[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示のクランプは、第1電線を内部に収容する第1外装部材を保持する第1保持部と、前記第1保持部と接続されて設けられ、被固定部に固定される固定部と、を有し、前記固定部は、前記被固定部に設けられた柱状の固定具が挿入される挿入溝を有し、前記挿入溝は、第1方向に貫通して形成されており、前記挿入溝は、前記第1方向から視た平面形状が、前記第1方向と交差する第2方向に開口する挿入口を有する形状に形成されている。
この構成によれば、挿入溝に対して、柱状の固定具を第1方向に沿って挿入することができるとともに、柱状の固定具を第2方向に沿って挿入することができる。すなわち、挿入溝に対して柱状の固定具を2つの方向から挿入することができる。これにより、閉環状の挿通孔と比べて、被固定部に対するクランプの組付方向を増加させることができ、その組付方向の自由度を向上させることができる。この結果、被固定部に対するクランプの組み付け性を向上させることができる。
[2]前記挿入口には、前記第2方向に平行な挿入方向の奥側に前記固定具を誘導する誘導部が設けられており、前記誘導部は、前記挿入方向の奥側から前記挿入方向の手前側に向かうに連れて前記挿入溝の開口幅が広がるように傾斜して形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第2方向に平行な挿入方向に沿って固定具を挿入溝に挿入する際に、固定具が誘導部の斜面に沿って挿入方向の奥側に誘導される。これにより、固定具を挿入溝の挿入方向奥側の端部(つまり、底部)に容易に挿入することができる。また、誘導部によって挿入溝の開口幅が広げられている。このため、固定具を挿入溝に挿入する際に、固定具に対する挿入溝の底部の位置が多少ずれていたとしても、誘導部によって固定具を挿入溝の底部に挿入させることができる。これらにより、被固定部に対するクランプの組み付け性を向上させることができる。
[3]前記クランプは、第1組付方向と、前記第1組付方向と交差し、かつ前記挿入方向と平行な第2組付方向との2段階の方向に移動されて前記被固定部に組み付けられるものであり、前記誘導部は、前記被固定部に組み付けられる際の姿勢において、前記第1組付方向の奥側に位置する第1誘導部と、前記第1組付方向の手前側に位置する第2誘導部とを有し、前記第1誘導部の前記第2組付方向に沿う寸法は、前記第2誘導部の前記第2組付方向に沿う寸法よりも短く設定されていることが好ましい。
この構成によれば、クランプを第1組付方向に移動させる際に、固定具と先に接触する可能性のある第1誘導部の第2組付方向に沿う寸法が、第2誘導部の第2組付方向に沿う寸法よりも短く設定されている。これにより、クランプを第1組付方向に移動させる際に、第1誘導部が固定具に接触することを好適に抑制できる。
[4]前記挿入溝は、前記第1方向から視た平面視において、前記第1保持部よりも前記第2組付方向に突出した位置に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1保持部が挿入溝よりも第2組付方向の反対方向に後退した位置に設けられる。このため、クランプを第2組付方向に移動させる際に、固定具に第1保持部が接触することを好適に抑制できる。
[5]前記固定部は、前記第1保持部と一体に形成された樹脂製の基部と、前記基部に保持された固定板とを有し、前記固定板は、前記基部を構成する材料よりも剛性の高い金属材料からなり、前記挿入溝は、前記固定板に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、クランプと被固定部との固定部分となる固定板において高い強度を確保することができる。これにより、例えば固定具としてボルトとそのボルトに装着されるナットなどを利用して、クランプを被固定部に強固に固定することができる。この結果、クランプの被固定部に対する接続信頼性を向上させることができる。
[6]前記第1電線とは異なる機器に接続される第2電線を内部に収容する第2外装部材を保持する第2保持部を更に有し、前記第1保持部と前記第2保持部と前記固定部とは、前記第1方向及び前記第2方向の双方と交差する方向に沿って並んで設けられていることが好ましい。
この構成によれば、挿入溝から第1方向に沿って延びる延長線上に第1保持部及び第2保持部が設けられておらず、挿入溝から第2方向に沿って延びる延長線上に第1保持部及び第2保持部が設けられていない。このため、固定具を第1方向に沿って挿入溝に挿入する場合と、固定具を第2方向に沿って挿入溝に挿入する場合とのいずれの場合にも、固定具が第1保持部及び第2保持部に接触することを好適に抑制できる。
[7]前記第1電線とは異なる機器に接続される第2電線を内部に収容する第2外装部材を保持する第2保持部を更に有し、前記第1保持部は、前記第1外装部材の長さ方向と直交する第3方向に開口し、前記第1外装部材を前記第1保持部へ挿入可能な第1挿入口を有し、前記第2保持部は、前記第2外装部材の長さ方向と直交する第4方向に開口し、前記第2外装部材を前記第2保持部へ挿入可能な第2挿入口を有し、前記第3方向と前記第4方向とが互いに交差する方向に設定されていることが好ましい。
この構成によれば、第1外装部材及び第2外装部材が互いに異なる挿入方向に沿って第1保持部及び第2保持部にそれぞれ挿入される。このため、第1外装部材及び第2外装部材を互いに異なる方向に沿って第1保持部及び第2保持部から取り外すことができる。換言すると、第1外装部材及び第2外装部材をクランプから個別に取り外しやすいようになっている。
ここで、例えば車両衝突時に、第2電線に接続された電気機器が本来の設置位置から衝突に起因して移動すると、その電気機器の移動に追従して第2電線及び第2外装部材が意図しない方向(以下では、「追従方向」と称する。)に移動してしまう場合がある。そこで、例えば、第2保持部の第2挿入口の開放方向である第4方向を、第2電線及び第2外装部材の追従方向に向くように設定する。これにより、追従方向に沿って第2外装部材が移動する際に、その第2外装部材を第1外装部材とは個別にクランプから脱落させやすくすることができる。したがって、車両衝突時に第2電線及び第2外装部材が追従方向に移動する場合であっても、それら第2電線及び第2外装部材の移動に伴ってクランプ及び第1電線が一緒に追従方向に移動することを抑制できる。この結果、車両衝突時におけるワイヤハーネスの損傷を抑制することができる。
[8]前記第1保持部は、前記第1挿入口を覆う第1カバーを有し、前記第2保持部は、前記第2挿入口を覆う第2カバーを有し、前記第1カバーと前記第2カバーとが別部品であることが好ましい。
この構成によれば、第1挿入口を覆う第1カバーと第2挿入口を覆う第2カバーとが別部品になっているため、それら第1カバーと第2カバーとを個別に開状態(つまり、挿入口を開放させた状態)にすることができる。
ここで、例えば第1カバーと第2カバーとが一体に形成されている場合には、第1挿入口及び第2挿入口のうち一方の第1挿入口のみを開放させることは困難になる。また、例えば開放方向が互いに異なる第1挿入口及び第2挿入口を覆う1つのカバーを取り付ける場合には、複数の方向から固定(例えば、係止)されることになる。このため、第1カバー及び第2カバーを一体に形成した場合には、1つの方向からの外力では、第1カバー及び第2カバーが外れにくい。したがって、一体に形成された第1カバー及び第2カバーは、第2外装部材からの追従方向に向かう押圧力だけでは外れにくい。この場合には、第2外装部材が追従方向に沿って移動する場合に、その移動が第1カバー及び第2カバーによって妨げられ、それら第1カバー及び第2カバーを含むクランプ及び第1外装部材が第2外装部材の移動に追従して一緒に移動しやすくなる。
これに対し、上記構成では、第1カバーと第2カバーとを別部品としたため、第2挿入口を覆うように第2カバーを取り付ける場合の固定方向(例えば、係止方向)を1つの方向に設定することができる。このため、一体に形成された第1カバー及び第2カバーに比べて、第2外装部材からの追従方向に向かう押圧力によって第2カバーが外れやすくなる。これにより、第2外装部材の追従方向に沿う移動に伴って、クランプ及び第1外装部材が一緒に追従方向に移動することを好適に抑制できる。
[9]前記第2保持部は、前記第2挿入口を有して前記第2外装部材を収容する収容部と、前記第2カバーとを有し、前記収容部と前記第2カバーとが別部品であることが好ましい。
この構成によれば、収容部と第2カバーとが別部品になっているため、第2カバーを収容部(つまり、クランプ自体)から取り外すことができる。このため、第2外装部材が追従方向に沿って移動する場合に、第2カバーと一緒にクランプ及び第1外装部材が第2外装部材の移動に追従して移動することを好適に抑制できる。
[10]前記第1保持部は、一端部が前記固定部と接続され、他端部が前記第2保持部と接続されており、前記第4方向は、前記第1保持部から離れる方向を向くように設定されていることが好ましい。
この構成によれば、第2挿入口の開放方向である第4方向に第1保持部及び固定部が存在しないため、第2外装部材が追従方向に移動する際に、第2外装部材が第1保持部及び固定部に衝突することを抑制できる。
[11]前記第4方向は、前記固定部が前記被固定部の組付面に固定された際に、前記組付面に向かない方向を向くように設定されていることが好ましい。この構成によれば、第2外装部材が追従方向に移動する際に、第2外装部材が被固定部に衝突することを抑制できる。
[12]前記第4方向は、前記固定部が前記被固定部の組付面に固定された際に、鉛直方向の上方を向くように設定されていることが好ましい。この構成によれば、第2電線及び第2外装部材の自重によって、それら第2電線及び第2外装部材がクランプから脱落することを抑制できる。
[13]前記第1電線と、前記第1外装部材と、上記[1]から[12]のいずれか1つに記載のクランプであり、前記第1外装部材に取り付けられた第1クランプと、前記第1外装部材の長さ方向において前記第1クランプと離れた位置で前記第1外装部材に取り付けられた第2クランプと、を有し、前記第1クランプは、前記被固定部の第1組付面に固定されるものであり、前記第2クランプは、前記被固定部の前記第1組付面に垂直な平面上に形成された第2組付面に固定されるものであることが好ましい。
この構成によれば、第1クランプ及び第2クランプが、互いに直交する平面上に形成された第1組付面及び第2組付面にそれぞれ固定される。このような組付態様では、通常、第1組付面に対する第1クランプの組付方向と、第2組付面に対する第2クランプの組付方向とは互いに直交する方向になる。このため、従来の閉環状の挿入孔を利用した場合には、その挿入孔に対する固定具の挿入方向が1方向のみとなることから、第1クランプ及び第2クランプを第1組付面及び第2組付面に組み付けることが困難になる。これに対し、上記構成では、第1クランプの挿入溝に対して固定具を2つの方向から挿入することができる。このため、例えば第1組付面に設けられた固定具を第2方向に沿って挿入溝に挿入することにより、互いに直交する平面上に形成された第1組付面及び第2組付面に対して第1クランプ及び第2クランプを組み付けることができる。
