JP2021017641A - 銅ナノインク、プリント配線板用基板及び銅ナノインクの製造方法 - Google Patents

銅ナノインク、プリント配線板用基板及び銅ナノインクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化銅の低減効果が高く、ベースフィルムとの密着力が優れる銅ナノ粒子の焼結体層を形成できる銅ナノインクを提供する。【解決手段】本開示の銅ナノインクは、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、ポリエチレンイミンと、ポリビニルアルコールと、カルボン酸とを含有する。【選択図】なし

Description

本開示は、銅ナノインク、プリント配線板用基板及び銅ナノインクの製造方法に関する。
近年、プリント配線板の金属層等の形成に水等の溶媒中に銅ナノ粒子が分散した銅ナノインクが用いられている。上記金属層は、銅ナノ粒子の焼結体を含んでおり、銅ナノインクの塗布によってベースフィルムの表面に形成された塗工膜を焼成することで形成される(特開2016−152405号公報参照)。
特開2016−152405号公報
本開示の銅ナノインクは、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、ポリエチレンイミンと、ポリビニルアルコールと、カルボン酸とを含有する。
本開示のプリント配線板用基板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの表面に直接又は間接に積層される銅ナノ粒子の焼結体層とを備え、上記焼結体層が銅ナノインクの塗工膜中の銅ナノ粒子の焼結により得られる焼結体から構成され、上記銅ナノインクがポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、カルボン酸、平均粒子径200nm以下の銅ナノ粒子及びこの銅ナノ粒子を分散する溶媒を含有する。
本開示の銅ナノインクの製造方法は、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子とこの銅ナノ粒子を分散する溶媒とを含有する銅ナノインクの製造方法であって、液相還元法により上記銅ナノ粒子を析出させる工程と、上記析出させる工程で析出された上記銅ナノ粒子を分離する工程と、上記分離する工程で得られた上記銅ナノ粒子を上記溶媒に分散させる工程と、上記分散させる工程で調製された分散液にポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を添加する工程とを備える。
図1は、実施例の銅ナノインクの塗工膜の焼成過程における酸化銅濃度を示すグラフである。
[本開示が解決しようとする課題]
銅ナノインクに含まれる銅ナノ粒子は、インク中の溶存酸素や空気との接触によって酸化されやすい。また、銅ナノインクの塗布後にも銅ナノ粒子の酸化が進行し、酸化銅濃度が増加する傾向がある。そのため、良好な銅ナノ粒子の焼結体層を得ることができず、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力が低下するおそれがある。
本開示は上記事情に基づいてなされたものであり、酸化銅の低減効果が高く、ベースフィルムとの密着力が優れる銅ナノ粒子の焼結体層を形成できる銅ナノインクを提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本開示の一態様に係る銅ナノインクによれば、酸化銅の低減効果が高く、ベースフィルムとの密着力が優れる銅ナノ粒子の焼結体層を形成できる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の銅ナノインクは、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、ポリエチレンイミンと、ポリビニルアルコールと、カルボン酸とを含有する。
当該銅ナノインクは、添加剤としてポリエチレンイミンと、ポリビニルアルコールと、カルボン酸とを含有することで、酸化銅の低減効果に優れ、ベースフィルムとの密着力が優れる銅ナノ粒子の焼結体層を形成できる。このような効果が生じる理由としては、例えば以下のように推測される。上述のとおり、銅ナノインクに含まれる銅ナノ粒子は、インク中の溶存酸素や空気との接触によって酸化されやすい。当該銅ナノインクが、還元性を有するポリエチレンイミン及びカルボン酸と、耐酸化性を有するポリビニルアルコールとを含有することで、銅ナノ粒子の表面が、上記ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸により被覆される。その結果、当該銅ナノインクにより形成される塗工膜に熱処理を施すと酸化銅が還元され、酸化銅が低減された銅ナノ粒子の焼結体層を得ることができる。また、熱処理前の塗工膜に対しても、耐酸化効果を付与することができる。さらに、銅ナノインク中で銅ナノ粒子よりも先に上記ポリエチレンイミン及びカルボン酸が酸化されることで、銅ナノインク中の溶存酸素の量を低減できる。このように、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力を低下させる原因となる酸化銅濃度を低減できるので、当該銅ナノインクによれば、ベースフィルムとの密着力が優れる銅ナノ粒子の焼結体層を形成できる。
