JP2020031196A - 銅ナノインク、プリント配線板用基板及び銅ナノインクの製造方法 - Google Patents

銅ナノインク、プリント配線板用基板及び銅ナノインクの製造方法 Download PDF

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Motohiko Sugiura
元彦 杉浦
岡田 一誠
Kazumasa Okada
一誠 岡田
上田 宏
Hiroshi Ueda
上田  宏
和弘 宮田
Kazuhiro Miyata
和弘 宮田
佳世 橋爪
Kayo Hashizume
佳世 橋爪
浩樹 覚道
Hiroki KAKUDO
浩樹 覚道
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Abstract

【課題】本発明は、銅ナノ粒子の分散性が優れるとともに、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる銅ナノインク、表面性状が平滑で緻密な銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備えるプリント配線板用基板及び当該銅ナノインクの製造方法を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る銅ナノインクは、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、酢酸とを含有し、上記酢酸の含有量が0.005質量%以上0.500質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、銅ナノインク、プリント配線板用基板及び銅ナノインクの製造方法に関する。
近年、プリント配線板の製造等では、溶媒中に例えば銅ナノ粒子のようなナノサイズの金属粒子を分散した金属ナノインクをプリント配線板用基板の表面に塗工し、この塗工により形成された塗膜を加熱して乾燥及び焼結することでプリント配線板用基板の表面に金属ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を形成する方法が採用されるようになっている。
このような金属ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の形成に用いる金属ナノインクとして、粒子径が200nm以下の金属ナノ粒子と、水と、揮発性有機溶媒と、不揮発性の有機化合物とを含む金属ナノインクが提案されている(特開2006−321948号公報参照)。
特開2006−321948号公報
上記公報に開示されるように、例えば銅ナノインクの塗工及び焼結により銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を形成する場合、条件によっては銅ナノインク中での銅ナノ粒子の分散性が低下することにより溶融した銅ナノ粒子が凝集し、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の表面粗さが大きくなる場合がある。
このように銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の表面粗さが大きくなると、プリント配線板用基板に積層される他の層との密着性を損なうおそれがあるだけでなく、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層中に粗な部分が形成される結果、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の導電性が低下するおそれもある。また、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層にめっきを行うことにより導電パターンを形成する場合には、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の表面粗さが大きくなると、形成される導電パターンの厚さ及び幅が意図したものと異なるおそれがある。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、銅ナノ粒子の分散性に優れ、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる銅ナノインク、表面性状が平滑で緻密な銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備えるプリント配線板用基板及び当該銅ナノインクの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る銅ナノインクは、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、酢酸とを含有し、上記酢酸の含有量が0.005質量%以上0.500質量%以下である。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別の態様に係るプリント配線板用基板は、当該銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備える。