[14]前記第1電線と、前記第1外装部材と、前記第2電線と、前記第2外装部材と、上記[6]から[12]のいずれか1つに記載のクランプであり、前記第1外装部材と前記第2外装部材とが並列に配索される部位における前記第1外装部材及び前記第2外装部材に取り付けられる第1クランプと、前記第2外装部材に取り付けられる第2クランプと、を有し、前記第1クランプは、前記被固定部の第1組付面に固定されるものであり、前記第2クランプは、前記被固定部の前記第1組付面に垂直な平面上に形成された第2組付面に固定されることが好ましい。
この構成によれば、第1クランプ及び第2クランプが、互いに直交する平面上に形成された第1組付面及び第2組付面にそれぞれ固定される。このような組付態様では、通常、第1組付面に対する第1クランプの組付方向と、第2組付面に対する第2クランプの組付方向とは互いに直交する方向になる。このため、従来の閉環状の挿入孔を利用した場合には、その挿入孔に対する固定具の挿入方向が1方向のみとなることから、第1クランプ及び第2クランプを第1組付面及び第2組付面に組み付けることが困難になる。これに対し、上記構成では、第1クランプの挿入溝に対して固定具を2つの方向から挿入することができる。このため、例えば第1組付面に設けられた固定具を第2方向に沿って挿入溝に挿入することにより、互いに直交する平面上に形成された第1組付面及び第2組付面に対して第1クランプ及び第2クランプを組み付けることができる。
[15]前記第2方向は、前記第2組付面に対する前記第2クランプの組付方向と平行をなすように設定されていることが好ましい。
この構成によれば、第2組付面に対して組付方向に第2クランプを移動させることにより、挿入溝に対して第2方向に沿って固定具を挿入することが可能になる。これにより、第2組付面に対する第2クランプの組み付けと、第1組付面に対する第1クランプの組み付けとを同時に行うことができる。
[16]前記第1電線と、前記第1外装部材と、前記第2電線と、前記第2外装部材と、上記[7]から[12]のいずれか1つに記載のクランプと、を有し、前記第1外装部材と前記第2外装部材とは、長さ方向の途中において前記第1外装部材と前記第2外装部材との並び方向が変更されるように捻られて配索されている。この構成によれば、捻りのある配索経路を有するワイヤハーネスにおける車両衝突時等の損傷を抑制することができる。
[17]前記第1電線は、低圧電線であり、前記第2電線は、一端部がインバータに接続された高圧電線であり、前記第4方向は、車両衝突時に前記インバータの移動に追従して前記第2電線及び前記第2外装部材が移動されうる方向を向くように設定されている。
この構成によれば、車両衝突時にインバータの移動に追従して第2外装部材が追従方向に移動する際に、その第2外装部材を第1外装部材とは個別にクランプから脱落させやすくすることができる。したがって、車両衝突時に第2外装部材が追従方向に移動する場合であっても、その第2外装部材の移動に伴ってクランプ及び第1外装部材が一緒に追従方向に移動することを抑制できる。この結果、車両衝突時におけるワイヤハーネスの損傷を抑制することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のクランプ及びワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「平行」、「直交」、「水平」や「垂直」は、厳密に平行、直交、水平や垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行、直交、水平や垂直の場合も含まれる。
(クランプ付きワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、2個又は3個以上の電気機器(機器)を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両Vに搭載されるものである。ワイヤハーネス10は、第1機器M1と第2機器M2とを電気的に接続する導電路11と、第3機器M3と第4機器M4とを電気的に接続する導電路12とを有している。ワイヤハーネス10は、導電路11,12を車両Vに固定するためのクランプ40を有している。クランプ40は、例えば、導電路11,12を車両Vの車体パネルP1(図3参照)に固定するためのクランプ41と、導電路12を車両Vの車体パネルP2(図3参照)に固定するためのクランプ42とを有している。
ここで、図1における左右方向が車両前後方向であり、図1における紙面直交方向が車両幅方向であり、図1における上下方向が車両上下方向である。以下の説明では、便宜上、車両前後方向に延びる方向をX軸方向と称し、車両幅方向に延びる方向をY軸方向と称し、車両上下方向に延びる方向をZ軸方向と称する。
導電路11は、例えば、その長さ方向の一部が車両Vの床下を通る態様で第1機器M1から第2機器M2にかけて配索されている。第1機器M1及び第2機器M2の一例としては、第1機器M1が車両Vの前方寄りに設置されたインバータであり、第2機器M2が第1機器M1よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリである。インバータとしての第1機器M1は、例えば、車両走行の動力源となる車輪駆動用のモータ(図示略)と接続される。インバータは、高圧バッテリの直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリとしての第2機器M2は、例えば、百ボルト以上の電圧を供給可能なバッテリである。すなわち、本実施形態の導電路11は、高圧バッテリとインバータ間の高電圧のやりとりを可能とする高圧回路を構成している。
導電路12は、例えば、その長さ方向の一部が車両Vの床下を通る態様で第3機器M3から第4機器M4にかけて配索されている。第3機器M3及び第4機器M4の一例としては、第3機器M3が車両Vの前方寄りに設置されたリレーボックスであり、第4機器M4が車両Vの後方寄りに設置された低圧バッテリである。リレーボックスとしての第3機器M3は、低圧バッテリから供給された電圧を、車両Vに搭載された各種機器に分配する。低圧バッテリとしての第4機器M4は、上記高圧バッテリよりも低い(例えば、12ボルト)電圧を供給可能なバッテリである。すなわち、本実施形態の導電路12は、低圧バッテリから供給される低電圧に対応可能な低電回路を構成している。
ワイヤハーネス10は、例えば、導電路11と導電路12とが並列に延在するように配索された並列配索部位と、導電路11と導電路12とが互いに異なる方向に延在するように配索された個別配索部位とを有している。並列配索部位は、例えば、その長さ方向の一部が車両Vの床下に配索されている。導電路11,12はそれぞれ、設定された配索経路に応じて二次元状又は三次元状に曲げられるように形成されている。
図2に示すように、本実施形態の導電路11,12は、並列配索部位において、X軸方向に向かって延びる延在部21と、延在部21の一端部に設けられた屈曲部22と、屈曲部22からZ軸方向の上方に向かって延びる延在部23とを有している。本実施形態の導電路11,12は、並列配索部位において、延在部23の一端部に設けられた屈曲部24と、屈曲部24からY軸方向の紙面手前側に向かって延びる延在部25とを有している。本実施形態の導電路11は、個別配索部位において、延在部25の一端部に設けられた屈曲部26と、屈曲部26からZ軸方向の上方に向かって延びる延在部27とを有している。本実施形態の導電路12は、個別配索部位において、延在部25の一端部に設けられた屈曲部28と、屈曲部28からX軸方向に向かって延びる延在部29とを有している。ここで、並列配索部位における延在部21と屈曲部22と延在部23とでは、導電路11と導電路12とがY軸方向に沿って並んで配索されている。一方で、並列配索部位における屈曲部24と延在部25とでは、導電路11と導電路12とがZ軸方向に沿って並んで配索されている。すなわち、本実施形態のワイヤハーネス10では、並列配索部位における長さ方向の途中において、導電路11,12の並び方向が、Y軸方向に沿う方向から、Z軸方向に沿う方向に変更されている。換言すると、本実施形態のワイヤハーネス10では、並列配索部位の長さ方向の途中において導電路11,12の並び方向が変更されるように、導電路11,12が捻られて配索されている。このとき、本実施形態の屈曲部24及び延在部25では、導電路11の方が導電路12よりもZ軸方向の上方に位置している。
(導電路11の構成)
導電路11は、1本又は複数本(ここでは、2本)の電線31と、電線31の外周を包囲する外装部材32とを有している。電線31の一端部は第1機器M1(図1参照)と接続され、電線31の他端部は第2機器M2(図1参照)と接続される。
本実施形態の電線31は、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。電線31は、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールドを有しないノンシールド電線であってもよい。電線31は、例えば、導電性を有する芯線と、その芯線を被覆する絶縁被覆とを有している。芯線としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚り線や、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や、中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。芯線としては、例えば、撚り線、柱状導体や筒状導体を組み合わせてもよい。柱状導体としては、例えば、単芯線やバスバなどを挙げることができる。芯線の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。絶縁被覆は、例えば、芯線の外周面を全周にわたって密着状態で被覆している。絶縁被覆は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。
電線31の長さ方向と直交する平面によって電線31を切断した断面形状は、任意の形状にすることができる。すなわち、電線31の横断面形状は、任意の形状にすることができる。電線31の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状や扁平形状に形成することができる。