上記カルボン酸がクエン酸、シユウ酸、エチレンジアミン四酢酸又はこれらの組み合わせであることが好ましい。上記カルボン酸がクエン酸、シユウ酸、エチレンジアミン四酢酸又はこれらの組み合わせであることで、酸化銅の低減効果をより向上できる。上記酸化銅の低減効果としては、銅ナノインク状態の時の銅ナノ粒子の酸化抑制、塗工後の塗工膜に含まれる銅ナノ粒子の酸化抑制、熱処理中の酸化銅の還元等の効果が挙げられる。
上記カルボン酸の含有割合が0.8質量%以上2.8質量%以下であり、上記ポリエチレンイミンの含有割合が1.0質量%以上3.5質量%以下であることが好ましい。当該銅ナノインクにおける上記カルボン酸の含有割合が上記範囲であることで、当該銅ナノインク中の酸化銅の低減効果及び当該銅ナノインクから形成されるプリント配線板用基板の焼結体層中の酸化銅の低減効果をより向上できる。
当該銅ナノインクは、トリエタノールアミンをさらに含有することが好ましい。当該銅ナノインクがトリエタノールアミンをさらに含有することで、当該銅ナノインク中の酸化銅の低減効果及び当該銅ナノインクから形成されるプリント配線板用基板の焼結体層中の酸化銅の低減効果をより向上できる。
本開示のプリント配線板用基板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの表面に直接又は間接に積層される銅ナノ粒子の焼結体層とを備え、上記焼結体層が銅ナノインクの塗工膜中の銅ナノ粒子の焼結により得られる焼結体から構成され、上記銅ナノインクがポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、カルボン酸、平均粒子径200nm以下の銅ナノ粒子及びこの銅ナノ粒子を分散する溶媒を含有する。
当該プリント配線板用基板は、上記銅ナノインクの塗工膜中の銅ナノ粒子の焼結により得られる焼結体から構成される焼結体層を備えるので、ベースフィルムとの密着力が優れる。このような効果が生じる理由としては、例えば以下のように推測される。上記銅ナノインクは添加剤として還元性又は耐酸化性を有するポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を含有することで、上記銅ナノインク中の銅ナノ粒子の表面が、これらのポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸により被覆される。その結果、当該銅ナノインクにより形成される塗工膜に熱処理を施すと酸化銅が還元されるとともに、塗工膜中の銅の酸化が抑制され、酸化銅が低減された銅ナノ粒子の焼結体層を得ることができる。このように、当該プリント配線板用基板は、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力を低下させる原因となる酸化銅濃度が低減された焼結体層を備えるので、上記焼結体層とベースフィルムとの密着力が優れる。
当該プリント配線板用基板における上記ベースフィルムと上記焼結体層との間の150℃で7日間保持後における剥離強度が、5N/cm以上であることが好ましい。上記剥離強度が、5N/cm以上であることで、当該プリント配線板用基板は銅ナノ粒子の焼結体層とベースフィルムとの密着力がより優れる。
本開示の銅ナノインクの製造方法は、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子とこの銅ナノ粒子を分散する溶媒とを含有する銅ナノインクの製造方法であって、液相還元法により上記銅ナノ粒子を析出させる工程と、上記析出させる工程で析出された上記銅ナノ粒子を分離する工程と、上記分離する工程で得られた上記銅ナノ粒子を上記溶媒に分散させる工程と、上記分散させる工程で調製された分散液にポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を添加する工程とを備える。
当該銅ナノインクの製造方法は、添加剤としてポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を添加する工程を備えるので、当該銅ナノインクが、還元性を有するポリエチレンイミン及びカルボン酸と、耐酸化性を有するポリビニルアルコールとを含有することで、銅ナノ粒子の表面が、上記ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸により被覆される。その結果、当該銅ナノインクにより形成される塗工膜に熱処理を施すと酸化銅が還元されるとともに、塗工膜中の銅の酸化が抑制され、酸化銅が低減された銅ナノ粒子の焼結体層を得ることができる。さらに、銅ナノインク中で銅ナノ粒子よりも先に上記ポリエチレンイミン及びカルボン酸が酸化されることで、銅ナノインク中の溶存酸素の量を低減できる。このように、当該銅ナノインクの製造方法は、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力を低下させる原因となる酸化銅濃度が低減された焼結体層を得ることができる銅ナノインクを製造できる。