また、上記課題を解決するためになされた本発明のさらに別の態様に係る銅ナノインクの製造方法は、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子とこの銅ナノ粒子を分散する溶媒とを含有する銅ナノインクの製造方法であって、液相還元法により上記銅ナノ粒子を析出する工程と、上記析出する工程で析出された上記銅ナノ粒子を分離する工程と、上記分離する工程で得られた上記銅ナノ粒子を上記溶媒に分散させる工程と、上記分散させる工程で調製された分散液に酢酸を添加する工程とを備える。
本発明の一態様に係る銅ナノインクは、銅ナノ粒子の分散性が優れるとともに、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる。本発明の他の態様に係るプリント配線板用基板は、表面性状が平滑で緻密な銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備える。本発明の他の態様に係る銅ナノインクの製造方法は、銅ナノ粒子の分散性が優れるとともに、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる銅ナノインクを製造できる。
本発明の一実施形態に係る銅ナノインクの製造方法の手順を示す流れ図である。 銅ナノインク塗布膜の表面の電子顕微鏡写真である。 銅ナノインク塗布膜の表面の電子顕微鏡写真である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る銅ナノインクは、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、酢酸とを含有し、上記酢酸の含有量が0.005質量%以上0.500質量%以下である。
当該銅ナノインクは、酢酸を含有することで、銅ナノ粒子の分散性が優れるとともに、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる。このような効果が生じる理由としては、例えば以下のように推測される。銅ナノインクに酢酸を添加し、上記酢酸の含有量を0.005質量%以上0.500質量%以下にすることで、銅ナノインクのpHが適度に酸性側に傾くことから、銅ナノ粒子間の反発が生じやすくなるとともに、酢酸は銅ナノ粒子の表面に吸着されにくいため、電荷の反発を弱めない。従って、銅ナノ粒子の凝集が起こりにくくなる結果、銅ナノ粒子の分散性が向上すると考えられる。
当該銅ナノインクのpHが4.2以上6.5以下であることが好ましい。上記pHが上記範囲であることで、銅ナノ粒子の分散性をより向上できる。
本発明の別の態様に係るプリント配線板用基板は、当該銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備える。
当該プリント配線板用基板は、当該銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備えるため、焼結体層の表面性状が平滑で緻密である。従って、当該プリント配線板用基板は、プリント配線板用基板に積層される他の層との密着性が良好であり、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の導電性に優れる。また、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層にめっきを行うことにより導電パターンを形成する場合に、導電パターンの厚さ及び幅を精度よく形成できる。
本発明のさらに別の態様に係る銅ナノインクの製造方法は、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子とこの銅ナノ粒子を分散する溶媒とを含有する銅ナノインクの製造方法であって、液相還元法により上記銅ナノ粒子を析出する工程と、上記析出する工程で析出された上記銅ナノ粒子を分離する工程と、上記分離する工程で得られた上記銅ナノ粒子を上記溶媒に分散させる工程と、上記分散させる工程で調製された分散液に酢酸を添加する工程とを備える。
当該銅ナノインクの製造方法は、銅ナノ粒子を溶媒に分散させた分散液に酢酸を添加するので、銅ナノ粒子の分散性を向上できる。このため、当該銅ナノインクの製造方法により得られる銅ナノインクは、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる。
ここで、「平均粒子径」とは、走査型電子顕微鏡により撮影した画像において粒子100個以上をカウントして求められる体積中心径D50である。「ナノ粒子」とは、顕微鏡観察による最大長さとこの長さ方向に垂直な方向の最大幅との和の2分の1として算出される粒子径の平均値が1μm未満である粒子を意味する。
[本発明の実施形態の詳細]
<銅ナノインク>
以下、本発明の一実施形態に係る銅ナノインクについて詳説する。
<銅ナノインク>
当該銅ナノインクは、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、酢酸とを含有する。また、当該銅ナノインクは、分散剤を含有してもよい。
(銅ナノ粒子)
