JP2004277604A - 制振性組成物 - Google Patents

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和生 菅
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Abstract

【課題】本発明は、硬化後に高減衰性を示し、硬度が適当な範囲にあり、また硬度の温度依存性が小さい制振性組成物の提供。
【解決手段】(A)ウレタンプレポリマーと、(B)熱可塑性樹脂と、(C)下記式(1)で表されるアミン化合物および/または式(2)で表されるアミン化合物とを含有する制振性組成物を提供する。
【化1】
Figure 2004277604

(式(1)および(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜15の炭化水素基であり、または、RとRおよび/またはRとRが結合して炭素数3〜15の脂環もしくは芳香環を形成する。n、mは、それぞれ独立に4〜12の整数である。式(2)中のRおよびRは、それぞれ独立にメチル基またはエチル基である。なお、kは0〜3の整数である。)
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制振性組成物に関する。詳しくは、(A)ウレタンプレポリマーと(B)熱可塑性樹脂と、(C)特定のアミン化合物とを含有し、硬化後の組成物が高減衰性を示し、硬度が適当な範囲にあり、また硬度の温度依存性が優れている制振性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
様々な産業の発達と共に、各産業で使用される制振材料(制振性組成物)も、その目的に応じて幅広い原料を用いて製造されている。例えば、ビル、橋脚の支承部分等の建造物には、加硫ゴムを主成分とした高減衰性ゴムを使用することにより、自動車等による振動、日常生活レベルで発生する揺れ、地震で発生する莫大な振動エネルギー等を、効率良く吸収・発散し、各種の振動エネルギーによる構造物の破損、損壊を抑制している。また、情報産業のハードディスク等の回転を伴う機械部品や工作機械の動作の衝撃吸収材、発泡スチロール、ソファー、ベッド等の中綿の振動吸収材等、多種多様な制振材料が、樹脂および複合樹脂を中心とした材料により提供されている。
【0003】
このように、制振材料はその原料に応じて、様々な用途に使用されているが、各原料をもとに作製された制振材料には、それぞれ特有の性質がある。例えば、特許文献1には、ジエン系ゴム100重量部に対して、樹脂5〜55重量部、軟化剤0〜50重量部および補強剤20〜150重量部を含む高減衰ゴム組成物において、ゴム混練の第一段階で、ジエン系ゴムA重量部、樹脂B重量部、軟化剤C重量部、補強剤D重量部として、数式(A+B+C)/(DBP吸油量+D)×100≦1.3(式中、20≦A≦100,0≦B≦55,0≦C≦50,16≦D≦150で、但し、Dは、全補強剤配合量の80%以上とする。)の関係を満たすようなマスターバッチを作製し、第二段階以降にそのマスターバッチ、残りのジエン系ゴム、補強剤、その他の配合剤を混合したことを特徴とする高減衰ゴム組成物が記載されている。また、特許文献2には、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを50重量部以上含有するゴム100重量部に対して、石油樹脂を15〜60重量部、微粒子カーボンブラックとシリカを合計で60〜95重量部含有し、前記微粒子カーボンブラックと前記シリカの重量部比率が95/5〜75/25の範囲であることを特徴とする高減衰ゴム組成物が記載されている。前者は、ゴム混錬方法を工夫した履歴依存性の小さい高減衰性ゴム組成物であり、後者はカーボンブラックとシリカの配合重量比を工夫した低弾性率の高減衰性ゴム組成物である。しかし、高減衰性ゴム組成物は、硬度の温度依存性が優れるものの、硬度を小さくすることが難しい。これはゴム組成物を加硫する際に、必要な強度を維持すると、ある程度以上の架橋度が要求され、それに伴い硬度が大きくなってしまうことに、主な原因がある。したがって、ゴムを主成分とした組成物は、弾力性が要求されるような用途には好適でない。
【0004】
さらに、特許文献3には、少なくとも1種のスチレン系ブロックポリマーを主要成分とする高減衰エラストマー組成物であって、スチレン系ブロックポリマー全体中のジブロック成分の割合が50〜95重量%の範囲に設定されていることを特徴とする高減衰エラストマー組成物が記載されている。この熱可塑性エラストマー組成物は、スチレン系ブロックポリマー中のジブロック成分比を工夫しており、剛性(硬度)の温度依存性が優れている。しかし、熱可塑性エラストマー組成物を主成分としたホットメルトタイプの制振性組成物では、具体的に例えば、10℃における硬度と30℃における硬度の比である硬度の温度依存性が大き過ぎる。
【0005】
