカラム強度を提供することができる。
図12A−Cに示す実施例では、送達カテーテル1304は、カテーテル1304を補強しつつ、カラム強度と可撓性(すなわち「押し出し可能性」および「トルク性」)との間の適切なバランスを提供するように構成された補強部材1345を具える。補強部材1345は、ステンレス鋼、ニチノール(Nitinol)(登録商標)などの適切な生体適合性のエラストマー材料からなる。いくつかの実施例では、補強部材1345は、適切なカラム強度を提供するステンレス鋼またはニチノールのハイポチューブを含み、当該ハイポチューブはさらに、適切な柔軟性を提供する選択的なカット1330(例えば、開窓など)を含む。
補強部材1345は、カテーテル1304の実質的な長さに沿って延びてもよい(例えば、補強部材1345は、カテーテル1304の近位部分1342から遠位部分1344まで延在する)。図12Aの実施例において、補強部材1345の中心軸1349に沿って測定される長さL10は、約59インチ(150cm)である。あるいは、補強部材1345は、カテーテル1304の一部に沿って延びてもい(例えば、補強部材1345は、カテーテル1304の近位部分1342まで延在することなく、遠位部分1344に沿って延在する)。例えば、L10は、1.9インチ(5cm)から6インチ(15.2cm)の範囲、または任意の他の適切な長さにすることができる。
さらに、図12A−Cの実施例では、軸1349に直交する方向に測定される補強部材1345(すなわち管腔1341)の内径(ID)は、0.0205インチ(0.5207mm)から0.024インチ(0.6096mm)の範囲であり、同じか類似の方向(すなわち、軸1349に直交する)で測定される補強部材1345の外径(OD)は、0.026インチ(0.6604mm)から0.03インチ(0.762mm)の範囲であり得る。送達カテーテル1304の補強部材1345のID、ODおよび/またはL10並びに任意の他の長さ、幅または厚さは、標的部位(例えば、IPS、CP角槽など)にシャントを送達するために適切な任意の寸法を有してもよいことを理解されたい。補強部材1345の例示的な寸法(インチ)および特性を図12Gに示すが、これらは図12A−Cの実施例を限定するものではない。
図12A、12Cの実施例では、補強部材1345は、補強部材1345の近位部分1342および遠位部分1344に選択的に配置された1つ以上のカット1330(例えば、開窓、切口、スロット、キー溝、窪みなど)を具える。さらに、1またはそれ以上のカット1330は、図12Aの複数セクションに切口、ピッチ、回転あたりのカットおよびカットバランスの例示的な螺旋カットパターンで示すように、L10に沿って補強部材1345の複数セクションに設けることができる。あるいは、カット1330は、L10に沿って実質的に連続的に配置することができ(図示せず)、連続的に配置されたカット1330は、切口、ピッチ、回転あたりのカット数、L10に沿ったカットバランスまたはこれらの組み合わせを有してもよい。
補強部材1345のカット1330は、様々な適切なパターンを有することができ、送達カテーテル1304の補強部材1345のレーザカッティングによって作成することができる。代替的に、カット1330およびそのパターンは、エッチングや他の適切な技術で作成してもよい。図12E−Fは、図12A−Cの補強部材1345の例示的なカットパターンを示す。これらの実施例では、補強部材1345のレーザカッティングは、補強部材1345の1回転あたり1.5〜2.5のカット1330を作り、カットバランスはレーザがオンの状態で回転の100°〜202°、次いでレーザがオフの状態で回転の34°〜38°である。
図12Aに示すように、近位部分1342に設けられた補強部材1345のカット1330は、補強部材1345の遠位部分1344に設けられたカット1330のピッチ(例えば、0.006)よりも大きなピッチ(例えば、0.015)を有する。カット1330のピッチが小さくなる(すなわち、カット間の間隔が小さくなる)と、送達カテーテル1304の遠位部分1344といった補強部材1345の可撓性が大きくなる。大きなピッチから小さなピッチのカット1330の移行は繊細で、遠位部分に向かって徐々に柔軟となる送達カテーテルが提供される。非限定的な例として、補強部材1345の近位部分1342に設けられたカット1330を形成する螺旋カットパターンは、切口が0.001、ピッチが0.015、回転あたり2.5のカットを形成し、カットバランスがレーザオンで100°回転、次にレーザオフで34°回転である。補強部材1345の近位部分1342と遠位部分1344との間に設けられたカット1330を形成するために適用される螺旋カットパターンは、切口が0.001、ピッチ遷移が0.006から0.015、回転あたり1.5のカットを形成し、カットバランスがレーザオンで202°回転、次にレーザオフで38°回転である。補強部材1345の遠位部分1344に設けられたカット1330を形成するために適用される螺旋カットパターンは、切口が0.001、ピッチが0.004、回転あたり1.5のカットを形成し、カットバランスがレーザオンで202°回転、次いでレーザオフで38°回転である。これらのカット1330の幅は、0.0005インチ(0.0127mm)から0.002インチ(0.0508mm)の範囲、あるいは任意の他の適切な幅を有することができる。送達カテーテル1304の補強部材1345におけるカット1330の幅、長さ、深さおよびカット1330のパターンは、任意の適切な寸法を含み得ることを理解されたい。非限定的な例として、カット1330のパターンは、補強部材1345の遠位部分1344でより大きなピッチ(例えば、0.004より大きい)に移行すると、カラム強度が増加し、シャント移植処置の貫通ステップ中に送達カテーテルの支持を提供する。
さらに、補強部材1345は、図12Cによく見えるように、内側ライナー1360と外側ジャケット1365とを具える。内側ライナー1360と外側ジャケット1365は、ポリテトラフルオロエチレン「PTFE」、ポリエチレンテレフタレート「PET」、高密度ポリエチレン「HDPE」、発泡ポリテトラフルオロエチレン「ePTFE」、ウレタン、シリコーンなどの適切な移植可能なポリマー材料からなる。内側ライナー1360および外側ジャケット1365は、補強部材1345のカット1330を、管腔1341および細長い部材の外面1370のそれぞれから、実質的に完全にまたは部分的に覆うように構成される。このような構成では、補強部材1345は、選択的なカット1330によって提供される柔軟性と、補強部材1345によって部分的に得られるカラム強度とを保持しながら、それぞれの内側ライナー1360と外側ジャケット1365で覆われたカット1330を有する不浸透性の管状部材となる。
内側ライナー1360は、補強部材1345の管腔1341に滑らかな内面を提供し、シャント(または管腔を介して送達される他の送達システムまたはデバイス)の移動および送達を促進する。さらに、内側ライナー1360は、押出プロセスを用いて内部補強部材1345を整列させるように構成することができる。あるいは、ライナーの材料は、マンドレル(例えば、ニッケル被覆銅)上に(例えば、分散技術を用いて)堆積され、その後にライナー被覆されたマンドレルを補強部材1345内に配置して外側ジャケット1365を適用し、内側ライナー1360を補強部材1345に接着し、その後に内側ライナー1360を補強部材1345の管腔1341内に残してマンドレルを補強部材1345から引き抜くようにしてもよい。
外側ジャケット1365は滑らかな外面を補強部材1345に与え、曲がりくねった脈管構造を通る送達カテーテル1304の移動を容易にする。上述のように、外側ジャケット1365は、限定しないが、ポリウレタンまたはシリコーン−ポリウレタンブレンドを含む1以上の移植グレードのポリマーを含むことができる。いくつかの実施例では、ポリマーの分散気体または液体が、補強部材1345および内側ライナー1360に適用され、これが外側ジャケット1365を構成し、内側ライナー1360と、補強部材1345と、外側ジャケット1365とを結合して送達カテーテル1304の一体構成となる。
外側ジャケット214は、補強部材1345の外面全体を実質的に覆っていてもよいが、いくつかの実施例で、外側ジャケットは、補強部材1345の複数部分に沿って選択的に配置されて、内側ライナー1360を補強部材1345に接着するようにしてもよい。非限定的な例として、ポリマーまたはエポキシ系粘着剤の分散液を、L10に沿った個別の位置に配置することができる。あるいは、内側ライナー1360の外面をポリマーや粘着材でコーティングし、その後に補強部材1345内に配置すると、ポリマーや粘着剤がカット1330内に浸透し、L10に沿ってカット1330の一部または全部を実質的に完全にまたは部分的に充填することができる。
図12Cの実施例では、内側ライナー1360の厚さは0.0005インチ(0.0127mm)であるが、この内側ライナー1360の厚さは、他の実施形態では0.0005インチ(0.0127mm)から0.0015インチ(0.0381mm)の範囲としてもよい。図12Cの実施例では、外側ジャケット1365の厚さは0.001インチ(0.0254mm)であるが、当該外側ジャケット1365の厚さは、他の実施形態では0.0001インチ(0.00254mm)から0.001インチ(0.0254mm)の範囲としてもよい。補強部材1345の内側ライナー1360と外側ジャケット1365とは、任意の適切な寸法を有してもよいことを理解されたい。
図12Aに戻ると、補強部材1345はさらに、細長い部材の遠位部分1344に延びるかまたは配置された一体化された穿通要素1350(例えば、尖った、先細の、カニューレ状の、端部、傾斜部、ペンシル部、またはクインケ尖端針など)を具え、これは図12Dにも示されている。本書および前に参照により本書に組み込まれた関連出願に開示されたように、穿通要素1350は、IPS壁114およびクモ膜層115の硬膜を貫通して、IPS102とCSFが充填されたCP角槽138との間にシャントを展開するための吻合を形成するように構成されている。穿通要素1350の近くに設けられたカット1330が、送達カテーテル1304の遠位部分1344に適切な柔軟性を提供し、これにより、IPS壁114およびクモ膜下層115を貫通するときに遠位部分1344で穿通要素1350を支持するのに適したカラム強度を維持しながら、遠位部分1344が曲がり、湾曲し、および/または、穿通要素1350をIPS壁114の方へ配向させることができる。補強部材1345の遠位部分1344と一体化し、および/または、ここから延在する穿通要素1350によって、送達カテーテル1304を患者から引き抜くときに、穿通要素1350の確実な引き抜きが可能となる。
図13A−Fは、開示された発明の実施形態に従って構成された、患者の標的部位にシャントを送達するための別の代替の送達カテーテル1304'を示す。説明の容易のため、図13A−Fの送達カテーテル1304'において、図12A−Fの送達カテーテル1304と同じか類似の特徴、機能、寸法および構成には同じ符号が付され、本明細書に組み込まれる。送達カテーテル1304'は、近位部分1342と、遠位部分1344'と、それらの間に延びる管腔1341とを有する細長い構成を具える。送達カテーテル1304'は、カラムの強度と可撓性(例えば、「押し出し可能性」および「トルク性」)との間の適切なバランスを提供しながら、カテーテル1304'を補強するように構成された補強部材1345'を備える。補強部材1345'は、ステンレス鋼、ニチノールなどの適切な生体適合性かつエラストマー性の材料で構成され、選択的なカット1330をさらに具える。
図12Aの補強部材1345と同様に、図13Aの補強部材1345'は、カテーテル1304'の実質的な長さ(例えば、補強部材1345'の中心軸1349に沿って測定した長さL10)に沿って延在する。あるいは、補強部材1345'は、カテーテル1304'の一部に沿って延在してもよい。軸1349に直交する方向に測定した補強部材1345'の内径(ID)および外径(OD)は、上述した補強部材1345と同じか類似の寸法および範囲を有してもよい。送達カテーテル1304'の補強部材1345'のID、ODおよび/またはL10および任意の他の長さ、幅、または厚さは、標的部位(例えば、IPS、CP角槽など)にシャントを送達するための任意の適切な寸法を有してもよいことを理解されたいである。例示的な寸法(インチ)と補強部材1345'の特性を図13Fが示されており、これは図13A−Cの実施例を限定するものではない。
図13A、13Cの実施例では、補強部材1345'は、補強部材1345’の近位部分1342および遠位部分1344'に選択的に設けられた1またはそれ以上のカット1330(例えば、切れ目、スロット、キー溝、窪みなど)を具える。さらに、1またはそれ以上のカット1330は、図13Aの複数セクションに切口、ピッチ、回転あたりのカットおよびカットバランスの例示的な螺旋カットパターンで示すように、L10に沿って補強部材1345'の複数セクションに設けることができる。あるいは、カット1330は、L10に沿って実質的に連続的に配置することができ(図示せず)、連続的に配置されたカット1330は、切口、ピッチ、回転あたりのカット数、L10に沿ったカットバランスまたはこれらの組み合わせを有してもよい。