当該銅ナノインクに含有される銅ナノ粒子は、水溶液中で還元剤により銅イオンを還元することで銅ナノ粒子を析出させる液相還元法により得られる。
銅ナノ粒子の平均粒子径の下限としては、1nmが好ましく、10nmがより好ましい。一方、銅ナノ粒子の平均粒子径の上限としては、200nmであり、150nmが好ましい。銅ナノ粒子の平均粒子径が上記下限に満たない場合、例えば当該銅ナノインク中での銅ナノ粒子の分散性及び安定性が低下することにより、プリント配線板用基板のベースフィルムの表面に均一に積層することが容易でなくなるおそれがある。一方、銅ナノ粒子の平均粒子径が上記上限を超える場合、形成される銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層中の空隙が大きくなり、十分な導電性が得られないおそれがある。
(溶媒)
当該銅ナノインクの溶媒としては、特に限定されるものではないが、水が好適に用いられる。
銅ナノインクにおける溶媒となる水の含有割合としては、銅ナノ粒子100質量部当たり20質量部以上1900質量部以下が好ましい。上記水の含有割合が上記下限に満たない場合、銅ナノ粒子の濃度が高くなり過ぎて、銅ナノインクによる均一な塗工ができなくなるおそれがある。一方、上記水の含有割合が上記上限を超える場合、銅ナノインク中の銅ナノ粒子の割合が少なくなり、プリント配線板用基板のベースフィルムの表面に必要な厚さと密度とを有する良好な焼結体層を形成できないおそれがある。
(酢酸)
当該銅ナノインクは、酢酸を含有することで、銅ナノインクのpHが適度に酸性側に傾くことから、銅ナノ粒子間の反発が生じやすくなるとともに、酢酸は銅ナノ粒子の表面に吸着されにくいため、電荷の反発を弱めない。従って、銅ナノ粒子の凝集が起こりにくくなる結果、銅ナノ粒子の分散性が向上すると考えられる。
当該銅ナノインクにおける上記酢酸の含有量の下限としては、0.005質量%であり、0.010質量%が好ましく、0.020質量%がより好ましい。上記酢酸の含有量の上限としては、0.500質量%であり、0.400質量%が好ましく、0.100質量%がより好ましい。上記酢酸の含有量が上記下限に満たない場合、銅ナノインク中での銅ナノ粒子の分散性が向上しないので、乾燥塗膜の表面性状において十分な平滑性及び緻密性が得られないおそれがある。一方、上記酢酸の含有量が上記上限を超える場合、銅粒子が腐食されて乾燥塗膜の表面性状において十分な緻密性が得られないおそれがある。
当該銅ナノインクのpHの下限としては、4.2が好ましく、5.0がより好ましい。上記pHの上限としては、6.5が好ましく、6.0がより好ましい。当該銅ナノインクのpHが上記下限に満たない場合、銅粒子が腐食されて乾燥塗膜の表面性状において十分な緻密性が得られないおそれがある。一方、上記pHが上記上限を超える場合、乾燥塗膜の表面性状において十分な平滑性及び緻密性が得られないおそれがある。
(分散剤)
分散剤としては、アミノ基又はアミド結合を有する有機分散剤であればよく、例えばポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等を挙げることができ、中でも、窒素原子をベースフィルム1及び銅ナノ粒子に結合させやすいポリエチレンイミンが好適に用いられる。
分散剤の分子量としては、特に限定されないが、100以上300,000以下が好ましい。このように、分子量が上記範囲の分散剤を用いることで、銅ナノ粒子を溶媒中に良好に分散させることができる。上記分散剤の分子量が上記下限に満たない場合、銅ナノ粒子の凝集を防止して分散を維持する効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記分散剤の分子量が上記上限を超える場合、分散剤の嵩が大き過ぎ、銅ナノインクの塗工後に行う焼結工程において、銅ナノ粒子同士の焼結を阻害してボイドを生じさせるおそれがある。また、分散剤の嵩が大き過ぎると、焼結体層の膜質の緻密さが低下したり、分散剤の分解残渣が導電性を低下させるおそれがある。
分散剤の含有割合としては、銅ナノ粒子100質量部当たり0.5質量部以上20質量部以下が好ましい。分散剤は銅ナノ粒子を取り囲むことで凝集を防止して銅ナノ粒子を良好に分散させるが、上記分散剤の含有割合が上記下限に満たない場合、この凝集防止効果が不十分となるおそれがある。一方、上記分散剤の含有割合が上記上限を超える場合、銅ナノインクの塗工後の焼結工程において、過剰の分散剤が銅ナノ粒子の焼結を阻害してボイドが発生するおそれがある。
当該銅ナノインクによれば、銅ナノ粒子の分散性が優れるとともに、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる。従って、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層とプリント配線板用基板に積層される他の層との密着性を向上できる。
<プリント配線板用基板>
当該プリント配線板用基板は、当該銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備える。より詳細には、当該プリント配線板用基板は、絶縁性を有するベースフィルムと、このベースフィルムの一方又は両方の面に積層され、複数の銅ナノ粒子を焼結して形成される焼結体層を備える。