外装部材32は、全体として長尺の筒状をなしている。外装部材32の内部空間には、電線31が収容されている。外装部材32としては、例えば、金属製又は樹脂製のパイプや、樹脂製のプロテクタ、樹脂等からなり可撓性を有するコルゲートチューブやゴム製の防水カバー又はこれらを組み合わせて用いることができる。金属製のパイプの材料としては、銅系、鉄系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。樹脂製のプロテクタやコルゲートチューブの材料としては、例えば、導電性を有する樹脂材料や導電性を有さない樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。本実施形態の外装部材32は、電線31よりも剛性の高い金属製のパイプである。本実施形態の外装部材32は、円筒状に形成されている。本実施形態の外装部材32は、飛翔物や水滴から電線31を保護する保護機能を有するとともに、電線31を電磁波から保護する電磁シールド機能を有している。
(導電路12の構成)
導電路12は、1本又は複数本(ここでは、2本)の電線35と、電線35の外周を包囲する外装部材36とを有している。電線35の一端部は第3機器M3(図1参照)と接続され、電線35の他端部は第4機器M4(図1参照)と接続される。
本実施形態の電線35は、低電圧に対応可能な低圧電線である。電線35は、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールドを有しないノンシールド電線であってもよい。電線35は、例えば、導電性を有する芯線と、その芯線を被覆する絶縁被覆とを有している。芯線としては、例えば、撚り線、柱状導体や筒状導体、又はこれらを組み合わせて用いることができる。芯線の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。絶縁被覆は、例えば、芯線の外周面を全周にわたって密着状態で被覆している。絶縁被覆は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。
電線35の長さ方向と直交する平面によって電線35を切断した断面形状は、任意の形状にすることができる。すなわち、電線35の横断面形状は、任意の形状にすることができる。電線35の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状や扁平形状に形成することができる。
外装部材36は、全体として長尺の筒状をなしている。外装部材36の内部空間には、電線35が収容されている。外装部材36としては、外装部材32と同様に、金属製又は樹脂製のパイプや、樹脂製のプロテクタ、コルゲートチューブやゴム製の防水カバー又はこれらを組み合わせて用いることができる。本実施形態の外装部材36は、電線35よりも剛性の高い金属製のパイプである。本実施形態の外装部材36は、円筒状に形成されている。本実施形態の外装部材36は、飛翔物や水滴から電線35を保護する保護機能を有するとともに、電線35を電磁波から保護する電磁シールド機能を有している。外装部材36は、例えば、外装部材32よりも外径が小さく設定されている。この理由は、外装部材36の内部に収容される電線35の外径が、外装部材32の内部に収容される電線31の外径よりも小さいためである。
(クランプ41の組付態様)
図2に示すように、クランプ41は、並列配索部位の延在部25における導電路11,12に取り付けられている。クランプ41は、例えば、導電路11における外装部材32の外周面及び導電路12における外装部材36の外周面に取り付けられている。
図3に示すように、クランプ41は、例えば、延在部25において、導電路11と導電路12とを車体パネルP1の組付面P1aに固定する。組付面P1aからは、例えば、固定具B1が組付面P1aに対して垂直に延びている。本実施形態の固定具B1は、X軸方向に沿って延びている。固定具B1は、例えば、円柱状に形成されている。固定具B1としては、例えば、スタッドボルト等のボルトを用いることができる。クランプ41は、固定具B1が挿入される挿入溝60を有している。挿入溝60は、例えば、固定具B1が延びる方向、つまりX軸方向(第1方向)に貫通して形成されている。挿入溝60は、X軸方向から視た平面視において、X軸方向と交差する方向(第2方向)に開口する挿入口61を有している。挿入溝60に固定具B1を挿入する際には、まず、クランプ41をZ軸方向に沿って図中上方に移動させた後に、クランプ41をY軸方向に沿って図中左方に移動させて挿入口61から挿入溝60内に固定具B1を挿入させる。すなわち、組付面P1aに対するクランプ41の組付方向は、Z軸方向に沿って図中上方に向かう第1組付方向D1と、Y軸方向に沿って図中左方に向かう第2組付方向D2という2段階の組付方向を有している。なお、クランプ41は、例えば、挿入溝60に柱状の固定具B1が挿入された状態で、図示しないナットが固定具B1(ボルト)に装着されることによって、組付面P1aに固定される。
固定具B1は、例えば、車体パネルP1に設けられた孔にねじ込んで取り付けられていてもよいし、車体パネルP1に溶接されていてもよいし、車体パネルP1に圧入されていてもよい。
(クランプ41の具体的構成)
図4に示すように、クランプ41は、車体パネルP1の組付面P1a(図3)に固定される固定部50と、導電路12を保持する保持部70と、導電路11を保持する保持部100とを有している。本実施形態のクランプ41では、固定部50に隣接して保持部70が設けられ、その保持部70に隣接して保持部100が設けられている。すなわち、本実施形態のクランプ41では、固定部50と保持部70と保持部100とがこの順番で並んで形成されている。
(固定部50の構成)
固定部50は、合成樹脂製の基部51と、基部51に一体化された固定金具55とを有している。固定金具55は、例えば、インサート成形などにより、基部51に対して一体的に形成されている。基部51は、例えば、固定金具55を保持する保持部として機能する。基部51の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。固定金具55の材料としては、例えば、基部51を構成する材料よりも機械的強度(剛性や硬度等)の高い材料を用いることができる。固定金具55の材料としては、例えば、鉄系や銅系の金属材料を用いることができる。
基部51は、保持部70からZ軸方向に延びる保持壁52と、保持壁52の内側面52AのZ軸方向の端部からY軸方向に向かって延びる保持壁53とを有している。保持壁52は、例えば、Y軸方向に所定の厚みを有し、X軸方向及びZ軸方向に広がるように形成されている。保持壁53は、Z軸方向に所定の厚みを有し、X軸方向及びY軸方向に広がるように形成されている。基部51は、例えば、X軸方向から視た平面形状がL字状に形成されている。
図5に示すように、基部51は、固定金具55の一部が載置される載置部54を有している。載置部54は、例えば、保持壁52の内側面52AからY軸方向に向かって突出するように形成されている。また、載置部54は、例えば、保持壁53のZ軸方向の端面のうち、保持部70側に向く内側面からZ軸方向に向かって突出するように形成されている。載置部54の上面には、固定金具55の一部が載置されている。すなわち、載置部54は、固定金具55を図中下方から支持するように形成されている。載置部54の上面は、例えば、保持壁52,53の上面よりも下方に形成されている。例えば、載置部54の上面は、保持壁52,53の上面よりも固定金具55の厚み分だけ下方に形成されている。このため、図4に示すように、載置部54の上面に載置された固定金具55の上面は、保持壁52,53の上面と同一平面上に形成されている。
図5に示すように、固定金具55は、固定板56と、固定板56の下面のY軸方向の一端部からX軸方向に向かって突出する突出部57と、固定板56の下面のZ軸方向の一端部からX軸方向に向かって突出する突出部58とを有している。本実施形態の固定金具55は、固定板56と突出部57と突出部58とが一体に形成された単一部品である。
固定板56は、その一部が載置部54の上面に載置されている。突出部57は、例えば、保持壁52内に埋め込まれている。突出部58は、例えば、保持壁53内に埋め込まれている。これら突出部57,58が保持壁52,53内にそれぞれ埋め込まれることにより、固定金具55が基部51に強固に固定されている。
図6に示すように、固定板56には、車体パネルP1(図3参照)に設けられた固定具B1が挿入される挿入溝60が形成されている。挿入溝60は、例えば、固定金具55の板厚方向に貫通するように形成されている。挿入溝60は、X軸方向から視た平面形状が、挿入口61を有する非環状に形成されている。すなわち、挿入溝60は、X軸方向から視た平面形状が、一方向に開放(開口)した形状に形成されている。換言すると、挿入溝60は、固定板56のY軸方向の一端面が切り欠かれるように形成されている。具体的には、挿入溝60は、固定板56のY軸方向の一端面のうち保持壁52とは反対側の端面が切り欠かれるように形成されている。挿入溝60は、挿入口61から保持壁52側に向かって延びるように形成されている。挿入溝60のX軸方向から視た平面形状は、例えば、U字状やC字状に形成されている。
挿入口61の開放方向E1(第2方向)は、例えば、Y軸方向に設定されている。本実施形態の挿入口61の開放方向E1は、クランプ41が組付面P1a(図3参照)に固定された状態において、組付面P1aに設けられた固定具B1の延びる方向と直交する方向に設定されている。本実施形態の挿入口61の開放方向E1は、クランプ41の第2組付方向D2に対して平行をなすように設定されている。この挿入溝60には、例えば、固定具B1が、挿入口61から保持壁52側に向かってY軸方向に沿って挿入される。このような挿入溝60に対する固定具B1の挿入方向F1は、例えば、クランプ41の第2組付方向D2と平行をなすように設定されている。なお、挿入溝60には、X軸方向に沿って固定具B1を挿入することもできる。
挿入溝60は、挿入方向F1の奥側(ここでは、図中左側)に設けられた溝部62と、挿入方向F1の手前側(ここでは、図中右側)の挿入口61に設けられた誘導部63とを有している。挿入溝60では、溝部62と誘導部63とが連続して形成されている。溝部62は、例えば、誘導部63の端部から保持壁52側に向かって直線状に延びるように形成されている。溝部62は、例えば、開口幅(つまり、Z軸方向の寸法)が挿入方向F1の全長にわたって一定になるように形成されている。溝部62の開口部は、固定具B1の外径よりも僅かに大きく設定されている。溝部62の第2組付方向D2の奥側の端部(つまり、挿入溝60の底部)は、例えば、円柱状をなす固定具B1の外周面に対応して円弧状に形成されている。挿入溝60の底部は、X軸方向から視た平面視において、保持壁52に向かって円弧状に凹むように形成されている。