補強部材1345'のカット1330は、様々な適切なパターンを有することができ、送達カテーテル1304'の細長い部材1345'のレーザカッティングによって作成することができる。代替的に、カット1330およびそのパターンは、エッチングや他の適切な技術で作成してもよい。図13D−Eは、図13A−Cの補強部材1345'の例示的なカットパターンを示す。これらの実施例では、補強部材1345'のレーザカッティングは、補強部材1345'の1回転あたり1.5〜2.5のカット1330を作り、カットバランスはレーザがオンの状態で100°〜202°、次いでレーザがオフの状態で34°〜38°である。
図13Aに示すように、近位部分1342に設けられた補強部材1345'のカット1330は、補強部材1345'の遠位部分1344'に設けられたカット1330のピッチ(例えば、0.004〜0.012)よりも大きなピッチ(例えば、0.013)を有する。非限定的な例として、補強部材1345'の近位部分1342に設けられたカット1330を形成する螺旋カットパターンは、切口が0.001、ピッチが0.013、回転当たり2.5のカットを形成し、カットバランスがレーザオンで100°回転、次にレーザオフで34°回転である。補強部材1345'の近位部分1342と遠位部分1344'との間に設けられたカット1330を形成するために適用される螺旋カットパターンは、切口が0.001、ピッチ遷移が0.009から0.013、回転あたり2.5のカットを形成し、カットバランスがレーザオンで100°回転、次いでレーザオフで34°回転である。補強部材1345'の遠位部分1344'に設けられたカット1330を形成するために適用される螺旋カットパターンは、切口が0.001、ピッチ遷移が0.004から0.012、回転ごとに1.5のカットを形成し、カットバランスがレーザ音で202°回転、次いでレーザオフで38°回転である。送達カテーテル1304'の補強部材1345'におけるカット1330の幅、長さ、深さおよびカット1330のパターンは、任意の適切な寸法を含み得ることを理解されたい。
さらに、補強部材1345'は、先に図12Cで説明したように、補強部材1345の内側ライナー1360と外側ジャケット1365とを具えてもよい。
図13Aに戻ると、補強部材1345'は、補強部材1345'の遠位部分1344に設けられた1またはそれ以上のスロット1380をさらに具える。スロット1380は、補強部材1345'の軸1349の方向に長手方向に設けることができる。これらのスロット1380は、穿通要素(図示せず)の近位に設けられた突起にそれぞれ係合し、穿孔要素を補強部材1345'の遠位部分1344'に固定するように構成される。さらに、補強部材1345'のスロット1380と穿刺要素の突起との間の境界は、溶接、接着および他の適切な技術によってさらに固定することができる。
図14A−Dは、開示された発明の別の実施例による血管内シャント送達アセンブリ2300を示す。この送達アセンブリ2300は、送達カテーテル2304と、内部管状部材または拡張器2361と、送達ガイドワイヤ2308とを具える。送達カテーテル2034は、近位部分(図示せず)と、遠位部分2344と、それらの間に延びる内部管腔2305とを具える。拡張器2361は、送達カテーテル2304の管腔2305内に同軸に配置され、送達ガイドワイヤ2308は、拡張器2361内に同軸に配置されている。カテーテル2304の遠位部分2344は、遠位端開口部2346および側部開口部2377を具える。送達カテーテル2304の遠位端開口部2346は、テーパ状であってもよいし、拡張器2361とデリバリガイドワイヤ2308とが通れるようにする任意の適切な構成を含んでもよい。送達カテーテル2304の側部開口部2377は、IPS壁114の方へシャントおよび/または穿通要素が通れるような寸法および形状であり、開示された発明によれば、さらに放射線不透過性材料や、または画像形成のためのマーキングを含んでもよい。
送達カテーテル2304はさらに、適切なカラム強度を提供するハイポチューブを具えてもよく、このハイポチューブは、先に図12A−13Eで説明したように、カテーテル2304に適切な柔軟性を提供する選択的なカットを具えてもよい。送達カテーテル2304は、図12A−13Eに記載のように、潤滑性を高め送達システムのさらなる構成要素が送達カテーテルの管腔2305を通過できるようにするための1以上の内側ライナーを具えてもよいし、さらに1以上の外側ジャケットを具えてもよい(例えば、Pebaxや他の適切なポリマー材料)。
送達カテーテル2304はさらに、図14B−Eに示すように、カテーテル2304の近位部分(図示せず)から遠位部分2344まで延びる追加の管腔2317を具える。送達カテーテル2304の管腔2317は、図14C−Dからよく理解されるように、カテーテル2304の側部開口部2377の反対側に配置されている。プルワイヤ2327がカテーテル2304の管腔2317内に配置されており、カテーテルの近位部分(図示せず)またはその向こうから、カテーテル2304の遠位部分2344まで延びている。プルワイヤ2327は、少なくともカテーテルの遠位部分2344の、カテーテルの開口部2377より遠位の部分に固定的に連結されている。図14Cに示すように、プルワイヤ2327は、カテーテルのテーパした遠位端部分2344'に結合されてもよい。プルワイヤ2327は引っ張られると、送達カテーテル2304の遠位部分2344を曲げて、側部開口部2377をIPS壁114の方に向け、シャント200および/または穿通要素250の送達を可能にするように構成されている(図14Cおよび14E)。
プルワイヤ2327を有する送達カテーテル2304は、静脈へのアクセス部位から患者に導入することができる。ガイドワイヤ2308は、IPS102と頸静脈108および/または頸静脈106(図2A)との接合部118を越えて、IPS102または海綿静脈洞(CS)104のより遠位の位置に通すことができる。送達カテーテル2304および拡張器2361のテーパした遠位部分2344は、曲がりくねった小径の頭蓋内静脈チャネル、例えばJV−IPS接合部118へのアクセスを容易にする。代替的に、拡張器2361のない送達カテーテル2304をガイドワイヤ2308上に進めることができる。この拡張器2361のない代替実施例では、送達カテーテル2304の遠位部分2344が、ガイドワイヤ2308の方へさらに先細りし、カテーテルは、拡張器上のカテーテルよりも小さい直径を有することができる。その後、送達カテーテル2304は、開口部2377がIPS壁114に沿った標的穿通部位に適切に配向し、面し、または隣接するまで、IPS102の湾曲部分に沿って移動される。
IPS壁114を穿孔して吻合を形成し、CP角槽138にアクセスする前に、前述した画像化方法に従って、送達カテーテル2304の遠位部分2344の適切な向き、特に開口部2377の正しい向きを確認する。必要に応じて、例えば、送達カテーテル2304の本体に直接回転力を加えることによって、送達カテーテル2304の遠位部分2344における開口部2377の位置および向きを調整することができる。ガイドワイヤ2308と拡張器2361は、開口部2377の適切な配向が達成される前、その間、またはその後に、送達カテーテル2304から取り除かれる。
開口部2377が適切な配向となると、施術者はプルワイヤ2327の近位部分を引っ張ってプルワイヤ2327を近位方向に引き戻し、送達カテーテルの遠位部分2344を湾曲させ、これによってシャント移植手順の次の浸透ステップのために、開口部2377がIPS壁114に沿った標的穿通部位に向けて、および/または、それに対して配置される(図14E)。プルワイヤ2327は、脈管系を通るシステムの操縦を支援するために、シャントの送達前および送達中に操作することができる。すなわち、プルワイヤ2327を操作すると、送達カテーテルの遠位部分2344が関節運動して、患者の脈管構造内の特定の位置にアクセスすることができる。さらに、オペレータはプルワイヤ2327を操作して、IPS壁114に沿った目標貫通部に対する開口部2377の配置を制御し、それによって穿通要素の軌道をIPSからCP角槽138へと向けることができる。シャントおよび/または穿通要素(例えば、シャント管腔内に配置されたスタイレットを有するシャント、あるいは他の適切な開示されたシャントおよび/または穿通要素)は、送達カテーテルの管腔2305を通って進められ、IPS壁114を通ってCP角槽138内へと進められる(図14E)。遠位の放射線不透過性マーカー(例えば、シャントの金の先細の遠位部分)を有するシャント200と、シャント管腔内に配置されたスタイレット250とは、送達カテーテル2304の開口部2377からIPS壁114を通って前進する。シャント200とスタイレット250は、シャント遠位のアンカー機構229(例えば、マラコット)が(図7E−Fに示すように)CP角槽138内に展開するまで、IPS壁114を通って前進する。その後、送達カテーテル2034を患者の脈管構造から引き抜く前に、スタイレット250をシャント205から取り外し、プルワイヤ2327を解放することができる。
図15A−Zは、開示された発明の実施形態に従って構成され移植された別の例示的なシャント2200を示す。シャント2200の近位部2204は、アンカー機構2227(すなわち、近位アンカー)と、弁2209(例えば、ダックビル、クロスカット、弾性ヴェイル(elastic vales)、本書記載の成形シリコーンバルブ、または他の好適な一方向弁)とを具える。シャント2200の遠位部分2202は、アンカー機構2229を具える。このシャント2200は、近位部2204と遠位部2202との間に延びる細長い本体2203をさらに有する。アンカー機構2227、2229は、シャント2200の展開構成(図15A)において半径方向外側に配置される複数のそれぞれ変形可能な要素2227a、2229a(例えば、アーム)を具える。アンカー機構2227、2229は、例えばニチノール(Nitinol)(登録商標)のような超弾性材料から構成された場合に、予形成された拡張構成または展開構成を有してもよい。展開されたアンカー機構2227は、頸部球根108、頸静脈106、IPS壁117、および/またはIPS102の別の部分と係合し、シャント2200の近位部分2204を頸静脈106内に固定し、これによって弁2209が頸静脈106内に配置されるか、図7E−Fに示すように、少なくとも頸静脈を通って流れる血液に面する(例えば、静脈に向かって横方向に配置される)。あるいは、アンカー機構2227は、接合部118(図示せず)でIPS壁114、117と係合してもよい。展開されたアンカー機構2229は、シャント2200の遠位部分2202をCP角槽138内に固定し、これによりCSFが移植されたシャント2200を通って頸静脈106へと流れるに流れる(例えば、図7E−F)。
アンカー機構2227、2229は、シャント2200のそれぞれの近位部2204と遠位部2202の部分の長さに沿った一連のカット2222、2222'(例えば、溝、スロット、キー溝、窪みなど)によって形成され(図15C1−G)、変形可能な要素2227a(図15A−E)および2229a(図15A、図15D−E、15G、15J)を構成している。カット2222、2222'およびそれらのパターンは、好ましくは、レーザカッティング、エッチングまたは他の適切な技術によって作成される。図15D−Fは、シャント2200の近位部2204におけるカット2222の例示的なパターンおよび相対寸法を示し、変形可能な要素2227aを形成するカット2222がフレア状に開いた(例えば、漏斗状、花弁状など)展開構造へと構成される(図15A−B、15I)。図15Bの斜視図に詳細に示されるように、アンカー機構2227のフレア状に開いた展開構造の変形可能な要素2227aは、マルコー遠位アンカー2229の構成と組み合わされて、図15Aに示すような「フレアコット」シャント構造を提供する。さらに、図15Iは、フレア状のアンカー機構2227の別の斜視図を示す。変形可能な要素2227aは、アンカー機構2227をフレア状に展開するのを補助するための、ヒンジ地点2227b(例えば、リビングヒンジ、ジョイントなど)を具える。変形可能な要素2227aの各々は、図15Iに示すように、複数の閉鎖セル2227gを確定する1以上の隣接する変形可能な要素2227aに連結されている。複数の閉鎖セル2227gを有するアンカー機構2227は、シャント2200の近位部2204を頸静脈106内に固定する際に、破壊を最小限にし、流体(例えば、血液、CSF)がアンカー機構2227を通過できるように構成される。図15Mは、例示的なフレア状に開いたアンカー機構2227の周辺領域を示す図である。代替的に、アンカー機構2227は、変形可能な要素2227aに連結されたライナー、メッシュ、編組、または他の適切な透過性材料またはそれらの組み合わせを含んでもよい。他の実施例では、アンカー機構2227が、当該アンカー機構が展開されたときにフレアコット形状に広がるように構成されたライナー、メッシュ、編組、または他の適切な浸透性材料またはこれらの組み合わせから構成されてもよい(図示せず)。