この他、特許文献4には、「ポリオール化合物中の水酸基に対するポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基の当量比率が0.1〜1.3(NCO/OH当量比)であり、ポリイソシアネート化合物を主成分とする組成物(I)と、ポリオール化合物を主成分とする組成物(II)とを混合して、組成物(I)中のイソシアネート基の一部または全部と組成物(II)中の水酸基の一部または全部を反応させて得られる制振・防振用ウレタン系組成物」が記載されている。しかし、この制振・防振用ウレタン系組成物は、減衰性能が低い。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−336207号公報
【特許文献2】
国際公開第98/016580号パンフレット
【特許文献3】
特開2002−138184号公報
【特許文献4】
特開2001−342234号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硬化後に高減衰性を示し、硬度が適当な範囲にあり、また硬度の温度依存性が小さい制振性組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(A)ウレタンプレポリマーと、(B)熱可塑性樹脂と、(C)下記式(1)で表されるアミン化合物および/または式(2)で表されるアミン化合物とを含有する制振性組成物を提供する。
【0009】
【化3】
Figure 2004277604
【0010】
式(1)および(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜15の炭化水素基であり、または、RとRおよび/またはRとRが結合して炭素数3〜15の脂環もしくは芳香環を形成する。n、mは、それぞれ独立に4〜12の整数である。式(2)中のRおよびRは、それぞれ独立にメチル基またはエチル基である。なお、kは0〜3の整数である。
【0011】
前記(A)ウレタンプレポリマーが、下記式(3)で表されるイソシアネート基含有化合物を用いて得られる上記制振性組成物を提供する。
【0012】
【化4】
Figure 2004277604
【0013】
式中、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜15の炭化水素基であり、または、RとR、RとR10が結合して脂環もしくは芳香環を形成する。
【0014】
前記(B)熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂および石油樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである上記いずれかに記載の制振性組成物を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の制振性組成物(以下、本発明の組成物とも記述する)について詳細に説明する。
本発明の組成物は、(A)ウレタンプレポリマーと、(B)熱可塑性樹脂と、(C)下記式(1)および/または(2)で表されるアミン化合物(以下、(C)アミン化合物とも記述する)とを含有する。
【0016】
【化5】
Figure 2004277604
【0017】
式(1)および(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜15の炭化水素基であり、または、RとR、RとRが結合して炭素数3〜15の脂環もしくは芳香環を形成する。n、mは、それぞれ独立に4〜12の整数である。式(2)中のk個のRおよび(3−k)個のRは、それぞれ独立にメチル基またはエチル基である。なお、kは0〜3の整数である。
【0018】
本発明に用いられる活性イソシアネート基を含有する(A)ウレタンプレポリマーは、活性イソシアネート基、即ち、ブロックされていないイソシアネート基を分子内に有するウレタンプレポリマーである。なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、一部のイソシアネート基がブロックされていてもよい。ブロックされたイソシアネート基を有しない場合には、湿気硬化させたときと加熱硬化させたときの物性の差が少ない。
【0019】
このような(A)ウレタンプレポリマーとしては、特に限定されず、(A−1)ポリオール化合物と(A−2)イソシアネート基含有化合物とから得られるウレタンプレポリマーを用いることができる。
【0020】
(A)ウレタンプレポリマーに用いられる(A−1)ポリオール化合物は、炭化水素の複数個の水素をヒドロキシ基で置換したアルコール類である。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を、分子中に活性水素を2個以上有する活性水素含有化合物に付加重合させた生成物が挙げられる。
【0021】