誘導部63は、例えば、溝部62から離れるに連れて開口幅が広がるように形成されている。誘導部63は、例えば、クランプ41が車体パネルP1(図3参照)に組み付けられる際の姿勢において、クランプ41の第1組付方向D1の奥側(図中上側)に設けられた第1誘導部64と、第1組付方向D1の手前側(ここでは、図中下側)に設けられた第2誘導部65とを有している。誘導部63は、例えば、溝部62から離れるに連れて、第1誘導部64と第2誘導部65との間の間隔が連続的に広がるように形成されている。誘導部63は、例えば、溝部62から離れるに連れて、第1誘導部64と第2誘導部65との間の間隔がZ軸方向の両側に広がるように形成されている。第1誘導部64の第2誘導部65に向く面は斜面に形成されている。第2誘導部65の第1誘導部64に向く面は斜面に形成されている。
第1誘導部64の第2組付方向D2に沿う寸法は、例えば、第2誘導部65の第2組付方向D2に沿う寸法よりも短く設定されている。第2誘導部65の先端部は、Z軸方向において第1誘導部64と重ならない位置に設けられている。本実施形態の第2誘導部65の先端部(つまり、第2組付方向D2の手前側の端部)は、保持壁53の先端部に形成された被覆部53Aによって被覆されている。被覆部53Aは、例えば、第2誘導部65の先端部を囲むように形成されている。第1誘導部64の第2組付方向D2に沿う寸法は、被覆部53Aから露出された部分の第2誘導部65の第2組付方向D2に沿う寸法よりも短く設定されている。
本実施形態の固定金具55は、X軸方向から視た平面視において、保持部70,100よりもY軸方向の一方向(ここでは、図中下方)に突出するように形成されている。例えば、固定金具55は、X軸方向から視た平面視において、保持部70,100よりもクランプ41の第2組付方向D2に突出するように形成されている。固定金具55は、例えば、Z軸方向から視たときに、保持部70,100と重ならない位置に設けられている。固定金具55の挿入溝60は、例えば、Z軸方向から視たときに、保持部70,100と重ならない位置に設けられている。
(保持部70の構成)
次に、保持部70の構造について説明する。
図7に示すように、保持部70は、導電路12が挿入される挿入口81を有する収容部80と、挿入口81を覆うように収容部80に取り付けられたカバー90とを有している。カバー90が挿入口81を覆うように収容部80に取り付けられることによって、筒状の保持部70が構成されている。保持部70は、例えば、導電路12の外装部材36の外周を周方向全周にわたって包囲するように形成されている。本実施形態の保持部70では、収容部80とカバー90とが別部品に形成されている。カバー90は、例えば、収容部80に対して着脱可能に形成されている。収容部80の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。カバー90の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。カバー90の材料は、収容部80を構成する材料と同じ材料であってもよいし、収容部80を構成する材料と異なる材料であってもよい。
図4に示すように、収容部80は、Z軸方向において外装部材36の両側を保持する保持壁82及び保持壁83と、X軸方向の図中下側において外装部材36を保持する保持壁84とを有している。保持壁82,83は、例えば、Z軸方向に所定の幅を有し、X軸方向及びY軸方向に広がるように形成されている。保持壁82は、例えば、固定部50の保持壁52と連続して一体に形成されている。保持壁84は、保持壁82,83の下端部同士を繋ぐように形成されている。保持壁84は、例えば、X軸方向に所定の厚みを有し、Y軸方向及びZ軸方向に広がるように形成されている。保持壁82の内側面と、保持壁83の内側面と、保持壁84の内側面とによって囲まれた収容空間85に導電路12が収容される。収容空間85は、例えば、溝状をなし、保持部70をY軸方向に貫通して形成されている。
保持壁82,83の内側面は、例えば、平面状に形成されている。保持壁82の内側面と保持壁83の内側面とは、例えば、互いに平行に形成されている。保持壁84の内側面は、例えば、曲面状に形成されている。保持壁84の内側面は、例えば、円筒状をなす外装部材36の外周面の形状に対応して円弧状に形成されている。保持壁82,83,84の内側面は、外装部材36の外周を保持可能な保持面として機能する。
保持壁82と保持壁83とは、X軸方向において保持壁84と反対側の上端部では互いに繋がっていない。これら保持壁82と保持壁83とが繋がっていない部位には、図中上方に開放された挿入口81が形成されている。挿入口81は、例えば、外装部材36の長さ方向と直交する方向(以下では、「開放方向E2」と称する。)に開口している。挿入口81は、外装部材36を保持部70(収容空間85)へ挿入可能なように形成されている。挿入口81の開放方向E2は、例えば、クランプ41が組付面P1a(図3参照)に固定された状態において、組付面P1aに対して垂直をなすように設定されている。挿入口81の開放方向E2は、例えば、組付面P1aに設けられた固定具B1(図3参照)が延びるX軸方向に対して平行をなすように設定されている。本実施形態の挿入口81の開放方向E2は、クランプ41が組付面P1a(図3参照)に固定された状態において、X軸方向の組付面P1a側を向くように設定されている。挿入口81には、外装部材36がその軸方向に直交する軸直交方向に沿って挿入される。収容部80には、挿入口81から外装部材36が保持部70の軸方向と直交する軸直交方向に沿って挿入される。この挿入口81の全体を覆うようにカバー90が収容部80に対して取り付けられる。
図6に示すように、本実施形態の収容部80は、X軸方向から視た平面視において、Y軸方向及びZ軸方向の双方に対して傾いた状態で延びるように形成されている。図6に示した例では、収容部80が図中斜め上方に傾いた状態で延びるように形成されている。
各保持壁82,83の上面には、例えば、カバー90に形成された係止部92が挿入可能な挿入溝82X,83Xが形成されている。各挿入溝82X,83Xの内部には、例えば、係止部92の係止爪93が係止されるロック枠部86が形成されている。ロック枠部86は、例えば、略U字の枠状をなし、その中央に係止爪93が係合可能な係合孔を有している。
図4に示すように、保持壁84のY軸方向の中央部には、例えば、収容部80に収容された外装部材36をカバー90に向かって付勢する付勢部87が形成されている。付勢部87は、例えば、Z軸方向に沿って延びるように形成されている。付勢部87は、例えば、Z軸方向の端部のうち保持壁82側の端部が固定端に形成されており、Z軸方向の端部のうち保持壁83側の端部が自由端に形成されている。付勢部87は、保持壁84の内側面と同様に、円弧状に形成されている。付勢部87は、ばね性を有している。付勢部87は、例えば、カバー90と協動して外装部材36を弾性的に保持する。付勢部87は、例えば、保持壁84にU字状の貫通孔84Xを形成することによって設けられている。貫通孔84Xは、例えば、保持壁84をX軸方向に貫通するように形成されている。付勢部87は、例えば、U字状の貫通孔84Xにより囲まれた保持壁84を収容空間85の内側に向かって切り起こすことによって形成されている。貫通孔84Xを形成することにより、収容部80の内外が連通されている。貫通孔84Xは、収容部80における排水孔や通気孔として機能する。
保持壁84のY軸方向の端部には、保持壁82,83のY軸方向の端面よりもY軸方向に突出した突出部88が形成されている。本実施形態の収容部80では、保持壁84のY軸方向の両端部に突出部88がそれぞれ形成されている。一対の突出部88は、Y軸方向において互いに反対方向に延びるように形成されている。各突出部88は、収容空間85から離れる方向に突出して形成されている。各突出部88は、収容空間85から引き出される外装部材36が延びる方向に突出して形成されている。
各突出部88は、例えば、保持壁84と連続して一体に形成されている。各突出部88は、例えば、薄板状に形成されている。各突出部88は、外装部材36と対向する内側面(ここでは、図中上側に向く面)と、その内側面と反対側の外側面とを有している。各突出部88の内側面及び外側面は、例えば、曲面状に形成されている。各突出部88の内側面及び外側面は、例えば、円筒状をなす外装部材36の外周面の形状に対応して円弧状に形成されている。各突出部88の内側面は、例えば、保持壁84の内側面と段差無く連続して一体に形成されている。
図5に示すように、各突出部88の外側面には、その外側面からX軸方向に向かって突出する一対の突起部89が形成されている。一対の突起部89は、Y軸方向において所定の間隔を空けて形成されている。各突起部89は、Z軸方向に延びるように形成されている。各突起部89は、例えば、突出部88の外側面のZ軸方向の全長にわたって延びるように形成されている。
図3に示すように、突出部88は、結束バンドC1によって、収容空間85(図4参照)から引き出された導電路12の外装部材36に固定されている。換言すると、外装部材36と共に突出部88に結束バンドC1が巻回されることで、突出部88に外装部材36が保持されている。結束バンドC1は、突出部88の内側面を外装部材36の外周面に押し付けるように、突出部88及び外装部材36を外側から締め付けている。これにより、外装部材36の長さ方向におけるクランプ41の位置を固定することができる。結束バンドC1は、例えば、突出部88の外側面のうち2つの突起部89の間に取り付けられる。このとき、突起部89は、結束バンドC1のY軸方向への移動を規制する規制部材として機能する。
図4及び図5に示すように、カバー90は、例えば、収容部80の保持壁82,83,84に対向する対向壁91と、対向壁91の内面(ここでは、下面)に形成された1つ又は複数(ここでは、2つ)の係止部92と、対向壁91の内面に形成された突出部95とを有している。本実施形態のカバー90は、対向壁91と係止部92と突出部95とが一体に形成された単一部品である。
対向壁91は、例えば、平板状に形成されている。対向壁91は、例えば、収容部80の上面を全体的に覆うように形成されている。例えば、対向壁91は、突出部88を除く収容部80の上面を全体的に覆うように形成されている。
図6に示すように、対向壁91は、例えば、X軸方向から視た平面形状が矩形状に形成されている。本実施形態の対向壁91は、X軸方向から視た平面形状が、収容部80の形状に対応した平行四辺形状に形成されている。
図5に示すように、2つの係止部92は、収容部80の保持壁82,83にそれぞれ対応して設けられている。2つの係止部92は、例えば、突出部95をZ軸方向の両側から挟むように設けられている。2つの係止部92は、例えば、対向壁91の下面においてZ軸方向の端部近傍に設けられている。各係止部92は、例えば、対向壁91の下面からX軸方向に向かって突出するように形成されている。各係止部92の先端部には、例えば、Z軸方向に向かって突出する係止爪93が形成されている。各係止部92は、例えば、先端部を自由端とし、先端部とは反対側の基端部(つまり、対向壁91の下面に接続された端部)を固定端とする片持ち状に形成されている。各係止部92は、例えば、弾性変形によるZ軸方向への撓みが可能に構成されている。