図15A−Bおよび15Iのアンカー機構または近位アンカー2227を再び参照すると、変形可能な要素2227aは、シャント2200の送達中に画像化目的のための1以上の放射線不透過性マーカー2227c(例えば、金または他の適切な放射線不透過性材料)を含み得る。これらのマーカー2227cは、アンカー機構2227を患者内の標的部位への展開および/または配置を補助する。さらに、適切なマーカー2227cは、変形可能な要素2227aの中/上に、包含され(例えば、埋め込まれ、取り付けられ、結合され)、または適用(例えば、コーティング)することができる。図15A−Bおよび15Iに示す近位アンカー2227上の放射線不透過性マーキングスキームにより、アンカーが半径方向に圧縮された構造から展開された構造に移行する際に、頸静脈106辺りでの近位のアンカー機構の展開をオペレータが視覚化することができる。図15A−B、15Iの実施例では、変形可能な要素2227aの各々は、第1端部2227a'と第2端部2227a"とを具え、少なくとも2つの変形可能な要素2227aは、インターロック要素2227dを有するそれぞれの第1端部2227a’で連結されている。アンカー機構2227は、それぞれマーカー2227cを有する1またはそれ以上のインターロック要素2227dを具える。アンカー機構2227のインターロック要素2227dは、シャント2200を図15C−1にさらなる詳細を示す送達システム(例えば、プッシャ部材など)に着脱可能に係合するような寸法と大きさを有する。各インターロック要素2227dは、図15A−B、15I、15Kに示すように、実質的に丸い形状を有し、図15C−1、15C−2、15Lに示すように、送達システムに適合すべく送達形態で弧を描くように構成されている。インターロック要素2227dは、球形、長方形などの他の任意の適切な形状であってもよい。さらに、各インターロック要素2227dは、それぞれのマーカー2227cを受けるように構成された凹部2227e(例えば、穴、アイレット、キャビティなど)を有する(図15K)。図15A−B、15Iに示すように、マーカー2227cは、それぞれのマーカー2227cを対応する凹部2227eに押し込むことによってリベットとして形成される。マーカー2227cは、図15A−B、15Iに示すように、インターロック要素2227dから伸長または突出(例えば、リベット留め)してもよいし、図15Lに示すように、インターロック要素2227dと同一面(例えば、溶接)であってもよいし、他の適切な技術またはそれらの組み合わせによってインターロック要素2227dに連結されてもよい。
近位アンカー2227のインターロック要素2227dは、図15C−1、15C−2に示すように、プッシャ部材3310の遠位部分3314に連結されたインターロック要素3336と着脱可能に係合する(すなわち係合および離脱する)ように形成され構成される。プッシャ部材3310(例えば、ステンレス鋼ハイポチューブ(図15C−1、15C−2)などのハイポチューブ)は、可撓性を高めるための複数のカット3311と、画像化目的のための放射線不透過性マーカー3314(図15C−1および15C−2)と、図23A−Lにさらに示すように、アンカー機構2227の対応するインターロック要素2227dと相互係合するように構成された遠位インターロック要素3336と(図15C−1、15C−2)を具える。図15C−1、15C−2は、シャント2200のプッシャ部材3310とアンカー機構2227との間の境界部を示しており、近位アンカー2227のインターロック要素2227dがプッシャ部材3310のインターロック要素3336と係合している。図15C−1はさらに、弁2209が、圧縮されたアンカー機構2227内のシャント2200の近位部分2204上に配置された状態を示す。プッシャ部材3310は、弁2209との接触、衝突または干渉を回避しつつ、送達カテーテルを通してシャント2200を送達するように構成されている。インターロックされたアンカー機構が送達カテーテル3304の管腔3305内に圧縮されたままであるとき、オペレータは、プッシャ部材3310を介してシャントを展開する前に、送達カテーテル内でシャント2200を前進させたり後退させたりすることができる(例えば、シャント移植処置の貫通ステップ中にわずかに穿通要素3350の近位側にシャントを進めて送達カテーテル3304にさらなるカラム強度を付与したり、送達カテーテル3304の後に管腔3305を通してシャント2200を進めて、送達アセンブリの可撓性を維持しつつ曲がりくねった解剖構造にアクセスする)。
図15A−Iの実施例では、近位アンカー2227は、予形成されたフレア構造を有する超弾性材料(例えば、Nitinol(登録商標))で構成される。プッシャ部材3310を並進させ、および/または送達カテーテルを引き戻すことによって、シャント2200の近位部分2204が送出カテーテルから出るときに、プッシャ部材3310を所定位置に保持し、あるいは保持せずに、アンカーのインターロック要素2227dはアンカー2227によってプッシャ部材3310のインターロック要素3336から外れ、図15A−B、15Iに示すフレア構造となる。いくつかの実施例では、近位アンカー2227のフレア構成、および/またはアンカーインターロック要素2227dをプッシャ部材3310のインターロック要素3336から外すことは、オペレータによって操作および制御されてもよい。
シャント2200のアンカー機構または遠位アンカー2229を再び参照すると、図15Gは、シャント2200(図15A、図15D−Eおよび図15G)の遠位部分2202におけるカット2222'の例示的なパターンおよび相対寸法を示す。カット2222'は平行で、半径方向に間隔が空けられ、展開時に半径方向外側に延びるよう構成された変形可能な要素2227aがマレコット構成(図15A、15J)を形成される。変形可能な要素2229aの各々は、ヒンジ様の動作でシャント2200の軸から半径方向外側に動くように構成されたそれぞれのヒンジ状地点2229b(例えば、リビングヒンジ、ジョイントなど)を有し、これによって展開時に変形可能な要素2229aが外側に配置される。遠位アンカー2229の変形可能な要素2227aを形成するカット2222'は、シャント2200の軸に沿って実質的に長手方向であり、これによってシャント2200の遠位アンカー2229および/または遠位部分2202が、標的部位での展開時に適切なカラム強度および押し出し可能性を維持する。
図15Hは、シャント2200の細長い本体2203に沿ったカット2210の例示的なパターンおよび相対寸法を示す。細長い本体2203のカット2210は、様々な適切なパターンを有することができる。カット2210およびそのパターンは、好ましくは、シャント2200の細長い本体2203のレーザカッティングによって作成される。代替的に、カット2210およびそれらのパターンは、エッチングまたは他の適切な技術で作成してもよい。例えば、本体2203の縦軸に直交するように配向されたレーザと、固定具に対して本体を回転させ前進させながら本体2203を保持可能なレーザとを用いて、シャント本体2203に特定のカットパターンを形成するようにレーザを作動させたり停止させたりすることができる。細長い本体2203のレーザカッティングは、本体が回転するごとに1.5のカット2210を生成し、カットバランスはレーザオンで約210°回転、次いでレーザオフで30°回転である。さらに、図15Hの実施例では、カットパターンのピッチは約0.0070インチ(0.1778mm)であるが、各カット2210は様々な幅を有することができ、例えば0.005インチ(0.12446mm)でもよい。さらに、カットパターンのピッチは変化してもよい。例えば、図15D−Eに示すように、シャント2200の近位部分2204および/または遠位部分2202の近くに設けられる本体2203のカットパターンのピッチは、本体2203の中央部に沿ったカットパターンのピッチよりも大きく/広くてもよい。図15Nの例示的な実施例に示すように、シャント2200の遠位部分2202の近くに設けられたカットパターンのピッチを隣接するピッチよりも大きくして、シャント2200の遠位部分2202の近くに設けられた本体2203の部分2203aと2203bが隣接する部分2203より幅広くなるようにしている。シャント2200の近位部2204と遠位部2202の近くに設けられる本体2203のカットおよび/または部分を幅広くすると、シャント2200に張力緩和が提供され、シャント2200の各部を歪み、破壊、破損または分離から保護しつつ、シャント2200の細長い本体2203または長手方向軸に対するシャント2200の近位部2204と遠位部2202の各々の動きが可能となる。図15O−15Qは、シャント2200の近位部2204のアンカー機構2227のカット2222、細長い本体2203のカット2210、および遠位部2202のアンカー機構2229のカット2222'のそれぞれの例示的なカットパターンの二次元図を示す。
さらに、図15R−Wは、開示された発明の実施例によるシャント2200の特徴の追加の図および例示的な相対寸法を示す。展開された非拘束構成におけるシャント2200の長さは、図15Rに示すように、約0.693インチ(17.602mm)から0.040インチ(1.016mm)の範囲となり得る。展開された、非拘束構成の図15Sのシャント2200の側部斜視図に示すように、本体2203の長さは約0.271インチ(6.883mm)であり、フレア構成の近位アンカー2227の長さは約0.091インチ(2.312mm)であり、マレコット構成の遠位アンカー2229の長さは約0.101インチ(2.565mm)から0.010インチ(0.254mm)の範囲であり得る。図15Tは、フレア構成の近位アンカー2227の正面図であり、約0.180インチ(4.572mm)から0.020インチ(0.508mm)の範囲の直径を有する。図15Uは、フレア構成の近位アンカー2227の詳細図を示す。図15Vは、マレコット構成の遠位アンカー2229の側面図であり、図15Wは遠位アンカーの正面図であり、これは約0.143インチ(3.632mm)から0.020インチ(0.508mm)の範囲の直径を有する。
図15X−Zは、開示された発明の実施形態による血管内シャント2200を示す。図15E、図15Xの実施例と同様に、アンカー機構2227を有する近位部分2204と、複数のカット2210を有する本体2203と、アンカー機構2229を有する遠位部分2202とを具えるシャント2200の構造フレームを、拘束された送達構成で示している。シャント2200の本体2203は、図15Y−Zによく見えるように、CSFがシャントおよび選択的に外側ジャケット2214を通って流れるように、密封された流体導管を提供する内側ライナー2212を具える。内側ライナー2212と外側ジャケット2214は、ポリテトラフルオロエチレン「PTFE」、ポリエチレンテレフタレート「PET」、高密度ポリエチレン「HDPE」、発泡ポリテトラフルオロエチレン「ePTFE」、ウレタン、シリコーンなどの適切な移植可能なポリマー材料で構成される。好ましくは、内側ライナー2212は、HDPE、PET、PTFE、シリコーン、またはウレタンのといった、シャント管腔の長期の開存性を維持するためにシャント管腔2207を通って流れるCSFのタンパク質および細胞の凝集を阻止する材料で構成される。内側ライナー2212と外側ジャケット2214は、シャント管腔2207内とシャント本体2203上のそれぞれから、細長い本体2203のカット2210を実質的に完全にまたは部分的に覆うように構成され、そのような構成において、細長い本体2203は、内側ライナー2212と、任意で外側ジャケット2214とを支持するフレームとなる(図15Y−Z)。内側ライナー2212と、シャント本体フレーム2203と、外側ジャケット2214とを有するシャント2200は、静脈および洞血流に対して不透過性であり、一体化されたライナー・フレーム・ジャケットの構成が、カット2210がシャント2200に与える柔軟性と所定の構造とを維持する。
内側ライナー2212は、シャント管腔2207内に滑らかな表面を付与し、クモ膜下腔116と槽138との間の通常の差圧(5〜12cmH2O)下でシャントを流れるCSFの層流プロファイルを維持する。前述したライナー2212の選択基準に加え、シャント管腔2207内の層流を維持すると、タンパク質の堆積や細胞凝集による閉塞のリスクがさらに排除または低減される。ライナー2212は、押出プロセスを用いてシャント本体2203の内部を整列するように構成することができる。あるいは、ライナーの材料は、マンドレル(例えば、ニッケル被覆銅)上に(例えば、分散技術を用いて)堆積され、その後にライナー被覆されたマンドレルをシャント本体2203内に配置して外側ジャケット2214を適用し、内側ライナー2212をシャント本体2203に接着し、その後にシャント管腔2207内に内側ライナー2212を残したままマンドレルをシャント2200から引き抜くようにしてもよい。内側ライナー2212がなければ、管腔2207内のカット2210はタンパク質や細胞が蓄積する面を提供することになり、管腔2207が閉塞されてCSFがクモ膜下腔から静脈系へと流れるのが阻害され得る。