分子中に活性水素を2個以上有する活性水素含有化合物としては、例えば、多価アルコール類、アミン類、アルカノールアミン類、多価フェノール類が挙げられる。具体的には、多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。アミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンが挙げられる。アルカノールアミン類としては、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミンが挙げられる。多価フェノール類としては、例えば、レゾルシン、ビスフェノール類が挙げられる。
【0022】
(A−1)ポリオール化合物としては、具体的には、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール等のポリエーテル系ポリオール;ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィン系ポリオール;アジペート系ポリオール;ラクトン系ポリオール;ヒマシ油等のポリエステル系ポリオールが好適に挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
(A−1)ポリオール化合物は、重量平均分子量が500〜10000程度であるのが好ましく、1000〜7000程度であるのがより好ましい。
【0024】
(A)ウレタンプレポリマーに用いられる(A−2)イソシアネート基含有化合物としては、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられる種々のものを用いることができる。具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のTDI;ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等のMDI;テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、これらの変性品が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
これらのイソシアネート基含有化合物の中でも、MDI、TDI、TMXDI、HDI、IPDIが好ましい。これらのポリイソシアネートは汎用であるので、安価かつ入手が容易であるからである。より好ましくは、TDI、TMXDI、IPDIである。これらのポリイソシアネートを用いて合成された(A)ウレタンプレポリマーは、硬化反応の制御が特に容易であるからである。
【0026】
このような(A−2)イソシアネート基含有化合物の中でも、下記式(3)で表されるイソシアネート基の周囲が嵩高いジイソシアネート基が、特に好ましい。
【0027】
【化6】
Figure 2004277604
【0028】
式中、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜15の炭化水素基であり、または、RとR、RとR10が結合して脂環もしくは芳香環を形成する。また、ベンゼン環に対する置換基は、互いにオルト位、メタ位またはパラ位のいずれにあってもよい。
【0029】
、R、RおよびR10として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基等が挙げられる。これらの炭化水素基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基が好ましい。上記式(3)で表されるイソシアネート基含有化合物を用いて得られた(A)ウレタンプレポリマーは、本発明の組成物とした時に、減衰性と硬度のバランスがよいからである。このようなイソシアネート基含有化合物としては、例えば、TMXDIが好適に挙げられる。
【0030】
上述したような、(A)ウレタンプレポリマーを得る際における(A−1)ポリオール化合物と(A−2)イソシアネート基含有化合物との混合の割合は、(A−1)ポリオール化合物のヒドロキシ基の数に対する(A−2)イソシアネート基含有ソシアネート化合物のイソシアネート基の数の比(NCO/OH)が、1.0以上であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのが、より好ましい。ウレタンプレポリマーの製造は、通常のウレタンプレポリマーと同様に、所定量比の両化合物を混合し、通常、60〜100℃で、常圧下で、加熱撹拌することによって行うことができる。
【0031】
本発明で用いられる(B)熱可塑性樹脂としては、特に制限はない。ここで熱可塑性樹脂とは、加熱したときに樹脂の流動性が増加し、軟化点を持つ樹脂のことである。(B)熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、水酸基が結合している水添石油樹脂、ロジン樹脂、ロジンエステル系樹脂およびそのアルキル変性体、ポリオール変性もしくはアルキルフェノール変性のキシレン樹脂およびノボラック型フェノール樹脂、クマロン樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。
【0032】