突出部95は、例えば、対向壁91の下面からX軸方向に向かって突出するように形成されている。突出部95は、例えば、収容部80の収容空間85に対応して設けられている。突出部95は、例えば、収容空間85の内側に嵌合可能な形状及び大きさに形成されている。突出部95は、例えば、枠状に形成されている。突出部95は、例えば、収容空間85の形状に対応して矩形の枠状に形成されている。突出部95は、例えば、Z軸方向の外形寸法が、収容空間85のZ軸方向の寸法よりも僅かに小さく設定されている。Y軸方向に沿って延びる突出部95は、例えば、カバー90が収容部80に取り付けられた状態において、保持壁82,83の内側面に接触するように形成されている。対向壁91のY軸方向の端部に位置する突出部95には、凹部96が形成されている。凹部96は、例えば、円筒状をなす外装部材36の外周面の形状に対応して円弧状に湾曲して対向壁91側に凹むように形成されている。凹部96の内周面は、カバー90が収容部80に取り付けられた状態において、外装部材36の外周を保持可能な保持面として機能する。
図8に示すように、カバー90が収容部80に取り付けられた状態では、各係止部92が保持壁82,83の挿入溝82X,83Xに挿入され、各係止部92の係止爪93がロック枠部86に係合される。これにより、カバー90は、挿入口81を閉塞した閉状態を維持することができる。この閉状態では、カバー90の突出部95が収容部80の収容空間85の内側に嵌合される。このとき、突出部95によって収容空間85に収容された外装部材36が保持壁84に向かって押圧されるとともに、付勢部87によって外装部材36がカバー90に向かって押圧される。また、閉状態では、収容部80と、カバー90、具体的には枠状の突出部95及びその突出部95に囲まれた対向壁91の下面とによって、外装部材36の外周を包囲する筒状の保持部70が構成されている。
(保持部100の構成)
図4に示すように、保持部100は、導電路11が挿入される挿入口111を有する収容部110と、挿入口111を覆うように収容部110に取り付けられたカバー120とを有している。カバー120が挿入口111を覆うように収容部110に取り付けられることによって、筒状の保持部100が構成されている。保持部100は、例えば、導電路11の外装部材32の外周を周方向全周にわたって包囲するように形成されている。本実施形態の保持部100では、収容部110とカバー120とが別部品に形成されている。カバー120は、例えば、収容部110に対して着脱可能に形成されている。また、本実施形態のクランプ41では、カバー90とカバー120とが別部品に形成されている。収容部110の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。カバー120の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。カバー120の材料は、収容部110を構成する材料と同じ材料であってもよいし、収容部110を構成する材料と異なる材料であってもよい。カバー120の材料は、カバー90を構成する材料と同じ材料であってもよいし、カバー90を構成する材料と異なる材料であってもよい。
収容部110は、X軸方向において外装部材32の両側を保持する保持壁112及び保持壁113と、Z軸方向の図中左側において外装部材32を保持する保持壁114とを有している。保持壁112,113は、例えば、X軸方向に所定の厚みを有し、Y軸方向及びZ軸方向に広がるように形成されている。保持壁112は、例えば、収容部80の保持壁83と連続して一体に形成されている。保持壁114は、保持壁112,113の基端部(つまり、保持壁83側の端部)同士を繋ぐように形成されている。保持壁114は、例えば、Z軸方向に所定の厚みを有し、X軸方向及びY軸方向に広がるように形成されている。保持壁112の内側面と、保持壁113の内側面と、保持壁114の内側面とによって囲まれた収容空間115に導電路11が収容される。収容空間115は、例えば、溝状をなし、保持部100をY軸方向に貫通して形成されている。
別の見方をすると、収容部110は、保持壁83の外側面(図中右側を向く端面)からZ軸方向に向かって突出するように形成されている。保持壁112は、例えば、保持壁83の外側面からZ軸方向に向かって突出するように形成されている。
保持壁112,113の内側面は、例えば、平面状に形成されている。保持壁112の内側面と保持壁113の内側面とは、例えば、互いに平行に形成されている。保持壁114の内側面は、例えば、曲面状に形成されている。保持壁114の内側面は、例えば、円筒状をなす外装部材32の外周面の形状に対応して円弧状に形成されている。保持壁114は、例えば、保持壁83と連続して一体に形成されている。保持壁112,113,114の内側面は、外装部材32の外周を保持可能な保持面として機能する。
保持壁112と保持壁113とは、Z軸方向において保持壁114と反対側の右端部では互いに繋がっていない。これら保持壁112と保持壁113とが繋がっていない部位には、図中右側に開放された挿入口111が形成されている。挿入口111は、例えば、外装部材32の長さ方向と直交する方向(以下では、「開放方向E3」と称する。)に開口している。挿入口111は、外装部材32を保持部100(収容空間115)へ挿入可能なように形成されている。挿入口111の開放方向E3は、例えば、挿入口81の開放方向E2と交差する方向に設定されている。挿入口111の開放方向E3は、例えば、挿入口81の開放方向E2と直交する方向に設定されている。挿入口111の開放方向E3は、例えば、クランプ41が組付面P1a(図3参照)に固定された状態において、組付面P1aに対して平行をなすように設定されている。挿入口111の開放方向E3は、例えば、車両Vの車体パネルP1,P2(図3参照)等の車体パネルに向かわない方向に設定されている。挿入口111の開放方向E3は、例えば、車両衝突時に導電路11に接続された図1に示した第1機器M1(ここでは、インバータ)が飛ばされた際に、それに追従して導電路11が移動する方向(追従方向)に沿った方向に設定されている。本実施形態の挿入口111の開放方向E3は、クランプ41が車体パネルP1に固定された状態において、鉛直方向の上方を向くように設定されている。挿入口111には、外装部材32がその軸方向に直交する軸直交方向に沿って挿入される。収容部110には、挿入口111から外装部材32が保持部100の軸方向と直交する軸直交方向に沿って挿入される。この挿入口111の全体を覆うようにカバー120が収容部110に対して取り付けられる。
図5に示すように、本実施形態の収容部110は、X軸方向において、収容部80とずれた位置に形成されている。収容部110は、例えば、収容部80の下面よりも図中下方に突出するように形成されている。収容部110の上面(つまり、保持壁112の外側面)は、収容部80の上面(つまり、保持壁83の上面)よりも図中下方にずれた位置に形成されている。換言すると、収容部80は、保持壁112の外側面よりも図中上方に突出するように形成されている。
各保持壁112,113の外側面には、カバー120に形成された係止部122の係止爪123が係止されるロック枠部116が形成されている。ロック枠部116は、各保持壁112,113の外側面のうちZ軸方向において挿入口111に近い側(図中右側)の部分に設けられている。
図4に示すように、本実施形態の保持壁112の外側面には、2つのロック枠部116がY軸方向において所定の間隔を空けて設けられている。本実施形態の保持壁113の外側面には、1つのロック枠部116がY軸方向の中央部に設けられている。各ロック枠部116は、例えば、略U字の枠状をなし、その中央に係止爪123が係止可能な係合孔を有している。各ロック枠部116は、例えば、カバー90の係止部92の係止爪93が係止されるロック枠部86とは別に設けられている。
図5に示すように、保持壁114のY軸方向の中央部には、例えば、収容部110に収容された外装部材32をカバー120に向かって付勢する付勢部117が形成されている。付勢部117は、例えば、X軸方向に沿って延びるように形成されている。付勢部117は、例えば、X軸方向の端部のうち保持壁112側の端部が固定端に形成されており、X軸方向の端部のうち保持壁113側の端部が自由端に形成されている。付勢部117は、保持壁114の内側面と同様に、円弧状に形成されている。付勢部117は、ばね性を有している。付勢部117は、例えば、カバー120と協動して外装部材32を弾性的に保持する。付勢部117は、例えば、保持壁114にU字状の貫通孔114Xを形成することによって設けられている。貫通孔114Xは、例えば、保持壁114をZ軸方向に貫通するように形成されている。付勢部117は、例えば、U字状の貫通孔114Xによって囲まれた保持壁114を収容空間115の内側に向かって切り起こすことによって形成されている。貫通孔114Xは、例えば、Z軸方向から視た平面視において、保持壁83の挿入溝83Xと重なる位置に形成されている。この貫通孔114Xを形成することにより、収容部110の内外が連通されている。貫通孔114Xは、収容部110における排水孔や通気孔として機能する。
カバー120は、例えば、収容部110の保持壁112,113,114に対向する対向壁121と、対向壁121の内面に形成された1つ又は複数(ここでは、3つ)の係止部122と、対向壁121の内面に形成された突出部125とを有している。本実施形態のカバー120は、対向壁121と係止部122と突出部125とが一体に形成された単一部品である。
対向壁121は、例えば、平板状に形成されている。対向壁121は、例えば、収容部110の図中右側を向く端面を全体的に覆うように形成されている。対向壁121は、例えば、Z軸方向から視た平面形状が矩形状に形成されている。
3つの係止部122は、保持壁112,113に設けられた3つのロック枠部116にそれぞれ対応して設けられている。3つの係止部122は、突出部125をX軸方向の両側から挟むように設けられている。3つの係止部122は、例えば、対向壁121の収容部110に対向する内面においてX軸方向の端部近傍に設けられている。各係止部122は、対向壁121の内面からZ軸方向に向かって突出するように形成されている。各係止部122の先端部には、X軸方向に向かって突出する係止爪123が形成されている。各係止部122は、先端部を自由端とし、先端部とは反対側の基端部(つまり、対向壁121の内面に接続された端部)を固定端とする片持ち状に形成されている。各係止部122は、弾性変形によるX軸方向への撓みが可能に構成されている。