上記焼結体層は、例えば銅ナノ粒子を含有する銅ナノインクをベースフィルムの一方の面に塗工後、塗膜の乾燥及び焼結を行うことにより形成できる。上記銅ナノインクの塗膜の乾燥は、加熱又は送風により銅ナノインクの乾燥を促進することが好ましく、銅ナノインクの塗膜に風を吹き付けることによって塗膜を乾燥することがより好ましい。また、上記銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結は、上記乾燥塗膜を熱処理することによって焼結する。これにより、銅ナノインクの溶媒分散剤が蒸発又は熱分解して、残る銅ナノ粒子が焼結されてベースフィルムの一方の面に固着された焼結体層が得られる。
当該プリント配線板用基板は、当該銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備えるため、焼結体層の表面性状が平滑で緻密である。従って、当該プリント配線板用基板は、プリント配線板用基板に積層される他の層との密着性が良好であり、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の導電性に優れる。また、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層にめっきを行うことにより導電パターンを形成する場合に、導電パターンの厚さ及び幅を精度よく形成できる。
当該プリント配線板用基板における当該銅ナノインクの送風乾燥塗膜のJIS−B0601(2013)に準拠して測定される表面粗さとしては、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。当該銅ナノインクの送風乾燥塗膜の表面粗さが上記範囲であることで、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜の焼結体層を得ることができる。
<銅ナノインクの製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係る銅ナノインクの製造方法について図面を参照しつつ詳説する。
当該銅ナノインクの製造方法は、平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子とこの銅ナノ粒子を分散する溶媒とを含有する銅ナノインクの製造方法である。図1は、本発明の一実施形態の銅ナノインクの製造方法の手順を示す。当該銅ナノインクの製造方法は、液相還元法により銅ナノ粒子を析出する工程(銅ナノ粒子析出工程:ステップS1)と、上記析出する工程で析出された上記銅ナノ粒子を分離する工程(銅ナノ粒子分離工程:ステップS2)と、上記分離する工程で得られた上記銅ナノ粒子を上記溶媒に分散させる工程(銅ナノ粒子分散工程:ステップS3)と、上記分散させる工程で調製された分散液に酢酸を添加する工程(酢酸添加工程:ステップS4)とを備える。
以下、上記各工程について説明する。
[銅ナノ粒子析出工程]
ステップS1の銅ナノ粒子析出工程は、液相還元法により銅ナノ粒子を析出する。本工程は、還元剤を含む水溶液中での銅イオンの還元により銅ナノ粒子を析出させる液相還元法によって行われる。このような液相還元法としては、例えばチタンレドックス法が適用できる。
ステップS1の銅ナノ粒子析出工程は、還元剤水溶液を調製する工程と、銅イオンを含む水溶液又は電離により銅イオンを生じる水溶性金属化合物を還元剤水溶液に投入することにより、銅イオンを還元して銅ナノ粒子として析出させる工程とを有する。
(還元剤水溶液調製工程)
還元剤水溶液調製工程では、銅イオンを還元する作用を有する還元剤を含む水溶液を調製する。
液相還元法によって銅ナノ粒子を形成する場合の還元剤としては、液相(水溶液)の反応系において、銅イオンを還元及び析出させることができる種々の還元剤を用いることができる。この還元剤として、例えば水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、3価のチタンイオンや2価のコバルトイオン等の遷移金属のイオン、アスコルビン酸、グルコースやフルクトース等の還元性糖類、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールなどを挙げることができる。
液相還元法としてチタンレドックス法を採用する場合、還元剤としては、三価のチタンイオンが使用される。三価のチタンイオンは、水に三価のチタンイオンを生じる水溶性チタン化合物を溶解することや、四価のチタンイオンを含む水溶液を陰極電解処理によって還元することで得られる。三価のチタンイオンを生じる水溶性チタン化合物としては、三塩化チタンが挙げられる。三塩化チタンは、高濃度の水溶液として市販されているものを使用することができる。
また、上記還元剤水溶液には、錯化剤、分散剤、pH調製剤等をさらに配合することができる。
上記還元剤水溶液に配合する錯化剤としては、従来公知の種々の錯化剤を用いることができる。ただし粒径をできるだけ小さく、しかも粒度分布ができるだけシャープな銅ナノ粒子を製造するためには、三価のチタンイオンの酸化によって金属元素のイオンを還元して析出させる際に、還元反応の時間をできるだけ短くすることが有効である。これを実現するためには、三価のチタンイオンの酸化反応速度と金属元素のイオンの還元反応速度とを共に制御することが有効であり、そのためには三価のチタンイオンと金属元素のイオンとを共に錯体化することが重要である。