また、(B)熱可塑性樹脂の中でも、軟化点をJIS K 6730「環球法軟化点試験」で記載されている方法で測定したときに、軟化点が60〜180℃ある熱可塑性樹脂が好ましい。好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添石油樹脂、ロジンエステル系樹脂およびそのアルキル変性体、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、クマロン樹脂、スチレン樹脂が例示される。このような熱可塑性樹脂を用いて本発明の組成物を調製すると、制振性を示す硬化物の使用温度領域において、適度な硬度を発現し、硬化させる時に高温において樹脂が液体に近い状態になるので、硬化反応の効率が良いからである。
【0033】
より好ましくは、軟化点が100〜140℃である熱可塑性樹脂である。より好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂等が例示される。これらの熱可塑性樹脂は極性が高いので、振動を熱に変換してエネルギーを発散する効率が大きい。また、これらは、後に詳述する(C)アミン化合物との相溶性が優れているので、本発明の組成物の調製が容易である。
【0034】
具体的には、例えば、下記式(4)で表されるポリアミド樹脂および式(5)で表されるテルペンフェノール樹脂が、好適に挙げられる。
【0035】
【化7】
Figure 2004277604
【0036】
式(4)中、R11およびR12は、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数2〜36の炭化水素基である。pは、20〜100の整数である。また、式(5)中のqは1〜5の整数で、rは1〜5の整数である。
【0037】
11およびR12として具体的には、エチレン基(−CHCH−)、プロピレン基、ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキサメチレン基、ウンデカン基、メタキシリレン基等が挙げられる。この中でも、ヘキサメチレン基、メタキシリレン基が好ましい。これらの基を持つポリアミド樹脂を合成するのが容易で、その原料も安価で経済的に優れているからである。
【0038】
式(5)中のqは、1〜5の整数である。qがこの範囲にあると、テルペンフェノール樹脂は、テルペン構造部分の軟性により、本発明の組成物としたときに高減衰性を示す。好ましくは、qは2〜4の整数である。
また、式(5)中のrは、1〜5の整数であるが、好ましくはr=1〜3の整数である。
【0039】
本発明の組成物で用いられる熱可塑性樹脂の重量平均分子量に、特に制約はない。通常、樹脂となっている状態の分子量であれば、幅広く本発明の組成物に含有させることができる。好ましくは、重量平均分子量200〜40000である。これより大きい分子量になると、本発明の組成物にしたときに、組成物の粘度が高くなり、取扱いが容易でなくなる場合がある。これより平均分子量が小さくなると、硬化後の組成物の硬度が高くなり過ぎてしまい、本発明の高減衰性能が低下してしまう傾向にあるからである。より好ましくは、重量平均分子量300〜20000である。
【0040】
本発明の組成物の熱可塑性樹脂の含有量に特に制限はない。本発明の特性を損わない範囲で、目的、用途等に応じてその含有量を調整することができる。好ましくは、(A)ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜30質量部である。より好ましくは、2〜15質量部である。この範囲であれば、硬化前の粘度も小さく作業性に優れ、かつ硬化後の減衰性も高く保持しつつ、硬度の温度依存性が良好だからである。
【0041】
本発明の組成物に含有される(C)アミン化合物は、下記式(1)および/または式(2)で表される。
【0042】
【化8】
Figure 2004277604
【0043】
式(1)および(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜15の炭化水素基であり、または、RとRおよび/またはRとRが結合して炭素数3〜15の脂環もしくは芳香環を形成する。n、mは、それぞれ独立に4〜12の整数である。式(2)中のk個のRおよび(3−k)個のRは、それぞれ独立にメチル基またはエチル基である。なお、kは0〜3の整数である。
【0044】
式(1)および式(2)中のR、R、RおよびRとして具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基等の脂肪族飽和炭化水素およびそれらに対して1つ以上の不飽和結合をもつ置換体に相当する炭化水素(例えば、エチレン基、アセチレン基、ブタジエン基等);シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の脂環族飽和炭化水素およびそれらに対して1つ以上の不飽和結合をもつ置換体に相当する炭化水素(例えば、シクロヘキセン基、シクロヘキサジエン基等)ならびにこれらの環状構造部分に対する上記脂肪族炭化水素の置換体;フェニル基、ベンジル基、ナフタレン基、アントラセン基、フェネチル基等の芳香族炭化水素基およびその芳香環の炭化水素置換体等が挙げられる。
【0045】
