JP2021042293A - 湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物 - Google Patents

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【課題】本発明が解決しようとする課題は、金属基材への接着性に優れる湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供することである。【解決手段】本発明は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を原料とするイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、金属有機化合物(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供するものである。前記ポリイソシアネート(B)としては、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、キシレンジイソシアネートがより好ましい。前記金属有機化合物(ii)としては、有機酸金属塩、及び/又は、アルミニウムキレート化合物であることが好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物に関する。
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤は、無溶剤であることから環境対応型接着剤として、繊維ボンディング・建材ラミネーションを中心に様々な研究が今日までなされており、産業界でも広く利用されている。
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤は、その主剤であるウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基の湿気硬化により最終的な接着強度を発現するが、様々な基材の貼り合わせにおいて、高い最終接着強度が求められる。
しかしながら、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤が使用される用途が、電子材料の組み立て等においてもニーズが拡大しており、エンプラ、金属、ゴムなど様々な基材への接着が求められるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2018−44944号公報
本発明が解決しようとする課題は、金属基材への接着性に優れる湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供することである。
本発明は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を原料とするイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、金属有機化合物(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供するものである。
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、金属基材への接着性に優れるものである。よって、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、電子材料の組み立てに用いられる接着剤として特に好適に用いることができる。
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、金属有機化合物(ii)を含有するものである。
前記ウレタンプレポリマー(i)は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を原料とするイソシアネート基を有するものである。また、前記ウレタンプレポリマー(i)としては、前記イソシアネート基以外にその他の反応性基を有しないことが好ましい。
前記ポリオール(A)としては、ポリエーテルポリオール(a1)、ポリアクリルポリオール(a2)、結晶性ポリエステルポリオール(a3)、非晶性ポリエステルポリオール(a4)、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ダイマージオールなどを用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた接着性、オープンタイム、柔軟性、防水性が得られる点から、ポリエーテルポリオール(a1)、ポリアクリルポリオール(a2)、結晶性ポリエステルポリオール(a3)、及び、非晶性ポリエステルポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上のポリオール用いることが好ましく、ポリエーテルポリオール(a1)、ポリアクリルポリオール(a2)、結晶性ポリエステルポリオール(a3)、及び、非晶性ポリエステルポリオール(a4)を全て用いることがより好ましい。ただし、本発明の効果である金属基材に対する接着性の向上は、主に後述する金属有機化合物(ii)に由来するものであり、前記ポリオール(A)は、その用途に応じて適宜使い分けることができる。
前記ポリエーテルポリオール(a1)としては、ポリオキシアルキレンポリオールが好ましく、必要に応じ活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として用いて、アルキレンオキシド等の環状エーテルを開環重合させたもの等を用いることができる。
前記環状エーテルの炭素原子数は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。前記環状エーテルに含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。前記環状エーテルとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン、アルキル化テトラヒドロフラン等を用いることができる。
前記開始剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水等の活性水素原子を2個有する化合物;グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ペンタエリスリトール、糖類等の活性水素原子を3個以上有する化合物などを用いることができる。
前記ポリエーテルポリオール(a1)としては、前記したものの中でも、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、及び、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種以上のポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
前記ポリエーテルポリオール(a1)の数平均分子量としては、より一層優れた接着性、柔軟性が得られる点から、500〜10,000の範囲が好ましく、700〜5,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリエーテルポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記ポリアクリルポリオール(a2)としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を必須として含有する(メタ)アクリル化合物の重合物を用いることができる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル化合物」とは、メタクリル化合物とアクリル化合物の一方又は両方を示し、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方を示す。