ここで、「平均粒子径」とは、JIS−Z−8819−2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値であるメジアン径(D50)を意味する。「ナノ粒子」とは、顕微鏡観察による最大長さとこの長さ方向に垂直な方向の最大幅との和の2分の1として算出される粒子径の平均値が1μm未満である粒子を意味する。「剥離強度」とは、JIS−K−6854−2(1999)「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法により測定される強度をいう。
[本開示の実施形態の詳細]
<銅ナノインク>
以下、本開示の一実施形態に係る銅ナノインクについて詳説する。
当該銅ナノインクは、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、ポリエチレンイミンと、ポリビニルアルコールと、カルボン酸とを含有する。上記ポリエチレンイミン及びカルボン酸は、酸化銅の還元剤として機能し、ポリビニルアルコールは耐酸化剤として機能する。また、後述するように、上記ポリエチレンイミン及びポリビニルアルコールは銅ナノ粒子の分散剤としても機能する。
(銅ナノ粒子)
当該銅ナノインクに含有される銅ナノ粒子は、水溶液中で還元剤により銅イオンを還元することで銅ナノ粒子を析出させる液相還元法により得られる。
銅ナノ粒子の平均粒子径の下限としては、1nmが好ましく、10nmがより好ましい。一方、銅ナノ粒子の平均粒子径の上限としては、200nmであり、150nmが好ましい。銅ナノ粒子の平均粒子径が上記下限に満たない場合、例えば当該銅ナノインク中での分散性及び安定性が低下するおそれがある。一方、銅ナノ粒子の平均粒子径が上記上限を超える場合、形成される焼結体層中の空隙が大きくなり、十分な導電性が得られないおそれがある。
(溶媒)
当該銅ナノインクの溶媒としては、特に限定されるものではないが、水が好適に用いられる。
銅ナノインクにおける溶媒となる水の含有割合としては、銅ナノ粒子100質量部当たり20質量部以上1900質量部以下が好ましい。上記水の含有割合が上記下限に満たない場合、銅ナノ粒子の濃度が高くなり過ぎて、銅ナノインクによる均一な塗工ができなくなるおそれがある。一方、上記水の含有割合が上記上限を超える場合、銅ナノインク中の銅ナノ粒子の割合が少なくなり、プリント配線板用基板のベースフィルムの表面に必要な厚さと密度とを有する良好な焼結体層を形成できないおそれがある。
(添加剤)
当該銅ナノインクは、添加剤としてポリエチレンイミンと、ポリビニルアルコールと、カルボン酸とを含有する。当該銅ナノインクが添加剤としてポリエチレンイミンと、ポリビニルアルコールと、カルボン酸とを含有することで、酸化銅の低減効果をより向上できる。
上記カルボン酸がクエン酸、シユウ酸、エチレンジアミン四酢酸又はこれらの組み合わせであることが好ましい。上記カルボン酸がクエン酸、シユウ酸、エチレンジアミン四酢酸又はこれらの組み合わせであることで、酸化銅の低減効果をより向上できる。
当該銅ナノインクにおける上記カルボン酸の含有割合の下限としては、0.8質量%が好ましく、1.2質量%がより好ましい。上記カルボン酸の含有割合の上限としては、2.8質量%が好ましく、2.4質量%がより好ましい。また、当該銅ナノインクにおける上記ポリエチレンイミンの含有割合の下限としては、1.0質量%が好ましく、1.3質量%がより好ましい。上記ポリエチレンイミンの含有割合の上限としては、3.5質量%が好ましく、3.0質量%がより好ましく、2.6質量%がさらに好ましい。当該銅ナノインクにおけるカルボン酸及びポリエチレンイミンの含有割合が上記範囲であることで、酸化銅の低減効果をより向上できる。上記カルボン酸及びポリエチレンイミンの含有割合が上記下限に満たない場合、銅ナノインク中で十分な酸化銅の低減効果が得られないので、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力が低下するおそれがある。一方、上記カルボン酸及びポリエチレンイミンの含有割合が上記上限を超える場合、銅粒子が凝集して沈殿が生じるおそれがある。
当該銅ナノインクにおける上記カルボン酸に対するポリエチレンイミンの質量比の下限としては、0.5が好ましく、0.8がより好ましい。上記カルボン酸に対するポリエチレンイミンの質量比の上限としては、4が好ましく、2がより好ましい。上記カルボン酸及びポリエチレンイミンの質量比が上記下限に満たない場合、銅ナノインク中で十分な酸化銅の低減効果が得られないので、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力が低下するおそれがある。一方、上記カルボン酸に対するポリエチレンイミンの質量比が上記上限を超える場合、インクの分散性が悪化するおそれがある。