また、RとR、RとRから形成される脂肪族環状構造は、上記の通り、シクロペンチル環、シクロへキシル環、シクロヘプチル環、シクロオクチル環等の脂環族飽和炭化水素およびそれらに対して1つ以上の不飽和結合をもつ置換体に相当する炭化水素(例えば、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環等)、ならびにこれらの環状構造部分に対する上記脂肪族炭化水素の置換体等が挙げられる。
【0046】
これらの置換基の中でも、メチル基、イソプロピル基、ベンジル基、シクロヘキシル環が好ましい。(C)アミン化合物のケチミン結合の加水分解が、速やかに進行するため、(A)〜(C)を混合して本発明の組成物としたときに、硬化が速やかだからである。
【0047】
上記式(2)中のkは、k=0〜3の整数であるが、好ましくはk=0,1である。この範囲であれば、ケイ素元素に結合するアルコキシ基の数が2〜3個となり、本発明の組成物の減衰性が特に優れているからである。
【0048】
本発明の組成物において、(A)ウレタンプレポリマーに対する、式(1)および式(2)で表される(C)アミン化合物の含有量について、特に制約はなく、本発明の特性を損なわない範囲において、適宜その含有量を増減させることができる。好ましくは、(A)ウレタンプレポリマー100質量部に対して、3〜20質量部である。この範囲であれば、(A)ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO)と(C)アミン化合物のケチミン部分の加水分解で生じる1級アミノ基(NH)とが、1:1の比の前後(例えば、NCO/NH=0.8〜1.2)で反応するので、硬化が効率よく進行する。より好ましくは、5〜15質量部である。この範囲であれば、(A)ウレタンプレポリマーと(C)アミン化合物とが、より当量に近い範囲で反応するので、各化合物の無駄が少なく経済的にも優れている。
【0049】
(C)アミン化合物の反応性シランに結合するアルキル基とアルコキシ基の組み合わせに、特に制約はない。反応性シランに結合したアルキル基およびアルコキシ基が、それぞれ複数存在する時、それぞれの基を構成する炭化水素基部分は互いに同じものであっても、異なるものであってもよい。具体例としては、3つのアルキル基のみがシラン(Si)に結合している時、3つのアルキル基の全てがメチル基であってもよいし、1つがメチル基で残りの2つがエチル基であってもよい。また、別の具体例としては、1つのアルキル基と2つのアルコキシ基がシランに結合している時、2つのアルコキシ基の炭化水素基部分は、互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
【0050】
式(1)および式(2)中のn、mは、それぞれ独立に4〜12の整数である。この範囲であれば、(A)〜(C)を混合して本発明の組成物にしたとき、硬化後の組成物は十分に高減衰性であり、硬化後の組成物の制振性が優れているからである。好ましくは、n、m=8〜10である。この範囲であれば、硬化後の組成物は上記の特性に加えて破断強度に優れていると共に、式(1)および式(2)を合成するにあたり、このような構造を有する化合物が安価で、入手が容易だからである。
【0051】
本発明の組成物に用いる、式(1)、(2)で表されるアミン化合物を併用した場合、量比に、特に制約はない。
【0052】
本発明の組成物における、(B)熱可塑性樹脂と(C)アミン化合物の含有量の比に、特に制限はない。本発明の組成物の製造方法の一例として、軟化点以上の温度にした(B)熱可塑性樹脂に対して、(C)アミン化合物を相溶させ、(B)および(C)を十分に混合した後に、(A)ウレタンプレポリマーを混合するという方法が例示される。したがって、前記方法においては、(B)熱可塑性樹脂に対して(C)アミン化合物が十分に相溶する割合であれば好ましい。例えば、(B)熱可塑性樹脂/(C)アミン化合物=0.1〜2.0質量比である。この範囲であれば、(B)および(C)が等量に近いので、経済的にも優れている。
【0053】
本発明の組成物に含有させることができる(C)アミン化合物は、広く公知の方法により合成することができ、その方法に特に制限はない。例えば、式(2)の(C)アミン化合物の合成方法として具体的には、式(1)アミン化合物を原料として、ケチミン化反応、シラン化合物の付加等を行う方法が挙げられる。そして、反応段階数に制限はなく、単独の方法でも、その個々の方法を組み合わせることによっても合成することができる。
【0054】
本発明の組成物には、本発明の特性を損なわない範囲で、種々の充填剤、可塑剤、硬化触媒、揺変剤、脱水剤、軟化剤、安定剤、着色剤、タレ防止剤、物性調整剤、難燃剤、補強剤、揺変剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料・顔料、溶剤等の公知で種々の添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、プレポリマーと硬化剤のどちらか一方または両方に、種類、配合量に関係なく添加することができる。
【0055】