前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
その他の(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリル化合物;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シジクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリル化合物;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する(メタ)アクリル化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−[1,3]−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた防水性、接着性、及び、オープンタイムが得られる点から、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物および(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びn−ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
前記アクリルポリオール(a2)の数平均分子量としては、より一層優れた防水性、接着性、およびオープンタイムが得られる点から、5,000〜100,000の範囲が好ましく、10,000〜30,000の範囲がより好ましい。なお、前記アクリルポリオール(a2)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記アクリルポリオール(a2)のガラス転移温度としては、より一層優れた防水性、接着性、およびオープンタイムが得られる点から、30〜120℃の範囲が好ましく、50〜80℃の範囲がより好ましい。なお、前記アクリルポリオール(a2)のガラス転移温度は、JIS K 7121−1987に準拠し、DSCにより測定した値を示し、具体的には、示差走査型熱量計装置内に前記ポリアクリルポリオール(a2)を入れ、(Tg+50℃)まで昇温速度10℃/分で昇温した後、3分間保持し、その後急冷し、得られた示差熱曲線から読み取った中間点ガラス転移温度(Tmg)を示す。
前記アクリルポリオール(a2)を用いる場合の使用量としては、より一層優れた防水性、オープンタイム、および接着性が得られる点から、前記エーテルポリオール(a1)100質量部に対して、10〜250質量部の範囲が好ましく、15〜200質量部の範囲がより好ましく、20〜150質量部の範囲が更に好ましい。
前記結晶性ポリエステルポリオール(a3)としては、例えば、例えば、水酸基を有する化合物と多塩基酸との反応物を用いることができる。なお、本発明において、「結晶性」とは、JISK7121:2012に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱あるいは融解熱のピークを確認できるものを示し、「非晶性」とは、前記ピークを確認できないものを示す。
前記水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも結晶性を高め、より一層優れた防水性および接着性が得られる点から、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及び、デカンジオールからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
前記多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記結晶性ポリエステルポリオール(a3)の数平均分子量としては、より一層優れた防水性および接着性が得られる点から、500〜10,000の範囲が好ましく、1,000〜4,000の範囲がより好ましい。なお、前記結晶性ポリエステルポリオール(a3)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記結晶性ポリエステルポリオール(a3)を用いる場合の使用量としては、より一層優れた柔軟性、接着性、及び、オープンタイムが得られる点から、前記エーテルポリオール(a1)100質量部に対して、20〜600質量部の範囲が好ましく、40〜400質量部の範囲がより好ましい。
前記非晶性ポリエステルポリオール(a4)としては、例えば、下記水酸基を有する化合物と多塩基酸との反応物を用いることができる。
前記水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン;ビスフェノールA、ビスフェノールF、そのアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記多塩基酸としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ダイマー酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記非晶性ポリエステルポリオール(a4)の数平均分子量としては、より一層優れた防水性、接着性、および柔軟性が得られる点から、500〜10,000の範囲が好ましく、1,000〜4,000の範囲がより好ましく、1,000〜3,000の範囲が更に好ましい。なお、前記非晶性ポリエステルポリオール(a4)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記非晶性ポリエステルポリオール(a4)のガラス転移温度としては、より一層優れた防水性、接着性および柔軟性が得られる点から、−70〜0℃の範囲が好ましい。なお、前記非晶性ポリエステルポリオール(a4)のガラス転移温度は、前記ポリアクリルポリオール(a2)のガラス転移温度(Tg)の測定方法と同様である。
前記非晶性ポリエステルポリオール(a4)を用いる場合の使用量としては、より一層優れた防水性、柔軟性、および接着性が得られる点から、前記エーテルポリオール(a1)100質量部に対して、10〜500質量部の範囲が好ましく、15〜400質量部の範囲がより好ましく、20〜300質量部の範囲が更に好ましい。
前記ポリイソシアネート(B)としては、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらの中でも、より一層優れた反応性および接着性が得られる点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、キシレンジイソシアネートがより好ましい。
なお、前記ポリイソシアネート(B)として、キシリレンジイソシアネートを用いると、湿気硬化性と耐黄変性が優れるが、金属への接着性が不十分な場合がある。本発明においては、後述する金属有機化合物(ii)を組み合わせ用いることで、湿気硬化性と耐黄変性を損なうことなく、金属への接着性を付与できることが分かった。
また、前記ポリイソシアネート(B)の使用量としては、より一層優れた接着性が得られる点から、ウレタンプレポリマー(i)の原料中5〜60質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲がより好ましい。
前記ウレタンプレポリマー(i)は、前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)とを反応させて得られるものであり、空気中やウレタンプレポリマーが塗布される筐体や被着体中に存在する水分と反応して架橋構造を形成しうるイソシアネート基をポリマー末端や分子内に有するものである。