外側ジャケット2214は滑らかな外面をシャント2200に与え、これにより、シャント本体2203の外面にカット210を有するシャント2200と比較して、IPS102における血栓形成のリスクが低減される。上述のように、外側ジャケット2214は、限定しないが、ポリウレタンまたはシリコーン−ポリウレタンブレンドを含む1以上の移植グレードのポリマーを含むことができる。いくつかの実施例では、ポリマーの分散気体または液体がシャント本体2203と内側ライナー2212に適用され、これが外側ジャケット2214を形成し、内側ライナー2212と、シャント本体2203と、外側ジャケット2214とを一体結合して、例えば図15Zに示されるようなシャント2200の一体構成となる。
外側ジャケット2214は、シャント本体2203の外面を完全にまたはほぼ完全に覆っていてもよいが、他の実施例では、外側ジャケットは、シャント本体2203のいくつかの部分に沿って選択的に配置されて、内側ライナー2212をシャント本体2203に接着するようにしてもよい。非限定的な例として、ポリマーまたはエポキシ系接着剤の分散液を、シャント本体2203の長さに沿った別個の位置(例えば、シャント本体2203の近位部、中間部、および/または遠位部)に設けることができる。あるいは、内側ライナー2212の外面をポリマーまたは粘着材でコーティングし、その後にシャント本体2203内に配置すると、ポリマーや粘着材がカット2210内に浸透し、シャント本体203に沿っていくつかまたは全部のカット2210を完全にまたは部分的に充填することができる。これらの実施例では、シャント本体2203の外側部分は、患者体内の移植部位に晒されている。図15Y−Zの実施例では、内側ライナー2212の薄さは0.0007インチ(0.01778mm)であり、細長い本体2203の壁の薄さは0.0018インチ(0.04572mm)であり、外側ジャケット2214の薄さは0.0005インチ(0.0127mm)であり得る。
上に開示した単位は、シャント2200の例示的な寸法、角度及び特性であり、これらは、図15A−Zの実施例を限定するものではないことを理解されたい。
先に開示したように、開示されたシャントの実施例は、シャント配置後のIPS内の凝固を最小限にするために、デバイス外面の全部または一部に抗血栓性コーティングを具えてもよい。そのような抗血栓性コーティングは、ホスホリルコリン(例えば、NOF Corporationから入手可能なLipidure(商標)製品)や、ヘパリンベースの組成物(例えば、Carmdea ABから入手可能なCBAS(商標)Heparin Surface)を含み得る。抗血栓コーティングはまた、アンカー700および/または細長いガイド部材780に適用し、シャント移植処置の間にIPS内での凝固のリスクをさらに最小限に抑えるようにしてもよい。
図16は、本発明の実施形態に従って構成された送達カテーテル3300を示す。この送達カテーテル3300(または送達カテーテルの最遠位部分)は、オーバーシース部材3300’’(例えば、送達カテーテルおよび/または穿通要素の外径を覆う大きな同心のシース)を具えることができる。オーバーシース3300’’は、送達カテーテルの周りで長手方向に並進することができ、処置の貫通ステップのために近位に引き戻して針先端3350’’を露出させることができる。送達カテーテル3304と穿通要素上に配置されたオーバーシース3300’’は、ガイド部材3308’’上に進められ、穿通要素の近位に位置するバンド3303’’は、シャント展開処置中の穿通要素の向きを確認し、貫通の軌跡を評価するための放射線不透過性マーキングを含む。オーバーシース部材は、送達システムが患者の脈管構造を通って移動する際に穿通要素をカバーし、これにより偶発的な血管の穿刺が防止される。オペレータは、オペレータが穿通要素を露出させるか組織を通して穿通要素をCP角槽138へ進めるまで、オーバーシースの遠位部分をIPS壁114に沿った標的部位に近接または接触するように配置する。
上述したように、図17A−Bは、開示された発明に従って構成された、標的部位にアンカー700を送達するための例示的な細長いガイド部材780を示す。図18A−Eは、開示された発明に従って構成された、標的部位にアンカーを送達するための別の例示的な細長いガイド部材780を示す。図18A−Eの細長いガイド部材780は、図3D、図12に示すような、平坦で矩形の断面プロファイルを有する。図18A−Eに示すように、細長いガイド部材780は、前述したように(例えば、直接的または間接的に、固定的または取り外し可能に結合されるなど)、ジョイント744を介してアンカー700の近位部分740に連結される。図18A−Eは、細長いガイド部材780とアンカー700との境界の例示的な相対寸法および特性を示すが、これは本明細書で開示される実施例を限定するものではない。図18D−Eの実施例では、アンカー700と細長いガイド部材780との間のジョイント744は、細長いガイド部材780をアンカー700に対して時計回りおよび/または反時計回りに回転させるように構成された回転可能な要素745を具える。ジョイント744における回転可能な要素745を介したアンカー700に対する細長いガイド部材780の独立した回転によって、アンカー700の送達中に、細長いガイド部材780がIPS102の湾曲部分を通って所望の配向をとることを可能にする。例えば、アンカー700は、IPS102でランダムな配向で送達されてもよいが、細長いガイド部材780は(必要であれば)回転によって所望の配向となるようにする。
図19A−Iは、穿通要素のガード4000を具える送達アセンブリ300の一実施例を示す。このガード4000は、シャント送達カテーテル3304(図19A)を患者の脈管構造を通してIPS壁114上の標的穿通部位への移動中、およびシャント展開後の送達カテーテル3304の引き抜き時に、穿通要素3350を覆い、それによって送達アセンブリの他の構成要素(例えば、ガイドカテーテル)や患者の血管系への不慮の穿刺または損傷を防止する。以下にさらに説明するように、オペレータはプルワイヤ4010を動かしてガード4000を近位側に引き戻して、シャント移植処置の貫通ステップの前に穿通要素3350をIPS壁114の硬膜へと露出させ、そして貫通ステップの後(例えば、シャントの遠位のアンカー機構229が展開された後)に穿通要素3350を再びカバーする。ガード4000および送達カテーテル3304上に設けられた放射線不透過性マーカーは、ガードが引き戻されて穿通要素3350が露出されているか、あるいはガードが送達構成のままであり患者の脈管構造を通って移動するために穿通要素3350を覆っているかどうかの目安を与え、これについてはさらに後述する。
図19Aを参照すると、シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344が、穿通要素3350と放射線不透過性マーカー3354を具えている。前述したように、送達カテーテル3304は、細長いガイド部材780を収容するための第1の管腔3315と、シャント2200を収容するための第2の管腔3305とを具える(図示せず)。ガード4000はプルワイヤ4010を具え、プルワイヤ4010はガード本体4000に取り付けられた遠位部4011を有し、このプルワイヤ4010は、シャント送達カテーテル3304に対してガード本体4000を近位または遠位に並進させて、穿通要素3350を少なくとも部分的に露出させるかカバーするように構成されている。プルワイヤ4010の遠位部分4011は、(以下にさらに説明されるように)ガード4000内に埋め込まれるか収納されており、放射線不透過性マーカー4015への取り付け点4011a(例えば、溶接部)を有し、(後述するように)これもガード4000内に埋め込まれている。ガード4000はさらに、穿通要素3350を受け入れ、プルワイヤ4010を介して、ガード4000が穿通要素3350および遠位部分3344の近位方向(図19Aの矢印d2の方向)および遠位方向(例えば、穿通要素3350を再びカバーするため)に引き戻せるように構成された第1の管腔または凹部4020を有する管状本体を具える。細長いガイド部材780が送達カテーテルの第1の管腔3315に入る場所の、シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344の境界点3315aにおける拡大された円周によって、ガード4000が送達カテーテル上をさらに近位に後退することが阻止される。さらに後述するように、ガード4000はプルワイヤ4010を介して遠位方向に前進して、穿通要素3350を再びカバーすることができる。図19Aに示すように、シャント送達カテーテル3304は、遠位部分3344から近位部分3342まで、送達カテーテルの全長にわたって延在する第3の管腔3325を具え、この第3の管腔3325は、ガード4000のプルワイヤ4010を収容する。
図19B、19Cは、穿通要素ガード4000の断面図と斜視図をそれぞれ示す。図19Bは、シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344に対する送達構成のガード4000を示し(図中の破線で示す)、これが穿通要素3350をカバーしている。穿通要素3350はガード400の管腔4020内であって、ガード4000の壁内に埋め込まれまたは封入された放射線不透過性マーカー4015の内側に配置される(さらに後述する)。ガード4000の長さは約0.5インチ(1.27cm)、または送達カテーテルの遠位部分3344の穿通要素3350をカバーするのに十分な他の適切な寸法とすることができる。ガード管腔4020の寸法は、ガード4000が、送達カテーテルの穿通要素3350と遠位部分3344上を、図19Aに示す矢印d2の方向によって示される近位方向に引き戻すことができる大きさである。例えば、ガード管腔4020の内径は、約0.0385インチ(0.09779cm)とすることができる。
マーカー4015は、穿通要素3350が図19Aに示すようにマーカー4015とガードの第1管腔4020内に留まれるように、(図19B−D、19Gに見られるような)円筒形の輪郭を具える。マーカー4015は、任意の適切な構成(例えば、バンド、リング、角帯、矢頭形状など)を含むことができる。ガード本体4000の壁内または上に設けられた放射線不透過性マーカー4015は、穿通要素3350に対して可動であり、したがって放射線不透過性マーカー4015は、穿通要素3350に少なくとも部分的に重なるように配置することができる。例えば、マーカー4015の放射線不透過性および/または合金の材料は、同心円状に配置された穿通要素3350を遮蔽するとともに、オペレータが曲がりくねった解剖学的構造を介して送達アセンブリ300をIPS壁114に沿った標的穿通部位へと案内する際に、送達カテーテル3304の遠位部分3344が曲がったときに穿通要素が不意にガード4000を突き抜けるのを防ぐことができる。
ガード4000の遠位部分4004は、図19B、19Cに示すように、斜めの縁部を有する。この傾斜によって、オペレータが下大静脈を越えて遠位に送達アセンブリを操縦する際に、狭くおよび/または曲がりくねった脈管構造へのアクセスが容易になる(例えば、頸静脈106とIPS102との接合部118を通るアクセスおよび操縦のため)。代替的に、ガード4000の遠位部分4004は、図19Gに示すようなアーチ状の傾斜縁部や、狭くおよび/または曲がりくねった脈管構造を通したアクセスおよび操縦を容易にする任意の適切な縁部を有してもよい。また、図19H−Iは、図19Gのガード4000の断面図である。
ガード4000はさらに、細長いガイド部材780が通過できるように構成された第2管腔4035を具える。送達カテーテル3304とガード4000を有する送達アセンブリ300は、細長いガイド部材780に沿って遠位方向に、穿通部位の方へと進み、したがってガイド部材780は、ガード4000の第2管腔4035と送達カテーテル3304の管腔3315とを通過する。ガード4000の実施例は、IPSまたはCSに送達カテーテルが容易に追従するように最適化されている(例えば、管腔3315の寸法や、ガード4000の材質の剛性等を変化させる)。
図19Dは、ガード4000のプルワイヤ4010と放射線不透過性マーカー4015のサブアセンブリを示す。プルワイヤ4010は、PFTE被覆ステンレス鋼または他の適切な材料を含むことができる。プルワイヤ4010の直径は、約0.003〜0.012インチ(0.0762〜0.3048mm)の範囲であり得る。図19B−Dに性メスプルワイヤ4010は円形の断面プロファイルを有するが、他のプルワイヤの実施例は非円形の断面プロファイル(例えば、長方形)を有してもよい。プルワイヤ4010のPTFEコーティングは、送達カテーテル3304の第3管腔3325内におけるワイヤの潤滑性を増大させ、これにより、穿通要素3350(図19Dには図示せず)を露出し、再カバーするガード4000の近位および遠位の作動が円滑になる。放射線不透過性マーカー4015は、白金−イリジウムが90/10の合金か、十分な放射線不透過性を呈しマーカーとプルワイヤ4010の遠位部分4011との間の接続点4011aを可能にする他の適切な材料を含むことができる。マーカー4015の内径は、0.0385'であってもよいし、送達カテーテル3344の遠位部分と穿通要素3350とを収容するのに十分なガード管腔4020に適合する他の適切な寸法であってもよい。図19Dに示すように、プルワイヤ4010の遠位部分4011は、プルワイヤ4010の本体部分に描かれたPTFEコーティングを有さず、プルワイヤのコーティングされていないステンレス鋼の遠位部4011に、放射線不透過性マーカーの溶接または他の接続点4011aが可能であってもよい。