当該銅ナノインクにおけるポリビニルアルコールの含有割合の下限としては、0.2質量%が好ましく、0.3質量%がより好ましい。上記ポリビニルアルコールの含有割合の上限としては、0.6質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましい。上記ポリビニルアルコールの含有割合が上記下限に満たない場合、銅ナノインク中で十分な酸化銅の低減効果が得られないので、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力が低下するおそれがある。一方、上記ポリビニルアルコールの含有割合が上記上限を超える場合、銅粒子が凝集して沈殿が生じるおそれがある。
当該銅ナノインクは、トリエタノールアミンをさらに含有することが好ましい。当該銅ナノインクがトリエタノールアミンをさらに含有することで、当該銅ナノインク中の酸化銅の低減効果及び当該銅ナノインクから形成されるプリント配線板用基板の焼結体層中の酸化銅の低減効果をより向上できる。
当該銅ナノインクにおけるトリエタノールアミンの含有割合の下限としては3.5質量%が好ましく、3.0質量%がより好ましい。上記トリエタノールアミンの含有割合の上限としては、1.5質量%が好ましく、1.8質量%がより好ましい。上記トリエタノールアミンの含有割合が上記下限に満たない場合、銅ナノインク中で十分な酸化銅の低減効果が得られないおそれがある。一方、上記トリエタノールアミンが上記上限を超える場合、銅粒子が凝集して沈殿が生じるおそれがある。
当該銅ナノインクは、上記ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、カルボン酸及びトリエタノールアミン以外にこれらの効果を阻害しない範囲で、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えばアスコルビン酸、アミン系高分子等が挙げられる。
(分散剤)
当該銅ナノインクは、例えばさらに分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、例えば、上述のポリエチレンイミン及びポリビニルアルコールの他、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
当該銅ナノインクが上記ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等のポリエチレンイミン及びポリビニルアルコール以外の分散剤を含有する場合、当該銅ナノインクにおける上記ポリエチレンイミン以外の分散剤の含有割合としては、4.0質量%以下が好ましい。上記ポリエチレンイミン及びポリビニルアルコール以外の分散剤の含有割合が上記上限を超える場合、粒子が凝集し沈殿するおそれがある。
当該銅ナノインクによれば、酸化銅の低減効果が高く、ベースフィルムとの密着力が優れる銅ナノ粒子の焼結体層を形成できる。
<プリント配線板用基板>
当該プリント配線板用基板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの表面に直接又は間接に積層される銅ナノ粒子の焼結体層とを備える。すなわち、上記焼結体層は、銅ナノ粒子を含有する当該銅ナノインクの塗工膜中の銅ナノ粒子の焼結により得られる焼結体から構成される。
上記焼結体層は、例えば銅ナノインクをベースフィルムの一方の面に塗工後、塗工膜の乾燥及び焼結を行うことにより形成できる。
上記焼結体層を形成するための銅ナノインクは、添加剤として還元性又は耐酸化性を有するポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を含有する。そのため、上記銅ナノインク中の銅ナノ粒子の表面が、これらのポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸により被覆される。その結果、当該銅ナノインクにより形成される塗工膜に熱処理を施すと酸化銅が還元されるとともに、塗工膜中の銅の酸化が抑制され、酸化銅が低減された銅ナノ粒子の焼結体層を得ることができる。このように、当該プリント配線板用基板は、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力を低下させる原因となる酸化銅濃度が低減された焼結体層を備えるので、上記焼結体層とベースフィルムとの密着力が優れる。
上記銅ナノインクが含有する各要素についての詳細は上述したとおりである。
当該プリント配線板用基板における上記ベースフィルムと上記焼結体層との間の150℃で7日間保持後における剥離強度の下限としては、5N/cmであることが好ましい。上記剥離強度の下限が5N/cmであることで、当該プリント配線板用基板は銅ナノ粒子の焼結体層とベースフィルムとの密着力がより優れる。