前記ウレタンプレポリマー(i)の製造方法としては、例えば、前記ポリイソシアネート(B)の入った反応容器に、前記ポリオール(A)を滴下した後に加熱し、前記ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基が、前記ポリオール(A)の有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させることによって製造することができる。
前記ウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基含有率(以下、「NCO%」と略記する。)としては、より一層優れた防水性、接着性、および柔軟性が得られる点から、1〜8%の範囲が好ましく、1.3〜6.5%の範囲がより好ましく、1.6〜5%の範囲が更に好ましい。なお、前記ウレタンプレポリマー(i)のNCO%は、JISK1603−1:2007に準拠し、電位差滴定法により測定した値を示す。
前記金属有機化合物(ii)は、金属基材への優れた接着性を得る上で必須の成分である。前記金属有機化応物(ii)としては、例えば、有機酸金属塩;それ以外のアルミニウムキレート化合物、アルミニウムアルコキシド化合物、アルミニウムアシレート化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタンアシレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムアシレート化合物等を用いることができる。これらの化合物は単独でも用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ウレタンプレポリマー(i)との相溶性に優れ、より一層優れた金属基材への接着性が得られる点から、有機酸金属塩、及び/又は、アルミニウムキレート化合物を用いることが好ましい。
前記有機酸金属塩としては、例えば、長鎖脂肪酸と金属イオンとが結合したものであり、脂肪酸に基づく無極性あるいは低極性の部分と、金属との結合部分に基づく極性の部分を1分子中に併せて持っているものを用いることができる。
前記長鎖脂肪酸としては、例えば、炭素原子数1〜18の飽和脂肪酸、炭素原子数3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸等を用いることができる。これらの中でも、前記ウレタンプレポリマー(i)との相溶性に優れ、より一層優れた金属基材への接着性が得られる点から、炭素原子数1〜18の飽和脂肪酸が好ましく、炭素原子数6〜18の飽和脂肪酸がより好ましく、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、リノール酸、及び、リノレン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸が好ましく、2−エチルヘキサン酸、及び/又は、ネオデカン酸がより好ましい。
前記金属イオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ネオジム、亜鉛、鉛、コバルト、アルミニウム、マンガン、ビスマス、セリウム、銅、ジルコニウム、ニッケル、鉄等を用いることができる。これらの中でも、前記ウレタンプレポリマー(i)との相溶性に優れ、より一層優れた金属基材への接着性が得られる点から、ジルコニウム、バリウム、ビスマス、及び、ネオジムからなる群より選ばれる1種以上の金属イオンが好ましい。
前記アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテテート)、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジ−sec−ブトキシドモノメチルアセトアセテート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ウレタンプレポリマー(i)との相溶性に優れ、より一層優れた金属基材への接着性が得られる点から、ビス[エチル−3−(オキソ−κO)ブタノアト−κO’](2−プロパノラト)アルミニウム、及び/又は、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートが好ましい。
前記金属有機化合物(ii)は、必要に応じて、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、n−ヘキサン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチルベンゼン、キシレン、トルエン、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサン等の有機溶剤を含有していてもよい。
前記金属有機化合物(ii)の含有量(固形分)としては、より一層優れた金属基材への接着性が得られる点から、前記ウレタンプレポリマー(i)100質量部に対して、0.005〜2質量部の範囲が好ましく、0.01〜1質量部の範囲がより好ましい。
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、前記ウレタンプレポリマー(i)、及び、前記金属有機化合物(ii)を必須成分とするが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、充填材、染料、顔料、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化皮膜を得る方法としては、例えば、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を50〜130℃で溶融した後に基材に塗工し、湿気硬化させる方法が挙げられる。
前記基材としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、シクロオレフィン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、脂環式ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタラート)、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、乳酸ポリマー、ABS樹脂、AS樹脂等の樹脂フィルム;MDF、合板、パーチクルボード等の木質基材;不織布、織布、編み物等の繊維基材;ステンレス、アルミニウム、銅、鉄鋼、クロム、亜鉛、ジェラルミン、ダイカスト、これらの合金などの金属基材などを用いることができる。前記基材は、必要に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理等が施されていてもよい。
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を塗工する方法としては、例えば、ロールコーター、スプレーコーター、T−ダイコーター、ナイフコーター、コンマコーター等を使用する方法が挙げられる。
前記塗工後は、例えば、温度20〜80℃、相対湿度50〜90%にて0.5〜3日間エージングし、最終接着強度を得ることができる。
以上、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、金属基材への接着性に優れるものである。よって、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、電子材料の組み立てに用いられる接着剤として特に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;1,000、以下「PPG」と略記する。)を16質量部、ポリオエチレンポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量;4,000、以下「EOPO」と略記する。)を20質量部、ポリアクリルポリオール(メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの反応物、数平均分子量;20,000、以下「AcP」と略記する。)を16質量部、結晶性ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオール及びアジピン酸の反応物、数平均分子量;2,000、以下「HG/AA」と略記する。)を10質量部、結晶性ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオール及びドデカン二酸の反応物、数平均分子量;3,500、以下「HG/DDA」と略記する。)を10質量部、非晶性ポリエステルポリオール(ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びアジピン酸の反応物、数平均分子量;2,000、以下「非晶性PEs」と略記する。)を15質量部、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム0.1質量部を仕込み、90℃で加熱することにより、水分含有量が0.05質量%以下となるまで脱水した。