かかる機能を有する錯化剤としては、例えばクエン酸三ナトリウム〔Na〕、酒石酸ナトリウム〔Na〕、酢酸ナトリウム〔NaCHCO〕、グルコン酸〔C12〕、チオ硫酸ナトリウム〔Na〕、アンモニア〔NH〕、エチレンジアミン四酢酸〔C1016〕等が挙げられ、これらの一種又は複数種を用いることができ、中でもクエン酸三ナトリウムが好適である。
上記還元剤水溶液に配合する分散剤としては、例えばアニオン性分散剤、カチオン性分散剤、ノニオン性分散剤等を用いることができるが、ポリエチレンイミン等のカチオン性高分子分散剤を用いることが好ましい。
上記還元剤水溶液に配合するpH調製剤としては、例えば炭酸ナトリウム、アンモニア、水酸化ナトリウム等を用いることができる。上記還元剤水溶液のpHとしては、例えば5以上13以下とすることができる。なお、上記還元剤水溶液のpHが低すぎると、金属の析出速度が遅くなり、粒度分布が広くなり易い。また、上記還元剤水溶液のpHが高すぎると、金属の析出速度が過大となり、析出した銅ナノ粒子が凝集してクラスター状又は鎖状の粗大な粒子を形成するおそれがある。
(析出工程)
上記析出工程では、上記還元剤水溶液に銅イオンを投入することにより、還元剤水溶液中での還元剤による銅イオンの還元により銅ナノ粒子を析出させる。
上記銅イオンは、水溶性銅化合物を水に溶解することで、水溶性銅化合物の電離により生じる。これら水溶性銅化合物としては、例えば銅の場合は、硝酸銅(II)(Cu(NO)、硫酸銅(II)五水和物(CuSO・5HO)等を挙げることができる。
なお、水溶性銅化合物は、還元剤水溶液に直接投入すると、投入した化合物の周囲でまず局部的に反応が進行するため、銅ナノ粒子の粒径が不均一になり粒度分布が広くなるおそれがある。このため水溶性銅化合物は、水に溶かして希釈した銅イオンを含む水溶液の状態で還元剤水溶液に投入することが好ましい。
析出工程における温度の下限としては、0℃が好ましく、15℃がより好ましい。一方、析出工程における温度の上限としては、100℃が好ましく、60℃がより好ましく、50℃がさらに好ましい。析出工程における温度が上記下限に満たない場合、還元反応効率が不十分となるおそれがある。一方、析出工程における温度が上記上限を超える場合、銅ナノ粒子の成長速度が大きく、粒子径の調製が容易でなくなるおそれがある。
[銅ナノ粒子分離工程]
ステップS2の銅ナノ粒子分離工程では、上記ステップS1の銅ナノ粒子析出工程において還元剤水溶液中に析出した銅ナノ粒子を分離する。銅ナノ粒子の分離方法としては、例えば濾過、遠心分離等が挙げられる。なお、分離された銅ナノ粒子は、さらに洗浄、乾燥、解砕等の工程を経て一旦粉末状としてもよいが、凝集を防止するために粉末化せず水溶液に高濃度で分散させた状態で用いることが好ましい。
[銅ナノ粒子分散工程]
ステップS3の銅ナノ粒子分散工程では、上記ステップS2の銅ナノ粒子分離工程で得られた銅ナノ粒子を所定の濃度になるように溶媒に分散させる。
銅ナノインクの溶媒としては、銅ナノ粒子析出後の還元剤水溶液を調製したものを使用することができる。つまり、予め銅ナノ粒子を含む還元剤水溶液を限外濾過、遠心分離、水洗、電気透析等の処理に供して不純物を除去したものに溶媒を加えることで、予め一定量の銅ナノ粒子を含む溶媒が得られる。
[酢酸添加工程]
ステップS4の酢酸添加工程では、上記ステップS3の銅ナノ粒子分散工程で所定の濃度に調製された分散液に酢酸を添加し、酢酸の含有量を0.005質量%以上0.500質量%以下にする。本工程により、銅ナノ粒子の分散性をより向上できる。
当該銅ナノインクの製造方法によれば、銅ナノ粒子の分散性が優れるとともに、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる銅ナノインクを製造できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<銅ナノインク塗布膜>
本発明の効果を検証するために、製造条件の異なる試作品No.1〜No.8の8種類の銅ナノインク塗布膜を作製した。
(1)銅ナノ粒子析出工程
初めに、反応タンクに還元剤としての三塩化チタン溶液を80g(0.1M)、pH調整剤としての炭酸ナトリウムを50g、錯化剤としてのクエン酸ナトリウムを90g、及び分散剤としてのポリエチレンイミン(分子量70000)1gを純水1Lに溶解し、この水溶液を35℃に保温した。この水溶液に同温度で保温した硝酸銅三水和物を10g(0.04M)の水溶液を撹拌しながら2秒で投入して、平均粒子径90nmの銅ナノ粒子2.3gを析出させ銅ナノ粒子分散液を調製した。
(2)銅ナノ粒子分離工程
次に、遠心分離機を用いて上記銅ナノ粒子分散液の遠心分離を行い、銅ナノ粒子を含む銅ナノ粒子濃縮液と液相とに遠心加速度2万Gで遠心分離した。
(3)銅ナノ粒子分散工程
上記銅ナノ粒子を含む銅ナノ粒子濃縮液に純水を加えて濃度を26質量%に調整した。
(4)酢酸添加工程
次に、濃度が調製された分散液に酢酸を添加して銅ナノインクを製造した。酢酸の添加量及び銅ナノインクのpHを表1に示す。また、表1に示すように、試験No.3は添加剤を加えず、試験No.6は塩酸を添加し、試験No.7はクエン酸を添加した。