当該プリント配線板用基板は、サブトラクティブ法又はセミアディティブ法によりプリント配線板を製造するために用いることができる。つまり、当該プリント配線板用基板を用いて製造されるプリント配線板は、焼結体層をパターニングした層を含む導電パターンを有する。
当該プリント配線板用基板によれば、ベースフィルム及び上記焼結体層間の密着力を低下させる原因となる酸化銅濃度が低減された焼結体層を備えるので、上記焼結体層とベースフィルムとの密着力が優れる。
<銅ナノインクの製造方法>
次に、本開示の一実施形態に係る銅ナノインクの製造方法について詳説する。
当該銅ナノインクの製造方法は、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子とこの銅ナノ粒子を分散する溶媒とを含有する銅ナノインクの製造方法である。当該銅ナノインクの製造方法は、液相還元法により銅ナノ粒子を析出させる工程と、上記銅ナノ粒子を析出させる工程で析出された上記銅ナノ粒子を分離する工程と、上記銅ナノ粒子を分離する工程で得られた上記銅ナノ粒子を上記溶媒に分散させる工程と、上記分散させる工程で調製された分散液にポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を添加する工程とを備える。
以下、上記各工程について説明する。
[銅ナノ粒子を析出させる工程]
銅ナノ粒子を析出させる工程は、液相還元法により銅ナノ粒子を析出させる。本工程は、還元剤を含む水溶液中での銅イオンの還元により銅ナノ粒子を析出させる液相還元法によって行われる。このような液相還元法としては、例えばチタンレドックス法が適用できる。
上記銅ナノ粒子を析出させる工程は、還元剤水溶液を調製する工程と、銅イオンを含む水溶液又は電離により銅イオンを生じる水溶性金属化合物を還元剤水溶液に投入することにより、銅イオンを還元して銅ナノ粒子として析出させる工程とを有する。
(還元剤水溶液を調製する工程)
還元剤水溶液調製工程では、銅イオンを還元する作用を有する還元剤を含む水溶液を調製する。
上記還元剤としては、液相(水溶液)の反応系において、銅イオンを還元及び析出させることができる種々の還元剤を用いることができる。この還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、3価のチタンイオンや2価のコバルトイオン等の遷移金属のイオン、アスコルビン酸、グルコースやフルクトース等の還元性糖類、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールなどが挙げられる。中でも、上記還元剤としては3価のチタンイオンが好ましい。この3価のチタンイオンを還元剤とする液相還元法をチタンレドックス法という。チタンレドックス法では、3価のチタンイオンが4価に酸化される際の酸化還元作用によって銅イオンを還元し、銅ナノ粒子を析出させる。このチタンレドックス法によれば、微細かつ均一な粒子径を有する銅ナノ粒子を形成しやすい。
また、上記還元剤水溶液には、錯化剤、ポリビニルアルコール等のポリエチレンイミン以外の分散剤、pH調整剤等をさらに配合することができる。
上記還元剤水溶液に配合する錯化剤としては、従来公知の種々の錯化剤を用いることができる。例えばクエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸、チオ硫酸ナトリウム、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、上記錯化剤としてはクエン酸ナトリウムが好ましい。
上記還元剤水溶液に配合するポリエチレンイミン以外の分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
上記還元剤水溶液に配合するpH調整剤としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の一般的な酸又はアルカリが使用できる。上記還元剤水溶液のpHとしては、例えば5以上13以下とすることができる。なお、上記還元剤水溶液のpHが低すぎると、金属の析出速度が遅くなり、粒度分布が広くなり易い。また、上記還元剤水溶液のpHが高すぎると、金属の析出速度が過大となり、析出した銅ナノ粒子が凝集してクラスター状又は鎖状の粗大な粒子を形成するおそれがある。
(銅ナノ粒子を析出させる工程)
上記析出させる工程では、上記還元剤水溶液に銅イオンを投入することにより、還元剤水溶液中での還元剤による銅イオンの還元により銅ナノ粒子を析出させる。
上記銅イオンは、水溶性銅化合物を水に溶解することで、水溶性銅化合物の電離により生じる。これら水溶性銅化合物としては、例えば硝酸銅(II)(Cu(NO)、硫酸銅(II)五水和物(CuSO・5HO)等を挙げることができる。
なお、水溶性銅化合物は、還元剤水溶液に直接投入すると、化合物の投入直後に局部的に反応が進行するため、銅ナノ粒子の粒径が不均一になり粒度分布が広くなるおそれがある。このため水溶性銅化合物は、水に溶かして希釈した銅イオンを含む水溶液の状態で還元剤水溶液に投入することが好ましい。