充填剤は、硬化後の組成物の粘着特性、耐汚染性、熱膨張係数、弾性率、熱伝導性、機械強度、難燃性、電気特性、耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性、増量性等を重視して配合されるが、本発明の組成物においては、用途に応じて添加する充填剤の種類、および配合量を変化させることができる。
【0056】
配合できる充填剤として具体的には、次のようなものが挙げられる。アスベスト、プルミナ、アタバルジャイト、火山灰、シラスバルーン、カーボンブラック、グラファイト、微粉ケイ酸、ケイ酸カルシウム、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、スレート粉、セルサイト、石英粉、溶融シリカ粉、ボロンナイトライド、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、長石粉、二酸化モリブデン、バライト、ホワイトカーボン、マイカ、カオリンクレー、ロウ石クレー、石膏、シリカ、霞石、閃長石、重晶石、水酸化カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、クリオライト、ライムストン、ガラス、ベントナイト、ガラス繊維、石綿、ガラスフィラメント、エボナイト粉末、セラック、コルク粉末、骨粉、木粉等が挙げられる。これらの充填剤の中でも、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカが好ましい。なお、充填剤は、1種単独でも2種以上を併用して使用することができる。
【0057】
本発明の組成物には、公知の硬化触媒(縮合触媒)を使用することができる。硬化触媒は、プレポリマーが架橋されて三次元の網目状構造をとるために、硬化反応を促進する目的で配合される。硬化後の組成物の粘着性、再剥離性、耐汚染性等の理由から、本発明においては必須の添加剤ではない。また、硬化触媒を多量に配合すると着色等の問題もあるので、本発明の組成物の硬化触媒は、(A)ウレタンプレポリマー100質量部に対し、0.01〜1質量部以下配合されることが好ましい。
【0058】
硬化触媒の具体的な例示としては、以下のものが挙げられる。ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ等のスズカルボン酸塩類、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類、オクタン酸鉛、オクタン酸ビスマス等のオクタン酸金属塩等の金属触媒である。
【0059】
この他に、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、N, N, N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N, N, N’, N’−テトラメチルプロパン−1, 3−ジアミン、N, N, N’, N’−テトラメチルヘキサン−1, 6−ジアミン等のジアミン類、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン等のトリアミン類、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−(2ジメチルアミノ)−エチルピペラジン等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン等のアルコールアミン類、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類等のアミン系触媒、またはこれらの塩化合物も挙げられる。
【0060】
このような硬化触媒の中でも、スズカルボン酸塩類、チタン酸エステル類等の金属触媒が好ましい。金属触媒は、少量を配合することで十分な触媒効果が得られるからである。
【0061】
本発明の組成物には、広く公知の可塑剤を配合することができる。具体的には、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジメチルフタレート(DMP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジノニルフタレート(DNP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、フタル酸イソデシル(DIDP)等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アゼライン酸ジオクチル(DOZ)、コハク酸ジオクチル(DOC)、コハク酸イソデシル(IDC)、セバシン酸イソデシル(IDS)セバシン酸ジブチル(DBS)セバシン酸ジオクチル(DOS)、オレイン酸ブチル、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)等の脂肪族カルボン酸エステル;ペンタエリストリールエステル等のグリコールエステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;ポリエステル系可塑剤;パインタール、リノール酸、オレイン酸、アビエチン酸、菜種油、綿実油、落下生油、ひまし油、パーム油等の植物油系;エキステンダー、プロセス油、パラフィン系油、ナフテン系油、芳香族系油等の鉱物油系;モノエステル系、エポキシ系、塩素化パラフィン系、エーテル系、チオエーテル系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の合成可塑剤系等が挙げられる。