突出部125は、例えば、対向壁121の内面からZ軸方向に向かって突出するように形成されている。突出部125は、例えば、収容部110の収容空間115に対応して設けられている。突出部125は、例えば、収容空間115の内側に嵌合可能な形状及び大きさに形成されている。突出部125は、例えば、枠状に形成されている。突出部125は、例えば、収容空間115の形状に対応して矩形の枠状に形成されている。突出部125は、例えば、X軸方向の外形寸法が、収容空間115のX軸方向の寸法よりも僅かに小さく設定されている。Y軸方向に沿って延びる突出部125は、例えば、カバー120が収容部110に取り付けられた状態において、保持壁112,113の内側面に接触するように形成されている。また、対向壁121のY軸方向の端部に位置する突出部125には、凹部126が形成されている。凹部126は、例えば、円筒状をなす外装部材32の外周面の形状に対応して円弧状に湾曲して対向壁121側に凹むように形成されている。凹部126の内周面は、カバー120が収容部110に取り付けられた状態において、外装部材32の外周を保持可能な保持面として機能する。
図7に示すように、カバー120が収容部110に取り付けられた状態では、各係止部122の係止爪123が各ロック枠部116に係合される。これにより、カバー120は、挿入口111を閉塞した閉状態を維持することができる。この閉状態では、カバー120の突出部125が収容部110の収容空間115の内側に嵌合される。このとき、突出部125によって収容空間115に収容された外装部材32が保持壁114に向かって押圧されるとともに、付勢部117によって外装部材32がカバー120に向かって押圧される。また、閉状態では、収容部110と、カバー120、具体的には枠状の突出部125及びその突出部125に囲まれた対向壁121の内面とによって、外装部材32の外周を包囲する筒状の保持部100が構成されている。
ここで、収容部110に対するカバー120の固定力は、収容部80に対するカバー90の固定力と略同じ大きさとなるように設定されている。また、収容部110に対するカバー120の固定力は、例えば、組付面P1aに対する固定部50の固定力よりも小さくなっている。
以上説明したカバー120とカバー90とは、それぞれ別々に収容部110,80に取り付けられる。カバー90とカバー120とは、収容部80,110に対して個別に着脱可能に形成されている。ここで、カバー90は、収容部80に対してX軸方向に沿って取り付けられ、X軸方向に固定される。カバー120は、収容部110に対してZ軸方向に沿って取り付けられ、Z軸方向に固定される。このように、本実施形態のクランプ41では、カバー90の取り付け方向とカバー120の取り付け方向とが互いに直交する方向に設定されている。また、本実施形態のクランプ41では、カバー90とカバー120とが互いに物理的に離れて設けられている。
図3に示すように、本実施形態のクランプ41は、カバー120が車両上下方向(Z軸方向)において上方を向くように、車体パネルP1の組付面P1aに組み付けられる。すなわち、クランプ41は、収容部110の開放方向E3が車両上下方向(Z軸方向)において上方を向くように、車体パネルP1の組付面P1aに組み付けられる。このとき、図4に示したカバー90は、組付面P1aに対向するように設けられている。
図4に示すように、本実施形態のクランプ41では、固定部50の基部51の保持壁52,53と、収容部80の保持壁82,83,84と、収容部110の保持壁112,113,114とが連続して一体に形成されている。図6に示すように、クランプ41では、例えば、固定部50と保持部70と保持部100とが、X軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に沿って並んで設けられている。例えば、固定部50と保持部70と保持部100とは、X軸方向から視た平面視において、Y軸方向及びZ軸方向の双方に交差する方向に沿って並んで設けられている。
(クランプ42の構成)
次に、クランプ42の構造について説明する。
図3に示すように、クランプ42は、導電路12を保持する保持部150と、車体パネルP2の組付面P2aに固定される固定部160とを有している。保持部150は、例えば、筒状をなし、導電路12の外装部材36の外周を周方向全周にわたって包囲するように形成されている。固定部160は、保持部150の一端面、ここではZ軸方向の上方に向く上面150Aに設けられている。固定部160は、保持部150の上面150Aから上方に突出するように形成されている。固定部160は、例えば、平板状に形成されている。
クランプ42は、個別配索部位の延在部29における導電路12に取り付けられている。クランプ42は、例えば、導電路12における外装部材36の外周面に取り付けられている。クランプ42は、例えば、延在部29において、導電路12を車体パネルP2の組付面P2aに固定する。組付面P2aは、例えば、車体パネルP1の組付面P1aと垂直な平面上に形成されている。組付面P2aからは、例えば、固定具B2が組付面P2aに対して垂直に延びている。本実施形態の固定具B2は、Y軸方向に沿って延びている。すなわち、本実施形態では、固定具B2と組付面P1aに設けられた固定具B1とが互いに直交する方向に延びるように形成されている。固定具B2は、例えば、円柱状に形成されている。固定具B2としては、例えば、スタッドボルト等のボルトを用いることができる。
固定部160には、固定具B2が挿入される挿入孔161が形成されている。挿入孔161は、例えば、固定具B2が延びる方向、つまりY軸方向に貫通して形成されている。挿入孔161は、例えば、Y軸方向から視た平面形状が閉環状に形成されている。挿入孔161には、固定具B2が延びる方向、ここではY軸方向に沿って固定具B2が挿入される。すなわち、組付面P2aに対するクランプ42の組付方向D3は、Y軸方向に沿って図中左方に向かう方向になる。この組付方向D3は、第2組付方向D2と平行な方向に設定されている。なお、クランプ42は、例えば、挿入孔161に柱状の固定具B2が挿入された状態で、図示しないナットが固定具B2(ボルト)に装着されることによって、組付面P2aに固定される。
固定具B2は、例えば、車体パネルP2に設けられた孔にねじ込んで取り付けられていてもよいし、車体パネルP2に溶接されていてもよいし、車体パネルP2に圧入されていてもよい。
(ワイヤハーネス10の製造方法)
次に、ワイヤハーネス10の製造方法について説明する。
図9に示す工程では、まず、電線31が内部に収容された外装部材32に対して曲げ加工の施された導電路11と、電線35が内部に収容された外装部材36に対して曲げ加工の施された導電路12とを準備する。すなわち、延在部21,23,25,27及び屈曲部22,24,26を有する導電路11と、延在部21,23,25,29及び屈曲部22,24,28を有する導電路12とを準備する。
続いて、導電路11,12に複数のクランプ40が取り付けられる。具体的には、個別配索部位における導電路12の延在部29にクランプ42が取り付けられる。また、並列配索部位における導電路11,12の延在部25にクランプ41が取り付けられ、並列配索部位における導電路11,12の延在部21にクランプ43が取り付けられる。このとき、2つの導電路11,12は、並列配索部位における長さ方向の途中で並び方向が変更されるように捻って配索されている。具体的には、2つの導電路11,12は、延在部21ではY軸方向に沿って並んでいるのに対し、延在部25ではZ軸方向に沿って並んでいる。このため、延在部21に取り付けられるクランプ43に対する導電路11,12の挿入方向と、延在部25に取り付けられるクランプ41に対する導電路11,12の挿入方向とを同一の方向に設定することはできない。詳述すると、延在部21では、Y軸方向に沿って2つの導電路11,12が並んで配索されている。このため、クランプ43に対する導電路11,12の挿入方向をZ軸方向に設定することにより、クランプ43に2つの導電路11,12を同じ方向に一括して挿入することができる。これに対し、延在部25では、Z軸方向に沿って2つの導電路11,12が並んで配索されているため、クランプ41に対する2つの導電路11,12の双方の挿入方向をZ軸方向に設定することはできない。例えば、クランプ41に対する導電路11,12の挿入方向をX軸方向に設定することにより、クランプ41に対して2つの導電路11,12を同じ方向に一括して挿入することができる。但し、この場合には、クランプ43に対する導電路11,12の挿入方向と、クランプ41に対する導電路11,12の挿入方向とが異なるため、クランプ41,43を導電路11,12に取り付ける作業が繁雑となる。
ここで、本実施形態のクランプ41では、収容部110に対する導電路11の挿入方向(つまり、収容部110の開放方向E3)がZ軸方向に設定され、収容部80に対する導電路12の挿入方向(つまり、収容部80の開放方向E2)がX軸方向に設定されている。すなわち、本実施形態のクランプ41では、一方の導電路11のクランプ41に対する挿入方向が、クランプ43に対する導電路11,12の挿入方向と平行をなすように設定されている。これにより、導電路11に関しては、クランプ41に対する挿入方向とクランプ43に対する挿入方向とを互いに平行な方向に設定できる。このため、クランプ41,43を導電路11に取り付ける作業性を向上させることができる。
以上説明した製造工程により、ワイヤハーネス10が製造される。
(ワイヤハーネス10の車体への組付方法)
次に、図10Aに示す工程では、ワイヤハーネス10を車体に取り付けるために、車体パネルP1の組付面P1aにクランプ41が近づけられ、車体パネルP2の組付面P2aにクランプ42が近づけられる。
続いて、ワイヤハーネス10全体がZ軸方向の上方に向けて移動される。すなわち、ワイヤハーネス10全体が第1組付方向D1に沿って移動される。具体的には、図10Bに示すように、Y軸方向から視た平面視において、組付面P2aに設けられた固定具B2とクランプ42の挿入孔161とが重なるように、ワイヤハーネス10全体が第1組付方向D1に沿って移動される。このとき、クランプ41の固定部50は、組付面P1aに設けられた固定具B1に対して、第2組付方向D2とは反対方向に離れて配置されている。また、クランプ42の固定部160は、組付面P2aに設けられた固定具B2に対して、組付方向D3とは反対方向に離れて配置されている。ここで、クランプ41の誘導部63では、第1組付方向D1の奥側に位置する第1誘導部64の第2組付方向D2に沿う寸法が、第1組付方向D1の手前側に位置する第2誘導部65の第2組付方向D2に沿う寸法よりも短く設定されている。このため、本工程において、第1誘導部64が固定具B1に接触することを好適に抑制できる。
次いで、ワイヤハーネス10全体がY軸方向の左方に向けて移動される。すなわち、ワイヤハーネス10全体が、互いに平行をなすように設定された第2組付方向D2及び組付方向D3に沿って移動される。このとき、挿入溝60の挿入口61の開放方向E1は、第2組付方向D2及び組付方向D3と平行をなすように設定されている。これにより、図10Cに示すように、クランプ41の挿入溝60に第2組付方向D2に沿って固定具B1が挿入され、クランプ42の挿入孔161に組付方向D3に沿って固定具B2が挿入される。このように、本工程では、互いに直交する方向に延びる固定具B1,B2が挿入溝60及び挿入孔161に一括して挿入される。このとき、クランプ41では、挿入溝60に対する固定具B1の挿入方向の手前側に誘導部63が形成されている。このため、図10Bに示した状態において、クランプ41のZ軸方向における位置が所望の位置から多少ずれていた場合であっても、誘導部63によって溝部62内に固定具B1を誘い込むことができる。