図19E、19Fは、それぞれガード4000の近位部分4002と遠位部分4004の断面図を示す。図19Eに示すように、マーカー4015とプルワイヤ4010は、ガード4000内に埋め込まれているか包含されている。ガード4000は、ポリエーテルブロックアミド(Arkema Groupから入手可能なPebax(商標))、HDPE、PTFE、ウレタンなどのポリマー材料を含むことができる。ガード4000のPebaxの実施例は、硬度が25Dから72Dの範囲であり得る。(例えば、Pebax63D)。ガード4000の壁厚は、ガードの上から下への向きに応じて変化し得る。ガード4000の頂部(図19Eの線Aで表される)は、約0.001から0.006インチ(0.0254から0.1524mm)またはそれ以上の範囲であり得る。ガード4000の底部(図19Eの線Bで表される)は、約0.006から0.014インチ(0.1524から0.3556mm)またはそれ以上の範囲であり得る。
先に開示したように、シャント移植処置の際に、オペレータは、IPS壁114に沿って標的穿通部位の遠位にアンカー700を展開することができる。その後、オペレータは、シャント送達カテーテル3304と穿通要素ガード4000とを含む送達アセンブリ300を、細長い部材780を介して標的穿通部位へと進める。送達カテーテル3304の遠位部分3344上の放射線不透過性マーキング3354と、ガード4000内の放射線不透過性マーキング4015とが、標的穿通部位における送達アセンブリと穿通要素3350の位置をオペレータに視覚化するための基準点を提供する。オペレータがIPS壁114を貫通する準備ができたら、オペレータはプルワイヤ4010の近位端を近位に引っ張ると、ガード4000が送達カテーテルの遠位部分3344上を近位方向に引き戻され(図19Aの矢印d2の方向で示す)、穿通要素3350を送達アセンブリ300から露出させる。ガード4000内で、マーカー4015が送達カテーテルの遠位部分3344上のマーカー3354に向かい、および/またはそこに当接する(例えば、図19Aの矢印d2の方向)のが観察できれば、ガード4000が適切に作動し、穿通要素3350が患者の脈管構造内で送達アセンブリから露出していることが確認できる。逆に、シャント移植の後、オペレータは、プルワイヤ4010を遠位に前進させて穿通要素3350を再びカバーして、ガード4000が送達または引抜き構成(例えば、穿通要素がIPS102または頸静脈106の管腔に露出していない)にあることを確認することができる。
図20は、穿通要素ガード4000の別の実施例を示す。説明の容易のために、図20において、穿通要素ガード4000およびシャント送達カテーテル3304と同じ構成には、図19A−Fと同じ符号を付してある。ガード4000は、当該ガード4000の全長が「オーバーシース」構成であり、すなわちガード4000は、シャトル管腔4020内に同心配置された送達カテーテル3304の長さに沿って、それを越えて延在するシースである。ガード4000は、例えばオペレータがガード4000の近位部分を引っ張ることによって近位(図20の矢印d2の方向)に引き戻して、保護された穿通要素3350のカバーを取って露出させることができる。任意で、ガード4000は、ガードの引き戻しを容易にするために、(例えば、ガードの長軸に沿って)分割あるいは破断できる刻み目または脆弱部分(図20に点線d1で示す)を有してもよい。
ガード4000は、細長いガイド部材780を収容する第2の管腔4035を具える。図20に示すように、管腔4035は、ガード4000の遠位部分または端部から延在し、ガード4000の遠位部分に位置する出口ポート4035aを具えることができる。図19A−Fに関して説明したガード構成と比べて、図20に示すガードは、シャント送達カテーテル3304内のプルワイヤ4010および対応するプルワイヤ管腔3325を取り除くことによって送達アセンブリ300の設計を単純化している。
図23A−Lは、開示された発明の実施形態に従って構成されたプッシャ部材3310を示す。図15C−1、15C−2に示すように、プッシャ部材3310は、複数のカット3311(図23A、23C)と、放射線不透過性マーカー3314(図23A、23E−G)と、遠位インターロック要素3336(図23A、23H−L)とを具える。複数のカット3311は、図15A−Zのシャント2200の送達中にプッシャ部材3310の可撓性を増加させるように構成される。放射線不透過性マーカー3314は、画像化の目的でプッシャ部材3310の遠位部分3312に配置され、遠位インターロック要素3336は、前述したように、シャント2200のアンカー機構2227の対応するインターロック要素2227dと相互ロックするよう構成される。図23A−Lは、プッシャ部材3310、放射線不透過性マーカー3314、および遠位インターロック要素3336の例示的な相対寸法、カットパターン、角度、構成および/または特性を開示する。開示された寸法、カットパターン、角度、構成および/または特性は例示的なものであり、図23A−Lの実施形態を限定するものではない。
図25A−Mは、開示された発明の実施形態に従って構成され移植されたさらに別の例示的なシャント2200'を示す。説明の容易のために、シャント2200'において図15A−Zのシャントと同じか類似の特徴、機能、寸法および構成には同じ符号が付され、ここに組み込まれる。シャント2200'は、近位部2204'と遠位部2202との間に延在し、それらの間に管腔(図示せず)を有する細長い本体2203を具える。シャントの本体2203は、図25A、25D−Eに示すように、シャント2200'の可撓性を、例えば本体近位部分2203a(可撓性が低い)から本体遠位部分2203c(可撓性が高い)へと変化させるように構成された移行領域を形成する選択的なカット2210(例えば、溝、スロット、キー溝、窪みなど)を具える。図25Eに良好に示されるように、本体近位部分2203aはカット2210を有しておらず、カット2210は本体中央部分2203bおよび本体遠位部分2203cに設けられ、本体遠位部分2203cは本体中央部分2203bよりも多くのカット2210を有している。図25A、25D−Gの実施例では、カット2210のパターンは、選択された角度で本体を回転させながら、レーザと本体が互いに対して動くときに細長い本体2203をレーザカッティングすることによって達成することができる。いくつかの実施例では、カット210は、エッチングや他の適切な技術によって作成することができる。シャント2200'の本体2203は、伸張可能なエラストマー/ポリマーの、カバー/ライナー(図示せず)をさらに具え、このカバー/ライナーは、先に開示したように、外側ジャケットおよび/または内側ライナーであってもよい。カバー/ライナーは、ポリテトラフルオロエチレン「PTFE」、ポリエチレンテレフタレート「PET」、高密度ポリエチレン「HDPE」、発泡ポリテトラフルオロエチレン「ePTFE」、ウレタン、シリコーンなどの適切な生体適合性ポリマー材料からなる。カバー/ライナーは、シャント2200'の本体2203のカット2210を実質的に完全にまたは部分的に覆うように構成される。
シャント2200'の近位部2204'は、シャント2200'の遠位アンカー機構2229や図15Aの前述した遠位のアンカー機構2229(例えばマレコット)と同様のアンカー機構2227'(すなわち近位アンカー)をさらに具える。アンカー機構2227'、2229は、シャント2200'の展開形態において半径方向外側に配置された複数のそれぞれの変形可能要素2227a'および2229a(例えば、アーム)を具える。アンカー機構2227'、2229は、それぞれの展開された拡張構成へと偏向されており(例えば、Nitinol(登録商標)のような超弾性材料から構築されている)、送達形態に収縮されて送達カテーテルを展開部位へと通される。図25A−B、25D−Eに示すように、近位のアンカー機構2227'はさらに、図26A−Fのプッシャ部材3310の対応するインターロック要素3336'/3336bと相互係合するように構成された近位のインターロック要素2227d'を具える。近位のインターロック要素2227d'およびそのパターン(図25H、25M)は、好ましくはレーザカッティング、エッチングまたは他の適切な技術によって作成される。図25A−Mのシャント2200'と、図15A−Bのシャント2200との違いは、シャント2200'の近位のアンカー機構2227'がマレコット構成を具え、さらにアイレット、スロット、凹部、溝などのインターロック要素2227d'を具えることである。近位のインターロック要素2227d'は、図25B、25F−Hでよく理解できる。アンカー機構2227'、2229は、それぞれ放射線不透過性マーカー2227c'、2229c(例えば、環状、リング、斜め矢印のマーカーなど)をさらに有する。マーカー2227c'、2229cは、任意の適切な技術(例えば、機械的結合、化学的結合など)によって、それぞれのアンカー機構2227'、2229に結合される。例えば、マーカー2227c'、2229cは、図25Aの分解図では分離して示され、環状構造を有し、図25B−Cではそれぞれのアンカー機構に結合されている。図25Cの実施例では、マーカー2229cはアンカー機構2229と同一平面上に押し込まれている。
アンカー機構2227'、2229は、シャント2200’のそれぞれの近位部2204'および遠位部2202の長さに沿った一連のカット2222'(例えば、溝、スロット、キー溝、窪みなど)によって形成され(図25F、25K−L、25M)、変形可能な要素2227a'(図25A−B、25D−H)、2229a(図25A、25C−F、25K)を形成する。カット2222'は、図25Lに示すように、丸みを帯びた端部2222'a(図25K−L)を形成して終端するか、頂点2222'b(例えば、三角形、傾斜/テーパ、角度付けまたは任意の適切な形状)で終端している。カット2222'およびそのパターンは、好ましくは、レーザカッティング、エッチングまたは他の適切な技術によって作成される。カット2222'は半径方向に離間しており、展開したときに変形可能要素2227’aと2229aが半径方向外側に拡がってマレコット構成(図25A−E)となるように構成される。図25F−Mは、シャント2200'のカット2210、2222'の例示的なパターンおよび相対寸法を示す。図25A−Mに示す相対的な寸法はシャント2200'についての例示であり、シャント2200’の実施例を限定するものではない。
展開されたアンカー機構2227'は、頸部球108、頸静脈106、IPS壁117、および/またはIPS102の別の部分に係合し、シャント2200'の近位部分2204'を頸静脈内に固定し、これによって例えば図32Oに示されるように、弁2209(図示せず)が頸静脈106内に配置され、あるいは少なくとも頸静脈106を流れる血液に面して配置される(静脈に向かって横方向に配置される)。あるいは、アンカー機構2227'は、接合部118(図示せず)でIPS壁114および117と係合してもよい。展開されたアンカー機構2229は、シャント2200'の遠位部分2202をCP角槽138内に固定し、これによりCSFが移植されたシャント2200'を通って頸静脈106に流れる(例えば、図32O)。
図26A−Fは、開示された発明の実施形態に従って構成された代替例のプッシャ部材3310'を示す。説明の容易のため、図15C−1、15C−2のプッシャ部材と同じか類似のプッシャ部材3310'の特徴、機能および構成は、同じ符号が付され、ここに組み込まれる。図15C−1、15C−2に示すように、プッシャ部材3310は、複数のカット3311と、放射線不透過性マーカー3314と、遠位のインターロック要素3336とを具える。プッシャ部材3310'は、シャント2200'の送達中にプッシャ部材3310'の可撓性を増加させるように構成された複数のカット(図26Aには図示せず)を具える。プッシャ部材3310'は、画像化目的のためにプッシャ部材3310'の遠位部分に設けられた放射線不透過性マーカーをさらに含むことができる。プッシャ部材3310'は前述のように、図25A−B、25D−Hのシャント2200'のアンカー機構2227'の対応するインターロック要素2227d'と係合および係合解除するように構成された遠位の相互インターロック要素3336'を具える。図26A−Fの実施例では、インターロック要素3336'は、少なくとも2つの細長い要素3336aを具え、細長い要素3336aはそれぞれ遠位端3336bで終端している。図26A−Fの実施例では、遠位端3336bは、湾曲した丸い構成となっている。インターロック要素3336aの遠位端3336bは、図25A−B、25D−Hのシャント2200’の近位のアンカー機構2227'(例えば、アイレット、スロット、窪み、溝など)と合致、嵌合、係合、および/または係合解除するような寸法および形(例えば、丸まった端部、円弧状の断面、突出部など)であり、その境界は図27A−Hでよく理解できる。インターロック要素3336aは、図26A、26Dに示すように、予め形成された拡張または展開された構成(例えば、外向きに拡張、フレアアウトなど)を有し、Nitinol(登録商標)のような超弾性材料から構成することができる。図26Fは、図26Bのインターロック要素3336'の断面図である。図26Eは、超弾性材料の管状部分をレーザカッティングして、要素3336a−bを含むインターロック要素3336'を形成するために使用される例示的なパターンを示す。