【0062】
これらの可塑剤の中でも、DINA、DOP、DOA、DINPが好ましい。汎用性が高いので、安価で入手しやすく、他の化合物との相溶性にも優れているからである。なお、これらの可塑剤は1種単独でも2種以上を併用して使用することもできる。
【0063】
本発明の組成物は、(A)〜(C)の化合物を混合し空気中にさらすと、(A)ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と、(C)アミン化合物のケチミン結合の加水分解で生じた1級アミノ基とが縮合(硬化)し、3次元的な網目状構造が形成され、制振材料となる。
【0064】
本発明の組成物は、(A)ウレタンプレポリマーと、(B)熱可塑性樹脂と、(C)アミン化合物とを含有することにより、硬化後の組成物が高減衰性であり、硬度が適度に小さく、また硬度の温度依存性が優れているという特性を示す。一般に、硬化後の制振性組成物の減衰性は、損失正接tanδの値が大きいほど優れるが、本発明では0.5以上であるのが好ましい。
【0065】
また、硬度については、小さすぎると硬化後の組成物は脆くなり、大きすぎると剛性も大きくなり減衰性が低下する。具体的には、動的貯蔵弾性率G’(25℃) が、10〜5×10の範囲にあるのが、適度に低い硬度である。さらに、硬度の温度依存性については、0〜50℃の使用温度領域であれば、後に示す10℃における動的貯蔵弾性率G’(10℃)と、30℃における動的貯蔵弾性率G’(30℃)との比、G’(10℃)/G’(30℃) が、1.5以下であることが好ましく、1.3以下であるのがより好ましい。
【0066】
また、(A)ウレタンプレポリマーとしては、(A−1)ポリオール化合物と(A−2)イソシアネート基含有化合物を原料とし、いずれの化合物についても制限なく用いることができるので、その目的、用途、使用環境等に応じて、多様な(A)ウレタンプレポリマーを選択することができる。
【0067】
硬化剤として含有されている(C)アミン化合物は、反応活性基である1級アミノ基がケチミン結合となってブロックされているので、(A)ウレタンプレポリマーと混合しても、急激に反応してゲル化することもなく、十分な可使時間と作業時間を確保することができる。以上のような優れた特性から本発明の制振性組成物は、建造物、自動車、鉄道、船舶、航空機、産業機器、家電機器等の制振材、防振材等の用途に好適である。
【0068】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0069】
(実施例1〜4、比較例1)
下記第1表に示す質量部で配合された組成物について、100℃の温度にしたアミン化合物に対し、熱可塑性樹脂を混合し、十分に相溶化させた。十分に相溶化させたところに、ウレタンプレポリマーを混合して本発明の組成物とし、大気中に湿気にさらすことにより硬化させた。
【0070】
(比較例2)
比較例2のSIBSは、SIBS(スチレン−イソブチレンブロック共重合体)と液状ゴム(ポリブテン)、熱可塑性樹脂(クマロン樹脂)等を主成分とする制振性熱可塑性エラストマー組成物である(鐘淵化学工業社提供)。
【0071】
そして、前記硬化後の組成物および比較例2の組成物について、20℃における減衰性(tanδ(20℃))、25℃での硬度および10℃および30℃での硬度を比較した硬度の温度依存性(G’(10℃) /G’(30℃) )について、以下のように試験を行った。
【0072】
(1)試験体の作製
ポリプロピレン製のシート(縦15cm×横15cm×高さ2cm)の周囲に、ポリエチレン製発砲シートで枠を作製し、その中に第1表に記載した組成物を流し込み、20℃湿度65%の条件下で、16時間硬化反応を行った。そして、硬化後、ポリエチレン製発砲シートを除去し、硬化物を試験体とした。
【0073】
(2)20℃における減衰性(tanδ(20℃))
(1)の試験体について、周波数5Hzの強制剪断加振時の温度20℃における損失角正接(tanδ)を測定した。
【0074】
(3)25℃における硬度(G’(25℃) )
(1)の試験体について、周波数5Hzの強制剪断加振時の温度25℃における動的貯蔵弾性率、G’(25℃) を測定した。
【0075】
(4)硬度の温度依存性(G’(10℃) /G’(30℃) )
(1)の試験体について、周波数5Hzの強制伸長加振時の温度10、30℃における動的貯蔵弾性率、それぞれG’(10℃) 、G’(30℃) を測定し、その比G’(10℃) /G’(30℃) を求めた。
【0076】