(5)乾燥塗膜形成工程
次に、絶縁性を有するベースフィルムとして平均厚さ25μmのポリイミドフィルム(カネカ社製アピカル25NPI)を用い、このポリイミドフィルムの片方の面に上記銅ナノインクを塗工し、ヘアドライヤーを用いてフィルム面上にて垂直方向に風速7m/sの常温の風を当てることで乾燥して平均厚さが0.15μmの乾燥塗膜を形成した。
[評価]
(乾燥塗膜表面の算術平均粗さ)
乾燥塗膜表面の算術平均粗さRaは、JIS−B0601(2013)に準拠して測定した。
(銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の密着性)
塗膜を350℃の焼成温度で2時間焼成することで、ベースフィルム(ポリイミドフィルム)の一方側の面に焼結体層を形成した。次に、この焼結体層に寺岡製作所社製アクリルフォーム両面テープNo7840(厚み0.62mm)を張り付けた後、180°方向への引き剥がし試験を行うことにより、プリント配線板用基板のベースフィルムと銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層との密着性について評価を行った。上記密着性はA〜Cの三段階で評価した。上記密着性の評価基準は以下の通りとした。
A:特に優れる
B:良好である
C:劣る
上記銅ナノインクの送風乾燥塗膜の表面粗さ及びプリント配線板用基板のベースフィルムと銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層との密着性の評価結果を表1に示す。また、図2に試験No.1の銅ナノインク塗布膜の表面の電子顕微鏡写真を示し、図3に試験No.3の銅ナノインク塗布膜の表面の電子顕微鏡写真を示す。なお、試験No.7については、銅ナノインク中の銅ナノ粒子が沈降したため、表面粗さ及び密着性の評価を行わなかった。
Figure 2020031196
酢酸の含有量が0.005質量%以上0.500質量%以下である試験No.1〜No.2及びNo.8の銅ナノインクは銅ナノ粒子の分散性に優れ、表1に示すように、これらの乾燥塗膜は表面粗さが小さかった。図2の銅ナノインク塗布膜の表面の電子顕微鏡写真からも、上記試験No.1の乾燥塗膜の表面性状が平滑かつ緻密であることを確認できた。また、これらの乾燥塗膜の焼結体層とベースフィルムとの密着性も良好であった。
一方、酢酸を含有しない試験No.3、酢酸の含有量が0.500質量%超である試験No.4〜No.5及び塩酸を含有するNo.6の銅ナノインクは銅ナノ粒子の分散性が劣り、これらの乾燥塗膜は表面粗さが大きかった。図3の銅ナノインク塗布膜の表面の電子顕微鏡写真からも、上記試験No.3の乾燥塗膜の表面性状が粗いことを確認できた。また、これらの乾燥塗膜の焼結体層とベースフィルムとの密着性も劣っていた。さらに、上述したように、クエン酸を含有するNo.7の銅ナノインクは、銅ナノ粒子の分散性が非常に劣り、銅ナノ粒子が沈降した。
以上の結果から、当該銅ナノインクは、銅ナノ粒子の分散性が優れるとともに、表面性状が平滑で緻密な乾燥塗膜を形成できる結果、プリント配線板用基板のベースフィルムと銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層との密着性を向上できることが示された。
本発明は、銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層の形成に広く適用でき、特にプリント配線板等の電子部品の製造に好適に利用できる。
S1 銅ナノ粒子析出工程
S2 銅ナノ粒子分離工程
S3 銅ナノ粒子分散工程
S4 酢酸添加工程

Claims (4)

  1. 平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子と、
    上記銅ナノ粒子を分散する溶媒と、
    酢酸と
    を含有し、
    上記酢酸の含有量が0.005質量%以上0.500質量%以下である銅ナノインク。
  2. pHが4.2以上6.5以下である請求項1に記載の銅ナノインク。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の銅ナノインクの乾燥塗膜の焼結体層を備えるプリント配線板用基板。
  4. 平均粒子径が200nm以下の銅ナノ粒子とこの銅ナノ粒子を分散する溶媒とを含有する銅ナノインクの製造方法であって、
    液相還元法により上記銅ナノ粒子を析出する工程と、
    上記析出する工程で析出された上記銅ナノ粒子を分離する工程と、
    上記分離する工程で得られた上記銅ナノ粒子を上記溶媒に分散させる工程と、
    上記分散させる工程で調製された分散液に酢酸を添加する工程と
    を備える銅ナノインクの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113953533A (zh) * 2021-11-01 2022-01-21 哈尔滨工业大学 选区激光熔化金属纳米粉末墨水打印铜基复合涂层的方法

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