上記析出させる工程における温度の下限としては、0℃が好ましく、15℃がより好ましい。一方、析出させる工程における温度の上限としては、100℃が好ましく、60℃がより好ましく、50℃がさらに好ましい。上記析出させる工程における温度が上記下限に満たない場合、還元反応効率が不十分となるおそれがある。一方、上記析出させる工程における温度が上記上限を超える場合、銅ナノ粒子の成長速度が大きく、粒子径の調整が容易でなくなるおそれがある。
[銅ナノ粒子を分離する工程]
銅ナノ粒子を分離する工程では、上記銅ナノ粒子を析出させる工程において還元剤水溶液中に析出した銅ナノ粒子を分離する。銅ナノ粒子の分離方法としては、例えば濾過、遠心分離等が挙げられる。なお、分離された銅ナノ粒子は、さらに洗浄、乾燥、解砕等の工程を経て一旦粉末状としてもよいが、凝集を防止するために粉末化せず水溶液に高濃度で分散させた状態で用いることが好ましい。
[銅ナノ粒子を分散させる工程]
銅ナノ粒子を分散させる工程では、上記銅ナノ粒子を分離する工程で得られた銅ナノ粒子を所定の濃度になるように溶媒に分散させる。
銅ナノインクの溶媒としては、銅ナノ粒子析出後の還元剤水溶液を調整したものを使用することができる。具体的には、予め銅ナノ粒子を含む還元剤水溶液を限外濾過、遠心分離、水洗、電気透析等の処理に供して不純物を除去したものを溶媒に用いることもできる。
[添加する工程]
添加する工程では、上記銅ナノ粒子を分散させる工程で所定の濃度に調製された分散液に、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を添加する。当該銅ナノインクの製造方法は、銅ナノ粒子を溶媒に分散させた分散液に添加剤としてポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を添加するので、銅ナノ粒子の表面が、還元性又は耐酸化性を有するポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸により被覆される。その結果、当該銅ナノインクにより形成される塗工膜に熱処理を施すと酸化銅が還元されるとともに、塗工膜中の銅の酸化が抑制され、酸化銅が低減された銅ナノ粒子の焼結体層を得ることができる。さらに、銅ナノインク中で銅ナノ粒子よりも先にこれらの添加剤が酸化されることで、銅ナノインク中の酸素の量を低減できる。
上記ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸の含有量の好ましい範囲は、上述した通りである。
当該銅ナノインクの製造方法によれば、酸化銅の低減効果に優れ、ベースフィルムとの密着力が優れる銅ナノ粒子の焼結体層を形成可能な銅ナノインクを製造できる。
[プリント配線板用基板の製造方法]
本開示の一実施形態に係るプリント配線板用基板の製造方法は、例えば絶縁性を有するベースフィルムに上述の当該銅ナノインクを塗工する工程(塗工工程)と、上記ベースフィルムに塗工した当該銅ナノインクの塗工膜を乾燥する工程(乾燥工程)と、上記乾燥工程後の塗工膜を焼成する工程(焼成工程)とを備える。
(塗工工程)
上記塗工工程では、上述の当該銅ナノインクをベースフィルムに塗工する。
ベースフィルムに銅ナノインクを塗工する方法としては、例えばスピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法等の従来公知の塗工方法を用いることができる。また、例えばスクリーン印刷、ディスペンサ等によりベースフィルムの面の一部のみに銅ナノインクを塗工するようにしてもよい。
(乾燥工程)
上記乾燥工程では、ベースフィルム上の銅ナノインクの塗工膜を乾燥させる。
乾燥工程では、加熱又は送風によって、銅ナノインクの乾燥を促進することが好ましく、銅ナノインクの塗工膜に温風を吹き付けることによって塗工膜を乾燥することがより好ましい。温風の温度としては、銅ナノインクの溶媒を沸騰させない程度とすることが好ましい。具体的な温風の温度としては、例えば30℃以上80℃以下とすることができる。また、温風の風速としては、塗工膜を波立たせない程度とすることが好ましい。具体的な温風の塗工膜表面での風速としては、例えば5m/s以上10m/s以下とすることができる。
(焼成工程)
焼成工程では、上記乾燥工程で乾燥した銅ナノインクの塗工膜を熱処理することによって上記塗工膜中の銅ナノ粒子を焼結する。これにより、銅ナノインクの溶媒や分散剤が蒸発又は熱分解して、残る銅ナノ粒子が焼結されてベースフィルムの一方の面に焼結体層が積層される。また、焼成工程では、還元作用を有するカルボン酸及びポリエチレンイミンによる還元反応により銅ナノインク中の酸化銅が銅に還元されるとともに、カルボン酸及びポリエチレンイミンを構成する炭素が酸化されて二酸化炭素として放出される。また、耐酸化性を有するポリビニルアルコールにより塗工膜中の銅の酸化が抑制される。なお、上記焼成は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