上記試験の結果を、下記の第1表に示す。第1表から明らかなように、本発明の組成物(実施例1〜4)では、減衰性の指標であるtanδが、0.5以上で高減衰性を示す。また、硬度は、いずれも10〜5×10の範囲にあり、適度に低硬度で、制振性組成物として好適な範囲にある。さらに、硬度の温度依存性は1.5以下で、ウレタン系の制振性組成物ある本発明の組成物は、1.3以下を示しているので、温度によらず適度に低い硬度を保持していることが示されている。一方、(B)熱可塑性樹脂を含有しない場合(比較例1)は、tanδが0.3で、高減衰性である0.5以上の値を示していない。また、ウレタン系ではなく、ゴム樹脂系の組成物である比較例2は、上述の通り硬度の温度依存性が大きく、優れた特性を示さない。
【0077】
【表1】
Figure 2004277604
【0078】
第1表の実施例1〜4、比較例1で使用したTMXDI末端ウレタンプレポリマーおよび下記式(6)〜 (7) で表されるアミン化合物は、以下の手順により合成された。それ以外の化合物は市販品を使用した。なお、上記プレポリマーの合成に用いる化合物は市販品を使用した。
【0079】
【化9】
Figure 2004277604
【0080】
(i)TMXDI末端ウレタンプレポリマーの合成
テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(TMXDI、三井サイテック社製)と、3官能ポリプロピレングリコール(エクセノール5030(重量平均分子量5000)、旭硝子ウレタン社製)とを、NCO/OH=1.8となるように混合し、錫触媒(ジブチル錫ジラウレート)下で、90℃で16時間加熱撹拌することにより、TMXDI末端ウレタンプレポリマーを得た。
【0081】
(ii)トルエン溶媒中に、ジエチレントリアミンPO付加物(サンアミールTAP−10、三洋化成工業社製)と、それに対して、1.2当量のイソプロピルケトン(クラレ社製)を混合し、160℃で8時間還流し、脱水反応により式(6)の化合物を得た。
【0082】
(iii)式(6)の化合物に対して、当量のイソシアネートシラン(Y5187、日本ユニカー社製)を混合し、80℃で8時間の付加反応により、式(7)の化合物を得た。
【0083】
〈表中の各成分〉
ウレタンプレポリマー1:上記で得られたTMXDI末端ウレタンプレポリマー
SIBS :上記の鐘淵化学工業社提供品
ポリアミド樹脂 :#560B、三和化学社製
テルペンフェノール樹脂:YS−N125、ヤスハラケミカル社製
硬化剤1 :前記式(6)で表されるアミン化合物
硬化剤2 :前記式(7)で表されるアミン化合物
【0084】
【発明の効果】
本発明の組成物は、(A)ウレタンプレポリマーと(B)熱可塑性樹脂と、(C)アミン化合物とを含有することにより、硬化後の組成物が高減衰性を示し、硬度が適度に小さく、硬度の温度依存性が小さい特性を有する。したがって、高減衰性であることから、振動、衝撃に伴うエネルギーを効率良く吸収・発散し、この組成物が使用されている構造体または部位の破損、損壊を抑制することができる。また、本発明の組成物は、ゴムではなくウレタンプレポリマーを主成分としているので、硬度を小さくすることができ、かつ0〜50℃という幅広い温度領域において低硬度を実現できているので、硬度の温度依存性も小さい。したがって、寒冷状態から高温多湿状態まで、様々な気候条件においての使用に耐えることができる。上記の本発明の優れた特性から、本発明の制振性組成物は、建造物、自動車、鉄道、船舶、航空機、産業・家電機器等の制振材、防振材の用途に好適である。

Claims (3)

  1. (A)ウレタンプレポリマーと、(B)熱可塑性樹脂と、(C)下記式(1)で表されるアミン化合物および/または式(2)で表されるアミン化合物とを含有する制振性組成物。
    Figure 2004277604
    (式(1)および(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜15の炭化水素基であり、または、RとRおよび/またはRとRが結合して炭素数3〜15の脂環もしくは芳香環を形成する。n、mは、それぞれ独立に4〜12の整数である。式(2)中のRおよびRは、それぞれ独立にメチル基またはエチル基である。なお、kは0〜3の整数である。)
  2. 前記(A)ウレタンプレポリマーが、下記式(3)で表されるイソシアネート基含有化合物を用いて得られる請求項1に記載の制振性組成物。
    Figure 2004277604
    (式中、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜15の炭化水素基であり、または、RとR、RとR10が結合して脂環もしくは芳香環を形成する。)
  3. 前記(B)熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂および石油樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1〜2のいずれかに記載の制振性組成物。
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