次いで、容器内温度を60℃に冷却後、キシリレンジジイソシアネート(以下「XDI」と略記する。)13質量部を加え、110℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i−1)を得、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。前記ウレタンプレポリマー(i−1)のNCO%は2.5質量%であった。
[実施例2]
実施例1において、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムに代えて、2−エチルヘキサン酸バリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[実施例3]
実施例1において、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムに代えて、2−エチルヘキサン酸ビスマスを用いた以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[実施例4]
実施例1において、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムに代えて、ネオデカン酸ネオジウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[実施例5]
実施例1において、ネオデカン酸ネオジムの使用量を0.1質量部から0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[実施例6]
実施例1において、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムに代えて、アルミニウムキレート(ビス[エチル−3−(オキソ−κO)ブタノアト−κO’](2−プロパノラト)アルミニウム)を用いた以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[実施例7]
実施例1において、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムに代えて、アルミニウムキレート(ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート)を用いた以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[比較例1]
実施例1において、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムの使用量を0.1質量部から0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[数平均分子量の測定方法]
実施例および比較例において、ポリオール等の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
[接着性の測定方法]
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を、それぞれ120℃の温度で1時間溶融させた。該接着剤をポリエチレンテレフタレート(PET)シート上に厚さが100μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布した。該塗布層の上に、金属板(アルミ板、又は、SUS板)を貼り合せ、圧着ローラーで圧着した。その後、23℃、湿度50%の条件下で7日間養生した後、株式会社島津製作所製の精密万能試験機「AG−10NX」を使用して接着強度(N/25mm)を測定し、金属基材に対する接着性を以下のように評価した。
「○」:接着強度が25(N/25mm)以上である。
「×」:接着強度が25(N/25mm)未満である。
[耐黄変性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を120℃で1時間溶融させた。該接着剤を離型紙上に厚さが100μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布した後、23℃、湿度50%の条件下で7日間養生した。得られた硬化皮膜を、スガ試験機株式会社製フェードメーター「U48AU」(63℃、湿度50%)で100時間光照射した。光照射前後の色差(ΔE)を測定し、以下のように評価した。
「T」:ΔEが20未満である。
「F」:ΔEが20以上である。
Figure 2021042293
Figure 2021042293
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、金属基材に対し、優れた接着性を示すことが分かった。また、ウレタンプレポリマー(i)の原料として、キシリレンジイソシアネートを用いても耐黄変性に優れることも分かった。
一方、比較例1は、金属有機化合物(ii)を含まない態様であるが、金属基材に対する接着性、及び、耐黄変性が不良であった。

Claims (6)

  1. ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を原料とするイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、金属有機化合物(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  2. 前記ポリオール(A)が、ポリエーテルポリオール(a1)、ポリアクリルポリオール(a2)、結晶性ポリエステルポリオール(a3)、及び、非晶性ポリエステルポリオール(a4)からなる群より選ばれる1種以上のポリオールを含有するものである請求項1記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  3. 前記ポリイソシアネート(B)が、芳香族ポリイソシアネートである請求項1又は2記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  4. 前記芳香族ポリイソシアネートが、キシレンジイソシアネートである請求項3記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  5. 前記ウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基含有率が、1〜8質量%の範囲である請求項1記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  6. 前記金属有機化合物(ii)が、有機酸金属塩、及び/又は、アルミニウムキレート化合物である請求項1〜5のいずれか1項記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
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