その後、固定具B1(ボルト)にナットが装着されることによってクランプ41が組付面P1aに固定され、固定具B2(ボルト)にナットが装着されることによってクランプ42が組付面P2aに固定される。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)クランプ41の固定部50は、車体パネルP1に設けられた柱状の固定具B1が挿入される挿入溝60を有する。挿入溝60は、第1方向(ここでは、X軸方向)に貫通して形成されている。挿入溝60は、X軸方向から視た平面形状が、X軸方向と交差する第2方向(ここでは、Y軸方向)に開口する挿入口61を有する形状に形成されている。
この構成によれば、挿入溝60に対して、柱状の固定具B1をX軸方向に沿って挿入することができるとともに、柱状の固定具B1をY軸方向に沿って挿入することができる。すなわち、挿入溝60に対して柱状の固定具B1を2つの方向から挿入することができる。これにより、閉環状の挿通孔と比べて、車体パネルP1に対するクランプ41の組付方向を増加させることができ、その組付方向の自由度を向上させることができる。この結果、車体パネルP1に対するクランプ41の組み付け性を向上させることができる。
(2)挿入口61には、Y軸方向に平行な挿入方向F1の奥側に固定具B1を誘導する誘導部63が設けられている。誘導部63は、挿入方向F1の奥側から挿入方向F1の手前側に向かうに連れて挿入溝60の開口幅が広がるように傾斜して形成されている。
この構成によれば、Y軸方向に平行な挿入方向F1に沿って固定具B1を挿入溝60に挿入する際に、固定具B1が誘導部63の斜面に沿って挿入方向F1の奥側に誘導される。これにより、固定具B1を挿入溝60の挿入方向F1奥側の端部(つまり、底部)に容易に挿入することができる。また、誘導部63によって挿入溝60の開口幅が広げられている。このため、固定具B1を挿入溝60に挿入する際に、固定具B1に対する挿入溝60の底部の位置が多少ずれていたとしても、誘導部63によって固定具B1を挿入溝60の底部に挿入させることができる。これらにより、車体パネルP1に対するクランプ41の組み付け性を向上させることができる。
(3)クランプ41は、第1組付方向D1と、第1組付方向D1と交差し、かつ挿入方向F1と平行な第2組付方向D2との2段階の方向に移動されて車体パネルP1に組み付けられるものである。誘導部63は、車体パネルP1に組み付けられる際の姿勢において、第1組付方向D1の奥側に位置する第1誘導部64と、第1組付方向D1の手前側に位置する第2誘導部65とを有する。第1誘導部64の第2組付方向D2に沿う寸法は、第2誘導部65の第2組付方向D2に沿う寸法よりも短く設定されている。
この構成によれば、クランプ41を第1組付方向D1に移動させる際に、固定具B1と先に接触する可能性のある第1誘導部64の第2組付方向D2に沿う寸法が、第2誘導部65の第2組付方向D2に沿う寸法よりも短く設定されている。これにより、クランプ41を第1組付方向D1に移動させる際に、第1誘導部64が固定具B1に接触することを好適に抑制できる。このため、クランプ41の第1組付方向D1への移動が規制されることが抑制される。
(4)挿入溝60は、X軸方向から視た平面視において、保持部70,100よりも第2組付方向D2に突出した位置に形成されている。この構成によれば、保持部70,100が挿入溝60よりも第2組付方向D2の反対方向に後退した位置に設けられる。このため、クランプ41を第2組付方向D2に移動させる際に、固定具B1に保持部70,100が接触することを好適に抑制できる。これにより、保持部70,100が損傷することを抑制できるとともに、クランプ41の第2組付方向D2への移動が規制されることを抑制できる。
(5)固定部50は、保持部70,100と一体に形成された樹脂製の基部51と、基部51に保持された固定板56とを有する。固定板56は、基部51を構成する材料よりも剛性の高い金属材料からなる。挿入溝60は、固定板56に形成されている。
この構成によれば、車体パネルP1の組付面P1aとの固定部分となるクランプ41の固定板56において高い強度を確保することができる。これにより、例えば固定具B1としてボルトとそのボルトに装着されるナットなどを利用して、クランプ41を車体パネルP1の組付面P1aに強固に固定することができる。この結果、クランプ41の車体パネルP1に対する接続信頼性を向上させることができる。
(6)クランプ41は、電線35を内部に収容する外装部材36を保持する保持部70と、電線31を内部に収容する外装部材32を保持する保持部100を有する。固定部50と保持部70と保持部100とは、X軸方向及びY軸方向の双方と交差する方向に沿って並んで設けられている。
この構成によれば、挿入溝60からX軸方向に沿って延びる延長線上に保持部70,100が設けられておらず、挿入溝60からY軸方向に沿って延びる延長線上に保持部70,100が設けられていない。このため、固定具B1をX軸方向に沿って挿入溝60に挿入する場合と、固定具B1をY軸方向に沿って挿入溝60に挿入する場合とのいずれの場合にも、固定具B1が保持部70及び保持部100に接触することを好適に抑制できる。
(7)クランプ41は、外装部材32と外装部材36とが並列に配索される部位における外装部材32,36に取り付けられる。クランプ42は、外装部材36に取り付けられる。クランプ41は、車体パネルP1の組付面P1aに固定される。クランプ42は、組付面P1aに垂直な平面上に形成された組付面P2aに固定される。
この構成によれば、クランプ41及びクランプ42が、互いに直交する平面上に形成された組付面P1a及び組付面P2aにそれぞれ固定される。このような組付態様では、通常、組付面P1aに対するクランプ41の組付方向と、組付面P2aに対するクランプ42の組付方向とは互いに直交する方向になる。このため、従来の閉環状の挿入孔を利用した場合には、その挿入孔に対する固定具の挿入方向が1方向のみとなることから、クランプ41,42を組付面P1a,P2aに組み付けることが困難になる。これに対し、本実施形態のクランプ41では、挿入溝60に対して固定具B1を2つの方向から挿入することができる。このため、例えば組付面P1aに設けられた固定具B1をY軸方向に沿って挿入溝60に挿入することにより、互いに直交する平面上に形成された組付面P1a及び組付面P2aに対してクランプ41及びクランプ42を組み付けることができる。
(8)クランプ41の保持部70は、外装部材36の長さ方向と直交する開放方向E2に開口し、外装部材36を保持部70へ挿入可能な挿入口81を有する。保持部100は、外装部材32の長さ方向と直交する開放方向E3に開口し、外装部材32を保持部100へ挿入可能な挿入口111を有する。開放方向E2と開放方向E3とが互いに交差する方向に設定されている。
この構成によれば、外装部材36及び外装部材32が互いに異なる挿入方向に沿って保持部70及び保持部100にそれぞれ挿入される。このため、外装部材36及び外装部材32を互いに異なる方向に沿って保持部70及び保持部100から取り外すことができる。換言すると、外装部材36及び外装部材32をクランプ41から個別に取り外しやすいようになっている。
ここで、例えば車両衝突時に、電線31に接続された第1機器M1(例えば、インバータ)が本来の設置位置から衝突に起因して移動すると、その第1機器M1の移動に追従して電線31及び外装部材32が意図しない方向(以下では、「追従方向」と称する。)に移動してしまう場合がある。そこで、例えば、保持部100の挿入口111の開放方向E3を、電線31及び外装部材32の追従方向に向くように設定する。これにより、追従方向に沿って外装部材32が移動する際に、その外装部材32を外装部材36とは個別にクランプ41から脱落させやすくすることができる。したがって、車両衝突時に電線31及び外装部材32が追従方向に移動する場合であっても、それら電線31及び外装部材32の移動に伴ってクランプ41及び電線35が一緒に追従方向に移動することを抑制できる。この結果、車両衝突時におけるワイヤハーネス10の損傷を抑制することができる。
(9)保持部70は、挿入口81を覆うカバー90を有する。保持部100は、挿入口111を覆うカバー120を有する。カバー90とカバー120とが別部品である。
この構成によれば、カバー90とカバー120とが別部品になっているため、それらカバー90,120を個別に開状態、つまり挿入口81,111を開放させた状態にすることができる。
ここで、例えばカバー90とカバー120とが一体に形成されている場合には、挿入口81及び挿入口111のうち一方の挿入口のみを開放させることは困難になる。また、例えば開放方向E2,E3が互いに異なる挿入口81,111を覆う1つのカバーを収容部80,110に対して取り付ける場合には、複数の方向から固定(例えば、係止)されることになる。このため、カバー90,120を一体に形成した場合には、1つの方向からの外力では、カバー90,120が外れにくい。したがって、カバー90,120が一体に形成された場合には、外装部材32からの追従方向に向かう押圧力だけではカバー90,120が外れにくい。この場合には、外装部材32が追従方向に沿って移動する場合に、その移動が一体形成されたカバーによって妨げられ、そのカバー含むクランプ41及び外装部材36が外装部材32の移動に追従して一緒に移動しやすくなる。
これに対し、本実施形態のクランプ41では、カバー90とカバー120とを別部品としたため、挿入口111を覆うようにカバー120を取り付ける場合の固定方向(例えば、係止方向)を1つの方向(ここでは、Z軸方向)に設定することができる。このため、カバー90とカバー120とが一体に形成される場合に比べて、外装部材32からの追従方向に向かう押圧力によってカバー120が外れやすくなる。これにより、外装部材32の追従方向に沿う移動に伴って、クランプ41及び外装部材36が一緒に追従方向に移動することを好適に抑制できる。
(10)保持部100は、挿入口111を有して外装部材32を収容する収容部110と、カバー120とを有する。収容部110とカバー120とが別部品である。この構成によれば、収容部110とカバー120とが別部品になっているため、カバー120を収容部110(つまり、クランプ41自体)から取り外すことができる。このため、外装部材32が追従方向に沿って移動する場合に、カバー120と一緒にクランプ41及び外装部材36が外装部材32の移動に追従して移動することを好適に抑制できる。