焼成工程における焼成温度の下限としては、300℃が好ましく、325℃がより好ましい。一方、上記焼成温度の上限としては、390℃が好ましく、375℃がより好ましい。上記焼成温度が上記下限に満たない場合、酸化銅を十分還元させることが困難となるとともに、銅ナノ粒子を完全に焼結することができないおそれがある。一方、上記焼成温度が上記上限を超える場合、銅の酸化が進行するおそれがある。すなわち、この焼成工程においては、上記焼成温度が酸化銅の還元温度以上であることを要する。
焼成工程における焼成時間の下限としては10分が好ましく、20分がより好ましい。一方、上記焼成時間の上限としては、4時間が好ましく、6時間がより好ましい。上記焼成時間が上記下限に満たない場合、酸化銅を十分還元させることが困難となるとともに、銅ナノ粒子を完全に焼結することができないおそれがある。一方、上記焼成温度が上記上限を超える場合、銅の酸化が進行するおそれがある。
上記プリント配線板用基板の製造方法は、上記焼成工程後に形成される銅ナノインクの焼結体層に無電解めっきや電気めっきにより、さらに金属を積層して焼結体層よりもより厚い金属層を形成してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本開示の効果を検証するために、銅ナノ粒子の焼結体層を有する試験番号1〜試験番号32のプリント配線板用基板を作製した。
(銅ナノインクの作製)
(1)銅ナノ粒子を析出させる工程
初めに、反応タンクに、pH調整剤としての水酸化ナトリウム、錯化剤としてのクエン酸ナトリウム、及び分散剤としてのポリエチレンイミンを純水に溶解した。次に、この水溶液を撹拌しながら同温度で保温した硝酸銅三水和物を投入して、平均粒子径80nmの銅ナノ粒子を析出させ銅ナノ粒子分散液を調製した。
(2)銅ナノ粒子を分離する工程
次に、遠心分離機を用いて上記銅ナノ粒子分散液の遠心分離を行い、銅ナノ粒子を含む銅ナノ粒子濃縮液と液相とに遠心分離機で分離した。
(3)銅ナノ粒子を分散させる工程
上記銅ナノ粒子を含む銅ナノ粒子濃縮液をろ過後、純水を加えて銅ナノ粒子を分散させた。
(4)添加する工程
次に、上記銅ナノ粒子の分散液に添加剤としてポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアルコール(PVA)、クエン酸、シユウ酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエタノールアミン(TEA)等を用いた。そして、純水により濃度を調整し、表1に記載の条件で添加剤を添加して銅ナノインクを製造した。なお、以下の表1中の「−」は、該当する成分を用いなかったことを示す。
(プリント配線板用基板の作製)
次に、絶縁性を有するベースフィルムとして平均厚さ25μmのポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの片方の面に上記銅ナノインクを塗工し、塗工膜を乾燥させた。次に、焼成温度350℃、焼成時間20分の条件下で乾燥して平均厚さが0.2μmの焼結体層を形成し、試験番号1〜試験番号32のプリント配線板用基板を作製した。
[評価]
(銅ナノインクの性状)
銅ナノインクの製造直後の性状について、平滑面に塗工及び乾燥して得られる平均厚さ0.15μmの乾燥塗膜の入射角60°での光沢度で評価した。銅ナノインクの性状についてはA〜Cの三段階で評価した。上記銅ナノインクの性状の評価基準は以下の通りとした。銅ナノインクの性状の評価がA及びBの場合、良好である。評価結果を表1に示す。
A:銅ナノ粒子の分散性に優れる 200GU以上
B:銅ナノ粒子の凝集がほとんど見られない 200GU未満100GU以上
C:銅ナノ粒子の凝集が多く発生している 100GU未満
(銅ナノインク中の酸化銅濃度)
Spring−8 BL16B2を用いてエックス線吸収微細構造(XAFS)により、製造から7日間経過後の銅ナノインク中の酸化銅濃度を求めた。銅ナノインク中の酸化銅濃度が15質量%以下の場合、良好である。測定結果を表1に示す。
(銅ナノインクの塗工膜の焼成過程における二酸化炭素の確認及び酸化銅濃度)
Bruker AXS社製熱重量質量分析同時測定装置(TG−DTA2020SA/MS9610)にて銅ナノインク塗工膜の焼成過程における酸化銅還元による二酸化炭素の発生が確認できた。
また、図1は、試験番号10の銅ナノインクの塗工膜の焼成過程における酸化銅濃度を示すグラフである。上記酸化銅濃度は、住友電工社製「SAGA−LS BL1」(ビームライン:硬X線)を用いて、X線回折装置(XRD)による透過法にて測定した。
(プリント配線板用基板の塗工膜及び焼結体層の酸化銅濃度)
プリント配線板用基板の製造直後の塗工膜、塗工後、室温で7日保存後の塗工膜、及び熱処理後の焼結体層について、酸化銅濃度を求めた。酸化銅濃度は、マルバーンパナリティカル社製「エンピリアン」を用いてX線回折法により測定した。測定結果を表1に示す。
(ベースフィルム及び焼結体層間の密着力評価)