図25A−26Fは、シャント2200'と、プッシャ部材3310'と、放射線不透過性マーカー2227c'と、インターロック要素2227d'および3336'との例示的な相対寸法、パターン、角度、構成および/または特性を開示する。開示された寸法、カットパターン、角度、構成および/または特性は例示的なものであり、図25A−26Fの実施例を限定するものではないことを理解されたい。
図27A−Hは、開示された発明(例えば、図6、25A−26F)の実施形態による送達カテーテル304と、プッシャ部材3310'と、シャント2200'との例示的な接続を示す。送達カテーテル304は、図12A−Cで前述したように、適切なカラム強度および柔軟性を提供するハイポチューブをさらに具えることができる。図27A−Bに示すように、プッシャ部材3310'は送達カテーテル304の管腔305内に配置され、インターロック部材3336'、特に遠位端3336bが、シャントのアンカー機構2227'のインターロック部材2227d'と係合しており、このシャント2200’は送達カテーテル管腔305内に部分的に配置されて示されている(図27A−B)。シャント2200'は、送達カテーテル304の遠位端開口部305aからシャント2200'を前進させることによって、または送達カテーテル304を引き戻すことによって、あるいはシャント2200'の前進とカテーテル304の引き戻しの組み合わせによって、穿通部位内へと展開される。
図27C−Dは、(例えば、図32A−Oで詳述するように、シャント2200’が穿通部位へと展開される前に)送達カテーテル(図示せず)内に配置された場合の、プッシャ部材3310'とシャント2200'との接続を示し、各々のインターロック要素3336'/3336bおよび2227d'がそれぞれ係合している。プッシャ部材3310'とシャント2200'の各々のインターロック部材3336'/3336bおよび2227d'は、図27C−Dにおいて係合しているが、図27E−Hに示すように接続部がもはや送達カテーテル管腔305内に位置しない場合、プッシャ部材3310'とシャント2200'の接続部は係合解除される(すなわち、プッシャのインターロック部材3336'/3336a−bが外側に広がるかフレアアウトする)。
図27E−Hは、プッシャ部材3310'とシャント2200'の界面を示し、プッシャ部材3310'のインターロック部材3336'/3336a−bが外側に拡張(すなわちフレアアウト)され、シャント2200'(すなわちアンカー機構のインターロック要素2227d')がプッシャ部材3310'(すなわちインターロック要素3336'/3336b)から外れている。さらに、シャント2200'の近位のアンカー機構2227'は、送達形態(図27A−D)から展開された拡張形態(図27E−H)に移行している。近位のアンカー機構2227'の複数の変形可能要素2227a'(例えば、アーム)は、シャント2200'の展開構成において半径方向外側に位置している(図27E−H)。
図28A−Gは、開示された発明の実施形態による、IPSまたはCSに対しアンカーを送達または引き戻すための、さらなる別の例示的な細長いガイド部材780とアンカー700のインターフェースを示す。説明の容易のために、図3A−J、18A−Fの細長いガイド部材とアンカーと同じか類似の図28A−Gの細長いガイド部材780とアンカー700の特徴、機能および構成は、同じ符号が付され、ここに組み込まれる。図28A−Gの実施例では、細長いガイド部材780は、図28G−Hに示すように、放射線不透過性マーカー744’(すなわちジョイント)を介してアンカー700に柔軟に連結された近位部分784と遠位部分782とを具える。放射線不透過性マーカー744'は、図28Hの断面図に示されるように、細長いガイド部材780の遠位部分782を受け入れるように構成された凹部(例えば、開口部、ソケット、スロット、溝など)を具え、このガイド部材780の遠位端は、次いでマーカー744'の遠位部分に(例えば、レーザ溶接によって)溶接することができる。図28G−Hに示すように、アンカーの近位部分740は、細長いガイド部材780とマーカー744'のアセンブリを凹部741内に受容するように構成された凹部741(例えば、開口、ソケット、スロット、溝など)を具える。マーカー744'の長手方向の縁部は、これによりアンカー700の近位部分の凹部741の内縁に溶接することができる。図28Dは、アンカーの圧縮または送達形態において、アンカーの遠位端から見たガイド部材780と、マーカー744'と、アンカー700の図である。この3ピース接続(すなわち、アンカー700の凹部741、マーカー744'、およびガイド部材780の遠位部分782)は、ガイド部材をアンカーに結合する一方で、(マーカー744'を介して)移植処置の際の資格化を提供するとともに、(その遠位部分をマーカーに溶接することによって)緩和ガイド部材780を引き締める。しかしながら、図28G−Hに示す放射線不透過性マーカーの有無に拘わらず(例えば、非放射線不透過性材料を使用してマーカー744'の代わりにジョイント744'を形成し、ジョイントやマーカー744'なしにガイド部材の遠位部分782をアンカーの近位部分に直接溶接する)、細長いガイド部材780をアンカー700に固定的に連結するための他の適切な技術(例えば、接着剤、接着剤など)を用いてもよい。
さらに、図28Hに示すように、アンカー700は、IPS102(例えば、図7A−F、32A−O)におけるアンカー700の展開、配置および/または引き戻しを支援するための、アンカー700の遠位部分720に設けられた1以上の放射線不透過性マーカー722を具える。アンカー700のマーカー722は、アンカー700の遠位部分720に結合された金または他の適切な放射線不透過性材料を含み得る。マーカー722は、シャント2200のアンカー機構2227のマーカー2227cと同様に、アンカー700の遠位部分720に埋め込むことができるが(例えば、図28Fに示すようにアンカー700の遠位のクラウンに圧入する)、マーカー722をアンカー700に結合するための任意の他の適切な技術を使用することができる。アンカー700と細長いガイド部材780は、例えばジョイント744'内に配置された矢印マーカー(例えば、図30A−G)などの、画像化目的のための任意の適切なマーカーを含み得ることを理解されたい。
図29A−Gは、開示された発明の実施形態に従って構成された、患者の標的部位にシャントを送達するための代替的なシャント送達カテーテル3304を示す。図29C−Eは、シャント送達カテーテル3304の長手方向軸に沿った様々な地点での断面図を示し、図29Aは長手方向の透視図であり、図29C、29D、および29Eは、図29Aに示す送達カテーテル3304に沿った基準線29C、29D、および29Eによって同定される地点に対応する断面図である。図29Bは、図29Aのシャント送達カテーテル3304の別の長手方向断面図を示す。説明の容易のため、図10A−K、21A−Mの送達カテーテルと同じか類似の送達カテーテルの特徴、機能および構成は、同じ符号を与えられ、ここに組み込まれる。
図29D−Eに示すように、シャント送達カテーテル3304は、3つの管腔3315、3305および3325を具える。第1のルーメン3315は、細長いガイド部材780(例えば、図3A−4C、18A−C、28A−G)を収容し、第2の管腔3305は、シャント200、2200、2200'(例えば、図15A−Z、図25A−M)を受け入れ、操縦および/または送達するように構成され、第3の管腔3025は、プルワイヤ4410とガード4000と(例えば、図19A−20)を収容するよう構成されている。図29A−Bに示すように、管腔3315は迅速交換構成を有し、管腔3305はシャント送達カテーテル3304の近位部分3342から遠位部分3344まで延びる延在し得る。例えば、シャント送達カテーテル3304の第1の管腔3315は、シャント送達カテーテル3304の遠位部分の第1の開口部から、シャント送達カテーテル3304の遠位部分の、第1の開口部の遠位であって遠位端開口部の近位である第2の開口部まで遠位に延びる。管腔3325は、カテーテル3304の近位部分3342から遠位部分3344の近接領域まで延びている(図29A−B)。送達カテーテル3304の管腔3315、3305および3325の直径、長さ、サイズおよび寸法は、シャント、穿通要素、針、RFスタイレット、または任意の適切な外科ツールを通せるように構成されていることを理解されたい。さらに、前述したか、および/または本書に参照により組み込まれる関連出願に記載のように、送達カテーテル3304の管腔3315、3305および3325は、それぞれライナーを有するか、および/または親水性剤でコーティングして、他の送達アセンブリ構成要素に対する管腔の潤滑性を高めることができる。
図29A−Eの送達カテーテル3304は、カテーテルの遠位部分3344上に穿通要素3350を具えている。穿通要素3350は、前述のように、送達カテーテル3304の遠位部分3444に固定的に結合された傾斜針(例えば、図22、24A−K)を具えてもよい。穿通要素3350は、シャント送達カテーテル3304の管腔3305と流体連通する穿通要素管腔3555を具えている。さらに、図29A−Eの送達カテーテル3304は、穿通要素3350の近くに設けられた放射線不透過性マーカーバンド3354を具える。この放射線不透過性マーカーバンド3354は、使用中にカテーテル3304の遠位部分3344の位置および/または向きを示すように、カテーテル3304の長手方向軸に対して角度をつけて(図示せず)配置されてもよい。マーカー3354は、図30A−Gに示すように、矢印型ヘッドなどのさらなる指向性の特徴を有してもよい。さらなるマーカー3354を、例えば管腔開口部の近くに設けるというように、送達カテーテル3304の任意の適切な部分に配置してもよい(例えば、図21A−Mのマーカー3354a−b)。例えば、シャント送達カテーテルの遠位部分の第1の開口に近い第1および第2のシャント送達カテーテル管腔の双方を取り囲む、シャント送達カテーテル3304の周囲部分を補強する第1の放射線不透過性マーカーバンドと、シャント送達カテーテル3304の遠位部分の第1の開口部に近い第1および第2のシャント送達カテーテル管腔の双方を取り囲む、シャント送達カテーテルの周囲部分を補強する第2の放射線不透過性マーカーバンドである。
シャント送達カテーテル3304は、カラム強度と柔軟性(例えば、「押しだし可能性」と「トルク可能性」)の適切なバランスを提供しつつ、カテーテル3304を補強するように構成された補強部材1345を具える(図29A−B、図29F−G)。補強部材1345は、ステンレス鋼、ニチノール(Nitinol)(商標)などの適切な生体適合性および/またはエラストマー材料で構成される。補強部材1345は、図29A−B、図29Fに示すように、送達カテーテル3304の長さL20に沿って補強部材1345の各部に選択的に配置された複数のカット1330(例えば、切れ目、スロット、キー溝、凹部など)を具える。代替的に、これらのカット1330は、実質的にL20に沿って連続的に配置されてもよい(図示せず)。カット1330の螺旋カットパターンは、その切れ目、ピッチ、1回転当たりのカット数、およびL20に沿ったカットバランスまたはそれらの組み合わせが可変であることを理解されたい。さらに、図29A−Gの補強部材1345は、前述したように内側ライナー1360と外側ジャケット1365とを含み(図29B)、これらは図12Cで詳細に理解することができる。内側ライナー1360と外側ジャケット1365は、補強部材1345のカット1330を実質的に完全にまたは部分的に覆うように構成され、一方で、選択的なカット1330によって提供される柔軟性と、一部が補強部材1345によって実現されるカラム強度とを維持している。
送達カテーテル3344の遠位部分は、図29A−B、図29Fに示すように、穿通要素3350の近くに配置された歪み解放部3343を具える。この歪み解放部3343は、カテーテル使用時に、送達カテーテル3304の遠位部分3344(例えば、カテーテル3304の柔軟な遠位部分3344から穿通要素3350への遷移部分)の潰れを回避し、最小限化し、および/または抵抗するよう構成されている。
図30A−Gは、開示された発明の実施形態に従って構成された代替的なマーカーを示す。マーカー3354は、金または任意の他の適切な放射線不透過性材料から構成され、例えば、図30Aの角度A30で示すように、管状要素を適切な角度にカットすることによって形成することができる。図30A−Gは、角度付きマーカー3354の斜視図、側面図および断面図である。図30D−Eは、図30Cのそれぞれの縁部3354'、3354"の詳細図である。さらに、マーカー3354は、当該マーカーが配置される要素(例えば部材、構成要素、器具、穿通要素など)の位置、方向および/または向きを示すのに適した任意の他の相対的な大きさ、形状または構成(例えば、矢頭、バンドの異なる幅、非対称バンドなど)を具えてもよい。例えば、シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344に配置された矢頭マーカーは、それぞれのIPSまたはCS内で穿通要素3350の位置、方向および/または回転方向を補助するように構成される。