(11)保持部70は、一端部が固定部50と接続され、他端部が保持部100と接続されている。保持部100の挿入口111の開放方向E3は、保持部70から離れる方向を向くように設定されている。この構成によれば、挿入口111の開放方向E3に保持部70及び固定部50が存在しないため、外装部材32が追従方向に移動する際に、外装部材32が保持部70及び固定部50に衝突することを抑制できる。
(12)挿入口111の開放方向E3は、固定部50が車体パネルP1の組付面P1aに固定された際に、組付面P1aに向かない方向を向くように設定されている。この構成によれば、外装部材32が追従方向に移動する際に、外装部材32が車体パネルP1に衝突することを抑制できる。
(13)挿入口111の開放方向E3は、固定部50が車体パネルP1の組付面P1aに固定された際に、鉛直方向の上方を向くように設定されている。この構成によれば、電線31及び外装部材32の自重によって、それら電線31及び外装部材32がクランプ41から脱落することを抑制できる。
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・挿入溝60の構造は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
例えば、第1誘導部64の第2組付方向D2に沿う寸法と、第2誘導部65の第2組付方向D2に沿う寸法とを同じ寸法に設定してもよい。また、第1誘導部64の第2組付方向D2に沿う寸法を、第2誘導部65の第2組付方向D2に沿う寸法よりも長く設定してもよい。
・例えば、誘導部63を省略してもよい。
・上記実施形態では、X軸方向から視た平面視において、挿入溝60を、保持部70,100よりも第2組付方向D2に突出した位置に設けるようにした。これに限らず、例えば、X軸方向から視た平面視において、X軸方向と直交するZ軸方向に沿って保持部70,100と並ぶ位置に挿入溝60を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態の固定部50では、固定板56を金属材料で構成したが、これに限定されない。例えば、固定板56を、合成樹脂で構成するようにしてもよい。この場合には、基部51(保持壁52,53)と固定板56とを連続して一体に形成するようにしてもよい。
・保持部70における収容部80とカバー90との係止構造は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、収容部80の保持壁82,83に係止爪を有する係止部を設け、カバー90にロック枠部を設けるようにしてもよい。
・保持部100における収容部110とカバー120との係止構造は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、収容部110の保持壁112,113に係止爪を有する係止部を設け、カバー120にロック枠部を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態において、収容部110に対するカバー120の固定力が、収容部80に対するカバー90の固定力よりも小さくなるように設定してもよい。この構成によれば、カバー90よりもカバー120を外れやすくすることができる。これにより、例えば車両衝突時に第1機器M1が本来の設置位置から移動することに追従して、保持部70に保持された導電路11がカバー120側に向かって移動する場合に、その導電路11の移動によってカバー120が収容部110から外れやすい。このため、カバー120によって導電路11の移動が妨げられることが抑制される。これにより、導電路11の移動に追従して、クランプ41及び導電路12が移動することを抑制することができる。
なお、この場合には、カバー120が鉛直方向の上方を向くように設けられることが好ましい。この構成によれば、導電路11の自重によってカバー120が外れることを好適に抑制できる。
・上記実施形態の保持部70では、収容部80とカバー90とを別部品で形成したが、これに限定されない。例えば、収容部80とカバー90とを一体に形成するようにしてもよい。この場合には、例えば、保持壁82,83の一方にヒンジにより連結され、ヒンジ開閉により挿入口81の開閉を可能とした構造のカバーを採用することができる。
・上記実施形態の保持部100では、収容部110とカバー120とを別部品で形成したが、これに限定されない。例えば、収容部80とカバー90とを一体に形成するようにしてもよい。この場合には、例えば、保持壁82,83の一方にヒンジにより連結され、ヒンジ開閉により挿入口81の開閉を可能とした構造のカバーを採用することができる。
・上記実施形態では、カバー90とカバー120とを別部品で形成したが、これに限定されない。例えば、カバー90とカバー120とを一体に形成してもよい。すなわち、収容部80の挿入口81と収容部110の挿入口111とを一括して覆うカバーを形成してもよい。
・上記実施形態におけるカバー90を省略してもよい。この場合には、カバー90の代わりに、例えば、収容部80の挿入口81からの導電路12の脱落を防止する保持構造を収容部80内に設ける。
・上記実施形態におけるカバー120を省略してもよい。この場合には、カバー120の代わりに、例えば、収容部110の挿入口111からの導電路11の脱落を防止する保持構造を収容部110内に設ける。
・上記実施形態における保持部70は、導電路12を保持可能な構造を有していれば、その構造は特に限定されない。例えば、保持壁82,83の内側面を円弧状に形成してもよい。例えば、保持壁84の内側面を円弧状に形成してもよい。例えば、突出部88の外側面に形成された突起部89を省略してもよい。例えば、突出部88を省略してもよい。
・上記実施形態では、突出部88と導電路12とを固定する固定部材を結束バンドC1に具体化した。これに限らず、例えば、突出部88と導電路12とを固定する固定部材を粘着テープやカシメバンドに具体化してもよい。
・上記実施形態における保持部100は、導電路11を保持可能な構造を有していれば、その構造は特に限定されない。例えば、保持壁112,113の内側面を円弧状に形成してもよい。例えば、保持壁114の内側面を円弧状に形成してもよい。例えば、保持壁114のY軸方向の少なくとも一方の端部に、突出部88と同様の突出部を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、収容部110の挿入口111の開放方向E3が鉛直方向の上方を向くように構成されたが、これに限定されない。例えば、挿入口111の開放方向E3が、鉛直方向の下方を向くように構成してもよいし、収容部80の挿入口81の開放方向E2の反対方向を向くように構成してもよい。
・上記実施形態では、収容部80の挿入口81の開放方向E2がX軸方向の組付面P1a側を向くように構成されたが、これに限定されない。例えば、挿入口81の開放方向E2が、X軸方向の組付面P1aとは反対側を向くように構成してもよいし、鉛直方向の上方を向くように構成してもよい。
・上記実施形態では、挿入口81の開放方向E2と挿入口111の開放方向E3とを互いに交差する方向に設定したが、開放方向E2と開放方向E3とを互いに平行をなす方向に設定してもよい。例えば、開放方向E2,E3の双方が鉛直方向の上方を向くように構成してもよい。
・上記実施形態のクランプ41では、固定部50と保持部70と保持部100とをこの順番で並べて設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、保持部70と保持部100との間に固定部50を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態のワイヤハーネス10では、保持部70に低電圧用の導電路12が保持され、保持部100に高電圧用の導電路11が保持される構成とした。これに限らず、例えば、保持部70に高電圧用の導電路11が保持され、保持部100に低電圧用の導電路12が保持される構成としてもよい。
・導電路11の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、外装部材32に収容される電線31の本数を1本又は3本以上に変更してもよい。例えば、電線31を低圧電線に変更してもよい。外装部材32を、金属製のパイプに代えて、樹脂製の硬質なパイプや、電線31よりも剛性の低い部材(例えば、樹脂製のコルゲートチューブ)としてもよい。
・導電路12の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、外装部材36に収容される電線31の本数を1本又は3本以上に変更してもよい。例えば、電線35を高圧電線に変更してもよい。外装部材36を、金属製のパイプに代えて、樹脂製の硬質なパイプや、電線35よりも剛性の低い部材(例えば、樹脂製のコルゲートチューブ)としてもよい。
・上記実施形態では、1つの高電圧用の導電路11と1つの低電圧用の導電路12とを組付面P1aに固定するクランプ41に具体化した。しかしながら、クランプ41に保持される導電路の数は、車両の構成に応じて適宜設定されるものであり、それに応じて1つ又は3つ以上の導電路を組付面P1aに固定するクランプに具体化してもよい。導電路を1つとする場合には、例えば、クランプ41から保持部100が省略される。この場合の導電路は、高電圧用であってもよいし、低電圧用であってもよい。また、導電路を3つとする場合には、例えば、高電圧用の導電路を1つ、低電圧用の導電路を2つとしてもよいし、高電圧用の導電路を2つ、低電圧用の導電路を1つとしてもよい。
・上記実施形態では、固定具B1,B2としてボルトを例示したが、これに限定されない。例えば、クランプ41,42を組付面P1a,P2aに固定することが可能な固定具であれば、ボルトに限定されず、公知の種々の固定具を用いることができる。
・上記実施形態では、組付面P2aから突出する固定具B2がクランプ42の挿入孔161に挿入されて固定される構成としたが、これに限定されない。例えば、クランプ42の固定部160に組付方向D3に沿って突出する固定凸部を設け、車体パネルP2の組付面P2aに形成した固定孔に上記固定凸部を挿入して固定する構成としてもよい。
・上記実施形態のクランプ42を省略してもよい。
・上記実施形態のクランプ43を省略してもよい。
・導電路11,12の配索経路は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、導電路11,12の配索経路を、捻りのない経路に変更してもよい。
・上記実施形態では、被固定部として車体パネルP1,P2に具体化したが、これに限定されない。例えば、被固定部として、車体パネルに取り付けられたブラケットに具体化してもよい。例えば、被固定部として、車両Vに搭載された電気機器が有する筐体の外側面に具体化してもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。