試験番号1〜試験番号32のプリント配線板用基板について、JIS−K−6854−2(1999)「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法により各プリント配線板用基板について、製造直後の剥離強度及び150℃で7日間保持後の剥離強度(高温下の剥離強度)を測定した。ベースフィルム及び焼結体層間の密着力についてはA〜Dの4段階で評価した。上記ベースフィルム及び焼結体層間の密着力の評価基準は以下の通りとした。評価結果がA及びBの場合、良好である。評価結果を表1に示す。
A:製造直後の剥離強度が7N/cm以上かつ150℃で7日間保持後の剥離強度が5.0N/cm以上
B:製造直後の剥離強度が6N/cm以上かつ150℃で7日間保持後の剥離強度が3.0N/cm以上
C:製造直後の剥離強度が5N/cm以上かつ150℃で7日間保持後の剥離強度が2.0N/cm以上
D:製造直後の剥離強度が5N/cm未満又は150℃で7日間保持後の剥離強度が2.0N/cm未満
Figure 2021017641
表1に示すように、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を含有する銅ナノインクを用いて焼結体層を形成した試験番号1〜試験番号24のプリント配線板用基板は、銅ナノインクの性状、塗工膜及び焼結体層の酸化銅濃度に対する抑制効果、並びにベースフィルム及び焼結体層間の剥離強度が良好であった。
さらに、カルボン酸としてシユウ酸又はエチレンジアミン四酢酸を用いた試験番号22及び試験番号24、並びにクエン酸とともにトリエタノールアミンを添加した試験番号24も良好な結果が得られた。
また、図1から当該銅ナノインクの塗工膜の焼成過程においては、時間とともに酸化銅が還元されて酸化銅濃度が減少していることがわかる。
一方、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸のうちのいずれかを含有しない銅ナノインクを用いて焼結体層を形成した試験番号25〜試験番号32のプリント配線板用基板は、塗工膜及び焼結体層の酸化銅濃度に対する抑制効果が劣っていた。さらに、試験番号25〜試験番号32のプリント配線板用基板のうちのほとんどが銅ナノインクの性状が劣っていた。このため、試験番号25〜試験番号32のプリント配線板用基板は、ベースフィルム及び焼結体層間の十分な剥離強度を得ることができなかった。
以上の結果から、当該銅ナノインクは、酸化銅の低減効果が高く、ベースフィルムとの密着力が優れる銅ナノ粒子の焼結体層を備えるプリント配線板用基板を製造できることが示された。

Claims (7)

  1. 平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、
    上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、
    ポリエチレンイミンと、
    ポリビニルアルコールと、
    カルボン酸と
    を含有する銅ナノインク。
  2. 上記カルボン酸がクエン酸、シユウ酸、エチレンジアミン四酢酸又はこれらの組み合わせである請求項1に記載の銅ナノインク。
  3. 上記カルボン酸の含有割合が0.8質量%以上2.8質量%以下であり、
    上記ポリエチレンイミンの含有割合が1.0質量%以上3.5質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の銅ナノインク。
  4. トリエタノールアミンをさらに含有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の銅ナノインク。
  5. 絶縁性を有するベースフィルムと、
    上記ベースフィルムの表面に直接又は間接に積層される銅ナノ粒子の焼結体層と
    を備え、
    上記焼結体層が銅ナノインクの塗工膜中の銅ナノ粒子の焼結により得られる焼結体から構成され、
    上記銅ナノインクがポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、カルボン酸、平均粒子径200nm以下の銅ナノ粒子及びこの銅ナノ粒子を分散する溶媒を含有するプリント配線板用基板。
  6. 上記ベースフィルムと上記焼結体層との間の150℃で7日間保持後における剥離強度が、5.0N/cm以上である請求項5に記載のプリント配線板用基板。
  7. 平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子とこの銅ナノ粒子を分散する溶媒とを含有する銅ナノインクの製造方法であって、
    液相還元法により上記銅ナノ粒子を析出する工程と、
    上記析出する工程で析出された上記銅ナノ粒子を分離する工程と、
    上記分離する工程で得られた上記銅ナノ粒子を上記溶媒に分散させる工程と、
    上記分散させる工程で調製された分散液にポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール及びカルボン酸を添加する工程と
    を備える銅ナノインクの製造方法。
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