図31は、開示された発明の実施形態に従って構成されたアンカープッシャーツール3710を示す。アンカープッシャーツール3710は、近位部分3712、中間部分3713、遠位部分3714、およびそれらの間に延びる管腔3724(例えば、ハイポチューブなど)を有する細長い構成を具える。プッシャーツール3710の近位部分3712はハンドル3722を具え、このハンドル3722は管腔3724と流体連通する管腔開口3726と、外側面3725とを具える。アンカープッシャーツール3710は、アンカー700(例えば、図3A−5W、18A−C、28A−G)を、ガイドカテーテル320、アンカー送達カテーテル304などを通してIPS102(例えば、図7A−D、32A−O)内へ並進させる(すなわち前進/後退)ように構成されている。アンカープッシャーツール3710は、細長いガイド部材780を受け入れるようにさらに構成され、ハンドル3722は、ハンドル管腔3724を通って近位方向に延在するガイド部材780の部分を掴み、それによってガイド部材780、ひいてはアンカー700を、アンカー送達カテーテル3307を通して遠位に押すように構成されている。
図32A−Oに記載されたシャント移植の間、アンカーをIPS102内へ送達するために、細長いガイド部材780をアンカープッシャーツール3710の管腔3724内に配置し、一方でガイド部材780の近位部分784はプッシャーツール3710の外へ延びるようにする(例えば、ハンドル3722の管腔開口部3726を通って)。オペレータは、ハンドル3722を通って延びるガイド部材780の近位部分784をハンドル外面3725に押し付けて保持し、次いで、ハンドル3722およびガイド部材780をマイクロカテーテル内に進めて、アンカー700を遠位方向に前進させることができる。次いで、オペレータは、プッシャーツール3710をガイド部材780の近位部分784上で近位に引っ張り(すなわち、ハンドル外面3725に挟まれるか保持されたガイド部材780の近位部分784を解放することによって)、その後、アンカー700が所望の位置(例えば、マイクロカテーテル管腔の遠位端)に到達するまでこの前進および後退動作を繰り返す。プッシャーツール3710を用いると、少なくともマイクロカテーテルの長さにわたって延びるアンカープッシャ部材を有する代わりとして、ガイド部材780のカラム強度を利用することによって、アンカー700の送達およびナビゲーションが容易になる。
図32A−Oは、開示された発明の実施形態による、患者内での例示的なシャント移植手順を示す。シャント移植処置の前および/または同時に、オペレータは、患者の頭蓋内解剖学的構造のCTおよび/またはMRI画像(例えば、MRI、アキシャルT2強調、アキシャルCISSまたはFIESTAシーケンス、ガドリニウムコントラストでT1強調した軸方向容積スライス)検査を得て、患者の右IPS102Rと左IPS102L、CP角槽138、動脈構造(例えば、基底動脈)、および周囲の骨の解剖学的構造のサイズや相対的近接度を確認することができる。得られたイメージングは、シャント移植手順の間に吻合が行われるIPS102内の貫通サイト5000に対する左右のIPSチャネルを囲むCP角槽138の、塞がれていないCSF空間の容積を評価するためにも利用可能である。説明の容易のため、貫通サイト5000は、図32A−Oに1つの点または選択領域として示されている。しかしながら、穿通部位5000は、図2Cに示すように、例えばIPS102、第1の湾曲部分102A、または第2の湾曲部分102Bの任意の領域といった、選択された硬膜静脈洞の任意の地点または領域に配置できることを当業者は理解すべきである。したがって、オペレータはこの画像検査を使用して、患者の右IPS102Rおよび/または左IPS102Lの第1の湾曲部分102Aおよび/または第2の湾曲部分102B(例えば、図2C)に沿った1またはそれ以上の好適なシャント展開位置を選択することができる。以下の例示的な処置をさらに説明すると、オペレータは、図32Aに示すように、画像検査に基づいて、IPSの第1の湾曲102Aに沿って患者の右IPS102Rと穿通部位5000を選択する。
オペレータは、導入キット(例えば、インディアナ州ブルーミントンのクックメディカル社からの微小穿刺イントロデューサセット)およびセルジンガー技術を用いて、患者の右大腿静脈を介して患者の静脈血管系にアクセスを得る。次いでオペレータは、ガイドワイヤ(例えば、図6のガイドワイヤ302/308、例えばニュージャージー州サマセットのTerumo Interventional Systemsの0.035”GLIDEWIREといった0.035”ガイドワイヤ)と、ガイドカテーテル307(例えば、図6のガイドカテーテル320、例えばマサチューセッツ州レインハムのCodman Neuroの6Fr ENVOYガイディングカテーテルといった6Frカテーテル)とを、大腿静脈アクセスポイントを介して、腹部の大静脈内、心臓を越えて胸部を通って右頸静脈106内へと操縦する。ガイドワイヤは、ガイドカテーテル307内に同軸配置され、これと相対的に移動する。オペレータは、図32Aに示すようにJV−IPS接合部118の近くにガイドカテーテル307の遠位端を配置することができ、特定の患者の解剖学的構造の場合に、ガイドカテーテル307の遠位端がIPS102の近位部分にアクセスすることができる。任意で、シース(例えば、インディアナ州ブルーミントンのCook Medicalの7FrFlexor Shuttleガイディングシース)を、ガイドカテーテル307を前進させる前に患者の静脈血管系に進めて、その後にガイドカテーテル307をシース管腔を通して頸静脈またはJV−IPS接合部118(図示せず)に前進させてもよい。シースは、ガイドカテーテル、他のカテーテル、ガイドワイヤ、および/またはシャント移植処置時にIPS102へと案内される要素に対する追加の支持を提供することができる。
オペレータは、アンカー送達カテーテル3307と、ガイドカテーテル307を通して同軸に配置されたマイクロワイヤ3333(図32B、32C)で、右IPS102Rおよび海綿静脈洞104にアクセスする。アンカー送達カテーテル3307(例えば、図7A−Dのカテーテル304、カリフォルニア州マウンテンビューのCathera,Inc.社のPhenom27カテーテル、カリフォルニア州フリーモントのStryker Neurovascular社のExcelsiorSL−10マイクロカテーテル、またはカリフォルニア州アーバインのMedtronic社のMarksmanマイクロカテーテルといった0.027"マイクロカテーテル)がガイドカテーテル307を通って進み、マイクロワイヤ(例えばカリフォルニア州フリーモントのStryker Neurovascula社のSynchro2ガイドワイヤといった0.010”、0.014”、または0.018”ガイドワイヤ)に乗る。オペレータは、マイクロワイヤ3333とアンカー送達カテーテル3307をJV−IPS接合部118を通して右のIPS102Rに進める。例えば、マイクロワイヤ3333が遠位に、そして徐々に進められ、これにアンカー送達カテーテル3307が続いて、マイクロワイヤ3333上を遠位に徐々に前進してもよい。オペレータは、マイクロワイヤおよびカテーテルの前進動作を連続的に繰り返し、これは例えば、続くアンカー送達カテーテルが2回個別に進められる前に、遠位の位置までマイクロワイヤを前進させてもよいし、マイクロワイヤおよびアンカー送達カテーテルは、JV−IPS接合部118を通って右のIPS102Rに同時に遠位に前進させてもよい。オペレータは、アンカー送達カテーテル3307の遠位端を、図32Cに示すように、右のIPS102Rの第1の曲線102Aに沿ってIPS壁114の穿通部位5000の遠位の位置に配置することができる。オペレータは、図32Cに示すように、アンカー送達カテーテル3307の遠位開口部3317を、右のIPS102Rの第1の湾曲部102Aに沿ってIPS壁114の穿通部位5000の遠位に残したまま、アンカー送達カテーテル3307からマイクロワイヤ3333を引き戻す。
オペレータは、アンカー700と細長いガイド部材780とをアンカー送達カテーテル3307の近位開口部(図示せず)内に装填する。図31のアンカープッシャーツールを用い、さらに先に開示したようにプッシャーツールの管腔3724を通してガイド部材780の近位部分784を装填することにより、オペレータは、図32Dに示すように、アンカー700がアンカー送達カテーテル3307の遠位開口3317に到達するまで、アンカー700とガイド部材780とをアンカー送達カテーテル3307を通して進めることができる。次いで、オペレータは、アンカー送達カテーテル3307の遠位部分(すなわち、アンカー700およびカテーテル3307内に配置されたガイド部材780)を所望のアンカー展開位置(例えば、患者の硬膜静脈洞内のIPSの壁の湾曲部分より遠位の位置、図1−2D、32D−F)に配置し、アンカー700をその位置に留めたままガイド部材780を用いてアンカー送達カテーテル3307を引き抜き、および/または、アンカー700が遠位開口部3317を出てIPS102の壁に向かって拡がるまでカテーテル3307をその位置に保持したまま、アンカー送達カテーテル3307の遠位開口3317を通してガイド部材780を介してアンカー700を前進させる。図32Eに示すように、オペレータは、アンカー700およびガイド部材780を、右のIPS102Rの遠位部分のアンカー送達カテーテル3307(すなわち、遠位開口部3317の外)を介して展開/送達する。送達されたアンカー700はIPS102内で拡大して、IPS102内でその位置を固着および/または固定する(例えば、右のIPS102Rの第1の湾曲部分102AのIPS壁114に沿って穿通部位5000の遠位に配置される)。ガイド部材780をアンカー700に結合するジョイント/マーカー744のようなガイド部材780の遠位部分782は、図32E−Fに示すように、IPS102内に配置することができる。オペレータがアンカー700の展開および/またはその展開位置に満足した場合、オペレータは、図32Eに示すように、展開されたアンカー700を、ガイド部材780がアンカー700から第1の湾曲部分102Aおよび接合部118を取っ手近位方向に延在する状態のままで、アンカー送達カテーテル3307を患者から引き抜く。配置されたガイド部材780はさらに、患者の静脈血管系を通って、大腿静脈アクセスポイント(図示せず)を介して患者の外に延びている。あるいは、オペレータは、当該オペレータがアンカー700の展開および/またはその展開位置に満足するまで、展開したアンカー700およびガイド部材780をアンカー送達カテーテル3307に再シースおよび/または再捕捉し、カテーテル3307の遠位開口3317をIPS102内の所望の位置に再配置し、アンカーを再展開させることができる。
次に、オペレータは、大腿静脈アクセスポイントを介してシャント送達カテーテル3304(例えば、図7E、8A−10K、16、21A−M、29A−Fのカテーテル3304)を患者の脈管構造内に進め、(図32Fに示すように)JV−IPS接合部118を通して右のIPS102Rの第1の湾曲部分102AのIPS壁114に沿った穿通部位5000にカテーテル3304を案内する。オペレータは、ガイド部材780の近位端を、シャント送達カテーテル3304の第1の管腔3315を通して、カテーテル3304の第1の管腔の遠位開口3315aと近位開口3315bを介して送達することができる。次いで、オペレータは、大腿静脈アクセスポイントを通してシャント送達カテーテル3304をガイド部材780に進め、図32Gのように、右のIPS102Rの第1の湾曲部分102AのIPS壁114に沿ってシャント送達カテーテル3304の遠位部分3344が穿通部位5000の近くに配置されるまで、ガイド部材780上で患者の静脈血管系を通るシャント送達カテーテル3304を追跡する。シャント送達カテーテル3304を追跡/前進させる間、オペレータは、ガイド部材780を静止状態に保持するか、またはガイド部材780の近位部分784を近位に引っ張って、シャント送達カテーテル3304が患者の静脈構造を通るのを促進する。さらに、オペレータは、様々な抵抗(例えば、JV−IPS接合部118および/または右のIPS102Rを通ってカテーテルを追跡する際に遭遇する抵抗/摩擦)を克服するために、ガイド部材780を追跡/進める際に、シャント送達カテーテル3304を回転させることができる。
オペレータは、先に開示された画像化技術の1以上を用いて、シャント送達カテーテル3304の向きと、IPS壁114を通るCP角槽138内への穿通要素3350の穿通部位5000に対する軌跡を確認することができる。オペレータは、シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344に設けられた遠位部マーカー3354aと近位部マーカー3354bを用いて、カテーテル3304の向きと軌道を確認することができる。カテーテルのマーカーは、処置中に使用される様々な画像化様式(例えば、双平面または単平面透視法)の下で見えるようになる。この範囲で、オペレータは(例えば、3D回転血管造影法または静脈造影法を用いて)穿通部位5000の患者の解剖学的構造の3D再構成を作成し、オペレータは3D道路マッピング技術を用いた蛍光透視法と3D再構成の組み合わせによって穿通要素3350の方向および/または軌跡を確認することができる。
シャント送達カテーテル3304の遠位開口部に配置された穿通要素3350は、カテーテル3304が患者の血管系を通って前進する際に、穿通要素ガード4000(例えば、図19A−20のガード4000)によってカバーされている。オペレータは、穿通要素ガード4000を引き戻して(または前進させて)、図32Hに示すように、右のIPS102Rの第1の湾曲部分102AのIPS壁114に沿った穿通部位でIPS102内に穿通要素3350を露出させる。オペレータは、ガード4000に連結されたプルワイヤ4010を引っ張ってガード4000を引き戻す。ガード4000を引っ張る際に以前に開示された画像化技術を使用して、オペレータはガードマーカー4015の近位方向の移動、および/またはそれがシャント送達カテーテル3304の遠位部分3344に設けられたカテーテル遠位マーカー3354aに当接するか重なるのを観察する。ここでも、オペレータは、IPS壁114の貫通前に、IPS壁114を通ってCP角槽138内への穿通要素3350の軌跡を、先に開示した画像化技術の1またはそれ以上を用いて確認することができる。オペレータが穿通要素3350の軌跡またはIPS壁114上の穿通部位5000に満足しない場合、オペレータは、シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344の位置を、オペレータが穿通要素3350の位置、または右のIPS102Rの第1の湾曲部分102Aに沿った穿通部位5000で要素3350がIPS壁114を貫通する位置についてオペレータが満足するまで調節することができる。シャント送達カテーテル3304の遠位部分3344の位置を調整する場合、オペレータは、プルワイヤ4010を介して穿通要素ガード4000を前進させることによって、穿通要素3350を再シースまたはカバーすることができ、これによりオペレータがシャント送達カテーテル3304をIPS102内に再配置するときに穿通要素3350が覆われていないかまたは保護されていない場合に発生しうる、IPS壁への不用意な貫通、外傷、または創傷を防止することができる。
穿通要素3350がIPS壁114の穿通部位で所望の軌道に沿って配向された状態で、オペレータが次にシャント送達カテーテル3304を前進させると、図32Iに示すように、穿通要素3350がIPS壁114の硬膜、クモ膜層115、およびCP角槽138のCSFが充填されたクモ膜下腔内へと貫通する(例えば穿孔、通過など、シャント用の吻合チャネルを形成する)。オペレータは、ガイド部材780の近位部分を近位に引っ張るか、ガイド部材780を所定の位置に保持しつつ、シャント送出カテーテル3304を前進させて、穿通要素3350がIPS壁114を貫通するようにし、これによってシャント送出カテーテル3304の管腔開口部3315aの遠位の部分が目標の軌道を辿り、かつ、右のIPS102Rの第1の湾曲部分102Aを通るガイド部材780の経路から軸外に移動する。オペレータは、シャント送達カテーテル3304の穿通要素3350と第2の管腔3305とがCP角槽138へのアクセスを達成したら、シャント送達カテーテル3304を進めるのを止める。オペレータは、CP角槽138へのアクセスを、前に開示された画像化技術(例えば、3D道路マッピングによる)を介して確認することができる。オペレータはさらに、シャント送達カテーテル3304の穿通要素3350および第2の管腔3305を通るCSFの吸引(例えば、図32Jの矢頭の線で示されるCSF吸引)を介して、CP角槽138へのアクセスをさらに確認することができる。オペレータは、シャント送達カテーテルの近位部分に連結されたシリンジ(例えば1ccシリンジ)を用いて(図示せず)、シャント送達カテーテル3304を介してCSFを吸引することができる。シリンジ内に透明なCSFが存在すると、IPSを通りCP角槽138への貫通が成功しているのを確認することができる。オペレータがシリンジ内に血液を観察した場合、穿通要素3350は、IPS102、IPS壁114、またはクモ膜下層115内に部分的に配置されている可能性がある。オペレータが注射器内に血液を観察した場合、オペレータは、以下でさらに説明するように、穿通部位5000においてIPS壁114の再貫通を試みたり、右のIPS102Rの第1の湾曲部分102Aに沿った別の穿通部位でIPS壁114を貫通しようと試みたり、右のIPS102Rの第2の湾曲部分102Bに沿ったIPS壁114を貫通しようと試みてもよいし、手順を中断してもよい。
穿通要素3350がIPS壁114とクモ膜層115を通過してCP角槽138内のCSFにアクセスしたのを確認したら、オペレータはプッシャ部材3310(例えば、図23A−D、図26A−27Hのプッシャ部材3310')を前進させて、図32Kに示すように、シャント200の遠位のアンカー機構229がCP角槽138内で展開するまで、シャント200(例えば、図15A−Zのシャント2200、図25A−Mのシャント2200')をシャント送達カテーテル3304の管腔3305を通して前進させる。オペレータは、先に開示された撮像技術のいずれかを使用して、シャント200の遠位部分202に設けられた放射線不透過性マーカー2229cを観察することによって、シャント200の遠位のアンカー機構229が槽内で展開したことを確認することができる。シャントプッシャ3310を近位方向に引っ張ることによって(そして、任意で、シャント送達カテーテル3304を近位方向に同時に引っ張ることによって)、図32Lに示すように、遠位のアンカー機構229がさらに拡がり、CP角槽138内のクモ膜層115に対して係合および/または固定される。オペレータは、図32Lに示すように、シャント200を右のIPS102Rに展開し続ける。シャントプッシャ部材3310をその位置に保持しながらシャント送達カテーテル3304を引き戻すことにより、シャント200がシャント送達カテーテルの管腔3305からIPS102R内に出て展開し続ける。処置のこの時点で、シャント200の近位部分204および近位のアンカー機構227は、シャント送達カテーテル3304の管腔3305内に配置されたままで、シャント200の遠位部分202および遠位のアンカー機構209は、CP角槽と右のIPS102R内に展開される。
オペレータは、図32Mに示すように、JV−IPS接合部118または頸静脈106の辺りに、シャント200の近位部分204および近位のアンカー機構227を展開することによって、シャント200の展開を完了する。シャントプッシャ部材3310をその位置に保持しつつシャント送達カテーテル3304を引き戻すことにより、シャント200がシャント送達カテーテル管腔3305から出て展開し続ける。シャントの近位のアンカー機構227とプッシャ部材インターロック要素3336との間の係合境界がシャント送達カテーテル管腔3305の外に現れると、図27A−Hに示すように、シャント/プッシャ部材の接続が外れ、シャント200がプッシャ部材3310から解放される。シャント/プッシャ部材の接続が解除する前に、オペレータは、患者内における満足のいくまたは所望のシャントの配置位置を確認することができる。
シャント200が配置された後、オペレータは、シャント送達カテーテル3304を、静脈血管系を通って大腿静脈アクセスポイントから出して、患者から引き抜く。任意で、オペレータは、IPS102Rを通るアンカー700の変位または移動を回避または最小化するために、ガイド部材780を定位置に保持しながらシャント送達カテーテル3304を引き抜いてもよい。次に、オペレータは、アンカー送達カテーテル3307を前進させてアンカー700を再シースし、再キャプチャし、および/または大腿静脈アクセスポイントを介して患者のIPS102から引き出す。アンカー送達カテーテル3307を通ってガイド部材780の近位部分を繰り出すことによって、オペレータは、アンカー送達カテーテル3307の遠位開口部3317がガイド部材とアンカーとの間の接合部744に達するまで、アンカー送達カテーテル3307をガイド部材上かつ、頸静脈106またはJV−IPS接合部118の展開されたシャント200の近位のアンカー機構227の辺りに進めることができる。その後、オペレータは、図32Nに示すように、アンカー送達カテーテル3307をさらに前進させ、および/またはガイド部材780を保持または引っ張って、アンカー700を引き戻しのためにカテーテル3307内に再シースすることができる(例えば、アンカー700は、拡張/展開形態から圧縮/送達/引き戻し形態へ移行する)。アンカー700がアンカー送達カテーテル3307内で圧縮された状態で、オペレータはアンカー送達カテーテル3307およびアンカー700を患者から静脈血管系を通って大腿静脈アクセスポイントの外に引き出す。その後、オペレータはガイドカテーテル307を患者から引き抜く。
弁2209(例えば、図7Fの弁209、図15A−B、図25Aの弁2209)を有する展開されたシャント200(図32Oに示す)は、患者のクモ膜下腔から余剰のCSFを頸静脈106に流す一方向流導管を提供し、それによって患者の頭蓋内圧の上昇が緩和される。図32Oに示す矢印は、CP角槽138からシャント管腔207へ、弁2209を通って頸静脈106内へのCSFの流れの方向を示す。図32Oは、移植手順が完了したときに展開されたシャント200を示す。
当業者であれば、第1の湾曲部分102Aの穿通部位5000でのIPS壁114の貫通が不可能または成功しなかった場合に、オペレータは、右のIPS102Rの第2の湾曲部分102Bに沿ったIPS壁114(例えば図2Cに示す)、あるいはIPS102R内の別の位置に、貫通を試みることで処置を継続することができることを理解すべきである。例えば、特定の患者の解剖学的構造では、頸部球に最も近い下錐体静脈洞の部分に沿って錐体骨の突出が存在する。この骨の突出は、IPSのコースに沿って頭蓋骨の中央および上方を進むにつれてIPSの周りから消える。頸静脈に近いIPS上に骨の突出が存在する場合、穿通要素3350がIPS壁114を通過してCP角槽138に入る妨げとなる。この骨の突出の存在は、先に開示されている画像化技術の1以上を使用して、シャント移植処置中に確認することができる。オペレータが、椎骨の突出がCP角槽138への貫通の妨げとなり得ると疑う場合、当該オペレータは、穿通要素ガード4000を用いて穿通要素3350を再被覆し、シャント送達カテーテル3304の遠位開口が右のIPS102Rの第2の湾曲部分102Bに沿った標的穿通部位あるいは椎骨の突出部より遠位の所望位置に配置されるまで、シャント送達カテーテル3304をガイド部材780上で前進させることによって、処置を継続することができる。任意で、オペレータは、IPS102R内の第1の湾曲部分102Aから第2の湾曲部分102Bに向かって遠位方向にカテーテルを追跡しながら、シャント送達カテーテル3304を約45から180度まで回転させることができる。シャント送達カテーテル3304を回転させることにより、オペレータは、シャント送達カテーテル3304をさらに遠位に進めると、右のIPS102Rの第2の湾曲部分102Bに沿った標的穿通部位において穿通要素3350がIPS壁114を通って進むように、穿通要素3350を配向付けることができる。オペレータは処置を続けて、図32A−Oの処置で前述したように、右のIPS102Rの第2の湾曲部分102Bに沿ってIPS壁114を通してシャント200を展開することができる。
さらに、当業者であれば、オペレータが意図せずIPS壁114に裂け目を生じさせた場合、当該オペレータは手順の中止を選択できることを理解すべきである。アンカーのセルをカバーする外側ポリマー層と、アンカー700から脱着可能なガイド部材780とを具えるアンカー700の実施例を用いる場合、オペレータは、洞管腔内で裂け目を横切ってアンカー700を再展開し、ガイド部材780を切り離すことによりアンカー700をIPS102内に留置する。このシナリオでは、アンカーは、クモ膜下腔への静脈血の漏出、および/または、クモ膜下腔から静脈系への制御されないCSFの漏出を防止することができる。
本願に特定の実施形態を図示し説明したが、当業者はこれらが本発明の限定を意図するものではないことを理解し、当業者には、以下のクレームのみによって規定される本発明またはその均等物の範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、変形(例えば、様々な部分の寸法、部品の組合せなど)を加え得ることが明らかである。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味であるとみなされるべきである。本明細書に示され説明された様々な実施例は、開示された発明の変形例、変更例および均等物をカバーすることが意図されており、これらは添付の特許請求の範囲に含まれる。